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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


天使システム〜天使降臨〜後編

<オープニング>

「ねぇ、南青山に天使が現われたって知っている!?」
 ゴーストネットの書き込みはこのような形で始まっていた。
「昨日南青山の駅前に天使が現われて皆に『間もなく神の世が訪れます。人の子よ。神の教えを守りなさい』って言ったんだって。ほんとかどうか分からないけどなんだか気になるよね。誰か確かめてきてくれないかな?」
 そして、依頼を受けて南青山に訪れた者たちの目に入ってきたのは、白い翼をはやした天使たちが光の矢をもって人間を射抜いているところだった。これは一体どういうことなのだろうか?

<天使の考え>

「そう、有難う」
 栗毛色の髪をもつ少女は自分の肩に止まっていた小鳥にそう伝えると、頭上で光の矢を放ち続ける天使を見つめた。突如人々を襲いだした天使たち。だがなぜ突然人を襲いだしたのかその理由が分からない。そこで鳥たちに何か知ることはないかと尋ねてみたのだが、残念ながら成果は上がらなかった。
「やっぱり直接聞くしかないのかしら」
 少女、松浦絵里佳の言葉を聞いたのか、天使のうちの一人が彼女の元にやってきた。
「天使さん、ですよね?」
 恐る恐るそう尋ねる彼女に、天使は穏やかな笑顔を浮かべて答える。
「人の子よ。罪を償いなさい」
 天使の手の中に光が生じ、光の弓と矢が生まれる。
「待ってください。なんで罪を償うために私たちが殺されなくてはいけないんですか!?」
「人は罪を犯しすぎました。この地上を汚し、破壊し尽くし、そして醜くお互いを殺しあっている。もはや人の子を全て滅ぼし、この地上を作り直す以外に方法は無いのです」
「確かに人は自分たちのために空気を汚し、植物や動物たちを殺しているかもしれません。戦争をやってお互いを傷つけあってもいます。でも・・・!」
「それだけではありません」
 矢を弓につがえながら言葉を続ける天使。
「ついには神の領域である宇宙にすらその汚れた手を伸ばそうとしているではありませんか。もはや神の教えを守り、万物に感謝する者たちは一人としていません。愚かにも神が与えたもうたこの地を自分のものと思いこみ破壊する始末。もはやこの人の子に救いはない。よって神はこの地上を清められることをお決めになったのです」
「そんな!そんなことはありません。確かに人々は傲慢で、貴女の言うように愚かな存在なのかもしれません。でもいい人だってたくさんいます。どうして神様がそんな酷い事をなさるんですか!?」
「神の御許へ行きなさい人の子よ」
 天使は松浦の胸に向けて矢を引き絞った。そして眩き閃光の矢が今放たれようとしたその時、
 ゴォォォォォォォ!
 天使の身体を黒い炎が包み込んだ。瞬時に消し炭と化す天使。その光景をただ呆然と見つめている松浦の耳に、笑い声が聞こえてきた。
「なんだってこんな馬鹿馬鹿しいものが出てきたんだろうねぇ?笑いが止まらないよ」
 そう言ってその真紅の唇を歪ませ、天使に冷笑を浴びせるのは、漆黒の髪をもった妖艶な雰囲気をもった女性だった。紅玉を思わす紅蓮の瞳で天使たちを睥睨する。
「でもまぁ、こいつは雑魚だね。暇つぶしにもなりゃしない」
「あ、あの貴女は・・・?」
「ん?」
 恐る恐る尋ねる松浦に目を向けると、その女性は髪をかきあげながら答えた。
「秋津、秋津遼。まぁ、何でも屋とでも思っておけばいいよ」
「は、はぁ・・・」
「それよりあんた、天使たちと何を話していたんだい?」
「その、どうして人を襲うのかとか・・・」
「あはは!今襲ってきている奴らにその理由を聞いてどうするんだい?それで戦いを止めてくれるとでも?」
 秋津は笑いが堪えないといった感じで手を振った。
「そんなに世の中甘くはないよ。敵は明確な殺意を持ってこっちに襲い掛かってきてるんだ。やられる前にやる。それが鉄則さ」
「でも話し合えばきっと分かり合えるはずです」
「ほんとにそう思っているんならお人よしもいいところだね。・・・まぁ、好きなだけ話し合ってみるがいいさ。ほんとに連中がそんななまやさしい連中ならいいんだけどね」
 そんなはずはないだろうけど。そう彼女は心の中で付け加えた。神や、神の名の元に自分を狩りに来る神父やエクソシストの連中などを見ていると分かるのだが、彼らは自分が絶対の正義であることを疑わず、妄信的に自分たちの考えを押し付けてくる。もしやなぜなどの疑問が入る余地は無い。道理や摂理を超えた絶対的な二元論。神に従うか否かである。吸血鬼であり、数百年の時を生きる彼女にとっては笑止もいいところであるが。そんな連中とまともに話し合うなど完全に無理だろう。
「じゃあ、お人よしのお嬢ちゃん。せいぜい頑張ってね」
「頑張ってねって・・・、貴女はどこへ?」
「あたしの用事は済んだよ。あんな雑魚相手に遊んでてもつまらないからね。帰る。別に人間を守る義理なんかないし」
 パタパタと手を振って踵を返す彼女。松浦はそれを呆然と見送るのだった。

<竜巻と女王様>

 天使たちは中空から矢を射っているため、飛行能力や人並み外れた跳躍力を持たない者たちは天使に手が出せなかった。天使の数に比べ、空にいる敵を攻撃できる者はあまりにも少なくこのままでは被害が大きくなるおそれがある。空を飛べない者は天使の凶行を、指を咥えて我慢していなければならないのだろうか。そう依頼を受けた者たちがそう思っていた時、思わぬ事が起きた。突如駅前に突風が吹き荒れ、竜巻が発生したのだ。それは小規模ながら強力な真空の渦となり天使たちを巻き込んだ。
「天使だか何だか知らないけど、人を傷つけるのは許さないわ!」
 竜巻に巻き上げられる天使たちを見つめながら、一人の少女がそう言い放った。赤い瞳を持ったまだ高校生くらいの少女だ。彼女が竜巻を起こしたのだろうか。吹き飛ばされた天使たちはキリモミ状態で落下し地上に叩きつけられた。
「貴女たち何者なの?どうして人を傷つけるの?」
 指を突きつけながら問い質す、少女氷無月亜衣。女子高校生でありながら魔女である祖母に魔法を指導された彼女は精霊を使役することができる。本当は竜巻を起こした上で大地の精霊に命じて動きを束縛したかったところなのだが、生憎駅前の地面はほとんどがコンクリートで大地の精霊を力を用いることはできなかった。
「私たちは天使。神の教えを伝えるもの」
「嘘をおっしゃい!本物の天使がこんなことするはずがないわ!」
 氷無月はこの者たちが本物の天使では無いと思っていた。瞼を閉じ、魔力を集中し天使の力の源を調べてみる。もしかしたら彼女達は人工的に作られたものかもしれない。そう彼女は思っていた。だが・・・。
「な、なんで崩れていっちゃうの!?」
 氷無月の目の前で次々と塩の塊になって崩れていってしまう天使たち。彼女たちが何者であるのか調べる間もなく崩れ去っていってしまう。一体これはどうしたことなのだろうか。
「お〜ほっほっほっほっほ!」 
呆然となってその光景を見つめる彼女の耳に、高笑いが聞こえてきたのは丁度その時だった。

 過度な露出度を誇る、きわどい黒のボンテージに身を包んだ女性が天使たちに鞭を振るっていた。豊満な体つきに、薄い茶色のウェーブのかかった髪。やや切れ長の目の、きつそうな顔をした美人だ。その顔には妖艶な笑みが浮かんでいる。
「私、人に命令されるのが嫌いなのよ。「神の教えを守りなさい」なんて曖昧なモノ守れなんて、
素敵な事言ってくれるじゃない」
 ビシィィィィィ!
 服と同じく漆黒の皮製の鞭が天使の身体に打ち込まれる。
「ああん、そこぅ・・・」
 妙に感じ入っている天使。かなり危ない世界がそこに出来上がっていた。
「女王様とお呼び!」
「あ、ああ、女王様・・・」
 ヒールでグリグリと天使の身体を見つける彼女。まるでSMの女王様のような彼女こそ、知るひとぞ知る著名人御用達のSMクラブでトップを務める「カナ」こと湖影華那である。
「さぁ、答えなさい。一体何が目的でこんなことをしたの?」
 ビシィ!
 腰のあたりに入る鞭の一撃。
「そ、それはぁ、神のぉ、教えをぉ、伝えるためでぇ・・・」
 はぁはぁと息を切らしながら天使はそう答える。身体が熱くなり恍惚感に浸っている。
「そんなことは分かっているのよ。あたしが聞きたいのはあんたたちの本当の狙いよ」
 ジュッ。
 どこから取り出したのか火のついたロウソクを天使にかざし、そのとけたロウを身体に落とす湖影。
「あ!熱い・・・。でも、気持ちいぃ・・・。最高・・・」
 完全に感じ入った天使はそのまま塩の塊になる。
「あらあら、もうイっちゃったの?早いわねぇ。でもまぁいいわ。他にもいるんだし」
 湖影が視線を向ける先には、地べたに叩きつけられた天使が何体も倒れ伏している。
 ビシィィィィ!
 地面を鞭で打ち付けると、湖影は満面の笑顔で天使たちに向かっていく。
「さ〜て、楽しませてもらおうかしら。天使さんたち♪」
 サディスティックな情熱に身を焦がしながら、女王様は哀れな子羊たちに鞭を入れていく。

<少年少女>>

「うわ、すげー、天使ってホントに居たんだー・・・」
「うわ〜本物の天使様です」
 白い翼を生やした天使を実際に目にして、少年少女たちは感嘆の声を上げていた。
「でもどうして天使なんか現われたんだろうな?」
「さぁ・・・。どうしてでしょう?・・・はっ、ま、まさか!?」
「ど、どうしたんだ!何か思いあたるフシでもあるのか、雛ちゃん?」
 雛と呼ばれた少女が驚愕の表情になったのを見て、同じく驚愕の表情で問う少年。
「夜のお祈りさぼってる事でお怒りだとか!?それとも…もしかして朝礼の時間に居眠りしちゃった事がお見通しとか!?」
 小柄な高校生篁雛は、現在ミッション系の学校に通っている。そこではキリスト教の教えに基づいた教育が行われており、朝夕には神に感謝する祈りを捧げることになっている。彼女はこの頃それをサボっていた。
「いや、それでこんなことをするかな・・・」
 同じく高校生の九夏珪はいささか呆れた感じでそうつぶやいた。。確かにそんなことでこれだけの人々に八つ当たりするとしたら相当暇な連中である。というか、お祈り忘れで報復されていたら、今ごろ日本は壊滅している。
「と、とにかく、今は他の人を助けるのが先決ですよね。天使様が争いごとはいけませ〜んっ!」
 空に今だ残っている天使たちに篁はそう呼びかけた。
「天使様は何故地上にいらしたんですか?」
「神の御許へ貴女たちを導くためです」
「何が導くだ!?問答無用で攻撃仕掛けるのがアンタ等のやり方なのか!」
 九夏は激昂して叫んだ。天使たちが導きと言って行っていることは単なる無差別殺人である。
「人は罪を犯しすぎました。神はそれを憂い貴女がたを救おうとなさっていらっしゃるのです」
「確かに人間は汚い所もあるし、愚かな行動も多い。だけどな、アンタらのやり口はそんなもんじゃないだろ!?それに救いだなんて、こっちは頼んでねぇんだよ!余計なお節介だ」
「もはやお話することはありません」
 問答無用で光の矢をつがえる天使。
「駄目ですよぉ。人間って繊細なんですから見守って下さらないと・・・巻き込んじゃいけません」
「さようなら、人の子よ」
 容赦なく天使は光の矢は放った。それは一条の閃光となり篁の胸を貫くかと思われた。
「雛ちゃん!」
(危ねぇ!)
 突然篁の横から一人の男が現われたかと思うと、彼女を突き飛ばした。
「んきゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
 派手な悲鳴を上げて道路に突き飛ばされる篁。光の矢は虚しく虚空を貫いた。地面にキスをする羽目にはなったが・・・。
「もう、何すんのよ夜刀!」
 自分を突き飛ばした青年にくってかかる彼女。篁の家に代々使える鬼、夜刀である。代々という割にはTシャツにハーフパンツと現代風な格好ではあるが、まぁ、それは本人(?)の趣味であろう。
(仕方ねぇだろ!ああしなきゃ避けられなかったんだからよ)
「うん、俺もヤティンの言うとおりだと思うぜ」
(そうそう・・・って、てめぇ、また俺の事をヤティンと呼びやがったな!)
「お、気に入ってくれたかヤティン!)
(気に入る訳ねぇだろ!それに雛にそれ異常近づくんじゃねぇ!)
「ああもう、夜刀ったら何馬鹿言ってんのよ」
 三人はめいめいにああでもない、こうでもないといつものモードに入り始めた。完全に無視されている天使に怒りマークが現われたどうかは分からないが、三人が話し込んでいるのを絶好の機会と見たのか、また光の矢をつがえる。その時。
「いや〜、いましたね天使さん。いえそっくりさんと言うべきでしょうか」
 にこやかな笑顔をした青年が天使の後ろに立っていた。

<魔王降臨>

 その青年はにこやかな笑顔のまま天使の頭を鷲づかみにする。
「僕は、女子供や天使でも容赦しませんから」
 それをそのまま軽々と持ち上げると、ビルの壁の方向に引っ張っていく。いくら天使が普通の人間より華奢そうに見えても、人間サイズのそれを持ち上げて移動することなど不可能であろう。しかも片手で。天使はもがいて何とかその手の拘束から抜け出そうとするが、万力で締め上げられているかのごとく抜け出すことはできない。漆黒の服を纏ったその男は、天使をコンクリートの壁まで持ってくると、力まかせにそれを叩きつけた。
 グワシャァァァ!
 物凄い破壊音と共にコンクリート壁に亀裂が入り、天使がめり込む。
「貴女達は何者なんですか?自称神様という人は、何処にいるんですか?」
「私・・・たちは天使・・・。神の・・・の教えを・・・伝える者・・・。神は天・・・に」
 グシャアア!
 男は天使の答えを最後まで聞かずに、その白い翼を付け根からもぎ取った。
「僕が聞きたいのはそんなどうでもいい答えではないんですよ。もっと根本的な・・・おや?」
 天使は彼の問いを聞くまでなく白い塩の柱となって崩れ去った。
「塩の塊に・・・。まぁ、いいでしょう。他にも代わりはいっぱいいますし」
 そう言って彼、桜井翔が目をやった先には先ほどの竜巻に巻き込まれ、地上に叩き付けれたままの天使たちがかなりの数存在している。
「貴女達は天使なんかじゃありません。外見が似ていても中身は違います。それに僕は、本物の天使を知ってますから」
 心の中の天使を思い浮かべる桜井。彼女はこんなうわべだけの代物とは違う。真の慈愛の心をもった天使なのだ。普段はその天使の事を気遣って本性を表さないようにしているが、今回はその彼女がいないため思う存分力を振るうことができる。彼は眼鏡を外すと至上の笑みを浮かべた。それは魔王の嗤いともよべる、にこやかな、だが、コキュートスの氷地獄のような冷たさを持つものだった。
「さて、どれだけ楽しませてくれることやら・・・」

<報道規制>

 さて、賢明なる読者の方は既にお気づきであろうが、これだけの戦闘が行われているというのにマスコミや警察の姿が駅前にまったく現われていない。本来ならば都心の昼日中にこんな事件が起きた時点でマスコミなどが殺到していてもおかしくないはずだ。ましてや、竜巻が起きたり、天使を拷問する者たちがそこかしこに見え、格好の特タネのはずなのに、報道者はおろか記者の姿すら見えない。危険だからというのであればヘリコプターということも考えられるが、それすらも一機も見えない。これは一体どうしてあろうか。それは一人の青年の手によって行われていた事のためだった。
「爺、報道管制の方はどうか?」
「はい、既に総理官邸の方にその旨連絡がいたしまして、総理の命令でこの駅前一帯を自衛隊で封鎖したとのことでございます」
 黒い髪を後ろで束ねた青年の問いに、タキシードを着た執事らしき人物がそう答えた。
「一般の人々はどうした?怪我人などは無事か?」
「それに関しましては自衛隊と警察の方たちが救助に当たっております。我らの方からも医師を派遣して近くの病院などで協力させております。それほど死人は多くございませんので騒ぎは最小限に押さえられたかと思います」
「そうか・・・。ご苦労。後は私が片付ける。お前も安全なところに避難していろ」
「はい。お気をつけて若」
 老執事は青年に恭しく頭を下げると、静かに去っていった。残されたのは若と呼ばれた青年だけである。彼の名は宮小路皇騎という。涼やかな顔が印象的な大学生といった風貌の持ち主だが、実は彼は関西で絶大な財力を誇る財閥の御曹司であったりする。財閥ともなれば当然政界との繋がりもあるわけで、総理や有力な代議士にホットラインで連絡をとり、今回の事件はテロリストの反抗であり、報道管制をしくよう要請したのだ。それが功を奏し今のところ、この天使騒ぎがこれ以上広まる怖れは無いようだ。
「さて、今回のこの事件の目的や理由を聞き出したいところだが・・・」
 他に情報収集を行った者の話では、現在のところ、普通の天使から有力な情報は聞き出せていないようである。神の意思に従って行われているということくらいしか話さないようである。
「雑魚を構っていても仕方が無い。どこかに天使たちを率いている者がいるはず・・・。うん?」
 宮小路は自分の視線の先に、他の天使たちとは明らかに違う鎧と剣をもった天使が空を飛んでいるのを確認した。
「あれがボスか・・・。ならば」
 宮小路は印を切ると呪いを紡ぎ始める。
「仏法の守護者にして武を司りし偉大なる神不動明王。我は願う。汝の持ちし糸を我が手に顕現せしめよ」
 宮小路家は財閥としての表の顔と、陰陽師である裏の顔を併せ持つ。この宮小路家では、他の陰陽の流派に伝わっていない特殊な術が存在する。それが武器召喚の術である。伝説に中に存在する神々の武器。それを擬似的にではあるが同じような性能のものと召喚することができる術。彼はこれを用いて不動明王の力がこもった武器『羂索』を召喚した。
「『羂索』よ。かの者を捕らえ、戒めよ」
 召喚者の意思に従い、『羂索』は空に伸びると、彼の存在に気付いていない鎧を纏った大天使に絡みついた。
「な、なんだ!これは」
 慌てふためく大天使。だが、その拘束を破ることはできない。擬似的とはいえ、仏法の守護者である不動明王の拘束からただの天使が逃れることはできはしないだろう。天使を押さえつけると、宮小路は問い質した。
「さて、聞かせてもらいましょうか?どんな理由で人々を襲ったのか?」
「神がお決めになったことだ。人は救うことの出来ぬ存在だと。我々はそれをセラフから聞かされ行動をしている。人の子よ裁きの時は必ず訪れるぞ」
「セラフ?なるほどそれが今回の事件の黒幕ですか」
 宮小路は大天使の言葉の中にあったセラフという言葉について考えてみた。セラフとはセラフィムとも呼ばれる最上級の天使のことである。その力は絶大で、神すらセラフィムに頼る時があるという。ならばこれはやはり神によっておこされたことなのだろうか。そうだとすればこの大天使が言うとおり、これで事件が終るとは思えない。宮小路の胸に一抹の不安が生じるのあった。 

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0461/宮小路・皇騎/男/20/大学生(財閥御曹司・陰陽師)
    (みやこうじ・こうき)
0046/松浦・絵里佳/女/15/学生
    (まつうら・えりか)
0258/秋津・遼/女/567/何でも屋
    (あきつ・りょう)
0490/湖影・華那/女/23/S○クラブの女王様
    (こかげ・かな)
0368/氷無月・亜衣/女/17/魔女(高校生)
    (ひなづき・あい)
0461/桜井・翔/男/19/医大生&時々草間興信所へ手伝いにくる
    (さくらい・しょう)
0183/九夏・珪/男/18/高校生(陰陽師)
    (くが・けい)
0436/篁・雛 /女/18/高校生(拝み屋修行中)
    (たかむら・ひな)

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■         ライター通信          ■
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 大変お待たせいたしました。
 天使システム〜天使降臨〜後編をお届けいたします。
 今回は14人ものお客様にご利用いただけました。誠に有難うございます。先日出されているもう一つの依頼結果もご覧になられると、より詳しく今回の依頼が見えてくるのではないでしょうか?
 天使たちがどうしてこのような凶行に及んだのか。セラフの狙いとは。謎を残したまま事件は続きます。
 今回の依頼は、敵の情報を聞き出し、町の人々も救出できたので大成功と言えます。
 おめでとうございます!
 この作品に関するご意見、ご感想、ご要望、ご不満などございましたらお気軽にテラコンより私信を頂戴できればと思います。
 それではまた別の依頼でお目にかかれることを祈って・・・。