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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


初めてのおつかい

------<オープニング>--------------------------------------
●彼女を守って
「愛加ちゃん、おつかいへ行って来てくれない?」
愛加の母が言った。
「うん、分かったよ。」
愛加は大切そうに母からの財布を受け取り小さなポーチの中へ
しまった。
実は愛加にとってはじめてのおつかいである。
しかし今までおつかいをさせなかったのにそれなりの理由があった。
そして愛加の母からこんな内容が届いた。

題名:『愛加を守ってください』


内容:愛加は生まれつき悪霊をひきつけやすい体質をもっています。
私は霊感が強く、それが遺伝したのでしょう。
しかし、私には悪霊を退治する力をあいにく持ち合わせていません。
愛加もまだ幼く武術などを持ち合わせていません。
しかし愛加をいつまでも家に閉じ込めて、私が守っているわけには
行きません。
愛加と一緒におつかいへいってもらえませんか?
それと最近気づいたことが合ったのですがよく見かける霊が
いるのです。
悪霊かどうかきになるので・・・その辺にも注意をしてください。


●偶然?必然?
「らんらん〜♪」向こうのほうから小さな少女が歌を歌いながらやってきた。
短い茶色髪を一生懸命に結わえた感じだ。
「あちらから誰か来ます」道明寺・裕哉(どうみょうじ・ゆうや)が言った。
「あの子だよね?愛加ちゃんって」月見里・千里(やまなし・ちさと)が言った。
「ちょっとまってな・・・ああ、あの子で合ってる」七森・慎(ななもり・しん)が
ポケットから預かった写真を見て愛加であるかを確かめた。
「えっと・・行き先は『飛鳥マーケット』ですね」
ファルナ・新宮(ふぁるな・しんぐう)は前もって行き先をメモしていた。
それは手書きでかかれた地図だ。
「愛加ちゃんは初めてのおつかい、あくまでも愛加ちゃんは一人でのおつかいだから
うまく偶然をよそおって遭遇しなきゃだめだよね」
七森・沙耶(ななもり・さや)が言った。
「とりあえず、その前に2人組みで組みませんか?」
神無月・征司郎(かんなづき・せいしろう)が言った。
「そうだね、2人ならお互いに状況がみえるし・・一人の人に気をくばれば
いいんだから安全性的にもいいとおもうよ」千里が言った。
「私も賛成だよ」沙耶も同意した。
「私もいい案だとおもいますわ」ファルナも賛成した。
「僕もいいとおもいます」続いて裕哉が賛成した。
「じゃー決まりだな。それで・・誰と誰が組む?」慎が言った。
「じゃー私が最初に手本になるか分かりませんが行ってみますわ。・・裕哉さん
サポート頼んでいいですか?」ファルナが裕哉に声をかけた。
「僕でよければかまいませんよ」裕哉は温厚な面持ちで答えた。
「では、僕たちはあとからいきますね」征司郎がいった。
そしてファルナと裕哉は愛加の元へ向かった。
「すみません」裕哉は優しい笑顔で愛加に近づいた。

そして愛加は足を止めたのでつかさずファルナが尋ねた。
「あの、『飛鳥マーケット』というお店に行きたいのですが、ご存知ですか〜?」
とファルナはどうやら迷った振りをしているようだ。
愛加はなんの警戒心もなく「うん、今から行くところだよ」とむしろ心を開いた
子のように見えるくらい愛加は明るい。
「それでは、一緒に連れて行って下さい」とファルナが笑顔で言った。
「うん」愛加は嬉しそうに言った。
「さーて、私たちもいこっか?」千里が大きく背伸びをして言った。
「ええ・・いきますか、千里さんは僕とでかまいませんか?」征司郎が尋ねた。
「うん、もちろん。ほら、それに沙耶ちゃんのことなら慎くんに任せたほうがいいと
おもうし・・」やはり、千里は沙耶の取り付かれやすい体質を気にしているようだ。
それはきっと少なくとも皆の頭の片隅にあるだろう。
「皆でいきます?3回の偶然だとうたがわれますから・・」征司郎が言った。
「そうだね・・3回目だとさすがに気になるよね」沙耶が言った。
「じゃー4人でいくか」慎が言った。
「しっかし、初めてのおつかい、か・・・。小さいころの沙耶を思い出すな・・」

慎は沙耶の初めてのおつかいの事を思い出していた。


●戦闘開始
千里が愛加に声をかけた。
「あれ、お嬢ちゃんどこ行くのー?」千里はうまく演技をしている。
「飛鳥マーケトにいくんだよ」愛加は相変わらずなんの疑問を持たず答えた。
やはり小さいということと一人で行動することが少ないせいか疑うことを
知らないようだ。
「お姉ちゃんもおつかいなんだ、一緒に行こうか?」千里は笑顔で言った。
「うん、たくさんお兄ちゃんやお姉ちゃんがいる方が楽しいからうれしいな」
愛加がうれしそうに言った。
「あなたの名前は?」裕哉が聞いた。「三嶋・愛加(みしま・あいか)だよ」
「愛加ちゃん、これをあげるよ」慎は愛加に小さな鳥の形をした紙を渡した。
それは悪霊から守るため小さな鳥の姿をした式神だ。
慎は愛加の事を考えてかわいらしく作ったのだ。
「ありがとう」愛加はとても嬉しかった。
「愛加ちゃん、手をつなごうか。」征司郎がそういうと愛加は征司郎の左手を握って
征司郎のほうを見て笑いかけた。
そして「愛加ちゃん、じゃー私と左手をつながない?」沙耶もきいてみると
愛加は嬉しそうに沙耶の右手を握った。
「・・(さっそくきたみたいですね)」裕哉は目でファルナに視線をおくった。
「・・(意外と・・多いし早いですわ)」ファルナも裕哉に視線をおくった。
裕哉は愛加の後ろについた。
「(愛加ちゃんみんなが守ってくれるから大丈夫だよ)愛加ちゃん、
お母さんからは何を買ってくるよう頼まれたの?」沙耶は落ち着いた様子で愛加に
感づかれないように尋ねた。
「今日、お客さんがくるんだ。だからお菓子を買いにいくんだよ。」
愛加は相変わらず嬉しそうに言った。
「僕も一緒だよ。お客さんが来るんです。愛加ちゃんと一緒ですね」
征司郎は同じように微笑み返した。
「(俺からいくぞ・・)」慎も合図を送った。
「(愛加ちゃんにばれないようにね)」千里も合図を送って皆と息を合わすように真剣な
顔をしている。
「・・・・」愛加の顔が一瞬変わった。
「愛加ちゃん?」沙耶は不思議そうに名前をよんだ。
「なにかありましたか?」征司郎がきいた。
「え?・・ううん、なんだか恐い感じがしただけだよ」
愛加の顔は再び先ほどのような元の笑顔に戻った。
そして慎と千里とファルナは愛加から少し距離をおいた。
『いた・・あの体をわが身にして生きる・・』明らかに悪霊だと分かる発言だ。
「そんなことさせるか!」慎は刀を取り出して悪霊を退治していく。
「慎さん!危ないです!!」ファルナの声に慎は反応した。
「くっ・・(よけられるか)」ものすごい数の悪霊がいるようだ。
慎は符術を取り出したが間に合うかは分からない。
その時ロケットパンチが飛んできた。
「慎さん、大丈夫?」裕哉は心配そうに近づいた。
「・・大丈夫だ、裕哉・・ありがとな、ファルナ」どうやら間一髪のようだ。
「いいえ、気をつけてくださいね」ほっとした様子で言った。
ファルナは自分の使役であるゴーレムを呼び出していたのだ。
「しかし、すごい数の悪霊だな」慎は改めて気づいた。
「うん・・・さっきより増えていますね・・」裕哉が言った。
「とり合えず数を減らしましょう。」ファルナが言った。
「そうだね!」千里がアニメの変身魔法少女が使うようなステッキ型の武器を作り出した。
千里は一日に3回自分の望むものを作り出しそれを一時間持続できるのだ。
「いくぞ!サポートも頼むな、裕哉」慎は鬼神・式神を呼び出した。
「はい、能力を増幅させるのも僕の役目です。できるだけ格闘のほうもがんばります」
裕哉の能力はこの対戦ではおおいに役立つものなのだ。
「ええ、踏ん張りましょうね」ファルナが言った。
慎は千里のほうへ近寄った。
「千里、お願いがあるんだ・・」慎は千里にあることを言った。
「え?・・うん、分かったよ」千里は軽くうなずいた。
「強襲護衛メイドファルファ(ゴーレム)ロケットパンチ!!」悪霊どもを次ぎ次ぎ
なぎ倒していくが一向に減らない。
そして慎は刀で次々に倒していく。「体力勝負、というのもあるな・・」
「ファルナさん、慎さん、千里さん・・」裕哉はゴーレム、刀、ステッキに触れた。
「ほれ、力貸してやるよ。しっかり頑張んな(背中押し)」と皆に勇気を与えた。
「そうですわね、弱気ではだめですね。もうひと踏ん張りね、がんばりましょう」
ファルナは汗をぬぐって再び戦闘を開始した。


●愛加の体質
「(皆大丈夫かなー)」沙耶は少し心配していた。
「沙耶さん、大丈夫!」征司郎は愛加に聞こえないように言った。
「咲いたー咲いたーチュウリップの花が〜♪」愛加は楽しそうに歩いている。
「・・・」突然愛加の動きと歌が止まった。
「愛加ちゃん?」征司郎が不思議そうに声をかけた。
「お姉さん誰?」愛加は道を阻むようにして立っている長い髪の金髪の少女に声をかけた。
『・・愛加ちゃん・・』もしかすると愛加の母が言っていたよく見かける
幽霊かもしれない。
「あなたはだれ?」沙耶は息を呑んで尋ねた。
「(やばいかもしれない・・皆いないし・・)」征司郎もピンチを感じていた。
『私は、伝えに来ただけ・・』少女はこちらに優しく微笑んだ。
はっきりいって天使のような微笑・・つまり悪霊にはけして見えない。
そして少女は上を指差した。
『私の威力はもう弱まっているよ・・だから守ってあげられない』
少女の指差した先を見るとこちらを男性が睨んでいる。
『君の体はのっとりやすそうな上に悪霊を呼ぶ力があるんだね。
俺にその体をくれないか?邪悪な魂をその体で支配して俺は強くなれるんだ・・
この世も思い通りになるわけだ』男性は嬉しそうに言った。
「そんなこと、させない・・!」沙耶は力強く言った。
「私は悪霊を呼ぶ体質なの?皆に迷惑かけているの?」愛加は不安そうに聞いた。
「いいえ、僕は迷惑だなんて思っていませんよ」征司郎は優しく抱きしめた。
「愛加ちゃんの笑顔好きだよ、だから笑って見せて」沙耶は愛加の頭を優しくなでた。
『ふん・・愛だか同情だか知らないが邪魔をするなら消し去るまで』
そして男性は邪悪の塊を投げてきた。沙耶と征司郎は愛加を守るような形をとった。
その時慎がくれた式神が光りだし結界を作った。
「結界?お兄ちゃんの式神だ!!」沙耶は前を見た。
『ちっ・・次はないさ!!』少し弱った結界から容赦なく攻撃を仕掛けてくる。
「壊れるかもしれないですね」征司郎が言った。
そして結界が壊れた。
『これで最後だ!!』男性は一発を放った。沙耶は目をつぶったその時
「沙耶ちゃん、征司郎君大丈夫?」そこに現れたのは千里だ。
「千里さん!!」征司郎がびっくりしたように言った。

―― 一方 ――
「てぇいーー」裕哉は自分の霊力を増幅して拳に集め悪霊を退治していく。
「よっと!」慎は自分の使役と刀と符術をうまく使いこなし敵を倒していく。
「ゴーレム、右ですわ!」ファルナはアストラルキャノン砲を使って
悪霊を一気に片付けていく。
「くっそ・・きりがないな・・」慎が言った。
さすがにぶっつづけでは皆、雑魚相手といえども体力を消耗するものである。
「はぁはぁ・・慎さん、ファルナさんどうしますか?」裕哉が声をかけた。
「だいぶ減ったし・・俺が結界でぎりぎりまでひきつけて裕哉の能力でファルナの
ゴーレムを増幅させて攻撃・・これで相当楽になるだろう」慎の案を聞いて2人は
うなずいた。
そして慎は符術を使い結界を張った。慎は悪霊の一転集中の攻撃に耐えている。
「裕哉、いいか?」慎は裕哉がゴーレムの能力増幅ができたか確かめた。
「はい、大丈夫です!」裕哉が言った。
「3・・2・・1」裕哉はタイミングをとった。そして0と同時に慎は結界を解き
ファルナはアストラルキャノン砲を放った。
そして悪霊を見事に退治できた。
「・・ふー・・」ファルナは汗をぬぐった。「急ごう!!」慎が休む暇もなく言い出した。
「え?」2人は慎の急ぐ理由が分からなかった。
「敵だ!俺の式神が反応したんだ!」走りながら慎は状況を説明した。
「千里さんはそのためにいったのですか?」裕哉はきいた。
「そうだ」慎はつかさず答えた。そしてしばらくすると4人の姿が視界に入ってきた。
「お兄ちゃん!」沙耶が慎のほうに気づいた。
「ファルナさん」征司郎も気づいた。
お互いにパートナー同士の無事を確かめた。
「裕哉君・・(良かった皆無事で)皆、遅いよ・・一人で大変だったんだからね」
千里は少し疲れているようだ。


●必要な物と不必要な物
「相手は思っていたより強いよ」千里が言った。
「予想通り悪霊ですか?」ファルナが尋ねた。
「うん、悪霊みたいだよ」沙耶が言った。
「ええ、愛加ちゃんの体をねらっているらしい・・」征司郎も答えた。
『・・あまり邪魔をするなら容赦はしない・・』男性が言った。
「これまた・・よほどの悪霊のようですね」裕哉が言った。
そして男性は念を放ってきた。
慎は少しあわてて結界を張った。体が押しつぶれそうなくらい強い念だ。
「ゴーレム!」ファルナはアストラルキャノン砲を飛ばした。
しかし男は念をはなって途中で爆発させた。
次に千里が攻撃を仕掛けたが念の結界にはばまれて思うようにあたらない。
千里は念をよけたときに足を少しだけ切ってしまったようだが戦闘に支障はないようだ。
『・・・・』男は再び念を放った。
「くっ・・」慎の結界は弱まって一行は吹っ飛ばされた。
しかし慎の強い結界のおかげで怪我の心配はないようだ。
その時小さな金髪の少女がこちらのほうへ歩いてきた。
『・・念は使いようです・・その念を+にできるか−にできるか・・あなたたち次第』
少女は千里の怪我した足に触れた。「痛っっ!!」千里は思わず声がでた。
しかしだんだん痛みがひいてきた。
『これが、+に働く念・・』なんと念で怪我を癒したのだ。
「傷が・・いえた」裕哉はびっくりした。
「これが+に働く念・・」征司郎も驚いた。それは2人だけでなく皆も同じだ。
「しかし・・俺らにどうやってあいつの−の念を+にするんだ?」慎が尋ねた。
少女はこちらに優しく微笑みかけた。
『愛加ちゃん・・心を開くのと開かないのとではずいぶん違うよ・・』
愛加は少女の言っている事が分からなかった。
「?よくわからないよ」愛加は征司郎に抱きついたまま顔をうずめてただ嫌がっている。
『・・念を受け入れる力を』少女は愛加にいった。
突然男が愛加の体に入り込もうとした。しかし沙耶が愛加の前に立った。
「沙耶ちゃん!」千里は急いで近寄ろうとしたが慎に腕をつかまれて止められた。
「慎くん!!」千里は動揺と同時にびっくりした。
「まて・・もしかすると危ない・・」慎が止めた理由は沙耶の取り付かれやすい体質だ。
『・・まー体にのっとれたのだから良いか・・しかしじゃましたお前らを許さない!!』
男は敵意むき出しのようだ。
「沙耶さん・・」心配そうにファルナは見つめた。
「大丈夫!沙耶ちゃんはそう簡単に支配されない」千里が言った。
「ええ、そうです。沙耶さんはきっと大丈夫です」征司郎が言った。
「そうですわね。沙耶さんなら大丈夫ですよね」
ファルナの顔から不安な顔が消えた。
その時に少女が言った。『それが+の心(=念)』少女が言った。
「え?」一同は裕哉は反応した。少女と目が合った裕哉に少女は微笑んだ。
「そっか!・・愛加ちゃん、手をだして」愛加は手を差し出し裕哉は手に触れた。
愛加は不思議そうな顔で裕哉をみた。
「裕哉、なにをするんだ?」慎が不思議そうに聞いた。
「これでよしっ!」裕哉は愛加のなんの能力を増幅させたのかよくわからない。
『・・もう少しでこの体は私のものだ・・』男性は感情が顔に表れ大声で笑った。
「あ、なるほど!」千里が手を合わせて言った。
「なんでも力の強いもののほうへ引っ張られるのと同じように沙耶さんの体から
男性を引き離し愛加ちゃんの方へひきこませるのですね。」
ファルナが言った。
「つまり愛加の元にたどり着く前に退治する・・」慎が言った。
「いちかばちかですね」ファルナが言った。
そして沙耶の体から男が離れはじめた。
『くぅぅ・なんだ・・引きずり出される』男性は抵抗をするが無駄のようだ。
そして沙耶が倒れかかりそうな所を征司郎が支えた。
「沙耶さん、大丈夫ですか?」征司郎は心配そうに沙耶を見た。
男性はじゃまをされ、興奮したのか沙耶と征司郎のほうへ念を放った。
「沙耶――征司郎――!!」慎があわてて叫んだ。
征司郎は気絶をしている沙耶を置いていくことはできない。
その瞬間あの少女が現れた。たった一払いで念を払ってしまった。
『度がすぎます・・戦闘のできない者に手をだすとは・・』少女は真剣な顔をしている。
「いくぞ!」慎は結界を左手で張り右手で刀を持った。
ファルナはゴーレムがいつでも戦闘できるような体勢をとり裕哉はすべての能力を
増幅させた。
千里は1時間たったのでステッキは消えてしまい新たに物を作り出すことにした。
それは封印をさせるためのお札だ。
「エンドレス・サポート」こういう名の封印するためのお札だ。
千里自信も使うのは初めてだが使うことを決意した。
そしてぎりぎりまで慎は耐え結界を解いた。
ファルナがロケットパンチをした後、慎が速攻で男を切った。ファルナの攻撃を避ける
事で精一杯だったためまともに慎の攻撃をまともにくらってしまった。
『くっっ・・消えるのは俺のほうなのか?』男性の目から涙がこぼれた。
沙耶はうつろになりながらも目を覚ました。
「だめ・・あの人は」沙耶は小声で言ったが言葉が途切れて何を言いたいのか
近くにいる征司郎でさえ分からない。
千里はお札を使うのをためらった。罠かもしれないがそれでも信じたかったからだ。
男性は地面にひざまずいた。
『また・・消えるのは俺なのか?』男性は先ほどとは違い落ち着いていた。
『愛加・・』男性は愛加の手に触れようとしたが愛加がびくんとしたので男は
寂しそうな顔で手を引っ込めた。
「君は・・誰?」愛加はどうしても男性が分からなかった。
『・・志羅』そういうと愛加は反応を示した。
「愛加ちゃん、名前に心あたりがあるのですか?」ファルナが聞いた。
「小さいころ飼っていた猫のお名前・・」愛加はためらいながら言った。
「もしかして・・君は雷羅?」愛加は少し不安になりながら聞いた。
少女はこちらに微笑みかけた。
『ええ・・そうです。あなたが私を選んだ。あの時・・引越しのとき一匹しか
連れて行けないといわれたあなたは志羅をおいて言った・・しょせん飼い猫は野生では
愛情もなければえさもとれないから生きていけないのです』
雷羅の顔からは笑みが消えていた。
「違うの・・あの時こっそり、連れて行くつもりだったの・・けどね・・私は・・」
愛加の言葉が途切れてしまい、涙をこぼしていた。
「愛加ちゃん、続きをいわなきゃ・・今しかないんだよ」裕哉が言った。
しかし、思うように声がでない。
「車で眠ってしまった・・」沙耶が口に出した。沙耶は少し苦しそうに言った。
『・・どうして・・あの時・・本当に来る気があったなら眠ったりしないはずだ!』
志羅が言った。
「・・母親が・・愛加に暖かいミルクを飲ませて・・温めさせて眠らせたから・・
母親は感ずいていたから・・」沙耶が答えた。
『なぜ・・お前に分かる・・雷羅、お前か!』男は少し大きな声で言った。
雷羅は沙耶に魂を見せたらしい。
「志羅くん・・あなたは愛加ちゃんのこと好きだったんですね」征司郎が言った。
「だったら、愛加ちゃんのこと信じてあげなきゃな」裕哉が言った。
「そうです。相手を思う気持ちがなければ振り向いてはもらえません」
ファルナ志羅に優しく声をかけた。
『・・どうして?・・俺は必要のない者だったんじゃないのか!!』
志羅は少し苦しそうに言った。志羅は消えかかっていた。つまり、自分の思いが薄れた
ため成仏しそうなのだ。『俺は・・まだ!』
「志羅!!私、志羅のこと大切で必要な子・・だからそんな寂しいこと言わないで」
愛加は自分から志羅に触れた。
志羅は一瞬戸惑ったがとても穏やかな顔をしていた。
「エンドレス・サポート」千里は志羅と雷羅にお札を渡した。
「これはね、サポートするためのもの。あなたたちの気持ちを納めるもの」
2人は顔を見合わせた後お札に触れた。そして2人は消えた。
「よっと・・」慎は手に取りそれを愛加に渡した。
それは緑色の綺麗な石だった。



●その後
慎宛に一通のメールが届いた。
『拝啓、七森慎様。
先日はどうもありがとうございました。《以下省略》
愛加はあの後とてもいい笑顔をしていました。
久しぶりに愛加のすばらしい笑顔を見たきがします。
PS:お兄ちゃん、とってもかっこよかったです――愛加』
慎はそれを読み終えるとあのあと飛鳥スーパーで愛加が一生懸命メモを見て
物を探していたのを思い出した。
「沙耶もあんな感じだったかな。心配で様子見に行ったんだよな」
慎はあのときの事を思い出していた。
そして慎は目を閉じいつのまにか眠りについてしまった。
目を覚ましたときにはもうだいぶ時間が経っていた。
上から毛布がかかっておりどうやら沙耶がかけてくれたようだ。
慎はその毛布を見て少し嬉しくなった。
「沙耶〜」と階段を下りて沙耶の下へ向かった・


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0230/七森・沙耶(ななもり・さや)/女/17/高校生
0565/七森・慎(ななもり・しん)/27/男/陰陽師
0165/月見里・千里/(やまなし・ちさと)/16/女/女子高校生
0158/ファルナ・新宮/(ふぁるな・しんぐう)/16/女/ゴーレムテイマー
0646/道明寺・裕哉/(どうみょうじ・ゆうや)/18/男/アルバイター
0489/神無月・征司郎/(かんなづき・せいしろう)/26/男/自営業
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■         ライター通信          ■
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こんにちは。ライターを担当させていただいた葵桜です。
沙耶さん、慎さん、千里さん、連続で依頼を受けていただいてありがとうございます。
ファルナさん、裕哉さん、征司郎さん、初めて依頼を受けていただいてありがとうございます。
どうでしたか?
今回の物語は「初めてのおつかい」。
結果的にはばれてしまいましたが愛加のおつかいは成功です。
戦闘ではそれぞれにある能力を生かして使わせてもらいました。どちらかというと協調性ですね。
それでは、また別の依頼でお会いできるのを楽しみにしています。