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調査コードネーム:ぼくのこころ きみのこころ
執筆ライター :水上雪乃
調査組織名 :草間興信所
募集予定人数 :1人〜4人
------<オープニング>--------------------------------------
「ぼくの弟を捜してください」
青い瞳に真摯な光をたたえ、少年は言った。
身動ぎもせず彼のもってきた紹介状を読んでいる草間武彦。
「弟を捜してください」
もう一度、少年が繰り返す。
流暢な日本語だ。クォーターとはいえ、幼少期をこの国で過ごしたというのも、あながち嘘ではあるまい。
やがて、紙面から顔を上げた怪奇探偵が告げる。
「絵梨佳の紹介なら引き受けるのに吝かじゃない。ただし、調査にあたって必要なものが幾つかある」
「なんですか?」
「質量共に備わった情報。潤沢な資金」
なんだか、いつもの草間とは様子が異なる。
むろん、初対面の少年に気付くはずはない。
「お礼は父が充分にお支払いすると思います。情報といっても‥‥こんな昔の写真しかありませんが‥‥」
「何年前のものだ?」
「七、八年前のものです。隣に写っているのはぼくです」
「似ているな。瓜二つと言って良い」
「ええ」
「とにかく。この写真は預かろう」
「よろしくおねがいします」
「明日からでも実働を開始するから」
淡々と告げる草間の瞳に、先程の紹介状が映った。
フレッド・スチュワート。一四才。英国貴族の子弟。
幼い頃に生き別れた弟さんを捜してるんだって。
もともとは日本に住んでたっていうから、きっと簡単に見つかるよ。
弟さんの名前は、ストール。住んでた場所は練馬区だって。
解決したらコネクションづくりになるかも。
頑張ってね。草間さん☆
厄介事を押し付けてくれたものだ。
あの脳天気娘が考えるほど単純な仕事でもあるまい。
怪奇探偵が内心で漏らした溜息は、もちろん、少年の耳には届かなかった。
※本格推理シナリオです。
※水上雪乃の新作シナリオは、通常、毎週月曜日と木曜日にアップされます。
受付開始は午後8時からです。
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ぼくのこころ きみのこころ
エアコンディショナーの送り出す涼やかな風が事務所内を回遊する。
やはり、新品は良い。
シュライン・エマが満足の息をついた。
二五万円近い買い物は、事務所の会計にとって小さくない出費だったが。
空気清浄機能まで付いているスグレモノのエアコンだ。
タバコの煙で汚れた空気も、これで大丈夫である。
なにしろ、この探偵事務所にはヘビースモーカーがいるのだ。
このままでは彼女まで間接喫煙で肺癌になってしまう。
まるで嬉しくない未来図だ。
「タバコをやらない探偵やスパイなんて様にならないだろ。まあ、あれだな。アーサー王のエクスカリバーみてぇに、ないと格好がつかないっていうか」
などと所長たる草間武彦は言うのだが、むろん、納得できるものではない。
だいたい、こんな話で引き合いに出されたのでは、アーサーと円卓の騎士たちも浮かばれないというものだ。
上司であり恋人でもある男の横顔に視線を送るシュライン。
どうも無作為な思考に身を委ねていたようだ。
「いけないいけない。これじゃあ、武彦さんを笑えないわ」
内心で呟き、目前のモニターに集中する。
いくつかの文字と画像が、そこに映し出されていた。
――スチュワート伯ピーター。
今回の依頼者たるフレッドの、父親にあたる人物だ。
海運業で財を成した人で、貿易を通じて日本との繋がりも強い。
彼の母、つまり、フレッドから見ると父方の祖母も日本人であり、ピーター自身も親日家として知られている。
事実、彼は幾度も日本を訪れているし、文化交流にも力を注いだらしい。
「‥‥八年前までは、ね」
紅唇が皮肉げに歪む。
少年が持参した写真。
日本から遠ざかった伯爵家の当主。
単なる偶然で結ぶほど、シュラインの感覚は鈍くない。
八年前、この地で何があったのか。
まずはそこから調査を始めるのが順当だろう。
となると、区役所や郵便局。それに、当時を知る人への聞き込みだ。
八年はたしかに長いが、過去から追跡できない範囲というわけでもない。
「それにしても、どうしていまさら調査なのかしら‥‥」
「それが一つのカギだな」
事務員の何気ない呟きに、草間が反応する。
「カギ?」
「そうだ。たとえば、シュラインは、今のところどう考えてる?」
「んっと‥‥相続問題、かしらね」
「無難なラインだ。ただ、そうなるとフレッドの動機が判らなくなるよな」
「そうよね‥‥対立候補を増やすだけだし」
青い瞳に憂愁の色をたたえ、シュラインは頷いた。
本当は、彼女には判っている。
フレッドが対立候補たる弟を捜す理由は充分にあるということを。
ピーター卿には公認されている息子は一人しか存在しない。すなわちフレッドだ。ストールは公認されていないのだ。
つまり、もともと対立候補になるはずがない。
だが、数年先はどうか。
成人したストールが遺産の分与を要求したら。
どんな企業でもそうだが、スキャンダルは大きな失点だ。
それを回避するには、そうなる前に双方の同意を取り交わす必要がある。あるいは、当事者の一方が現世から消えるか。
「考えたくはないけど‥‥」
「可能性を否定するわけにはいかんよな」
「そうよね‥‥」
「‥‥シュライン。アイツらに連絡を取ってくれ」
「一樹さんと灰滋ね」
「良く判ったな」
「灰滋の行動力。一樹さんの論理思考力。厄介そうな仕事だもの、絶対必要になるでしょ。あの二人は」
「さすがシュライン」
「ま、長い付き合いだもの」
「心で通じ合うってヤツだな」
にへら、と、わらう怪奇探偵。
「昼間から馬鹿なこと言わないの」
冷めた声で釘を刺す事務員だったが、青い瞳はなぜか微笑んでいた。
うだるような熱気の中を二人の男が歩いている。
地表に落ちる短い影。
気温の上昇は、ほぼピークを迎えていた。
「どういうことだと思う? 武さんが俺ら二人を呼び出すなんて」
一人が口を開いた。
名を巫灰滋という。
「今の段階で断定的なことは言えんな。容易ならざる事が起きているのは、たしかだろうが」
慎重に応えるのは、武神一樹だ。
彼らは草間興信所の職員ではないが、草間が頼りとしている人材である。
調停者は、その卓抜した胆力と推理力によって。
浄化屋は、絶倫な行動力とジャーナリスト的着眼点によって。
共に数々の難事件怪事件に挑んできた戦友のようなものだ。
まあ、別の言い方をすれば、草間が怪奇探偵などというありがたくない異称を奉られた原因の一端がこの二人、ということになるかもしれない。
草間だけでは解決できなかったであろう事件も、数知れずあるからだ。
もっとも、このあたりは彼らにだけ通用する特殊論ではない。
人間一人ができることなど、たかが知れている。
怪奇探偵の異名は草間だけの所有物ではなく、この奇妙な探偵事務所に関わった人間すべてが平等に享受すべき称号だ。
そう。
たとえば――
「なんだあれは? いったい」
武神が呟いた。
黒い瞳から発せられた視線の矢に貫かれて、前方をよたよたと少年が歩いている。
足元がおぼつかないのは、むろん矢に射抜かれた為ではなく、大きすぎる荷物のせいだろう。
「‥‥どっかで見たことあるような後ろ姿だぜ」
首を傾げる巫。
ジャーナリストでもある彼は視覚的記憶力に優れている。
懸命に記憶の坑道を掘り起こし、やがて正解の記された原石を発掘した。
白羽了という名の少年だ。
四ヶ月ほど前、とある事件で行動をともにしている。
つまり、怪奇探偵の一員というわけだ。
「あれ以来、姿も見てなかったが。なんだってこんなところに?」
疑問が体外に流出したが、武神は答える術を持たなかった。
黒髪の調停者は白羽とあったことがないから。
「おーい! 白羽! 白羽じゃねぇか!!」
説明に時を費やすことなく、巫が呼びかける。
目的地が一緒ならば、後ほどまとめて紹介すればよい。
追々事情はわかるだろう。
このあたり、武神も巫も成熟した大人であった。
他方、呼びかけられた方は、大人とは言い難かった。
「あ! かんなぎさーん。お久しぶりです!」
荷物を抱えたまま、こちらに駆け出す白羽。
‥‥世に類推と呼ばれる能力がある。
べつに特殊能力というほどのことではない。過去の事例やパターンなどから、ある事柄を予測することだ。
たとえていうなら、疲れてヘロヘロになっている小柄な少年が大きくて重そうな荷物を抱えて走った場合どうなるか、と、いうことである。
「わあっ!」
悲鳴をあげてつんのめった少年の身体を、
「よっと」
巫が抱き留める。
「やれやれ」
宙に舞った荷物は、武神がキャッチした。
顔に苦笑を張り付かせたまま。
鼻腔を、良い香りがくすぐった。
「うなぎ‥‥?」
「あ、それ。興信所のみんなへの差し入れなんです。僕、いま鰻屋さんでバイトしてて」
浄化屋の腕の中から、白羽が解説する。
「ずいぶん久しぶりじゃねぇか」
乱暴に髪を掻き回す巫。
「コンクールがあって作品にかかりっきりだったんですよぅ〜」
脳をシェイクされながら情けない声で答える少年。
じつは白羽は高校の美術部に所属しており、何度か全国展でも入賞している。繊弱げな外見が示すとおり、芸術少年なのだ。
「しっかし鰻屋とはねぇ」
なんだか似合わないアルバイト先である。
おそらく本人も認識しているのであろう。
はにかんだように笑っている。
「‥‥そろそろ行かないか? 男同士が抱き合っているシーンはあまり美しくないぞ」
武神が肩をすくめて提案した。
いまさら確認するのもおかしなものだが、ここ天下の往来である。
顔を見合わせ、同時に笑い出す浄化屋と少年。
つられて調停者も笑う。
そして、照りつける太陽も。
「なるほどな。たしかに厄介だ」
腕を組む武神。
「一つの問題として、どうして兄弟が別々になったかってのもあるよな」
巫も首を捻った。
「どうしたものかしらね」
冷えた麦茶を運びながら、シュラインが訊ねる。
「名前も住んでた場所も判ってるんですから、簡単に見つかると思いますけど?」
口を挟んだのは白羽だ。
青い目の事務員が溜息をつく。
なかなか聡明な少年ではあるが、若さゆえだろうか、本質が見えていない。
「あのね白羽くん。ストールを捜すことで悩んでいるわけじゃないのよ。みんな」
実際問題として弟を捜すこと自体は単純で簡単である。
時間と手間さえ惜しまなければ、必ず発見できるだろう。
ただ、怪奇探偵たちが考えていることは、見つけた後のことだった。
果たして、フレッドとストールを再会させて良いものだろうか。
そして、父親たるピーターの思惑は。
「どうして八年も音信不通だったか。これもカギだな」
武神の言葉は直截的なものではなかった。
一同が不審顔をする。
むろん、調停者はきちんと説明するつもりだ。
いまの時世、生き別れというのもリアリティーのない話である。
まして、関係のありそうな国はイギリスと日本だけ。
都市でいうと東京の練馬区だ。
秘境だのなんだのいわれるような場所ではない。
行方不明になどなるはずがないのだ。
犯罪や事故に巻き込まれないかぎり。
そして、そこで問題になるのはピーター卿の態度だ。
彼には子供が一人しかいない。つまり、フレッドである。
公的な記録ではそうなっている。
ストールは認知されていないということだ。
それは何故か。
認知できない事情があったのではないか。
だからこそ、ストールの側もあえて連絡を取らなかったのではないか。
「‥‥ちょっと待ってくれ、ダンナ。つまりアンタが言いたいのは、ストールは自らの意志でスチュワート家を捨てたってことか?」
巫が当然の疑問を発する。
「より正確に言うと、ストールを育てている人間の意志、ということだろうな」
示唆性の強い言葉。
「えーと、つまりそれは、フレッド君のお祖母さんの実家の人、ということですか?」
白羽が確認をとるように発言した。
シュラインと草間が顔を見合わせる。
発言者本人は気が付いていないようだが、白羽の発言は事態の本質を解き明かすヒントになっている。
「‥‥ピーター卿はストールの居場所を知ってるわね‥‥」
「正解だ」
溜息混じりの年少の友を調停者が軽く称揚した。
ストールの失踪が不測の事態だとすれば、ピーター卿が動かぬはずがない。べつに彼に限らずとも、血を分けた子供が消えれば大抵の親はパニックを起こすだろう。
しかも、ピーター卿には資本力がある。
私的な調査機関を雇うことも容易なのだ。
それを為さず、いまさらのようにフレッドに調査させるなど有り得るだろうか。
「有り得ない、な。てことは、知らぬはフレッド一人なりってヤツか」
「そういうことだな」
「これはこれで厄介ね‥‥」
「えっと、どういうことなんですか?」
白羽が訊ねる。
なかなか高校生には理解の難しい話であった。
「要するにな‥‥」
言い置いて、草間が事態の要約を始めた。
ストールは認知されない子である。妾腹だったからか、他に理由があったからなのかは判らない。写真の容貌から考えて双子である可能性も否定できないだろう。
八年前から、兄弟は離れて暮らしている。これも理由は判らない。
ただ、少なくとも大人たちの同意の下に措置が取られたのは、疑う余地がなかろう。
そして、フレッドは何も知らされていなかった。
「‥‥ということは‥‥」
「フレッドが願うほどには、弟は会いたいと思ってないかもしれない。ということさ」
怪奇探偵が深沈と語り、なんとはなしに黙り込んだ彼らの上を、エアコンの風が回遊していった。
新東京国際空港。
小さな島国と外界を結ぶ空の玄関口だ。
「‥‥済まなかったな。役に立てなくて」
怪奇探偵が、申し訳なさそうに口を開いた。
「いえ‥‥覚悟はしていましたから‥‥」
そう語るフレッド声も、やはり元気がない。
彼が草間興信所に姿を見せてから、一〇日あまりが経過していた。
これといって調査が進展しないまま滞在予定日数は終わり、帰国の途につくことになった少年である。
元気がなくて当然と言うべきであろう。
「あ‥‥調査費用の方は‥‥」
「まるで役に立たなかったからな。今回はボランティアだ」
手を振る草間に軽く会釈し、少年は出発ロビーへと消えた。
踵を返す探偵。
なんだか、少しだけ心が痛む。
報酬のことはともかくとして、フレッドを騙すことになってしまったからだ。
「まいったな。良心の呵責ってヤツか‥‥」
「さてな。無いものが痛むはずがないと思うが」
「拾い食いでもしたんじゃねぇの?」
「灰滋。それ言い過ぎ」
「あ、じゃあ、普通に食べ過ぎとか?」
「‥‥お前らなぁ‥‥」
この件に関わった仲間たちだ。
空港まで付き合ってくれたのは嬉しいが、せっかくの良いシーンを邪魔するのはどういうものだろう。
モノローグで締めようと思ってたのに‥‥。
溜息をついても無駄である。
もはや草間一人の事件ではない。
「まあ、若干後味の悪い結果になったけど、これで充分と思うしかないでしょ」
慰めるようにシュラインが言う。
そう。
彼らは、ちゃんと真相に辿り着いていたのだ。
練馬から静岡にいたる追跡。
山間の療養所で出会った、全身麻痺の少年。
老婆の涙。
ピーター卿との電話。
微かに浮かんだストールの弱々しい笑み。
当分の間、忘れられそうになかった。
「‥‥なんか、フレッド甘やかしすぎって気がしますけど‥‥」
「そのあたりは家庭それぞれだ。俺らが口挟んでいい問題じゃねぇぜ」
「ピーター卿も、いずれは真実を語らねばならんだろう」
「そうね‥‥いつまでも隠しておけないもんね‥‥」
八年前、何があったか。
それは、おそらくただの悪戯心だったのだろう。
夕暮れの公園。
ジャングルジムの上でふざけあう仲の良い兄弟。
兄の真似をして頂上に片足立ちする弟。
ほんの些細な意地悪。
軽くストールの胸を押したフレッドの手‥‥。
まるで明確なヴィジョンのように、探偵たちの脳裡に展開される映像。
ストールの身体から自由を奪ったのは、フレッドだった。
だが、フレッド自身はそのことを憶えていない。
おそらく罪の意識が忌まわしい記憶を封印してしまったのだろう。
自らを責め続け、心を壊してはいけない。
忘れたものなら、そのままにしておく方が良い。
ピーター卿は、そう考えたらしい。
軽い政治的配慮を行った。
ストールの戸籍を、スチュワート家から母の実家に移したのだ。
これによって、フレッドは一人っ子になった。
たかだか六歳児の記憶である。
一緒に遊んだのは近所の子、とでも強弁するつもりだったのだろう。
しかし、一枚の色褪せた写真が、父子の運命を弄ぶ使者となった。
なにか心に期するところがあったのか、フレッドは単身日本を訪れ弟探しをはじめる。
そこに待つ残酷な事実を知らずに。
探偵たちは迷った。
彼に真実を告げるべきではないか、と。
だが、結局はピーター卿の意思を尊重する事になる。
「せめて成人に達するまでは‥‥」
という、卿の言葉には充分な説得力があったから。
一四才では、罪の意識に堪えることはできまい。
彼は過去より未来に多くのものがあるはずだ。
弟とは違って‥‥。
「彼、どのくらいって言ってたかな‥‥?」
シュラインが訊ねる。
「保って半年だそうだ」
武神が答えた。
淡々としているのは、調停者なりの気遣いだろう。
存在を隠し通すことを望んだ弟の身体は、既に限界に達しているという。
点滴と流動食で命を繋いでいる細い四肢が、いまさらのように思い出された。
「‥‥重いな‥‥俺にも弟がいるからな‥‥」
「え!? カンナギさんって兄弟いたんですか?」
「ああ。蔵羅ってんだ」
事も無げに答える浄化屋の顔を他の四人がマジマジと見つめた。
「‥‥冗談よね‥‥?」
「いや。全然マジだが」
「ハイジとクララ‥‥」
最年長の武神が頭を抱える。
まったく、子供に名前を付けるのは親の大いなる特権である。
「えっとぉ、男の人にしては変わった名前ですよね」
無邪気な顔で白羽が余計なことを言う。
まあ、彼の年齢では知らなくても無理はなかろうが。
ジェネレーションギャップというヤツだ。
賢明にも深入りを避けた探偵たちが、出口へと歩き出す。
「しかし、絵梨佳には悪い事したな」
「詫び状でも出すか。日本(こっち)の美味いものと一緒に」
「一樹さん‥‥それじゃ餌付けよ‥‥」
「でもまあ、アイディアは悪くないぜ。俺も一口かませろ」
悪企みしながら去ってゆく大人たちを、
「待ってくださいよぅ。ハイジとクララってなんなんですかぁ〜」
と、情けない声を出して少年が追い掛けた。
ぎらぎらと太陽が照りつける、夏の午後だった。
終わり
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0086/ シュライン・エマ /女 / 26 / 翻訳家 興信所事務員
(しゅらいん・えま)
0173/ 武神・一樹 /男 / 30 / 骨董屋『櫻月堂』店主
(たけがみ・かずき)
0143/ 巫・灰慈 /男 / 26 / フリーライター 浄化屋
(かんなぎ・はいじ)
0429/ 白羽・了 /男 / 16 / 高校生
(しろは・りょう)
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■ ライター通信 ■
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お待たせしました。
「ぼくのこころ きみのこころ」お届けいたします。
お客さまの推理は当たりましたか?
楽しんでいただければ幸いです。
それでは、またお会いできることを祈って。
☆お詫びとお知らせ☆
8月1日(木曜日)の新作アップは、著者、私事都合によりお休みさせていただきます。
ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
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