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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


調査コードネーム:喧嘩花火〜教会を守れ!〜
------<オープニング>--------------------------------------
 武彦は、今日も怠惰な一日を過ごしていた。
 仕事がこないのだから仕方がない。かといって、一日中ダラダラとしていられるわけもなく。
 仕事の依頼が飛び込んできたのは、夕方になってからだ。
『やあ、草間さん。お元気で仕事してますか?』
「ああ? 誰だお前は」
『やだなぁ、望月ですよ。今日は良い仕事がありますので、是非受けて頂こうかと』
「おまえの仕事はロクなのがないからなぁ。却下」
『そ、そう言わないでくださいよ! ただ単に話を付けて欲しいだけの話なんですから』
「じゃあ、言ってみろ。どういう仕事なんだ?」
 望月権蔵(もちづき・ごんぞう)の話によると、聖職者とヤクザとの間でトラブルがあり、その内容は教会の地上げ問題。
 近頃は銃弾が教会に撃ち込まれるなど、ロクでもないことが勃発しているらしい。
『このままだと、教会がつぶされてしまいますよ〜。私もこれでもクリスチャンなんですから。とにかく話を付けてきて欲しいんです』
「ヤクザとか? 平穏に済ますことは出来ないかもしれないぜ、俺短気だし」
『ああ、それは止めて下さい。今、私の手元に500万円あります。どうかこれで話を……』
「そりゃあ、ダメだな。ヤクザってのは人の足下をすぐ見るクセがある。500万なんか見せたら、余計つけあがって、割り増ししてくるだけだぜ」
『じゃあ、どうすれば……?』
「俺なりに話を付けてきてやるぜ。少々荒療治だけどな」
『まさか、暴力沙汰で?! やめてくださいよ、草間さん。草間さ……』
 ここで武彦は電話を切った。
 久しぶりに身体を動かせそうだ。地上げで有名なヤクザと言えば千同組。武彦とも何回もやりあったこともある武闘派集団だ。
「しかし、千同組は増員されたって噂もあるしな。はっきり言って人手が欲しいぜ」

◎誰を招集?
 武彦は人選に迷った。腕っ節の強い者はある程度知り合いとしているが、あまり頼りにならないのも事実。
 一番頼りになるのは、女性でありながら合気道と開門八極拳を会得している、川野みさと。武彦と同い年で、彼女であれば小手先でヤクザをのすことなど、いとも簡単だ。
 だが、たった二人では心許ない。武彦は、あの人物を思いついた。
 水野想司(みずの・そうじ)である。14歳でありながら、吸血鬼ハンターと名乗る彼は、こういう事態には、もってこいだ。
「よし、二人に電話してみるか。事も急がないとならないようだしな」
 まずは、みさとである。
『もしもし、川野ですけど』
「おう、久しぶり。俺だ、草間だ」
『実はだな、頼みたいことがある。ぜひとも参戦してほしい』
と、武彦は大雑把ながら、事の次第を告げる。
『ええ、いいわよ。報酬はどうするつもり?』
「もちろん出るさ。ヤクザの親玉からだろうがな」
『それは結構。いいわ、いますぐ興信所にいくから。待っててね』
 一人目はひとまず良し。あとの一人が来てくれるか問題だ。
「えっと、あいつの携帯電話の番号は、確か……、うん、これだったな」
 電話をかけると、いきなり元気な声が聞こえてきた。
『ああ! 草間くんじゃないですか! なんだ、驚いちゃったなぁ』
「想司か? 改めて依頼したいことがある。聞いてくれるか?」
『もちろん。でもその口調からみて、草間くん、切羽詰まってるね?』
「その通りだ。だからお前に電話したのさ。依頼はヤクザを教会の地上げから退かせること。これが依頼だ。報酬はヤクザの親玉からもらえると思う」
『OK、OK! すぐに興信所にいくから、待っててよ』
 そして30分もしないうちに、みさとと想司が興信所を訪れた。みさとはすっかり合気道のスタイル、想司は戦闘服スタイルだ。
「よし、役者は揃ったな。いざ出陣といこうか?」
「ええ、そうね。想司くん、よろしくね」
「こちらこそ。僕に任せておけば、楽できること請け合い。わはははは」
 そして三人は、千同組へと殴り込みをかけた。

◎戦闘開始!
 ゲシゲシ、ドガシャーン!
 武彦は千同組の出入り口を、足で手荒に突き破った。
「なんだぁ?! このヤロー共は?!」
「ふ。草間組、見参!」
「何の用事だ、コラァ!」
 ヤクザAが見境無く拳骨で殴りかかってきた。相手は想司。
「ふん、それだけかい? 戦闘ってのは、こうやるんだぜ!」

[戦闘開始]
 想司は恐ろしい勢いで、正拳づきをヤクザAに。
 想司:100/100、ヤクザA:70/100
 ヤクザBは、武彦にナックルパンチを食らわすが、半端で効き目がない。逆襲を食らう。
 武彦:95/100、ヤクザB:75/100
 ヤクザCは、みさとに膝蹴りを繰り出すが、上手く受け流され、逆エビ固めを食らう。
 みさと:100/100:ヤクザC:60/100
 [一旦戦闘終了]

 予想以上に、ヤクザ達は弱い。しかし、ここには組長もおらず、チンピラだけが集まっている状態らしかった。
「おい。教会の地上げはどうなってんだ? 教えろ!」
 チンピラ達は、知らないの一点張り。だが、知らないワケはない。
「草間くん。こういう輩には、こうするのが一番だよ」
 想司は両手にナイフを取り出して、これまたもの凄い捌き方でヤクザの一人をテーブルの上に釘付けにする。もう、殺人一歩手前だ。
「わ、分かった、言う、言うからこのナイフをどけてくれぇ」
「よし、そのまま言え。教会はどこの教会だ?」
「四之宮フェリスキリスト教会だ……。そこに、組長もいる」
 想司はナイフをどけた。
「しのぶちゃんの言ってた教会だ……。絶対地上げなんてさせねぇ! 行こう、草間くん、みさとさん!」
 三人は、千同組を出て、一路四之宮フェリスキリスト教会へと向かった。


 歩いて走って30分。郊外にその教会はあった。
 確かに建っている教会の位置は、地理的にもヤクザが目に付けそうな場所にあった。
 ここに来る前に聞いた話だが、この教会を取り壊し、テーマパークを造るのだという噂も耳にしている。それだけは、絶対に許せない行動だった。
 教会の周りには、千同組の組員が何人もいた。望月権蔵をはじめとした、クリスチャン連中が出てこないので、膠着状態といったところなのだろう。
「うりゃあぁぁ! 教会は渡さないぜ、ちくしょうがぁ!」
 いち早く飛び出したのは想司だった。もの凄い連撃の嵐と、素早い行動。ヤクザを一人一人、弱い者たちから、倒していった。だが、殺しはしない。殺す一歩手前で寸止めしているのだ。
「このたわけ者が! あんなガキになにをしておる! 戦え! 痛い目にあわせてやれ!」
 言うのは千同組組長。外道で評判の組長だ。
 武彦もみさとも、この発言にさすがにブチ切れた。

 [戦闘開始]
 ヤクザDの三連攻撃。しかし武彦はガードして、肘打ちを連続して繰り出す。
 武彦:95/100、ヤクザD:50/100
 ヤクザEのナイフ攻撃。みさとは絡み取って、地面へと押し倒し、締め付ける。
 みさと:100/100、ヤクザE:35/100
 ヤクザFの体当たり。想司は瞬時の異常速度短剣術の嵐で、それを回避、相手を倒す。
 想司:100/100、ヤクザF:0/100
[戦闘終了]

「なにをやっとるんじゃ、この馬鹿者共が! 三人などにやられてどうするんじゃ!」
「組長、強いです。とくあのガキが……」
 ヤクザはその後、がっくりと膝をついてしまう。
「あ、あわわ……」
 組長はもう大慌てだ。逃げなければ、逆にやられてしまう。
 そんな組長の前に出たのは、だれでもない、想司だ。
「あんた、組長だろ? この教会、二度と地上げなど考えないと約束しろ!」
「くっ、わ、わかった。たのむ、命だけは助けてくれ……」
「よし。さっさと帰れ。命のあるうちにな。さもないと……」
 想司はナイフを振り上げた。もうこうなると、組長は立場も何もない。さっさと部下を連れて、車で退散していった。
「しのぶちゃん、守れたぜ。君の大好きな教会を守ったぜ……」
「想司。今回は大活躍だったな。見事だったぜ」
「そうですね。私がこなくても、想司くんだけで何とかなったかも知れませんね」
「いやぁ、二人がいたから、教会も守れたんだよ。それに、依頼してきたのは草間くんでしょ?」
「ははは、そうだったな」
 こうして、教会は守られた。千同組からの地上げ問題は、決着を見たのである。

「望月、その金どうしたんだ? 500万なんて」
「これは教会にある、善意の寄付金ですよ。でも千同組がしつこいので、これで退散して貰おうと用意してもらったんですが……」
「なるほどな。だけど勉強になっただろ。そういう行動は、ああいう外道には通じないのさ」
「はい……。では、これは教会にお返ししてきます」
 望月は教会の中に入っていった。寄付金を返すために。
「あ〜あ、ただ働きかぁ。仕方ねぇか」
「僕はそれでも満足。あのお金をもらったら、それこそ僕たちが外道。わかるでしょ、草間くん?」
「そうですね。たまには、ただ働きもいいものです」
 クリスチャンの憩いの場を守れただけでも、良しとしなければならないのだ。
 草間の嘆きを余所に、教会は今日も鐘楼で鐘をならすのだった。

                           FIN
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0424 水野・想司(みずの・そうじ) 男 14歳 吸血鬼ハンター
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■         ライター通信          ■
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○今回は、暴れるだけ暴れてもらいましたが、何しろ参加人数が
思いの外少なかったので、NPCとして「川野みさと」を入れました。
 流石に二人では心もとありませんので。
○しかしながら、想司くんは凄いです。14歳にして吸血鬼ハンター。
 非常に心強いキャラクターで、書きやすかったですよ。
○さて、これが私の文体(文章)であります。まだまだ拙いですが、
これからが勝負。ライターの誇りを持って取り組んでいきますので、
何卒ご愛顧のほど、宜しくお願い致します。
                夢 羅 武 市 より