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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


恋彩日

<序>

『デートして欲しいんだ』

 突如電話から聞こえたその言葉に、草間は飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。喜劇かかった大仰なリアクションではあったが、今の彼にはそうするより他なかったのである。
 男から「デートして欲しい」などと頼まれたとあっては。
「は……はアッッ?! おおおお前何言ってるんだっ?!」
 書類の上に散った琥珀色の液体を慌てて手近にあった雑巾で拭いながら、草間武彦は電話の向こうにいる古くからの知人、鶴来那王(つるぎ・なお)に頬を引きつらせながらやや上ずった声を投げつけた。
 前から変な奴だ変な奴だとは思っていたが。
(やっぱり……こいつは変だ)
 雑巾を片手に握り締めつつ勝手に心の中でそう決め付ける草間に、受話器の向こうからかすかに涼やかな笑い声が聞こえた。
『違う、これはれっきとした依頼なんだ』
「ならなおさらだ。うちはデートクラブじゃないぞ」
『だから……判らないか? こんな依頼をお前の所に持ち込む理由が』
 かすかに耳に届く相手のため息に、草間が眉をしかめた。
「ただのデートじゃないってことか」
『そういうことだ』
「……話、聞かせてもらおうか?」

 つい数日前のこと。
 鶴来は普通に街中を歩いていたのだが、その時ふと道路の脇にいる一人の少女を目に止めた。特別綺麗な容貌だったというわけでもなんでもない。ごくごく普通の容姿の、ごくごく普通にどこにでもいる女子高生のようだった。
 ただ、霊体だったということを除いては。

「……お前、普通に出歩いてる時くらい意識的にそういうモノから目をそらせないのか」
『少し前まではそれも可能だったんだが、最近何だか上手くいかないんだ』
 草間のツッコミに苦笑しながら答えると、鶴来は話を続けた。

 少女は自分の姿に目を止めた鶴来に気づいたらしく、道路の先に向けていた視線を彼へと転じた。目が合ってしまった以上、なんとなく放っておくわけにも行かず、彼女に近づいたのだが――…

『そしたら取り憑かれてしまったんだ』
「……お前」
 あっさりと言い放った相手に、草間は額を押さえる。
「じゃあ何か。今お前はその女の子に憑かれてる状態なのか?」
『自我で押さえ込んでいるから、彼女は表には出て来れないけれど。……今、少し彼女と意識が融合気味なんだ。このままだと完全に融合してしまうまで時間の問題かもしれない』
「で? それがなんでデートに繋がる? さっさとお祓いでも何でもしてもらえばいいじゃないか。うちのヤツ、何人か回してやろうか?」
『手荒な真似しなくても、彼女は誰かと一日遊んでもらえたらそれでいいって言っているから。気が済めば行くべきところへ行ってくれると思う』
 常より幾分柔らかい口調なのは、その少女との意識の融合のせいなのか。
 煙草を一本取り出して、フィルターを唇に当てながらため息をつく。
「ということは、お前に憑いた状態で遊ぶってことだな? つまりはお前とデートってことだな?」
『……ということになるかな。費用は俺が持つから、適当に一日相手してもらえると助かる』
「もしそれでお前から離れなければ?」
『その時は、付き合ってくれる人の判断に任せる』
「了解」
 それじゃあ、と言葉を残して鶴来が通話を切る。ふと、受話器を電話に戻そうとして、草間は首を傾げた。
「そういや男か女、どっち回そうか?」
 鶴来は男だが、中に憑いているのは少女だ。
 中にいる少女に合わせるのなら男を回すべきだが、それだと外見上、鶴来と男同士でデート、という何となく不毛な状況に陥るような気がしなくもない。
 けれど女なら、外見上はデートに見えるが、中にいる少女にとってはデートにはならない。
「……まあ、どっちでもいいか」
 話を回してみて「行く」というヤツに任せればいい。
 あっさりとそう決めると、受話器を置いた手でライターを取り、くわえた煙草の先に火をつけた。

<まわされる依頼>

 草間から連絡を受けた湖影虎之助が返した言葉は、ごくあっさりとしたものだった。
「女の子がデートしたがってるって? ああ、それなら俺に行かせてくれないかな」
 ちょうど大学での講義が終わって間なしだった虎之助は、授業中のみかけている縁なしの眼鏡を目許から外しながら軽く笑ってそう答えた。
 笑いながらの言葉ではあったけれど、明らかに行く気になってくれている虎之助に対し、一応草間は事の詳細を電話口で語って聞かせる。相手がただの女の子ではなく、鶴来那王の体に取り憑いている状態だということ。よって、デートは一見すると鶴来那王とのものになるわけで、傍から見ると男同士のデートだと見られなくもないものだということ。
「まあ、何と言うか……寒い状態じゃないとは言い切れんのだが、いいんだな?」
 その確認するような言葉に、携帯電話を耳に押し当てているのとは逆の手をひらひらと宙に泳がせるように振って、虎之助は短く笑った。
「助けてあげなきゃいけないのは女の子なんだろ? だったら問題ないって」
「……まあ、そう言ってくれるんならこっちとしては助かるが」
 草間としても、まさかこんなにあっさり虎之助が受けてくれるとは思わなかったのだろう。何度となく、助かる、悪いな、等の言葉をこぼしてから通話を切った。
 けれど、草間とて元から話しても無駄そうな相手に連絡を取ったりはしないだろう。それとなく、虎之助なら受けてくれるだろうと踏んでいたから、電話をかけてきたに違いない。
「さてと。まあ相手はあの鶴来氏とは言え……中身は女の子な訳だし」
 シャツのポケットに携帯電話をしまい込みながら、虎之助はあれこれとデートのプランを練る。
 相手が誰であれ、やるからにはしっかりと。
 女の子のエスコートとあれば、なおのことだ。
 草間からは「費用はすべて鶴来持ち」と聞かされていたが、中身の一部は女の子なのである。となれば、フェミニストである虎之助的には金を払わせるわけにはいかないわけで。
「明日、十時か」
 ふと呟きながら窓の外を見やる。さっきまでは晴れていたのだが、なにやら雲行きが怪しい。夕立が来そうな、重い雲が空を覆い始めている。
「晴れればいいけど」
 雨ならば、それはそれで、雨でも楽しめるデートコースを考えるけれど、きっと晴れていたほうがいい。なんとなくは、そう思う。
 席からカバンを肩に引っ掛けて立ち上がりながら、虎之助は目にかかる前髪を指先でかき上げた。

<デートの基本>

 翌日。
 天気は、昨日の教室での思いが空に通じたかのような快晴だった。むしろ少しくらい陰っていてもいいのに、と思えるくらいに日差しが強い。
 約束の場所。そして約束の時間に、虎之助は待ち合わせ場所に姿を見せていた。
 いや、正確には待ち合わせ時間より二〇分は早くついていた。
 デートの相手より早く待ち合わせ場所には出向く。自分はまたされても、相手を一分たりとも待たせない。
 鉄則である。
 そしてむやみやたらと時計を見ない。時計を見ている姿を相手が見たら、待たせてしまったという罪悪感を持たせてしまうかもしれないからだ。
 徐々に熱くなりはじめた日差しの下、涼しい顔で人の流れを眺める。周囲には何人もの人待ち顔の男や女が立っていた。
(まあ、待ち合わせ場所としては定番のところだからな)
 虎之助は、切れ長の目で近くにある犬の像を眺めやった。
 渋谷・ハチ公前。
(ベタというか何と言うか……)
 指定してきたのがあちら側だったので、それが鶴来の意思によるものなのか、その鶴来に憑いている少女の意思によるものなのかはわからない。こちらから指定させてもらえるのならば、もう少しおしゃれな場所を選んだのだが。
 思いながら苦笑をこぼしたその時、どこかで誰かの腕時計がかすかにアラーム音を発し始めた。どうやらそれは十時にあわせてあったらしく、そのアラームが鳴り出したと同時に、とん、と軽く背後から肩を叩かれた。
 待ち合わせ時間、おそらくはジャスト。
「こんにちは」
 振り返ると、黒スーツ姿の、穏やかな微笑を浮かべた青年が立っていた。
「お待たせしてしまいましたか?」
「ああいや、全然」
 問いかけながら優美に微笑む青年――鶴来那王の姿を見やった虎之助は、ふと目を細めた。
 鶴来のその姿に手ブレした写真のようにダブるようにして見えるのは、黒いカラーに白いタイという、セーラー服姿の少女。特別美人というわけではないが、肩口のところで切り揃えられた黒髪に澄んだ黒い眼差しが、楚々とした雰囲気を醸し出していた。
 憑かれている、というのはどうやら本当らしく、それもかなり根の深いところまで入り込んでいるように虎之助には感じ取れた。
 鶴来が、さらりと黒い髪を揺らせて軽く頭を下げる。少女も、それに合わせるようにぺこりと頭を下げた。
「今日は一日、よろしくお願いします」
「ん、ああこちらこそ」
 軽く手をあげて答えると、虎之助はふと、周囲の者たちが自分たちを見ていることに気づいて苦笑した。
 判ってはいたが、おかしな二人に見えるのだろう。
 自分には、鶴来に憑いている少女の姿が見える。けれど他の者たちには、草間が言っていたとおり鶴来と待ち合わせしていたように見えるのだろう。二人の間に雰囲気も微妙で、周囲からはどういう関係かと思われているに違いない。これからの時間、二人でいる間、ずっとそういう視線に晒されるのだ。
(まあ、そこんところも承知して受けた話しだしな)
 かりかりと頭をかくと、こほんと一つ咳払いをして気を取り直す。
「さて、とりあえず……お名前、聞かせてもらってよろしいですか?」
 その問いかけが自分へのものではなく、自分に憑いている者への言葉だとすぐに呑み込むと、鶴来はこめかみに手を当てるような仕草をした。そして少し遠い目をする。
 ふ、と鶴来にダブっている少女の霊が口を開いた。と同時に鶴来も口を開く。
「……加原奈緒子(かはら・なおこ)、です」
 鶴来の口をついて出てはいるが、それが鶴来の言葉でないことくらいは虎之助にもわかる。ふと少女の霊から鶴来自身の瞳へと視線を戻す。
「あなたの名前、確か……ナオ、だったよな?」
 ナオ。……その名を口にすると、自然と彼の弟の名前も思い出す。
 マオ、という――ルシフェルという呼称を持つ弟のこと。彼――鶴来那王を憎み、殺したがっている男だ。
 そのルシフェルという名の、冷笑を浮かべる青年の顔が脳裏にひっかかった時にわずかばかり神経に障ったように虎之助の眉宇が動いたのだが、それに気づいているのかいないのか、穏やかな微笑を浮かべたまま鶴来がわずかに頷いた。
「ええ、俺は『那王』です」
「だよな。ナオとナオコ。んー……名前と似てるし、今日は二人まとめて『ナオさん』って呼んでいいか?」
 考えていたことに気づかれないように笑みで表情を覆い尽くして、虎之助は少女の方にも目を向ける。少女がこくりと頷いた。鶴来も小さく顔を立てに振る。
「ええ、かまいません。彼女もそう言っています」
「よし決まり。それじゃ、ナオさん。どこか行きたい場所はありますか?」
 女性に対しては自然と丁寧な口調で語りかけてしまうという、至って女性至上主義者らしい虎之助に、わずかばかり困ったような笑みをこぼして、鶴来がまた自らのこめかみに指先を当てた。そして少し目を伏せる。
「……いいえ、特に希望の場所というのはないようですが……」
 控えめな、いつもの鶴来とは違うどこか弱い口調で紡がれる言葉。その直後、申し訳なさそうに少女がわずかに顔を曇らせて、鶴来の肩にそっと手を添えるような仕草をする。それに、鶴来がわずかに目を上げて苦笑をこぼした。
「いや、大丈夫だ」
 紡がれた、独り言にも似たその言葉は、おそらくは少女へ向けてのもの。安堵したようにほっと少女の曇っていた表情がわずかばかり晴れる。
「……ああ、そうか」
 その様を黙って見ていた虎之助が、ぽつりと呟いた。
 自分のような強力な霊媒体質であるならばともかく、普通の人間が長時間霊に憑かれているというのは、通常の状態より、精神的にも肉体的にも消耗が激しいはずである。
 見たところ、鶴来は霊媒体質であるようには思えない。とすると、もう何日憑かれているのか知らないが、常に意識を取られないようにと少女の霊と自分の意識に対し制御を効かせているなら、その精神的負担はかなりのものであろう。
 霊媒体質でもないのにきっちり自分を律せている辺り、さすがというかなんというか……。やはり紛れもなく彼は、自らの中に意識を二つ持つ、あのルシフェルの兄貴だと言うことか。
 まあ、とりあえずは。
(あまりトロトロやってるわけにはいかないか)
 憑いている少女を早く行くべきところに送ってやれるのならば、それに越した事はない。鶴来の精神的・身体的疲労がどうこうというよりも、少女を送ってやるということが虎之助には重要なのだ。
 いまだに場所は、ハチ公前。行き交う人々も増えてきた。ところどころで「あれってモデルの湖影虎之助じゃないのー?」「一緒にいるの、ダレー?」などという声も聞こえてくる。
 普段、女性の声に対しては感じない「ウザいな」という思いを抱いてしまい、苦笑をこぼす。承知していた事とはいえ、男とデートしている現場を、あまり自分の名を知っている者たちに見られたいものではない。
「特に希望がないなら、ちょっと俺に付き合ってもらえますか?」
 さっさと場所を変えようと思ったのがそのまま口に出たような少し早口な問いかけに、けれども鶴来はただ小さく頷き、少女はふわりと笑みを浮かべて答えた。

<腕にかけられる星の光>

 昼食を取るまでに少し時間があったので、虎之助はナオを伴ってハチ公近くにあるデパートに入った。
「お店をふらふら見て歩くのは好きじゃない?」
 隣を歩くナオに問いかける。後ろから流れてくる人にナオの背が押されないようにとごく自然に腕で庇うようにしながら。
 緩く、ナオが首を傾けて微笑む。
「いえ……アクセサリーとか、見ているだけで楽しいですし。友達とも、よく意味もないのにお店の中うろうろしてました」
 さっきから、会話をしているのはもっぱら「奈緒子」のほうである。「那王」の方はどうやら少女の意識に侵食されないようにという精神的制御をやめてしまったらしく、その体を文字通り少女に貸し与える事にしたらしかった。もちろん、呼べば返事はしてくれる。二人の会話も聞いてはいるのだろうが、今はとりあえず、意識の水底に沈んだ状態らしい。
 奈緒子の霊体が微笑むと、那王の体も微笑む。いつも優美な笑みを浮かべている鶴来だが、体を支配する人格が違うと笑顔一つでもこうも印象が違うものかと思えるくらい、なんだか、別人のような表情だった。
(まあ、中に居るのは実際別人だしな)
 かりかりと頬を人差し指で軽くかいてから、さて、と意識を切り替える。
「それじゃ、少し見てまわってみましょうか」
「はい」

 店内にはいろんなショップが詰め込まれていた。
 そんな中、靴屋の前で立ち止まって並べられているエナメルのミュールを見て可愛いとうっとりし、かばん屋の前で立ち止まってカップルでカバンを見ている者を見て、彼氏にカバン持たせるなんて私には考えられないと緩く頭を振る。フロアに並べられたマネキンがつけているビキニの水着を見て、私ももう少しスタイルがよかったらなぁと苦笑をこぼす。
 それは本当に、どこにでもいる女子高生と変わらない姿だった。
 パタパタと、時間が惜しいとでも言うように虎之助の少し先を小走りに移動しながら楽しげにいろんな商品を見て回っている様は、霊というこの場に相応しくない存在であるはずなのに、見ていて微笑ましいくらいだった。
 なんだか、デートというよりは妹との買い物に付き合っている感覚である。
 また足を止めて、今度は女性服のショーウィンドウを眺める。その傍らに歩み寄り、隣でナオが目を止めている服を見る。
 飾られていたのは、シンプルな白いワンピースと白いジャケット。そしてベージュのフォーマルなワンピースだった。
 少し「奈緒子」が着るには大人っぽすぎる気がする。
「私ももう少し生きてて大人になれたら、こういうの、似合ったかな」
 ぽつりと零れされたその呟きに、虎之助が目を見開く。顔を凝視されたことに気づいたのか、ナオがふと視線を返した。そして恥らうように顔を伏せ、わずかに一歩足を引いたその時。
 何かにつまづいたようにその体がぐらりと後ろに傾いた。慌ててナオがショーウィンドウのガラスに手をつくが、それでも体を支えきれない。
「っ!」
 咄嗟に、虎之助がその手を取って自分の方へと引き寄せる。
 とん、と腕の中にその体が納まった。
「ご……ごめんなさいっ、私……っ」
 抱きとめられたことに顔を真っ赤にして、ナオが慌てて体を離す。それに、虎之助は穏やかに微笑みながら緩く頭を振った。
「別に謝ることじゃないですよ」
「ごめんなさい、あの、本当に……鶴来さん、鶴来さん?」
 混乱したように自分の耳に手を当てて、内側へと呼びかける。あまりの恥ずかしさに、鶴来と入れ替わってもらってこの場からとりあえず逃げようとしているのかもしれない。霊体の方も、見るからに顔を真っ赤にしてオロオロとしていた。
 けれど鶴来は答えないらしく、さらに困ったような表情を貼り付けて、ちらりと虎之助を上目遣いに見る。そして、ぺこりと勢い良く頭を下げた。
「ごめんなさい、本当に私……っ」
「いいんですよ。女性を抱きとめられたならそれはむしろ役得、かな?」
 言って、イタズラっぽく笑ってみせる。それに、ナオが一瞬きょとんとしてから小さく笑った。
「湖影さんて……雑誌とかで見てる時はもっとクールな人かと思ってました」
「気取ってるだけじゃ楽しくないでしょう?」
 言って、近くのアクセサリー店へとナオを促す。
 シンプルに纏められた店内。ゆったりと空間を使って並べられたショーケースの中には指輪、イヤリング、ピアスなどが綺麗に置かれていた。
「わぁ、見てくださいこれ、星のピアス。可愛くないですか?」
 ショーケースの中の一つを指差され、隣で虎之助もそれを眺める。
 ホワイトゴールドのピアス。大小計四つの、少し丸みを帯びた星が連なっている。
 ふと、虎之助は商品に見入っているナオの横顔を見た。そして手を伸ばし、人差し指と中指でそっとわずかに耳にかかる髪をかき上げる。
「えっ」
 驚いたようにナオが顔を上げて露になった耳を素早く手で押さえた。
「ああ、ごめん。ピアスホール、あるのかと思ったんですが」
「え……ええと……私は開けていないんですが、鶴来さんは……」
「開けてないみたいですね」
 そっと手を離したナオの耳たぶを見やるが、そこには傷一つない。
「そうですね、そういうの、鶴来さんってしそうにないですし」
 ナオが小さく笑って、視線をまたショーケースに移す。光を受けてきらきらと綺麗な光を放っている細い鎖は、どうやらブレスレットらしい。
「ああ、これも可愛いなぁ……」
「どれ?」
「ほら、これです」
 細い銀色の鎖。ゴールドの星とキュービックジルコニアがあしらわれた星が、まるで交差しあう流れ星のようにつけられている。ちゃんと流れ星らしく、銀色の尾もついている。
 ふと虎之助は目を上げて、近くにいた女性店員に声をかけた。営業用の微笑をごく自然に浮かべつつ、足早に店員が二人の方へ歩み寄ってくる。
「いらっしゃいませ」
「これを」
 人差し指で、ショーケースの上からさっきナオが見ていたブレスレットを指差す。それに、驚いたようにナオが顔を上げた。
「湖影さん……?」
「ラッピングいたしましょうか?」
 ちらりとナオを見てから、店員が虎之助へと視線を戻す。それに答えるように、わずかに手を持ち上げた。
「いえ、つけて帰ります。そのままで」
「かしこまりました、ありがとうございます。少々お待ちくださいませ」
 言って、店員はショーケースから出したブレスレットを丁寧な手つきで紫色のビロードを打ったカートンの上に乗せると、カウンターの方へと移動する。
 ナオがぱちぱちと瞬きしながら虎之助を見た。
「湖影さん……」
「ピアスはダメでも、あれなら大丈夫でしょう?」
「えっ。だ、ダメです、そんなの……っ」
 にっこりと笑って答える虎之助に、慌てて首を振る。
「私、遊んでいただけるだけでいいんですっ。なのに、そんなの、ダメ……」
「ああ、用意できたみたいだ」
 言葉をさえぎる様にわざと大きめの声で言って、にこりとナオに笑いかける。カウンターの方でも、店員二人がにこにこと笑っていた。もしかしたらその胸中では、この二人は一体、男同士で何なんだろうと思っているのかもしれないが。
 戸惑うナオの背を促して移動すると、白手袋をした手でブレスレットを丁重に持っている店員の前にナオを残し、レジの方へ行って会計を済ませる。
「こ、湖影さん、あの、やっぱり」
「いいんですって。俺が買いたいから買っただけです。あなたが気にしなくてもいいんです」
「…………」
「こちらの方もそう申されていますし」
 店員が、笑顔を絶やさずに言葉を添えた。ちらりとナオが目を上げる。それに虎之助はこくりと頷いた。促されるように、困ったような顔のままゆっくりとナオが右手を差し出す。
「こちらの腕でよろしいですか?」
「は、はい」
「では失礼して……あら」
 ブレスレットを取り付けようとした店員の手が止まる。右手首にはすでに時計がつけられていたのだ。
「どうしましょう? 時計、お外しになります?」
「時間なら俺がわかるから外していいですよ」
 傍らから虎之助が言う。それに店員が微笑んだ。
「かしこまりました。では、失礼します」
 店員の、白手袋に包まれた指先が時計を外す。それをカートンの上にのせ、今度はブレスレットをはめさせる。
 男の手首にはめるには無理があるかと思ったが、鶴来の手首は男にしては少し細めだったため問題なくはまる。さすがに女性の手首に巻いた時のように、揺れる余裕はあまりなかったが、それでもきらきらと繊細な銀色の光を宿している。
「それでは、時計をお返しいたします。ありがとうございました」
 差し出されたカートンの上にある鶴来の時計を取ってポケットに押し込むと、虎之助はナオの背を促して店を後にした。

<楽しめればいい…んだけど>

 昼食を取り、映画を見終えてさらに場所を移動した頃には、天上の光は西の方へと少し傾きかけていた。それでもまだ、地上に振りまく光の熱量はあまり変わらない。
 その光を避けるように、素早く次の目的地へと足を踏み入れる。ふっとよく冷えた空気が全身を取り巻いた。肌に浮きかけていた汗が一瞬にして冷やされる。
「上手くないんです、私」
 ぽつりと傍らから俯いて心配そうにこぼされた言葉に、虎之助がぽんぽんとその肩を励ますように軽く叩いた。
「大丈夫ですよ」
「あまりしたことないし……」
「大丈夫ですって。俺も大して上手くないですから。こういうのは、楽しむことが大事なんです」
 背中を促して、受付カウンターの方へと移動する。
「お二人様ですねー。かしこまりました」
 慣れた手つきでパソコンのキーボードを叩き、カウンターの向こうにいる女性がにこりと微笑んだ。数字が刻まれたオレンジ色のプラスティックの板を一枚差し出す。
「この番号のところへどうぞ。延長の場合は備え付けのモニターに表示される案内に従ってください」
 指先で挟むようにして番号板を受け取ると、虎之助はナオの背を促してまた歩き出す。困ったような顔をしているナオに、ゆるく虎之助が首を傾げた。
「やっぱりやめますか? 気乗りしないのなら無理にとは」
「あ、いえ、大丈夫です、頑張りますっ」
 軽く握りこぶしを固めて、ナオが意を決したように顔を上げた。

「きゃーっ! またストライクですー!!」
 ぴょんと軽く飛び跳ねてから、喜色満面でナオが駆け戻って来る。それに両手を差し出すと、ナオがパンッと手を軽くたたき合わせた。そしてすぐさま虎之助の前にあるモニターを覗き込む。
 チアガールの格好のうさぎが慌しく踊りまわっているその後ろに、ハデハデしく「STRIKE☆」と描かれていた。
「すごいじゃないですか、ナオさん。あまりやったことないなんて嘘なんじゃあ?」
「いえ、友達が爪が割れるからってボーリングするの嫌いだったんです。だからあまり一緒に行く事もなくて……だから本当にあまりやったことないんですよ」
「の割に上手じゃないですか。スコア、大して俺と変わらないし」
「ビギナーズラックってヤツかなぁ? あ、次、湖影さんの番ですよ?」
「ボーリングにもビギナーズラックってあるのかな?」
「じゃないとしたら、きっと鶴来さんがボーリング上手いんですよ」
 笑いながら発されたその言葉に、席から立ち上がりながら虎之助が首を捻った。そして頭をかりかりとかく。
(彼がボーリングやっている姿なんて想像できないって……)
 その表情に気づいたのか、ナオが緩く首を傾げた。
「じゃあ次の私の番のとき、鶴来さんに投げてみてもらいましょうか?」
「彼、やってくれるかな?」
「別にかまいませんよ。彼女がそう望むのなら」
 ふっと、瞬時にしてナオの表情が変わる。さっきまでの嬉しさをいっぱいに称えた表情から落ち着いた微笑へ、まるで仮面を付け替えるかのように。
 今までずっと内へ沈んでいた鶴来が出てきたのだと悟ると、虎之助は唇をゆがめるようにして挑戦的に笑った。少女に向けていたのとはまったく質の違う笑顔である。
「お手並み拝見だな」
「先に貴方のお手並みを拝見しましょうか」
「ふふふふ、よーく見ておくんだな」
 自信たっぷりに言いながら、ラメの入ったネイビーブルーのハウスボールの穴に指を突っ込んで持ち上げる。そしてレーンへと向かった。
 綺麗に並べられた一〇本のピン。切れ長の目でそれらをまっすぐに見据え、アプローチに入る。
 すっ、とボールから手が離れた。ガーターギリギリのところをまっすぐに滑っていくボール。そのボールが、ピンの数メートル手前でググっとコースを曲げた。そのまま、一番ピンと三番ピン――見事にポケットの辺りに転がっていく。
 数秒後、カーンと軽快な音が上がった。
 くるりと振り返り、ニッと虎之助が笑う。
「ま、こんなもんだな」
 当然、ピンはすべて倒れている。ストライクだ。
 答えるように、鶴来が微笑みながら軽く拍手した。
「お見事です」
「さて、次はあんたの番だな」
「あらかじめ言っておきますが、俺は一言も得意だとも上手いとも言っていませんからね」
「投げる前から言い訳か?」
「言い訳ではなく、自分の力量を語っているだけです」
「……つまりそれはヘタクソってことじゃないのか?」
 椅子へと腰を下ろしながら問うと、入れ替わるようにモニター前の席から立ち上がりながら鶴来はわずかに肩をすくめた。
「俺が下手だと判れば、彼女が自分の実力を認めるでしょう?」
 本当なら自分が下手だということは、隠したいものだろう。なのに、あえて投げるのは彼なりに今自分の中にいる少女の事を考えているからだろうか。
 考えてからふと、虎之助はレーンに向かう彼を見て瞬きをした。左手にボールを持っているからだ。
 そのままモーションに入り、ボールを転がす。
 まさしく、投げるというよりは転がすという表現が合っていた。まるでレーンを気遣うかのように放たれたミルキーピンクのボールは、とろとろと少しずつ左に寄りながらピンに向かって転がっていく。その間に、さっさと鶴来はレーンから離れて戻ってきた。
「あんた左利きだったのか? っていうか、もうちょっと勢いよく投げろって。あれじゃいいとこいっても全部倒れるかどうか」
「そうですか?」
 その言葉に被るように、ガタン、と何かが落ちるような音がする。レーンを見ると、ボールは見事に溝に落ちていた。そのままころころっと転がり、闇の中へと吸収されていく。
「……やっぱり彼女の実力ってことだな」
 ぼそりと呟いた虎之助に、鶴来がかすかに笑って目を伏せた。その姿に重なるようにして、彼女の霊もくすくすと楽しげに笑っていた。

<旅立つ、時>

 夏の夜は、日が暮れるのが遅い。
 日が地平線の彼方に沈むのを嫌がっているような――まだこの地上に残っていたいのだと言っているような。
 それでも、いつかは必ず夜が来る。日は沈み、闇が夜空を染める。
 いつかは、必ず。
 今こうして、星空が頭上に広がっているように。
「…………」
 夜でも明るい地上の光のせいで見えにくい星を、それでも懸命に見ようとするかのようにさっきからずっと空を見上げているナオの背中を、虎之助はベンチに腰掛けて眺めていた。両手を後ろで組み、じっと黙り込んで空を見上げているその背中からは、表情をうかがうことは出来ない。
 つい先刻、フランス料理店で食事をしていた時には明るく笑っていたのだが、店を出てからはずっと黙りこくったままだった。少し風に当たろうかと公園へ促したときも、ただこくりと頷いただけだった。
 虎之助も、無理に話しかけて言葉を引き出そうともせず、その姿を眺めていた。
 きっと、彼女なりに感じているんだろう。
 太陽が必ず地平線の向こうへ沈むのと同じように、自分もそろそろ、死したら必ず行くべきところへ行かなければいけないと――その時間がもう来ていると。
 ふわりと生ぬるい風が通り過ぎる。どこかで誰かが花火でもしているのか、何かか弾けるような音と楽しげな笑い声が聞こえた。
 ふと、ナオが振り返った。
「湖影さん」
 呼びかけられて、ベンチから腰を上げながらごく自然にその整った容貌に微笑を浮かべる。
「はい」
「今日は一日、私と遊んでくださってありがとうございました」
 言って、深々と頭を下げる。上げられた顔には、どこか晴れやかな色がある。
「とても楽しかったです」
「そうですか。それはよかった」
「だから、これでお別れです」
 すっと、右手が差し出された。きらりと、銀のブレスが鈍く光る。
 虎之助も答えるように右手を差し出した。そっとひんやりとした手が触れ、握手が交わされる。
「……大丈夫ですか? 本当に、もう……」
 行けるのかと。
 やや躊躇いがちな虎之助の問いに、こくりとナオが頷く。そして明るく笑った。
「サヨナラ」
 鶴来の体にダブっていたセーラー服の少女が、ふっとその体から離れる。憑かれた状態から不意に解放された鶴来の体が操り糸が外れた人形のように膝から崩れ落ちる。その体を支えようと咄嗟に腕を伸ばしたところ。
「……!」
 ふわりと。
 宙を舞った少女が虎之助の顔を両手で包み込み、すっとその頬に花弁がかすめるような口付けをした。目を瞠って顔を上げたその時にはもう、どこにも少女の姿はなかった。

<終――感謝の気持ちと脅しと苛立ち>

「……行ったようですね」
 その場に片膝を落としてしゃがみこんだ姿勢で、鶴来が低く呟いた。しばらく心臓の上に手を当てていたが、やがてゆっくりと顔を上げて星空を見上げる。
「本当に、ただ遊んで欲しかっただけだったみたいだな」
 あまりにもあっさりと行ってしまったことに気抜けするような感覚を覚え、虎之助はベンチにどさりと腰を落とした。そして前髪をかき上げる。
「にしてもどうしてあんたに憑いたりしたんだ? 特に霊媒体質ってわけでもないだろう?」
「……さあ、どうしてでしょうね」
 穏やかに微笑みながらゆっくりと立ち上がると、鶴来は右手首に手を当てた。そしてそこにあるブレスレットを外そうとする。
「おい、何してるんだ」
「俺がつけていても仕方ないでしょう。お返しします」
「返されても困るだろう俺が」
「どなたかに差し上げればいいでしょう」
「一旦人に贈ったものを他の誰かにやれると思ってるのか?」
「……ですが」
「別にいいよ。贈った物返されることほどみっともない事ないんだから。あんたに贈ったわけじゃないけど、受け取ったのはあんたの体なんだからそのままつけとけよ」
 言いながら、ふとポケットの中に鶴来の時計を入れたままだったことを思い出す。引っ張り出しながら、ふと虎之助は目を上げた。
 聞こうかどうしようか、考える。せっかくの楽しいデートの後だ。今度でいいじゃないか、とも思うが、次にいつ会えるとも判らない相手である。
 彼と、彼の弟との確執のこと。
 聞いてみたかった。
 けれどそれを聞いてしまえば深みにハマる事になりそうで……。
 その逡巡を見て取ったのか、鶴来が自分の右手首に左手を添えたまま首を傾げた。
「何か聞きたい事があるのでは?」
「あ、いや……」
「弟の事ですか」
 さらりと言われて、虎之助が時計を差し出そうとした手を止めた。月明かりの下、いつになくひどく冷めた眼差しで鶴来が虎之助へと視線を落としている。
 けれど怯むことなくその目を見返すように眼差しを鋭くし、虎之助は意を決したように口を開いた。
「弟を殺すって……あんた本気でそんなこと思ってんのか?」
 ストレート過ぎる問いかけだった。もう少し変化球を混ぜたほうがよかったのではないかと口にしてから思ったが、遅い。
 鶴来は、しばらく黙り込んだままだった。
 が、ややして、唇の端をわずかに吊り上げて笑みを作った。
 冷笑だった。
「俺がもし殺すつもりだと言えば、あなたはどうなさるおつもりですか?」
「どうって……」
「別に構わないんですよ? 弟に力添えなさっても」
「…………」
「ただ、その場合は貴方を俺の敵と見なし、容赦はしませんが」
 すっと、胸のポケットから何かを取り出す。それが何か、虎之助は知っていた。
 小指ほどのサイズの瓢箪だ。あらゆる霊を吸い込めるというシロモノだと聞いている。
 鼻で小さく笑った。
「それで俺を吸い込もうってのか?」
「まさか。これは人を吸い込むようにはできていません」
 冷めた笑みを浮かべたまま、鶴来は目を伏せるようにしてその手の平に乗せた瓢箪の表面をつるりと指先で撫でる。そして、ゆっくりとその眼差しを上げた。
 その容貌にはもう笑みはなかった。あるのは、研ぎ澄まされた刃のようなきつい表情だった。いつもの優しげな色は一片たりともそこにはない。
「この中には、俺が今まで吸い込んできた無数の『陰(いん)の物』が封じられている。確か貴方は霊をその身に寄せる事ができましたね」
「……何が言いたい?」
「俺がこれを解放して中に封じているものすべて貴方に向ければ、貴方はどうなるでしょうね? いくらキャパシティがあるとはいえ、タダではすまないのでは?」
「っ?!」
 虎之助が目を見開く。
 確かに、自分の霊的許容量は異常に大きい。けれど、どんな器にも限界というものはある。その瓢箪にどれだけのモノが封じられているかは判らないが、この男の余裕さ加減を見てみても、少量であるとは思えなかった。
 それを解放してこちらに向けるということは、つまり、命を奪うことも持さないと言っているのも同然である。
 驚愕している虎之助に、鶴来がいつもと変わらない優美な微笑を浮かべた。
「別に弟に味方されてもかまわない。けれど、なるべくなら関わらないほうが身のためですよ。……一応、警告はしましたからね」
「警告じゃないだろ」
 額に浮いた汗を、自然を装って手の甲で拭いながら声を絞り出す。
「脅しっていうんだよそういうのは」
「貴方が弟につく気がないのなら脅しにはなりえない。弟につく気がほんのわずかでもあったとしたら、脅しになるかもしれないですが」
 瓢箪をポケットに納めつつ、鶴来は右手を虎之助に差し出した。ブレスレットが揺れる。
「時計を」
 言われて、自分が鶴来の時計を握り締めていたことを思い出す。
 差し出される前にその手からするりと抜き取ると、鶴来は月明かりを受ける文字盤に目を落とした。けれど、すぐにそれを虎之助の手に戻す。
 怪訝そうな顔をする虎之助に、目を伏せて微笑む。
「ブレスレットの代わりに、受け取ってください」
「…………」
「今日は本当に、ありがとうございました。お疲れ様でした」
 丁寧なお辞儀と共に紡がれた労いの言葉に、虎之助は肩をすくめた。そして無言のままベンチから腰を上げると、公園を出て夜道を歩き出す。
 依頼はきちんとこなしたのに、胸の中がもやもやとしている。
 ……弟には失望の目を向けられ、兄には脅しかけられ。
 あんな兄弟のことなど放っておけばいいだけの話だとは判っている。判っているのだが――…
「俺にどうしろってんだよ、クソッ!」
 手の中で正確に時を刻んでいる時計が忌々しくなり、苛立ちをぶつけるようにアスファルトの上に叩きつける。
 小さな破壊音がし、クリスタルガラスの盤面にひびが入り、秒針が止まった。
 月明かりで鈍く冷たく光るその時計を見下ろし、虎之助は胸に渦巻く迷いを吐き出すように、深い吐息をついた。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0689/湖影・虎之助(こかげ・とらのすけ)/男/21/大学生(副業にモデル)】

【0065/抜剣・白鬼(ぬぼこ・びゃっき)/男/30/僧侶(退魔僧)】
【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0226/斎司・更耶(斎司・更耶)/男/20/大学生】
【0807/東斎院・神音(とうざいいん・かのん)/女/14/中学生】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは。ライターの逢咲 琳(おうさき・りん)です。
 この度は依頼をお請けいただいて、どうもありがとうございました。
 少しでも楽しんでいただけましたでしょうか?

 湖影虎之助さん。再びお会いすることができてとてもうれしいです。
 女性至上主義な虎之助さん、今回その部分をきちんと書けているだろうかとちょっとドキドキしていたりします(笑)。プレイングですでにしっかり彼女をエスコートしていてくださったのを見て「ああ、お兄さん素敵…っ」とか思いながら執筆していました。
 しかし、ラスト。前回に引き続き、なんというか…すみません(汗)。
 虎之助さん、この兄弟に呪われてでもいるんでしょうか…(笑)。
 ちゃんと依頼は成功したのに、なんとも後味の悪いEDですみません(汗)。

 さて、今回はオープニングサンプル掲載時にも告知しておりましたとおり、完全個別で書かせていただいています。
 よろしければ、お手隙の時にでもこの作品についての感想などいただけるととても嬉しいです。
 それでは、また会えることを祈りつつ。
 今回はシナリオお買い上げ、本当にありがとうございました。