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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


【悪夢の店】
◆夢に見た店
「店を探して欲しいのです。」
依頼人・飯島は消えそうな声で言った。
「夢に出てくる店なのですが、とてもリアルで・・・いや、きっと行った事があるのかもしれない・・・そこは小さなBARで、仮面をつけた女主人がいる店だったと思います・・・。」
飯島の話はなんだか要領を得ない。
悪い薬で夢うつつのような・・・そんなとりとめのない話し方だ。
「店は・・・裏路地にあります。多分、新宿のどこかです。インターネットで情報を見ました。」
それが夢の話なのか現実の話なのか・・・
「古びた木の扉のBARです・・・夢の中に出てくるんですが・・・きっとあるはずなんです。」
依頼人は夢の中に出てくる店の説明を延々と続ける。
どれも不確かで、なのに何処か現実味がある不思議な話だった。
「探してください・・・」
具合でも悪いのか飯島はひどく青ざめている。
顔はげっそりとやつれ、ぐったりと動作が重く、憔悴しきっているようだ。
(憑かれているな。)
草間はそう思った、
繰り返し繰り返し「店を探してくれ」と続ける様を見て確信した。
(果たしてこの店を探すことが良いことなのだろうか・・・)
夢に現れ、死に呼び寄せるたぐいの話は聞き飽きるほど知っている。

だが、依頼人の希望は「店を見つけること」だ。

「そこの店には俺がいるんです。」
飯島はぽつりと言った。
「俺は俺に会いに行かなきゃならないんです。」
草間は飯島の話にドッペルゲンガーの話を思い出す。
いずれにしろ依頼人のためになるとは思えない話ばかりが駆け巡る。
どうしたものか・・・
一瞬断ることも考えたが、断っても飯島は別の事務所を訪ねて同じことを言うだけのことだろう。
「依頼」は「依頼」
それ以上でもなく、それ以下でもなく。それが探偵の鉄則なのかもしれない。
今できることは・・・依頼を「受ける」か「受けない」かだけなのだ。

「わかりました、お力に添えるよう努力します。」

草間に答えられる返事はそれだけだった。

◆夢と現実の狭間
「要領を得ない上に、情報量が少なすぎますね・・・」
大学生の宮小路 皇騎はモニターを睨みながら言った。
座っているのは草間興信所事務所のマシンの前。
「在り来たりな伝説・・・とも考えられますが、逆にだからこそ危険な話だとも考えられる。」
依頼人・飯島の話をまとめた資料を眺めながらそう言うのは高御堂 将人。図書館の司書でもある彼は分身・もしくはドッペルゲンガ―についての書籍も数多く用意していた。
「この手の話のセオリーとしては、店を見つけて、自分に出会ったところで死ぬ・・・と決まっていますね。」
「そんなに自分に会いたいものなのでしょうか?」
疑問を口にしたのは御上 咲耶。
「さぁ、どうでしょうか・・・何故そんなにひかれるのかは本人しかわからないかも知れないでしょう。」
「では、ご本人に直接お伺いしましょうか。」
「どうやって?あの状況では話はまともに聞けそうにないが・・・」
宮小路が疑問に思うのももっともだったが、御上が考えがあるといった風ににこりと微笑む。
「催眠術です。それならば正気の彼より話ができるでしょう。」
「・・・なるほど。」
どこまでできるかは疑問だが試してみる価値はありそうだ。
「では、私は私で店の方を調べてみます。」
宮小路はそう言って再びマシンのモニターと向かい合った。

◆見えぬ道筋
「さて、では私も取り掛かりますか。」
高御堂と御上が出て行った後、事務所の入り口に他者が侵入してこないように鍵をかけ、宮小路はモニターの前に座った。
「肉体のままではキーボードを叩くにも限界がありますからね。」
宮小路は大きく息を吸うと静かに目を閉じた。
何事もなく静かに眠りについたかのような宮小路の内側では劇的な変化が起こっていた。
サイコダイブ
宮小路は精神感応によりネット内へ自分の意識をダイビングさせる術を持っていたのだ。
極彩色が飛び散り、視覚できない不可思議な形態の連なる中を感覚だけで深く潜ってゆく。
ターゲットは都市伝説。
よく耳にする話だけにこの現象が依頼人・飯島1人だけのものとは考えずらい。
同じような条件を備えた話がどこかにあるはずだ。
夢に見る店・仮面の女主人・もう1人の自分・・・
「あった!」
とある都市伝説系のBBSで宮小路は似た内容の話を見つけた。
新宿・・・仮面・・・条件も一致している。
「この後の話まではわからないか・・・しかし、店は見つけた。」
眠りから覚めるように静かに目を開いた宮小路は呟いた。
疲労感が体中を駆け巡っていたが、目的を発見できたという達成感が心地よかった。

◆眠りの底
御上 皇騎と高御堂 将人が依頼人・飯島の家を訪れたときに、同じく飯島のもとを訪れた客があった。
浮遊する魂魄の身でありながら、この世に強く姿を残している司 幽屍である。
「!」
最初にその姿に気がついたのは霊感の強い高御堂であった。
「おっと、除霊はカンベンしてください。私はキミ達と同じ目的で依頼人に面会にきたのです。」
司は皮肉混じりな笑みで答える。
「そちらの獣人の彼も・・・私はあなたにまだ食われるわけには行かないので。」
「失礼だが・・・あなたは肉体をお持ちに見えないのだが・・・」
高御堂が極力控えめにたずねる。
もしかしたら依頼人のこの件と何かかかわりがあるかもしれない。
「自分でも冗談のように思いますが・・・私は除霊をするためにこの世に魂魄のみとなっても姿を残しているのです。」
その姿は50歳前後であろうか、落ち着いた雰囲気がある男はおぼろげな姿で言った。
つまり、除霊する為に幽霊となってもこの世に残る者なのだと。
高御堂と御上もなんと言っていいのか分からず苦笑いする。

「つまり、催眠術で眠っているあなたから詳しいお話をお伺いしたいのです。」
三人は飯島の向かいに座り、事の次第を詳しく伝えた。
とにかく情報が少なすぎる。少しでも情報が欲しかった。
「わかりました・・・では、私はどうしたらいいですか?」
相変わらず夢に浮かされたようなぼんやりとした様子で言った。
「寝室をお借りできますか?そこで後はお休みいただくだけです。」
「ああ・・・はい・・・分かりました。」
飯島はふらりと立ち上がると部屋を出て行った。
三人はその後に続き、寝室へと向かう。
司はその人間らしい行動に付き合う必要はなかったが、一応姿かたちをとっているので形式的にしたがっていた。
「では、この薬を飲んでいただけますか?軽い睡眠誘導薬です。すぐに眠くなりますが、副作用等はありません。」
御上が小さな小ビンの薬を差し出す。
飯島は機械のように自動的に差し出された薬を受け取り、そして飲み干した。
「すぐに効果は現れます。」
御上は横に控えた高御堂に合図する。
「ほう、はやく効く薬ですね。」
感心したのは司。
薬を飲んで横になった途端、深い眠りの底へ落ちていったのが彼には分かった。
「では、私は自分の用件を片付けさせていただきます。お先に。」
そう言うと司はふぅっとその輪郭を溶かし薄暗い寝室の壁の中へ消えていった。
「・・・幽霊の探偵というのは案外便利かもしれませんね。」
消えた司を見て高御堂が暢気に呟いた。
「そんなことより、始めましょう、司さん。」
御上は深い眠りに落ちた飯島に早速質問を始めた。

◆魂の道筋
御上の薬によって眠らされた飯島から細く流れるに「道」ができたのを司は瞬時に見取った。
この道は肉体と魂をつなぐ筋のようなものだ。
場所ならぬ場、空間ならざる空間を駆け抜け、司は飯島からのびた道を辿りつづけた。
多くの場合は夜道ですれ違った霊体とその人物の肉体をつなぐものだったが、この道は飯島の魂の残りと飯島をつないでいるようだ。
霊界と人間界を縫うようにつなぐ道は、幾度もの行き来を繰り返した後、人間界のある場所へたどり着いた。
「ここは・・・?」
古びた木の扉。銅板に美しい書体で刻まれた看板。
『The Opera』
「オペラ座とは怪人の住処にふさわしい名だな。」
司は皮肉な笑みをうかべてその扉を押した。

◆女王陛下の宴
「やっとみつけた!」
自宅のモニターの前で室田 充は思わず声を上げた。
延々と検索を繰り返し、やっとのことで都市伝説系BBSに条件が当てはまる店を見つけた。
新宿・仮面の主人・もう1人の自分・・・間違いない。
気になるのはこの掲示板の書き込み以後、このBBSの常連と思わしき書き込み人がすっかり姿を見せなくなっているところだが・・・
「まぁ、僕が夢見てうなされてる訳じゃないから大丈夫でしょ♪」
と、気軽にやり過ごし、店を訪れるための晴れ着を調え始めた。
「店の名前が「オペラ座」ならば普段着では失礼ってモンでしょう。命がけで飲む酒の味ってのも気になるしねぇ。」
室田はクローゼットの中から一際艶やかなドレスを取り出す。
ドラァグクイーン。語源は「裾を引くもの。」
その名にふさわしく上品な紫色のドレスは美しいレースの裾をゆったりと床に広げている。
上半身はスパンコールとオーストリッチの柔らかな羽に飾られ、このドレスに袖を通すだけで魂まで生まれ変わるような心地がした。
「さて、フルメイクでお邪魔させていただくわ。オペラ座にふさわしい装いでね。」

◆魂の秘密
「・・・とんでもないことを聞いてしまいましたね。」
呆然と御上が呟く。
深い催眠状態に陥った飯島が告白したことは恐ろしい事実だった。
寝言から何か探れるかもしれない・・・このくらいの気持ちで始めた調査だったが、思わぬ事実を拾い上げてしまった。
「このコトと・・・夢のことは関係あると思いますか?」
「どうやら夢が始まったのはこのコトがあってかららしい・・・関係ないとは言い切れないと思います。」
高御堂が思案深げに言う。
その時、御上の持っていた携帯電話が鳴った。
「はい・・・はい、わかりました。では・・・店で合流しましょう。」
事務所に残った宮小路が店の場所がわかったと連絡してきたのだった。
一息すると店の場所がメールで送られてきた。
「依頼人を連れて、とりあえず店に行きましょう。今回の件とかかわりが無い事ならば、私達はこの事を口外してはならないと思います。」
高御堂も御上の言葉に同意して頷く。
依頼人の秘守義務。これも探偵としての心得の一つだ。
「しかし、ますますもって嫌な予感がしますね。」
御上は未だ眠りから覚めない男の顔をみて苦く呟いた。

◆オペラ座の怪人
宮小路は高御堂と御上に連絡を入れると、単身店へと急いだ。
店に何があるのかはわからない。依頼人が来る前に確認する必要がある。
店に待ち受ける「もう1人の依頼人」が依頼人の命を狙うものであるならば、それを阻止しなくてはならない。
宮小路は足早に新宿の路地を急ぐ。
調べてきた場所が確かならばこのすぐそばのはずだ。
にぎやかな繁華街から外れ、人影もない路地を道にそって急ぐ。
「ここか・・・」
古びた木の扉。銅板に美しい書体で刻まれた看板。
『The Opera』
裏路地にひっそりとネオンもなく存在する店は、時代を超えてそこにある遺跡のようにも見える。
宮小路はゴクリと喉をならし、慎重にその扉を押し開けた。

「いらっしゃいませ。今宵はお客様が多い日ですわね。」
店に入るとカウンターの向うにワインカラーのシンプルなドレスに身をつつんだ美貌の女性が微笑んでいた。
その美しい顔の右半面は白い磁器のような仮面で覆われている。
まるでオペラ座の怪人に出てくる「音楽の天使」のようだ。
「何になさいます?」
「あなたが・・・この店のご主人?」
優雅な仕草で注文をたずねる女性にたずねた。
「そうよ、彼女こそがこのオペラ座に住まいし主人「オペラ」さんよ。」
カウンターの奥に腰掛けたほろ酔い加減の美女が声をかけてくる。
いや、美人ではあるが女性ではないようだ。
「草間興信所からきたのね。私もお仲間よ。この店を調べてたどり着いた。今ではすっかり此処に魅せられているけれどね。」
シャンパンの注がれたフルートグラスを高々と掲げながら室田 充ことアンジェラは機嫌よく唱えた。
「もう1人の飯島氏はまだお見えになっておりません。ここで待つしかないと、今、私達も言われたところなのです。」
アンジェラの隣りに腰掛けた中年の男性が宮小路に言う。
「あなたは・・・?」
宮小路はどう見ても生身の人間ではない男にどう対応したものか悩んだ。
「オペラ座に住まうことが許されるのは「プリマ・ドンナ」と「プリオ・ウォム」そして「ファントム」。私のお店では全て平等にお客様ですわ。」
オペラが妖艶な笑みを浮かべて微笑む。
宮小路は店の中の奇妙な面々を見回す。
プリマドンナのアンジェラ、ファントムの司、プリモ・ウォムは自分ということか?
「では、貴女は何者なのです?オペラさん・・・」
「オペラ座に住まう主の名は「天使」。違いまして?」
宮小路にもシャンパンの入ったグラスを差し出しながらオペラはより一層妖艶な笑みで微笑んだ。
その時、チリリン・・・とドアベルが新たな客の訪れを告げた。
「いらっしゃいませ。」
オペラが告げ、その客の方を一同が振り返るとそこに立っていたのは飯島だった。

◆常連の椅子
飯島はしっかりとした足取りで店内に入ってくると一番入り口寄りの席に腰掛けた。
「俺はまだ来ませんか?」
オペラの差し出すグラスを受け取りながら飯島はオペラにたずねた。
「まだ、お見えになってませんわ。でも、今宵はお客様が多いから、お見えになるかもしれませんね。」
オペラはそう言うと、店にいる一同の方を向いて微笑んだ。
一同は目を見張って今入ってきた男を見つめている。
今入ってきた飯島がたぶん「もう1人の飯島」だ。
そして、彼が待っている人物こそ依頼人・飯島のことだろう。
宮小路はそっと飯島の様子を探る。
カウンターで静かに待っている飯島から悪いものは何も感じない。
清々しいほどすっきりしたものだ。
これならば、飯島に合わせても害はなさそうだ。
「おにぃさん、お待ちの方とはどういったご関係?」
気が付くとアンジェラがいつの間にか席を移動し、飯島の隣りに座った。
「あ、あの・・・」
「私はアンジェラ。このお店は初めてなんだけど・・・ヨロシクネ♪」
アンジェラは目いっぱい色っぽい瞳で微笑む。
どう見ても男なのだが・・・その迫力に押されたように待ち人・飯島は答えた。
「待っているのはもう一人の自分です。僕は・・・彼のリョウシンなんです。」
「りょうしん・・・両親?親御さん?」
「いいえ、良い方の心。良心です。」
「あらまぁ、良心なの・・・。」
アンジェラが不思議なことを聞いたように首をかしげているところに、再びドアベルが来客を告げた。

◆待ち人来たり
「いらっしゃいませ。お待ちかねですわよ。」
オペラが入ってきた客に微笑む。
そこにはうつろな瞳の男が立っている。依頼人の飯島だった。
その後ろには高御堂と御上の姿もある。
高御堂はすばやく宮小路のそばに移動し、彼の耳元で囁いた。
「これはいったいどういう事なんですか?」
「俺にも良くわからないのだが・・・彼の待ち人・・・もう1人の飯島氏は彼の「良心」だというんだ。」
「良心・・・?」
高御堂は眼鏡の奥の瞳を曇らせる。
良心とは・・・なんなのだろう?

呆けたようにたったままもう1人の自分を見つめる依頼人・飯島に、待ち人・飯島が歩み寄る。
「やっと会えたな。」
待ち人・飯島は依頼人・飯島の肩に手をかける。
その手が触れた瞬間、びくっと依頼人・飯島の体が震え、今までぼんやりと濁っていた瞳に急激に焦点が戻る。
「う・・・あ、お、俺だ・・・」
「そう、お前だよ。」
依頼人・飯島はひどく怯えていた。
だらだらと冷や汗をながし、顔色は紙のように白い。
「1年前にあの夜道で女を刺し殺したお前だ。」
待ち人・飯島は静かに言う。
まるで裁判官が容疑者にその罪を告げるように。
「覚えているか?覚えているよな・・・お前が殺したんだ。腹をナイフで抉って・・・こんな風になっ!」
「!」
待ち人・飯島がどこから持ち出したのか刃渡り30センチはある大ぶりなナイフを勢いよく振り上げた。

「御上!止めろ!」
高御堂は二人の飯島の側に立っていた御上に咄嗟に声をかける。
御上はほとんど反射的に待ち人・飯島のナイフを振り上げたその腕に蹴りを繰り出した・・・
「ぐっ・・・がぁ・・・」
「!?」
依頼人・飯島が苦鳴と共に崩れ落ちるのと、空を切って空振りした足が、カウンターの椅子をけり倒したのはほぼ同時だった。

◆閉店時間
「な、何が起こったの・・・」
アンジェラが足元にうずくまったまま動かなくなってしまった依頼人・飯島を見て言った。
ナイフを構えていた待ち人・飯島の姿はどこにもない。
「血・・・」
うずくまる飯島の足元に血だまりが広がる。
御上とアンジェラがうずくまったままの飯島を抱き起こすと、彼は胸に深々とナイフを突き刺されて死亡していた。
「え・・・どういうこと!?」
「自殺・・・ですね。」
司が静かに言った。
「良心を取り戻した彼は・・・罪の意識に苛まれて自殺したんですよ。」
「そんな・・・」
確かに言われると、飯島は自分の胸を刺しているナイフの柄を自分でしっかりと握り締めていた。
「飯島は・・・1年前の通り魔事件の犯人だったんです。」
高御堂が言う。先ほど御上と二人で催眠中に知りえた知識だった。
「最初飯島は自首するつもりだったようです。言い争いの末、咄嗟に殺してしまったことをひどく悔やんで・・・」
「しかし目撃者もなく、事件解決は行き詰まっていた。それをいいことに、飯島は誰にも言わず逃げ切ることを決めた。」
高御堂の言葉を御上が続ける。
「そして夢が始まった。失ってしまった自分の半身・・・自分の良心が待つこの店の夢を。」
「この方の物語はこれで終幕ですわね。」
いつの間にかカウンターの外に回ったオペラが、飯島の遺体を静かに抱き上げた。
そして、肩に羽織っていたケープをすうっと飯島の遺体にかぶせると、その上を魔術師が呪文をかけるようにやわらかく撫でる。
「あ・・・」
オペラの指先が飯島の遺体を撫で最後にケープの裾を摘んで、すっと持ち上げるとそこにあった筈の遺体も血だまりも消えていた。
妖しげな手品でも見ているような感じだ。
「このお店が見つかったということは、皆様にもそれぞれの役割がどこかで待っているということですわね。どうぞ、待ち人が現れたときはまたお店へお越しください。お待ちしておりますわ。」
オペラは立ち上がると微笑んだ。
「本日は看板です。お休みなさいませ、皆様。」

ちりりん・・・

軽やかなドアベルの音が響き、一同が我に返るとそこには暗い路地が人が下もなく続いているだけだった。

The End ?
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0790 / 司・幽屍 / 男 / 50 / 幽霊
0076 / 室田・充 / 男 / 29 / サラリーマン
0461 / 宮小路・皇騎 / 男 / 20 / 大学生
0092 / 高御堂・将人 / 男 / 25 / 図書館司書
0475 / 御上・咲耶 / 男 / 18 / 高校生

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■         ライター通信          ■
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今日は。今回は私の依頼をお引き受けいただき、ありがとうございました。
多くの方が予想されたとおりの結末と申しますか・・・しょうしょう奇妙な結末になりましたが如何でしたでしょうか?
高御堂さんと御上さんは他のプレイヤーの方とは着眼点が違ったのがポイントでしたね。三上さんの獣人としての設定が活躍できませんでしたが、着眼点が違ったために話の本筋が見抜けたキャラクターの一人だったと思います。これからもご活躍を期待しております。
それでは、また、どこかでお会いいたしましょう。
お疲れ様でした。