コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


恋彩日

<序>

『デートして欲しいんだ』

 突如電話から聞こえたその言葉に、草間は飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。喜劇かかった大仰なリアクションではあったが、今の彼にはそうするより他なかったのである。
 男から「デートして欲しい」などと頼まれたとあっては。
「は……はアッッ?! おおおお前何言ってるんだっ?!」
 書類の上に散った琥珀色の液体を慌てて手近にあった雑巾で拭いながら、草間武彦は電話の向こうにいる古くからの知人、鶴来那王(つるぎ・なお)に頬を引きつらせながらやや上ずった声を投げつけた。
 前から変な奴だ変な奴だとは思っていたが。
(やっぱり……こいつは変だ)
 雑巾を片手に握り締めつつ勝手に心の中でそう決め付ける草間に、受話器の向こうからかすかに涼やかな笑い声が聞こえた。
『違う、これはれっきとした依頼なんだ』
「ならなおさらだ。うちはデートクラブじゃないぞ」
『だから……判らないか? こんな依頼をお前の所に持ち込む理由が』
 かすかに耳に届く相手のため息に、草間が眉をしかめた。
「ただのデートじゃないってことか」
『そういうことだ』
「……話、聞かせてもらおうか?」

 つい数日前のこと。
 鶴来は普通に街中を歩いていたのだが、その時ふと道路の脇にいる一人の少女を目に止めた。特別綺麗な容貌だったというわけでもなんでもない。ごくごく普通の容姿の、ごくごく普通にどこにでもいる女子高生のようだった。
 ただ、霊体だったということを除いては。

「……お前、普通に出歩いてる時くらい意識的にそういうモノから目をそらせないのか」
『少し前まではそれも可能だったんだが、最近何だか上手くいかないんだ』
 草間のツッコミに苦笑しながら答えると、鶴来は話を続けた。

 少女は自分の姿に目を止めた鶴来に気づいたらしく、道路の先に向けていた視線を彼へと転じた。目が合ってしまった以上、なんとなく放っておくわけにも行かず、彼女に近づいたのだが――…

『そしたら取り憑かれてしまったんだ』
「……お前」
 あっさりと言い放った相手に、草間は額を押さえる。
「じゃあ何か。今お前はその女の子に憑かれてる状態なのか?」
『自我で押さえ込んでいるから、彼女は表には出て来れないけれど。……今、少し彼女と意識が融合気味なんだ。このままだと完全に融合してしまうまで時間の問題かもしれない』
「で? それがなんでデートに繋がる? さっさとお祓いでも何でもしてもらえばいいじゃないか。うちのヤツ、何人か回してやろうか?」
『手荒な真似しなくても、彼女は誰かと一日遊んでもらえたらそれでいいって言っているから。気が済めば行くべきところへ行ってくれると思う』
 常より幾分柔らかい口調なのは、その少女との意識の融合のせいなのか。
 煙草を一本取り出して、フィルターを唇に当てながらため息をつく。
「ということは、お前に憑いた状態で遊ぶってことだな? つまりはお前とデートってことだな?」
『……ということになるかな。費用は俺が持つから、適当に一日相手してもらえると助かる』
「もしそれでお前から離れなければ?」
『その時は、付き合ってくれる人の判断に任せる』
「了解」
 それじゃあ、と言葉を残して鶴来が通話を切る。ふと、受話器を電話に戻そうとして、草間は首を傾げた。
「そういや男か女、どっち回そうか?」
 鶴来は男だが、中に憑いているのは少女だ。
 中にいる少女に合わせるのなら男を回すべきだが、それだと外見上、鶴来と男同士でデート、という何となく不毛な状況に陥るような気がしなくもない。
 けれど女なら、外見上はデートに見えるが、中にいる少女にとってはデートにはならない。
「……まあ、どっちでもいいか」
 話を回してみて「行く」というヤツに任せればいい。
 あっさりとそう決めると、受話器を置いた手でライターを取り、くわえた煙草の先に火をつけた。

<事前報告>

「明日、デートしてくるね」
 前置きもなく唐突に下される宣言。
 それにぎょっとしたように、縁側で黒猫を膝に乗せてまったりしながらすっかり夏の様相を呈している青い空を見ていた二〇代半ばの青年が振り返った。驚きに見開かれた双眸は、きれいな深紫。少し強い日差しを受け、襟足で一つに纏められた黒髪の上にはきれいな天使の輪が浮いていた。
 穏やかな昼下がりに、突如爆弾を食らわされたかのように衝撃を受けたまま、彼はゆっくりと唇を動かす。
「デートって……一体誰と? お付き合いしてる人、いたんだ?」
「いないよ?」
 けろりと言葉を返し、爆弾発言をした中学二年生くらいの少女――東斎院神音はその青年の背中にもたれるようにして座り込む。
 軒先にぶら下げられた風鈴が、生温い風に揺れてちりんと澄んだ音色を響かせた。ねこは気持ちよさそうにすやすやと寝息を立てている。
 怪訝そうに青年が左眉をわずかに下げた。
「お付き合いしてる人がいないのに、一体誰とデートなんだい?」
「うーん。まあ厳密に言うと、仕事なのよ」
「仕事って……」
 今度は心配そうな表情を浮かべるその青年に、ふふっと神音は笑った。
「変な意味の仕事じゃないよ。草間さんの所の仕事だから」
「草間興信所? ……って、なんで神音のところに依頼が回ってくるんだろう?」
「草間さんの所にその依頼の電話がかかってきた時に、たまたまその場にいたから受けちゃった。面白そうだったし」
「は? ……神音、キミ、草間興信所に出入りしてるのかい?」
 黒猫の頭を指先で撫でながら、青年は少し険しさを増した紫の瞳で肩越しに神音を見やる。
「あまり感心しないかな、僕としては。で、それは一体誰の依頼なんだい?」
「んー、鶴来那王さん、だったかな」
 人差し指を唇に当てながら天井を見上げ、神音は依頼主の――ひいては、明日のデートの相手の名前を思い出しながら言う。その言葉に反応したように、ぴくりと接した背中がわずかにはねた。ん? と神音が肩越しに振り返る。
「あれ? 知り合いなの?」
「あー……いや、うん、うーん……」
 なんだか返事なのかただの唸り声なのかよくわからない反応に、怪訝そうに体勢を変えて、青年の背中に張り付くようにしてその顔を覗き込む。
「何、知り合いなの?」
 けれど、青年は遠い目をして庭先を眺めていた。意識は神音をとらえずに、自分の内側へと向けられているらしい。
「……なんで那王ちゃんがデートなんて……デートなんて……」
「なんか女の子の霊に憑かれたから、それを祓うために一日その霊の相手してほしいってことなの。遊んでくれたら離れてくれるって言ってるらしくて。……っていうか、那王ちゃんって? やっぱり知り合いなんだ?」
「あー……いや、うん、まあ仕事だって言うならしっかりやっておいで」
 事情を飲み込んだ青年は、猫を撫でていた手で今度はぽんぽんと神音の頭を撫でた。なんだか子ども扱いなその態度に、神音が憮然とした表情で唇を尖らせる。むーと短く唸った。
「秘密主義だ。ズルイ。私はちゃんと隠し事せず話してるのに」
「話す必要がないから話さないだけだよ。別に隠し事してるわけじゃない」
「そういうの、詭弁って言うんだよ」
「それは違う」
 言って、青年はかるく神音の額を指で突いた。そして朗らかに笑う。
「僕は僕なりの正論を吐いてるだけだ。自分の論が受け入れられないからと言って人の言葉を容易く詭弁呼ばわりするのは、ちょっといただけないな」
「それも詭弁だよ」
 あっさりと言い放ち、もういいと神音はまた青年の背中に背中を合わせて膝を抱えるようにして座り込む。綺麗に編みこんだ長い栗色の髪を背中から右肩へと移動させて、額にかかる前髪を緩く指先でかきあげる。
「どんな人かなぁ、鶴来那王さんって」
「そうやって遠まわしに話を聞こうとしても無駄だよ、神音」
 背中から振動が伝わる。どうやら笑っているらしいその青年の頭をむっとして軽く握った拳で叩く。
「独り言だよ。お父さんになんか聞いてない」
「そう?」
「でも何か言いたいなら聞いてあげてもいいよ」
 ゆるい熱気が周囲には漂っている。けれどもその熱を感知しないかのように背中をくっつけて座り込んだまま、神音はきゅっと青年――「お父さん」の束ねられた髪を肩越しに引っ張った。じゃれるようなそれに、青年が痛いよと苦笑をこぼす。
 青年と神音は、一〇ほどしか歳は離れていない。けれども、確かに二人の間には血のつながりがある。
 紛れもない「親子」と言う名のつながりが。
 神音には、時を渡る能力がある。いろいろと制限がある能力ではあるのだが、とりあえずその能力を使い、今は一二年先の未来からこの場へ身を移しているのである。
「まあ、とりあえずそういうことで明日はデートなの。覚えといてね」
 何を聞いても答えてくれそうもない父親の態度に諦めを覚えて、神音はぴょんと跳ねるようにして立ち上がると、腰に片手を当てて庭先へと視線を向ける。
 それに、ふと青年が眼差しを持ち上げた。
「そうだ。伝言頼めるかな」
「伝言? 『なおちゃん』に?」
 あえてその呼称を採用する娘に、父親はひょいと少し肩をすくめてから、なにやら意味深な笑みを浮かべて、猫へと視線を戻しながら言った。
「あまり無茶ばっかはダメだよ、って、僕の名前は出さないで伝えておいて。彼、しっかりしてそうに見えてちょっとぼんやりしてるところもあるから、気をつけてあげてくれると嬉しいよ」
「……嬉しいって……何か変だよ、その顔。笑い方がアヤシイ。気になる。一体どういうカンケイなの」
 それに、父親はのんびりと曖昧な笑みを浮かべた。こうなるともう、口を閉じた貝のように何も言ってくれない事は百も承知している神音である。
「むーっ」
 恨みを込めたかのように低く唸り、苛立ちに任せてげしりと白いソックスに包まれた足の裏で父親の背中を蹴りつけると、三つ編みを揺らせて踵を返した。そして肩越しにべーと目の下を指で押し下げ、舌をちらりと出す。
「いいもん。思いっきり大声でお父さんの名前連呼してやるから」
「あ、こら神音っ」
「さーて、明日着る服選んでこよっと。どこ行こうかなー♪」
 軽い足取りで去って行く神音のしなやかな背中をしばし困ったような顔で眺めてから、青年は大きなため息をついて苦笑をこぼし、艶やかな毛並みの猫の頭を指先で軽く撫でた。
 にゃあ、と黒猫が青い双眸を開きながら、眠りから覚まされたことを抗議するかのように一つ鳴いた。

<出会い>

 午前十時。
 行き交う車の流れを、少女を受け入れたちょうどその場所でしばし眺めていた黒スーツ姿の彼は、やがて右手首にはめた時計の文字盤に目を落とし、一つ吐息を漏らす。
 常と違う、自分の意識の傍らにある他者の意識に頭痛のようなものを覚えながら、鶴来那王はわずかに目を伏せた。
「…………」
 自分の感覚ではない者の感覚が自分の中に確かにあるというのは、ある意味、ひどく気味の悪いものだった。
(……気分、悪いの?)
 耳にではなく、感覚に直接響くように聞こえる少女の声に、緩く頭を振る。
「いや」
 短く答える。けれどその言葉にあからさまな濁りがある事くらいは、自分の意識と半ば融合している少女のことである、気づかないわけはない。
(ごめんなさい、私……)
「……お前が気にすることじゃない」
 申し訳なさそうに意識内に聞こえるその声に、自分の胸――心臓の真上に右手を置きながらもう一度緩く頭を振った時だった。
「鶴来那王さん、ですよね?」
 背後から声をかけられて、鶴来は肩にかかる髪を揺らせて振り返った。
 Tシャツの上にボレロ、そしてジーンズという活動的な格好の少女が立っていた。腰辺りまで伸ばされた栗色の髪を三つ編みにし、青いリボンで纏めている。金色の瞳はとても凛としていて、強い意志がその胸の中に宿されていることを示していた。
 現れたのは、東斎院神音である。鶴来那王という人物がどんな容姿かを草間から聞き忘れていたのだが、待ち合わせの場所にやってきてみたらすぐにわかった。
 なんというか、その場にいる誰よりも異質な気がした。霊に憑かれているからかもしれない。いや……それだけではなく、纏っている気の質が明らかに違っていたからだろうか。
 ふと振り返ったその鶴来のその顔を見て、神音はあれ? と思う。
 見覚えがあるような気がしたのだ。デジャヴというにはあまりにも鮮明な――…
(……ああ、そうか……)
 その脳裏に、昨日父の顔に浮かんでいた微妙な表情がよぎった。今ならその表情の理由が判るような気がした。
 未来から来た自分にのみ、わかること。この時間軸から少し時を進めた先に起こる出来事――それがおそらくは、この既視感の正体だ。
 いや、それは「既視感」ではなく、「記憶」。
 けれども思い出したソレを今はあえて胸の奥底に沈め、何事もなかったかのような顔に戻り、神音はにっこりと笑った。
「はじめまして、東斎院神音です。今日は一日よろしくお願いします」
 言って、両手をそろえて丁寧にぺこりとお辞儀する。それに、鶴来が微笑んだ。そして彼もまたぺこりと頭を下げる。
「こちらこそ、よろしくお願いします」
「ええと、あなたにも名前、聞いていいかな?」
 その視線は、鶴来の肩の辺りにいるセーラー服姿の少女に向けられていた。自分よりわずかばかり年上に見える彼女に、にこやかに笑いかける。
「仲良くしてもらえたら嬉しいな」
 それに、浮かんでいる少女が口を開いた。
『加原奈緒子(かはら・なおこ)、です』
 ふと、鶴来がわずかに視線を自分の肩から三〇センチばかり上あたりに向けた。そこに浮いている少女と目を合わせ、そして神音へと顔を向けなおす。
「……ああ、直接彼女と話ができるんですか」
「見るのと聞くのはとってもとっても得意なんです」
「なら、俺の口を通す必要はないですね」
「そうですね。直で話せるから。それにこれ以上那王さんに負担かけさせられないですし」
 目を少し細めて鶴来の気を読みながら神音は言った。何か傷がついてでもいるかのように気が弱まっているのは、おそらく奈緒子の霊を受け入れているせいだろう。通常の状態とは違い、憑依状態だと精神・肉体ともに激しく消耗するのだ。
 少女には似つかわしくない酷く冷めた眼差しでしばし鶴来の様子を見つめていた神音は、すぐにふっとその容貌に明るい笑みを取り戻した。そして金色の瞳を奈緒子の方へと向ける。
「今日はしっかり遊び倒そうね。一日もあればたっぷり遊べるよ」
 一二年先の世界から来たという、この世界にとっては「来訪者」である自分だが、この世界の遊び場くらいは心得ている。
 いや。
 この歳で楽しい場所を知らないなどという悲しい生き方を、神音はしてはいない。それだけのことだ。同時に、誰かに遊んでほしいと、そう稚い子供のようにストレートに他人に望めるような生き方も、してはいなかった。
 そこに立つ姿は、まだ幼さを残してはいるけれど、ひどく凛然としていた。それは彼女がもつ自分の血に対する「誇り」の顕れかもしれない。
「どこか行きたいところ、リクエストある?」
 まっすぐな眼差しで奈緒子を見ていた神音は、ふとその様をじっと眺めている鶴来の視線に気づき、慌てて意識を鶴来の方へ戻した。
「どこか行きたい場所、ありますか?」
「え? ……ああ、俺は特にありません」
「じゃあ奈緒子さんは?」
 視線をわずかばかり持ち上げて問いかける。夏の空をその体に透かした奈緒子は、ゆるりと頭を振った。
「そっか。じゃあ、私のオススメコースでいいかな? いいですか?」
 最初の問いかけは奈緒子に、後の問いかけは那王に向けてのもの。
 きちんと二人に対してそれぞれ心を砕いているらしい神音の様子に、鶴来は優しい笑みをこぼした。

<風と雷に喧嘩を売る少女たち>

 そんな神音のオススメの場所、というのは浅草浅草寺だった。
 雷門、と書かれた巨大なちょうちんを見上げて、くるりと振り返る。
「知ってる? このちょうちんの底に絵が描かれてるの」
 ふるりと奈緒子が首を振る。それを見て、次は少し視線を落として鶴来の顔を見る。
「那王さんはご存知ですか?」
「いえ。なにが描かれているんですか?」
「龍が彫ってあるんですよ。下を通る時に見てみたらわかります」
 言って、その手を差し出す。つられるように鶴来がその手に手を乗せると、きゅっと掴んで神音が歩き出した。雷門をくぐり――ちゃんと龍がそこにいるのを確認して、仲見世通りに入る。
 平日だというのに結構人が溢れていた。中には修学旅行か何かで訪れているのだろうか、学生の姿も見える。外国人の姿も多い。
 人波に呑まれてはぐれてしまわないように、しっかりと神音は鶴来の手を握る。そして鶴来の肩の辺りにいる奈緒子を見てにこりと微笑んだ。
「別におまいりに来たわけじゃないんだよ」
『じゃあ何をしにきたの?』
「甘味処でみつまめ食べるため。まあお参りはついでってことで。メインはみつまめ」
 言ってから、ふと肩をすくめる。
「ついで、なんて言ったら罰当たりかな」
『雷門の前で言ったら風神雷神ににらまれたかも』
「その時は受けて立っちゃう方向で。もちろん加勢してくれるよね?」
『私、雷は苦手だからなぁ』
「じゃあ雷神様は私が引き受けるから風神様はよろしくね」
『台風も怖いんだけどなぁ。学校休みになったりもするから来ると嬉しいけど』
「そうそう、警報とか出ないかなぁって前の日からテレビの前で天気予報とニュース、チェックするんだよね」
『でも期待はずれで終わる事が多いから、あんまり台風好きじゃないなぁ』
「きっと気合が足りないんだよね、風神と雷神の。さっき喝入れてやればよかった」
『うーん、でもあんまり台風呼ばれても困るよー?』
「うん、言えてる。やっぱり雷門はそっと通って正解だね」
 くすくすと顔を見合わせて二人で笑う少女たちに、鶴来は微苦笑をこぼす。それに気づいて、神音がくいとその手を引いた。
「ぼんやりしてたら迷子になりますよ?」
「東斎院さんが手、掴んでくださってるから大丈夫でしょう」
「んー……」
 人差し指を顎に当て、緩く首を傾げながら神音は小さく唸った。
 よくない。
 なんだか、よくない。
 眉をしかめて、神音は鶴来の鼻先に人差し指を突きつけた。
「その東斎院さんっていうの、ダメです。長ったらしいし。神音でいいです、神音で。私も勝手に那王さんって呼んでますし」
 その言葉に、わずかに目を瞬かせて、けれども次の瞬間には穏やかな微笑を浮かべて鶴来は小さく頷いた。
「わかりました。神音さん、ですね」
「呼び捨てでもいいのに」
 ぽつりと言ってから、もう一度その触れ合っている掌を引き寄せる。ふらりと数歩こちらへ向かって鶴来の体がよろけたところ、掴んでいた手を解き、するりと腕を絡めた。
「さあっ、お参りお参りっ。しっかり拝みましょうねっ」
『でもメインはみつまめなのよね』
 ふわりと鶴来の背後から笑いながら奈緒子が言うのに、神音がにこりと笑った。
「そのとおり。あくまでもみつまめ。人形焼も捨てがたいけど」
 人の波の向こうに、宝蔵門が見えてくる。
 ふと、鶴来が視線を横にそらせて呟いた。視線の先には一軒の店がある。
「……浅草ちょうちんもなかも少し捨てがたいかもしれません」
「あれ? 那王さん、甘いもの好きなんですか?」
「ええ、けっこう甘党なんです」
「だったらこの辺りの甘いもの全部制覇しちゃうのも手かもしれないですね」
 その神音の言葉に、鶴来が笑う。
「その時には彼女を俺に憑かせて、味あわせてあげないと不公平ですよね」
『それはすごく嬉しいんですけど、制覇しちゃったら太っちゃうと思います。ねえ、絶対太るよ神音ちゃん』
「あっ、乙女にその言葉は大敵なのに〜」
 悲嘆にくれる顔で神音が三つ編みを揺らせて頭を振る。けれどすぐに、ひひ、とイタズラっぽい笑みをうかべる。
「でも食べちゃうもんね。その分動き回るから平気だよ」
『そういう油断を繰り返して、体重って増えていくのよね……』
「……ちょっと今殺意覚えちゃいそうになった。罪な人だね、奈緒子さんたら」
『もう少しふっくらしても可愛いよ、神音ちゃんは。ねえ鶴来さん?』
 ティーンエイジの少女二人の会話に口を挟む事も出来ず完全に傍観者と化していた鶴来が、少し低い位置から神音の真剣な眼差しを受け、苦笑しながら答える。
「ええ、そうですね。成長期にはしっかり食べたほうがいいです」
「那王さん、それ、まるっきり子ども扱い……」
「ああ、もうすぐ宝蔵門ですよ」
 実はこの人、底意地は悪いほうなのかもしれない。
 穏やかな微笑を浮かべてあっさりと話をすり替える鶴来を見て、神音は思わず拳を握り締めていた。

<襲われる青年・救う少女>

 次の「神音オススメコース」による行き先は、上野動物公園だった。
 なんだか地方の中学生だか高校生だかの修学旅行コースのようにも思えるが、とりあえずJR上野駅公園出口から出て、表門へと向かう。
 動物園前にはたくさんの鳩が戯れていた。よちよち歩きの子供が鳩に駆け寄っては、慌てて飛び立って行くその姿を不思議そうに見ている。青い空にも、何羽か羽ばたいている姿があった。
「あ、そうだ。那王さん、鳩にエサやっちゃダメですよ。大群で襲われちゃいますから」
 その鳩の姿を見て、思い出したように笑いながら言う。が、傍らに居たはずの鶴来と奈緒子がいないことに気づき、神音がはっと周囲を見やった。
「あれ? 那王さん? 奈緒子さん?」
「ああ、神音さん、こっちで……、あ……っ!」
「那王さんっ?!」
 声がした方向を振り返った途端、神音の目に入ったのはおろおろと宙に浮いている奈緒子と、恐ろしい数の鳩に囲まれている鶴来の姿だった。慌ててそちらに駆け寄り、手で鳩を追い払う。
「ほらほらみんな離れて離れて! 那王さんっ、手にエサ持ってるなら下へ投げてくださいっ」
 それに無言で答え、鶴来は手に持っていたエサを地面にばら撒く。と、鳩はそれを追って鶴来から離れて地面へと降り立った。くちばしでせわしなく散らばったエサをつついている。
「言った傍から襲われないでください、びっくりするじゃないですか」
 ぴんと背を伸ばし、腰に手をあてがってやれやれと顔に書きながら言う神音に、鶴来が鳩の羽で乱された髪に手を当てながら苦笑をこぼした。
「すみません。そこにいた子供がエサをくれるというので、つい受け取ってしまったんです。けれど、あんなに一気に寄ってくるとは思わなくて」
「……あー……ホント、ぼんやりしてるとこあるのね……」
「え?」
 思わず、昨日父親が言った台詞を思い出してしまった神音は「ああいえ」と顔の前で手を振ると、ひょいと肩をすくめた。そして奈緒子の方を見る。見るからにほっとした顔で神音を見ていた。
『びっくりしたー……』
「大丈夫?」
『私は平気。すごいのね、鳩。飢えてるのかな』
「ここの鳩はいつでもああだよ。がつがつしてる。だから気をつけてって言ったのに」
 注意するのが遅かったのだろうか。もう一度やれやれと肩をすくめる。
「さて、いつまでもここにいたらまた那王さんが襲われそうだからさっさと動物園に入ろう。那王さん、行きますよ」
 少し乱れてしまった髪を手で直し、鶴来は困ったような顔で微笑んだ。
「勉強になりました。上野の鳩には要注意ですね」
「鳩に注意っていうよりも……那王さん自身に問題がありそうですけど」
「そうですか?」
「隙がなさそうに見えて実は隙がありまくりっぽいです。要注意です」
「そうですか?」
 何食わぬ顔で微笑を絶やさぬまま同じ返答を二度繰り返す鶴来の、その鳩に群がられた際に少し白く汚れた黒スーツを手で払ってやり、神音は再び腕を絡めた。
 どこまでが本心の顔なのかわからない辺り、少しばかり自分の父親に似ているかもしれないと、そんなことを思いながら。

<鑑賞中>

「日頃の行いが悪いのは俺だろうか」
 ぽつりと呟かれた言葉に、腕を組んだまま少し低い位置から神音が視線を向ける。空いた手を口許に当てて、ちらりと黒い瞳を動かし、横目で鶴来が神音を見る。
「少しも動かないので」
「間が悪いと、普通にこんなものです。別に珍しいことじゃないんですよ」
 言って、視線を前に向ける。
 そこには、白と黒のもこもことしたものが寝そべっている姿がある。
 パンダ舎前。
 たくさんの人だかりが出来ているにも関わらず、その視線を一身に浴びている当のパンダはどうやら、昼寝の真っ最中らしかった。まったく身じろぎしないその様に、近くにいた子供が親に「パンダ動かないよー」と半分ぐずるような声で訴えている。
 ちらりと目を上げると、奈緒子がその寝そべっているパンダを熱心に見ているのが見えた。何が面白いのか、口許に手を当ててくすくすと笑っている。
「奈緒子さん、寝てるの見てるのも楽しい?」
『なんだかかわいいと思って。それに、動いているところだけが動物のすべてじゃないし、動いているイメージがあるものが動かない時っていうのを見てるのもいろんな発見があって楽しいよ』
 言って、ふふ、と目を細めて笑う。
『たとえば、鶴来さんの寝顔とかね』
「那王さんの寝顔……」
 紡がれた言葉に、はたと神音が瞬きをする。
 確かに、それはちょっと興味深いかもしれない。
 上目遣いに自分に向けられる視線に気づき、鶴来が動かないパンダから傍らの神音へと視線を転じる。あまりにもまじまじと金色の瞳に見つめられて、苦笑をこぼす。
「次はゾウですね。今度はちゃんと動いているといいんですが」
 あえて話題からズレたことを口にし、ゆっくりとパンダ舎の前から歩き出す。鶴来に像をダブらせながら奈緒子が肩をすくめた。
『動いてなくても楽しいですよ?』
「俺の寝顔を見ているのと同じ理由でか? だったら悪趣味だな」
「私も那王さんの寝顔見たいって思うから、悪趣味なのかな」
 傍らから真顔で神音に言われて、ちょっと困った顔で鶴来が吐息を漏らした。
「さっきのパンダとさして変わりませんよ」
「ホントに?」
 問いかけは、奈緒子に向けてのもの。それに口を開こうとした奈緒子を、制するようにじろりと剣呑な眼差しで鶴来が見やった。目で威圧されて、奈緒子は口許に手を当ててこくこくと首を縦に振る。自分の意思で、というよりは鶴来にそうさせられた、という感じで。
『パンダと同じ。静かよ』
「うそくさい。きっと変なクセがあるんだ」
 目を半眼にして言う神音に、鶴来は苦笑をこぼし、生温い熱気をはらんだ風に揺れる神音の茶色の髪にそっと触れた。
 春風のような、ひどく優しい手つきで。
「ほら、ゾウは起きているようですよ」
 また話をずらされるが、まあいいかと神音は気を取り直してその頭に乗せられた鶴来の手を取り、しっかりと握り締めて歩き出した。
 その時、ふと誰かの視線を感じて神音は動物的な反応でパッと振り返った。三つ編みが宙にふわりと浮く。
 その視線の先。
 少し離れた場所にあるショップの陰に。
 黒い服を纏った見覚えのある青年がこそりと立っているのが見えた。サングラスでその容貌を隠してはいるが、姿形が神音の脳裏に容易にサングラスなしの容貌を思い出させる。
「……!!」
 一瞬金色の双眸を見開くが、素早くその姿を見なかったことにするかのようにゾウのほうへと視線を戻す。明らかに驚愕を宿したその胸中は、
(な、な、な、なんでこんなとこにいるのー!!)
 絶叫が響いていた。胸に手を当てて不意に黙り込む神音に、鶴来が不思議そうな目を向けた。
「どうかしましたか?」
「え? あ、いえ、なんでもないです」
 慌ててふるふると頭を振り、引きつりそうになる口許を制御してうまく微笑みを作る。けれど違和感を感じたのか、鶴来がわずかに怪訝そうな顔をして首を傾げた。
 そして、言った。
「ゾウ、お嫌いでしたか」
「……いえ、大好きです」
 好きでも嫌いでもないくせに嘘八百な答えを低く返す神音に、けれどもにこりと微笑んで鶴来はまたその黒い瞳をゾウの方へと戻す。
 それを確認してから、じろりと神音はまたショップの方へと目を戻した。
(……後つけてくるなんて、奈緒子さんよりも悪趣味だ……)
 わずかに唇を歪めて、眉を寄せて鶴来に気づかれない程度にむーと低く唸る。
 そんな神音の挙動不審な様を、不思議そうに奈緒子が見つめていた。

<サヨナラ>

 水上バスに乗り、お台場へと移動完了した頃には、空は西側から徐々に赤みを増してきていた。
 その空に近い場所へと登る大観覧車の中に、三人はいた。
「私、ここ大好きなんです」
 窓の外に視線を移し、神音は眼下に広がる景色を瞳に映す。晴れているせいか、房総半島のあたりまで見渡せた。
 空を焼く夕日が、海面を赤く染めている。
「ほら、夕焼けが海に映えて綺麗でしょ?」
 その言葉に、窓ガラスに手を当てて外に顔を向けていた奈緒子がこくりと頷いた。肩口で切り揃えられた黒髪がさらりと揺れる。
『うん、綺麗ね……』
 水面が、赤いきらきらとした光を纏っている。
 出来すぎた、まるで絵画のような美しさだった。
「……今日は楽しんでもらえたかな?」
 さっきまでの、気安い友達感覚の言葉ではなく。
 神音から紡がれる言葉は、ひどく静かで、そしてひどく澄んでいた。
 まっすぐに、濁りのない魂をそのまま反映させたかのような眼差しで、奈緒子を見る。
 ふっと、窓辺から手を離し、奈緒子はその眼差しに答えるように微笑んだ。
『ありがとう』
「本当に? 十分楽しめた?」
『うん。まだ生きてた頃、友達と一緒に遊んだこと思い出した』
 軽く持ち上げた両手に視線を落とし、奈緒子は目を伏せる。それに、神音がわずかに目を細めた。
 まだ、若干の迷いがあるように見受けられたのだ。
「……もし、まだ足りないようだったら……私と一緒に来る?」
 自分よりいくつか年上の霊体に、優しく、けれども真摯な言葉を紡ぐ。
「行くべきところへ行くお手伝いなら、私にもできるから」
 どんな犠牲を払ってでも。
 窓の外から差し込んでくる赤い光を金色の双眸に映して、神音は言った。
「私も、もうあなたの友達だよね?」
 たとえこの一日しか共にすごせる時間がなかったとしても。
 きっと、友達になるために大事なのは時間ではなく、相手を大切に思う気持ちだから。今、彼女をちゃんと送ってあげたいと思っている自分は、彼女のことをとて大切に思っているはずだ。
 にこりと微笑み、神音はその右手を奈緒子に差し出した。
「私は、友達だと思ってるよ」
『……うん、ありがとう、神音ちゃん』
 そっと浮いた涙を隠すように手で目をこすってから、奈緒子も手を差し出した。
『私も友達だと思ってるよ』
 実体のない手と、握手を交わす。
 ふわりと、奈緒子が神音の体を包むように抱きしめた。
『ありがとう、楽しかったよ』
「うん。気をつけて」
 見送りの言葉に、微笑んで頷く。そして、神音の向かいに座っている鶴来の方を肩越しに振り返って。
『ありがとうございました』
 ぺこりとお辞儀をして。
 ふっと、奈緒子はその場から消えた。

<伝えられる言葉>

 一六分間の空中散歩を終え、観覧車から降りると神音はぺこりと鶴来に向かって頭を下げた。
「今日はお疲れ様でした」
「それはこちらの台詞ですよ。本当に、ありがとうございました」
 穏やかな微笑を浮かべ、鶴来は真っ赤に染まる空を見上げた。
「お陰で、無事に彼女を送ることができました」
 遮るものもなく広がる空を、神音も見上げた。そして小さく笑う。
「私も楽しかったです、今日はとても。好きなところ、回れたし」
「そうですか」
「それに」
 ふっと視線を空から下ろし、鶴来を見て微笑む。
「那王さんにも、会えたことだし」
「え?」
 紡がれた言葉を不思議そうな顔で受け止めて、鶴来が緩く首を傾げた。その顔をしばしまっすぐに見つめてから、神音はぺこりと頭をもう一度下げた。
「本当に、お疲れ様でした。長いこと憑かれていたから、きっとかなりお疲れだと思うんです。ゆっくり休んでくださいね」
「ええ……ありがとうございます」
「それじゃあ、私はこれで」
 言って、くるりと踵を返して。
「あ、そうだ那王さん」
 肩越しに振り返る。その容貌に、なんだか不思議な微笑を浮かべて。
「ある人からの伝言です。『無茶ばっかはダメだよ』って」
「……ある人? って……え?」
 目を瞬かせて、鶴来は口許に手を当てる。
 この少女と共通の知り合いなど、自分にいただろうか?
 記憶を辿るが、それが誰かはわからなかった。人の顔と名前を覚えておくのは得意なはずなのだが――…
「誰ですか……?」
 記憶の名簿をめくることをあきらめて発したその問いに、けれども神音は答えずにもう一度ぺこりと丁寧にお辞儀をする。
「今日はありがとうございました。それでは!」
 軽く靴音を立てて、まるで春風のように去って行く少女の背中を、鶴来は呼び止めることもできずに見送った。
 が、その少女が駆けて行く先。
 こちらを見て立っている一人の青年がいた。黒い服に、黒い髪。容貌はサングラスに阻まれていて伺えない。
 その青年の手が、ゆっくりと動いた。かけていたサングラスをわずかばかり、下にずらす。そして悪戯っぽくちらりと舌を覗かせ、目を細めて笑った。
 現れた容貌に、鶴来は目を見開いた。が、すぐにそれは苦笑へとすり替わる。
「……まったく……相変わらず困った人ですね……」
 呟かれた言葉は、誰へ届くこともなく潮風に流され、そのままかき消された。

<終――追跡者の正体>

「悪趣味なんだから!」
 駆け寄るなり、やおら神音は怒鳴った。それに「ははは、ごめんごめん」と頭をかきながらまったく反省していない様子でのほほんと笑うのは、神音の父親だった。
「だって、やっぱり気になるだろ? 娘の初デートって」
「だからって後つけてくるなんて、もうっ!」
 子供っぽく頬を膨らませる娘の背を、青年は軽く促して歩き出す。
「でも、無事に終わったようで安心した」
 子供の成長を喜ぶ親の顔で、ぽんぽんとその頭に手を置く。むー、と短く唸って、神音は父親を上目遣いに見た。
「『なおちゃん』と会った事あるんだね、私」
「『現在の神音』はまだ会っていないけど」
「これから先、会うんだね? 『現在』の――まだ今二歳の方の私が」
「さあ、どうかな」
「好きになっちゃってもいい?」
「えっ?」
 話の流れをまるで無視した唐突な発言に、弾かれたように青年が神音を見開いた紫色の瞳で見返す。
「好きにって、まさか……那王ちゃんを?」
「うん、なおちゃんを」
「……どうかなー……」
 なにやら複雑そうな顔つきで頭をかく父親を眉を寄せて見上げる。
「何? 問題アリ?」
「……微妙」
 本当に「微妙」な表情で大きくため息をつく父親を怪訝そうに見て、神音は唇を尖らせる。
「何が微妙?」
「考えてもごらん。那王ちゃん、僕と同じ歳なんだよ? 父親としてはいろいろと微妙だ」
「……なんか、それだけじゃない気もするけど」
「気のせいだよ」
 真意を悟らせない微笑を浮かべて、青年は神音の頭を撫でた。
「さ、それじゃどこかで夕飯でも食べて帰ろうか。親子水入らずで」
「じゃあ『分とく山飯倉片町』のおまかせコース」
「えー。僕的には『麺屋武蔵』のあじ玉らー麺な気分なんだけど」
「……追求しちゃおうかな、なおちゃんとのこと」
「あーはいはい、おまかせコースね。はいはいわかりましたわかりました」
 軽く両手を挙げてお手上げポーズを取る父親に、神音は胡乱げな目を向ける。
 けれどもそれ以上追求はしなかった。
 とりあえず、今日のところはおまかせコースに免じて許しておいた。


□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0807/東斎院・神音(とうざいいん・かのん)/女/14/中学生】

【0065/抜剣・白鬼(ぬぼこ・びゃっき)/男/30/僧侶(退魔僧)】
【0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/女/26/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0226/斎司・更耶(斎司・更耶)/男/20/大学生】
【0689/湖影・虎之助(こかげ・とらのすけ)/男/21/大学生(副業にモデル)】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 こんにちは、はじめまして。ライターの逢咲 琳(おうさき・りん)です。
 この度は依頼をお請けいただいて、どうもありがとうございました。
 少しでも楽しんでいただけましたでしょうか?

 東斎院神音さん。初めてのご参加、どうもありがとうございます。
 元気で可愛らしいお嬢さんで、鶴来に憑いている少女とのやりとりなど、書いてるこちらもとても楽しかったです。
 歳若いお嬢さんのデートコース1番目が浅草浅草寺というのはなかなか渋めの選択だなぁと思ってました(笑)。鳩の大群に襲われる、など、いろいろと面白い発言が多くてプレイング見ているだけでも楽しかったです。
 元気で、けれどもとても芯が強く、凛としている――そんな神音さんを描いてみたのですが、お気に召していただけたでしょうか。

 さて、今回はオープニングサンプル掲載時にも告知しておりましたとおり、完全個別で書かせていただいています。
 よろしければ、お手隙の時にでもこの作品についての感想などいただけるととても嬉しいです。
 それでは、また会えることを祈りつつ。
 今回はシナリオお買い上げ、本当にありがとうございました。