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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


リリムさん。

「リリムさんリリムさん出てきてください」
渋谷の女子高生を中心に、「リリムさん」という占いが流行している。
おそらくこれは、「こっくりさん」などの類だろう。
それと同時に、女子高生が原因不明の精神病にかかり発狂するなどの事件も多発しているという。
これはその「リリムさん」と関係があるのではないか。

「また女子高生がターゲットかよ!」
 七森恭一は焦りを感じた。
 またしても、妹・沙耶と同年代の女性をターゲットにした事件だ。
 このような事件に、沙耶が巻き込まれる前に、何としても解決せねばならない。

「…リリムさん…?ふざけた真似を」
 ロゼはこの情報を耳にし、すぐに、何者かがオカルト占いを利用して邪業を成している、ということに気付いた。
 それに、「リリム」という単語には聞き覚えがあった。
 そう。最近発生している吸血鬼がらみの事件の黒幕「リリス」の駒。
 彼女らも、「リリム」と呼ばれている。
「…急いだほうがよさそうなのは、確かだな」

『…リリムさん、って占いやった友達が、発狂して、今、精神病院に入院しているの。他にも、同じようなコ、いっぱいいるみたい』
 御堂譲の脳裏に、女友達のその言葉がリフレインしている。
「…リリム、といえば、淫魔の名前だけど、何か関係があるのかな」
 本当に、淫魔でなくともその類…魔性の存在が関わっているのだとしたら。
 放っておけば、被害は大きくなる一方で。
「…僕がやらなければ、ならないかもな」
 自分の力は、そのような魔性の者とも戦える力である。
 そして、力を持つ者は力のない者のために戦わなければならない。
 譲はそう考えていた。

 風野想貴も、「リリムさん」の情報は聞いていた。
「…また、あの吸血鬼事件の黒幕が関わっているのか?」
 吸血鬼がらみの事件の黒幕は「リリス」といい、「リリム」は彼女の作った、言わば使い魔であることは、ネットの裏情報を通じて判った。
 ふと、最初に彼の接触した事件に巻き込まれて妹を殺された少女の顔が浮かぶ。
 まだ、約束した「仇討ち」は果たせていない。
「うっ」
 ゲホッ、ゴホッ!
「そろそろ限界なのか…?」

「…アンパイアの次はコックリさんッスか…。恭一さん、そういうの好きなんスか?」
 相変わらず(?)ボケ全開の征城大悟。
「別に好きでやってるわけじゃない」
 しかし、相方の恭一も慣れたもので、あっさりとかわす。
「じゃあ何で?」
「例の吸血鬼が絡んでるかもしれない、って話だからさ」
「!」
 ここでようやく状況を理解する大悟。
「あれッスか」
「そうだ」
「ところでやり方は誰に聞いたんスか?」
「妹だ」
 余談だが、妹には、くどいぐらいに「お前はやるなよ」と言っていたのは、お約束中のお約束である。
「んじゃ、早速やりますか」

 譲とロゼは同じ場所にいた。
 渋谷の女子高生達の「儀式」に参加し、「リリム」の正体を暴いて退治する、という共通の目的が二人にはあったのである。
 儀式は簡単なものである。簡単な図形の魔法陣を紙に描いたものを床に置いて、この手の占いでの定番通り「リリムさんリリムさん出てきてください」と呪文(?)を唱える。
 すると、魔法陣を通して、リリムが現れた。
「…ち…人ならざる力を持つ者がいるな…」
(やはり、前回ゲームを通じて現れたリリムとは格が違うか。まああれはプログラミングに過ぎない存在だったから知性がないのも当たり前だったが…)
「君たちは逃げて」
 譲は女子高生達を逃がすと、ロゼに言った。
「相手、只者ではありませんね」
「そうだな。しかし、「本体」の「リリス」ほどではなかろう」
 二人はほぼ同時にリリムに斬りかかった。
 リリムはかろうじて攻撃をかわすと衝撃波を放った。
 しかし二人に大きなダメージを与えるような威力のものではなかった。
「ふん。やはり雑魚か」
 聖水をかけると、リリムは消えた。
「…あなたは事情に詳しいようですね。少し、説明していただけませんか?」
「…よかろう」
 ロゼは譲に、一連の吸血鬼事件とその黒幕「リリス」について、一部だが、語った。
「…では、彼女がまた事件を引き起こすこともあるのですね…」

 想貴は単純な作業を繰り返していた。
 リリムを召喚し、それを何度も無に帰す。
 そうすることで黒幕のリリスの興味を引こうと考えたのだ。
『そんなことをしても無駄よ』
 声が聞こえた。
 パソコンがいつの間にかついている。
 それにリリスが映し出されていた。
「何がだ?」
『私を倒そうとしたのだろうけど、無駄よ。私は死ぬことはないの』
 それだけ言い残してリリスの映像は消えた。
 つーか、電化製品全部止まっている。
「…停電?」

 …恭一と大悟は、ラジオを聞いていた。
『謎の停電により都内全域が被害に…』
「あの、マズったんじゃないッスか?」
「…」
 恭一は出てきたリリスに最強レベルの電撃を食らわせた。
 だがそれは、家電製品の抜かれたコンセントを通じて電線を走り、繋がれていた都内の電化製品を全部パンクさせてしまったのである。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0423/ロゼ・クロイツ/女/2/元・悪魔払い師の助手
0463/七森恭一/男/23/会社員
0588/御堂譲/男/17/高校生
0662/征城大悟/男/23/長距離トラック運転手
0711/風野想貴/男/17/未来から来た少年
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■         ライター通信          ■
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吸血鬼シリーズこっくりさん編。
そして恭一さんの電撃の被害は留まるところをしらない(笑)。
どうも、蒼華です。毎度ありがとうございます。
感想などお待ちしております。ちゃんと返事も出しますのでよろしくです。
では、今回はこの辺で。