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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


000
●3日前
「ナンバー000って、知ってます?」
 目の前に座った青年は、そう言った。草間は暫く考えるが、首を横に振った。
「携帯電話で、000を押すんです。それで、上手く行けば将来の自分が聞けるんだとか」
 青年は、相模・芳樹(さがみ よしき)と言った。今年、高校三年生だそうだ。友達にその話を聞き、面白半分に試したのだそうだ。
「それで、将来の自分は聞けたんですか?」
「ええ。……どうやら、僕は3日後に死ぬんだそうで」
「死ぬ?」
「はい。……電話の向こうから、そのように言われました」
「それは穏やかじゃないな」
 草間は眉間に皺を寄せる。
「当たらなければいいんですけど、友達がやったら全部当たってたらしくて」
「例えば?」
「明日足を骨折するとか、5日後に川に落ちるとか」
「穏やかな将来じゃないな」
 どちらかというと、将来と言うよりも危険予告のようにも聞こえる。
「僕、怖くなっちゃって。お願いします。三日後、僕を守ってくれませんか?」
 衛は頭を深く下げた。草間は頷き、三日後に守る為の人間を向かわせると約束した。
「そういう事だ。誰か、行ってくれないか?」
 草間は周りをざっと見回した。

●2日前
 草間興信所の前にある、とあるラーメン店。味は最高級に美味しいのに、分かりにくい所にある為か、客は殆ど居ない。
「美味しかった!色んな店を知ってるのね、影崎さん」
 醤油ラーメンを食べ終わり、一息つきながら長谷川・豊(はせがわ ゆたか)は言った。さらさらと流れる長い黒髪は、邪魔にならないように緩く一つに纏められている。
「だろ?美味いのに誰も知らないんだよな」
 味噌ラーメンを汁まで飲みながら、影崎・雅(かげさき みやび)は言った。こちらも黒髪を一つに纏めている。豊に髪を纏めるように進言したのは他ならぬ雅だった。「ラーメンを食べるのなら、髪は纏めた方がいい」というのが雅の言。
「ご馳走様」
 塩ラーメンのどんぶりを前にし、真名神・慶悟(まながみ けいご)は手を合わせた。一言も言葉を発さず、黙々とラーメンを食べていた。一気に食べた所為で汗をかいたらしく、金の髪の間をハンカチで拭いている。
「で、三日後……あと二日後か。その時に将来とやらが来るのよね」
と、豊。口の周りをハンカチで拭きながら、雅と慶悟に話し掛ける。
「二日間をどうするかって事だよな」
と、雅。纏めていた髪を解き、腕を組む。
「取り敢えず、二日間はそれぞれ動いたらどうだ?二日後にお互い集めた情報を交換し合えばいい事だ」
と、慶悟。さっさと立ち上がり、自分の分のラーメン代を机に置く。
「じゃ、二日後に」
 そう言い残すと、早々に出て行ってしまった。依頼書はそれぞれにコピーして草間から貰っていた。つまり、二日後までそれぞれが個人的に動いても不都合な事は無いと言っても良いだろう。
 慶悟は外に出ると、ふと後を振り返った。『らーめん麻生』という看板が目に入る。
「らーめん麻生、か……悪くないな」
 そう呟き、煙草を口にする。雑念を捨て、精神統一し始める。他の味のラーメンを食べたいなどと思うのは、全てが終わってからだ。
「まずは……会いに行ってみるか」
 慶悟は依頼書に目を通す。『相模芳樹』と書かれた紙に、彼の住所がしっかりと書いてある。場所的にも、今いる地点からそう遠くは無い。慶悟は懐に持っているものをもう一度確かめてから、歩き始めた。
(全ては二日後というが、今から動いていた方がいいかもしれない)
 煙草の灰が、風に乗って飛ぶ。歩きながら煙草を吸うのは良くないと分かっていても、ついつい口にくわえて歩いてしまう。
(これも、精神集中がため)
 誰に言い訳するでもなく、慶悟はそう思ってから芳樹の家に向かうのだった。

 芳樹の家に着くと、慶悟は周りに人がいない事を確認して式神を呼び出した。慶悟が下僕、十二神将。
「二日後に備え、皆守護につけ。周り八方位、上空二、そして相模芳樹に二だ」
 十二神将はそれぞれ頷き、各自守備につく。それを確認してから、慶悟は相模家のチャイムを押した。
「草間興信所から来たものだが」
 そう言うと、すぐに玄関から人が現れた。依頼主の、芳樹だ。顔を綻ばせ、慶悟を迎え入れる。
「良かったです、来ていただいて。……えっと……」
「真名神慶悟だ」
「……真名神さん。有難うございます」
 リビングに案内し、芳樹はお茶を入れた。
「あんた、信じているのか?将来とやらを」
 慶悟は早速きりだした。突然の言葉に、芳樹は戸惑ったよう眉を顰めながら慶悟の前のソファに腰掛ける。
「信じたくないですけど……現に友達が当たってますから」
「将来……先ずは信じない事が先決だ。鵜呑みにする事は呪いを己の内に入れる事に等しい」
「そうなんですか?」
 慶悟は頷く。
「言霊、というものがあるのは知っているか?」
「言葉には霊が宿る、というものですか?」
「そうだ。言葉は簡単で強力な呪いだ。そのものをそのものとして縛る事、それが呪いなのだから」
 芳樹は暫く考え、神妙な顔で頷いた。だが、その顔から不安の色は消えない。
(当然だな。意識したからと言って、早々に呪というものは消えるものではないからな)
 そう考えると、慶悟は懐から用意していた人形を取り出す。
「悪いな」
 それだけ言うと、慶悟は芳樹の髪の毛を1、2本抜く。軽い痛みで、芳樹は顔を顰めた。
「突然何を……」
 芳樹の疑問は、慶悟に答えて貰えなかった。慶悟は人形に精神集中しており、周りの声は遮断していたのだ。念を込めながら髪の毛を人形に埋め込み、そして人形に芳樹の名を書き込む。
「汝は汝。彼の者はこれに……ここにあり……!」
 慶悟の言が力を帯び、人形は芳樹の『形代』と成る。
「何ですか?それ」
「保険だ。万が一の時、これがお前の身代わりとなる」
 慶悟は形代を懐にしまい、芳樹に向き直る。
「ところで、あんたはこの家に一人で住んでるのか?」
「いえ。……両親は今、海外旅行に行ってるんですよ。明後日に帰宅予定なんです」
(また二日後か)
「じゃあ、俺がここに泊まってもいいな」
「は、はい!……あ、でも僕は受験勉強があるのであまりお相手は……」
「しなくていい。……あんたは普通の生活を営むだけでいいんだ」
 慶悟はそう言い、出されていた茶を一口飲んだ。ほろ苦さが、口一杯に広がる。
「ところで、真名神さんって見た目が何というか……派手ですよね。ホストか何かですか?」
 芳樹の言葉に、慶悟は思わず茶を吹きそうになった。
「陰陽師だ!魔を嚇し、気を引く為だ!」
「そうなんですか。……じゃ、僕は勉強しますから」
 そう言い残し、芳樹はリビングを後にした。慶悟は何となく疲れてしまい、はあ、と大きく溜息をつくのだった。

●1日前
 まだまだ眠気が覚めやまぬまま、慶悟はむくりと起き上がった。魔の活動が活性化するのは何といっても夜だ。慶悟は万が一に備えて、夜通し起きていたのだ。何も起こらず、安心したまま先程ようやく眠りについたばかりであったのだが。
「おはようございます、真名神さん。一緒にラジオ体操でもどうですか?」
 にこにこと笑いながら、芳樹はやってきた。慶悟の為にあてがわれた部屋ではなく、夜通し結界を張って警戒していたリビングのソファで寝ていた為に、慶悟の身体はばきばきと音が鳴る。慶悟は虚ろな思考のまま、時計に目をやる。6時半。
「……なあ、まだ早朝だよな」
「朝にラジオ体操をすると、一日元気に過ごせるんですよ」
「俺の質問に答えて貰おうか?」
 多少、苛々しながら慶悟は言う。芳樹は何も答えず、ラジカセの電源を入れた。ラジカセの向こうから、明るい音楽が流れてきた。
「ほら、真名神さん!」
 慶悟は目頭を抑え、仕方なく芳樹とラジオ体操をするのだった。

 守護は全て十二神将に任せ、慶悟は近くの公園に足を伸ばした。芳樹には、絶対に来るなと念を押して。
(実際に試しておくか。一応、いかなるものか試しておく方がいい)
 慶悟は目頭をもう一度押し、携帯電話を取り出す。どうも朝からやったラジオ体操が響いている。そして、慎重に0・0……と二回押す。もう一度0を押そうとした瞬間、携帯電話の向こうから音声が響いた。
(馬鹿な。まだ二回しか押しては無い)
 それでも、実際に現象が起こった。慶悟は周りを見回しながら、音声に耳を傾ける。
『ナンバー0にようこそ!あなたの将来は……今から5分後に車にぶつかります!』
(5分後?)
 随分と早い、将来だ。慶悟は不信に思いつつも、懐から数珠を取り出す。じゃらりと数珠特有の音が響く。周りを見回すも、車の気配は無い。公園の中にぽつんと佇む慶悟以外に、誰もいない。それもその筈、慶悟が人払いの結界を既に張っていたからだ。何者をも通さぬ結界。しかし、携帯電話から声は聞こえた。携帯電話を通して、何者かがこちらに作用してきたのやもしれぬ。慶悟は警戒しつつ、辺りに目を配る。
 4分後。辺りは異様なまでにしんと静まり返っていた。慶悟は数珠をかけていたてを解いて周りを見回す。
「なぬっ!」
 公園の中に、車が突進していた。中には誰も乗ってはいない。慶悟の目つきが、一層鋭くなった。数珠を持つ手で、印を結ぶ。
「将来と称し事を導くは悪障ばかり……貴様の言葉には悪意がある。これは将来等とは呼ばん。死を導くだけの者よ……微塵と散れ!あびらうんけんそわか!」
 慶悟の声が、辺りに響く。その声は、力を帯びて放たれた。車に放たれた真言は、車自体を取り囲んで動けなくするという、破魔の真言。車の動きが、一瞬止まる。
(効いている!)
 慶悟は好機を逃さぬように、続けて真言を放っていく。そのたびに、車の止まる時間がどんどん延びていく。
(ならば、相手は霊!)
 確信は、同時に対処方法を生む。
(このまま防ぎきる事ができるならば、ナンバー000の効果はなくなるかもしれない)
 微かな期待で、慶悟は小さく笑う。相手に隙を与えぬよう、次々に術を放つ。遂には車の動きを完全に止めてしまった。
(これで000の効果は無くなる!)
 そう、慶悟は確信した。だが、車は止まったものの、今度は慶悟自身が動き始めた。車の動きを完全にとめた事で、多少なりとも油断があったのやもしれぬ。
「なっ」
 一度動き始めた自らの身体は、止まる事を知らない。慶悟は慌てて術を放とうとするものの、中々上手く形成できない。そして、車にぶつかる……!
 どん!!
 衝撃が慶悟を襲った。痛みに耐えながら、自らの身体を動かした正体を捕まえようとするものの、すでに相手の姿は無かった。
「くそっ!」
 ごん、と慶悟は地面を叩いた。悔しくてたまらない。ふと見た時計は、将来予告からきっちり五分だったのだ。
(一体、何だというんだ?俺は0を二回しか押してはいない。しかし、電話は繋がった。そして、五分後にきっちりこなして消えてしまった!くそっ、相手は霊だと分かっているのに、防ぎきれる事が出来なかったとは!)
 車とぶつかった衝撃で、体のあちこちが痛む。いたる所に擦り傷もある。それに加えて、霊には逃げられる。
(しかし、収穫はあった。相手が霊であることは、間違いないんだ)
 慶悟は人払いの結界を解いた。途端、人が公園へと入り始める。ベンチに腰掛け、慶悟は大きな溜息をついた。
『邪魔をするな』
 低いような高いような、声が聞こえた。慶悟は、はっとして辺りを見回すが、やはり何処にもいなかった。
(言いたい事だけいいやがって)
 慶悟は煙草を取り出し、くわえた。苛々が止まらない。それでも深く煙を吸い込むと、幾分か落ち着いた。頭の奥底から、目が覚めていくようだった。
「もう一度、整理するか」
 小さく呟き、慶悟は考える。
 ナンバー000は、携帯電話の0を三回押す事によって成立するものだった。だが、今回慶悟は二回しか押していなかったにも関わらず、将来を予告してきた。
(つまりは、あまり回数は関係ないのかもしれない)
 まだ確信は無い。向こうが勝手に焦ってコンタクトしてきただけかもしれないのだから。だが、確実に言える事。それは、ナンバー000を成立させようとしているのは霊の存在だという事だ。そして、将来を成立したら消えていってしまう。
「もう一度試してみる価値はあるかもしれないな」
 結局、もう一度やっていようとする慶悟の試みは失敗する。何度0を押しても、携帯電話を変えてやってみても、もう二度とナンバー000の音声が聞こえる事はなかったのだ。
 そうこうしている内に、太陽は天にいた。十二神将の一人が慶悟の元に現れる。
「どうした。何かあったのか?」
 身を乗り出して尋ねる慶悟に、式神は首を振る。どうやら、お昼ご飯が出来たので食べてに帰って来いと、芳樹から伝言を預かってきただけらしい。
「……あいつ、何の為に十二神将を遣わしているか、分かっているのか?」
 せいぜい、使い勝手の良い伝言係とでも思っているのではないだろうか……。そのような疑問を抱きつつ、慶悟は立ち上がる。そして、もう一度携帯電話を見つめてから芳樹の待つ家へと向かった。

 昼ご飯を食べ終わると、慶悟は芳樹に向き直った。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが」
「はい。何でしょう」
 昼食に使った食器を収め終わり、芳樹はまだ食卓についている慶悟の真正面になるように座った。慶悟は徐に口を開く。
「ナンバー000に電話した時の事を、詳しく知りたいんだが」
「あ、はい」
 芳樹はうーん、と小さく唸る。
「確か、あの時は友達と三人で試したんです。丁度クラスの女子がそういう話をしていたんです。将来を当てる噂だって。でも誰も試したがらなかったんですね。だから、僕ら三人が試してみようって事になったんです。丁度受験勉強で疲れてたし、息抜きにやってみようかって。そしたら、0を三回押した瞬間に声がしたんですよ」
「その時に、何か変な現象が起こったりしなかったか?」
「いいえ。ただ、声が聞こえただけです」
「そうか……」
 それは、先程慶悟が試したのと同じだ。将来とやらに近づくまで、何も起こらなかった。
(つまりは、予告された時刻以前は何も起こらないという事か)
 それは絶対ではないにしろ、確率的には極めて高いものだった。この二日間、何も変わりが無い事からも分かる。
「明日だったな、将来とやらは」
 芳樹は少し緊張したように頷く。
「今日は何も起こらない。それは約束しよう。だが、明日という日付になった瞬間から警戒していた方がいい。……いいか?」
「ええ。で、具体的にはどうすればいいんですか?」
「二階には行かず、ここにいてもらおう」
「分かりました」
 芳樹はそう言うと、立ち上がる。
「おい、まだいいぞ」
 慶悟は慌てて声をかけると、芳樹はにっこりと笑う。
「折角なので、今からここにいます。二階から勉強道具を持ってきますから」
(大したタマだ)
 半分呆れたように、半分感心しながら慶悟は苦笑する。
「……十二神将、抜かりはないだろうな?」
 二階に行った芳樹を見送り、慶悟は問い掛ける。皆、肯定の言葉を慶悟へ答えた。
(全ては、明日)
 慶悟は懐から煙草を取り出してくわえ、火をつける。煙はふわりふわりと天井へと立ち上っていった。

●当日
 午後11時。カチカチと時計の秒針のみが響く部屋の中で、慶悟は煙草を口にくわえて考え事をしていた。白い煙が、ゆらゆらと揺らめく。
(問題は、どういった手段でくるかという事だ。俺が試した限り、将来は必ず起こってしまう。せめて、どういう方法で当てる事とするのか分かれば違うんだが)
 その間、芳樹は黙ってカリカリと受験勉強をしていた。ちらりと慶悟は問題集を覗き込むが、一瞬だけで見るのをやめてしまった。必要ない事に、意識を集中させても仕方の無い事だ。
「じゃあ、そろそろ結界を……」
 そう呟いた、その瞬間だった。ピンポン、と軽快な音が家中に響いたのだ。慶悟と芳樹は思わず顔を見合わせる。
「真名神さん、今の……」
「……ただのチャイムだ。俺が出てみる」
 慶悟はそう言って、数珠をぎゅっと握り締めた。
(こんな夜中に来客だと?……まさか、ナンバー000の者か……?)
 そう考えると、思わず数珠を更に強く握り締めてしまう。そして、玄関に到着する。
(始めが肝心だ。まずは禁呪をかけて、動けなくしてやる)
 決断すると、慶悟はバンッとドアを開けて数珠を身構えた。すぐに禁呪の真言を唱えた。「ちょちょちょ……!ちょっと待てよ、慶悟君」
「……影崎?」
 そこに立っているのは雅だった。慶悟は禁呪を唱えるのを止め、数珠を収めた。
「全く、びっくりさせるな」
「あんた程じゃない」
「そうか?」
 ははは、と雅は笑う。
「で、どうしたんだ?こんな夜中に」
「護衛だよ。……あと一時間くらいで将来予告日だ」
「なるほど」
 慶悟はそう頷き、上がるように促した。そして、リビングへと集結する。
「よっ、初めまして。俺は影崎雅だ」
「こんばんは。……僕が相模芳樹です」
「そうか。で、芳樹君は今どうなの?怖いか?」
 雅の問いに、苦笑しながら芳樹が答える。
「そりゃあ、怖いですよ。だけど、皆さんを信じてますから」
 その言葉に、雅はにっこりと微笑んだ。
「よし。男ばっかりでむさいけど、もうすぐ可愛いお姉さんが来るからな」
「おい、長谷川も来るのか?」
「約束はしてないよ。だけど、豊ちゃんだって考える事は同じだとおもうぞ」
「確かに」
 慶悟は頷き、数珠を懐から取り出す。
「では、長谷川が来たら結界を張ろうか」
「そうだな。俺ならいいけど、豊ちゃんは困るもんな」
 けらけらと雅は笑う。それを見て、慶悟は小さく溜息をついた。
「どうして、影崎さんならいいんですか?」
 芳樹は不思議そうに尋ねる。雅は笑いながら後頭部をかく。
「俺、効かないんだよ。結界とか」
「そうなんですか」
「そうなんだよ。便利なような、そうでないような」
「歩く魔よけ札だからな。影崎にくっついておけば、大概の事は大丈夫かもしれん」
 その時、再びピンポンという軽快な音が鳴り響く。時刻は午後11時半。
「あ、俺が出よう。慶悟君は、豊ちゃんだったらすぐさま結界を」
 雅の言葉に、慶悟は黙って頷いた。そして、雅はリビングを後にした。
「真名神さん、影崎さんの職業は何なんですか?」
「確か、寺の住職だと聞いているが」
「へえ。僕はてっきりロックバンドのメンバーかと思いましたよ」
 その言葉に、慶悟は思わず噴き出した。
 がちゃり、と玄関の開く音が響く。どうやら雅は来客を受け入れたらしい。と言う事は、来客は雅の言った通り、豊だったという事になる。
「ちょっと黙っててくれ」
 慶悟はそう言うと、数珠を構えた。じゃらりとした音が、しんと静まり返った室内に響く。口の中で真言を唱えていくと、だんだん家の周りを取り巻いていた結界が強固のものとなっていくのを感じていく。そして、豊がリビングに顔を出す頃には、侵入者を許さぬ結界が出来上がっていた。
「こんばんは。長谷川豊と言います」
 入ってきてすぐ、豊は芳樹に頭を下げた。
「あ、初めまして。相模芳樹です」
 芳樹も同じように頭を下げる。
「結界は張ったようだな、慶悟君」
 雅の言葉に、慶悟は黙って頷いた。そして、リビングの机の周りに三人は集まった。芳樹も三人の傍に座って話を聞く体制になっている。
「まずはこの二日間について報告し合いましょう。私から、いいかな?」
 豊はそう言って他の二人を見回した。二人とも頷き、続きを促した。
「私、この二日間は芳樹君の友人に話を聞いたの。足を骨折したという上原・翔(うえはら しょう)君と、川に落ちたっていう脇坂・恭平(わきさか きょうへい)君に。二人ともに共通していたのは、まず何かに驚かされてから頭がぼうっとなり、事が起きていたわ。そして、どうやら相手は……」
「霊、なんだろう?」
「霊、だな?」
 雅と慶悟が、同時に言う。豊は驚いて二人を見る。
「分かってたの?」
「試したからな。ナンバー000を。」
 慶悟はそう言って、携帯を取り出す。リダイヤルの履歴に、00の数字。
「俺もだ。一応試してみたんだよ」
 雅も、携帯を取り出す。慶悟と同じく、リダイヤルの履歴に、000の数字。違うのは、慶悟の方は0が一つ少ないと言う事だ。
「あら?どうして真名神君は0が一つ少ないの?」
 豊が気付いて指摘した。
「俺は、まだ0を二回しか押していないのに音声が流れてきた。恐らく、0の数は関係ないんだと思う」
「俺も同意見。ちなみに、0を何回押したかによって霊が何体来るかに関わるみたいだな」
 雅はそう言って携帯のストラップを持って、ぶらぶらと手の中で弄ぶ。
「俺は二回試したんだが、一回目は慶悟君と同じく二回しか押せなかった。その時に現れた霊の数は二体。将来予告は『十分後に大波』だったんだけど、一体は俺を川べりに連れて行こうとして、もう一体は水をかけに来やがった。おかげでびしょ濡れだった」
「それは災難だったわね」
 豊が苦笑しながら言う。
「本当だよ。水も滴るいい男……っていうのは、辛いもんだ」
「いいから続けてくれ」
 慶悟は小さく溜息をついて、先を促す。
「二回目は、ちゃんと三回押せたんだ。将来予告は『車に轢かれる』だった。しかも、『邪魔をするので』とか言われたよ。一体目は妙な空間を作り出し、二体目は光を放って意識を低下させようとし、三体目は俺に向かって車を発進させてきた。……寸前で、助かったけど」
「つまりは……将来を外したんだな?」
 慶悟は確認するように尋ねた。雅は小さく笑う。
「そういう事になるな」
(ならば、効果そのものが消失したかもしれない。……否、それは余りにも甘いか)
 慶悟は小さく苦笑した。雅は突如、うーん、と背伸びをした。
「因みに、俺もナンバー000を試したとかいう女子高生二人から偶然話を聞けてさ。話を聞いたんだけど……内容はほぼ豊ちゃんと一緒だった。まず驚かせて、意識レベルを下げてから気付いたら事が起きているってやつだ」
「さっきの影崎さんの話からすると、霊は三体出る事になるのよね。なら、一体目と二体目は行動を自主的に起こさせるようにして、三体目は行動を第三者的に起こさせるという事かしら?」
 豊の言葉に、慶悟は頷く。
「そうだな。俺が試した時も、大体は影崎と似たようなものだった。尤も、俺の方は『五分後に車にぶつかる』というものだったが」
 そこまで言い、慶悟は雅に向き直る。
「それはそうと、影崎。さっき、将来を外したと言ったな?」
「ああ。現に、俺は車に轢かれてはいないだろう?」
「それから、ずっと車に轢かれそうにはなってないのか?」
「そうだな。……これは俺の予想でしかないんだが、ナンバー000の効力は、実行されるか、不手際が発生した時に切れるんじゃないだろうか」
「不手際?」
 豊が尋ねる。雅はこっくりと頷き、口を開く。
「俺は、三体目の霊を消したんだ。すると、全く将来が起ころうとはしなくなった……。つまり、0を押した回数分の霊が一体でも消滅した瞬間に、効力は切れるんじゃないか?」
「なるほど。一種の契約みたいなものだからな、ナンバー000は」
 慶悟はそう言って、皆に向き直る。
「0を押した回数は、自分が契約を結ぶ霊の数だ。それが狂えば、契約は破棄される」
「ああ、なるほど」
 豊はうんうん、と頷いた。
「さて、問題はこれからだな」
 雅はちらりと芳樹を見る。芳樹は急に話が自分に向いた事に気付いて、小さく驚いた。
「もう12時は過ぎてしまっているが……何か違和感とかはないか?」
 雅の問いに、芳樹は暫く考えて首を振る。
「別に無いです」
「で、携帯電話は何処に持っている?」
 慶悟が尋ねる。芳樹はズボンのポケットから、携帯電話を取り出す。慶悟はそれを引っ手繰るようにして奪った。
「な、何するんですか」
 突然の事に驚きながら、芳樹は抗議した。慶悟は携帯電話をじっと眺め、それから雅に手渡す。
「言ってなかったな。俺がナンバー000……正確にはナンバー00だが……それを試した時には結界を張っていた。何者をも入れない結界だ。それなのに、霊は現れた」
「そうか……携帯電話を媒介にしたのね」
 豊がはっと気付いたように言う。慶悟は頷く。
「で、何で俺に渡すわけ?」
 雅は苦笑しながら尋ねる。意味は半分くらい理解しているようだった。
「決まっている。媒介を無効化させる為だ」
「俺、こういった媒介を無効化できるか分からないんだけど」
「出来る。いや、出来るようにしておけ」
「無茶言うな」
 苦笑しながらも雅は携帯電話を懐に収めた。
「全てが終わったら、返してくれますよね?」
 訝しげに芳樹は尋ねるのだった。

 午前二時。草木も眠る丑三つ時。半分うとうととしていた慶悟の耳に、十二神将が報告した。何者かが、結界に入ろうとしていると。
「おい、お出ましだ」
 慶悟がそう声をかけると、雅と豊が立ち上がった。慶悟は机にうつぶせて寝ている芳樹にちらりと目をやり、雅と豊に向き直る。
「お互い、担当を決めとこう。長谷川は相模を見て、影崎は俺と三体いる霊のどれかを消滅させる」
「契約の破棄を狙うか。なるほど、了解だ」
「分かったわ」
 各々が身構えると同時に、風がびゅんと吹いた。何も侵入できぬ筈の結界内で起こった、一陣の風。
「来るぞ」
 小さく雅が呟く。
 風は、びゅん、びゅん、と続けて二回吹いた。計三回吹いた風は、いつしか竜巻状に形を変え、何かしらの輪郭を描いていた。
(流石に、影崎が将来を外したからといって効力を失う事はなかったか)
 慶悟はちぃ、と舌打ちする。
『邪魔するな、邪魔するな、邪魔するな』
「貴様こそ、何故人に災いを齎す!」
 慶悟の声が、室内に響く。風は、びゅん、と再び唸る。
「何者だよ?あんた」
 雅が問い掛けるも、返事は無い。風が、びゅん、と唸るだけだ。慶悟は懐から呪符を取り出し、放つ。間を空けずに真言を唱えると、だんだん風は輪郭をはっきりさせていく。それは、人の形をしていた。否、人の形なのではないのかもしれぬ。しかし、それは三人の目には人の形に見えたのだ。どす黒い色をした、影のような人型。
「一体、何なの?何の目的があって、酷い事をするのよ?」
 豊が叫ぶ。何かしらの思いを抱いているかのようだった。そこで、ようやく黒い人型は言葉を発した。
『皆、求めている。身に起こる悲劇を、我が身に降りかかる惨劇を』
「は?」
 思わず雅は聞き返す。
『皆、我が身を愛しく思いつつも、影を持つ事を望んでいるのだ』
「そうかもしれないけど……それが全てじゃないわ」
 豊は眉を顰めて反論する。
『皆、我が身が傷つく事を欲しているのだ』
「……分かったぞ。貴様、負の念の化身だな?」
 慶悟はじっと黒い人型を睨む。
「誰もが持つ、小さな負の念。それに呼応するべく、現世を恨む低級霊。互いが手を結んで貴様のような形になったのだな」
 じゃらり、と数珠を握り締める。
「……ちょっと待って。という事は、これって……」
 豊が慎重に言葉を選ぶ。慶悟は頷く。
「相模の生み出した負の念と、低級霊の結集だ」
 ぽん、と雅は手を打つ。
「だから、俺や慶悟君の将来はすぐに来たんだな。俺達はすぐに事が起こらないと困るもんな。にしても、低級霊達も暇人だね。小さな念にまで便乗するなんて」
「暇な輩が多いんだな。俺が一度しか出来なかったのも、低級霊が便乗するのをやめたからだろう」
 豊ははっとして小さく「負の念……」と呟く。
「どうかした?豊ちゃん」
「負の念を抱くって事は……芳樹君、何かあったのかなって」
 今度は慶悟がはっとする。
「相模の両親は海外旅行中だ。恐らく、相模自身は受験勉強があるからと言って行かなかったんだろうな。そして、両親は今日帰宅予定だ」
 雅と豊が顔を合わせる。
「もしかして……芳樹君は両親に心配されたくて……?」
 豊の眉間の皺は更に深く刻まれる。
「そして、哀しむ両親の姿が見たかったのかもしれないな。旅行から帰ってみたら息子が死んでいる……これ以上無い悲しみが襲うだろう」
 雅は大きな溜息をついた。
「それに、低級霊たちが便乗したんだな」
 慶悟はじっと黒い人型を見詰め、数珠を翻して真言を唱え始めた。雅も経を唱えてそれに便乗する。が、なかなか浄化されない。豊は唇をキッと結び、芳樹の肩を揺すった。
「起きて。貴方は起きなくてはいけない。現実を見る為に、目を見開かないといけないのよ!」
 うっすらと、芳樹は目を開き始めた。そして、黒い人型を目にする。怯えを含んだ声で、小さく「僕は……」と呟いた。黒い人型は、それを見計らっていたかのように芳樹へと向かって行った。豊は予想外の事に、慌てて逆十字のペンダントを握り締めた。
「いかん!」
 雅が叫んで経をそれに投げつけた。僅かに黒い人型の動きが止まったものの、未だ留めるまでには至らなかった。黒い人型は、芳樹の丁度下腹部辺りに向かって行った。
「ぐぅ!」
 芳樹はそう唸り、下腹部を抱えて蹲る。見る見る間に芳樹の体が黒くなっていった。
「どうしよう……私の所為で……!」
 半泣きになりながら、豊が叫んだ。
「いや、よくやった」
「え?」
 思いも寄らぬ慶悟の言葉に、豊と雅は不思議そうに慶悟を見、それから芳樹を見た。黒くなっていった芳樹の身体は、また元へと戻っていった。未だ不思議そうに見つめる二人の目の前で、慶悟は懐から何かを取り出した。それは、真っ黒になった人形であった。
「契約は破棄された」
 そう言うと、慶悟は人形に呪符を貼り付けた。人形は途端に音もなく崩れ始めた。そして床に落ちる前に空へと消えていく。
「結局、影崎さんが携帯を持つ意味は無かったわね」
 まだ少し赤い目で、豊は言う。雅は悪戯っぽく微笑む。
「そんな事ないよ。お陰で、媒体として使われなかった」
「え?でも……霊たちはやってきたわ」
「だが、風を起こしただけで自主的にも客観的にも働かなかった。あれはしなかったんではなく、出来なかったんだ」
「力を充分に発揮できなかったって事かしら」
「そういう事!」
 妙に誇らしそうな雅を見て、豊と慶悟は顔を見合わせる。
「結局は、歩く魔よけ札健在って訳ね」
「誇れる事なのかは置いておいてな」
「失敬な奴らだな」
 苦笑しながら雅は言った。
 慶悟はもうナンバー000が何の効力も持たない事を確信し、結界を解いた。十二神将達も、慶悟の元に戻ってきた。全ては、終わったかのように見えた。
「ところでね。なるべく見ないようにしていたんだけど……」
 豊は徐に口を開いた。部屋を一回り見て、意を決したように言葉を続けた。
「この部屋、どうする?」
 風の所為で荒れてしまっていた。竜巻状になったりもしたのだ。散らからない訳が無い。
「……掃除……かなぁ」
「掃除……だな」
 雅と慶悟が口々に言う。一時は気を失っていた芳樹も、目を覚まして部屋の中を見回して呆然とする。
「今日……両親が帰るんですよね」
「そう言っていたな」
と、慶悟。
「この状態って、泥坊に入られた状態みたいですよね」
「そう見えるわね」
と、豊。
「片付けないと、まずいですよね」
「……やっぱり、そうか」
と、雅。かくして、後始末は始まった。4人とも眠気と疲労が襲ってきていたのだが、互いに励まし、時には叱咤しながらも何とか収拾をつけた。
「終わった……!」
 豊がそう言って床に座り込んだ時には、既に時計は6時を指していた。
「もう、電気はいらないよな」
 紐を引っ張るタイプの電灯に、雅は手を伸ばす。終わった事への安堵からか、思い切り引っ張ってしまう。
「あ」
と、雅。
「ああ!」
と、豊。
「あああ!」
と、芳樹。
「……おい」
と慶悟。
 見事に、紐は抜けてしまっていた。責任上、雅が何とか直すが、余計な疲労がたまってしまった。
「あ、6時半……」
 突如芳樹はそう言って、身体を引きずるようにしてラジオのスイッチを入れた。ラジオからは、軽快な音楽が流れ始めた。
「これって……ラジオ体操?」
 豊が恐る恐る尋ねる。へら、と芳樹は笑う。
「これを踊ったら、元気になるかも……」
「「「ならない」」」
 三人は同時に言うものの、結局芳樹のパワーに押されて踊る事となってしまったのだった。

●翌日
 丸一日休んでいた分、ようやく疲労を回復して草間に報告書を出した三人は、またもや『らーめん麻生』にやって来ていた。依頼完了の祝杯も兼ねている。そんな訳で、今度は三人とも前よりも幾分か豪華なメニューを食べていた。豊はコーンバターラーメン、雅は蟹ラーメン、慶悟は五目ラーメン。テーブルの真中にはギョーザが三人分、それぞれの手元にはお茶碗とビールが置かれていた。三人はもくもくと食事をし、やっと一息つく。
「依頼完了、おめでとう!」
 食べ終わった後、豊が音頭を取って乾杯する。周りの客が、普通とは異なる順序で行われた乾杯に小さな疑問を覚えていたが、そんな事は全く気にしなかった。
「ナンバー000、もう無くなったのかしら?」
 豊がふと、口にした。
「あの黒い人型が言ってたけど、負の念って普通に皆持っているものでしょ?それにきっかけさえあれば便乗しようとする低級霊が一杯いるんだし」
「そうだな。きっと、形が違うにしてもまだあるんだろうな」
 雅は少し寂しそうに口を開いた。
「だけど、それを乗り越えようとする気持ちも同時に持ってるんだ。そちらが勝る事を祈るしかないな」
「光があれば、闇がある。正があれば、負がある」
 淡々と、慶悟は言葉を紡いだ。
「どちらかが欠けてしまっても、世の理は乱されるだろう。大切なのは、自らがそういう負の念を持っている事を認識する事だ」
 しん、と静まり返る。だが、豊はにっこりと笑って雅と慶悟にビールの入ったグラスを持たせる。自らも持ち「ごほん」と声を整える。
「我々がほどよく正も負も認識して持つ事ができるように、乾杯!」
「それはちょっと違……」
「よーし、乾杯!」
 慶悟の突っ込みも空しく、雅と豊によって無理矢理乾杯をさせられてしまう。
(全く……これなら大丈夫だろうよ)
 慶悟はビールを流し込みながら、小さく笑う。
「そう言えば、俺、凄く大発見をしたんだけど。……いや、そんなに大発見でもないんだけど」
「何?」
「何だ?」
 豊と慶悟に促され、雅はにやりと笑って口を開いた。
「0って、レイって読むよな」
「……そうよね」
「おい、まさか……」
 あははは、と雅は笑う。意を察して、豊も慶悟も苦笑する。
 ナンバー0・0・0……霊・霊・霊。

<依頼終了・言霊付>


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【 0389 / 真名神・慶悟 / 男 / 20 / 陰陽師 】
【 0843 / 影崎・雅 /男 / 27 / トラブル清掃業+時々住職 】
【 0914 / 長谷川・豊 /女 / 24 / 大学院生 】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは。霜月玲守です。お待たせ致しました。
皆様に再びお目にかかれて嬉しい限りでございます。有難うございます。

今回の依頼は如何だったでしょうか。
真名神慶悟さんは、実に私の意図をついてらしていてびっくりしました。形代の辺りはもうお見事、といった感じです。
また、ナンバー000に挑戦して頂きました。密かに、これを誰も試してらっしゃらなかったら失敗となっておりました。

これはおまけなのですが、今回の依頼は「言霊付」です。作品内に、本編とは無関係に言葉遊びが二つほど隠れております。お暇な時にでも探してみてください。
今回も三人の方、それぞれのお話となっております。他の方のお話もあわせてご覧になると、より一層深く読み込める作りにしております。是非、他の方のお話と見比べてみてくださいね。

ご意見、ご感想等心よりお待ちしております。
それでは、またお会いできるその時まで。