コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


浜辺の水着のお嬢さんコンテスト

オープニング

「浜辺の水着のお嬢さんコンテスト☆」
 東京近郊のある海岸を舞台に毎年行われている水着コンテストがある。
 若者に人気のあるファッション雑誌「ruru」が主催で、上位に入賞した者は雑誌に写真が載ることもあって、毎年多くの参加者があると聞いている。
 草間武彦は、そのコンテストのチラシを手に取り、眉を寄せる。
 目の前に腰かけている「ruru」編集部から来た編集者舘野は、緊張しているのかなかなか言葉を発さない。

「それで?この水着コンテストがどうしたのです?」
 しびれを切らせて草間は彼に尋ねた。
 月刊アトラス編集部の碇麗香の紹介で来たという。依頼内容は簡単には麗香から聞いてはいるものの、やはり本人からちゃんと聞いておきたい。
「この水着コンテストを陰ながら警備して欲しいんです」
 舘野はようやく口を開いた。
「・・・私は幽霊とか妖怪とかUFOとか、その類は全く信じないクチなのですが、どうしても編集長が行けというもので・・」
「つまり、何かあったというわけですね」
 やれやれ、と思いながら草間は身を乗り出して、舘野の話に聞き入った。
「コンテストは、今年で3回目なんです。毎年たくさんのご好評を頂いていて、今年も準備を早くからしていたのですが、よくないことが続いたりして、編集長が本番でこのようなことがないように万全を尽くしたいということなのです」
「よくないことというと?」
「第一回の優勝した女の子が芸能界デビューしたこともあって、たくさん参加の希望があるものですから、一次審査として写真を送ってもらって、それに通った子だけが参加できるんです。ですが、その一次審査に通った中で、編集部でも注目する子ってありますよね。その子のうちの何人かが、夜中道を歩いていたら頬をナイフで切られるとか、急病で倒れたとかいうことがあったのですよ。それに、写真選考の担当の編集者も、交通事故に遭いまして入院することになりました」
「ふぅむ」
「写真選考の結果は雑誌には載せていませんし、怪我をした女の子も大怪我って程ではないので、報道などはされていません。ただ、本番で何かあるんじゃないか、と編集長が心配してまして・・それで、怪奇探偵と呼ばれる草間さんにお願いしてみようといった具合で」
「・・怪奇探偵・・」
 なにやら反論したそうな表情を向けてから、草間は灰皿の縁に置きっぱなしだった煙草を口に含んだ。
「それにおおっぴらには知られていないはずなのに、読者の中に、去年の優勝者の真中碧が祟っているんじゃないかという噂までたってしまって・・」
「祟るような理由があるんですか?その人には」
「まあ前回の優勝者が芸能界デビューしてますし、彼女も可愛い子だったしで、いくつかの事務所から誘いの声があったみたいなんですよ。だけど、コンテストが終わってひと月くらいたった頃かな、彼女、電車のホームに落ちて亡くなったのですよ」
「・・ふむ」
「酔って誤ってホームに落ちたんです。もちろん事故なんですが。まあ、ここまで色々重なるとね」
 草間は煙草の煙をゆっくりと吐き出し、うなずいた。
「・・わかりました。そのコンテストが無事に終わるように警備をするのですね。力になれるようやってみましょう」

■白浜駅前
 早朝の白浜駅に降り立つと、そこには遠浅の海と白い砂浜が広がっていた。
 リゾートホテルが立ち並ぶそのビーチに向かって長谷川・豊(はせがわ・ゆたか)はゆっくりと歩き出し、そ
してさらさらと風になびく黒髪をそっと手の平で押さえる。
「いい風…」
 まだ早いせいか浜辺もそれほど人出はないが、ボディボードを抱えた青年達が海に向かって漕ぎ出していくの
が見える。
 しばらく豊はそれを一人で見つめていたが、ふいに人の気配を感じて振り向いた。
 同じ駅の方向から歩いてきたらしい一人の女性がゆっくりとこちらに歩いてくる。
 白銀の美しい長い髪を揺らした白いコートをまとった背の高い女性である。片方の瞳にだけ薄いレンズをつけ、
密やかに歩いている。
「あ…あの」
 思わず見とれて、そのまま見送りそうになってしまった豊は慌てて彼女に呼びかけた。
「…なんだ?」
 彼女は豊を見下ろした。
「あなた、綺羅・アレフ(きら・−)さんですよね?」
「そうだが…」
「よかった。私、長谷川・豊です。一緒にコンテスト参加する仲間です」
「そうか。よろしくな」
 アレフの金色の瞳が柔らかく微笑み、豊と握手を交わす。豊はほっとして、笑みを返しながら近くにあるリゾ
ートホテルの一つを指差した。
「あのホテルが参加者の控え室になるらしいわ。まだ時間はあるけど…」
「成る程。ありがとう。…まだ時間があるなら散策でもしてみるか」
「海もまだ人が少ないからそれもいいわね」
 海岸に視線を向けるアレフの横顔を見つめながら、豊が頷いた時。さらに背後から元気な声が聞こえてくる。
「やあ、もう着いてたのかい」
 二人が同時に振り返るとそこには、湖影・虎之助(こかげ・とらのすけ)がにこにこして立っていた。テレビ
や雑誌でよく見かける端正な顔立ちがそこにあり、豊はきゃあ、と声を出してしまうほど驚いてしまった。
「こ…湖影・虎之助だぁぁ」
「ご存知とは嬉しいね」
 にこり、と虎之助が微笑む。甘いバリトンの声はテレビで聞いたそれと同じ。いやもっと効果大といった感じ
か。
「あと、シュラインさんと草間さんも一緒だよ」
 虎之助は背後を振り返った。
 彼女たちが降りた電車の次でやってきたのだろうか。そこには豊とアレフが降りた時以上の人の流れが駅から
向かっていて、その中に人目を引くカップルの姿が目に映った。
 切れ長の瞳、端正で中性的な顔立ちのきりりとした美人の女性を連れた、眼鏡をかけた男性はポケットから煙
草を探り当て、それに火をつけながらとても眠そうな顔をしていた。


 特設会場が設置されたビーチから程近い場所にあるリゾートホテル「ロワイヤル」の中の一室「鬼灯の間」を、草間探偵は編集部から与えられていた。
 協力者達はその部屋に集合し、これからについて話し合うことにした。
 割と広く小綺麗な部屋で、真名神・慶悟(まながみ・けいご)は応接間にあるソファの角を気に入り、そこに腰掛けて煙草に火をつけた。
 黒いスーツに派手な色のシャツ、金に染めた髪に片耳だけのピアス。端正な派手な外見も含めてとても目立つ青年だ。
 アレフは彼の隣に腰掛けることにした。少し煙草の臭いが鼻についたがそれほど気にはしない。
「事前に手分けして調べてきた情報をまとめてみるわね」
 同じく部屋に集まっている探偵の関係者達に飲み物を運んできて配った後、シュライン・エマという女性が綺麗な姿勢で立ち上がり、辺りを見回す。
 中性的な容姿に切れ長の美しい青い瞳。長い黒髪を後ろで一つにまとめ、シュラインは手元のレポートに視線を移す。
「いいかしら?読み上げさせてもらうわね。 
 山上瑞樹 17歳 6月13日 急性腎炎で入院。
 近藤明菜 18歳 6月28日 深夜路上を歩行中 突然自転車で走ってきた男にナイフで頬を切られる。
 田代百合 16歳 7月5日 近所の歩道橋を渡ろうとした時に転倒。肘などの複雑骨折。入院中。
 それと、ruru編集部の担当だった尾上武治。帰宅途中で交通事故に会い半年の入院。事故を起こした車と
その持ち主は現在も見つかっていないわ。
 噂では昨年事故で亡くなった真中碧って子の呪いだっていう噂もあるようだけど」
「幽霊説は反対」
 はい、と小さく手を上げて、豊がシュラインに言った。
「犯人は生きてる人間だと思うの。このコンテストの出場者がライバルを減らすためにやってるんじゃないかな。
だってナイフでしょ?霊だったらそんな面倒臭い事する?」
 聞いていた慶悟は足を組みなおし、煙草を手に持ったまま豊を見上げた。
「それも一つの可能性とは思うが」
 部屋の隅で椅子に腰掛けていた慶悟が豊の方に表情を向けた。
「彼女達がこのコンテストに出場するということを犯人はどこで知ったんだ」
「そ…それは」
 豊は言葉を詰まらせる。
 その情報は編集部の中だけしか知られてないはずだった。そのうえ被害者は編集部の人間も混ざっている。
「可能性として被害者達には共通点が一つあるわ」
 シュラインが慶悟を振り向きつけ加えるように告げた。
「彼女達は全員去年もコンテストに出場していたの。それに碧さんが亡くなった日、一緒に電車のホームにいた
子達なのよ」


「アレフはどう思う〜?」
 オレンジジュースをストローで吸いあげて、テラスで海を眺めているアレフに豊は尋ねた。
 そこはコンテストの参加者達の為に用意された大広間だった。
 簡易の更衣室と化粧台が設けられているが、まだ午前中なこともあってそれほど人は集まっていない。
 窓越しのテラスで二人は白いテーブルを囲み、潮騒の響きを聞いていた。
「私は…」
 アレフはつぶやいた。
「死んだ娘の執念であれば常世に返すべきとは思うが生きている人間であるならば…」
「私たちが標的になるって手段もあると思ったんだけどね」
 豊はシュラインから渡された紙を指でつんと押した。
 そこには去年コンテストに出場し、碧の死に居合わせた者でまだ被害を受けていない少女達の名前が書いてある。
「彼女達をまず探さなければな」
 アレフが言うと豊はうなずいた。
「ガードするしか無さそうね」
 豊は椅子から立ち上がり、体に力を込めるようにぎゅっとこぶしを構えてみせる。その背後で隣のテーブルに腰掛けた女子中学生らしい一行の声が耳に入った。
「ねぇねぇ…あの人たちって知ってる?」
「なんか浮いてるよねぇ」
「舘野ちんに聞いてみようよぉ。あんな人達が参加するなんて聞いてないしー」
 ひそひそひそ。こそこそこそ。
「…感じ悪いわねぇ…」
 豊は眉を寄せて不機嫌な顔を作り、アレフに向いた。アレフはその顔を見てくすりと笑う。
 確かにコンテストの参加者の多くは女子高生、女子中学生。といっても二十歳を超えてる参加者だってちゃんと他にもいるのに。
「まあ仕方がないだろう」
 慰めるようにアレフが豊の頭を撫でる。その光輝く宝石のような美しい姿が参加者にやきもちを焼かせてい
るのかもしれないのだが。
「あの…」
 背後からふと声をかけられて二人が振り向くとそこにはショートカットの小柄な少女が立っていた。
「もしかして探偵さんの知り合いの方ってあなたたちですか?」
「えっ」
「舘野さんに聞いたんです。参加者の中にコンテストを警護してくれる探偵さんの知り合いの人がいるって」
「…結構おしゃべりなのね、舘野さんって」
 豊は微笑んで、それでなにかしら、と彼女に尋ねた。
「…一緒にいてもいいですか?」
「いいけど…何があったの?」
 豊が聞くと彼女はこくりと頷いた。彼女は名前を長崎かの子と名乗った。17歳の女子高生だ。
「かの・・子さん?」
 豊は手元の紙をチェックする。それはリストに上がっていた少女の一人だった。
 かの子はアレフの隣に少し緊張で頬を赤らめながら腰掛けた。
「あの…私もしかしたら…狙われているかもしれないんです。…このコンテスト呪われてるって噂があって…出場した女の子が次々怪我とかしていて…それで探偵さんたちがきたんだと思うんですけど…。それで…あの。私を守ってください。お願いしますっっ」
 かの子はテーブルに顔を近づけるようにして頭を下げた。
「ちょ…ちょっとどうしたの?」
 豊は辺りを気にしながら彼女の肩を支えた。
 これはちょっと目立ちすぎる。
 彼女の声で他のテーブルからまで視線が集まっていた。
「部屋変えようか…? 私たちの部屋に行きましょう?」
 かの子の肩を抱いたまま、豊はまわりを気にしながら立ち上がろうとする。かの子も頷いて立ち上がろうとしたのだが。
「かの子!何やってるの」
 そう叫んで2人組の少女がテーブルに近づいてきたのだ。2人の形相は怒りと焦燥を示し、まるで奪い取るようにかの子の腕をつかむと自分達のもとに引きずる。
「きゃ…秋ちゃん、美幸ちゃん!」
「すみません。この子の言ったこととか気にしないでください」
 特に気の強そうな背の高い少女が豊とアレフに言い残し、テーブルから離れていった。三人はそのまま大広間の扉を開き、廊下へと出て行ってしまう。
「…今のは、金本秋さんと持田美幸さんね」
 豊がリストをまた確認してつぶやいた。あの三人が狙われている可能性のある少女達だ。
「…やはり何かあるようだな」
 アレフは呟いた。豊も頷く。
 しかしそれよりも困ったのは周囲の更なるひそひそ会話である。
 今の騒ぎでどうも二人が普通の参加者と違うらしいということがわかってしまったらしい。
 豊はうんざりした顔で「そろそろ行きましょ」とアレフを誘って立ち上がるのだった。


 アレフはホテルを抜けると浜辺の方へと歩き出していた。
 じりじりと光を強めていく太陽が彼女の肌に痛みのようにつきささる。
 太陽に弱いわけではないが、だが彼女の白い肌はその光線で赤く染まり、痛みを感じるほどだった。
 人でざわめく海は、早朝の海ほど潮騒に耳をすませていられない。彼女が浜辺に下りた理由は、彼女の前を歩いていく持田美幸という少女の後を追うためであった。
 持田美幸は先ほどの少女達と一緒にいたが、一本の携帯電話を聞いてから、彼女達と別れひとりビーチに下りてきていた。といっても向かう方向は海ではなく、浜辺の奥の小さな林の方に向かっているらしい。
「あっ…おぃ」
 突然肩をつかまれ、アレフはびくりとして足を止める。
 そこにいたのは真名神慶悟だった。彼は他の連れの男性とホテルに向かおうとしていたが、外に出て行くアレフを見つけて声をかけたようだった。
「あそこの柱の前に岩があるだろう。あそこで神前が倒れてる。…様子をみておいてくれないか」
「…わかった」
 アレフは頷いた。
 去っていく彼らの中に人にあらず者が混ざっているような気がしたが、それよりも林に向かって駆け出した美幸の後を追うことに今は集中することにした。
 美幸は林の中に入っていく。
 アレフはその後を目立たないように追いながら、その道すがらの岩の下でぐったり倒れている光の姿に気がついた。
「…大丈夫か?」
 肩をゆすぶられ、光はようやく意識を取り戻した。いつのまにか気を失っていたらしい。
「あ…大丈夫です。ありがとうございます」
 光はあわてて起き上がった。
「真名神が心配していた。それで迎えにきた」
 まだ足元が少しふらつく光をアレフは肩を貸そうと近づけた。(大きな人だなぁ)と小柄な光は率直に思いながら、その肩に少しもたれた。
「綺羅さんはコンテストに参加されるのではないのですか? …こんなところにいて大丈夫ですか?」
「まだ時間は平気…」
 アレフはそっと目くばせして、そこから見える木陰の方に視線を向けた。そこには一人の少女が何かを探して
いるのかきょろきょろと辺りをうかがっている。
「どなたですか…?」
「相田美幸…。コンテストの参加者だ」
「狙われている可能性のある方ですね…」
 光はつぶやき、アレフと共にその様子を伺う。
「何をしてるのでしょう?」
「誰かに呼び出されたのかなとは思うのだがな。…待っているように見えるし」
「そうですね…」
 光がそう答えたその時、突然その美幸が、「きゃっ」と声をあげてその場に崩れ落ちるのが見えた。
「あっ」
 アレフと光は慌ててそこから飛び出し、彼女に駆け寄る。
「どうしたっ!?」
「痛い…」
 美幸は右腕を押さえて唸っていた。鮮血が漏れている。光が地面に転がっていた白い玉を拾って見つめた。
「これはBB弾…?」
「…今そこの影から誰かが…」
 震えながら美幸が指差す方向には既に誰もいなかった。。


 豊は廊下を駆け続け、大広間の扉に飛び込むようにして戻ってきた。
 広間をぐるりと見回し、一人で鏡の前に立っているかの子の姿を見つけると、また駆け出し彼女に話しかけた。
「ちょっといいかしら」
「…え」
 かの子は驚いたように振り返る。
 豊はかの子の腕をつかむと、なるべく小さな声で告げた。
「美幸さんが怪我をしたの。林でエアガンで狙われて撃たれたらしいのよ」
「美幸ちゃんが!?」
 かの子は叫んだ。
 あわてて、しーっ、っと指で仕草をして豊は止めると、また囁くように続けた。
「お願い。あなたの知ってること聞かせてもらえないかしら?」
「……」
 かの子はうつむく。
「どうしたの?」
 かの子はぎゅっと目をつむり口を手の平で隠しながら、泣きそうな声でつぶやいた。
「次は…次はきっと私です。…どうしよう…どうしよう…」
「…大丈夫よ」
 豊はかの子を見つめた。
「私が必ず守ってあげる。…だからお願い。協力してくれる?」
「…うん」
 かの子はかすかに頷いた。豊はその頭を優しく撫でると、手を繋いで広間から外に出ていった。
 その2人の背中を鋭い視線が捕らえていた。金本秋である。
 秋はしばらく睨むように彼女達の消えた扉を睨んでいたが、しばらくすると意を決したように同じ扉から抜けていった。


「もう…大丈夫だから、ね?」
 豊がソファに腰掛けたかの子の隣に腰掛けて、そっとその手を握ってあげながら優しく告げる。
 かの子はこくりと小さくうなずいた。
 その正面には草間が腰かけ、シュラインは壁際に腕を組み立っている。
 探偵の部屋に連れてきてもらえたことで、自分の安全を信じる気持ちになったらしい。そして小さな声でぽつりぽつりと語り始めた。
「…私達みんな去年の水着コンテストで知り合って、それ以来すごく仲良くなったの。それまで読者モデルの募
集とかもよくみんな送ったりしていて、お互い初めて見た顔ではなかったし…。
 それに碧ちゃんが優勝したのは実は編集部の人が票をごまかしたんじゃないかっていう噂がその頃あったん
だけど、みんなそれを信じちゃって、いつもぶうぶう言ってたんです。
 そんな時編集部の人から「飲み会があるから来ない」って話が私たちのところにあって出かけたら、そこに碧
ちゃんがいたの。それって碧ちゃんが事務所に入ることになったからお祝いしようって飲み会だったんですよ。
 編集部の人は私たちも来年がんばれって励ましてくれたんだけど、私たち碧ちゃんのこと嫌ってたから全然嬉しくなくて…
でも、その帰り道…」
 かの子は急に黙り、うつむいて瞼を閉じた。
「どうしたの?」
 豊が尋ねる。彼女の前にジュースの入ったコップを置きながら、シュラインも心配そうに見つめた。
 かの子は深呼吸するように大きく息を吸い込み、それを吐き出すように一気に告げた。
「…私は違う。違うけどっ…でも、あの時たぶん誰かが碧ちゃんの背中を押したの。…ホームの上から」
「…まさか」
 豊は口元を押さえた。
「あなたたち、碧さんを…」
「わからないんです、…でも。あとから警察の人にいろいろ聞かれたけど、みんなで誰も碧ちゃんには触ってないって言おうねって話し合って…」
「…」
 シュラインと豊は視線を合わせた。
 黙っていた草間がようやく口を出した。
「だが犯人は幽霊ではないようだし…君は、彼女の復讐を果たそうとしている人物がいるとしたら誰だと思うかい?」
「……」
 かの子はうつむいた。
「…コンテストに出るの本当は嫌だったの。…でも電話がかかってきて。「君は当然出るだろう?」って。怖くて断れなかった…。あの人は私たちに復讐するためにコンテストに出場させたのかな…」
「誰だい、そいつは」
 かの子は草間を見つめた。
 そして小さくつぶやいた。
「編集部の…舘野さん。碧ちゃんは舘野さんの恋人だったから」
「…そう…やっぱり…」
 シュラインはうつむいた。
「いくら探してもあの人見つからないのよね。ずっと探しているんだけど…」
「そうなんですか?」 
 豊がシュラインに尋ねる。シュラインは頷いた。
「それと…。かの子ちゃんに会ってもらいたい人がいるの」
「私に?」
 かの子が自分を指差してきょとんとする。
「碧さん」
 シュラインが部屋の奥に呼びかける。部屋の奥から楓・司という京都から来た金髪の退魔師の青年に連れられた少女が歩いてきた。
 かの子はその少女の姿を見て、驚きで口元を押さえた。
「碧ちゃん!!」
 かの子の目前に真中碧が1年前と全く同じ姿で立っていた。
「…会いたいって本人が言うてな」
「…碧ちゃん?…本当に!?」
 かの子は驚きと恐怖でかすかに震えながら聞き返した。碧は小さく頷く。
『…久しぶりね、かの子ちゃん』
 とても悲しげな、けれどやはり美しい少女。
「わたし…私、…碧ちゃん……ごめんなさい…」
 かの子はソファに座り込み、深く頭を下げた。
『ううん。かの子ちゃんが謝ることはないわ。』
 碧は微笑む。
『かの子ちゃんたちは私を誰かが突き落としたって思ってるみたいだけど、違うのよ。私は自分でよろけて落ちてしまったの。あの時強い風が吹いて、そのとき髪を押さえようと手を出したはずみに私のネックレスが床に落
ちたの。そのネックレスを取ろうと思って手を伸ばしたの、そしたらそのまま…私、ホームに落ちてしまったの』
「ほ、んとうに…?」
『うん。本当よ。私いっつもドジで、本当に駄目ね』
 かの子はぽろぽろと涙をこぼし、それから顔を伏せ大きな声で泣きじゃくり始めた。
「碧ちゃん…私たち・・・あの頃いっぱいあなたに意地悪してた…本当に…謝りたいって思ってたの…」

■罠
 (あの子…もしかしてみんな話しちゃったりしてないでしょうね…)
 金本秋はかの子の後を追って、探偵たちがいる部屋「鬼灯の間」の扉を見つめていた。
 かの子は白状してしまっただろうか。碧を自分達が死なせてしまったかもしれないということを。
 あの時全員に狂気があった。全員「私はやっていない」と言っていたが、お互いに信じられなかった。
「怖い顔してどうしたの?」
 後ろからぽんぽんと頭に手の平が置かれて、秋は声を出して振り返った。
「あっ…」
 そこにいたのは雑誌などでもよく見かける顔…本物の芸能人、湖陰・虎之助だ。どうしてこんなところで。と
いう疑問と、声をかけられた驚きから秋はぱくぱくと口をあけたり閉じたりしている。
 虎之助はなるべく穏やかに彼女に尋ねた。
「…君も何か知ってるの?」
「知りませんっっ」
 秋は虎之助を押すようにしてそして廊下を駆け出していった。
「待って!」
 虎之助は彼女の後を追って駆け出す。
 だが追えば追うほど秋は必死になって走り続ける。
 廊下の角を秋が曲がっていった直後だった。激しい悲鳴と物音が聞こえて、虎之助は顔色を変えた。
「どうしたっ!!」
 続けて角を曲がると、そこは階段の踊り場でそして、階下に転がり落ちた秋の姿が無残に転がっていた。
 虎之助は彼女に駆け寄ろうとして、あっと叫び、後ろに退いた。踊り場の端に何故か竹ホウキがつきだしてお
いてあるのである。目立たないように足元のほうに、階上に向かう階段の隙間から丁寧に横倒しになっている。
 秋がそれに足をからませ、転げ落ちたのは明らかだった。
「……なんてことを」
 虎之助は階段を飛び降りるようにして秋の元に駆け寄った。
「しっかりしろ! …女の子にこんなことしやがるなんて…なんてやつだ」
 怒りで頭の血が沸騰してしまいそうだ。虎之助は怒鳴るように叫んだ。
「絶対許さない!」 

■合図 
 水着コンテスト開催の合図を告げる花火がぽんぽんと小気味よく空に響く。
 会場周辺の警備を担当した司は、光と一緒に会場の方を見つめた。
「始まるな。気ぃしめてゆかんと」
「そうですね…」
 光は頷いた。
 コンテストの会場からも不幸の気配がしている。若さと美しさと夢をぶつけて少女達が美しさを競うコンテス
トなのに、彼女達は不幸なのだろうか。
 否。
 そんなことは無いと思いたい。
 オープニングの音楽が鳴り響くと同時に虎之助は舞台に踊り出た。
 告知にも無かった大物ゲストに観客席からは黄色い声援が飛び交う。
 虎之助はアシスタントの女性と二人明るく話しながら、舞台の隅々と観客席をチェックするのを忘れなかった。
(あの野郎・・・見つけたらただじゃあすまねぇ)
 舞台裏では、豊とアレフが与えられた水着を大急ぎで着けていた。
 直前まで舘野を探したり、怪我をした少女達の看病をしたりと大忙しだったのだ。
 二人の容態は、慶悟が先にたてておいた式神の依り代のおかげで受けた衝撃から比べればずいぶん軽いものだ
った。
 だがショックの方がかなり強くとてもこの舞台に今すぐたてるような感じではなかったのだ。
「うーん、こんな感じかな」
 白と黒のボーダーのタンクトップビキニを身につけ、豊は鏡の前でポーズをつけてみる。
 スタイルのよさがとても際立つスポーティーな感じだ。
「すごくお似合いです」
 迷彩色のワンピース水着を身につけたかの子が隣で微笑む。元気、という感じではないが、変わったデザイン
のそれを着こなしてさらにチャーミングに見せる魅力はさすがなものだ。
「アレフさんは、大丈夫ですか?」
「…ああ…着るには着たが…」
 更衣室から白い足がすっと出てくる。
「わぁ」
 豊とかの子は思わず頬を赤く染めた。
 アレフが身につけていたのは、金色のビキニ。腰から下は足元まである長いパレオ。ビキニといってもトップ
の布地の面積は少なく、布で隠してあるだけというような印象だ。
 しかしアレフが身につけると、それは水着というよりどこかの宮殿の王族がつけているドレスのようにも見え
た。
「…そうだ。こういうのつけてみたらいかがですか?」
 かの子が自分の衣装ケースの中から水色と金の輪のついたネックレスをアレフの首にかけた。さらにイヤリン
グ、アームレット、ブレスレットと貸してあげる。
「…綺麗だけど泳ぐのは大変そう…」
 豊の率直な感想にかの子はにこにこと微笑む。
「いいんですよ。水着コンテストなんですから」
「…水着とはこのように肌を露出させるものであったとはな…」
 気恥ずかしそうにアレフはつぶやく。
 コンテストに出たのは。あの人が私をもし探しているのなら、見つけてくれるかもしれないからだ。
 もし転生して地上に再び命を得ているならぱ。
 ……我慢。
 アレフは自分に言い聞かせて、二人のあとを追って会場への通路を歩いていった。
「始まったようね」
 シュラインは草間と二人、舞台袖から見守っていた。
 舘野は先ほどから姿を消したままだ。自分が疑われていることを気づいたのか、それとも潜み何かを企んでい
るのか。
 慶悟が式神を操って捜索しているが、なかなか見つからない様子である。
「…おや」
 草間がふと何かに気づいたように呟き、シュラインをみつめた」
「どうしたの?武彦さん」
「なんでお前ここにいるんだ? コンテストは?」
「…怒るわよ」
 ぷいと視線を反らしてシュラインは舞台に目を移す。
「ん。なんで怒るんだ」
「もうそんな年じゃないもの」
 失礼なこと言って、と少し不機嫌になるシュラインに草間がぽつりと呟く。
「楽しみにしてたんだけどな」
「…もう」
 シュラインは口元で小さく微笑む。でも怒ったふりはそのままだ。

 真名神慶悟は舞台の裏手にいた。
 舘野を探すために新たに飛ばした式神、会場周辺の警備をさせている式神たちからの情報をまとめるために人気のない場所で集中したかった。その隣には碧の霊も立っている。
『舘野さん…』
「そんな悲しそうな顔をするな。…すぐに見つかる。ここから離れてはいないはずだからな」
 碧は舘野の姿を探すことができない
 多分、彼女と舘野の思いは既にかけ離れたものになっている。彼女の知っている彼ではないし、彼の思っている彼女ではないのだ。
 だから碧の気持ちは舘野には通じない。舘野の場所も見つけられないのだろう。
 けれど舘野はきっとこのあたりにいるはずだ。これは慶悟の確実な予感だった。彼にとってのターゲットがもう一人いるのだ。舞台の上にいる長崎かの子に彼が手を出さないはずはない。
『…真名神さん…』
 碧が慶悟を呼んだ。
『あそこに…』
 碧の指差す方向に舞台の裏の木組みのところに立ち尽くしている舘野の姿が見えた。

■コンテスト本番
 「さーて一人ずつ自己紹介から聞いて行こうかな。年齢と出身と名前と今日の水着を選んだ理由ね」
 虎之助にマイクを向けられて、恥ずかしそうにトップバッターの少女が答え始める。豊とアレフは今頃になっ
て、そんな台詞を全く考えていなかったことに気がついた。
 ちらりと虎之助が二人に視線を送ってウインクをよこしてくる。
 「がんばってな」の意味なのだろうが、今はただのプレッシャーにしか思えない。
「次はえーと、8番の綺羅・アレフさんかな。自己紹介どうぞ」
 虎之助がにこりと笑ってマイクを向ける。
「…何を言えばいい?」
 アレフは突然向けられたマイクに少し戸惑いながら、虎之助を見つめた。 
「年齢と出身と名前と今日の水着を選んだ理由な」
 虎之助が先ほどと同じことを繰り返す。
 アレフは少し困った表情をして答えた。
「年齢と出身は好きに考えてくれ。…名前は綺羅・アレフ。…今日の水着を選んだ理由は…」
 この水着はスタッフが用意してくれたものだった。
 水着を持っていないとスタッフに告げると、女性の編集部員がこの水着を届けてくれたのだ。自分で選んでいないからコメントのいいようがない。
 困っていると虎之助が助け舟を出してくれた。
「…どうして水着大会に出ようと思ったの?」
「…それは…このコンテストに入賞すれば、雑誌に写真が出ると聞いて…。私を探している人が、私を見つけてくれないか…と」
「そうなんだ」
 虎之助は優しく尋ねた。
「どんな人?」
「…いい人だ」
 アレフは精一杯でようやくそれだけ答える。
 あまり自分のことを聞かれるのは苦手だった。
「…そっか。見つかるといいね。あなたみたいな人を待たせて罪作りな野郎だなっ」
 虎之助は明るく言って、マイクを次のかの子の方に向けた。
「じゃ9番の長崎さんお願いします」
 かの子は胸を張って答えた。心のうちが落ち込んでいても、さすがにコンテスト慣れしているのだろう。はき
はきとしたよい答え方だ。
「横浜から来ました16歳長崎かの子といいます。私は最近迷彩柄にとても凝ってて、そのうえデザインもお洒
落で可愛かったのでこの水着を選びました」
 虎之助が答える。
「迷彩柄が好きなんだ。どうして?」
「自分について悩んでた時期が長かったからかもしれません。迷彩柄って迷う色って書くし。おしゃれでかっこ
いいけど、森の中で敵に見つからないように隠れるための色なんですよね。でもこれからはもっと強くて素敵な女性になれるように胸を張って迷彩柄を着こなせたらいいなって思っています」
「頑張れ」
 虎之助はかの子の頭に軽く触れた。かの子はえへ、と可愛く微笑む。
 その時だった。
 ガタガタガタガタ・・・・。
 急に舞台が激しく揺れ、斜めに傾き始めたのだ。
「な…何っ!?」

■舞台裏
「何をしているっ」
 慶悟が舘野につかみかからんばかりにたどりついたとき、舘野の体からは火薬の臭いがぷんぷんしていた。
「…お前っ」
 舘野が振り返る。その顔は狂気で満ちていた。
「…もうコンテストなんて終わりだ。俺が終わらせてやるんだ!」
 慶悟はその舘野の頬を一撃で殴り飛ばした。舘野の体は舞台の裏に叩きつけられ、地面に崩れた。
「貴様の勘違いとわがままのせいで、何人を傷つければ気がすむんだ!!」
「お前には関係ないっっ」
 舘野は立ち上がると、慶悟に向かって飛び掛ってゆく。慶悟はそれを交わす…だが、その時、視界に閃光が走った。
 ドォォォンッッ。
「何っ」
 あまり大きな爆発ではなかった。だが、それは舞台のセットの柱の数本を破壊していた。
 同時に舞台の上で悲鳴があがる。
「ははは…。火薬の量がやはり足りなかったか。吹っ飛ばしてやろうと思っていたのに」
「なんだと!?」
『舘野さんっっ』
 様子を見ていた碧の霊が舘野の前に現れた。
 だが舘野は彼女の姿を見ることができないようだ。
「碧を…俺の碧を殺したようなチンケでクソクラエな女どもなんか…みんな死んでしまえばいいんだ…」
 舘野は薄笑いを浮かべて慶悟を見つめる。
 慶悟が再び拳に力を込め、符を握りしめたそのとき。
「おまえかぁ!!」
 彼に飛びつき横っ面をさらに激しく殴りつけたのは、舞台から飛び降りてきた虎之助だった。
 舘野は舞台に再び打ち付けられ、座り込んだ。
「…警察に電話! 話なんか聞いてやる必要ない!」
 その声で後からかけつけたシュラインが携帯電話を手にする。
『虎之助さん…』
 碧が虎之助を見つめた。
『お願い…彼と話させて』
「何を話すんだよ」
 虎之助は碧を見つめた。
『こんなクズと話してどうすんだよ』
 碧はとても悲しそうな瞳でただ虎之助を見つめた。虎之助は唇を噛み、うつむいた。
「来いよ…」
『ありがとう…』

 虎之助の中に入った碧は、そっと舘野の手をとった。
「舘野さん…私がわかりますか」
 舘野は額を押さえてかぶりをふる。頭を打ったらしくまだくらくらしているらしい。だが、ぼんやりと虎之助を見上げ、不思議そうな顔をした。
「…碧?」
「はい…」
 碧は優しく微笑んだ。
「私は殺されてなんかいません。…それに誰も恨んでないです。…ただこのまま罪を重ねるのはやめてください。私、天国に行けません」
「…碧。俺はおまえのために」
「私は死んだの。…舘野さんは舘野さんのために生きて…」
 それは優しい口調であった。だが、きっぱりとした別れの言葉でもあった。
 舘野はがっくりと肩を落として、うなだれるとそのまま気を失った。
 その彼の前にからん、と何かが落ち、金属音を立てた。
 それは古びたネックレスだった。ネックレスのトップには写真が入っている。舘野と碧二人でとった記念の写真だ。

■エピローグ
 警察車両が到着し、舘野は連行されていった。
 これは後ほど判明したことだが、舘野は最初に腎炎で入院した少女以外の全ての犯行を認めたらしい。彼は恋人の碧を彼女達が共謀して殺したのだと思い込み、その復讐の機会を狙っていた。そして偶然ひとりの少女が急病になりコンテストに出られなくなったという話を聞き、今回のを思いついたのだという。
「理不尽に舞台に立てない苦痛を味わせてやりたかった」
 これが事件の動機であった。また彼は水着コンテストの担当であった尾上を怪我させることによって、自分が担当になり、より積極的に参加をしぶっていた少女のもとにも電話をかけ誘い出していた。
 コンテストも中止になり、集まっていた客たちもいつの間にか四散していく。
「あーあ。せっかくの大舞台だったのに」
 豊は笑って、記念にもらった水着の入ったビニールのバッグを叩く。
「娘たちも無事であったし、何よりではないか」
 綺羅が慰めるように微笑むと、隣で光も頷いた。
「いい日でした」
「それはどうかなぁと思うぞ」
 虎之助が笑う。
「まあ解決できたしいいんじゃないかしら? 編集部もちゃんと調査費用は下さるってことだし、ね、武彦さん」
 シュラインに小突かれて、草間もああ、と苦笑した。
「それでおまえはこれからどうするつもりだ」
 慶悟は碧を見つめた。
 碧は遠くを見つめるような視線で、彼らを見つめ返した。
「駅に帰る、なんて言わへんな」
 司が言うと、碧はくすりと微笑んで頷いた。
『皆さんどうもありがとうございました。私、もう行きますね』
「生まれ変わってまた同じ道を目指すといい」
 慶悟は彼女のために、小さく祈る。その横で虎之助や司も彼女を送る道を開こうと力をもつ言の葉を紡ぐ。
 碧にはその扉が空に見えたのだろう。もう一度ありがとうとにっこり微笑んでその場からすうっと姿を消していった。
「終わったな」
 誰ともなくそう呟き、彼らは長い一日がようやく終わったことを知るのだった。

■後日談
 数日後、豊とアレフの元に「ruru特別号」が郵送された。
 コンテストは中止になったものの、その時出場していた少女達の写真は全て誌上掲載され、雑誌とインターネットでの人気投票ということになっていた。
 豊はしばらくその雑誌を見た友人たちの間で評判となり、会うたびにさんざん誉められたりからかわれたりされ、また編集部特別賞を受賞した綺羅アレフはその雑誌を、待ち人が見てくれたらいいなと淡い期待を抱くのだった。
 
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)       ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 0086/シュライン・エマ(しゅらいん・えま)/26/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
 0389/真名神・慶悟(まながみ・けいご)/20/陰陽師
 0689/湖影・虎之助(こかげ・とらのすけ)/21/大学生(副業にモデル)
 0815/綺羅・アレフ(きら・あれふ)/20/長生者
 0886/楓・司(かえで・つかさ)/男性/23/退魔士
 0905/ 神前・光(かんざき・ひかり)/20/大学生
 0914/長谷川・豊(はせがわ・ゆたか)/24/大学院生
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 大変お待たせいたしました。依頼を出した時にはこんなに難産になるとは露知らず。
鈴猫(すずにゃ)と申します。「水着コンテスト」のお話をお届けいたします。

 真名神慶悟様3度目の参加ありがとうございます。
 もうすっかり書きやすい方になってしまっていて、勝手にいろいろ使ってしまって
ごめんなさい。
 
 その他の皆様とは初めまして。お会いできて嬉しいです。
 水着コンテストの参加依頼でしたが、参加する方は二人きりで、なんとなくサスペンスチックなお話になってしまいました。
 かなり全体的な話が長くなってしまいましたので、今回はおひとりずつ話を組み立てなおしたり書き足したり、ラストが違う展開になっていたり、いろいろしています。
 もしお暇がありましたら他の参加者のノベルもご覧いただければ、意外なシーンがあったりするかもしれません。

長谷川 豊様
 お初にお目にかかります。鈴猫(すずにゃ)と申します。
 このたびはご参加誠にありがとうございます。大変お待たせして申し訳ありません。また大変長い話になってしまいました、お許しください。
 元気な年上のお姉さんタイプかなぁ、と思いながら豊さんのことを書かせていただきました。
 水着の指定がなかったので、あのような水着を用意させていただきましたがよろしかったでしょうか。バストアップやその他のイラストなどを参考にさせていただいて、間違いなくスタイルは抜群にいい方だから、こんな水着ならきっとお洒落に着こなせちゃうだろうなぁと想像しながら書いてみました。
 また他の依頼でお目にかかれることを楽しみにしております。ご参加本当にありがとうございました。