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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


呪歌
◆歌の噂
いつの世にも噂が多い「歌の呪い」
この歌のバックコーラスには歌手を恨んで死んだ女の声が入っている。
昔から時々リメイクされるその歌を歌うと死ぬ・・・
歌にまつわる呪いの噂は多い。

そして最近、囁かれ始めた噂もそんな歌の呪いだった。

『お菓子のCMで流れている曲を聞くと事故にあい死ぬ。』

実際に死んだものがいるのかどうかはわからない。
しかし、企業イメージを悪くすると言うことで、お菓子会社はそのCMソングをすぐに取りやめた。
そのことが噂に拍車をかけたのかもしれない。
そのCMソングは噂と共にネット中を駆け巡り、ついに犠牲者を出したと言う書き込みがなされるようになった。

投稿者:MINORI
友達が歌の呪いで死んでしまいました。
あの噂は本当です。
友達は噂を信じずに、あの歌を歌った翌日に突然死んでしまいました。
皆さん歌わないようにしてください。気をつけてください。

「・・・ほんとなのかしら?」
雫は書き込みをながめながら言う。
歌は元々呪術的なものだ。それによって呪われると言うことはありえるかもしれない。
突然死んでしまったというのも、なんだか呪いの気配を感じさせる。
これは調べてみる価値があるかもしれない。
「カラオケで気持ちよく歌って、いきなり呪われちゃうとか嫌だもんね。」
そううなずくと雫は調査隊の有志を募ることに決めたのだった。

◆絶叫より始まる一日
「ぐぉぉぉぉぉおおおおおおっ!!!!」
地底深く、完全な闇に閉ざされた闇の神殿に、地を震わせるような雄叫びが響き渡った。
「如何なさいましたか?魔王様。」
側に控えた従者が扉の前に控え、部屋の中にいる雄叫びの主・・・魔王、海塚 要に恭しく声をかける。
「ぐぅぅぅううう・・・」
苦しみに悶えるような声が扉越しに聞こえてくる。
従者はそっと扉を押し開けて中の様子をうかがう・・・
すると海塚はお気に入りの黒のガウンに身を包んだまま、天を仰ぐようにして部屋の中心に立ち尽くしていた。
「ま、魔王様・・・?」
「むむぅ・・・これは魔王人生最悪のピンチかも知れぬ・・・」
ぶるぶると握った拳を震わせながら海塚は言った。
「例のものは・・・用意してあるか?」
「例のもの・・・でございますか?」
海塚の言葉に従者は顔色を変え、恐ろしさに震える声で言った。
「そうだっ!我が魔力の粋を集めて作りあげた究極の魔道騎兵たちよ・・・」
くっくっくっと喉の奥で邪悪に笑う。
「すぐに出動の準備をさせるのだっ!恐怖の魔道騎兵たちよ!女神の危機を救うために立ち上がるのだっ!!!」
はい。と深く頭を下げると、従者は部屋の外へ飛び出していった。

◆闇よりの死者
とある公園の静かな園内にある夜姫ヶ池。
カップルたちがのどかな水面を眺め語らいあっていると、ボコボコ・・・と水面の真中が泡立ち始める。
「ねぇ、あれ、なにかしら?」
カップルの一人がそれに気がつき、指を指す。
「なんだろう?あれ・・・」
「もしかして・・・夜姫ヶ池の幽霊?」
などと、忘れかけた頃の噂を囁きながら人々が注目を集めた瞬間。
ぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこぼこっ!!!!!
水面が割れるように弾けて中から何かが飛び出してきた!
「きゃぁぁああああっ!」
「いやーーーーーっ!」
「最悪ーーーーーーーっ!」
阿鼻叫喚。
あたりは地獄絵図に変わった。
女の子たちは泣き叫び、男たちはその女の子たちを連れて慌てふためく。
そして、池の周りにいた全てのカップルの姿が消えたとき、それらはのっそりと池の辺に上陸してきた。
ずぶ濡れの・・・海塚 要と恐怖の魔道騎兵たちであった。

「むむぅ・・・相変わらず人気のない公園であるな。」
自分たちの仕業はすっかり棚の上で、池の辺に上がると大きく伸びをして海塚は言った。
すっかりこの場所は彼らの出現地帯の一つとなったようだ。
後ろにはぞろぞろと恐怖の魔道騎兵たちが這い上がってくる・・・はずだったが、誰一人としてあがってこない・・・
海塚の作りあげた恐怖の魔道騎兵たちは元々がマルメタピオカカエル(女神アリスからの賜りモノ)なので水の中が心地よく、この糞暑い真夏日に陸に上がるのは嫌なのであった。
「軟弱者めーーーっ!!なぜあがってこないのだっ!」
海塚が怒鳴ろうがなじろうが、カエル騎兵たちはゲコゲコと気持ちよさそうに池を泳ぎまわっている。
「むー・・・仕方がない。お前らなぞおらんでも挫ける魔王ではないぞ!いざ行かん!電子の妖精、萌えの女神アリス様のもとへっ!!!」
そう言ってずぶ濡れのスチュワーデススタイルでガッツポーズを決めた!

「その格好で人のところへ来るのは止めてくれない?」
不意に海塚の背後から声がかかった。
「そ、その声はっ!?」
海塚が水しぶきを弾かせながら振り返ると、苦い顔でこちらを見ているアリスが立っていた。
「女神様〜っ!!!!!」
海塚はその喜びのあまり思わず絶叫しながら抱きつこうとした。
「きゃーっ!ユニットオンッ!」
アリスは首にかけていたヘッドフォン型のヘッドセットを掴んでマイクに叫ぶ!
その声と同時に凄まじい電撃が発せられ、ずぶ濡れの海塚はもろにその衝撃を食らった。
「×△●□×≦♂Ψ♯▽×◎×△●□×≦♂!!!!!!!」
声にならない絶叫でのたうつ海塚を見て、アリスはもう一度マイクに言った。
「ユニットオフ。」
声と同時に電撃は止まる。
海塚は地面に横たわり、白い煙を噴きながらしゅうしゅうと音を立てていた・・・
「あ・・・ちょっとやりすぎたかしら・・・」
アリスもその様子を見てちょっと躊躇ったが・・・
しかし、海塚は何事もなかったように起き上がった。さすが魔王。
「うむぅ、気がつけば服がずぶ濡れであるな。これでは女神様に失礼という物。着替えて参るゆえしばしお待ちを!」
そして、海塚はアリスにそう言うとザブンと池の中に飛び込んだ。
「また池から出てくるならびしょぬれだと思うんだけど・・・」
しかし、アリスの言葉は水中の海塚には届かず、そこにはゲコゲコとカエルが泳ぐばかりであった。

◆戦いへの誘い
「ははーーっ!萌えの女神アリス様。この魔王海塚に何なりとお申し付けくださいませ〜!」
そう言ってずぶ濡れの海塚はアリスの足元にひれ伏した。
結局お気に入りのナース服に着替えてきた海塚だったが、池から飛び出してきたのでずぶ濡れになってしまったのだ。
「うふふふ、今日はあなたは私の奴隷として活躍してもらうわよっ!」
アリスはニヤニヤ笑いながらひれ伏す海塚を見て言った。
「ど、奴隷でございマスカ!それはなんと萌えなシチュエーション!では、すぐにメイド服に着替えてまいりますっ!」
「え?ちょっと待って!」
アリスの呼び止めは海塚に届かず、再び海塚は池の中へと飛び込んだ。
「何なのよ、まったくっ!もうっ!」

しばらくして再びずぶ濡れのメイド服姿で池から上がってきた海塚に、アリスは怪しいベルトのようなものを突きつけて言った。
「あなたが着るのはメイド服じゃなくて、この「精神エネルギー制御装置」よ!」
「精神エネルギー制御装置?」
それはどう見ても首輪そのものだった。
「女神様もマニアックなご趣味ですなぁ・・・」
そう言うと海塚はおもむろに服を脱ぎだす。
「な!服は着たままよっ!ばかぁっ!」
アリスは装置を海塚に投げつけると真っ赤になって顔を背けた。
「はっはっはっ、それならば先に言ってくださらんと。」
海塚は清々しく笑いながらメイド服姿で精神エネルギー制御装置を装着する。
筋骨隆々なオヤジがずぶ濡れメイド服で首輪・・・アリスはかなり失敗した気持ちを強めながら、なるべく海塚を見ないようにした。
「さて、次は何をすればいいのですかな?」
海塚が再びひれ伏し女神に指示を仰ぐ。
「イチイチ、ひれ伏さなくていいわよ・・・。あなたにはこれからスリープウォーカーと戦ってもらうわ。」
「なんと!スリープウォーカー氏と!」
海塚は楽しかった?ひと時を思い出す・・・めくるめくあの草間興信所でのひと時・・・
そんな楽しいひと時をくれたスリープウォーカーと戦うのはちょっぴり気がひける、気のいい魔王なのであった。
それをアリスも感じ取ってか、複雑な顔で海塚のモジモジしている様を見ながら言った。
「スリープウォーカーと直接戦うわけじゃないのよ。彼が用意したコマと戦ってもらうわ。あなたは私のコマってワケ。」
「なるほど。それならば気兼ねなく戦えるというものですな。はっはっはっ!」
海塚はそれで納得したのか、再び腰に手を当てふんぞり返って笑った。
その時、アリスのヘッドセットに何らかの通信が入ったらしく、アリスは首にかけていたヘッドセットを装着した。
「・・・わかったわ。」
そう呟くと腰につけているヒップバッグの中から小型のノートPCを取り出し、カタカタとキーを打ち始める。
「ふふふふ、私の暗黒兵器海塚の力を思い知らせてあげるわ、スリープウォーカー!」
いつの間にかアリスの暗黒兵器にされてしまった海塚は、アリスの台詞に合わせて拳を天に突き上げていった。
「萌えの女神の為なら例え火の中池の中!必ずや勝利を女神に捧げて見せましょうぞ!はっはっはっはっはっはっ!!」
その様子を見て今ひとつ不安が隠せないアリスであったが、ニッコリと微笑むと海塚に言った。
「大活躍して頂戴ね。・・・ほら、向うのコマが到着したわ。」
アリスが指差す先に二人の人影がこちらの方へ歩いてくるのが見えた。
「宿命の対決の始まりよ!」
「うおぉぉぉぉぉおおっ!!女神様!萌え〜っ!!」
アリスの言葉と同時に、海塚は雄叫びを上げて人影の方へ突進していった。

◆宿命
水野 想司がスリープウォーカーに連れられてやってきたのは、いつぞやの夜姫ヶ池のある公園だった。
「こんなデートコースで待ち合わせなんて☆アリアリったら積極的っ♪」
「うん、やる気満々みたいだねぇ。ほら、向うから走ってきたよ。」
スリープウォーカーはニコニコしながらそう言うと、公園の奥のほうを指差した。
想司がそちらの方へ目をやると、確かに地響きも凄まじく砂埃と共に走り来る影がある。
「わぁお。アリアリってばそんなに焦らなくっても僕はいつも君のことを考えているのにっ♪」
そう言って、想司も走り来る影に向かって全速力で走り出したのだった。

「うぉぉぉぉおおーーっ!!!」
「アリアリィィィーーッ!!!」
ガシッ!と二つの影は物凄い勢いでぶつかり合った。
二人が舞い上げた砂埃で互いに姿を確かめ合うことも出来ない。
「うわっ!アリアリ、ちょっと会わないうちに大きくなったねっ☆育ち盛りだからいいことだねっ♪」
「うぉぉぉぉおおっ!何もみえんっ!なんだ、何か小さなものがくっついているぞっ!」
海塚は自分にしがみつく影を手探りで確かめる。
ぽわぽわの丸い尻尾とうさぎ耳らしきモノが手に触る。
「なんと!これは愛らしきかなバニーさん!素材の手触りから察するに「魔法少女バニライム」ではないかっ!!」
「わっ!わっ!大胆だねぇ♪アリアリってば☆でもこんなに大きくなったらコスチュームのサイズを直さなくっちゃね♪」
「バニーちゃーーーーんっ!!」
「アリアリーーーっ!!」

そして砂埃は消え去り、真実は互いの前にさらけ出される。

「げ!お前はっ!」
「バニーちゃーーーんっ!!」
「えーいっ!離せーーっ!!」
ゲシッと想司は目を閉じてしがみつく海塚をはたき倒した。
「ちょっと!しがみついてないで戦いなさいよっ!あなた魔王なんでしょっ!!」
様子を見ていたアリスが海塚の背後から檄を飛ばす!
「アリアリっ☆そこにいたんだねっ!」
それを素早く見つけた想司はアリスのもとへ駆け寄ろうしたが、それをスリープウォーカーが素早く腕を掴んで阻止した。
「想司クン、アリスはあの魔王の彼に捕まっているのです。彼を倒してアリスを救ってあげてください。」
「!」
想司の顔色がぱっと変わる。
「なんだってっ!むーっ、海塚ってばアリアリに何てことをっ・・・」
想司は海塚の前に立ちはだかると、ビシッと剣を突きつけて叫んだ。
「アリアリに危害を加えるものは、このバニライムが許さないぞっ!!」
もうすでに想司の中の想像のバニライムになっていたが、なりきり想司はウサギ尻尾をピコピコさせながらポーズを決めた。
「むぉぉぉおおおおおおおっ!!!!何たる愛らしさよ!!!!!」
そのバニーさん姿が妙にツボに入ったらしく、海塚は雄叫びを上げる。
そして、その瞬間をアリスは見逃さなかった。
「今よっ!精神エネルギー制御装置発動!萌えのエネルギーを攻撃エネルギーに変換して攻撃するのよっ!!!」
ヘッドセットのマイクにそう命令すると、海塚の装着した首輪がエネルギーを受けて眩い光を放ち始めた。
「おおおお!萌えの女神のパワーがここに!!」
海塚は体中にみなぎるエネルギーにさらに雄叫びをあげた!
「女神様!萌えーーーーーーーーーっ!!!!!!」

萌えのエネルギーの輝きは閃光となって、辺りを全て焼き尽くさん勢いで解き放たれた!!

◆戦い終えて日は暮れて。
「エネルギー変換は上手くいってたと思うのよね。問題は制御装置のほうだわ・・・」
アリスは自分の作った装置の更なる改造に思いをめぐらしていた。
「なかなか、生きもののエネルギーというのは侮れませんからね。」
スリープウォーカーは楽しそうな顔でニコニコしながら、考え込むアリスを抱えあげた。
「想司クン、海塚さん、今日は楽しかったですね。これは僕からのお礼です。」
そう言うと地面にひっくり返った二人の額にペタペタとお札のようなものを張り付けた。
「では、僕らは帰ります。また遊びましょうね。」
スリープウォーカーとアリスは水鏡の中へと姿を消していった。

そして残された二人・・・

「まったく海塚ってば駄目だめなんだからぁっ!」
大の字で地面に転がる想司が隣に転がる海塚に言った。
「そんなんじゃ、まだまだ萌えマスターの道は遠いねっ!」
「うむぅ・・・やはりメイド服では萌えは足りぬのか・・・」
何故か反省モードの海塚が呟く。
「アリアリも帰っちゃったし!お前の所為だぞっ!海塚っ!」
「む!何を!?お前こそバニライムのコスプレとは卑怯なり!」
「これはユニットのタイアップだもんねっ☆僕とアリアリのスペシャルユニットのお仕事だもんねっ☆」
「むむむーーーっ!なんだか悔しいぞーーっ!」
「へへへーんだっ!」

二人の声は日が沈むまで夜姫ヶ池公園に響き渡っていた。
そして、夜姫ヶ池の怪しい噂は広まり、デートスポットからミステリースポットへと変わってゆくのであった。

The End ?
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0759 / 海塚・要 / 男 / 999 / 魔王
0424 / 水野・想司 / 男 / 14 / 吸血鬼ハンター

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■         ライター通信          ■
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こんにちは、今回も私の依頼をお引き受けくださり、ありがとうございました。
今回、海塚氏はアリスと一緒に遊ぶ?事となりましたが・・・如何でしたでしょうか?
スリープウォーカーが額に張ったのは「スリープウォーカーのお札」です。アイテムとしての効果は・・・使ってみないとわかりません。そしてこのお札は使うとなくなってしまいます。私の依頼でしたらいつでも使えますのでよかったらご利用くださいませ。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
お疲れ様でした。