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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


フェザー・トリップ

------<オープニング>--------------------------------------

「天使薬?」
 雫は揚げたてのポテトをかじりながら聞いた。
「メジャーなのはフェザー・トリップって呼び方かな。池袋あたりで売ってる薬なんだけど、けっこういいんだって」
 放課後。駅前。ファーストフード。そして友達。
 それらが揃えば、楽しいおしゃべりの時間だ。
 今日一個目の話題は天使の薬。
「頼子ちゃんはやったことある?」
 向かい側に座っていた少女は首を振った。
「興味はあるけど薬って怖そうだし……普通じゃないんだって、それ」
 情報通の頼子が言うには−−−。
 出回っている数自体が少ない。効果が長い。中毒・依存性が低い。
「極めつけは、やった人間が必ず同じ幻覚を見るっての」
「LSDとかも同じようなのを見るんでしょ? 脳に薬が回って」
「ちょっと違うんだ。満月の夜にだけ、天使が見えるの」
 雫は首を傾げた。
「鎖につながれて、泣いてる天使が見えるんだって−−−」
「見たら呪われたりしあわせになったりするの?」
 両肩を上げる頼子。
「そういうのは聞いたことない。でも可愛いんだって、綺麗っていうか……。
 その天使に恋しちゃってやりまくってる人もいるってよ?」
「薬関係は怖いし、誰かに調べてもらおうかな☆」
 ハンバーガーにかぶりつき、雫は微笑んだ。


 テレビでやらせ感たっぷりのバラティが放送されていた。張暁文はネクタイを解きながらキッチンへ行く。クリスタルグラスにミネラルウォーターを注ぎ、ソファーへ戻る。
 画面に『その時!!』と太字のスーパーが浮かぶ。最近はこの手のスーパーが多い。耳の悪い連中にはありがたいだろう。それと、活舌の悪い芸能人には。
 ラックに置かれたランプ。ランプシェード越しの柔らかい光に、暁文は水晶の破片のようなものを当てた。透明度の高い結晶だ。
 噂のフェザー・トリップである。
 品薄という噂も聞いたが、暁文にしてみれば簡単だ。適当に仲間に声をかければいいのである。
「さて……」
 ぐいっとミネラルウォーターを飲む。それから窓のカーテンを閉じた。星空にぽつっと満月が浮いている。
 吸引しろと聞いていたな……。
 キッチンに戻りアルミホイルを出す。それに結晶を乗せ、下からライターで炙った。ふんわりと白い煙が立ち昇る。すっとそれを吸い込んだ。
 薬を使うと便秘になるという。それは嫌だが、仕方ない。好奇心はあるし、商品知識もほしい。
 この薬が噂どおりの良いものだったら、金になる。役に立たないもののために動くのは嫌いだ。
 ソファーに腰をおろす。徐々に体から力が抜けていく。
 誰かに後ろから優しく抱き締められたような気がした。全身が温かくなる。
 魂についた汚れやしがらみが残らず浄化され、真っ白な翼を広げて空へ舞い上がるような感覚に襲われた。
 自分ではない何かに変わっていく。
 テレビが垂れ流すコメンテイターの笑い声。それさえ心地よい音楽に感じられ、天上にいるように思えた。
 母親の胎内へ戻ったような安心感。そして眠くなる。空から美しい音楽が鳴り響き、ゆっくりと体に降り積もってくる。光と、優しさ、肯定しか存在しない世界。
 全てが許され、受け入れられた。
 そう確信できる。
 これは、なかなかだ−−−。
−−−ああ。
 誰かの声が響いた。今までの感覚とは別のものだ。
−−−やっと。
 囀りを思わせる、儚く美しい呟きが聞こえる。
−−−やっと、通じる人が来た……。
 目の前に、暗い部屋が写った。部屋は地下室のようで、打ちっぱなしのコンクリートが冷たい印象を与える。
 そこに、少女がいた。
 真珠色の翼を背にした。
−−−やっと、通じる人が来た……。
 空から隔たれていても、なお蒼い瞳。透明度の高い瞳が、静を見た。長い睫毛が涙に濡れている。
 両手を上げて、コンクリートの壁に打ち付けられていた。掌を太い釘で貫かれて、昆虫採集のような姿だ。小さな翼にはフックが突き刺さり、それが壁に鎖で繋がれている。首と足には枷がはめられていた。枷の内側には鋲があり、少しでも暴れると皮膚が傷つく。
 囚われの天使か。
 麻薬の力が抜けていくのが解る。冷静に、静は天使を見た。
 まだ子供だ。
 高くても16歳程度だろう。美しい緋色がかった金の髪をしていた。
 奇跡という言葉が人の形をしたら、彼女かもしれない。それほどまでに美しく可憐だった。
 ジャンキーたちがはまるのも頷ける。
−−−助けて……。
 す、と。痛みが走る。
 目の前に雷光が響く。いや、研ぎ澄まされた日本刀の刃だ。それが視界一杯に広がり、暁文を両断した。
 全身が冷や汗で濡れていた。
 冷たさを感じてから、トリップより現実へ戻ってきたと知る。
 なんだ、最後のは。
 少し頭痛がする。副作用か先刻の幻覚のせいか。米神に指を押し当て、瞳を閉じた。
 悪くない。
 あの幻覚さえなければ、いい薬だ。
 量産が出来たらどうなる。今の所量が少ないので高価格だが、生産コストは低いのでは、と仲間が言っていた。
「調べてみるか……」
 まだ夜は入り口だ。出かけるのに丁度良い。



 池袋『RASH!』は裏社会では有名な店だ。会員制で安心してその手の遊びをすることができる。暁文はそこに赴いた。入り口には黒服に隆々とした筋肉を隠した男たちがいる。
「上品な窓口だな」
 刃物を連想させる視線を受ける。暁文はにっと笑って仲間の名刺を渡した。名刺に意味はないが、これを渡すと良い、と言われていた。何か暗号でもあるのだろうか。
「ようこそ」
 マジックミラーで囲まれたエレベーターを使う。最上階へ向いながら、池袋の夜景が一望できた。誰にも悟られず。芸能人や財界の客も多いと聞く、かなりの設備ようだ。
 最上階へ行き、また上品な受け付けと会話。やっと店に入る。
 店内は小さなブースに区切られ、それぞれグループの客が入っているようだった。薄い布がインテリアのように飾られ、客の姿を隠している。さながら繭のような店内だ。
 街ではお目にかかれないような美人が、暁文に挨拶をする。そしてソファーへと案内した。布にくるまれた個室へ案内される。個室には、両手に女を抱えた老人が座っていた。
 肌も髪も油気がなく、かさかさに乾いている。だが、目だけは獰猛な耀きを称えていた。まだまだ現役のようだ。
「話は聞いてるよ」
 穏やかに老人がいい、指先で座れと合図をした。
「フェザーに興味があるとか」
「ええ。新宿のほうにも市場を広めてはいかがでしょう。私も使ってみましたが、良い」
 満足そうに老人が頷く。
「まさに天使の薬だ」
 暁文の前にも高そうな酒が運ばれてくる。だが、手はつけない。
「市場を広げてどうする」
「金になります」
「率直だな……だがね、お若いの。私ぐらいの爺になると金に興味が湧かん。あの薬は私個人がほしくて作り出したものだ。おいそれと渡すことはできん」
 国さえ買えるほどの財力を有していると噂される老人だ。金に興味がなくても当然だろう。
「ほしければ探せ。奪え。それが若さだ」
 どうやら老人は、子供相手にゲームを始めるつもりらしい。
「ありがとうございました」
 ならば、痴呆防止に付き合ってやろう。
 トリップ中に自分を切り伏せた存在も気になる。いや、気に入らない。一二発食らわせなければ。



 店を出ると、足が自然と歩き出した。自分の意志とは関係なくだ。寝ぼけ半分で家に帰ったときと同じような感じだ。足が覚えている方向へ進みたがっている。
 何処へ連れて行くつもりだ。
 ふっと、目の前に真珠色の羽根が一つ落ちてきた。夜風に揺られ、それは前を飛んでいく。
 天使が呼んでいるようだ。
 羽根はネズミ色の雑居ビルの前で消えた。どうやらここに天使がいるらしい。
 虎穴に入ればなんとやらだ。入り口の鍵は閉まっていたが、そんなもの意味がない。
 暁文が能力を使い、中へ入った。
 すると、なにやら話し声がする。足音と声から判断するに、若い男が三人だ。親切心が働いて入り口の鍵を開けてやる。それから身を隠した。
「入り口が開いてる」
 一人が言う。
 年長者らしき男が刀を鞘から抜いた。似たような刀をもう一人も抱いている。
「こいつらか」
 暁文は薄い唇をなめた。
 天使様の思し召しで、敵と即座に出会えようだ。
「さっきはやってくれたな。どっちだ?」
 背の低い方が答えた。
「何の話?」
「しらばっくれるか……いいぜ、そっちの方が好みだ」
 転移能力。
 特異な力を生かし、まずは牽制。一番弱そうな細ッこい男の後ろに立った。こいつだけが丸腰だった。
「うわわっ!」
 手を曲げ後ろに引く。それから男の背中に押し付けて、手首と肘、肩の能力を奪った。
 長身の男が殺気を放つ。手にはぎらぎらと光る日本刀があった。
「おっと、そいつは使わない方がいい。仲間が大事ならな」
 仲間って概念があるのか、と暁文は自嘲する。男は刀を鞘に収めた。
「俺はお前に恨まれるような記憶はない。人違いだろう」
 真っ直ぐに睨んでくる。なかなかに肝っ玉だ。
「……俺を切っただろう。天使の前で」
「それは違う!」
 成り行きを見守っていた小さい方が、宣言した。
「僕も、静さんも切られた。あなただけじゃない」
「……あの、僕良くわからんのやけど……」
 両手を捻じ曲げられ、篤旗の目に涙が浮かんでいる。
 ぱっと解放された。
「そうか。俺は刃しか見えなかったものでな。すまない」
「悪いと思ってないやろ……」
 男は答えず、静を上から下まで見た。
「あんたに似ていたがな」
「……流だ。相手は」
 言葉から滲み出す並々ならぬ関係をかぎ分けたのか、男は口笛を吹いた。
「ちょっとむかついてたんでな。二三発食らわさないと気がすまない。この部分では利害が一致するわけだ」
 中島文彦。暁文はそう名乗った。よく使っている偽名だ。
「さて、中へ行くか」
 暁文はビルの中へ入っていった。
「あの人が鍵を開けてくれたのかな?」
「僕、完っ璧置いてかれとる……」
 手首をさすりながら、篤旗はとほほ、と呟いた。



 一階から階段を下りる。下には一室しかないようだった。コンクリート打ちっぱなしの壁や広さは確かに、天使が居た部屋に似ている。肝心の天使がいない以外は。
「さて……」
 暁文は部屋を見渡す。
 殺風景な部屋だ。メタルラックと事務用の机、乱雑に置かれた書類。会社の事務室といった感じだ。
「ここに天使がおるの?」
「わからない」
「……あ」
 全員の視線が手首を捕まれた男−−−篤旗に集まる。
「一番奥の壁だけ温度が違う」
「よくわかるな」
 示された壁に文彦は手を当てる。それから、こんこん、とノックした。音の響きが一部分だけ違う。
「ふんっ!」
 気合を込めて壁を掌底で叩く。ぐん、と一瞬壁がゆがみ、奥へと倒れた。
 隠し部屋が露になる。もっと地下まで階段は伸びていた。
「なる。向こうにも空間があったら温度が違ったんやわ」
 一人で篤旗は納得した。
 触っても解らないような温度差を、視線だけで読み取る能力。役に立つかどうかは置いておいて、珍しいものだと思った。
「いよいよラスボスのお出ましかな?」
 ふざけ半分に譲は階段を下りる。
「そう、ラスボスの登場だ」
 くくっと喉で作る笑い声がした。
「流!」
 静が叫ぶ。
 紺色の袴を身にまとった男が、後ろに立っていた。全身から放たれる毒々しい気配に、暁文は舌打ちをした。どうやらこいつが犯人らしい。切り伏せてくれたやつだ。
「……いつの間に……」
「今は殺さん、降りろ」
 全員がゆっくりと地下に下りる。彼らを迎えたのは、繋がれた天使だった。
 天使が人影を見て頬を染める。そして、流を見て睫毛を伏せた。
「小鳥。また呼んだな」
 天使は答えない。
「まぁいい。誰もお前を助けることはできない……お前がこいつらを呼ばなければ、俺は殺さなかったものを」
 やっと天使が顔を上げた。暁文を上目遣いに見る。祈るような瞳だった。
「……ごめんなさい……」
 文彦が口笛を吹いた。
「幻覚ではないのか」
「流さん、殺さないでください……」
 弱っているのか、天使はゆっくりと頭を下げる。手を壁に縫われていなければ、土下座をしただろう。
「まずは子供からだ」
 流と呼ばれた男が、ゆっくりと譲を見る。
「やめてください!」
 がんごんっ、と階段の上から不思議な音がした。先刻暁文が壊した壁が、階段を滑って流の背中にぶち当たる。
「なんだ?」
「これはまた、立てこんだ所に」
 階段から男が一人降りてくる。炎のように赤い髪をした男だった。黒いスーツをだらしなく着崩しているが、それがまた男の色気を醸し出している。そしてまた、黒いサングラスをつけていた。深夜にもかかわらずだ。
「割に合わん……」
 何かぶつくさ言っている。
「誰だ、貴様」
「動物愛護者だ。店で熊が泣いてるんでね」
 おどけた様子で赤い髪の男が両肩を上げる。
「天使を探しに来たんだが、どういう状況なんだ?」
 こっちが聞きたい。
「助けてください……!」
 赤毛の男に言う。
「わかった」
「ぬっ……?」
 静に向けられていた流の刀が揺らぐ。筋肉がぎしぎしと鳴いているように、左右にぶれる。
 赤毛の男の瞳が、燃え上がっている。紅蓮の光がサングラスの向こうから生まれ、流を押しとどめていた。眼力で体を縛っているらしい。
 我に返った篤旗は、天使の側に駆け寄った。鎖や首輪にも施錠がなされていて、取ることができない。手も釘で打ちつけられているので、引き抜くわけにもいかなかった。
「動かないでね」
 優しく譲がささやき、持っていた刀で鎖を切る。ものすごい切れ味の刃だ。
 徐々に自由を取り戻し、天使が泣き出した。嬉しいのだろうか。
「小鳥、俺はお前に言ったな。俺の側以外、生き場所はないと」
「……っ」
 赤毛の男の額に汗が浮かぶ。それだけ反発する力があるのだ、流という男には。
「それでも行くか」
「……どこでも生きれます……生きてさえいれば……」
 全ての戒めを解かれた天使が、立ち上がった。体重を支える筋力が弱くなっているのか、ふらふらとおぼつかない。が、しっかりとたった。
「……ふん」
 つまらなそうに流が言う。
「また会おう。静」
 闇に溶けるように、流は消えた。



「君、これからどうするん?」
 篤旗の羽織っていたジャケットを借り、天使はゆっくりと街を歩いていた。
「……わかりません、でもどうにかなると思います」
 にっこりと微笑んだ。希望に満ちている。
 この少女が、あの老獪に求められいたのだろうか。
 肝心の薬に近づけなくて、暁文はむすっとしていた。
「この世界は私の世界と違うけれど……優しい人がいるってわかったし……頑張ってみようと思います」
 自分の頭を掻いて、篤旗は聞いた。
「一晩ぐらいなら、僕の家使ってもええよ。あ、やましいこと考えてるのと違うよ。どこかで休んだほうがいいかなぁ、と」
「傷のことですね?」
 天使は篤旗に掌を見せた。釘が打たれていた部分は綺麗な白い肌だけになっている。傷がすっかり消えているのだ。
「私の一族は癒し手と呼ばれています。あれぐらいならすぐに治せます」
「そっか……良かった」
 ふふふ、と天使が微笑む。
「お礼です、受け取ってください」
 その場に居た全員の掌に、ビー玉のような結晶が現れた。
「風邪のときにでも使ってください」
「フェザー・トリップだな?」
 暁文が星空の水晶を透かしてみる。一度見たものを間違えるものか。
「この世界ではそう呼ぶんですか? これは一族に伝わる薬です。不眠症や肉体疲労回復に役立ちますよ」
「麻薬……ではないのか」
「薬ですけど……麻薬ってなんですか?」
「金になる薬だ」
「これが?」
 天使は暁文の手に残った結晶を見、微笑む。
「ご冗談を。誰にだって作れます」
 あ、と唇に人差し指を当てる。
「だから流さん、私を捕まえたのでしょうか」
「……これは金になるな」
 麻薬だろうがなんだろうが、心地よい薬であることにはかわらない。
「お金ですか、それがあれば、この世界でも生きていけますか?」
「ああ」
「ちょっと待ち!」
 篤旗が天使と暁文の間に入る。
「さっきのおっさんとしてること変わらないやん」
「違う。合意の上だ、ビジネスだ」
「私、頑張ります!」
 天使は笑いながら胸を叩いた。
−−−どうだ、爺。
 暁文はにやりと笑った。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 0527 / 今野・篤旗 / 男性 / 18 / 大学生
 0213 / 張・暁文 / 男性 / 24 / サラリーマン(自称)
 0588 / 御堂・譲 / 男性 / 17 / 高校生
 0599 / 黒月・焔 / 男性 / 27 / バーのマスター
 0425 / 日刀・静 / 男性 / 19 / 魔物排除組織ニコニコ清掃社員

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■         ライター通信          ■
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 和泉基浦です。
 フェザートリップはいかがでしたでしょうか?
 依頼を受けていただいて、ありがとうございました。
 今回は男性様ばかりでちょっとびっくりです。
 皆様のプレイングからハッピーエンドとなりました。
 楽しんでいただけたら幸いです。
 感想等お気軽にテラコンよりメールしてくださいませ。
 忙しくて返事の書けない時もありますが、全て平伏して読ませていただいております。

 暁文様はじめまして。
 裏社会のツテをふんだんに使っていただきました。
 お気に召しましたでしょうか?
 またお会いできることを祈って。  基浦。