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鏡の中のアクトレス【完結編】
●オープニング【0】
LAST TIME 『鏡の中のアクトレス』――。
3年前に失踪した女優・麻生加奈子(あそう・かなこ)が写っていた3年前と今年の写真。どちらも全く違う場所で撮影されたのに、何故か鏡の中に加奈子が写っていた。
それを発端に、加奈子の失踪について調べ始めることとなった一同。
ある者は当時の関係者に失踪直前の加奈子のことを尋ねて回る。またある者は加奈子が失踪したと思われる場所へ出向き、直接に加奈子を探し出す。手段こそ違うが、その目的はほぼ同じ。
やがて『あぶれる刑事』を監督していた内海良司(うつみ・りょうじ)の元に、加奈子発見の報が。だがしかし、探し出された加奈子は女性・麻生加奈子であって、女優・麻生加奈子ではなかった。加奈子の記憶は何故だか失われているようだった。
加奈子はもう一生このままなのだろうか。それとも他に手段があるのか?
謎はまだ全て解けてはいなかった――。
●事情説明【3A】
喫茶店『スノーミスト』。加奈子が見つかった翌日の朝、2人の女性が一番奥のテーブルを陣取っていた。
「……という訳なんです」
加奈子救出までの経緯を、一部始終伝えたのは寒河江深雪。深雪はお天気レポーターを務めている朝の情報番組を終え、飛ぶようにしてこの約束の場所へやって来ていた。
「鏡の世界から、ねえ。こっちが調べてた裏でそんな動きがあったなんてね」
そう言ってシュライン・エマはまだ温もりの残る珈琲に口をつけた。そりゃ3年もの間、加奈子が見つからなかったはずだ。鏡の世界に居るだなんて、普通は誰も思わない。
「あの様子じゃあ、加奈子さん2人に割れたとしか思えませんよね」
事務所での加奈子の様子を思い返す深雪。自分の名前こそ把握しているようだが、言葉も喋らず関係者の顔も分からない。ただにこにことしているばかり。肝心な部分が抜け落ちているのは誰の目にも明らかだった。
「同感だわ」
シュラインが頷いた。
「それで、どうする気?」
「私……内海さんに、『あぶれる刑事』の新シリーズのオーディションを開いてもらえるようにお願いしてこようかと思っています」
深雪はシュラインに自らの考えを話した。オーディションに隠れている別の目的と共に。
「分かったわ。女優人格の説得は監督に任せるの?」
シュラインの言葉に深雪が頷く。
「……そうね。監督の彼女に対しての熱意は変わらないみたいだし」
2人は昨日の内海の様子を思い返していた。あの後も、内海は何とか自分や事務所社長のことを思い出させようと努力していたのだ。
「とすると、問題はこっちね」
こっち――見つかった加奈子のことだ。いわゆる女優人格の方が、この加奈子のことをどう思っているかはまるで分からなかった。
「どうしましょうか……」
「こっちは私に任せておいて。ともあれ、そっちが上手くいかないとどうにもならないんだから」
心配そうにつぶやく深雪に対し、シュラインがきっぱりと言った。
●呼びかけ【5】
シュラインは深雪と別れた後、どうしても外せなかった用事を済まし、夕方に加奈子の所属事務所『タピオン企画』を訪れていた。目的は加奈子に会って話をするためである。
シュラインが事務所を訪れると、運良く加奈子が事務所に居た。事務所の社長曰く、先程まで内海に連れられて『魔法少女バニライム』の撮影スタジオに居たのだという。
「何か思い出したんですか?」
そう問うシュラインに対し、社長は首を横に振った。
「いいえ。思い出しはしなかったけれども……一仕事こなしてきたそうです」
「はい?」
聞き返すシュライン。何でも『バニライム』の1シーンに出演して、台本以上の演技をやってきたのだとか。
(完全に忘れてはいないのかも……)
その話を聞いて、シュラインは少し希望を持った。
シュラインが事務所を訪れて少しすると、社長は用事があると言って出かけていった。その間はシュラインに、加奈子のことを頼むと言い残して。
加奈子は白猫とじゃれあっていた。床に四つん這いになって、楽しそうに白猫を追いかける加奈子。白猫は加奈子がテーブルや本棚等にぶつからぬよう、上手く逃げ回っていた。
シュラインはそんな加奈子を見ていて、何とも言えない気持ちになった。本人にとってはある意味幸せなのしれないが、このままでいいとは決して思えなかった。
「ねえ。聞こえてるかどうか分からないけど……」
シュラインは白猫を追いかけている加奈子に対して言葉を、自分の想いを投げかけた。
「……女優としての加奈子はただの加奈子を土壌とし、熟成して育ったの。反発することもギャップに苦しむこともない、加奈子さん自身の経験が形になっただけのモノなのよ? 離してしまわないで、もっと育て、そしてまた別の役だってその土壌で育てられるんだから……受け入れること拒否しないで……」
心のどこかへ届くことを願いつつ、シュラインはそんな呼びかけを行っていた。シュラインの言葉に気付いた加奈子は、ぴたっと動きを止めて不思議そうにシュラインを見つめていた。
(……無理だったかな)
そんなことをシュラインが考えていると、加奈子はにこーっと少女のような笑みを浮かべ、大きくこくんと頷いた。
「!」
その仕草を見て、シュラインは一瞬どきっとした。こちらの言葉を分かっているのか、それとも無意識なのか……。
やがて戻ってきた社長からシュラインはあることを聞いた。何でも明日、内海が加奈子を当時のロケ現場へ連れてゆくつもりらしい。
それを聞くとシュラインは即座に同行許可を取り付けた。人のよさそうな社長は、それなら自分の代わりに加奈子についていってほしいとシュラインに託した。
●呼び出された理由【6】
加奈子が発見されてから2日。内海に呼び出された関係者たちが、とある洋館へ集っていた。もちろん『あぶれる刑事』最終回の撮影場所である。
「あ、鏡がある」
部屋に入るなり卯月智哉がつぶやいた。先日はなかったはずのもう1枚の鏡が、以前からある年代物の鏡と向かい合うようにして壁にかけられていたのだ。
「ここの物置に保管されてたんだよ。内海さんと一緒に引っ張り出してきて」
そう言ったのはこの鏡の在り処を探していた御堂まどかだった。まどかは一足早く内海に呼び出され、鏡を出すのを手伝わされていたのだ。
部屋の中では加奈子が白猫・佐藤シロを無邪気に追い回していた。シロの飼い主であるエルトゥール・茉莉菜はその様子を黙って見つめていた。
「子供だねえ」
同じく加奈子の様子をサングラス越しに見ていたサイデル・ウェルヴァは、呆れたようにそうつぶやいた。
「おや、あなたは『魔法少女バニライム』の……」
近くに居た神無月征司郎が、サイデルの素性に気付き声をかけた。
「おや、知ってるのかい。あたしも随分有名になったもんだねえ」
ニッと笑みを浮かべるサイデル。サイデルは『バニライム』で敵の女幹部・逆位置の女教皇という役を演じている女優だ。さて、女優であるサイデルがここに居るということは……?
「……あれよね?」
「あれです……」
部屋の隅でシュライン・エマと寒河江深雪がこそこそと会話を交わしていた。2人には何の目的で内海がここへ関係者たちを呼び寄せたのか気付いていた。
「監督、いつまで待たせる気だい。とっとと始めようじゃないか、オーディションをさ」
内海に向かってサイデルがそう言い放った。「オーディション……ですか?」
きょとんとした表情――それでも笑みを浮かべているように見えるのだが――で征司郎が言った。
(へえ、そういうことか)
智哉はとりあえず成り行きを見守ることにした。
「そうだな、始めよう。今から行うのはオーディションだ。といっても『あぶれる刑事』じゃない。俺が今進めている独自企画のオーディションだ。一応ジャンルは刑事ものということになるだろう」
内海はそこまで話すと一旦言葉を切り、加奈子とサイデルの顔を交互に見た。
「女刑事が主人公ということもあって、候補はこの2人に絞らせてもらった。加奈子と……サイデル君だ」
視線が加奈子とサイデルに集まった。加奈子はようやくシロを捕まえた所だった。
「オーディションの題材は『あぶれる刑事』の1シーン。2人にはマナミ役を演じてもらう。最終回、この部屋で撮影したシーンだが……マナミの台詞は完全アドリブでやってもらおう」
それを聞いて簡単だと言いたげに、鼻で笑うサイデル。
「アドリブかい。確かに好きなドラマだったし、あの手のは十八番だからすぐだけどねえ」
サイデルはちらりと加奈子を見た。普段のサイデルなら、今の加奈子の姿だけを見たら無益だと判断して帰っていただろう。しかし『バニライム』の現場での加奈子をも見ていたから話は違った。
(茶番に付き合うのも悪かないね……)
向こうが何もできなければそれまでの話だ、サイデルはそう考えていた。
「一応ここに台本はあるが……」
当時の『あぶれる刑事』最終回の台本を手に内海が喋っている時、不意にまどかが何かに気付いた。
「あれっ。あの鏡……」
まどかが物置から出してきた鏡を指差した。前に誰も立っていないのに、うっすらと何かが写っている。それは次第に大きくはっきりとしてきた。
「加奈子さん!」
深雪がはっと息を飲んだ。鏡には加奈子の姿が写し出されていたのだ――。
●行く者、残る者【7】
シロを抱えた加奈子はもちろん鏡の前には居ない。例え何か角度の関係で写っていたとしても、鏡の中の加奈子は今ここに居る加奈子であるはずがなかった。何故なら鏡の方にはシロが居ないのだから。
「どうやら呼び出されたようだね」
1歩前へ進み出る智哉。鏡を当時の状態に戻し、その前でドラマの再現をすれば何か起こるのではないかと考えていたのだが、それが見事に適中していた。
「あっ、消えていく……!」
叫ぶ深雪。鏡の中の加奈子はすうっとその姿を消した。
「消えてないよ。きっと奥に引っ込んだだけさ」
智哉は加奈子の方へ歩いてゆき、1輪の緑色をした花を差し出した。『ワスレナグサ』の花であった。
「キミを迎えに行くから、内海さんと一緒に待っていて」
智哉の言葉に、別に他意はない。その通りだからそう言ったまでのことだ。
「鏡の世界に入りたいヒト……他に居る?」
鏡のそばへ行き、智哉がぐるりと皆の顔を見回した。
「わたくしも行きますわ。会うことさえできれば、戻るように説得する自信はあります」
すっと右手を上げる茉莉菜。続いてシュラインも左手を上げた。
「私も。2人だけで行かせるのはあれだしね」
同行を申し出たのはこの2人だけだった。智哉は2人に緑色の種を飲ませると、鏡に手を触れた。するとまるで水の中へ手を入れたかのように、すうっと手が鏡の中へ入り込んでしまった。
「うわっ!」
思いも寄らない光景にまどかが驚きの声を上げた。
「行こう」
するすると鏡の中に全身入り込む智哉。茉莉菜とシュラインもそれに続いた。
3人の姿が消え、しばし無言の状態が続いていた。それを破ったのはサイデルだった。
「……監督。オーディション始めようじゃないか」
「ああ……そうだな」
静かに答える内海。この場に残っている皆が感じていた。向こうができることをやっている間、こちらもできることをやるしかないのだと。
●戻らなくてはいけない【8A】
そこは真っ暗な空間だった。進む前方は何も見えない。後方では進む度に光が小さくなってゆく。地面は綿のようなゴムのような感覚で何とも頼りない。ここが鏡の世界であった。
「……恐らく外に居る麻生さんは、『一人の女性』の側であると同時に『器』なのでしょう」
歩き辛そうにしながら茉莉菜が言った。ローブ様の芝居がかった服は、こういった場所を歩くには向いていないのかもしれない。もっともこんな場所で歩くために着ている訳じゃないのだが。
「早く、まだ残っている『女優』の側であり『中身』である麻生さんを戻さなくては……」
「それはそれとして、無理に人格統合できる方法があったとしても、本人が受け入れなければまた繰り返すかもしれないわけで……うーん」
悩むシュライン。その説得が鍵となることは間違いなかった。
「どこへ行ったかな……」
智哉がきょろきょろと周囲を見回した。見える範囲には何も見当たらない。
「ん?」
シュラインが足を止めた。そして左の方をじっと見つめている。
「今、向こうで声が聞こえたような……」
「ならそっち行ってみようよ」
さらりと智哉は言い、歩く方向を変えた。続く2人。
どのくらい歩いただろうか、シュラインのみならず茉莉菜や智哉の耳にも何やら言い争う声が聞こえてきていた。
「嫌っ! 私は帰るのっ! 戻らなくちゃいけないの!!」
「戻れると思ってるのか? 本当の自分とのギャップに悩んでいたお前がか? はっはっは、そいつは傑作だ! お前は永遠にこの世界に居るんだよ……そして俺の糧になり続けるんだ」
(もう1人……居る?)
茉莉菜が眉をひそめた。話を聞く限りでは友好的だとは到底思えない。
やがて3人の目の前にその声の正体が姿を現した。紅いスーツに身を固めた女性が、まとわりつく青黒い影を必死に振り解こうとしていた。その女性こそ、もう1人の加奈子であった。
「放してよ! どんなに悩んでたって、私は私なんだから! あの人だって待っている……例え女優の私にしか目が行ってなくても!! 私は帰らなきゃいけないのよっ!!」
「この分じゃ、説得なんて必要ないみたいね……」
シュラインがつぶやいた。茉莉菜も同感だった。こんなことになったのは加奈子本人や、追い込んだ周囲にも原因はあるだろうが、少なくとも女優の自分が嫌になっていた訳ではないことは今の言葉で明らかだった。
ならば今必要な行動は――実力行使。得体の知れない青黒い影から、加奈子を引き離して連れて帰らなくてはならない。
「あっ……助けてっ!!」
何とか青黒い影を振り切って、加奈子が3人の方へ逃げてきた。
「むわーてぇーっ!! 逃がすかぁーっ!!!」
青黒い影はその身体を大きく伸ばし、3人目掛けて襲いかかってきた。
「危ないっ!」
反射的に茉莉菜が加奈子の前に立った。茉莉菜の身体を青黒い影が包み込もうとした。すると茉莉菜の胸元が紅く光った。
「ぐっ、ぐわぁぁぁーっ!!」
霧散する青黒い影。はっとして茉莉菜は懐を触った。一昨日シロから受け取ったお守りが懐に入れっぱなしになっていたのだ。
「逃げましょ!」
シュラインが茉莉菜の腕をぐいと引っ張った。加奈子の腕は智哉がつかんでいた。
「出口は向こうだよ。急ごう」
加奈子と共に駆け出す智哉。シュラインと茉莉菜もその後に続く。
「……くっ……おのれぇ……逃がさんぞ、逃がさんぞぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
霧散したはずの青黒い影が再び形を整え、逃げる4人を追い始めた――。
●復活のアクトレス【9】
「何だい?」
サイデルが鏡の方を向いた瞬間、鏡の中から智哉の顔が飛び出してきた。
「麻生さん連れてきたよ!」
鏡の中から飛び下りる智哉。その報告に部屋に残っていた者が色めき立った。
「何だと!」
駆け寄る内海。智哉は鏡の中に手を突っ込んで、別の者の手を引っ張り出した。女性の手だ。
「手伝うよ!」
まどかが駆け寄り、女性を引っ張り出す手伝いを行った。次第に全身が姿を現す。それは紅いスーツに身を固めた女性――もう1人の加奈子だった。
「加奈子!」
内海も加わり、もう1人の加奈子を一気に引っ張り出す。全身が鏡から抜け切ったと同時に、もう1人の加奈子はその姿を消した。
「ああっ!!」
加奈子の叫び声が上がった。見ると加奈子が床の上で昏倒していた。
「おいっ、しっかりしろっ!」
内海は昏倒している加奈子の元へ駆け寄った。その間にも鏡からはシュライン、そして茉莉菜が抜け出してきていた。
「加奈子さんはっ?」
抜け出るなりシュラインはもう1人の加奈子のことを尋ねた。
「抜け出た途端に消えたよ!」
まどかが叫ぶように答えた。その時、部屋に喉の奥から絞り出すような声が響き渡った。
「逃がすくわぁぁぁぁっ!!」
その声は、今4人が抜け出てきた鏡の中から聞こえていた。身構えるサイデル。
「何だい、今の声は……」
「来ますわ!」
茉莉菜が鏡を振り返った。
「見ぃつけたぞぉぉぉぉっ!」
得体の知れぬ青黒い影が鏡の中から姿を現し、茉莉菜に襲いかかろうとした。
「ナーオ!」
茉莉菜を救うべく、シロが青黒い影に飛びかかった。しかしするりと青黒い影を擦り抜け、反対側にそのまま落ちる。その隙に茉莉菜は青黒い影をかわすことができた。
「くっ!」
サイデルが青黒い影に躍りかかった。けれども先程のシロと同様に、するりと擦り抜けてしまった。
「はっはっはぁっ! 無駄だよぉぉぉぉっ!」
嘲笑う青黒い影。床の上に、先程まで加奈子が手にしていた拳銃が転がっていた。
(何とかしなきゃ……)
そう思って深雪が動こうとするより先に、征司郎が動いた。
「サイデルさん、これをっ」
征司郎が拳銃を拾い上げ、サイデルに投げ渡した。サイデルは拳銃を受け取ると、再び青黒い影に躍りかかっていった。
「無駄だよ、無駄だよぉぉぉぉっ!!」
だがサイデルは青黒い影を狙ったのではなかった。その根元――鏡自体を狙っていた。
「うりゃぁぁぁっ!」
サイデルは渾身の力を込めて、拳銃を鏡に叩き付けた。激しい音を立てて鏡が粉々に砕け落ちる。
「ぎゃうがわぁぁぁぁぁっ!!!」
同時に青黒い影が断末魔の叫びを上げ……たちどころにその姿を消した。
しばらくは誰も何も言えなかった。何がなんだか、頭の中の整理が付かなかったのだ。
「……う、ううん……」
昏倒していた加奈子が目を覚ました。
「気付いたか、加奈子……」
内海が加奈子の顔を見つめていた。他の皆も加奈子の言葉を待っていた。
「監督……?」
加奈子がぽつりと言葉を漏らした。そしてゆっくりと上体を起こす。
「……あれ? 最終回の撮りが終わって、それから……?」
やや混乱気味の加奈子。どうやら加奈子の記憶は失踪当時で止まっているようであった。
「…………」
内海はそんな加奈子を無言で抱き締めた。
「えっ、えっ、えっ?」
状況が飲み込めず、困惑している加奈子。だがまんざらでもないらしい。
「止まった時計が…動き出す。ってね」
そんな2人を見ながら、サイデルがぽつりとつぶやいた。
「よくは分かりませんけれど……ハッピーエンドなんですよね」
征司郎が満面の笑みを浮かべて言った。そして新たに珈琲を入れ直し始める。
「ハッピーエンドですよ、やっぱり」
大きく頷く深雪。その瞳には、うっすらと涙が浮かんでいた――。
【鏡の中のアクトレス【完結編】 了】
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【 整理番号 / PC名(読み)
/ 性別 / 年齢 / 職業 】
【 0024 / サイデル・ウェルヴァ(さいでる・うぇるう゛ぁ)
/ 女 / 24 / 女優 】
【 0033 / エルトゥール・茉莉菜(えるとぅーる・まりな)
/ 女 / 26 / 占い師 】
【 0038 / 御堂・まどか(みどう・まどか)
/ 男 / 15 / 学生 】
【 0086 / シュライン・エマ(しゅらいん・えま)
/ 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト 】
【 0174 / 寒河江・深雪(さがえ・みゆき)
/ 女 / 22 / アナウンサー(お天気レポート担当) 】
【 0404 / 佐藤・シロ(さとう・しろ)
/ 女 / 3 / 飼い猫(ペット) 】
【 0489 / 神無月・征司郎(かんなづき・せいしろう)
/ 男 / 26 / 自営業 】
【 0516 / 卯月・智哉(うづき・ともや)
/ 男 / 23? / 古木の精 】
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■ ライター通信 ■
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・『東京怪談ウェブゲーム』へのご参加ありがとうございます。本依頼の担当ライター、高原恵です。
・高原は原則としてPCを名で表記するようにしています。
・各タイトルの後ろには英数字がついていますが、数字は時間軸の流れを、英字が同時間帯別場面を意味します。ですので、1から始まっていなかったり、途中の数字が飛んでいる場合もあります。
・なお、本依頼の文章は(オープニングを除き)全16場面で構成されています。他の参加者の方の文章に目を通す機会がありましたら、本依頼の全体像がより見えてくるかもしれません。
・今回の参加者一覧は整理番号順で固定です。
・お待たせしました、『鏡の中のアクトレス』完結編をお届けします。高原には珍しく、文章が長くなってしまいましたね……。調査編の時点ですでに想定とは違った方向へ進んでいたんですが、終わってみれば完全に違ったなと。何とも不思議ですねえ。
・本文を見ていただければお分かりでしょうが、無事にハッピーエンドで終わりました。やはり皆さんが色々と動いてくださったおかげですね、多謝。この後の内海と加奈子の関係や、『あぶれる刑事』の今後等は今後の依頼の中で触れることもあるかと思います。まあ……悪くはならないことでしょう、きっと。
・恐らく疑問に思われている方も居るかと思うので、1つ。何故3年前と今年だけ写真に写っていたのかという謎にもきちんと答えは用意してありました。勘のいい方ですと、何となく気付かれているんじゃありませんか?
・シュライン・エマさん、10度目のご参加ありがとうございます。加奈子への呼びかけはよかったと思いますよ。ただ、悩みはしていたものの、女優人格を嫌っていたという訳でもなかったのですが……。
・感想等ありましたら、お気軽にテラコン等よりお送りください。
・それでは、また別の依頼でお会いできることを願って。
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