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三下さんの受難
●始まり
「宅急便で〜す。ハンコお願いします」
「はい。ご苦労様です……依頼者の名前がないですね……」
長細い箱を抱えて、三下忠雄は入り口で伝票を見つめる。
「どうしたの三下君？」
「あ、編集長」
入ってきた碇麗香は、入り口に立っている三下を邪魔にそうに見
た後、腕に抱えている荷物へと目を向けた。
「いえ、編集部宛になっているんですが、出した人の名前がなくて」
「とにかく開けてみたらどう？」
「……そうですね」
興味がなさそうに麗香は自分のデスクに戻る。三下も自分のデス
クに戻って厳重に包装されている箱を、はさみを使って開けた。
中にはやはり長細い筒のようなものと、手紙。
「なんでしょうかね、これは……ああ、刀ですか……って、ええ!?」
抜き身の刀が一振り、布にまかれていた。それを手にとってしげ
しげと眺めた三下の体が、刀に振り回された。
「何やってるのよ三下君!!」
いきなり刀を持って暴れ出した三下に、さすがの麗香も目を丸く
した。
「え、あの！ 体が勝手に動いてしまって……!!」
「ちょ、ちょっと危ないわよ！ 誰かドアを閉めて！ 三下君を外
に出さないでよ!!」
叫んで麗香は、下に落ちていた手紙に気がついた。
『これは祖父が亡くなった際、蔵を整理していたら出てきた物です。
なにやら曰く付きの物らしく、何人も人を殺めてきた刀だ、と記さ
れていました。家族皆、この処遇に困り、そちらに送らせて頂きま
した。差し上げますので、よろしくお願いします』
「……何勝手なこと言ってるのよ、全く！ 誰か止めて!!」
珍しい麗香の叫びが編集部内に轟いた。
●ルシオン・ハルフォード
「何の音ですか？」
たまたまお使いに来て、お茶をご馳走になっていたルシオンは、編集部内の異変に気がついて、立ち上がった。
「なにをやっているんですか、三下さん？」
「好きでやっているんじゃないんですよー。体が勝手に動いてしまって……」
「まぁ。それは大変ですわ。どこかに体を固定、とかしても無理ですか？」
のほほん、とお茶を片手に持ちながら、三下に訪ねると、三下は真っ青な顔で首を左右に大きく振った。
「む、無理ですよ〜。誰か止めてくださいぃぃぃぃ」
「困りましたね」
ちっとも困っていないふうに、ルシオンは小首を傾げた。
●三下の受難
「それにしても……」
ぐるりと周りを見回すと、三下を止めようとしている人が数人。ルシオンには知らない人ばかりだった。
「あ、初めまして。ルシオン・ハルフォードと申します」
深々と頭を下げた後、再び周りを見回した。
「……どっきりカメラの撮影……でしょうか？」
「……楽しい方ですね……」
三下を止めるため、得物である糸を構えていた桐伯は、ルシオンの言葉に額に汗を浮かべつつ苦笑した。
「違うと思うぞ。三下君に人をだます、なんて芸当出来そうにない」
背中半分を覆う緩く波立つ長髪は見事な金色。瞳は限りなく黒に近い藍色の瞳に苦笑いを浮かべて、七星はきっぱりと否定した。
「ねぇねぇ七星。あの刀を振り回した人、魅了の魔眼で抑えられるかしら？」
くいくい、と七星の足を引っ張って、珠緒は問う。
「どう、かな。三下君の意識は正常みたいだから。刀に引っ張り回されているだけのようだよ」
「そっか……。爪で受け止めるのが一番かにゃ……。でも人目があると困るにゃ」
化け猫で、人間と猫の変化が自由に出来る珠緒。人間の時は仄かな色気のある２０代前半の女性に見えるが、猫の時は雪のような白い毛にオレンジ色の瞳をしている。
現在は猫。猫の時も普通に話はするが、少々興奮気味なため、語尾に「にゃ」がついてしまっていた。
七星は売れっ子小説家。依然珠緒を知り合って、それ以来仲良くしている。
「三下君、日頃のストレスの原因に矛先を向けたりするなよ？ 少なくとも俺はその範囲内じゃないけど……」
「そ、そんな事しないですよぉ！」
危ないなら、面倒なら力を使うか、と思いつつ集まった桐伯をちらっと横目で見た。
「でも、タマが動かなくてもなんとかなりそうだぞ」
「そうかにゃ？ じゃ、何かあったらやるにゃ」
七星に甘えるように、滑らかな毛並みを持つ尻尾をたてて足にすりつく。それを七星は抱き上げた。
「どっきり、じゃないんですか……。え、それって大変じゃないですか!? 危ないですよ。あの刀本当に切れるんですよね!?」
「……今更、ですか」
やっと気がついてわたわた始めるルシオンに、桐伯は困ったような顔になった。
「刀さん！ 危ないですから止めて下さい。神様が駄目って言ってますよ！」
「説得の通じる相手じゃないですよ。どいていてください」
桐伯はルシオンの前に立つと、糸を構えた。
「私の『九曜流鋼糸術』の出番ですね」
桐伯の赤い瞳がわずかに光を帯びる。表情こそかわってはいないが、どことなく嬉しそうである。
「ほら、なんとかなりそうだ。こっちは持ち主を調べよう。送られてきた箱ある？」
七星は珠緒を連れて麗香のデスクへと行くと、麗香は桐伯達に任せているようで、黙々と自分の仕事をしながらデスクの端を指さした。
「どうするのにゃ？」
「しっ。……麗香、これ借りていい？」
「どうぞ」
七星を見上げた珠緒に、黙ってという仕草をしてから箱を持ち上げて麗香から離れたデスクへと持っていく。
「送り状にＩＤナンバーが……。くそっ、かすれてて読めないな。……でも、取扱店の印があるな。これで送付先が調べられる」
七星は桐伯達の行動を横目で見つつ、送付先を調べ始めた。
「本当に、おいしそう……」
三下の背後に回り込んだ夕子は、最初からそこにいました、という風にひょいっっと姿を現した。１０代半ばの女性が、三下の後ろに立ったものだから桐伯は驚いた。
「何やっているんですか！ 危ないですよ！！」
糸を使おうとしていた桐伯の声が飛ぶが、夕子は知らん顔。
「大丈夫よ。わたくしは」
「い、いや、そこにいられたら糸が使えない……」
瞬間、夕子はどこからそんな力が出るのか、という感じで三下の腕を捻りあげた。背後に突然現れた事と、三下の振り回されるだけの剣の腕では、夕子に被害が及ぶことはなかった。
そしてその一瞬の隙を桐伯は見逃さなかった。
桐伯は三下の動きを利用した。茨枝の陣（体の動きの起こす空気の流れに反応して相手を絡め取る）を使って三下を拘束し、刀身と柄を分解した。
「あ、刀が壊れたにゃ。一樹兄さんあれでも猫缶くれるかにゃぁ……」
七星と一緒にいながら、桐伯達を見ていた珠緒は顔をしかめた。
「あれくらいなら大丈夫だ。すぐに直せる」
珠緒の悲痛な声にちらっと分解された刀を見て、七星は珠緒の頭をなでながら言った。
「だったらいいのにゃ」
頭をなでられて、嬉しそうに珠緒は小さく鳴いた。
「……勿体ないことするんですね……。でも、中身が死んだ訳じゃないから、いいか……」
最後の呟きは誰にも聞こえない。
「大丈夫ですか、三下さん？」
桐伯が糸を緩めた反動で、三下は脱力したまま床に転がった。
ルシオンは慌てて駆け寄る。そして様子をうかがってみると、ただ気絶しているようだった。
「怪我……なさっていないようですね。良かった。怪我した方、いらっしゃいませんか？」
振り返ってルシオンが訪ねるが、幸いけが人はいないようだった。
「まあ、これも神様のお導きですね」
まだ何も解決はしていないのだが、ルシオンはにっこりと笑う。
「これからどうしましょうか……」
刀身だけとなった刀を見て、桐伯は呟いた。
「食べてしまえば終わりなのに……」
聞こえない程度の声で夕子は言う。表面上は無表情。しかし微かな笑みを浮かべている。
「刀の方とお話出来ればいいんですけど……。あ、そうだ」
ルシオンはソファの上に置いておいた、たれ○んだの巨大ぬいぐるみを腕に抱えた。
「昨今のシスターさんは、変わったものをお持ちなんですね」
「荷物入れに使っているんです」
と言ってルシオンはぬいぐるみの中から剣を取り出した。ロングソード、と言っていいのだろうか。中世ファンタジーに出てくるような剣である。柄の部分には青い宝石のようなものがはまっていた。
「面白い剣ですね。……それに、とっても美味しそう……」
『ダレガ ニモツダ』
「……喋るん、ですか……？」
「はい。サイファー、刀さんとお話出来ますか？」
にこにこと何事もないように桐伯の言葉に頷き、ルシオンは自分の剣に問いかける。
『何故ワレガ ソノヨウナコトヲ セネバナラヌノダ』
「お話出来るでしょう？ お願い」
『ソンナコトハ シラヌ』
「あ、もしかしてお話出来ない、とか？ だったら仕方ないですよね。わかりました」
『誰ガ話セヌ ト言ッタ！』
「じゃ、出来るんですね。お願いします」
にーっこり微笑まれて、桐伯には剣の苦い顔が見えたような気がした。
一方、七星は刀の出所を探り当てていた。
場所は静岡。
「刀の前科かかにゃ？ あたしが知ってるのなんてせいぜい５００年前……そんな昔の事は忘れたにゃ」
七星に問われて珠緒は胸を張る。由緒正しい化け猫の末裔である珠緒は、現在５２３歳。
「タマ……」
「にゃ。ちゃんと思い出すように頑張るけど……」
渋い顔で見られて、珠緒は顔を洗って誤魔化しながら俯せになった。
しかし刀の事を調べようとしてもなかなか浮かばない。
珠緒の記憶の中にはなかったようだった。それほど有名な刀ではないのかもしれない。
「……わからないにゃ。あたしの記憶にはないみたいだにゃ」
「それじゃ……タマが生まれたより前の刀か、それともそれほど有名ではないのか……」
言いながら七星は受話器を手に取った。直接本人に聞いてみよう、と思ったのだ。
しかしすべては麗香に内緒で行われていた。大事なネタ。どうしてもなんとかならないなら提示するが、口を挟まなくてもなんとかなりそうなら黙っていよう、と思っていた。
そして電話がつながった先では、年配の女性が出た。事情を説明すると、それは差出人の母親だ、という事がわかった。
差出人はそこの家の中学生の一人息子。独断で刀を送ってしまい、今までその事実がわからずに探していた、という事だった。
そして刀には鞘があり、修繕に出している間の出来事だった、と母親は言う。鞘を修繕に出している間に調べてわかった事は、敵国に娘を殺された刀匠の怨念がこめられいる、と言った事だったらしい。
使っていたのは戦国の武将。その刀で多くの敵国の兵を殺めてきた。
祖父がそれを手に入れた経緯はわからない、という。
「ふぅん、結構単純な話なんだ……。そうなると、あっちの喋る剣の方が興味わくな」
刀にとりつく霊と威圧的に話をしているルシオンの剣、サイファー。その高圧的な態度から、なかなか情報が引き出せないでいた。
「駄目ですよサイファー。そんな態度じゃ。刀さん困っているじゃないですか」
困っているかどうかは別として、黙秘を続けていることは確かだった。
「何人も殺してきた刀なんですよね？ だったら処分してしまった方がいいと思いますよ」
「あ、……」
ひょい、と夕子は刀身を摘んで持ち上げる。
いくら柄と刀身が離れたとはいえ、危険かもしれないので誰もさわらずにいたのだが……。
「わたくしは平気ですから」
元は幽霊。その幽霊に呪いは無意味だとわかっていた。実際、刀は沈黙したままで暴走する事はなかった。
「……」
霊波を感じた瞬間、夕子は掴み、喰らおうとした。しかし。
「だ、駄目です!!」
ルシオンの突然の叫びに驚いて、夕子は刀を落としてしまった。
「どうしたんですか？」
夕子の行動に気づかなかった桐伯は、叫んだルシオンを見た。
それにルシオンも疑問顔。
「あ、あれ？ どうしたんでしょうか……。突然叫んでしまって……」
天然なのか、神のお導きなのか。本人のわからないうちに夕子の行動を止めていた。
「……こんな凶悪な霊、食べてしまっても問題ないのに……」
呟いた夕子は不満げであった。
『我ハモウ知ラヌ』
そう言ってサイファーはそれきり黙ってしまった。
「あ、サイファー！ ……困りましたね……」
ぶんぶん、と剣道の素振りよろしくサイファーを振ってみるが、応答なし。ルシオンは小さく肩で息をついた。
６００年、という長きを生きて（？）きたせいか、はたまた御魂喰らいとして生きて（？）きたせいか、人間的感情から縁遠くなってしまっている夕子は、ルシオンのやり方が歯がゆかった。が、下手の動くと浄化されてしまうので、機会を窺っていた。
ルシオン自体の能力は大したことはない。しかし、もっている剣が厄介だったからだ。
桐伯に限っては、糸さえ気をつければなんとかなった。離れて様子を窺っている二人も注意をしなければならなかったが……。
『……一ツダケ 教エテ ヤロウ。ソノ刀ノ 娘ヲ呼ビ出セ』
「娘、ですか？ しかしどうやって……。刀の霊が戦国時代の方、という事は娘さんも遙か昔になくなっていますよね……？」
霊能力の方は持たない桐伯は、今いるメンバーを見渡した。
しかしメンバーの中に降霊が出来そうな者はいなかった。
「手伝った方がいいかにゃ？」
小さく欠伸をした後、珠緒は状況を眺めている七星を見た。
「そうだな。ネタにはそっちの方が面白いかもしれない。タマ出来るか？」
「降霊ってあまりやったことないけど、多分出来るにゃ」
言って珠緒はデスクを軽やかに飛び降り、刀を見つめた。オレンジ色の瞳が仄かに光を帯び、瞳孔が細くなる。
「まぁ、猫ちゃん。可愛いですね」
そういう状況はではないのだが、ルシオンは屈んで珠緒をにこにこと眺める。
だんだん珠緒の雪のような白い毛並みが逆立ってくる。
「!?」
最初に気がついたのは桐伯だった。ソナーにも匹敵する聴覚を使った空間把握能力を持つ為か、その聞こえないはずの音をとらえていた。
無論、夕子も気がついてはいたが、黙っていた。
珠緒の力によって引っぱり出されのか、女性の霊体が所在なさ気に立っていた。そして珠緒は小さく鳴くと、刀の方へと顔を向けた。
『……父、さん……』
驚いたような女性の声。それは小さくかすれていた。
『何をしているの父さん。どうして？』
娘の声に、刀から黒い霧のようなものが出てきて、老人の姿を形作った。
『キク、か……？』
『ええ。そうよ。父さん、私を思ってくれている気持ちはわかったわ。でも、そんなことをしていちゃダメよ。もう殺すべき人はどこにもいない。戦は終わったの。私ももう、この世に生まれ変わって幸せよ。だから、父さんも、もう恨みの呪縛から抜け出して……』
『キクは、許せるのか!?』
『許すも何も……。確かにあの時は恨んだわ。でも、もう終わって、時代もかわってしまった……いつまでもその場に踏みとどまっていたら、いつまでも経っても前には進めないの。だから父さん、もう止めて。……またいつか、父さんの子供に産まれたいわ。その為には父さんにちゃんと上がって貰わないと。お願い、娘の最後の頼みよ』
『キク……』
二人の会話に、他の人達は決して口を挟まなかった。その方がいいと思ったからだ。
『わかった……お前の頼みだ……』
『良かった。ありがとう父さん。そこまで私を思ってくれたこと、ずっと忘れないから……』
女性の姿がゆっくりと消えた。
「今、おくってあげるわ。あの世でゆっくり休んで下さいな」
鈴は手近なものをとりあげると、それを媒体に浄化能力のある光を作り出す。小さな光はやがて大きくなり、老人の霊を包み込んだ。
『……すまなかった……ありがとう……』
ゆっくりと老人の姿は、空気にとけるように消えた。
●三下さんの受難はまだまだ続く？
「つまらない……」
刀から霊が消えてしまったことがわかった夕子は、すでに興味が消え失せ立ち去ろうとしていた。とそこへ、床でのびている三下の姿が目に入った。
「……せっかくだから……」
三下は一見弱そうだったが、生命力に満ちあふれていた。霊を喰らうことが出来なかった夕子は、生者の精気を吸い取る事もあった。ので、今回は三下の精気を少し失敬して帰ろうと思った。
スッと手を伸ばし、介抱しているような素振りで三下の喉元にふれた。瞬間。純粋な精気が流れ込んできた。
「今回はこれで我慢しましょうか……」
呟いて夕子は空気に溶けるように消えてしまった。
「それにしても散らかりましたね……」
「そうですね。片づけに１日はかかりそうです」
お酒のコラムを届けに来ただけなのに、とんだ目にあったな、と桐伯は思いながら片づけ始める。
「七星は何をやっているにゃ？」
「さっきのまとめだよ。なかなか面白い場面を見られたからな」
一人デスクで黙々と何かを書いている七星の膝の上に、珠緒は飛び乗った。七星はその顎の下を軽くなでてやりながら答える。
「あ、そうだにゃ。七星、あの刀あたし欲しいのにゃ」
まだ興奮気味あるのか、語尾が直っていない。
「ああ、麗香に言ってみるよ。彼女もあんなもの迷惑なだけだろうしね」
「ありがとうにゃ。これで猫缶ゲット出来るかにゃ……でも霊がいなくなってしまったから、無理かにゃぁ……」
珠緒にとっては猫缶の方が切実な問題だったらしい。
「ん、んん……」
ようやく目が覚めた三下は、体がやけに重いのを感じていた。が、それが夕子のせいだとは知らない。
「一体、何が……」
軽くめまいがして、額を右手で抑えつつ辺りを見回すと、もの凄い惨状になっていた。
「これは……」
「これは……じゃないわよ。誰のせいだと思ってるの。さっさと片づけて！ それから請求書、きっちり請求させて貰うわよ」
「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
未だ夢から覚めないうちに、冷水を頭から浴びせられたように、三下は悲鳴をあげた。
●その後−ルシオン−
「世の中って色々あるんですねぇ……」
大方片づいた編集部内で、何故かお茶くみをやっていたルシオンは小さく呟いた。
サイファーはすでにぬいぐるみの中におさまっている。
「うわ、いたた……」
棚の上に荷物をあげていた三下の額に、本の角が直撃した。角のすり切れ防止の為か、鉄がはめこまれていたせいで三下の額から血が出てきた。
「まあ大変ですわ。大丈夫ですか？」
お盆を胸に抱えてルシオンは三下に駆け寄る。そして額にキスをした。
「え……」
ルシオンの行動に三下は耳まで真っ赤になった。
「この方が治りが早いんです」
治癒能力を持つルシオンにとっては、何でもない出来事。にっこり笑ったルシオンに、三下はボーっとなっている。
「あら、まだ痛みますか？」
「え、あ、いいえ!!」
すっかり血も止まり、傷跡が跡形もなく消えていた。残っているのは血の跡だけ。三下は慌てて大きく首を左右に振った。
「良かった。それじゃ、頑張ってくださいね」
にーっこり笑ったルシオンに、三下は今度は縦に首を振りまくっていた。
ルシオンの行動に、深い意味は全くなかった。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
【0117／瀧川七星／男／26／小説家／たきがわ・なせ】
【0234／白雪珠緒／女／523／フリーアルバイター・時々野良（化け）猫／しらゆき・たまお】
【0332／九尾桐伯／男／27／バーテンダー／きゅうび・とうはく】
【0382／小嶋夕子／女／683／無職…？？／こじま・ゆうこ】
【0392／ルシオン・ハルフォード／女／16／聖職者（シスター）】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは、夜来です。
この度はご参加下さりまして、誠にありがとうございます。
再びお目にかかれて光栄です〜♪
バストアップと全身図あがってましたねー。可愛かったです☆
今回、サイファーさんを喋らせてしまいました……。喋る剣。私も欲しいです（笑）
使用するようなプレイングだったのですが、他に能力者がいた事と、ルシオンさんの性格から、使わないかな、と勝手に決めてしまいました。
何かありましたら言って下さいね。今後直させて戴きます。
それでは、またの機会にお逢いできる事を楽しみしています。
※誠に勝手ながら、人物相関は夜来の依頼状況で行わせて頂いています。よって、ＰＣ間ですでに知り合い関係にあった場合でも、夜来の依頼で関わりのない方々は、初対面、となっていますのでご了承下さい。（全部のライターさんの依頼を把握する事は困難なので）
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