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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


『アイを救え』


<オープニング>
ある雨の日、色白で綺麗な瞳に綺麗な漆黒の髪をした少女がやってきた。
歳は6歳くらいだろうか。
クマのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめていた。
そして彼女は口を開いた。
「アイを救って・・・おねがい」少女は足に怪我をしていた。
少女は痛みに耐えながらある一枚のよれよれのメモを渡した。
「アイは私の屋敷にいる・・開かずの間に」その紙にはこう書かれていた。
『・・の夜あらわれし幽霊、アイを開かずの間・・・』
一部が雨でぬれて読めないみたいだ。
おまけに肝心の最後の部分はさっぱり読めない。
少女に聞こうにも少女は気を失っていた。


●病院
とりあえず少女を病院に運んだ。
少女の名は『本能寺瑠璃(本能寺・瑠璃)』というそうだ。
病院に運んだとき病院に来たのは少女の身内のものではなく
『葉月憐』(はづき・れん)という10歳の少女だった。
憐は瑠璃の一番の親友だそうだ。
瑠璃は金持ちの子だ。
おそらく両親は仕事でこられないのだろうと憐は悲しそうに説明した。
治療後、看護婦が瑠璃のいる個室へと案内してくれた。
そして憐は泣きながら眠っている瑠璃の手をにぎった。
そして黙り込んでから数分のことだった。
「お姉さん・・ちょっといいですか?」
憐は瑠璃の手をぎゅっと握り締めこちらをみた。
「瑠璃ちゃんの屋敷に案内します・・だからお姉さん
私にもお手伝いをさせてください!!」
憐は白霞凪(しらがすみ・なぎ)を真剣な眼差しで見つめる。
そして凪が口を開いた。
「分かりました・・けど約束事をしてくれますか」
凪は落ち着いた様子で対応する。
「はいっ!私、お手伝いできるならどんなことでも約束する!」
憐はうれしそうに凪に飛びついた。
さっきまでとは一転して憐の雰囲気が変わった。
こちらが本当の性格のようだ。
瑠璃とは違い明るくて活発的な女の子みたいだ。
凪が約束として言ったのは「絶対に霊に触れないこと」
それだけだった。
なぜそんなことを言ったかというと凪はあるていど推理ができていたのだ。
とりあえず瑠璃から事情を聞こうと思ったが瑠璃は目を覚ます様子もない。
これではどうしようもできない。
とりあえず推理をしてみることにした。


●推理
まず少女から預かったよれよれの紙を開いて推理してみよう。
『・・の夜あらわれし幽霊、アイを開かずの間・・・』
濡れて読めなくなった部分にはいったい何が書かれているのだろうか。
まず確信があるのは幽霊がかかわっていることだ。
少し考えたしぐさをした後、凪は「満月ですわ」と答えた。
憐は凪のほうを見た。
「夜というのも含めて考えますとおそらく満月です。満月は悪霊だけでなく
全ての霊の力が高まります。つまり幽霊が行動を起こしやすいということです」
「そっか〜。悪霊とは限らないよね。お姉さん頭いい〜」憐が言った。
凪は顔には出さなかったが内心うれしかった。
満月の日には霊の霊力が高まるからこそ憐に、霊にはふれるなといったのだ。
しかし後のことは分からないし悩んでいてもきりがない。
とりあえず今日は満月の日だ。
決行の日には最適だといっていいだろう。
真相を確かめるべく憐と凪は瑠璃の屋敷へ向かった。


●樹舞代屋敷
「わー相変わらず大きな屋敷」憐は軽い足取りで屋敷に入った。
「お姉さんここ、樹舞代屋敷って言うんだよ。」
「憐さん・・ここには霊気が漂っています・・なんというか冷たいけど
暖かいような感じです」
凪は今までにない変な空気と感触をうけていた。
「お姉さん大丈夫?」憐は凪の顔色をうかがった。
凪はこの妙な空気のせいで気分を少し悪くしていた。
「大丈夫ですよ・・憐さんこれを・・」凪が手に取ったのは呪符だった。
憐は凪から呪符を受けとり大事そうにポケットにしまった。
「もしもの時のためです・・念のためもっておいてください」
そして凪と憐は屋敷の重たいドアをあけた。
中は少し薄暗いが人が住んでいるとだけあって玄関には花がいけられていた。
憐は屋敷にはいってからきょろきょろ余所見をしだした。「あれ・・?」
「どうしました?」凪は憐があまりにもあわただしくするので不思議に思った。
「う・・うん・・瑠璃ちゃんのメイドさんとか付き人とかがいないの」
それを聞いた凪は(これは相当強い念をお持ちのかたで・・満月のせいもありますわね)
凪は憐を不安にさせないためにもだまっていた。
それに何よりの不安は自分が戦闘となると無慈悲な戦闘マシーン化してしまうことだ。
とりあえず二人は2階にあがることにした。


●樹舞代屋敷 【F2】
2階を歩いていると凪はぴたっと足をとめた。(この部屋・・変な空気がする)
前を歩いていた憐は走って凪の元に帰ってきた。
「この部屋は瑠璃ちゃんのお部屋だよ。瑠璃ちゃん、お部屋にカギかけないから
開いているはずだよ」
凪はドアノブに手を伸ばした。
しかし凪の手にピリッと小さな電撃のようなものが走った。
(霊の仕業・・?用心深いですわ)
「憐さんここは霊の力で結界がはられています・・
ドア開けるから下がっていてください」
憐は不安そうにドアから離れた。
凪は破魔弓をとりだした。凪は目を閉じ意識を集中し、そして一撃をはなった。
ドアは砕けたと同時に弓がくだけた。
《!!弓がくだけた・・私が意識を集中して念をこめた弓ですのに》
そして凪は部屋の中へはいった。
部屋の中は霊気のせいで肌寒い。
憐は月の光で光っている指輪を見つけた。
「きれぇーー」憐はそれを手に取り指にはめた。
「憐さん・・何もありませんね・・何をしているのですか?」
凪は憐のとった行動にまったく気づかなかった。
「なんでもないよ」憐はどうしてもこの指輪の魅力にひかれて嘘をついてしまったようだ。
そして凪と憐は瑠璃の部屋を後にした。
(でも・・なんのための結界だったのでしょう・・)
疑問に思った凪は気になってついつい無言になってしまった。
憐は凪の顔ばかりをうかがっていた。
おそらく嘘をついたことがばれ、怒っているのではないかと思ったのだろう。


●樹舞代屋敷 【F3】
ついに3階まできた。
「ふぅー3階まで上がると疲れるね・・」憐の息がだんだん荒くなっている。
憐はだんだん足取りが重たくなっているようだ。
しかしけしてめげそうにもない。
瑠璃を助けたいという思いがおそらく憐を力づけているのだろう。
「憐さん・・私の心眼によると霊にだんだん近づいています」
凪は自分の能力である心眼で透視していた。
そして開かずの間を探し始めた。
凪は意識を集中しているせいか一言もしゃべらない。
すべてのドアを霊力で封印しているようで探知がしにくく
凪はいつも以上に精神をつかった。
そして憐は足を止めた。
「お姉さん・・ここ」指をさした場所は別に霊気を感じられない場所だった。
「なに?なにもないですわよ」凪は憐の顔を不思議そうに見下ろした。
「この部屋、気のせいかな・・一瞬、物音がしたような・・」
《物音?念のため封印をといてみたほうがいいかもしれないわ》
凪は呪符に精神を込めて念をいれてドアに貼り付けたとたんに結界はとけた。
そして中にはいってみるとそこにはメイドや付き人などが皆、倒れるように眠っていた。
ただの人形のようにもみえるくらい、ぴくりとも動かない。
「メイドさん!!おきて!!」憐は一生懸命、体を揺らすが起きる様子もない。
「憐さん・・おそらく霊の仕業ですわ」凪は憐をとめた。
「お姉さん・・皆を助けてね」燐は凪を真剣な目で見つめた。
「ええ・・」そして凪と憐は部屋を出た。
凪は念のためドアに守護の呪符をはった。
そして再び開かずの間を探し始めた。


●開かずの間
凪はドアの前で足を止めた。「ここです・・」
そこは一番、霊気を感じる場所だった。
《この霊気・・呪符だけではだめみたいですわね》
「そこ、確かにいつもあかなかったところだと思うよ」
燐は思い出すようにいった。
あまりにも強い霊力のため凪は呪符を張った後、破魔弓を放つことにした。
そして憐は一歩下がり手を合わせて凪が成功するように願いをこめていた。
それから凪は精神をこめて弓を放った。
しかしドアの結界が弱まったもののまだ完璧とまでは行かない。
(初めてです・・こんな苦労する霊は・・東京へ来たかいがありますけどね)
「憐さん、もっと精神力を使って弓を放つのでさっきのお守りを
出して手に持っていてください」
そして憐はポケットにしまっていた呪符を取り出して手に持った。
そして凪は目を閉じ、そして周りに風が起こり弓を放った。
ドアは砕けて壁や時計にはひびがはいり花瓶などが割れた。
憐は凪の力を見て自分にもこんな力があればと見とれている反面呆然としていた。
そして憐は凪の元に近づいた。
凪は少しよろけ、憐は凪を支えた。「お姉さん大丈夫?」
いくら凪が巫女のみであり強い精神力があっても3回もフルに精神を
つかえば疲れてしまうのは当然である。
そうでなくても最後の一発は相当精神を使っている。
そして凪はゆっくりドアノブを回した。
「あ・・あいたね」燐は恐る恐る中をのぞいてみた。
中を見渡してみると月が窓からよく見え美しく輝いておりその光がなんとも
心地よい空気をかもし出す。
「お姉さん・・なんにもないね?」燐はぐるりと一周した。
(・・今まですごい霊気だったのに突然・・心地よくなった・・)
凪も一周辺りをゆっくりと見回した。
「お姉さん・・ここ見て」燐は床にある隠し扉のようなものを見つけた。
そして燐は小さな体で床の扉を引っ張った。
そして中をのぞいて見ると階段が下へと続いており途中から遠くてなにも見えない。
とりあえずその階段を下りてみるとこにした。
どこまでも続く階段をやっと下り終えた。
おそらく湿っぽいことから地下であろう。
人間が長いこと踏み入れなかったせいか足跡もなく回りも誇りっぽく息苦しい。
「けほっけほ・・」燐は苦しそうに咳をした。
「お姉さん、右?左?どっちに霊がいるの?」
憐は薄暗い中凪の袖をつかんだ。
その小さな手は凪の袖をぎゅっとつかんで、凪を頼りにしていた。
凪は目をつぶって霊の居場所を確認した。
そして凪は右の方向を指差した。
凪は霊の居場所を完全に突き止めたようだ。
(さっきまでうまく心眼できなかったのに結界を破ったのと
霊が近くにいるせいでしょうか)
そして二人はゆっくりと歩き出した。


●君がアイ・・・
そして少し歩くと目の前にとても綺麗な女性が穴の開いた小さな隙間から
月光を見つめていた。
その月光が女性をより美しく見せていた。
しかし女性は悲しそうな顔をしている。
「君は誰?」憐は凪の袖をぎゅっとつかんで声をかけた。
そしてこちらを向き女性は答えた。「私は・・」女性は涙を流し始めた。
それを見ていた凪は間をおいた後に声をかけた。
「あなた霊ですわね・・けど強い邪気を放っているのはあなたではないわ」
凪は確信したように尋ねた。
「私は、アイ・・ただこれは仮の姿・・本当の体は現実にあって私の魂は生霊」
この綺麗な女性こそがアイだ。
「あなたは・・彼を助けに来てくれたんですね。私には救うことができない
だからどうかあなたの光を彼に・・・」
「きゃーー!!!」憐が突然大声をあげた。
「指がぴりぴりする・・」さっき憐が手にした指輪が憐を苦しめる。
そして凪は驚いて憐をみた。「憐!!その指輪!邪気が取り付いている」
アイは憐を見て気づいた。
「さっき綺麗でどうしてもほしくてはめたの」憐は痛みから汗を流している。
「このままではあぶない」凪は急いで指輪から邪気を離した。
邪気は凪の呪府の力で指輪から離れた。「はぁーはぁー」憐は倒れこんだ。
凪も顔にはださないが相当疲れている。
『貴様らなにものだ・・私の邪魔をする気か・・アイはわたさない』
憐は邪気をみて「どうして・・アイが必要なの?」邪気に向かって会話など
そう簡単にできるものではない。
凪は邪気に弓を向け呪符で守りを固める。戦闘体勢に入っている。
『私は一人だ・・消し去ってくれるのならそれもかまわない・・』
邪気はその孤独さから邪気になったのであろう。
「お姉さんやめて!!」凪は憐の言葉と同時に弓を放った。
凪の弓は邪気を捕らえた。
そして邪気は受け入れるように包み込んだ。
そして邪気は消え去った。「お姉さん・・」凪は我に返ったように憐をみた。
憐は涙をぽろぽろ流した。
「憐・・その方は邪気が一番ほしかったものをあげたのですよ・・
暗闇から救うことのできる光を・・」
アイはすべてを分かっていた。
憐は凪に抱きついて嬉しそうに言った。
「お姉さん、邪気さんは助かったんだね」
凪は憐の頭を優しくなでた。
「お姉さん今、初めて笑顔をみせたね」
凪は少しだけ優しい顔をしていた。
「よかった・・私はそばにいることしかできなかった・・これであの人は救われます」
そしてアイは自分の体へと魂をもどした。
「お姉さん帰ろ〜」憐は凪に微笑みかけた。
そして凪の手をとり二人は屋敷を後にした。


●報告
「瑠璃ちゃん!!目を覚ましたんだね」憐は瑠璃に飛びついた。
そして瑠璃は凪をみて微笑んだ。
「ありがとうございました・・邪気はちゃんと光を見たようですね。
アイを通してみました」
そして凪は愛の正体と紙に書かれ続きの内容を尋ねた。
「アイというのは私の猫です。
アイは常に回りに誰かがいてくれるから邪気はアイを選んだのです。
嫉妬だとおもいますよ。」
つまり邪気はアイを羨ましく思って暗闇に閉じ込めたというわけだ。
「あと、その紙のことなんですがね、全部読めてもきっと実行しなければ
分からなかったと思いますよ。」

『満月の夜あらわれし幽霊、アイを開かずの間へと導き、あなたは月を照らす』
こんな内容だった。
「つまり月を照らすのは太陽、太陽は光、光は救い出すもの・・
それはあなただという事です、凪さん。」
                                 終わり

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0581 / 白霞・凪(しらがすみ・なぎ)
                   / 女 / 15 / 巫女(退魔師) 】

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■         ライター通信          ■
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はじめまして。今回担当させていただきました葵桜といいます。
今回挑戦するのが初めてだったためとても緊張した反面
楽しませていただきました。
凪さんは気に入ってもらえたでしょうか。
凪さんの能力をたくさん使わせていただきました。
まだまだ未熟者ですがこれからもよろしくお願いします。