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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


真夜中の遊園地〜観覧車の女神〜

■オープニング
 雫は学校から帰宅すると、自分の部屋の机に向かい、いつものようにパソコンをたちあげてメールチェックの作業をする。
「あれ…ゆきくんから届いてる」
 届いた数通のメールのうちの一つに雫は気づいて、メールを開く。
 ゆきくんとは先日知り合ったばかり。倒産した山中遊園地を買い取った会社の社長の息子さんだ。
 その山中遊園地はとても『出る』場所らしく、いろいろとあるらしい。
『拝啓 雫ちゃんへ
 先日は素敵なお友達を紹介してくれてありがとう。おかげでメリーゴーランドはあれ以来、とっても静かになってくれたよ。 
 おかげでお盆明けから改装工事も進んでる。パパもとても感謝していました。
 それでね、またお願いなんだけど…今度は観覧車の方を見てもらえたらなって思ったんだ。
 山中遊園地には大きな観覧車があって、その中にひとつだけ赤いゴンドラがあるの。
 それでねその赤いゴンドラには二つの噂があるんだ。一つは、日が暮れてからそのゴンドラに二人で乗り、頂上で「約束の誓い」をするとそれがかなうっていうもの。それともう一つは、そのゴンドラに乗ると長い髪の女がゴンドラの外に張り付くっていう悪い噂なんだ。
 最初はよい方の噂しかなかったんだけど、そのうち悪い方の噂の方が有名になったというか、実際ゴンドラから降りてきた人が泣きじゃくっていたり、気絶してる人が続出したらしくて、ここ一年くらいは使用禁止になってるんだ。
 でも、リニューアルの後はいつまでも「開かずのゴンドラ」にしておきたくないし…。
 もしよかったらまた誰かに来てもらえると嬉しいんだけど…』

「ふーむ」
 雫はメールを見て唸った。
 そして返信を打つ。
『ゆきくんへ:
 雫だよ☆ わかった。今日ゴーストネットに行ったら、みんなに声をかけてみるね』

■霞峠 20:14

 夜を待って、車は霞峠へと入っていく。名前の通り、とても強い霧の発生する峠だ。運が悪いのか、夕暮れの頃に突然襲われた夕立のせいで、峠の視界はかなり悪い。 
 ヘッドランプを強く照らしながら、スピードを緩めて、車は無人の峠をひた走っている。
 同じ車の中には雫が、後部席にいたが、ここに着くまでに疲れて眠ってしまっていた。
「観覧車で起きるカイキゲンショーねぇ。…俺が行っても何の役にも立たないと思うんだが」
 弔爾が、その視界の悪さを不機嫌そうに見つめながら、助手席に置いた刀に話しかけた。
 刀は落下防止に一応シートベルトを着用させている。
『そんなものは行って見なければわかるまい』
 刀はさらに不機嫌そうに答える。
 この刀、もちろん普通の刀ではない。妖刀・弔丸という意思を持つ刀なのだ。
「俺はパンピーだっつうのに…そういうのは霊能者とか退治屋とかそういうのに任せておけばいいんだ…。それに多分、金になるのかどうかもわからないしさ」
『グダグダ言わない』
 叱りつけるように弔丸が言う。「はいはい」と弔爾は答え、軽くため息をついた。
『それにお前は食わずとも死すことはないのだからな。金にこだわるものではない』
「人間の生活には潤いってもんも必要なんだって」
 弔爾は苦笑する。
 死ぬのも生きるのも面倒だと思っていた時期もあった。
 だが、弔丸と出会えて最近少し面白い。

■観覧車 21:05
 
 遊園地で待っていたのは、水野想司(みずの・そうじ)という14歳の綺麗な少年と、この遊園地のオーナーの息子である里中雪斗(さとなか・ゆきと)とその付き人の黒い背広の若い執事だった。
「こんばんわ☆ 今日はよろしくね☆」
 同じくゴーストネットから来たという想司は、何故か魔法使いの格好をして星のタクトを振りながら微笑んだ。
 彼は少し早めに遊園地に着くと、一人で遊園地の中を散策していたという。
「僕としては、女の子とご一緒したかったんだけど、仕方ないか♪」
「野郎で悪かったな」
 弔爾は苦笑して、雪斗に観覧車の方に案内してくれと頼んだ。
 
 広大な敷地を誇る山中遊園地の中でも、一番の高みにある場所にその観覧車は設置されていた。
 とても大きなもので、一周にかかる時間は約10分。天気がよければ新宿のビル郡も、運がよければ富士山ですらも眺めることができるらしい。
 観覧車の足元まで行くと、その高さを見上げて首が痛くなりそうだった。
 だが、闇の中にライトアップされたその中に赤いゴンドラを弔爾は見つけた。
「スイッチ入れますねー」
 雪斗の声で、運転室に入っていた執事が運転スイッチを入れる。
 半年以上も沈黙を守ってきた観覧車は、一瞬高い悲鳴のような金属音を鳴らし、ゆっくりと回転を始めた。
『動いておらぬと機械も寂しいのだな。喜んでおるわ』
 つぶやくような弔丸の声が弔爾に聞こえた。弔爾は微笑み、弔丸を握りなおす。
 赤いゴンドラは、下降して地上に近づいてくる。特に外側から見て何か異常があるようには見えない。少々頑丈に扉が鎖で止められているだけだ。
 雪斗はそのゴンドラが一番真下にくる直前に、運転席に合図して動きを止めさせ、鎖をとめている南京錠を外した。
「おにいさんたち、気をつけてね」
 真剣なまなざしで見つめる雪斗に弔爾はああ、と優しく頷いた。
 想司も「任せて置いてください」と大人びた風に微笑む。
 最後に雫が「楽しんでくるね♪」とにこにこして雪斗の頭を撫でた。
 ゴンドラの扉は開かれた。

「しっかし狭いな…ガキじゃあるまいし、この年になって観覧車に乗ることになるとは思わなかったぜ…」
 大きな体をねじこむようにして入ったゴンドラの中はやはり狭くて、非常に居心地が悪い。
「天気悪いね〜。視界最悪ぅ」
 窓に張りついて、雫は外を眺めて文句を言った。霞峠で発生した霧のせいで、遠くの景色はほとんど眺められない。
 綺麗なのは、ライトアップされた観覧車の鉄の柱ばかりというのは、なんといったものか。
「あんまりいい立地じゃないんだね〜、この遊園地」
 残念そうに言う雫に、弔爾は苦笑して頷いた。
「そうかもな」
「そんなことないと思うよ〜♪」
 否定の声が響いた。想司の声だ。
 だが、その声の主の姿を探そうとしてゴンドラの中を一周した視界は、彼の姿を捕らえられなかった。
「…想司クン?どこぉ?」
 確かに一緒に観覧車に乗り込んだはず。
 雫と弔爾は目を合わせてそれからきょろきょろとさらに辺りに目を配る。
「ここだよ〜☆」
 想司はゴンドラの屋根の上にいた。
 そこから屋根の天井をぽんぽんと叩いて笑う。
「…七色のライトが霧と合って、とても幻想的だよ。雫さんも、忌引さんもいかがですか〜☆」
「…いつの間に」
 ゴンドラの中の弔爾はあいてる窓の隙間から上を見上げて、声を出した。
「危ないぞー」
「とっても涼しいし♪ うんこれこそ、観覧車の醍醐味ってやつだね☆」
「…むぅ」
 弔爾はため息をついてゴンドラに腰掛けた。心配そうな顔の雫には苦笑してみせて、それから弔丸をしっかりと握る。
 もし何かあれば、雫は自分が守らねば。 
 その時、雫が「あっ」と叫んで弔爾の後ろの窓を指差した。
 振り向くとそこには、白い手の平がひとつぺたりと張り付いていた。
 そして、続けて下の方からもう一つ腕が伸びてきて、少し上の方にまた手の平がはりつく。 
 ……登ってこようとしている。
 弔爾は雫を庇って立つと、想司に呼びかけた。
「出たぞっ」
「わかった☆」
 想司の返事が聞こえる。それと同時に突然空が明るくなった。
 
 想司はゴンドラの頂上で光の武器を手にとっていた。一見『ライト・セーバー』のようにも見えるその刀は、『最高位の吸血鬼ハンター』である想司にしか使えない『光刃』という武器だった。
 その光刃を真っ直ぐに闇に突きつけ、想司はゆっくりと微笑む。
 そしてタクトを振るうように、宙をなめらかに舞わせながら、その場で一周した。
 光刃の先から、大小の光が流れ星のようにあふれだしている。
 あたかも回りは美しい星雲に浮かんでいるかのように明るく照らし出された。
「隠れているお姉さん、ここでお話しませんか〜☆」
 想司はそう言って、赤いゴンドラの壁に張り付いている女性に話しかけた。
 彼女は白い着物をきた長い髪の女だった。 一瞬ひどく恨みがましい視線で想司を見上げた女は、次の瞬間、力が抜けたように微笑んだ。
『何…これ…綺麗ねぇ』
「そう思っていただけたら幸いです☆」
 想司は女性の前に自分の手を差し出した。
 ゴンドラにしがみついていた女の手が、想司の細い手を握ろうとして、ためらう。
「…一緒にお話でもどうですか?」
 想司が言うと、女は瞼を閉じて少し考えた。

 「わあ、綺麗」
 雫が窓の外を見つめて、大きな瞳をキラキラさせて見入っている。
 そこにあるのはゴンドラの四方を囲む流星群。
「何が起こってるんだ…?」
 弔爾は窓から上を見上げたが、女と想司が何か話しているらしいということしか分からない。
「こん中じゃ何にもできねえな」
 弔爾が苦笑すると、弔丸が同意するように答えた。
『外に出るか』
「その方がよさそうだな…ってはぁ!?」
 弔爾が驚愕する間もなく、弔丸の入っていた袋が光り輝き始めた。同時に弔爾の体も光りだす。
「…忌引さん?」
 雫が異常に気づいて声をかけたとき、弔爾の意思は既に消えていた。
「嬢ちゃん、奥に捕まっておれ」
「えっ…は、はい」
 雫は彼がこれから何をしようとしているのか予感したのか、入り口の扉とは反対の壁に身を寄せて、窓枠の柱を両手で握った。
 弔爾は見届けてから、扉に手をかける。外から鍵がかかっているらしく開かない。
「…あの少年、どうやって出たのだ?」
 しばし考えた後、弔爾は少し後退し、それから身を低くした。体を包む光が強くなる。
 弔丸を袋から出し、鞘から抜くと、そのまま彼は扉に向かって突進した。
 ばん。
 まるで紙切れのように簡単に扉が破れて、空に舞った。
「わぁ」
 雫が口に手を当てて驚きの声を上げる。
「嬢ちゃん、けっしてそこから手を離すな。行ってくるぞ」
 弔爾は窓から飛び出すようにして、一気にゴンドラの上までジャンプした。
 

「おおいっ」
 ばん。
 突然ゴンドラの横の扉がはじけ飛ぶ。
「えっ」
 扉がひらひらと風にあおられながら地上に落ちていくのを見送りながら、想司は下を見下ろした。
「大丈夫かっ」
 扉のなくなったところから顔を出したのは弔爾だった。弔爾は器用にゴンドラの屋根に上ってくると、想司の無事を確認して、ほっとため息をついた。
「全然無事だよ☆ 今、あそこのお姉さんとお話をしようとしていたとこです」
 想司は弔爾に笑った。
「外に出ようとしたら…鍵がかかっておってな。…おぬしどうやって外に出た」
 見た目は弔爾だが、雰囲気も話し方も大分違う。
 今の彼は弔丸に体を譲り渡している状態らしい。
「魔法使いだからね♪」
 想司が答えると、弔爾は「むむ」と唸った。 
 その時、ゴンドラの下の方から女の呻く声がきこえてきた。
『壊した…な』
 女はゴンドラから離れて、宙に浮かび上がると、二人の前に立つような位置に止まった。
『私のゴンドラを…壊したわねっ…』
 長い髪が宙に舞う。わなわなと怒りに身をまかせ、青白い顔の女の表情は険しいものに変わっていく。
「それはすまんかったの。…このゴンドラはお主のものであったか」
 弔爾は刀を構え、女を見つめた。女は目を見開き弔爾に襲いかからんとする。
「待って!」
 想司はその瞬間タクトを振るった。
 瞬間、地上が光に包まれた。否、遊園地中の照明が突然点灯したのだった。
『何!?』
 女の動きが止まった。
 再び想司はダンスを踊るようにタクトを振るった。
 流星群のような光の波が、女の横を通り過ぎていく。
『……』
 驚くを通り越して呆気にとられている女に、想司はウインクを決めて微笑んだ。
「地上に着いたら必ず扉は直してもらうから。ごめんね、でも女の人は笑っているほうが素敵だと思うんだ♪」
「想司…」
 弔爾はふっと笑い、女に続けた。
「おぬし、なんのためにこのゴンドラに取り憑いておるのじゃ」
『私は…』
 女は二人をじっと見つめ、それから深くため息をついた。
『あなたたち何者?ひさしぶりに動いたと思ったら変なのしか来ないわ。嫌になっちゃう』
「何者…なんでしょうね」
 想司は微笑んだ。
 弔爾も答えられずに、刀を構えたまま、女に答えた。
「あんたがこの観覧車に悪さをするので、仕方なしに呼ばれたのじゃよ」
『悪さですって!? 私をなんだと思ってるのかしら! 私はこの観覧車の女神よっ』
 女は言い切って、コホンと咳をした。
『ずっと昔からこの観覧車に住んでるの。あのゴンドラに乗った人たちが願い事をするのをかなえてあげてるのよ』
「…女神?」
 想司と弔爾はさすがにぽかんとするしかなかった。 
 純和風の絵に描いたような幽霊姿の女は、ふふんと胸を張ってみせて、それからまた息を吐いた。
『やっぱりゴンドラを先に覗き込むのはいけないのかしら。早く約束してくれないかなぁって待ちきれなくなっちゃうのよね』
「…それはよくない癖かもしれぬな…」
 呆れながら弔爾が頷くと、女はそう、としゅんとする。
 なぐさめるように想司が続けた。
「おねえさんはこの観覧車の女神なんだ。…だから願い事をかなえてくれるんだね」
『そうよ…』
 女はふっと斜め上を見上げた。
 赤いゴンドラはそろそろ頂上に近づきつつあった。それを示す白いポールまで僅かな距離になっている。
『あなたたち、何かお願いごとはない?』
「あるよ」
 想司が頷く。
『じゃあ「約束の誓い」を。…彼とじゃないわね』
 ちらりと弔爾を見てから、女は想司に近づき彼の小指と、自分の小指をからめた。
『そろそろよ、さあ、誓って』
 女に急かれるようにして、想司は静かに言った。
「あの方たちがみんな幸せになってくれますように」
 脳裏に描いた人の姿は、彼と親しい女性達の姿だった。森里しのぶさん、滝沢百合子さん、矢塚朱姫さん…。自分が見届ける間にどうか幸せになって欲しい人たち。
 きっと…いつかこの能力に翻弄され、この身が滅ぶ日の来るだろうことを少年は知っていた。
 彼が持つ強力な魔法(ちから)は、いずれ彼の心まで侵食することだろう。けれど、その魔法で、人を幸せにすることもできるはず。
 みんなの幸せを見届けたい。
 …そしてあなたもね。
 想司の視線はとても優しげに、女を見つめていた。
 女は想司の心を読んだのか、一瞬困惑したような表情を見せ、それから静かにうなずいた。
『…わかったわ』
 ゆっくりとゴンドラは頂上を示すポールをゆっくりと横切っていく。
「…よろしくね☆」
 想司は女に笑いかける。女は頷く。
『個人的にはあなたも幸せになって欲しいと思うんだけどね。願い事は願い事として踏ん張らせていただくわ♪ 任せておいて』
 そしてすうっと上空に消えるようにして姿を消した。

「行ったか…」
 弔爾は頷き、瞼を閉じる。弔丸の意思は刀に戻り、本来の弔爾が戻ってきた。
「お・・おいっっ。せめてゴンドラの中に戻ってからにしてくれっっ」
 数百メートルの高さから下をちらりと覗き込み、弔爾はさすがに気が遠くなるのを感じた。
「あはは☆」
 想司はその隣でゴンドラの上に腰掛けて、足をぶらぶらさせた。
「あのお姉さんにドレスを着せてあげたかったな〜。女神様なら女神様らしくしなくちゃね〜」
「…そんなものか」
 弔爾はゴンドラと観覧車を繋ぐケーブルを支えになんとか座り込み、想司に答えた。
 想司は気まぐれにもう一度、夜空にタクトのように光刃を振るった。
 流星がきらきらと宙に舞う。
「綺麗だな…」
「でしょ☆ ほら、もう一度〜☆」
 きらきらきら。
 舞う星につられて、数人の白い光に包まれた子供の霊が集まってきた。彼らはじゃれつくようにその流星のまわりをくるくると回る。
 それはまるでピーターパンが夜空に連れ出した子供達と夜空を飛ぶシーンを思わせた。
「…おお…」
 弔爾は驚きの声を出す。
 子供達はそれぞれ星を抱えると、そのまますっと姿を消した。
「すごい力を持っておるのじゃな」
「そんなことないよ☆ ね、ゴンドラに戻らない? 雫ちゃんが待ってるよ」
 想司は微笑んで、ゴンドラからぴょんと飛び降りるようにして、ゴンドラの中に飛び移った。
 弔爾も恐々後に続く。
 観覧車の下降の半周は、とても短い時間に感じた。
 まるであの女神が上昇の半周に時の魔法をかけていたのではと思えるくらいだった。まさか、そんなことはないだろうが。

■エピローグ
「多分、もう覗いたりしないと思うんだけど、何かあったらまた知らせてね☆ お説教しに来なきゃ」
 想司と弔爾が簡単に事情を説明すると、雪斗はさすがにしばらくぽかんとしていたが、なんとか話は理解してくれたようだった。
「あと、それとあの女、もしかしたらこの近くにもともと奉られていた神という可能性もある。調べてみてもいいかもしれんな」
 弔爾が弔丸が呟いたことを、雪斗にも続ける。
 神というにはかなり迫力と偉大さに欠けてはいたが、もしもということもある。可能性としては、「奉ってほしいだけの自称神の幽霊」の方が強いだろう。
「調べてみますね」
 雪斗は素直に頷いた。
「あ…それと」
 弔爾は頭をかいて、ドアの壊れたゴンドラを振り返った。
 落ちてきたドアは観覧車の足元に無残な姿で転がっている。
「…直しておくから気になさらないでください。…お怪我がなくてほっとしました。心配してたんですよ」
「そうか…。すまんな」
 俺は悪くないけど、この刀の奴がな。心の中でぼそりと呟く。弔丸が早速文句を言ってくる。
『何を思うておる。このタワケ者が』
 弔丸の声を聞かない振りをして、弔爾は背後を再び振り返って見上げた。
 そこはいつしか霧も晴れ、美しい星空を背景に敷いたとても大きな観覧車が、とても静かに佇んでいるばかりであった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 0424 水野・想司 男性 14 吸血鬼ハンター
 0845 忌引・弔爾 男性 25 無職
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■            ライター通信                 ■
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 いつもお世話になっております。鈴猫と申します。
 このたびは「真夜中の遊園地〜観覧車の女神〜」に参加いただきありがとうございました。
 水野様は2回目の参加、忌引様ははじめましてですね。
 ゴンドラの上に乗ります!という斬新なプレイングに、ちょっぴり驚いてしまいました。
 あの高いところで戦うのは、ちょっとかなり怖いのではないかと思うのですが…。 

 水野様、プレイングにありましたラブラブのお手伝い叶えられずに申し訳ありません(TT)
 次回がありましたら必ず!(汗)  

 今回の依頼の最大のヒントは、ちなみにタイトルに隠されておりました。
 タイトルって、いちばん気づき難い、ヒントの隠し場所らしいですね。ちょっと反省です。
 
 また他の依頼で再会できますことを心より祈って。
 ご参加本当にありがとうございました。