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天狗の影
☆オープニング
ゴーストネットの掲示板。
管理人の瀬名雫が、毎日の日課、自分のホームページに来ていた、怪談投稿の書き込み。
「う〜ん、何か面白いの無いかなぁ〜☆」
と、雫はマウスのボタンをぽんぽんとクリックしていく。すると、数日前に投稿された話題に目がとまる。
「えーっと、どんな話しだったっけ？」
始めの書き込みには、こうかかれていた。
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[1] 天狗を見た！
ライム
皆さん、どうも始めまして。私、天狗さんを見たんです！
夢かと思ったんですけど……ほっぺをつねって見ましたから、嘘じゃありません！
私が家のベランダで涼むんでたら、星空が綺麗で、
山の方をぼーっと見たら、山間に影が見えたの。
時間は夜中だったかな？ 夜景の光りが段々消えていたから。
でも、そんな夜に山に人が登ってるなんておかしいでしょ、きっと天狗さんなの。
後ろに羽を生やして、下駄を履いた姿、天狗さんでしょ？
でも、友達に話しても、皆嘘だって言って信じてくれないんだ、だからここに書き込んだの。
その山は、新宿から電車で１時間くらいの所にある山です。
秋には紅葉が綺麗に咲く、そんな所……紅葉と、天狗。
何か、関係ありそうでしょ？
誰か、一緒に山に一緒に来てくれないかな……もう一度、見て見たいの。
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「ふ〜ん☆」
そう言うと、雫はひらめいた。
「オフ会開催っ♪ 天狗を見に山に行こう☆ 皆ハイキングの格好で集合♪集合場所は、ライムさんの見た、天狗の山に集合☆」
☆浮気、発見!?[A1]
白雪・珠緒（しらゆき・たまお）は、化け猫の姿となって、いつものように街を散歩していた。もちろん大きさはそこらの猫と同じ大きさ。
（……今日も街は平和ね、退屈になるくらい……）
その暇を持て余すように、街を野良猫のように探索。珠緒の目に飛び込んでくる、何時もの通りの光景ばかり。
（暇……お腹も空いてきたし、さくら姐さんに、食べ物貰いに行こうっと……）
丁度お日様も真上に昇ってきた頃。段々とお腹は減ってきている。
暫く歩いた後に、珠緒はさくら姐さんのいる家に、何時ものように勝手口から入る。
（……あれ？）
珠緒の目に入ってきたのは、武神・一樹（たけがみ・かずき）の姿。
（珍しい、一樹兄さんが台所にいるなんて）
なんとなしに、一樹に近づく。しかし、一樹の方は気づいていない。
（……？）
一樹が、自分に気づかないのを不思議に思って、更に近づき足下から一樹の顔を見上げると。
（……笑顔？）
一樹は嬉しそうにしながら台所に立っている。最後に、一樹の手元を見ると……。
（……お、お弁当っ？）
珠緒の頭の中で、キーワードが結びつき、回答が出てくる。
（か、一樹兄さん、浮気かにゃっ！？）
精神的に衝撃を受ける珠緒。一刻も早く七星に連絡をしようと、静かに音を立てないようにその場から出て行く。
（な、七星に連絡するにゃっ！）
そして、人気が無い所で人間化して、七星へと電話をした。
「あれは、絶対浮気する気、あんなに嬉しそうな一樹兄さん、見た事ないもん」
珠緒は七星の持ってきた生クリームと、猫缶を食べ終えて、満腹と落ち着きを取り戻していた。
「それは早計だろ……第一天狗と逢えるとも分からんのに。ほら、生クリームがまだ残ってるぞ？」
生クリームと、猫缶を持ってきた、瀧川・七星（たきがわ・なせ）が、珠緒の口元を拭きながら話を聞く。
「早計でもなんても、用心に越した事は無いわよぉ。さくら姐さん、怒ると怖いの、七星も良く知っているでしょ？」
「……確かに」
何時も優しい人ほど、怒ると怖い。七星は苦笑した。そして、最後に珠緒が。
「私も、天狗を見に行くオフについていくわ。七星、一緒に一樹の浮気を止めるわよ。ばれたら一樹兄さん、燃やされるだけじゃ済まないわ、きっと」
珠緒は、天狗と一樹の浮気監視と防止に、文字通り燃えていた。
☆天狗山[B]
そして、オフ会の日。集合場所に指定された駅。集合時間には十名程度の集団になっていた。
「そろそろ集合時間ね。 まずはお互い自己紹介しようか☆」
瀬名・雫が集まったオフ会参加者達に、自己紹介をさせる。最初に、オフ会開催の原因の、天狗の書き込みをしたライムを名乗る女性から自己紹介を始める。
「始めまして、私、ハンドルネーム・ライム、名前は日高・夢見（ひだか・ゆめみ）って言います。皆さん、来てくれてありがとう」
柔らかそうな物腰の、１０代そこらの女性。そして、次々と自己紹介をしていく。
「始めまして。 俺は直弘・榎真（なおひろ・かざね）。高校生だ。今日一日、宜しく」
一番最初にオフへの参加を表明したのが、直弘だった。
「俺は、瀧川・七星。一応職業は小説家。今日は宜しく」
瀧川が自己紹介をすると、ひょっこり腕の中から、白い毛の猫が顔を出す。この猫こそが、珠緒自身だったりするが、現在は化けてこの姿。単にハイキングの格好がめんどくさいからだったりする。
「瀧川さん、この猫さんは？」
「ん、こいつはタマっていうんだ。迷惑は掛けさせないようにするから、一緒に連れていきたいんだが、いいか？」
「もっちろん☆ 別に動物は参加不可って書いてないし☆」
雫は、顔を出したタマの喉をいつのまにかくすぐったりしていた。
（く、くすぐったいにゃ、やめてほしいにゃぁぁ）
珠緒は、とってもくすぐったくって、にゃーにゃー（やめて〜）と鳴くしかなかった。
「俺は、武神・一樹だ。職業は一応、骨董屋の店主。 今日はハイキングという事で、色々こういう場所にぴったりな食事を持ってきた。今日一日、宜しくな」
武神の傍らに、大きめのクーラーボックスが一つ。
「どんな物が入ってるんですか？」
という日高の言葉に、武神はクーラーボックスに入っている、和風料理の数々を口にしていく。
「一杯〜☆ お昼の時間、楽しみにしてるね☆」
雫は心底嬉しそうだ。あまり古風な和食とかを食べてないから、一樹の料理に興味があるようだ。
そして、一通り全員の自己紹介が終わって、雫が最後に一言。
「もし本当に天狗を見つけたら、写真に撮って、オフ会報告のページに貼るよ。皆、頑張って天狗を探そう〜☆」
雫の言葉で、夏のハイキングオフの開始となったのであった。
☆怖い？[C2]
太陽が燦々と降り注ぐ登山道。珠緒は、山の動物たちを待っていた。
（むー、同じ猫なら話もしやすいけどにゃぁ……誰かこないかにゃ、天狗の事についてしってるかもしれにゃいし……）
きょろきょろと見回しながら、知恵を働かせる。
（でも、この山を根城にしている天狗なんていたかにゃぁ？ あたしは、５００年位までしか知らないけど……でも、昔の事なんて覚えてないにゃ）
そう考えていると、リスが目の前にぴょこんと飛び出してきた。
（みゃ、いたにゃっ、七星、一樹の監視は任せたにゃっ）
七星の腕の中から飛び出して、リスの元に近づく。でもリスは襲われると思って逃げ出し始める。
（にゃ、逃げないでにゃ、美味しそうだけどたべたりしないからにゃ〜）
そう言いながら、リスを追いかける。
リスの素早い動きで、珠緒はリスを見失ってしまう。
（……私、そんなに怖いかにゃ……？）
ちょっと心に傷がついた珠緒であった。
そして、山の中腹の休憩所に辿り着く。近くに小川があり、小川のせせらぎが聞こえてくる。
「ここでお昼にしようよ☆」
雫が目を爛々とさせて、一樹の用意してきた食事の数々を見せていく。
握り飯、沢庵……色々な食べ物がそこに詰まっていたが、その中でタマの目を奪ったもの。
「あと……鮎の潤香（うるか）もあるぞ。酒の肴に丁度いいからな」
鮎。七星の腕の中から鮎に向かって抜け出して、食べようとするタマ。
（鮎、鮎にゃ〜〜〜）
その光景を見て、雫を始めその場に笑いが起こる。
「七星、一緒に小川のせせらぎを聞きながら、酒でも飲まないか？ もちろん、猫も一緒に来いよ。 多分、これを欲しがってるんだろうしな」
目の前に鮎をちらつかせられる。七星の腕の中で更に暴れる。
「……分かった、付き合うよ」
結局七星は、その言葉に従うしかなかった。
鮎の潤香が目の前に置かれる。お腹の空いていたタマは、ぱくぱくと食べ始める。
口の中に広がる苦味と、塩味。ものの数秒の間に鮎の潤香を次々と食べて行く。
「さてと……お前達、ここに着た理由、もう一つあるだろう？」
一樹からの鋭い質問。七星と共に、その場の空気が停止する。
「……気付かないとでも思ったのか？ お前達の鋭い視線に」
（……やばいにゃっ！ 逃げるにゃっ！！）
思ったと同時に、逃げ出そうとする。しかし、それに反応した一樹が、いち早く珠緒を捕まえる。
（にゃ、は、離してにゃっ！）
と、じたばたしてみるけど、腕の中にしっかりと捕まえられてるから出る事が出来ない。
「……ま、珠緒が一樹の浮気を監視するって張り切ってな。天狗と浮気するかもしれない、って」
七星は、隠さずに全部話す。それを聞き終わると、タマを目の前に持ち上げて。
「そんな事考えてたのか……ま、心配してくれるのは嬉しいが、俺はそんな事はしないさ。 分かったな……」
顔が笑ってない一樹。たまらず、珠緒は首を縦に振る。
そして、タマを降ろすと。
「そろそろ、戻るぞ。雫達も待っているからな」
そして、雫の元に戻る。
「今さっき、天狗が現れたの！ 写真もちゃんと撮れたと思うよ！」
雫が興奮した雰囲気で、一樹達の帰りを待っていた。
「頂上に見えたから、皆は先に頂上に言ってるよ、早く皆も行こうよ！」
と、雫は皆を連れて、頂上へと急いだ。
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【整理番号 ／ ＰＣ名 ／ 性別 ／ 年齢 ／ 職業】
【0231 ／ 直弘・榎真（なおひろ・かざね） ／ 男 ／ １８歳 ／ 高校生】
【0234 ／ 白雪・珠緒（しらゆき・たまお） ／ 女 ／ ５２３歳 ／ フリーアルバイター】
【0177 ／ 瀧川・七星（たきがわ・なせ） ／ 男 ／ ２６歳 ／ 小説家】
【0173 ／ 武神・一樹（たけがみ・かずき） ／ 男 ／ ３０歳 ／ 骨董屋『櫻月堂』店主】
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■ ライター通信 ■
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お待たせ致しました。＆始めまして。新人ライターの燕（つばめ）と申します。
読みにくい漢字で本当にすみません（^^;
今回の作品が、私の始めての依頼でした。
実績の無い私ですが、直弘様、白雪様、瀧川様、武神様、今回はどうもありがとうございました。
皆様のプレイングがとても秀逸で、私の文章で上手にかけたか凄く心配ですが……どうでしたでしょうか（^^;
色々と文章の構成を変えたりしながら、今後も頑張っていきたいと思いますので、宜しくお願いいたします。
尚、今回の依頼は、一部分を除き参加してくださった皆様個別に異なって書かれています。
リンクしている部分は他の方の報告で書かれている事もありますので、是非、他の参加してくださった方の報告を読んで見て下さいね。
また、各章にある、英文字と数字は、時間軸上での、流れを示しています。A1-A2-A3-A4-B1…という流れです。
が、登山の部分だけは、多少前後している部分もあります。
白雪様：えー、浮気はありませんでした（汗）
今回は、大体に全部化け猫の状態で行動していますので、コメディタッチにしてみました。
（ ）での部分が化け猫の状態での発言で、「」が人間状態での発言です。
では、また次回、お会いできる事を願って……。
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