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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


『狐(依頼ふたたび編)』


●狐の依頼ふたたび

それは一件のゴーストネットの掲示板から始まった。

「皆さん、こんにちは銀です。」
それは前に『狐』の依頼で助けられた狐族の銀である。
『今日は皆さんにお願いがあってきたんだ・・
実は僕は狐霊で、狐霊にはお仕事があるんだ。
お仕事がこなせないと僕は生まれ変わることができない・・。
最近、森にある井戸から悪霊を探し出すんだけどその井戸を
ねらう霊がいるようなんだ。
井戸は年に一度だけ精力を失いかける日があるんだ。
その日が迫っているんだ。
それで霊退治のお手伝いして欲しいんだ。


僕は仕事ができなくなったら永遠に眠り
続けなくてはいけなくなるんだ。』
こんな依頼内容だった。

●宝玉の能力
前にも訪れたことのある見覚えのある景色。
そこは狐族の銀と出会った場所である。
「銀君〜久しぶり!!」月見里・千里(やまなし・ちさと)は嬉しくて銀に抱きついた。
銀はいきなりだったためびっくりした。
「わぁ〜千里お姉ちゃん!」銀は嬉しそうに千里に抱きつき返した。
「千里は相変わらず元気だな・・銀、久しぶり」神坐生・楓(かんざき・かえで)が
銀の頭を軽く撫でながら言った。
「楓お兄ちゃん、久しぶりだね。お兄ちゃんがいると心強いな」
銀は楓の手の温もりを気持ちよさそうに耳を動かした。
「銀君、お久しぶりだね」聞き覚えのあるこの声はまさしく
七森・沙耶(ななもり・さや)の声である。
「銀、久しぶりだな」この心地よい声は七森・慎(ななもり・しん)である。
銀は嬉しそうに耳をたてらせてて尻尾が動かしながら沙耶と慎に抱きついた。
以前とは違って本当に明るい。
「銀、はじめまして。」守崎・北斗(もりさき・ほくと)が銀に声をかけた。
「北斗お兄さんだね・・」銀は北斗の手に触れながら言った。
一行はびっくりした。それは以前の銀が手に触れて相手の心を読むことが
できるとは知らなかったからだ。
「僕ね、宝玉が今4つあるんだ・・以前は2つで、玉が増えたことによって
能力がついたんだ!」銀は嬉しそうに言った。
その宝玉は美しく光っていた。
「北斗お兄さん、僕たちはもうお友達だよね?」銀が少し不安そうに聞いた。
「もちろんだ、銀」銀は前に千里に教わった人間の友達の印である握手を
北斗と交わした。
相変わらず銀は人の温もりをうれしく感じているらしい。
宝玉が多いのは強い証とも言えるため難しい難題《=依頼》が待ち受けているのだ。
「銀、俺は銀の事知らない相手じゃないから、親近感がある。
だからこの依頼受けたんだ。霊退治は得意分野だから頼っていいからな」
楓が銀に向かって少し照れながら言った。
「そうだね、私たちは友達だよ。銀くんのために私がんばる!」沙耶は少し気合を入れた。
「俺も銀のこと友達だと思ってる。・・霊の退治か。俺ももちろん手伝おう」
慎は優しく笑顔を見せながら言った。
「もちろん俺もだ!友達なんだし、こういう時に助け合ってやる!」
北斗は少し楽しそうに言った。
「そうだよ、銀君!そういうことならちゃんと相談してよね☆友達なんだし♪」
と千里は銀の背中をばしばし叩いた。
銀は痛がるそぶりというよりは皆の心持ちがうれしく照れた顔をしている。
「銀君、私は皆みたいに退治したり成仏する能力がないから銀君の邪魔しちゃうかも
しれないけど・・銀君が消えちゃうのは嫌だよ!」沙耶は銀に向かって涙目で言った。
「お姉ちゃん・・お姉ちゃんには人を説得したりする『優しい心』があるよ?
僕はそれがすごく励みでもあるし、僕を安心させてくれるよ」
銀が言ったこの一言は銀にとっては当たり前の一言であったが
沙耶にとってはすごく嬉しい事だった。
「もちろん、千里お姉ちゃんも楓お兄ちゃんも慎お兄さんも北斗お兄さんもとっても
僕の励みになって大切な人だよ」銀の言葉は周囲を不思議と和やかな雰囲気にしてくれる。
「銀、がんばろうな」楓は銀の頭を撫でながら言った。
相変わらず銀は心地良さそうな顔をする。
「銀の力になれるようにするからな」北斗が言った。
「もちろん、銀に自分の持つ力で手伝うからな」慎の手を離さない銀に言った。
おそらく銀は慎や楓や北斗の大きな手が好きなんだろう。
「私もがんばるよ!!銀君の事守ってあげたいもん」千里もそう言った。
「うん、もちろん私もがんばるね」沙耶も笑顔で言った。
沙耶も楓も北斗も慎も千里も銀に当たり前のように返してくる言葉、
銀にとってそれがなによりも嬉しかった。


●古井戸(一日目)
「ここが・・銀が言っていたところ?」北斗が聞いた。
そこは山奥で誰一人踏み入れていない場所のようだ。
むしろ迷ってしまいそうな所まで入ってきている感じだ。
「うん、ここだよ。精力の現象は明日だけどね」そう言いながら銀は古井戸を覗き込んだ。
「何してるの?銀君?」千里が不思議そうに聞いた。
銀は千里の方を振り返って答えた。
「霊たちの声を教えてくれるんだ、この井戸は・・」
そしてその言葉を聞いて慎が古井戸の前に座り耳を済ませた。
「・・どう?お兄ちゃん何か聞こえる?」沙耶が間を空けてから尋ねた。
「うん・・かすかに・・」慎が少し霊の声を聞き取りにくそうに言った。
「お兄さん、人間には基本的には聞こえないのにお兄さんはすごいよ!」
銀が驚きを見せながら言った。
「・・あっ!俺にもきこえる・・」楓と北斗が声を合わせていった。
「あっ!お前にも聞こえたんだ」楓が目線を井戸から離し北斗の方を見た。
「・・・」北斗が楓の事をじっと見てきた。
「楓・・お前俺の名前知ってる?」突然に質問に楓は驚いた。
「はっ?なに言ってるんだ?北斗だろ?」当たり前のような口調で楓が答えた。
「・・覚えているんだ」本当のところを言うと北斗は楓と会うのは久しぶりなため自分の事を楓が忘れているのではないかと感じていた。
しかし楓の反応が良かったため北斗は嬉しくなった。
「ねー、銀君。宝玉っていくつ集めるものなの?」
銀に千里が少し疑問に思っていたことを聞いてみた。
「えーとね・・よく分からないけど、一般的に言われるのが6つかな・・?」
銀が記憶を頼りに言った。
「じゃーこの依頼をこなせばあと1つになるかもしれないんだね」
千里は嬉しそうに言った。
「お兄ちゃん、どんな声が聞こえてくる?」沙耶も耳を済ませながら聞いた。
「んー・・そうだな・・なんかどっちかっていうと無駄話に似ている会話・・」
沙耶は慎の答えた意味がよく分からなかったが沙耶自信も耳を済ませてみると納得できた。
「霊の声を聞く第一条件ってあるんだよ、だから皆にも聞こえるんだ」
銀が井戸の周りの壁の上に座った。
「第一条件?」楓が聞き返した。「うん、人を思いやる心、優しい心、温かい心・・」
銀が自分の胸に手をあてながら言った。
「う・・ん」千里は手に胸を当て考えた。
「千里?・・確かにどうやったら分かるかは分かんないよな」
千里の行動の意味が分かった北斗は微笑しながら言った。
「うーんと・・」銀はどうやったら証を示せるか思いつかなかった。
その時、銀が慎をじっと見てきたので慎が答えた。
「簡単だ。ようは俺らは銀を手助けしたいと思った、それがそうだ」
銀は慎の解説を聞き入り慎の顔をじっとみたのち微笑んだ。
「今日はなんだか来なさそうだね」千里は辺りを見渡し日がおちかけた頃に言った。
「ああ、そうだな」楓も一つ息を大きくはいて言った。
そして一行は本日はあきらめ明日に備え疲れを癒しに戻った。


●古井戸(二日目)
「今日は昨日よりいい天気だね」
沙耶が背筋を伸ばしながら言いそして井戸の壁に寄りかかって座った。
どうやら、昨日の疲れもあるのか疲れて座ったようだ。
「本当だな。昨日よりも景色がはっきり見えてきれいだな」
慎が沙耶の隣に座って言った。沙耶は慎と目が合い、微笑んだ。
沙耶は慎が自分の事を心配してくれているのを自分自身一番良く知っている。
「お兄ちゃん、ありがとう」沙耶の突然の発言が慎にはよく分からなかった。
――数分後――
銀の耳がぴくっと動いた。「どうしたの?銀くん」千里が銀の異変に気がついた。
「う・・ん、なんか今やな感じが・・」銀はキョロキョロと辺りを落ち着きが
ないくらい見渡す。「銀、どうだ?」楓が銀に尋ねた。
「・・霊?」銀が一言を放つと風がおきた。
明らかにただの風ではない。霊、特有の嫌な風と気配である。
その風で銀の軽い体がふわりと浮いた。
「へっ!」銀は少しびっくりした。すぐに風はやんだ。
「大丈夫か?」楓が全体を見渡した。「・・あれ?」隣にいた銀がいない。
慎ももう一つあることに気づいた。「北斗もいない気が・・」
そういうと上から声が聞こえた。
「ここだ!!銀が軽すぎて飛ばされそうだから木に移っただけだ」北斗の言葉で
沙耶も千里も慎も楓もほっとした。北斗の身軽さを楓は知っているので一番安心
しただろう。「でも、今の風なんだったの?」千里は霊の気配を探る。
慎は沙耶と一緒にいる。沙耶の取り付かれやすい体質を心配してのことだ。
それはきっと千里においても楓においても北斗においても沙耶の体質の事が
少なくとも頭の片隅にあるだろう。
北斗が木の上から辺りを見渡す。その瞬間、銀が突然木から落ちた。
「銀!!」素早く楓が反応した。そして大ビンクキャッチした。
「楓、大丈夫か?!」木の上から見た光景に北斗は心配する。
「大丈夫・・・」そして銀が目をやっと開けた。
「お兄さん、大丈夫?!!ゴメンネ・・僕の不注意だ・・」銀の耳がしゅんっとしている。
「いや・・大丈夫。」楓は銀の反応を見て頭を撫でた。
「まって、私が見た限り明らかに降りたというよりは落ちたという体勢だよ!」
千里は銀が自分から降りたという体勢にはどうしても見えなかった。
「ああ、俺もそう思うな。北斗、何か通らなかったか?」
楓が北斗に向かって銀を支えながら聞いた。
慎は上を見上げている。北斗は少し慎の行動が気になって楓の質問に答えるのに遅れた。
「えっ?・・う・・うん、確かか分からないけど一瞬、もあっと気持ち悪い
空気が流れたきがした・・」北斗は自信なさげに言った。
「・・」相変わらず無言で空を見る慎が北斗は気になって仕方がない。
そして慎が突然反応して楓の方を向いた。
「楓!!危ない〜!!」慎の言葉に楓は反応したが銀がいるため動きが鈍くなった。

『〜遅い!!』

それはまさしく霊の声だ。どうやら狙いは銀のようだ。
すばやく符術をとりだし見事なコントロールで楓と銀の方へ投げた。
そのとたん結界ができ霊は吹っ飛んだ。
その時はじめて霊の姿を目にした。以外にも小さな少女だった。
『痛ったた・・ぎゃーもー最悪・・痛いじゃない!!』
(なんというか・・わがまま?)っと一行は心の中で思ってしまった。
『きぃぃーーもう、私はこの井戸を壊したいのに貴方が邪魔するからよ!』
少女は一人でおもいっきり切れている。
「でも・・僕、この井戸ないと困るんだ!」銀は必死に言った。
『・・私はいらない、ってか私のいらないものは皆も入らないのよ』と少女は言った。
一行は(なんて自己中心的で・・わがままだ)今度は確信したように思った。
「銀くんのお仕事の邪魔をしないでほしいの。お仕事ができないと銀くんは永遠に眠り続けなくちゃいけないの。だから、お願い・・」沙耶は少女に寂しそうに言った。
『やっ!(ぷいっ)』以外にも少女の答えはそっけなかった。
「でも、どうして?井戸を壊したいなんて・・・」千里は動揺しながら尋ねた。
少女は黙ったままこちらを見てきた。その目は何かを見下したような、
なんとも冷たい目である。
「・・貴方はどうしてここにいるの?」沙耶が尋ねた。
小さな少女なら恐らく念はあるだろうから沙耶は解決してあげたかった。
その時、千里が何かに気づくように後ろをぱっとみた。
「沙耶ちゃん!!」千里の焦った声に沙耶は反応した。
「えっ?」その瞬間沙耶の体がふわりと浮いた。
「沙耶!!」慎が思わず大声をあげて沙耶を引き戻そうとしたが巻き込まれれば
沙耶を助ける事ができない。そのため楓が腕を押さえた。
「慎、まて!直接助けるのはあぶない!!」北斗と楓が焦ってとめに入った。
「っっ・・」慎は動きを止めた。
『大丈夫・・害など加えない・・』そこにはもう一人霊がいた。
男で、歳は15・6だろう。その男は優しい笑顔を見せるが少女見たくなんだか冷たい
眼差しだ。そして千里が一生懸命アイディアをねる。
「こんなんじゃ、へたに攻撃できないな・・」
沙耶の安全を守る事と霊のすぐれたこの速さが一行を下手に動けなくさせる。
「いったいどうすればいいのかな・・」千里は考えながらふっと銀に目をやった。
「銀君、なにかついてるよ?」千里は銀の頭からそれを取った。
「なにがついてたの?」銀が尋ねた。「葉っぱだよ」千里はそれを銀に渡した。
「ありがとう、葉っぱって風に乗ると早いから気づかなかったよ。」
「早い・・スピード勝負・・だよね!」千里は考えた後、ある一つの案を思いついた。
3人に伝えるために千里は小声で3人を呼んだ。
3人は耳をこちらに傾けた。そして千里は作戦内容を伝えた。
楓は退魔の剣であり自分の名をもらった『楓』を取り出した。
『・・どうする?』男が少女に声をかけた。
『叶は手ださないでいい・・見学していて』少女がそういうと男は木の上に気を失った沙耶をちょこんと座らしてこちらを観察している。そして楓と北斗が左右に分かれ走り出した。
さすがに運動神経抜群の2人には霊の攻撃を避けながら走るのはお手の物だ。
『こざかしい!』
霊が気をとられているうちに慎が符術をつかい銀の周りに結界を張った。
「銀、まっていろよ」慎の大きな手が銀の頭に触れた。
「ん・・」銀は自分には何にもできないのかと思うと涙目になりながら返事した。
「銀君、笑顔見せて。私たちが力の源になるんだよ」
千里の言葉を聞いた銀はテレながら笑いかけた。


●古井戸(二日目)戦闘編
「ん・・」沙耶は目を覚ました。目の前には男の人がいた。
「あれ?・・あなた・・幽体離脱しているの?」
沙耶は亡くなった霊だと思ったが日ごろの霊とは違う感じがした。
『君は、するどいね・・』男は動揺するどころか笑顔で言ってきた。
『あの井戸はあの子の落ちた井戸・・体にはもう戻っても植物状態としてしかいきていけないだろうね』一瞬沙耶には彼の表情が悲しそうだったので声がかけられなかった。
―― 戦闘側 ――
慎は刀を取り出し真ん中から突っ込んだ。
そしてそれを見てタイミングよく楓も突っ込んだ。北斗は相手の目をひきつける。
少女は実に余裕そうだ。そして2人が突っ込んできたのに気づいた。
「もー遅いぜ」先頭を立っている楓が笑みを見せていった。
『叶!』霊が突然叫んだ。その瞬間に少女の回りに結界が張り出された。
「まてっ!楓!!・・結界だ」慎が突然スピードをゆるめた。
「?・・結界くらいねじふせれば・・」楓は慎に不思議そうに言う。
「どうした?」北斗はすごく不思議そうだ。
『・・慎・・貴方はさすがね、自分が結界を張る能力がある分威力も見えているんだ』
その結果はただの結界ではなく触ると切れてしまう。
言ってみれば風の結界だ。はっきり言ってやっかいである。
「少女じたい、攻撃を見ていてもしのげるけどあの結界はきついかもな・・」北斗が言った。
「お姉さん・・」銀が千里の袖を引っ張った。
「どうしたの?銀君」千里は3人とは違い銀の護衛役で残っていた。
「あれは、風だよね。風には気流があるんだ・・弱い流れ、強い流れ・・
弱い部分を見極めれば・・それか、一瞬でもいいから全体が緩めばいいんだけど」
銀は千里を見上げていった。そしてそれを聞き千里は空気弾を作り出した。
「これなら、一部分の空気の流れを緩められるはず・・」
そして千里は北斗と慎と楓に合図を送るように目を合わせた。
慎は未来を読みとり、内容を知り慎はそれを楓と北斗に伝えた。
「えいっ!!」勢いよく千里は放った。『きゃっ!!』少女はびっくりした。
その瞬間を見逃さずに慎と楓の刀と剣は結界の緩みを捕らえた。
『痛っっ!叶、もっと強い結界張りなさいよね』少女は男に怒った。
「叶さん、貴方なら少女をとめられないのですか?」沙耶が尋ねた。
『どうだろう・・俺はあいつに甘いからな』男は依然として笑顔を見せている。
「本当は悲しいんですか?・・その笑顔は本当には見えない・・仮面をかぶっている感じがします」沙耶の言葉に少し動揺を見せた。
『俺にとってあいつは守ってやりたいやつだ。だから・・』沙耶が見ている限り彼の視線は常に彼女を見ている。それをみると、本当に少女が悪霊には見えてこない。
―― 一方――
「よっし〜☆ここは弾数無限のトリモチランチャーを捕縛するために・・」
千里が興奮するさなか、銀が止めに入った。
「お姉さん、タイム!!周りは木・・木を壊すと叱られちゃう・・」
銀の言葉を聞き千里は一転集中、なおかつ安全対策をとるものを考え、
千里は巨大マジックハンドを作り出した。
「とぅぅぅ!!」千里のマジックハンドは少女を捕らえた。
『わぁ!』少女は突然の出来事にびっくりした。そして千里の方を見た。
「よそ見していたらあぶないぜ」北斗は警告するように言った。
そして少女は、はっと前を見た。「残念だな」楓は剣を突きだしてきた。
『くぅぅ・・』少女は少し震えている。
恐らく消滅してしまう可能性を実感しているのであろう。そして慎は刀をしまった。
「観念する?」慎の顔は戦闘が終わると優しい顔に見える。
『ぅ・・ぃ・・うるさい!私はその井戸が嫌いなの!』少女は涙目で言った。
「どうする?」慎が少女のわがままっぷりを聞いた後尋ねた。
「んー・・でもこの井戸がないと困るしな・・なー」北斗が悩みながら言った。
『まって・・』男が始めて4人に話しかけてきた。
『少し君はおいたがすぎたようだな。』叶が少女の元に向かう。
「なんだよ!お前もぐるだっただろ?」男の発言に北斗は少しむっとした。
「・・叶さん?」沙耶を男はなにかをつげたのち沙耶を地上に降ろした。
「沙耶ちゃん、大丈夫?」千里は心配して銀を連れて近づいた。
沙耶は少しぼけーとしていた。
「あ・・うん、大丈夫。叶さんが・・」沙耶はなにかを使えようとしたがためらって
言わなかった。
突然、千里は沙耶の手を握った。千里の思った通り沙耶の手は震えていた。
「沙耶ちゃん大丈夫。ゆっくりでいいから・・」千里の言葉で沙耶の震えは止まった。
「ううん、あの子は井戸を壊さないと元の体に戻れないらしいの・・井戸が原因だから・・
叶さんがそう言っていた・・それに戻っても意識が戻るか分からない・・だからあの子をもう連れて行くって・・」沙耶の声は震えていたが最期まで伝えることができた。
「未練があるから霊っていうのはいるんだよな・・大抵は解決すればいいが・・
今回は難しいよな」後ろから北斗が言った。
『叶・・私はあきらめるしかないみたい・・』少女は先ほどと一変しておとなしくなった。
「右目の力『とじめやみ』で霊を祓ってやろうか?」北斗は少女に言った。
「でも、それじゃー少女が不幸じゃないか?」楓が少し反対をした。
「分かってる・・けどさ、このままにしとく方がもっとつらいんじゃないか?」
北斗も本当はこの方法に反対をしている。
「そうだな・・あとは2人次第だよな」慎もこくんとうなずいていった。
『・・そうね・・ここにいても仕方がないよね、叶そうしようか?』叶は軽くうなずいた。
「まって!もっといい案があるはずよ・・」沙耶が止めに入った。
「沙耶・・」北斗は今までで一番悲しそうな顔を見せた。
そう、それも北斗自信も理解している事なのだ。
『心配しないで、私はもう体に帰るきはないから・・。植物状態になるくらいなら必要ない・・』少女は笑顔だった。
「じゃ・・つかうぞ」北斗はやるせない気持ちで準備をした。
「まって!北斗お兄さん!」今まで黙っていた銀が止めに入った。
「銀、あぶない!」慎が銀の事を止めた。
「慎お兄さん、方法はあるの!」銀が慎を見上げていった。
「どういうことなの?銀君」千里が尋ねた。そして銀は宝玉を取り出してきた。
「これ・・宝玉は命の源・・一つで一つの命を救う事ができる・・」
つまり銀はこの宝玉を使おうとしている。もし宝玉を使えば2つも失ってしまう。
言ってみれば銀の苦労が消え、命が遠くなりというわけだ。
「銀・・」楓は銀に近づいた。
「お前はえらいぞ。その優しい心は大切にしろよ!」楓は以外にも笑顔で言ってきた。
そして銀は2つ取り出し2人にわたした。
『けど・・』少女は困った顔をした。
「大丈夫、銀君はそんなんでめげたりしないよ」沙耶が笑顔で言ってきた。
そして少女は宝玉を手にした瞬間、周りが光目が開けていられないほどだった。
そして目を開けてみると2人の姿はなかった。「あれ?」北斗はびっくりした。
「北斗お兄さん、大丈夫・・これは成功の証・・」そういいながら銀は宝玉を拾った。
「あ・・宝玉の色が・・」千里は色が失われているのを見つけた。
それは黒ずんでいた。それを見つめる銀を慎が優しくなでた。
「大丈夫、またすぐに集まる!」慎の言葉を聞き銀は慎を見て寂しそうな表情から
笑顔に変わった。
「そうだな、俺たちは銀がした事間違ってないと思う」北斗がしゃがんで言った。
北斗の顔を見て銀も深くうなずいた。
「よく頑張ったな」大きな手で慎は銀の頭をポンポンと撫でて褒めた。
「じゃーいくか!」楓が言った。
もう、辺りは日が沈みかけていた。

こうして銀の宝玉は2個減ったものの依頼をこなし3個になったが
もしかすると、この依頼は銀族の首領は銀がどうでるか試した作戦なのかもしれない。
銀はこの結果に後悔一つなかった。

●友達
――次の日の朝
「銀君〜♪」井戸の前に座っている銀を千里は見つけた。
今日、帰る千里たちだが銀はお仕事で見送るができずしょぼんでいた。
そのため、その声に即座に反応した。「千里お姉さん!」銀は嬉しそうに抱きついた。
銀はいつも明るく元気な千里が大好きである。
「お姉さん、もういっちゃうんだね」銀は寂しそうな顔をした。
「大丈夫!今度からは助けがいるなら声をかけてね、友達なんだし〜♪」
「今度・・?」銀は千里を見上げた。千里は笑顔で笑っていた。
「じゃーまた、会えるんだね」銀はやっともとのような笑顔が戻った。
人を傷つける事の恐さを知っている銀にとって離れていくとこの恐さを味わう事は
怖い事である。千里は銀の震えた手を握り締めた。
「銀君、私たちは友達だよ。遠く離れてても友達というのはつながってるもの!
だから一人じゃないよ。」そいうと銀の心のどこかにあった重たいものがすーっと軽くなった。銀はその原因が分かり解決できた事に気づいた。
いつも、銀を励ましてくれる千里が本当に大好きだと銀は感じだ。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0230/七森・沙耶(ななもり・さや)/女/17/高校生
0565/七森・慎(ななもり・しん)/27/男/陰陽師
0561/神坐生・楓/(かんざき・かえで)/17/男/高校生
0165/月見里・千里/(やまなし・ちさと)/16/女/女子高校生
0568/守崎・北斗/(もりさき・ほくと)/17/男/高校生

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■         ライター通信          ■
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皆さん、依頼、ご苦労様です。今回担当させていただいた
葵桜です。
ここだけの話し銀君は何歳だとおもいますか?
子供で幼いですけど霊・・ということは年齢はそんなに
若くないでしょうね。
沙耶さん、慎さん、楓さん、千里さん、銀君の2度目の手助
けありがとうございました。
本当に感謝してます。
北斗さんは銀君に会うのは初めてですね。
どうでしたか?
少し幼い子・・と言う印象があるかもしれません・・。
本人はおそらく自覚0でしょう・・(天然(?))
それではまた、お会いしましょう。

PS.その後、少女は奇跡的に目を覚ましたという事です。