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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


<謎の病気>

●依頼
 それは突然だった。その日は、デビュー曲の、ギャラクシーオブ
レボリューショナリーでミリオンセラーを記録したバンド、フレイ
ムバーズのライブだった。そのメンバーの一人、紅一点のエレンが
倒れたのだ。
「大丈夫かラビアン・エンジェル!!」
 メンバーの一人、慶介がそう声をかけたが、返事は無かった。
「そんな馬鹿な!この名前を言われても何も言ってこないとは!狸
寝入りではないようだな・・・」
 慶介がそんなことをやっていると、バンドのリーダーの正冶がや
ってきた。
「エレンの様子はどうだ?」
「駄目だ!目を覚まさない!これには、女の子に手を出すのをやめ
ろという俺へのメッセージが!?」
「ない」
 正冶は、冷静にそう言い放った。そして、客をなだめる為に一人
で歌っていたカケルを呼んだ。
「どうした?エレンは大丈夫なのか?」
「目を覚まさないようだ。今日のライブはエレン抜きでやる」
 何か言いたげなカケルを黙らせて、正冶はステージに向かった。

「ライブは終わったが、エレンは目を覚ます気配も無いな」
 カケルはどうしたら良いんだと言いながら、正冶を見た。
「奇怪なことだ。専門家に任せるしかないな」
 そう言いながら、正冶はゴーストネットOFFに書き込みをした。

●集合
「寝ていて起きないお嬢さん?大丈夫。僕に任せてよ♪」
 そう言いながら、水野想司がエレンの脇腹に手を置いた。
「ハアッ!」
 そして、一撃を食らわそうとした所を佐藤シロに止められた。
「ニャァ!」
 シロが威嚇するように唸ると、想司が笑いながら答えた。
「猫には分からないかな?強い意志があれば、きっと目覚めるはず
だよ♪このままでは死んでしまうなら、これが一番言い方法だと思
わない?」
 想司の理屈に、シロはあきれた顔をした。
「いくらなんでも無理な話ですよ」
 高橋敦子が、シロを抱きながらそう言った。
「そうだよバンビちゃん。女の子がそんなはしたないまねをするも
んじゃないよ」
 慶介がそう言うと、カケルが不思議な目で慶介を見つめた。
「お前、誰に言ってるんだ?」
「誰ってここにいるお嬢ちゃんだが?」
 慶介の言葉を聞くないなや、カケルはあきれたようにしたように
口をはさんだ。
「そいつは男だぞ」
「何ーーーーー!!」
 それを聞いた慶介は、その場で固まってしまった。
「まったく、ついには男にも手を出すようになったか」
 そう言ったのは、フレイムバーズのリーダー、正冶だった。
「あなたたちが依頼を受けてくださった人たちですね。まずはあり
がとうございます。私はフレイムバーズのリーダー、正冶と言う者
です。見ての通り、メンバーのエレンが謎の病気で寝込んでいるの
です。急ぎで恐縮ですが、原因の追求をお願いしたい」
「何か思い当たる事はないんですか?」
 敦子がそう聞くと、正冶は首を横に振った。
「いえ、心当たりがあれば、自分で行動しています。原因がまった
く分からないのです」
 腑に落ちない顔で、敦子がしぶしぶ納得した。
「それでは各自お願いします。必要があれば、我々のメンバーも行
動をともにします。何か手がかりが分かり次第、ここに戻ってくる
と言う事で」

●高橋敦子
「あなた達はどうやってグループになったんですか?」
 敦子がバンドのメンバーにそう尋ねた。
「私が3人をスカウトしました。カケルと慶介は前々からの友
人同士だったみたいです。エレンについては、それ以後です。」
 正冶がそう答えると、敦子はさらに質問を続けた。
「その3人、過去の人間関係などは分かりますか?」
「いえ、それは本人達に聞いてみないことには。カケルに聞いてみ
ましょうか?」
「それは後で自分で聞いてみます。エレンさんの方は?」
「分かりません。エレンは過去の事を話したがらないので」
 ある程度の質問をすると、今度はカケルのいる部屋に向かった。

「I call your wave この月の下の中でぇ」
 部屋に向かう途中で、カケルの歌声が聞こえてきた。
「YEAH---!」
「ゥワァァァァァ」
 敦子が部屋に入ると、歌は丁度終わるところだった。
「素敵な歌ですね」
 声をかけたが、カケルは少し横目で見ただけで、すぐにまたギタ
ーを弾き出した。
「少し聞きたいことがあるんですけど、良いですか?」
「それはエレンに関係のあることか?」
 カケルの言葉に、敦子が頷いた。
「あなたと慶介さんの、バンドのグループになる前の人間関係につ
いて聞きたいんですけど」
「俺はずっと孤児院でギターを弾いてただけだ。慶介は孤児院の隣
の家に住んでいた。毎日のように慶介が俺の歌を聞きに来てて、い
つのまにかつるむようになった。それだけだ」
「エレンさんは?」
「知らねぇよ。たしか、お嬢様学校に行ってたって話だけどな」
 満足な内容を受けられなかったため、敦子は少し落胆した。
「終わったらさっさと出てってくれ。俺は忙しいんでな」
 そう言ってカケルがギターを手に取った。そのギターを、敦子は
どこかで見た事があると感じた。
「その炎の形のギター、素敵ですね。同じようなものをどこかで見
たような気がするんですけど・・・」
「これは孤児院に居る時に、神父さんが買ってくれた物だ。店に売
ってた物だから、他にもあるんじゃないのか?」
 それもそうかと思い、部屋を出ようとした時、シロの首輪に仕掛
けた盗聴器から、重大な事実が聞こえてきた。
「カケルさん!そのギターを貸してください!」
 カケルの返事も待たずに、敦子はカケルのギターを手に取った。

●真実
「結局何も分からなかったね」
 想司が慶介に声をかけた。慶介は深々と溜息をついた。
「お前が話をややこしくするからだろうが・・・」
「何言ってるのさ、慶介君が僕に手を出そうとするから悪いんじゃ
ないか。それに、しのぶにまで。ちょっと節操なさすぎるよ」
「まさかあの子が中学生だったとは・・・。今日は厄日だ」
 そんなことを話していると、正冶が声をかけてきた。
「何かわかったのか?」
「慶介君が変体だと言う事は分かったよ」
「それは良く分かっている。事件の事については?」
「おいおい!分かっているって何だよ!」
 慶介の否定は誰も聞いてはいなかった。実際、慶介が足を引っ張
ったため、何も分からなかったと言っても過言ではなかった。
「真相がわかりました」
 敦子がそう言うと、そこにいた全員が振り返った。
「既に事件は解決済みです。エレンさん、こちらに・・・」
 そこには、多少顔色の良くなったエレンがいた。
「みんな!心配かけてごめんね!」
「おお!治ったのかラビアン・エンジェル!!」
 慶介の言葉を聞き、エレンは蹴りを食らわした。
「ラビアン・エンジェルゆーな!」
「この蹴り・・・このやかましさ・・・間違いなくいつものエレン
だ・・・」
 そう言いながら、慶介はその場に倒れた。この後、さらに不名誉
な噂が流れたのは言うまでも無い。
「取りあえず良かった。しかし、原因はなんだったんですか?」
 正冶が聞くと、敦子はシロを抱き寄せた。
「私は最初、この事件は人間関係のトラブルが原因だと思いました。
それで、みなさんにその事で問題が無かったかを聞いて回ったんで
す。それで、カケルさんとエレンさんに共通するトラブルがあった
んです」
「カケルくんとエレンちゃんに共通するトラブル?それって何?」
 想司がそう聞くと、敦子は続けて話した。
「エレンさんは学生時代に、不良風の女性にからまれた事があった
んです。その時、その子はあやまって自分で硫酸をかぶってしまっ
たと言う事らしいです。その日の夜に、エレンさんは今回と同じよ
うな状況になってしまいました」
「なるほど。それでは、その女性の私怨が原因だったんですね。し
かし、それにカケルが関係あるのですか?」
「どうやら、俺のこのギターが関係あったらしい」
 正冶の質問に、カケルが答えた。
「カケルさんのギターは、カケルさんが孤児院にいるときに、そこ
の神父さんに買って貰った物、そして、それはエレンさんにからん
だ女性の父親の物だったんです」
 その言葉に、想司が反応した。
「それじゃあ、その神父さんが盗んだの?」
「違います。私は、その子がいたずらで持ち出して、なくしたのだ
と推測します。それで、カケルさんがテレビに映っているのを見た
んでしょう。それで、エレンさんに呪いをかけて取り戻そうとした
んでしょうね」
「ちょっと待ってよ。どうしてエレンちゃんなの?それならカケル
君が狙われるんじゃないの?」
「それは簡単です。カケルさんに呪いをかけたくても、その材料が
無いからです。エレンさんなら、一度呪いをかけたのですから、何
か持ってるでしょう」
「なるほど。取りあえず、バンドとしての機能を止めてから、回収
にあたろうと言う事ですか」
「恐らくは。エレンさんには、白魔術をかけておきました。即効性
はありませんが、時期に良くなるでしょう」
 敦子は、微笑みながらそう言った。
「ありがとうございます。これでもう大丈夫でしょうか?」
「ええ、いざという時のために、呪い返しもしかけておきましたか
ら。今ごろは・・・」
 その言葉を聞いて、正冶は苦笑いを浮かべた。
「敦子さん、ありがとうございます!おかげで助かりました!」
 エレンが元気良くお礼を言った。敦子は、微笑で返事をした。
「でも、どうして私の学校での話を知ってるんですか?」
「え?い、いえ、それは企業秘密ということで・・・」
 エレンは納得は出来なかったが、それ以上の追求はしなかった。
さすがの敦子も、シロの首輪に盗聴器をしかけてあったとは言えな
かった。

 その後、3人はエレンが元気になった頃に、ライブに招待された。
それは夜中まで続いた。ちなみに、慶介はネットで様々な噂を書か
れてしまい、しばらくは女の子が寄りつかなかった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 
 【0404/佐藤シロ/女/3/飼い猫】
 【0424/水野想司/男/14/吸血鬼ハンター】
 【0482/高橋敦子/女/52/会社社長】

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■         ライター通信          ■
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 初めまして、白峰です。
 今回は無事に解決しましたおめでとうございます。
 描写などで気に入らない部分があれば、遠慮なくどうぞ。
 ではよになに・・・。