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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


10都市物語「池袋」〜紅砂陣〜前編

<オープニング>

「サンシャインが風化している!?」
 いつものとおり草間興信所に依頼を受けにきていた者の一人が、依頼内容を見て驚きの声を上げた。
「ああ、急にサンシャイン全体が風化し始めて、今にも崩れ落ちそうになっている。そんなはず普通に考えたらあるわけないんだが・・・」
 草間は腕を組んで考え込んだ。
「とにかく危なくて今じゃ誰もサンシャインに入れないそうだ。そこで警察のお偉いさんか依頼が来てな。これの原因を解明してほしいってことらしい。調査室も今は別件で慌しいようだしお前さんたちみたいな連中に頼るしかないそうだ」
「原因解明ってことは中に入れってことか!?」
「そうだ。中は崩れかかっているからあんまり派手な事をするなよ。このままなら後数日はもつそうだが、あんまり強力な衝撃を与えると崩れ落ちかねないそうだ」

(ライターより)

 難易度 難しい

 予定締め切り日 4/16 24:00

 いよいよ10都市シリーズも大詰めを迎えてきました。
 今回の依頼の調査対象はサンシャイン60。警察に話はとおっているので内部に入ることは問題ありません。ただ、草間が行っていたとおり崩れかけているので、広範囲に効果を及ぼす魔法みたいなものは使用しないほうが無難です。内部にはこの劣化を引き起こしている何者かがいます。それを探し倒すこととなるのですが・・・。ただ探して倒すだけでは済みそうにないようです。妨害する者がいるかもしれません。御用心を。
 ちなみにシリーズと言っても私の依頼は一話完結型なので途中参加の方で問題なくご参加いただけます。お気軽にご参加ください。もし余裕がおありなら、過去の私の依頼をご覧になっていただけるとさらに楽しんでいただけるかと思います。 
 それでは皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。 

<チーム分け>

 池袋に建つサンシャイン60。戦後経済復興に燃える日本の象徴の一つであった60階建ての高層建築物。今でこそ60階建てなどそれほど珍しくは無くなったものの、その当時は最先端の技術を用いた最新の建築物であった。しかし今、このサンシャインが風化し始め崩れ落ちようとしている。長年の年月による風化ではない。ここ数日急激に風化し始め、鉄筋コンクリートの壁が砂のように崩れているのだ。この突然の現象に国や様々な分野の学者が動きだしたが、その理由は判別できなかった。一日に数十年単位で物質が風化するなどありえないことだからだ。とにかくこのままではいつサンシャインそのものが崩壊してもおかしくないため、周囲もふくめて半径数キロが立ち入り禁止となってしまっている。この事件で被害を被った人間の数は数千、数万単位でいるであろう。そしてここにその被害を被っている一人の少年がいた。生活費を稼ぐためサンシャインでバイトをしていたのだが、この事件のために止む無く職を失い路頭に迷うこととなってしまった。どうしようもない自然現象ならばまだしも、これは人為的なことであるかもしれない。このような情報を草間興信所で掴んだ彼は、怒りに燃えてサンシャインを睨みつけていた。
「僕の生活費を・・・許さない!」
 人助けということもあるが、八割方は私怨という彼は実はなんちゃって高校生で学校には通っていない。中卒では体裁が悪いので一応高校生兼フリーターをしているのだ。だがこれは真実ではない。彼は以前魔王を間接で倒すという神業的なことをやってのけ(しかもその時若干十四歳!)、魔のものや、退魔を行っているものからダース単位で追われ学業などやっている暇はないのである。たった十四歳の子供が様々な組織に目をつけられていた魔界の重鎮の一人を撃破したという事実は、なんとしてでも彼の力を得るか、もしくは亡き者にしようかというどちらかの答えになるであろう。
「あ、貴方も今回の依頼に参加された人ですよねぇ」
 彼の後ろから場違いなほど明るくのんびりした声がかけられた。振り返ってみてみると、自分と同じ年頃の、片手に薙刀を持った少女が立っていた。
「君は?」
「私は高校生の篁雛って言います。一応拝み屋の見習いなんですけど貴方も高校生さんですか?」
「え、そ、そうだよ。高校生さ・・・。葉守香純っていうんだ。 」
 なんとも歯切れの悪い口調で返答する葉守。自分の正体はなるべく明かしたくはない。何百という存在に付けねらわれているのだから。彼女が退魔組織に属していない可能性は皆無ではない以上、黙っていたほうがいいだろう。
「葉守さんですね。よろしくお願いします」
 ペコリと頭を下げる篁。彼女はというと拝み屋としての修行をかねてこの依頼に参加していた。もっとも、実は前々から気になっている人が参加しているためという理由もあったりするのだが・・・。
 今回の依頼に参加した者たちは総勢十三名。決して少ない人数では無いが、60階建てのサンシャインでエレベーターも使用できない状態、さらにどこに潜んでいるかすらも分からないこの状況を作り出している張本人を探し出してそれを撃破するとなると容易なことではない。長い髪の毛を後ろに束ねた青年は、依頼に参加している者全員にヘッドセットを渡していた。
「これから中に突入するわけですが、これで連絡を密に取り合うことにしましょう。それと二手に分かれて調査したほうがいいと思います。中は広いですから」
 彼は敵の居場所を探り当てるため、ビルの風化状態についてインターネット等を駆使して進行度合いの差について調べておいた。この状態は、何者かが展開している結界系の術の影響であると考え、風化状態の差などから敵の位置を探り当てるのではと試みてみたのだ。その結果、このビルの風化はほぼ全体が均一に進行していることが分かった。勿論中に入るのが危険になってから全室で調査したわけでないが、外の中も一階から最上階に至るまで同じ状態で朽ち、ところどころ砂になりかけている部分もある。残念ながらこの事で敵のいる位置を割り出すことはできなかった。財閥御曹司である宮小路皇騎は仕方がないと諦め、今できることの中でベストな手段を模索していた。そして選んだのが時間稼ぎだった。
「私はここの中心点で敵の術の妨害をしてみようと考えています。これで少しは時間稼ぎができると思いますので、その間に敵を探して下さい」
 チーム分けに関しては知り合い同士が組むということでほとんど問題なく決まった。ただ、外で待つ者や直接探査に当たらない者もいるので、実際は5人、5人と均等に分かれてのチームとなった。外で待つこととなった一人の少女に、中に突入することになった青年がにこやかな笑顔を浮かべて近づいた。
「そんな心配そうな顔をしないでください。大丈夫、無事に戻ってきますから」
「でも・・・」
「貴女はここで敵の位置を調べて僕に教えて下さい。中は危険ですからね。外で待っていてください」
 自分が大怪我を負った時にその傷を治してくれた命の恩人。いや心の天使というべき彼女。例え自分と他の者がどうなろうと彼女だけは危険な目にあわせるわけにはいかない。そう決心して、医大生である桜井翔は、大切な彼女を外で待たせ崩壊間近なサンシャインへと入っていった。

<内部>

 サンシャイン内部は相当に風化が進んでいた。全ての内壁は赤く錆びて朽ちており、元から脆かった部分は既に砂になって崩れ落ち始めている。筋骨隆々のがっしりとした身体を派手なガラのシャツに包んだ男が、その大きな手を柱に当てると、その部分はサラッと砂になって崩れ落ちる。
「やべぇな。相当きてるぜ、こいつは・・・」
 風化の状態を実感して顰めた顔は、しかし尋常のものではなかった。二つの大きな角に口まで避けた大きな口。ぎょろりと見開いた目。まるで物語に出てくるような鬼の顔そのものだが、それもそのはず、彼は般若の面を被っているのである。彼は今回の事件に関して、その裏で糸を引いている者の存在をある程度予想していた。その者には以前刀を作るのを断った際にしつこく脅されたりなんだりと迷惑を掛けられたことがあり、自分の顔が見られると色々と面倒になるので素顔を隠しているのだ。だが、この面を付けているほうがよっぽど目立つのではというのが、依頼を受けた者の大半の意見であったのだが・・・。刀鍛冶の少女遊郷の言葉に、他の者たちも頷き、急がなければならないことを痛感した。もはや一刻の猶予も無い。
「じゃあ、俺達は先に上に行くぞ」
 そう言って別チームの者たちは階段を駆け上がっていった。敵の正確な位置がわからない以上、上と下、双方から地道に調べるしかないだろう。下に残ったチームの中で宮小路は一階のサンシャインの中心から結界を妨害する術の準備を始め、他の者たちはこの一階から調べていくことにした。
「今日は〜。どなたかいませんか〜」
 革のグローブをはめながら桜井は場違いなほど明るい声を上げた。
「そんなこと言って出てくる人、いるわけないじゃないですか・・・」
 葉守はいささか呆れながら辺りを見回した。敵がどこに潜んでいるか分からない以上油断するべきではない。全身神経を張り巡らせて敵の気配を探る。幾多の修羅場を潜り抜けることで自然と身に付いたクセだ。今のところ何も気配は感じられない。だが・・・。
「いるわよ」
「うわっ」
 突然耳元に聞こえた声に葉守は驚きの声を上げた。見れば自分のすぐ近くに一人の女が立っているではないか。目にも鮮やかな赤いスーツを着た金髪の美女である。口元には妖艶な笑みを浮かべているがその身から放たれる強烈な気は、絶対零度の冷たさを持っている。隣には黒装束に身をかためた妖しげな者までいる。
「そんな!気配なんて感じなかったはずだぞ!?誰だお前たちは」
 葉守は慌てて構えを取った。何者かは分からないが二人から放たれる殺気は尋常なものではない。それにこんなこの自分に気配すら感じさせずに接近しているとなると、相当の手だれかもしれない。
「やはり現れましたか魎華さん」
 桜井は彼女の出現をある程度予測していたのか、おちついた口調でそう告げた。魎華。その正体は定かではないが、この東京を滅ぼさんとする計画に関わり自分たちを何度も刃を交えてきた女。何か考えをもって行動しているようだが、その狙いは現在のところ不明である。
「そっちの奴は七条家の者だな?その黒装束は見覚えがあるぜ」
 七条家とは、かつてこの日本を呪術国家に変貌させようと様々な陰謀を張り巡らせていた陰陽師の一族である。一度は自衛隊に敗れ歴史の影に消え去るかと思われたのだが、魎華が属する「会社」に助けられ現在合同で動いている。少女遊は因縁の相手と出会えて幾分心が弾んでいるようである。面の奥でニヤリと獰猛な笑みを浮かべるのだった。
「どうして貴女たちがここにいるの!?今回の件も貴女たちの仕業?」
「そうだ、と言ったら?」
 薙刀を構えて問い質す篁に魎華は挑発するかのごとく笑った。
「一度ゆっくりお話したかったんです。お時間をもらえませんか?」
「どうぞ」
「どうも。貴女も不人も昔の僕とそっくりですね。自分の思うと通りに生きる。でも人に心配されるというのもいいものですよ」
「あら、そう。人を心配するとは己が心配して欲しいという心の顕れだわ。人間とは弱い生き物ね。お互いに寄り添い合わなければ何もできないんだから」
「その人間に潰される貴女はどうなんでしょうね」
 桜井は言うが早いか、己の気で作り上げた強烈な重力波を魎華に叩きつけた。重力場が彼女を捕らえ、押しつぶすはずだった。しかし、重力場に囚われようと魎華は何も感じていないかのごとく、平然と髪をかきあげた。
「お遊びね。こんなの」
 桜井は眼鏡を外して、気を練り上げた。彼は気の力で身体を強化してその破壊力、耐久力を飛躍的に上昇させることができる。相変らずにこやかな笑顔のままで彼は魎華に殴りかかった。
「僕にとって貴方は邪魔なんです」
 女であろうと手加減の無い一撃。たがその掌は彼女に届くことはなかった。岩を砕くはずの彼の手をあっさりと掴んだからだ。
「つまらない一撃・・・。そんなもので私の相手はできないわ」
 ドスッ。
 鈍い音を立てて桜井の鳩尾に膝蹴りが入る。
「がはっ」
 強烈な衝撃を受けて一瞬無防備なる桜井。その横っ面に裏拳が叩き込まれた。
 ガコォ!
 骨が折れたほうな鈍い音を立てて桜井は横合いの壁まで吹き飛ばされる。風化して脆くなっていた壁はその衝撃に耐えられず、あっさりと打ち砕かれさらに後方の柱に叩きつけられた。
「これなら!」
 その隙を見て葉守が近づき、魎華の身体に取り付こうとした。今の一撃は、ほとんど力を入れているように見えなかった。恐らく魔の力で自分の力を強化しているに違いない。あらゆる神秘の類を自身の気と共鳴させる事で中和し、魔力を封印。人と同じにした所を撃破する人外の天敵業、刃守流柔術の組技ならばその力を失わせ倒せるはずという葉守の考えは、しかし魎華にあっさりと打ち砕かれるのだった。
「ぬるいわ」
 迅速の動きから繰り出された平手打ちが彼の頬を引っ叩いた。見た目には軽いはずの一撃だが、その重さは尋常では無く、あまりの力に少年の身体も後方に弾き飛ばされた。
「うわぁ!」
 砕け散った柱の瓦礫に埋もれる葉守。
 華奢な身体から繰り出された一撃とは思えない威力である。桜井にしても葉守にしても決して弱いわけではない。いや、都庁を持ち上げる怪力や魔王すらも屠る間接技を誇る彼らはとてつもない戦闘力を持っていると言える。その彼らが一撃の元に撃破されたのだ。
「愚かな人間たちね。今回の件は貴方たちをおびき寄せるための罠よ。これだけ派手にやればきっとしゃしゃり出てくると思ってね。そろそろ貴方たちが邪魔になってきたのよ。この際一気に叩き潰すつもりだから覚悟してね」
 ほっほっほと高笑いを上げる魎華。
 ガラガラッ。
「くそっ・・・」
 瓦礫の中から桜井はなんとか立ち上がった。口を切ったらしく唇から血を流している。その表情には既に笑顔は浮かんでいない。怒りに燃える目で魎華を睨みつける。
「僕は負けるわけにいかない・・・」
 葉守もなんとか起き上がると構えをとった。まだ戦意を失わない二人を見て魎華は冷淡に告げた。
「そのまま死んでいれば楽だったものを・・・。つくづく愚かね」
「愚かかどうか!」
「試してやる!」
 二人は一斉に魎華に突っ込んでいった。

 一方、黒装束の男と相対していた少女遊と篁も苦戦を強いられていた。
「おらぁ!」
 反動をつけて、下駄を投げつける少女遊。古流柔術の達人であり、怪力を誇る彼の投げた下駄はコンクリート壁すら容易く砕くほどの威力をもっている。だが、命中すると思われた刹那、黒装束の男はその下駄を手刀であっさりと打ち砕いた。
「んだとぉ!?」
 驚きの声を上げる少女遊。本来ならば拳の方が砕けていなければおかしいほどの一撃である。彼が驚くのも無理は無い。
「お願い。みんな、力をかして」
 篁は祖母から借りてきた符と自分の符を中空に投げた。それは光輝き二体の鬼に姿を変えた。一方は漆黒の翼に鳥のような頭をしたもの烏天狗。一方は真っ赤な身体におどろおどろしい顔をしたまさしく鬼と言われるような存在。陰陽師などが用いる護法童子と呼ばれる、符に込められている魔力を開放して生み出す擬似生命体。それらは黒装束の男に一斉に襲い掛かった。だがしかし、黒装束の者はまったく慌てず、懐から数本の小刀を取り出した。それは忍びなどが用いるくないとよばれるものである。黒装束はそれを投げつけた。烏天狗と鬼は目にも止まらぬ速度で投げつけられたその小刀に貫かれ、、一瞬にして四散してしまった。
「そ、そんな・・・」
「ちぃ!これならどうだ!」
 ならばとばかりに心の臓を狙った少女遊の掌打は、しかしあっさりとかわされ逆に強烈な蹴りを強かに食らって後方に弾き飛ばされた。
「児戯だな・・・」
 黒装束の男は冷ややかにそう言い放つと、短めの日本刀を抜き放った。俗に忍者刀と呼ばれる代物で、通常の刀が70〜80cmであるのに対して50〜60cmとやや小ぶりで威力に欠けるものの、軽量化が図られており扱いやすくなっている。彼は倒れている少女遊を見向きもせずに、猛烈な勢いで篁に迫った。白刃が閃く。
「きゃあああ!」
(あぶねぇ!)
 あまりの勢いに篁は、薙刀で防御ができなかった。あわや切られると思われたその時、薙刀のその黒き刃が人の形となり彼女を庇った。彼女の家に代々使える鬼、夜刀であった。忍者刀の一撃はその夜刀を一刀両断にする。
「いやぁぁぁぁ!!!夜刀ぁぁぁ!!!」
 切り裂かれ、粉々になった黒い刃を見て絶叫する篁。それを見て黒装束の者は何の表情も浮かべずに彼女に刃を突きつけた。
「下らんな。その程度の覚悟で戦場に赴くとは・・・。この十六夜の相手をするなど100年早いわ。己の未熟さを悔いて死ね」
「てめぇはぁぁぁあ!!!」
 般若の面を脱いだ少女遊は、まさしく己が顔を般若のごとく怒りに変え、抜き放った小柄をもって十六夜に切りかかるのだった。

 激戦を目にしながら、宮小路はあえて動かなかった。いや正確に言えば動けなかったのだ。彼がこれから行おうとしていることは、このサンシャイン60を覆っているであろう結界にわずかでも干渉してその力を弱めるものである。彼は財閥の御曹司でありながら、その実陰陽師でもある。これは宮小路家が表向きは財閥であっても、本来は陰陽師の家系であることに起因する。陰陽師は本来結界構築などは得意の分野に入るのだが、宮小路は攻撃系や召喚系の術は得意としているが術を破ったり結界をはる術は得意ではない。さらに敵方の術がどのような系統に属するものかが分からないため結界破りの術は難しいと言えるだろう。それでも、
「やるしかないさ」
 彼は気を張り巡らせると、得意の武器召喚を開始した。
「ナウマクサンマンダバサラダンカン。仏法の守護者、偉大なる神不動明王よ。御身が持ちし武器を今ここに!」
 彼から見て東方に『髭切』が、西方に『羂索』が出現する。
「この世の二つと無き秘宝。全てを両断せしめるアーサー王が持ちし秘剣エクスカリバーよ!」
 北方には青白い光を放つ聖剣。
「聖ロンギヌスよ!イエスを貫き、その血を持って聖別されし聖遺物。あらゆる魔を退けし汝の槍を顕現しせめよ!」
 南方には聖槍ロンギヌスが顕れた。4つの伝説とまで言われた武器を用いて破邪の結界を張り、サンシャインに張られた結界に対抗する。だが、4つもの武器を召喚した負担は激しく、急激な脱力感が宮小路を襲う。
「くうっ・・・」
 宮小路はがっくりと膝を落とした。精神の集中が途切れ、4つの武器が消え始める。もともと存在しないものを無理に空間を捻じ曲げて存在させているので、その存在力はかなり希薄であり不安定なものなのだ。
「い、いけない・・・!」
 なんとか立ち上がり気力を振り絞って、結界の維持につとめる。額には汗がふつふつとわき、体全体からも滝のように流れおちる。だが諦めるわけにはいかない。仲間たちは敵と死闘を繰り広げ、風化させている張本人を必死に探しているのだから。

 戦いはまだはじまったばかりである。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0461/宮小路・皇騎/男/20/大学生(財閥御曹司・陰陽師)
    (みやこうじ・こうき)
0542/葉守・香純/男/16/フリーター兼偽装高校生
    (はもり・かすみ)
0416/桜井・翔/男/19/医大生&時々草間興信所へ手伝いにくる。
    (さくらい・しょう)
0543/少女遊・郷/男/29/刀鍛冶
    (たかなし・あきら)
0436/篁・雛/女/18/高校生(拝み屋修行中)
    (たかむら・ひな)

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■         ライター通信          ■
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 大変お待たせいたしました。
 10都市物語「池袋」〜紅砂陣〜前編をお届けいたします。
 今回は12人のお客様にご参加いただき満員御礼となりました。誠に有難うございます。多人数となりましたので全後半に分けさせていただきましたが、何卒ご容赦いただきたいと思います。
 前編ではかなり苦戦している状況となりました。このままではあわや全滅か?サンシャインはどうなるのか?そしてこの事件の張本人は一体どこにいるのか?それは全て後編で語られることとなります。楽しみにお待ちいただければと思います。
 この作品に対するご意見、ご感想、ご要望、ご不満等ございましたらお気軽にテラコンより私信を頂戴できればと思います。お客様のお声はなるだけ作品に反映させていただきたいと思いますので何卒よろしくお願い致します。
 それではまた別の依頼でお目にかかれることを祈って・・・。