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白物語「幕」
------<オープニング>--------------------------------------
「あぁ…解った。後で連絡する」
チン、と短い鈴の音を立てて受話器を受け止めた黒電話を睨みつけていた草間は、長い沈黙の後で漸く煙草に手を伸ばした。
「悪い知らせですか?」
渋面の草間に恐る恐る声をかける…草間は「あぁ」と、紫煙越しに天井の角を見つめながら答えた。
「高校の演劇部から…本番の練習中に主役の部員が消えたので探して欲しいという依頼があったんだがな。調査に行った二人もやられたらしい」
室内がざわめく。
「悪いが、誰かもう一度出てやってくれるか。そいつらの回収も含めて…くれぐれも、気をつけてくれ」
緊張に引き締まる空気に、草間はふと思いついた表情でもう一つ条件を提示した。
「行方不明になったのはロミオとジュリエットが一組ずつか…迎えに行く奴は浦島太郎でもピノキオでも月光仮面でもいい。好きな役柄に扮して行けよ」
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「う〜ん、どうしよう〜」
加賀美由姫は迷いの声を上げた。
こめかみの両側だけを残して高い位置でまとめ上げた明るい色の髪が、歩みに合わせてしなやかに揺れ、瞳の大きな黒い眼差しが手にした衣装の上に落とされる。
「美由姫ちゃん、どうしたのー?」
姿見の前で、ウェーブがかった髪を鬘に押し込もうと格闘しながら、月見里千里が声をかける。 その装いは、ピンクと白とを基調にした愛らしいドレス姿だ。
場所は私立東青学園高等演劇部の女子部室である…創設時の学園長が特に力を入れていた風潮は今も活き、コンクールに出場すれば必ず上位にくい込む演劇の強豪校である。
その為、部室の広さ、設備の充実は目を見張るものがある…何よりも、部室の半分を埋め尽くす衣装の量は圧巻だ。
その中から、美由姫が選び出してきた一着は、体のラインがでない厚手の黒い布地のワンピースと同色のとんがり帽子である。
「草間さんが何かに扮してって言ってたから、魔法使いのおばあさんなんてどうかなと思ったんだけど…地味、だよね」
豪華な絹繻子やレースやスパンコールや金糸銀糸の衣装を前に、袖を通してみたいと思う乙女心が迷いの一因らしい。
「それじゃ、美由姫ちゃんも一緒にジュリエットやろーよ♪」
名案、とばかりに手を打った千里の膝に鬘が落ちかかる。「またやり直し〜」と、ヘアピンを抜きにかかる…実に5度目の再挑戦である。
と、ココンと小さなノックに「どうぞ」と異口同音の答えに引き戸が開く。
その戸口に姿を現したのは、男装の麗人であった。
「わぁ、シュラインさんキレイー」
「シュラインさん、カッコいー♪」
シュライン・エマが扮する中世の剣士の姿は、同性の少女達に並々ならぬ好感で以て迎えられた。
「何の役なんですか?もしかしてロミオ?」
美由姫の問いに、小道具の剣まで腰に履いたシュラインはその柄の先を整えられた指先でトトンと叩きながら肩を竦めた。
「残念ながら、ベンヴォーリオよ。ロレンス修道士もよかったのだけれど、河童頭に抵抗を覚えちゃって…」
中世の修道士は、その身分を示す為に頭頂部の髪だけを剃る習慣があったという。
「主役は若者に譲るわ。劇中で動きやすい役柄の方がいいし…千里ちゃん、無理に鬘を使わなくてもいいわよ、編み込んであげるから」
「あたし、編み込める程伸ばしてないですよー?」
「お任せなさいな」
一つに束ねた黒髪を背に流した青眼も凛々しい麗人は、顎のラインで揃えられた千里の髪を器用に扱いながら、今度は鏡越しに美由姫に声をかける。
「美由姫ちゃんはまだ着替えないの?」
「うーん、魔法使いのおばあさんにしようかと思ったんだけど…」
衣装に目を落とした美由姫の表情に、シュラインはヘアピンを銜えた唇で少し笑うとピンを指に挟み直して振ってみせた。
「なら仙女なんてどう?美女と野獣や眠り姫に欠かせなくてよ?」
魔法使いのおばあさんと仙女とでは、呼び名に格差すら感じる。
美由姫はシュラインの助言に大きく頷くと、表情も明るく今度は華やかな物を探して吊られた衣装の中に潜り込んだ。
毎年、創立祭の演目はシェイクスピア劇の何れかが演じられる倣いとなっている。
「前回、ロミジュリが演じられたのは5年前…わりと最近じゃん」
神薙春日は舞台袖で、与えられた台本にざっと目を通しながら状況を確認する。
「主役の二人が消えたのは、ベランダでのシーンですって…同じ状況だと私達の出番にかからないから、仮装舞踏会のシーンから始めるそうよ」
シュラインが、バスケットを片手に音響室から出てきた。
「そんなまだるっこしい事しなくても、このロミオにかかればキャピレットもモンタギューも一晩で壊滅さ☆」
ラヴロマンスの王道、古典演劇の何たるかを全く心得ていない水野想司が朗らかに白い歯を光らせるのに、シュラインと春日は互いに目配せで目を離さないでおこう、とその意を確認しあった。
そのもう一方の舞台袖では、千里と美由姫が互いの衣装チェックに余念がない。
「美由姫ちゃん、リボン曲がってない?」
「平気…千里ちゃんは台詞、大丈夫なの?」
二時間がかりに大芝居である。
平素ならば学生演劇という事もあって端折られる場面も多いが、創立記念の目玉という事もあり、フルで上演される…主役であるジュリエットの台詞は乳母のそれとは比べものにならない。
「うん、これでもうバッチリ♪」
と、千里はチャララチャッチャー♪の効果音と共に銀色のサンバイザーに似た機械を取り出した。
『すいませーん、テープ間違えましたー!』
マイク越しに謝る音響担当の生徒が、何故に猫型ロボットのアイテム紹介のテープを入れたのかは謎だが。
「これをつけて本を読むとねー。内容全部覚えれるのー♪」
「スゴく便利だねー♪」
和気藹々とした少女達の危機感の薄さに、裏方を担当する演劇部の生徒達は不審気ながらも黙々と作業を続ける。
彼女たちとて、確信なくして呑気なのではない…興信所から調査に向かった先の二人、彼等が姿を消した半日後に本来の主役である演劇部員が舞台で発見されている為だ。
押し出す形で主役がすげ替えられたという事は、抜け出せる可能性も充分に有り得る。
事前の打ち合わせで、終劇、もしくは大筋の変化を与えれる事で怪異を為す何かが綻びはしないかという期待もあっての大所帯である。
「シュラインさーん、水野くん、春日くーん♪」
男性(役)陣が袖から舞台に上がるのに、彼女等は軽く手を振って激励に換え、千里は仮面を顔に乗せ、美由姫は乳母の衣装の裾を整えた。
『音楽入れます。第一幕第四場、街上から…』
幕間ならば口上がシーンの始まりを告げるが、場のそれにはない。
雑踏のざわめきがスピーカーから流れ出し、ゆっくりと。
幕が、上がった。
突如、彼等は自分たちの置かれた状況…空間の広がり、空気に含まれる夜気、そして人のざわめきが与える齟齬に眩暈を覚えた。
「これ……って?」
シュラインが顔の上半分を覆うマスクを上げ、空を見上げる…春日が手にした松明、炎を模した硝子製であった筈のそれはパチパチと火の粉を爆ぜ、踊る光を吸い込む天には満点の星……そして月。
「うわ…なんかシュールなカンジ…」
春日が幾分げんなりとした感想を述べた…というのも。
彼等は建物の影に隠れる位置に居るのだが。
石造りの邸宅、正面玄関の壮麗な細工を施された門扉が開かれる中に次々と吸い込まれていく着飾った紳士淑女…その全てが見事なまでの日本人顔…の癖に装いは西洋史に於ける貴族の装束に忠実なきらびやかしさで、いっそ滑稽である。
「なるほど☆ここが悪の組織のアジトなんだね…相手にとって不足はないよ、じゃあ僕は先に行くね!」
「待て!」
春日は松明に伸ばされた想司の手を避けて高く翳し、自然、上からの光源で暗く写る表情のまま低く問いかけた。
「何しに行くんだ?」
「イヤだなぁ、今更♪ロミオとジュリエットは愛の物語…その主役に恥じぬ行いをしに行くのさッ♪」
スチャッと勢いよくフードを深く目元まで下げると、軽くガッツポーズを取った。
「果たし愛こそ、真のラブっ☆さあ、拳を交えようっ♪」
「ちょっと待てッ!」
「ちょっと待って!」
制止の為に咄嗟に伸ばされた春日とシュラインの手は、虚しく空を掴んだ。
が、吸血鬼ハンターの反射速度は、常人が容易に追いつける代物ではない。
「マズいわね…」
重々しい表情のシュラインの呟きに、春日も想司の肩を掴み損なった姿勢のまま応じる。
「なんか…すげぇモン野放しにしちまった気ィするよな…」
両者は無言で顔を合わせ…、
「追うぜッ!」
「追うわよ!」
と奇妙に良いコンビネーションで、仮装舞踏会の招待客の中に紛れ込んだ。
シュラインは二階、春日はホールをと、効率的に想司の捜索を手分けする事となった。
この場合、見咎められ難い仮装舞踏会という場は有り難い…ホールを見下ろす形に巡らされた廊下、階下の人々の動きを注視しながら如何にもキャピレットの縁戚であるかのように堂々とした様に彼女を見咎める者はいない。
忙しく立ち働く侍従の一人に、シュラインは二階から声をかけた。
「本日の客人で、背はこの位の巡礼姿の少年は居なかったか?」
「ロミオか?知ってるぜ!あんな活かしたファイトをする奴は久しぶりだ!奴なら必ず街に平和を取り戻してくれる!」
ずりッと。シュラインが傾いでも誰も責めはしない。
「い、一体誰がそれを…」
「へぇ。そのご当人が人に聞かれたらそう答えろと駄賃を下さいまして」
指先に摘んだ銀を掲げてみせる…対吸血鬼用の弾丸である。
中世では貨幣だけでなく、貴金属そのものにも充分流通価値がある。
流石に火薬は抜いてあるだろうが何とも言えぬその思考形態と行動に、
「草間さん…早まったかしら私……」
と、ちょっと弱気になってしまっているシュライン・エマ。
その耳にふと…風に撓んではためく布、の音が届いた…が、半ば開いた窓にカーテンが揺れるのを見て、下方に視界を転じる。
「まぁ、どうなさいましたの?こんな所で」
「ジュリエット…姫のお姿を探しておりました」
柱に縋る彼女の背後から声をかけられ、咄嗟、男声を作る。
声帯模写を得意とするシュラインには容易な事だ。
「このような遠目に御覧にならなくとも、どうぞ宴の場にて間近で娘からも花の顔を拝ませてやって下さいましな、パリス様」
ジュリエットを娘と称した彼女…かなり頑張って見ても十代にしか見えないのだが…は、疑いの欠片もなくシュライン=ベンヴォーリオをパリスと呼んだ。
考えてみれば、ベンヴォーリオとパリスが顔を合わせる場面はない。
「一人二役やれって事かかしら?」
この奇妙な世界は人出不足らしい。
考えてみれば、ジュリエットを娶る相手を自分が務めた方が、動きが取りやすくもあるだろう…冷静にそう判断した。
「ならばキャピレット様から、姫にご紹介に預かりたく」
仮面を外してニコリと笑み、シュラインはキャピレット夫人をときめかせてみたりした。
慌ただしい間に舞踏会はお開きとなり、シュラインと合流した春日は「面目ねぇ」と眉を顰めた。
「アイツすばっしこくってよ…」
まんまと想司に撒かれたらしく、渋面も濃い。
「まぁ仕方がないわよ…」
諦め気味なのはシュラインである…ここはひとつ、もう一方のロミオにかけるしかないと腹を括った様子である。
「早くベランダを見つけましょう…先の二人は其処に居る筈なんでしょう?」
部員の過去視で判明している事である…どのような時間軸になっているかは知れないが、彼等がそれより前の場面に出たという事は、以降に存在する確率が高い。
そしてその狙いの通り…シュラインの性能抜群な聴力が人の声を拾った。
声の方を示した指を唇にあて、「静かに」と春日に示しながら、彼女はそっと木立の間から顔を覗かせた。
声の主はベランダの上…先に行方不明になった西園寺嵩杞とスイ・マーナオの姿が其処に在った。
「やぁ、恋の翼というものも、なかなか難儀な代物ですね」
話の筋を全く無視してベランダをよじ登って来た嵩杞の行動に、スイは額に青筋を浮かべた。
「手ェ抜いたらぶっ飛ばすっつってんだろ!」
しかし拳を繰り出す前に、嵩杞はスイの前に跪いた。
常ならばその身長差から、スイが嵩杞の顔を見上げるのだが今は全く逆である。
人間、何故か下からのアングルで攻められると弱い。
「お仕着せの台詞にスイさんへの想いを込めるなど、私にはとても出来ません…」
おいおいおいおい、そう心の内でツッコミながらも見上げる角度で真摯な嵩杞の瞳に動けない…いつの間に外したのか、黒のカラーコンタクトで隠している生来の銀の色が、満月のようにスイの姿を映している。
気分は蝦蟇の油だ。
「もう朝…お願い帰って下さらない?」
それでも一応は劇の流れに沿おうとしているスイが全く情緒も何もない連想をしているとも知らず、嵩杞は先に田中に靴を投げつけた為に素足となったスイの右足を取った。
ベランダの手すりに両手をついてバランスを整えるスイを見上げたまま、嵩杞は激情を押さえるが故に静かな声でこう言った。
「ジュリエット…私は何があろうと貴方を置いて行く事はありません。何処かへ行くならば生きて、貴方と共に」
冷えた素足の甲に、仄かな温もりを含んだ嵩杞の唇が触れる。
スイの鼓動がひとつ大きく打った。
「げ、劇中での約束なんかこれっぽっちも信じねェよ!」
何故頬が熱いのか自分で理解しないまま、スイは嵩杞から顔を背ける…夜で、視界が暗くて良かったと思いながら。
「なら、」
嵩杞はスイを見上げて微笑んだ。
「月にでも、私自身にでもなく…何度でも、貴方に誓ってみせますよ、スイ…」
立ち上がり、細い身体を胸に抱こうとしたその視界…嵩杞の目にはベランダの下で佇むシュラインと春日、スイの目には扉の隙間から顔だけ覗かせた千里と美由姫の姿が入った。
「………ッめぇ!調子に乗ってんじゃねェぞ放せコラァ!」
間一髪で正気に返ったスイが勢いよく嵩杞の腹を蹴り飛ばして無理矢理剥がす。
「お邪魔だったみてぇだよな…」
「放っといて帰りましょうか?」
声をかけ損なって、本来より二割り増しベタ甘なラヴシーンを見せつけられてしまった気分のマキューシオとベンヴォーリオ(&パレス)は、無情にもそう言い放った。
その間にベランダ上のロミオとジュリエットの決裂…というよりもジュリエットのロミオに対しての一方的な暴行が、激しさを増して第二ラウンドに突入しようとしていた。
一名を除いてどうにか合流を果たした一同、シュラインが用意していたバスケット…食べやすいように様々な具を詰めたおにぎりを夜食に、ジュリエットの部屋で作戦会議である。
「先生、おかかと鮭取ってくれよ」
本業は医者である、と告げた次の瞬間、若者の間で「先生」の呼び名が定着してしまった嵩杞は、自らの手当…心霊治療ですっかり元通りになった手で、春日におにぎりを渡してやった。
ちなみにこの二人…というより、スイに対する片思いを同類故に感じ取ったらしい春日が、
「分かるぜ、その気持ち…」
と、妙に親近感を覚えて懐いている。
そのスイと嵩杞の間に座るのは、春日、決して邪魔をしている訳でなく、不機嫌の極みに嵩杞と口をきこうとしないスイとの橋渡しをしてやっているのである。
春日を経由して渡された鮭を囓りつつ、スイ。
「演劇部員が元に戻れたってんならいーけどよ」
いつの間にか、姿を消していた高木と田中が無事に戻ったとの報告を聞いて、安心はしたらしい。
「んじゃぁ、このまま劇を終わらせたら俺たちも戻れるって手筈にゃならねぇか?」
春日が指についた米粒を舐め取った。
「んー…でも、このままだとまずくない?」
紅茶を手に美由姫。
「台本通りに進めたらいい…っていうのも解るんだけど…悲しい結末が待ってるんだもの」
続ける千里はクッションを胸の下に敷いて寝転がり、絨毯の上で足をパタつかせた。
「…ホントに死んじゃうのかなぁ」
「その場合、最初の犠牲者は春日くんね」
シュラインの指摘に春日は「マジッ!?」と慌てて隠し持っていた台本を捲った。
「うわ、格好悪ィ…しかも殺られ損じゃん、俺」
後ろに倒れついでに台本を放り投げる…重要人物だから、という理由で役柄をチョイスした憂き目がここに。
「寸前まで元気なので、死因は出血が原因によるショック死ですね。私が一緒にいますから、死ぬより先に傷口を塞いであげますよ」
心霊治療の権威にそう請け負われても、ちっとも嬉しくない。
「いっそ、ロミオとジュリエットの大筋を変えてしまうのも手段かも知れないわね」
シュラインの言に、注目が集まる。
「喩えば…マキューシオが死ななかったらロミオがティボルトを殺す必要もないし、そうなれば彼がヴェロナを追放される事もない。ジュリエットが無理矢理にパリスと結婚させられそうになってもロミオさえ居ればどうにでもなるわ。二人を駆け落ちさせればもう死ぬ必要もないじゃない?」
「一緒に逃げましょうスイさん!」
スパン!と千里特製ハリセンが嵩杞の額に決まる。
「いい案かもな…悲劇でなくなれば、ロミオとジュリエットは成り立たねぇし。物語の進行を目的に構築された世界ならその存在意義を奪っちまうのが一番だ」
「あ、でもウェディングドレスは着てみたーい♪」
ハイハーイと元気に挙手するジュリエットに、
「女ってそういうの好きだよなぁ」
と眉を上げるジュリエット…にロミオがふと気付く。
「ロミオ、もう一人居る筈じゃないんですか?」
空気が音を立てて凍り付いた。
結局その日はどうしようもなく、嵩杞、春日の二人は成り行き上、シュライン宅となっているパリス邸へ、スイと千里、美由姫はそのままキャピレット邸に分散して夜明けを迎えた…彼等に衝撃のニュースが飛び込んで来た。
曰く、『ロミオ乱心!?深夜のモンタギュー邸破壊の謎』の報である。
役柄上、屋敷を出れないジュリエッツ(ジュリエットの複数形)を残し、連絡係として前日から打ち合わせておいた広間で顔を合わせるなり、彼等は深く深く溜息をついた。
「………死者がなかったのが幸いでしたね…」
フードで顔を隠した嵩杞が言う…モンタギュー邸は倒壊したものの、住人は全て庭に出ていて無事だったとの事…唯一の怪我人は当主で、その理由はロミオに殴られたもの、との事。
「目を離すべきじゃなかったわ…」
「首に縄つけてひっくくっときゃよかった…」
近くに居ただけ、シュラインと春日の後悔は強い…草間の人選を恨みに思わなくもないが、もし内容をひっかき回すのが目的であったというのであれば、この上ない適任だ。
「とにかく私たちで捕まえないと、警察とかに掴まったら…」
今度は留置所が倒壊する。
このまま野放しにしておくのもある種の手段であるかも知れないが、それはあまりに乱暴だ。
「んじゃぁ…ジュリエットと闘り合うのが目当てなんだからさ。こう特設ステージでも作って挑戦者募集!の看板立てりゃきっと入れ食い…」
投げ遣りながらも有効な手段を掲示する春日の意見を遮って、彼等が座る石段に銀のナイフが突き立った!
「それには及ばないよ☆」
「想司テメー、どこほっついてやがった!」
沸点の低い春日が、瞬間沸騰するのに、想司は何故だか噴水の上の像の更に上に器用に立ちながらチチチと人差し指中指を合わせて横を振ってみせた。
「女の子から誘いをかけさせる程野暮じゃないよ僕は♪日時は今日の正午、場所はその手紙に書いてあるから照れずにおいでってジュリエットに伝えてね♪マキューシオ、君の仇はきっと僕がとってみせるからね!迷ってないで成仏してね♪チャオ☆」
「うるせー、まだ死んでねーッ!」
投げキッスのおまけつきでひらりと身を翻した想司は、警吏の呼子笛を背に引き連れながら逃げ去っていく…なんだか追う気が失せてしまった一同、
「まぁ…正午に会おうって言うんだし…」
とすっかり投げ遣りである。
ナイフの柄に結ばれた紙…其処に示されるのは町はずれにある大聖堂…。
「投網でも用意するか…」
「麻酔銃があったら便利でしたでしょうねぇ」
「いっそブッチする?」
疲れている。
美由姫だけは熱心に指定の場所を読むと、不意ににっこりと微笑んだ。
「皆、ちょっとだけ協力してね…私に任せてくれて、大丈夫だから☆」
言いつつ、彼女は乳母の衣装に縫いつけてあったステッキを取り出した…そう、彼女の役柄の設定は、乳母に身をやつした仙女であった。
そして、約束の刻…。
教会の正午の鐘と同時に聖堂の扉は押し開かれ、乳母を引き連れたジュリエットが聖堂に姿を現した。
白い衣装に花嫁のヴェールを目深く被り、紅を引いた口元が緊張によってか引き結ばれている。
「やぁジュリエット♪僕の実力と君の実力、その差が等しくても技の上で貴方が勝るというのなら、その力を存分に僕に見せておくれ☆」
台本と微妙に合っていて合っていないのが味のある想司の台詞である。
応えるジュリエット。
「実力こそを誇りましょうが、言葉で誇るものではございませんわ…ただ、申し上げる事が出来るのは私の真心とその愛を、貴方に数え上げることが出来るでしょうか?」
「もちろんさ☆」
無邪気に答えた想司が構えを取った、戦闘開始のその一瞬。
鐘の音に紛れて堂内に侵入を果たしていた四人が、全く同時に想司に打ちかかった。
………仮にこれが銃や剣、殺傷力の高い武器であったなら、想司は本能ともいうべき危機回避能力で避けきってみせたであろう。
が、彼等が手に手に襲いかかったのは、千里謹製「お徳用ハリセンセット 5個入」のひとつひとつであった。
スパスパスパスパーンッ!繰り出されるツッコミにある意味身体が受け止める事に慣れてしまっている想司の動きが一瞬止まった隙をつき、美由姫がステッキを振り上げた。
「想司くんゴメンねッ!」
律儀に謝る彼女の手にしたステッキの先に可愛く光る星の硝子細工がキラキラと撒く粉が、少年の身体を包み込み、弾けた其処に。
白い鸚鵡が一羽、一声「ギャー」と嗄れた声で鳴いた。
さて、囮となった千里、シュライン、スイ、嵩杞、春日のチームプレーに美由姫のお手柄で、無事想司は捕獲された。
そして念のためと称して、その後鸚鵡と物置に監禁までされた春日の涙ぐましい努力によってマキューシオは存命したままで、何故か苛ついて街をうろついていたティボルトが酒場で喧嘩して留置場に入れられたという事件を最後、幸いこれまで死者は出ていなければ事件も起きていない。
…が、その翌日、意識を取り戻したモンタギュー家当主の証言によって、家庭内暴力の咎でロミオの国外追放は結局免れる事が出来なかった。
…今となっては、変えるべき筋書き、残されたのはジュリエットの自殺である。
まぁ形だけだし、同意の上だし…という事で、一人、お尋ね者扱いになってしまった嵩杞を宥めすかしパリス宅へ向かわせるのに難渋したが、シュラインとスイが無事に式を挙げれば物語世界に矛盾も生じて脱出の糸口もあるだろうという見解は全員が一致した。
茶番劇とはいえ、唇は大事な人との為にとってあるのという千里の主張に、シュラインに娶られる事になってしまったのはスイである。
成り行きとはいえ、ロミオとの結婚式は挙げないままに終わっていたが、結婚前の懺悔に赴いた教会で、二人の間に愛があると勝手に盛り上がりまくっているロレンス神父に仮死の毒を押しつけられたスイが神父を殴り飛ばすという一コマもあったが、他に然したる問題はなく、結婚式を翌日に控えたジュリエット達は、乳母の美由姫と共に自室で眠りについていた。
そのスイが、不意に身体を起こした。
婚前の緊張…などという巫山戯た事は決してない…それを証拠に、眠りの息のまま深い呼吸が胸を動かしている。
ふら、と。
彼は寝台から抜け出すと、ベランダに出た…その端に転がる小さな小瓶…昼間、ロレンス神父に押しつけられ、怒りにまかせて放り投げた仮死の毒が、其処にあった。
夢に沈んだ瞳のまま、スイはその口を開けると、ほんの一口の暗い液体を喉の奥に流し込んだ。
細い身体がくずおれ、倒れる。
手の中から転がり出た小瓶…その意味に、目覚めた千里と美由姫が気付くのは、陽が昇ってからであった。
一行は松明を手に、キャピレット家の墓所へ赴いていた。
難を逃れた千里は美由姫と共に男性陣と合流し、シュラインはパリスとして葬儀に出席して未来の妻の死が、確かにその通りであると確かめて戻った。
状態的に鳥目の想司を肩に乗せ、春日が腹立たしそうに眉を寄せた。
「ったく、何処のどいつか知らねェがどうあっても展開を変えたくねェらしいな…こんな事なら想司を放っといてヴェロナを滅ぼしてやりゃよかった!」
その乱暴な意見に、想司が「ギャ!」と一声鳴いて同意する。
「それより、スイさんを助ける方が先よ」
シュラインが釘を差すのに、千里と美由姫が激しく頷く…三人対一人と一羽ではちょっと分が悪い。
味方を得ようと嵩杞に顔を向けた春日は、その夜目にも白い顔色に一瞬言葉を失う。
「…大丈夫かよ、先生。ひでぇ顔色だぜ?」
その声に嵩杞は顔を上げ、薄く笑んでみせた。
「いや、どうにもいけませんね。力が及ばない事は、いつでも辛いものですが……」
深く吸った息を吐き出し一同を見回す。
「筋書きのまま進むのであれば、ジュリエットは…スイさんは、一旦私が死ななければ目覚めないでしょう。直接診てみない事に判断はつかないのですが、もしそうなれば…」
揺るがない意志に強まった口調で続ける。
「スイさんが絶対に後を追わないよう、皆さんで止めて下さい」
「ちょっと待って!」
嵩杞の言に、口々に言い募ろうとした少年少女達を押さえて、シュラインが鋭く声を放った。
「それなら…私を、パリスを倒さなければジュリエットの元へはたどり着けないという事
にもなるわね」
「ここに残っては頂けませんか?」
「お断りよ」
ぴしゃりとはねつけ、シュラインは柳眉の端を上げた。
「わざわざ口にするあたり、ジュリエットの目覚めにロミオの死を代償とする覚悟が出来てるのは分かるわ…でも私たちはは誰一人欠けずに戻る為に来たの」
スラリと腰の剣を抜く。
「どうしてもというなら…私を倒して行くしかないわよ?」
「女性に刃を向けるのは本意でないのですが…」
嵩杞は苦い表情で、それでも剣を抜きはなった。
「安心して…そう簡単に筋書き通りに運ばないようにするわ」
受けるシュラインの白刃の煌めきが空を裂く。
救いは両人共に剣の心得に薄い所だろうが…それでも鋭利な切っ先が身に触れれば、傷を負わないわけにいかない。
「ど、どうしよう〜ッ」
切り結ぶ両者に、傍観者に徹さざるを得ない四人…否、三人と一羽も辛い。
特に攻撃の手を封じられている想司は、白い翼で人間達の頭上を高い声で飛び回り、言葉もすっかり鳥語になってしまっている。
強く舌打ち、春日は墓所の奥に足を向けた。
「今はどうしようもねェだろう!スイが起きりゃ万事解決すんだ!手伝え!」
「でもどうやって…?」
「仙女だろうが、悪い魔女の呪いを解く魔法を考えろ!」
きらきら星のついたステッキを手に、美由姫が春日の後を追いながら首を傾げる。
「えーと…」
「王子様のキス♪」
閃きをそのまま口にする千里。
「あそこで決闘に興じてる王子でどうやって?」
「えー、眠り姫だって結局早い者勝ちなんだし…春日くんがしたらいーんじゃない?」
剣戟の音はそのままに、殺気が重圧と化して背後から襲いかかった。
冷や汗をかくマキューシオ、折角長らえた命がこのままでは風前の灯火である。
「別の手段を考えよう…」
首の後ろの産毛が逆立つ感覚に身震いし、足を速める。
墓所の内のじめついた空気を松明の炎が生み出す熱が循環させ、異様な臭気が漂う。
「ここまで忠実に再現しなくてもいいのにね…」
春日と別の寒気で美由姫が身を震わせた。
壁面には寝台の如く長方形に穴が穿たれ、死出の旅路には重かろう、壮麗な衣装を纏った遺骸が数多横たわり、その時の流れを己が身で現す。
ジュリエットの骸はその奥津城の最奥、神の象徴を前に蓋のない棺に横たえられていた。
胸の前で手を組み、乙女の象徴である白い百合に埋もれた姿、白い装束は清純なままに儚く散った彼女…基、彼の聖性を象徴するかのようである。
「あ、スイさんいーなー。あたしもちょっと寝てみたかったかも」
羨ましそうな千里だが、
「千里ちゃん、でも周り死体だらけだよ?」
との美由姫の指摘に慌てて首を左右に振った。
如何にリアリティのある劇の小道具とはいえ、腐臭まで忠実に再現されて痛んだ代物と一つ屋根の下(?)は勘弁だ。
瞼を閉じるスイの首筋に指をあてる…当然の如く脈はない。
ロレンス修道士が使用したと言われる毒は未だに確定されておらず、その毒性によって対処の仕方も代わるだろう、が。
「今は悠長にンな事してる場合じゃねーんだ」
春日は固く組まれたスイの手をほどくと、その胸に両手を重ねて置いた。
「時間的にゃ薬は切れてるハズなんだ。とっとと目ェ醒まさないと西園寺にヤられるぞオラ!」
死体(死んでないが)に鞭打つ言葉で、春日は強くスイの胸を押した。
等間隔に15回。自発呼吸が始まらないのを確認し、また15回。
心臓マッサージを続ける春日に、千里も美由姫も手を貸したいのだが…。
「やっぱり…人工呼吸?」
「あたし、唇はあの人とだけって決めてるし…」
頬を染めて日本人特有の譲り合いの精神を発揮している場合でもない。
その時、頭上を飛び回る想司が烏めいた声で鳴くのに、美由姫はポン、と手を打った。
「想司くーん、そろそろ人間に戻ってくれるー?」
軽くステッキで円を描いた軌跡に光の粉が散り、それは鸚鵡の姿を捉えて弾けた。
天井近くで人の姿に戻った想司は身体を捻って体勢を整え、手足を地面について衝撃を逃すとスタスタと美由姫に詰め寄った。
「ヒドイよ美由姫ちゃん!」
「えーん、だってああしないと想司くん止められないじゃないー」
弁明する美由姫に向かい、想司は大きく首を振った。
「そういう問題じゃないよ!魔女っ子が魔法を使うのに呪文を使わないなんてそんなの邪道だよ!おかしいよ!メグちゃんやサリーちゃん、先人が積み上げてきた歴史に申し訳がたたないと思わない!?」
焦点は其処か。
「……つ、次から気をつけるから」
訳の分かったような分からないような主張にとにかく同意を示し、美由姫は入り口を指差した。
「西園寺さんと代わって来て欲しいの。お医者さんだからきっといい方法を考えてくれるわ」
「それより聞いてよ、僕の偉大なる発見!」
想司は胸を張った。
「ここ、天井がある!」
そりゃあるさ。誰もが墓所の中でそう心の内でツッコミを入れまくる。
「空もあの高さ以上は飛べないんだ!」
ガツッと、投じられた短剣は、天井まで行き着かず、空中に突き立った。
「講堂の天井も…あの位じゃなかった!?」
千里の指摘に彼等はスイを抱え上げると入り口に向かってダッシュした。
「先生!シュラインさん!」
「やぁ君たち。」
「どうしたの?あなた達」
呼びかけに穏やかに答える二人だが、鍔迫り合いの真っ最中だったりした。
とはいえ男女の体力差からシュラインの息は上がりかけている…が、それも声を操る彼女の無駄のない呼吸法だからこそ、長時間、嵩杞と渡り合えていたのである。
「この世界、全部舞台の上だけで成り立ってます!」
美由姫の声に、嵩杞とシュラインは笑みを交わした。
「完全に閉じられた世界ではないという事ですね…少なくとも、客席に向かって開いている」
「………そういう事!」
全く同時に飛びすさって距離を取った。
劇中の世界に取り込まれて度々、シュラインの耳には布が風を含んではためく音が届いていた…そう、今も。
「想司くん、あそこにナイフを!」
「任せて☆」
鋭い銀の軌跡が空を裂き、シュラインの示した箇所、支えを失った布が垂れる形で夜空が三角に折れ、その向こうに天井の木目が見えた。
「千里ちゃん、鋏出せる?」
「おっけー、美由姫ちゃん♪」
乞われるまま鋏を創造り出した千里は、大振りのそれの閉じた刃を握って差し出した。
美由姫が軽く瞼を閉じ、両手を組む…と同時、ふわりと。
銀の鋏が浮き上がり、覗く木目の端から一直線に夜空をザクザクと切り裂いた。
そして。
支えを失った空が落ちると同時、彼等は自分たちの立つ場所が舞台である事に気付いた。
切り落とされた深紅の緞帳は舞台に落ちて波打つ。
窓の外はもう暗い。
「なんか一週間くらい劇やってた気がするけどよー…今日、何日だ?」
春日が最も現実的な問いを誰となしに向ける…時刻は午後7時を少し回ったあたりだが、壁にかかるアナログ時計に日付表示はない。
「俺、ちょっと行って聞いて来るわ…先生、早く受け取ってくんねぇ?意外と抱き心地悪ぃんだよ、コイツ」
抱えたままだったスイを嵩杞に預け、ニヤ、と笑う。
「ま、先に言っといてもいいよな。ごちそうさん」
金の瞳に印象深い光を宿し、春日はひらりと舞台を飛び降りた。
意味を問う間はなく、嵩杞は腕の中で身じろぎしたスイに安堵の息を洩らした。
「……嵩杞か?」
「あぁよかった、スイさん…どこか痛い所はありますか?吐き気は?頭痛は?この指、何本に見えます?」
真っ先に健康状態を確かめようとするのは医者の職業病とも言えよう。
が、儚げな風情に美少女にしか見えないスイは、己の固めた拳を目線の位置まで掲げてしばし眺めると、腰に手を回して彼を支える嵩杞の顔に裏拳を叩き込んだ。
赤い軌跡(?)に後ろにのめる医師に、周囲は唖然と声がない。
その間に嵩杞の腕から抜け出したスイは、衣装にそぐわぬ仁王立ちで声を荒げた。
「舌の根も乾かねぇ内に約束破ろうとしやがって!」
「約束って…」
ベランダのシーンで交わした、共に生きるというその約束。
「でもあれ、スイさん劇の中での事なんか信じないって…」
「俺が信じようが信じまいが、そこを押し通してこそが約束ってモンだろうが!よっく覚えとけ!」
無茶苦茶な理屈を主張し、嵩杞の胸倉を掴んで息がかからんばかりの距離に顔を引き寄せた。
その繊細な美貌に宿る、それよりも鮮烈な感情の…笑顔。
「今度、テメェを犠牲にしようとしてみろ…生きてよーが死んでよーが関係ねぇ!叩き起こしてその愚かしさ身体に直接叩ッ込んでやるから覚悟しやがれ!」
見事な裾捌きでいて足音も荒く、スイは言いたいだけ言うととっとと舞台を後にする。
一人残されて呆然としつつ……何処か幸せそうな医師に、一部始終を見守っていた衆目は呆れを滲ませた声を揃えてこう言った。
「ごちそうさま」
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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ロミオ
【0424/水野・想司/男/14歳/吸血鬼ハンター】
【0829/西園寺・嵩杞/男/33歳/医師】
ジュリエット
【0165/月見里・千里/女/16歳/女子高校生】
【0821/スイ・マーナオ/男/29歳/古書店「歌代堂」店主代理】
マキューシオ
【0867/神薙・春日/男/17歳/高校生・予見者】
パリス&ベンヴォーリオ(二役)
【0086/シュライン・エマ/女/26歳/翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
乳母(仙女)
【0515/加賀・美由姫/女/17歳/高校生】
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■ ライター通信 ■
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受注を確認してみましたらあらあら不思議。ロミオとジュリエットが二組出現していたという真夏のミステリー…。
またしてもお待たせした上納期ギリギリな北斗に御座います…その上、読むのが…かなり大変な分量だと思われますので覚悟の上でお読みくださ…ってライター通信に目を通す頃には多分、読破済みですね(苦笑)
いやもう今回かなり弾けた詰め込ませて頂いていると思います。コメディ有り、シリアス有りで少しでも楽しんで頂けたらいいな、と心から願う…と同時に、思った活躍が出来ていなかった方には真に申し訳なく(汗)
どうぞ苦情・提言ございましたらお気軽のご意見をお寄せ下さいませ。
ご参加ありがとうございました。
それでは、また時が遇う事を願いつつ。
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