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ヘビースモーカーの為の探検講座
来生十四朗は、夏のオカルト記事特集を組むために、中ノ鳥島にやってきていた。
そんな時、知人の草間武彦を発見する。
とりあえず、少し観察してみる。
どーやら、草間はニコチン切れで、結構やばい状況のようだ。
(これは面白いネタに…もとい、いつもの恩返しのチャンス!)
「草間ー!」
「な、何だ!?」
草間が驚くのも無理はない。
何せ、来生が出てきたのは、草むらの中からだ。
むしろ人よりもイノシシなどの大型動物が飛び出してきそうな草むらなのだ。
一瞬、イノシシが出てきたとでも思ったのだろう。
「なーにやってんだよ☆俺に何も教えてくれないなんて水臭いぞー」
「何やっているんだというのはこっちのセリフだ!イノシシが出てきたのかと思ったぞ!」
「ははは、気にすんな」
無茶言うな。
「ところで何か探しているみたいだけど、何探してんの?」
「(ギクッ)…な、何故それを…」
「この、孤島という状況と、草間のヘビースモーカーぶりから考えると、さしずめタバコの代わりになりそうな葉っぱを探していると言ったところか…」
「(ギクギク)…」
もはや何も言えない草間氏。
来生の言うことが的確すぎる。
「じゃあ、俺も探してあげるよ。いつもお世話になってるし」
魂胆あるけど。
しかも、明らかに見え見え。
「いや、いい」
「そんなこと言わずにさ。人の好意は素直に受け取ったほうがいいだろ。それとも、スポーツ新聞の3面記事辺りで『ヘビースモーカー探偵、孤島でタバコの代わりを探しに行き、行方不明。生存は絶望的』とか『孤島に来ていたヘビースモーカー、葉っぱ探して遭難し、死体で発見』とか書かれたい訳?世間の笑いもの確定だぜ?」
「…それも嫌だ」
「だろー?」
仕方なしに、草間は来生を連れて歩くことになった。
「さーて、この葉っぱなんてどうかな?」
そう言って来生は草間に葉っぱを渡した。
その葉っぱの正体は、トリカブト。やばい毒があるらしい。
いや、ちゃんとわかってますよ。
安心してください。別に草間を殺そうとは思ってません。
ちょっとトリップしてもらってネタを聞き出そうとしてるだけ…ごふん。
「って、俺を殺す気かー!」
「別に、ヒ素もサリンもついてないぞ!」
「そういう問題かー!」
「あ、このキノコとかどうだ!?赤いし、おいしそうだぞ!」
「お前が食え!俺はキノコには用はない!」
豆知識。色が華美なキノコは、往々にして毒キノコなので気をつけてください。
キノコは地味な色の物だけを取って、その後専門家の人に見てもらいましょう。
間違っても、赤とかオレンジ色のキノコ食べちゃ駄目です。
以上、役に立つんだか立たないんだかよく判らない豆知識のコーナーでした。
「じゃあこれは?」
そう言って取り出したのは、ケシの実(そんなのが孤島にあるかどうかは知りません)だった。
「俺がアヘン常習で捕まったらどうしてくれるつもりなんだ!」
豆知識。アヘンはケシから作れます。
「…じゃあ何を取ってくりゃいいんだよ…」
気色悪いこと覚悟で(失礼)スネてみたりして。
「ってゆーか、今すぐ帰れ」
「やだ。仕事だし」
「お前なー!」
もはや半ばキレている草間。
「ん…アレ何?」
「何だ?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド…。
「何だ、この音」
「ああ、そういえば、さっき、イノシシ注意の看板があった気が…」
「それを早く言えー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
全くである。
しばらく二人は、全力でイノシシから逃げる羽目になる。
最悪だ。
草間武彦は心からそう思った。
タバコの代わりは見つからなかったし。
イノシシには追っかけられたし。
もはや突っ込む気力もないのだが、お約束通り迷子になったし。
何だか、来生が疫病神に見えてきた。
「…あのさ、迷惑かけてごめん」
ようやく生還(笑)できて、来生が言った。
「だから、これ」
そして、タバコ1カートンを渡す。
「な!お前持ってたのか!?」
「おうよ」
「なんならもっと寄越せ!持ってんの全部寄越せ!」
「…まあ、それは先ほどの借りでいいけど、これ以上はなー」
「頼む!この通りだから!」
土下座する草間。
…タバコのことになるとプライド捨てますね。そんなアナタが素敵です。
「えー。じゃあ、こっちの条件も飲んでくれないとなー…」
「何だ!?何でもするからタバコくれ!」
「ネタ」
「は?」
「だから、タバコと交換条件で、それ相当のネタ」
「…」
結局、草間はタバコ入手と引き換えに、ネタを来生に提供することになったとさ。
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