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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


『少女の願い』

●オープニング
ある日のことだ。ゴーストネットの掲示板にこんな内容があった。
『私の死んでしまった妹を助けてあげてください。
妹の霊は成仏できずさまよっています。
なにか訴えているのですが霊感の薄い私には妹を見ることしか
できません。
どうか、妹の言う言葉を聞き取って解決してください。』
そんな内容だった。


●地図
依頼の回答後、掲示板を書いた女性が地図と時間を添付してきた。
そのためとりあえずそちらに向かうしかないようだ。
とりあえず地図を片手に家をでた。
凪の家からは少し遠いためバスで向かうことにした。
凪はバスの中で本を読み時々、外を窓からのぞいていた。
そしてバスは目的の場所、徒歩3分くらいの所のバス停で止まった。
「ここ・・」凪はバスを降り周りを見渡した。
「気のせいかしら・・」凪が家をでた時は風がなかったはずなのにここは
かなり風がきついようだ。
そして人影を遠くのほうで見つけ、すぐに依頼を受けた人だと気づきそちらに
向かうことにした。


●自己紹介
「あなたたちゴーストネットの掲示板見た人たちですか?」
都築・亮一(つづき・りょういち)が尋ねた。
「ええ、そうです」
七森・沙耶(ななもり・さや)が答えた。
「とりあえず自己紹介しなきゃな。俺の名前は七森慎だ。よろしく。」
沙耶の兄、七森・慎(ななもり・しん)が言った。
そして沙耶が次に答えた。
「私は七森沙耶です。よろしくお願いします」
その次に白霞・凪(しらがすみ・なぎ)が言った。
「私は白霞凪です」
その次に都築・亮一(つづき・りょういち)が自己紹介をした。
「俺は都築亮一です」
そして慎は少しきょろきょろ人数を確かめた後口を開いた。
「これで全員?」亮一は少し言いにくそうにその質問に答えた。
「いや・・あと一人いるんだけどぐっすり眠ってしまっているんですよ」
亮一は大きな木の下を指差した。
そして3人はそれを聞きもう一人のもとへ向かった。
「あの・・おきてください」沙耶が声をかけた。
そして男は目をさました。
「・・ん・・あれ?」男はあわてておきた。
「僕、寝ていましたか?」彼の名前は七夜・忍(ななや・しのぶ)というそうだ。
「すみません。早く着いてからついつい眠ってしまって。」
忍は洋服と髪についた雑草と花びらをはらった。
「そうですね、今日の風は涼しいですね」
凪は風が吹く方向を見て髪の毛をなびかせながら答えた。
「でも・・この風少しおかしいとおもいませんか?あまりに強すぎる」
沙耶は家をでたときのことをおもいだした。
「たしかこんなになかった気がする・・それにこの風、途切れがない」
沙耶も風について不思議なことに気づいた。
「もしかして、妹の霊のことと関係があるのか?」
慎も風の方向を見ながら息を呑んだ。
「とりあえず行って見ないと分かりませんね」
忍は一軒の大きな屋敷を指した。
「たぶんあれ、この周りには他に家はみあたらないし・・。」
そして5人は大きな屋敷へと向かった。


●車椅子の少女
「ここか・・少し霊気をかんじるな」慎は屋敷を見上げた。
「ええ、霊気を感じますけどもし妹さんの霊なら、妹さんの霊の
通り道ってところでしょうか」凪は答えた。
屋敷のドアを叩こうとしたがなにやら裏庭で声がする。
そのためそちらに向かうことにした。
「ラ〜ララ〜♪♪」女の人が歌を歌いながら花に水をやっていた。
長い髪を一つで結わえ車椅子に乗っていて歳は18くらいだろうか、
女の子らしい感じの人だ。そしてこちらに気づいた。
「あ・・あなた方は妹を助けるためにきてくださった方ですね」
女性は嬉しそうに車椅子をゆっくりこちらに向けた。
「私がおしますよ」沙耶は女性の下に走り車椅子を後ろから押した。
「ありがとう」女性は沙耶に微笑みかけ皆のもとへ向かった。
「あ・・あの私・・」女性はなにから話せばいいか分からなく
うつむいてしまった。
「あなたの名前は?」亮一は優しく女性に聞いた。
「私の名前は卯月春佳です。妹の菜緒を救ってください」
春佳は真剣な眼差しで5人を見た。
そして春佳に菜緒の死んだ理由について尋ねてみた。
「なぜ、菜緒は死んだのですか?」尋ねたのは忍だ。
「菜緒が死んだ理由・・・車に跳ねられて・・
この家の両親はとても菜緒に厳しかったから・・家出をして・・
その日に車に跳ねられてしまったんです。
私が動けないぶん両親は菜緒に厳しかった。
きっと菜緒は私のこと嫌いだと思います・・
目が合うだけで睨まれて・・私のこの足のせいで菜緒は苦しんだのだから」
そして沙耶は後ろから涙を流す春佳に優しく抱きついた。
「それはきっと違うよ・・本当は菜緒はきっと春佳さんのこと
好きだったはずです!!睨んでしまうのはきっと春佳さんが傷つくのが
嫌だったからだと思います。」
そして凪は目をつぶって少ししてから答えた。
「ええ・・嫌ってはいません。沙耶さんの言う通りです。
菜緒さんが死んだのは3週間前・・雨の日で無我夢中で走って
車に跳ねられたようですね。そのときあなたへの憎しみは見えません」
凪は自分の能力である心眼をしていた。
また亮一にも妹がいてそんなこと思うなんてと思っていた。
「俺もそう思うよ。妹がいるし、そんなこと思ったこともないですよ。
もっと信じてあげるべきですよ。」
そして亮一の言葉を聞いた沙耶は慎の顔をちらっと見てから
「私も兄にそんなふうに思ったことはないですよ。
喧嘩した時だってそんなこと考えたこと一度もないです」
そして慎も沙耶と同じ気持ちだった。
「俺もそんなふうにおもったことないよ。」
慎も沙耶の顔を真剣に見つめてから答えた。
そして忍が後ろを振り返った。
「あの・・あれってまさか菜緒?」
忍は目を一度細めてから「少し春佳に感じが似ているし・・」
そして忍は春佳に霊の特徴を説明した。
「茶色のショートの髪に漆黒の目・・それから制服姿」
春佳は車椅子から腰を浮かばせてあわてて忍に尋ねた。
「あの・・ペンダントはありませんか?
菜緒が大切に肌身離さずもっていたやつなんです」
忍は菜緒の首に目をやった。
「いや・・ないです」
春佳は姿勢をもとにもどし落ち着きをとりもどした。
「そうですか・・でも・・きっと菜緒だとおもいます。」
そして沙耶が気づいたように行った。
「あれ?この子・・・もしかして」
「ええ・・これは念で作った霊です。霊自信はきっと他の場所に」
凪は気づいていたようだ。
「凪、心眼で場所がよめるか?」慎が尋ねた。
凪は試みることにした。
凪は目をつぶってから少しして目をあけた。
「・・なにものかにじゃまされました・・強い怨念にはばまれたようです」
そして忍が少し考え、決心したかのように真剣に言った。
「僕が体に吸い込もう・・」忍は『誰も殺さない』とある人と約束をかわした
約束を守るためにも怨念を切り裂くのは避けたかったのもあるが怨念を切り裂いても
いずれまた生まれるかもしれないという考えもあったからだ。
「凪、怨念の場所は分かるか?」慎が尋ねた。
「ええ・・具体的ではないですか大体の場所は特定できます」
そして凪はもっと情報を集めるためにふたたび心眼を開始した。
その間に亮一が計画を立てることになった。
「では忍さんが一般の人に気づかれては困るので軽く時空を切ってください。
そして慎さんが未来をよんで相手の攻撃を私たちに伝えてください。
それから俺が陰陽術と呪術を使って引き寄せるのでその間に凪さんは相手の
動きを呪符で弱らせてその間に忍さんが吸い込んでください。
沙耶さんは取り付かれやすいのでうしろにさがってまんがいちにそなえ
精神を集中して相手を受け入れないようにしてください」
そして皆はうなずいた。
「凪どうだ?場所を特定できたか?」
慎はふたたび凪に尋ねた。
「特定できましたよ。あの大きな木の下・・風がやまないのはそのせいです」
そして春佳も一緒に連れて行くことにした。


●御神木様『約束の場所』
「ここは、御神木様?」春佳は巨大な木をみつめた。
「小さい頃、私がまだ足が動かせた時に菜緒とよく遊んだ場所なんです。
そしてここを約束の場所『御神木様』と2人でなずけたんです。」
「じゃーなんでここに怨念が?」慎は不思議に感じた。
「まさか・・そんなはずないですよね・・」
沙耶が少し戸惑った様子を見せた。
「あのね・・もしかしたら生きとしものの怨念かもしれないです・・」
つまり、生きている人間が誰かを強く憎んだり恨んだりすることによって
生まれる怨念の魂である。
だか、相当な強い恨みや憎しみがないと簡単に生まれるものではない。
そしてその怨念がこちらの方へ向かってきた。

『・・・私の体を返して・・』

怨念は黒い物体のためよく誰なのか特定できない。
「どうやら本当に生きとしものの怨念みたいですね」凪は呪符を握り締めた。
「いきますよ!」亮一が皆に声をかけた。
「軽くひねるよ!!爆破衝撃があるけど耐えてな!」
忍が木の上から時空を切り裂いた。
爆破衝撃は意外と強いもので凪の呪符と慎の符術と亮一の呪術で3人が
協力して沙耶と春佳を守ったが足が一歩さがってしまうほどだった。
「大丈夫か?」慎は亮一と凪に声をかけた。
「ええ・・俺は大丈夫です」亮一は汗をぬぐった。
「私も大丈夫です。心配しないで慎さん、予知を・・」
凪は怨念のほうへ目を向けた。
「皆、気をつけてください」沙耶は慎に不安そうな顔で言った。
「心配するな」慎は沙耶の上から上着をぽんっとわたした。
「俺を信じろよ」慎は沙耶に優しい笑顔をみせた。
「沙耶さん、俺も!」亮一が沙耶に上着を投げ沙耶のほうを向いて微笑んだ。
「なら私も・・」凪は髪の毛を結わえていたものをとり長い髪をなびかせて
沙耶に手渡しした。
「大丈夫ですよ沙耶さん」
「沙耶、僕のももっておいて」忍が木の上から服を放り投げた。
そして沙耶にピースをした。
「皆・・」沙耶は皆の持ち物を抱きしめた。
「さーて、凪さんいきますよ」亮一は刀をかまえた。
『きゃ・なにをするの・・・私はただ体を返してほしいだけ』
「あなたは作りだされた魂です。もとの場所へお帰り」
亮一が術を唱えながらいった。
『返してくれないなら・・菜緒の魂に移って更に生き延びて魂を食べて生きるまで』
「やめて!おねがいだから・・・菜緒に手をださいで。私の体をあげるから」
春佳が大声で叫んだ。
『・・・お前が私を放棄したのだ・・都合のいい事をよくもいえるな』
「春佳の怨念?!!・・(はっ)このあとにおきることは・・」
慎は春佳と沙耶のもとへ走った。
(間に合うかわかんねけど・・)
『しねっ!!』怨念は強い邪気をはなち春佳をめがけて攻撃した。
「亮一!!はやく術をかけてください」忍が沙耶と春佳の一番近くにいた
亮一に声をかけた。
「だめだ・・間に合わない」亮一は焦りを隠せない。
それに凪は遠すぎて間に合わない。
沙耶は春佳をかばうように前にたった。そして目をつぶって祈った。
(お兄ちゃん助けて!!!)「沙耶ふせろ!!」慎は春佳に占術で式神をよび
春佳をまもらせ、沙耶を守るような形で抱きしめた。
慎は沙耶を上にのっけて自分が下になりこけた。《ずざざざっ》
「痛っっ!」慎は腕をすったようだ。
「お兄ちゃん!大丈夫?」沙耶は涙目で慎をみた。
そして忍が木の上から慎に叫んだ。
「慎、大丈夫ですか?」
「ああ・・大丈夫だ・・忍、心配すんな。」
慎は忍に上を向いて答えた。
「バカッ、むちゃすんなよ」慎は怨念を見ながら沙耶の頭を軽くぽんと叩いた。
そして凪と亮一はほっと胸をなでおろした。
「春佳さんの怨念・・・でもなぜです?」凪は今までの話では春佳は菜緒を
嫌っている様子はないと感じていた。
それはきっと慎も沙耶も亮一も忍も同じ考えをもっていただろう。
「たしかに・・それに理由を聞かなければ僕が春佳の怨念を取り込んでも
新たに生まれてしまいます」忍が言った。
そして慎が春佳の元に近づいた。
「春佳・・君の怨念だよな。心当たりは?」
「ないです・・慎様も私が菜緒を大切にしていたのをわかりますよね?」
春佳は慎の顔から目をそらして答えた。
「過去形なんだな」慎は春佳のこの言葉に疑問を持った。
「え・・?」春佳はやっと慎の顔をみた。
そして慎の真剣な顔に同様を隠せなかった。
「本当のことはなしてくれるか?」慎のあまりの真剣な眼差しに春佳は
本当のことをはなしだした。
「本当に菜緒のこと大切でした。菜緒に厳しかった両親でも
菜緒に笑いかけるときの笑顔は私と違ったのです。
優しく希望を持った笑顔・・きっと両親は私には絶望を感じでいたのでしょう。
笑い方も作り笑顔のようにみえました。
その時に私は菜緒のことを本当に好きで大切だったのだろうか・・・
そんな疑問を抱いてしまったのです。もっと確信を持っていれば菜緒に
対する大切な気持ちが揺れることは無かったのに・・」
春佳は涙をぽたぽたと流しいくらぬぐっても涙は止まらない。
その時だった。沙耶の体に異変が起きた。
『お姉ちゃん・・・負けないで・・』菜緒の魂が沙耶に移ったのだ。
「菜緒の魂!!」亮一が言った。
菜緒の魂がはばまれないように凪と慎と亮一は結界をはり忍が2人を近くで
守る形をとった。
「早くしてくださいね。時間がありません」凪が言った。
『私はお姉ちゃんのこと大切に思ってるよ・・だから私を嫌いにならないで・・
お姉ちゃん、お父様もお母様も絶望なんかもっておられなかったわ。
常にお姉ちゃんを心配してたわ。2人ともあの子は将来が楽しみだって・・』
「どうして?!!そんななぐさめいらないよ・・菜緒。
足が動かない私になんの希望があるの?」菜緒は優しく春佳を包んだ。
『将来どんな子よりもとても優しい子になるだろうって・・両親がほしかった自由を
この子はもっている・・本家に縛られることもない。
だから将来が楽しみで仕方がないと・・』
春佳の涙はますます止まらなくなった。
「早くしろ!!もう結界が解けます」亮一が苦しそうな表情でいった。
『どんな苦境にも負けたりしないで・・怨念を緩めることはお姉ちゃん
貴方にしかできないわ・・』そして菜緒は沙耶の体から離れた。
そして沙耶は忍の腕へ倒れこんだ。
「・・ゃ・・・や・・沙耶!!」誰かの声が聞こえ沙耶は一瞬で意識を
とり戻すことができた。
「大丈夫です」沙耶は笑顔で言った。
そして春佳が目を閉じ強く願いをこめた。
「私の怨念よ・・静まって」怨念はゆっくりと小さくなり凪の呪符で捕らえ
そして忍は飛行で木の上へのぼり怨念を取り込んだ。


●大切なもの
「本当にありがとうございました」春佳は深々とお辞儀をした。
「春佳、よかったです」忍は春佳の前にしゃがんでいった。
「はい」春佳は嬉しそうに答えた。
「あと、これわたしときます。怨念からでてきたものです」
忍は春佳にペンダントを渡した。
春佳ははっとしたように答えた。「これ・・菜緒の」
忍はなにもいわず春佳に微笑んだ。
「さーて、あなたの両親にばれる前に立ち去りますね」亮一が言った。
「そうですね。あとからややこしいのもめんどくさいですからね」忍が立ち上がった。
「私はあなたがうらやましいですわ。幼い頃から機械のように育てられた私にとって
あなたは普通の子でうらやましいです。」凪は皆に聞こえぬよう小声でいった。
そして春佳は凪の顔を見て「凪さん、あなたはあの4人のなかにいて自然に見えます。
とても強い心の持ち主である証もその力にあります。
だからもっと自信をもってください」凪は春佳の言葉に少し反応をみせた。
「凪さん、行きますよ」遠くから亮一が呼んだ。
「あ・・はい。」凪は皆のもとへ向かう途中振り返り春佳に「考えて見ます」そう告げた。
そして慎の隣を歩いている沙耶が「さっき気を失いかけたときお兄ちゃんの声が聞こえたんだ・・私はお兄ちゃんが大切だなって思えたんだ。」
それを聞いた慎はテレながら沙耶の顔から目をそらして「俺も大切だと思ってる」
と告げた。「そういえば凪さん、さっきなんの話をしたんです?」亮一がきいた。
「秘密です」凪は黙っておくことに決めた。
「ええー凪、教えてくださいよ」忍も気になっていたようだ。
「秘密ですってば」帰り道、夕日が照らされながら笑い声が響いた。
                                おしまい

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0563/七夜・忍(ななや・しのぶ)/男/650/悪魔より追われる罪人】
【0230/七森・沙耶(ななもり・さや)/女/17/高校生】
【0565/七森・慎(ななもり・しん)/男/27/陰陽師】
【0622/都築・亮一(つづき・りょういち/男/24/退魔師)】
【0581/白霞・凪(しらがすみ・なぎ)/女/15/巫女(退魔師)】


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■         ライター通信          ■
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忍さんと沙耶さんと慎さんと亮一さん、初めての参加ありがとうございます。
凪さんも2回目の参加ありがとうございます。
2回も参加していただけて本当に嬉しいです。
今回は5人だったため前回よりは長めになっています。
楽しんでいただけたでしょうか?一人、一人、大切に書かせてもらいました。
まだまだ新人で未熟ですがこれからもよろしくお願いします。