コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


ミッション!ぶんぶく茶釜猫を捜せ!

*オープニング*

 さて、化け猫騒動から数日後。調査員からのレポートを読み終えた碇が、思わず鼻で笑った。
 「…ぶんぶく茶釜猫だけは、今回一連の事件には関係ないと思われ……、って三下ぁ、あんた、こんな所でも外してくれちゃうのね、笑わせてくれるわぁ」
 口調は楽しげ、だがどこからどう聞いても厭味のようにしか聞こえないのは気のせいではない筈。
 「へ、編集長!それはないですよ!僕はちゃんとこの目で見たんです!電線の上を傘持って後ろ足だけで立って歩くぶんぶく茶釜みたいな化け猫を……」
 「あー、はいはい。夢でも見てたんじゃないの?それとも、あんたにしか見えない妄想だったりとか。なんかヘンなクスリでも飲んでたんじゃないの?」
 「ひ、酷いですぅううう〜」
 嘆く三下をさっくり無視して、碇はこの化け猫事件をすぐに原稿化する事を言いつけた。

 が。珍しく三下は引き下がらなかった。自分が見た化け猫は必ず存在する!と言う信念の下、独自に調査を開始する事にしたのだ。…が、一人では心もとないのも事実。そこで三下は、こんなチラシを作って、駅前の掲示板に張りつけた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
          ●急募●

・一緒にぶんぶく茶釜みたいな化け猫を捜してみませんか?
・委細面談、あなたが考える捕獲法・正体を明示してください
・実際に捕らえた人には賞与支給
・さぁあなたも未知の世界に踏み出してみませんか?

         月刊アトラス編集部 三下忠雄

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

…さて、実際に応募して来る者がいるかどうか。

*ボクと一緒にボクを救ってみないかい?*

 と言う訳で、ここは白王社の小会議室。出版会社だけあって、こんな夜でも人の行き来は盛んであったが、皆それぞれに忙しいので、この小会議室に明かりが点っている事を特に気にかけるものはいなかった。もし誰かが偶然にでもこの室内を覗いたのなら、そこに集ったメンバーの共通性の無さに首を傾げただろうが。会議室の正面、ホワイトボードに背を向けて立っているのは三下忠雄、どうやらあの適当なチラシにちゃんと応募してきた者達がいるらしい。…道理で顔ぶれがまちまちな訳だ。
 自称・探偵の無我・司録は前回の化け猫騒動の時にも関わりがあったので今回もその延長上…と言った所だろうか。その背後にひっそりと佇んでいる、妖艶な女性は幽霊の棗・桔梗。彼女も、司録と同じく化け猫調査で行動を供にし、その時にぶんぶく茶釜猫への執着?を見せていたから、ここにいるのも当然と言えよう。
 「…やっぱり猫ならマタタビでしょう!と言うことでちょいコアなマタタビ、三下さんの為に用意しましたよっ」
 語尾にハートが付きそうな勢いで会議室の最前列に座すのは湖影・龍之助、何故三下を見詰めるその視線が焦がすほどに熱いのか…は、深く問わない事にして。
 「あのっ、やっぱり毛並みは気持ち良さそうでした?私、抱っこしてナデナデしてみたいな♪」
 おっとりとした口調で微笑みながらそう語るのは 四宮・杞槙、背後に黒尽くめの長身なボディガードを従えた生粋のお嬢様だ。と、これだけ見ても充分顔ぶれに統一性が無いのだが。三下が何かを言おうとした時、廊下の向こうから何やら騒がしい様子が伝わって来た。軽いパニック状態のようなその騒ぎに皆が首を傾げていると、小会議室の扉がばーんっ!と勢い良く開いて、中学生ぐらいの一組のカップルが姿を現わした。
 「三下さんっ☆」
 熱い視線で、でも先程の龍之助とは違った種類の熱さでもって少年の方が三下を見た。三下が彼を認めて、あ。と声を漏らす。
 「水野君じゃないですか。あっ、もしかしてキミもボクを救いに…」
 「そう、三下さんの希望を叶えに来たよ!ブンブン茶鎌に会いたいんでしょ?だから連れて来たんだ!」
 そう言って水野・想司は一旦廊下へと戻る。共に来ていた少女の方が、慌てて彼を引き留めようとしているが。その様子を見ていた、会議室の中に居た面々は、
 『なんだい、もしかしてがまちゃんをもう見つけて来たと言うのかい?』
 期待を込めてそう呟く桔梗に、小さく唸って司録が答える。
 「いや、そう言う感じでもないのですが…第一、三下サン、ぶんぶく茶釜猫の目撃例は、あなた以外にはないのですか?」
 「あー、ないですねぇ…ボクは何回か見ているんですけど、他には誰もいないんですよぅ。だから余計に、碇編集長は信じてくれなくて…」
 ほろりと碇の冷たい仕打ちを思い出して(いつもの事だという話もあるが)ブルーが入る三下の肩を龍之助がぽむぽむと叩いて慰める。
 「元気出してくださいよ、三下さん!んなの、実際にぶんぶく茶釜猫が居る事を証明すれば済む話じゃないっすか。…でも、まさか三下さん、捕獲したその化け猫、見せモンとかにするつもりはないっすよねぇ?」
 「そんな事までは考えてなかったけど〜。とにかくボクは、編集長に証明できればいいだけなんだから」
 「ですよねぇ」
 ほっとした表情で龍之助が笑う。ふと、杞槙が頬に指先を添わせて呟いた。
 「…でもさっきの方、ぶんぶんちゃがまって仰ってませんでした?…ちょっと違うような気が……」
 「待ってッ、想司クンっ!違うんだってば!」
 さっきの少女の声が響く。何事かと思って皆が入り口の方を見ると、そこには…体長は虎程もあろうかと思う程の大きな三毛猫がそこに居たのだ。それだけでも充分おかしいのに、ついでにその三毛猫は、後ろ足だけで立っているわ頬に十字傷などあって何処か戦士然としているわ…簡単に言うと物凄く常識から逸脱している存在がやって来たと言うのに、会議室内のメンバーはと言えば、
 「わぁっ、大きな猫さんですねー♪すっごく強そう。佳凛とどっちが強いかなぁ?」
 …さすが、三下の呼び掛けに答えた強者なだけあった。
 「…あの、想司クン、これは……?」
 訝しげに想司に問う三下に、想司が満面の笑顔で答える。
 「なにって、僕がわざわざネコ族の長老様にお願いして連れて来た『猫の騎士』だよっ。だって三下さん、化け猫を捜してたんでしょ?修行の相手として☆」
 「だからっ、違うって言ってるでしょー!」
 嬉しそうに語る想司の後頭部で、同行して来た少女、森里しのぶのハリセンが炸裂した。見た目とは裏腹に、凶悪とも言える程の戦闘能力をその身に秘めた想司に対してこのツッコミ、案外最強なのは彼女なのかもしれない……。
 「三下さんはねっ。『ぶんぶくちゃがま』に似た化け猫を捜してくださいって言ってるの!誰もこんな常識外れの妖怪と戦いたいなんて言ってないの!」
 確かに常識は外れているが、その存在をあっさり認めている辺りで既にここに居る誰もが常識から外れているとは思うが。
 「…ま、いいんじゃないですか?彼も一種の化け猫でしょう。この間までのとはまた違った存在でしょうけど……」
 司録が苦笑混じりにそう言った…ように見えた。その表情は、相変わらず目深に被った鍔広帽の奥深くに隠されていたので、そう言う気配がしただけなのだ。
 『にしても、あのボウヤもやるねぇ。あのいかにも強そうな化け猫と随分仲が良さそうじゃないか』
 「と言うか…あんなのと三下さんが戦ったら、結果は目に見えているじゃないっすか〜」
 「いいなぁ…私もなでなでしてみたいー。ぱふって抱き着いてみたいー。すりすりしたら、気持ち良さそうな毛並みよね〜」
 うっとりとした表情で化け猫を見詰める杞槙を、心配そうに背後から濃いサングラスの奥から見詰める佳凛。
 まぁ、それは置いといて。
 結局、先程までのメンバーに想司としのぶ、ついでに猫の騎士まで加えたバラエティ色豊かなメンバーで、ぶんぶく茶釜猫の捕獲作戦は進攻を開始したのだった。

*捕獲ミッション!・プランニング*

 「さて。と言う訳で取り敢えずは捕獲方法に付いて考えてみたいんですけど…」
 しのぶを臨時の書記に任命して、三下が会議を進める。はーい、と杞槙が挙手をした。
 「やっぱり化け猫って言っても猫さんな事には変わりないのだから〜、猫さんのオモチャとか猫缶とかを用意してみたの。呼んだら出てきてくれるかな?と思って」
 「俺はさっきも言ったけど、マタタビ!猫と言えばマタタビっしょ。でも若干不安もあるんすよね。つうかそのぶんぶく茶釜猫、実際に形が有るのかどうかも分からないし。もしかして霊とか妖怪とか、そう言う類いのモノかもしれないっしょ?」
 『あー、それはそうかもねぇ…でもあたしは、三下がそう言う類いのモノが見えるほど繊細だとは思えないんだけどねぇ』
 「私も同様の事を考えていました。しかも先程少しお話した所に寄れば、三下サンにしか見えない、或いは三下サンの前にしか姿を現わさない…そう言う感じを受けました。何か心当たりは?」
 そう司録に問われて三下が首を傾げる。
 「ボクは自慢じゃないですけど、そう言う霊的な才能は皆無で…心霊スポットとか言われる場所に行って皆怖がってても、ヒトリその感覚が分からずにいることが多いですから」
 「それはっ、きっと三下さんが大らかで大雑把だから、そう言うきめ細かな感覚とは無縁なだけですよっ」
 龍之助は、フォローのつもりでそう言ったのだが、どこからどう聞いてもそれはけなしているとしか…。
 『そりゃねぇ、あたしだってよりによってこんな、激・鈍い男の前にわざわざ姿を現わしたりはしないからねぇ』
 「あ、でも逆に気にされないから、お気楽かもしれませんよ〜?」
 桔梗の呟きに、杞槙がにっこりと微笑んで答える。それはそうかもしれないねぇ、と桔梗も頷いた。それを端から聞いていた龍之助が、抗議する。
 「何を言ってるんっすか!三下さんには三下さんなりの魅力と言うものが…」
 「魅力を磨きたかったらもっと戦いに明け暮れて、より強い相手と鬩ぎ合って、自分を高めていかないと駄目なのに…」
 ぶつぶつと想司が、往生際悪く文句を呟く。その肩を、隣でパイプ椅子に座った猫の騎士がぽむっと叩いた。
 「いやまぁ、この際ボクが鈍いか繊細なのかどうかはともかくとして…ぶんぶく茶釜猫をどうやったら捕まえられるか、って事ですよ。そこがキモなんすけど」
 しのぶがホワイトボードに、『捕獲方法』へと向いた矢印を書いて、その横に『キモ』と律義に書き込む。
 「別にボクは、そのぶんぶく茶釜猫を捕まえてどーこーしようって気はないんです。ただ編集長に見せて、ボクの言ってた事が嘘や戯言じゃない事を証明したいだけで…ボクだって、あやふやな事では此処まで主張しませんよ。ボクが何度か見たぶんぶく茶釜猫は、触れる事は出来ませんでしたけど毛並みに一本一本までちゃんとはっきり見えるほど鮮明で、触ると温かいだろうなと思える程リアルで…電線を渡っていた時も、ちゃんと電線が重みでたわむんですよ?ボクの妄想ってだけなら、そこまで現実味が溢れている訳ないと思うんです!」
 『確かに。三下の妄想なら、コドモの落書きみたいな感じだった、って言われた方がマジっぽく聞こえるからねぇ』
 呟く桔梗の言葉に、三下以外の全員が頷いた。三下は、その頷きが自分の主張に対しての同意だと勘違いして、満足げな表情だ。
 「なので、ここは確実にぶんぶく茶釜猫を無傷で捕まえられる方法を…」
 「そうすると矢張り、多少罠を張る事が必要になって来ると思いますね」
 「罠!?やっぱりそう来なくっちゃ!敵を陥れる事は大事だよねっ☆」
 「はいそこ。黙って」
 嬉しそうに微妙な勘違いをした想司に、さくっとしのぶがツッコむ。
 「罠…つっても、トラバサミみたいなのは俺は嫌っすよ。茶釜猫が怪我しちまう」
 『そうとも、あたしの可愛いがまちゃんが傷ついちまうじゃないか』
 「いえいえ…そんな物騒なものは私も使いたくないですよ」
 司録が低い声で笑う。
 「罠と言ってもそれは茶釜猫をおびき出すだけのものです。それが現実に存在するかしないかは今の段階では不明ですから、まずはその姿を私達も見ない事には」
 「おびき出すって、おいで〜って呼ぶだけじゃダメかなぁ〜?」
 「それもいいかもしれませんが、それよりももっと効率のいいおびき寄せ方あるでしょう。三下サンの話では茶釜猫は三下サンの前にしか姿を現わさない。とすれば、最適な餌…もとい、囮と言えば……?」
 一斉に全員が三下を見る。しのぶも、勿論猫の騎士も。唯一状況を飲み込めていないのは、三下本人だけだった。

*捕獲ミッション!・実行*

 「酷いですうううぅぅ〜」
 三下の涙声が夜の街に細く響く。ここは白王社ビルの屋上、三下が最初にぶんぶく茶釜猫を目撃した現場である。そこの中央、コンクリートの上に直に、手足を縛られた三下がごろりと転がされているのだ。そして他のメンバー達は陰ながら餌…じゃなくて囮に身を挺した三下を見守っているのだ。
 「うう…申し訳ないっす、三下さん……それもこれも、三下さんの名誉を守るためっすから…」
 龍之助が涙ながらにそう言う。その隣で姿を漂わせる桔梗が、芋虫みたいに這いずっている三下を見ながら、
 『でも本当に、こんなんでがまちゃんは出て来るのかねぇ…』
 「出て来なかったら、三下さんの立場がないっすよ!」
 龍之助がヒドイっす!とくっと涙を堪える。手にした猫用のオモチャをゆらゆら揺らしながら杞槙が言った。
 「ぶんぶく茶釜猫さんはきっと、忠雄様の事が好きなんだと思うわ。だから忠雄様の前にしか姿を現わさないのよ。もしかしたら、凄い芸達者な猫さんで何処かで忠雄様を見掛けて恋に落ちたのでは…」
 「器用な猫に芸を仕込むんだったら、もっと実用的な技にすればいいのにね?急所を的確に突く技とか、一瞬で息の根を止める技とか…」
 想司の言葉に、頷いたのは猫の騎士だけだったが。
 の前に、三下が猫に惚れられる云々は納得してしまっているのか、皆さん。
 「……しっ」
 司録が口元に立てた人差し指を当てて皆を静める。口を噤んで、転がったままの三下の方をじっと見ていたメンバーだが、杞槙が小さな声であっ、と言って指を差す。
 『出たね!がまちゃん!』
 桔梗の嬉しそうな声に、メンバーが「しっ!」と諌めるが、幽霊の声は普通聞こえないから大丈夫だと…と言うか、それ以前になんで皆、桔梗の声が聞こえているんだ。
 皆が改めて杞槙の指差した方に意識を集中する。するとそこには、胴体部分は茶道に使用する鉄製の茶釜、それに三毛猫の四肢と頭を付けた生物がとことこと三下目掛けて走ってきているでは無いか。
 「…本当にいたんすね…いや、疑っていた訳じゃねーけど……」
 「…カーワイイ……抱っこしてみたいなぁ〜」
 龍之助と杞槙が同時にそう小声で呟いたのだが、夜だったせいか思ったよりも声は響き、聞きつけたぶんぶく茶釜猫がはっとこちらを向いた。そこに居る人間達(と幽霊)を認めて背中の毛(茶釜だけど)がぼわっと逆立ち、威嚇するようにしゃーッ!と声を上げる。…が、そんな人間達(と幽霊)の背後に立つ、猫の騎士の姿を見た途端……。
 「ぎゃー!」
 さぞかし驚いたらしい、ぶんぶく茶釜猫は目を剥くと、ぼん!と何故か白煙が舞い上がり…ひらひらと何かが一枚空から落ちて来る。コンクリートの上にひらりと落ちたそれは一枚の木の葉で。そして、舞い上がった白煙が収まった後、そこにはなんと一匹の狸が腰を抜かしていたのだった。
 「…これって……狸?」
 想司が隣に立つ猫の騎士に問い掛ける。戦士はこくりと頷いた。
 「ぶんぶく茶釜猫さんは狸さんで?狸さんが猫さんで…?えーと……」
 『…どう言う事なんだい、これは』
 皆がぞろぞろと三下と狸の方へと歩み寄る。狸はビビりながらもなんとか必死で三下の方へと近寄って行き、くーんと鼻を鳴らすとすりすりと擦り寄った。
 「…つまり、三下サンはこの狸に好かれていた…と言うことではないでしょうか」
 「狸に好かれていた?…そうか、やっぱりこの狸も、三下さんの隠れた才能に目をつけてっ☆」
 「違うから」
 さくっと入ったしのぶのツッコミはともかく、他のメンバーはええ!?と口々に驚いた。勿論、その内容はまちまちであったが。
 「そんなっ、酷いです三下さん!俺というものがありながら〜!」
 「それじゃ忠雄様は最初っからこの狸さんと仲良しさんでしたの?ずるいです〜」
 『がまちゃん…三下に惚れてたなんて…趣味悪過ぎ』
 「あの…どう言う事でしょうか」
 イマイチ、当事者の割りには状況が飲み込めていない三下が問い掛ける。司録が、帽子の影で笑いながら言った。
 「簡単な話です。その狸は三下サンの事が好きだった。それで多分、三下サンの役に立とうとして当時話題になっていた化け猫の振りをして姿を現わした。だが当然、三下サンが好きであとをついて回っていた狸だったから、貴方の前にしか姿を現わさなかった…ま、こんなところでしょうかね」
 「………微妙に複雑なんですけど」
 微妙どころか、かなり複雑なんじゃないのか?ケモノに惚れられる男、三下忠雄。侮り難し。

*お約束*

 さて。ここは次の日のアトラス編集部。碇編集長が腕組みをしたまま、じーっと三下の方を睨ん…もとい、見詰めている。
 「……で?もう一回言ってくれる?良く聞き取れなかったわ」
 「ですからっ、ボクが見たぶんぶく茶釜猫はこの狸が木の葉で化けていたモンだったんです!この狸、いやメスだったんですけど、どうやらボクの事が好きで…」
 「ふぅん?だったら見せて欲しいわね。証拠」
 と言っても当然狸が期待に答えて変化(へんげ)してくれる訳もなく。ゲージの中から三下を見詰める視線はアツアツなような気もしたが。
 そうしてやっぱり、三下は失った信用を取り戻す事ができずに…って、ああ、元々信用なんてなかったかも。

 ちなみに、捕獲メンバーに三下のポケットマネーから賞与が支給されたかどうかは不明……。


おわり。


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

【0441/無我・司録/男/50歳/自称・探偵】
【0218/湖影・龍之助/男/17歳/高校生】
【0424/水野・想司/男/14歳/吸血鬼ハンター】
【0616/棗・桔梗/女/394歳/典型的な幽霊】
【0294/四宮・杞槙/女/15歳/カゴの中のお嬢さま】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 ども、お待たせいたしました。ライターの碧川です。
 無我・司録様、水野・想司様、棗・桔梗様、再度のご依頼ありがとうございます。湖影・龍之助様、四宮・杞槙様、ハジメマシテ。この度はご参加ありがとうございました。
 そして最初に、無我様、おめでとうございました。ぶんぶく茶釜猫の正体を一番正解に近く推理してくださいました。他の皆様のプレイングもあながち間違っていなかったので楽しく読まさせて頂きました。ノベルが思いっきりコメディになったのは単なる私がそう言う話が好きだから…って、ぶんぶく茶釜猫でシリアスは無理ですよね(笑)←と言うか私が書けない…(遠い目)
 今回は三下君以外の皆さんが、幽霊の棗様を見て声が聞ける、と言う設定にさせていただきました。霊的能力に付いてはなにも記述が無かったのでどうしようかとも思ったのですが、三下君の鈍さ(笑)を強調したかったので敢えてこう言う形を取らさせて頂きました。ご了承くださいませ。
 それと佳凛、森里しのぶと言うキャラは四宮様、水野様のNPCです。設定等は名前だけでしたのでこちらで適当に考えさせて頂きましたので、こちらもあわせてご了承くださいまし。いやー、やっぱりボディガードって言えば、長身のハンサムで黒サングラスに黒スーツ黒ネクタイが基本ですよね?(そうか?)
 私も大変楽しみながら書かせて頂きました(その割りにはやっぱり煮詰まってたじゃないか)皆様にも、少しでも楽しんで頂けたのなら幸いです。
 それでは、またお会いできる事をお祈りしつつ、これにて失礼致します。