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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


声失いし星(スター)・<調査編>

★オープニング
「声を失ったスター、か」
 草間武彦は、デスク上に残されていた、週刊誌の小さい見出しを見てそう呟いた。
 週刊誌は草間が買って来た物ではない。ここを訪れる誰かが、置いて行ったのだろう。
「全く、何で女はこういう、嘘か本当か分からない話題に踊らされるんだか……」
 そして、煙草を吹かし、横になる。

 どの位、時が経ったのだろう。興信所の玄関の、チャイムの音が武彦の安眠を妨げる。
「……誰だ?」
 むくりと起き上がった武彦を横に、零が玄関へと向かう。
「いらっしゃいませ。 どんな御用ですか?」
『こちら、草間興信所ですわよね……一つ、依頼をお願いしたいのですが……』
「……調査依頼ですね。 こちらへどうぞ」
 と、雫が中へ招き入れた。

『真理が声が出なくなった理由、それを調べて欲しいのです』
 依頼者の名前は平川静穂。芸能プロダクションの社長。
 そして、真理というのは、週刊誌の声の出ないスターの事。
『実は、その通りなんです。 知られては大事になる為、隠していますが……もう、時間の問題です。真理の声を、取り戻してください』

渡された情報は、真理が声を失った場所、真理の住所等が記されていた。

☆ 電話にて

「hmm……真理の声が無くなった理由を調べてほしい、デスカ? コノ前の歌番組の収録の時モ、元気ナッシングでしたからねェ」
 とりわけアメリカン口調の声の主、プリンキア・アルフヘイムという女性。メイクアップアーティストの仕事をしている。
 今、プリンキアは、武彦からの電話を受けて、真理の事を思い出しながらきいていた。真理は確か、小動物のような可愛さをと、その声でまぁまぁ売れている歌手と記憶している。
「ああ、プリスなら芸能界にも色々知り合いが多いだろ? 真理とも知りあいだと聞くしな。きっとお前のそのコネが必要になるだろうと思ってな。 手伝ってくれるか?」
「OKOK、もちろんデース。真理は大事な友人デース。それでは、今から興信所向かいますネ☆」
「ああ、出来るだけ早くな」
 そう言って、電話を切った。そしてプリンキアはいつもの魔法のメイク道具のバックを持って。
「nn……調査なら、ブラウニーちゃんやスプライトちゃん達がきっと役に立ってくれるでしょうネ」
 そう言うと、プリンキアは魔法を唱え始める。みるみるうちにプリンキアの目の前に、何体かのかわいい小人と、妖精が現れる。
「ブラウニー、スプライト、久しぶりネ♪ 今日はまた調査をお願いするデス、宜しくお願いしますネ☆」
 そうプリンキアが目の前にいる精霊達に呼びかけると、精霊達は魔法のバックの中へと入っていく。
「みんな良い子デス、終わったら産地直送のミルクと生クリーム、一杯食べさせて上げますからネ☆」
 バックの中で精霊達が喜んでいる。
 プリンキアは、バックを持って草間興信所へと向かう。
「でも、何で真理はそんな怪談話のレポーターなんて請けたのでしょーネ? あの子、怪談話とか嫌いだったと思うデスが、何かの間違いでショーカ?」

☆ 真理の真実

『これが依頼者からの依頼書だ。あとシュラインが先にスタジオに向かっている筈だから、宜しく頼む』
『あと、シュラインさんから伝言です、夕方に女子寮前で落ち合いましょう、という事です』
 武彦と、零の言葉を聞いて、依頼書を渡されたプリンキアがまず一番初めに向かった場所は、真理の所属するプロダクション。
 そう、依頼者の平川静穂の事務所だった。
 チャイムを鳴らし、社長の静穂に替わってもらう。草間興信所の者と名乗り、聞きたい事があると言って。
 そして、出てきた平川に対して、プリンキアは笑顔で話しかける。
「ハーイ、ミズ平川。大変そうデスネー」
「あら、プリス……どうして、貴方、草間さんの知り合いでしたの?」
「そうデス、ミスター草間から依頼を受けて調査をする事になりましたネ。 ちょっと話を聞いていいデスカ?」
 平川はちょっと慌てる。
「ちょ、ちょっとまっててね、下の喫茶店で話しましょう。 ここだと、社員の皆が驚くかもしれないから、ね」
「分かりましたデス、先に行ってますネ」
 と話を切り上げ、下の喫茶店に降りる。静穂はすぐに来た。
「で、聞きたい事って何? 私が答えられる限りの事は答えるけど、分からない事は分からないわよ?」
「分からない事は分からなくてOKデス、聞きたい事は2つデス。まず一つ、何故そンナ幽霊が出るなどと言う曰くつきのスタジオを使う様な事態にナッタのデスカ? 何故、ミスター草間の所に依頼に着たのデス?」
 静穂は、静かに口を開く。その口調は優しい声だった。本当に、真理を心配しているのだろう。
「そうね……私は、本当はこのロケには乗り気では無かったわ。真理は霊感が強くて、色々な物が見えるって、良く言ってたから……。でも、このロケの話を真理にしたら、絶対に受けたい。 この話は私にしか出来ない、って私に言ってきたの。今までの真理にない、真剣な感じで訴えてきて……だから私、断る事が出来なくて……」
 そう聞いて、プリンキアは疑問に思った。
(真理が霊感が強いのは知ってルけど……おかしいですネ、彼女は怖いハナシとか、嫌いだったとキオクしてますケド……同じ楽屋の仕事友達の怪談話を、耳を塞いでキカナイようにしていた記憶アリマスネ)
「だから……真理が声を失った理由は、私にもあると思うわ。だから、真理の声を絶対に取り戻したいと思ってる。彼女はまだ25歳だから、今後活躍して、大スターになれると私は信じているから。でも……私には、どうすれば彼女の声が戻るか分からないから、心霊探偵にお願いするしかなかったのよ。ロケの場所が、幽霊に関係する場所だから」
 そう言って、静穂は口を閉じる。
「そうデスカ、分かりました。 もう一つの質問も答えてくれてますネ、真理が霊感が強い事をしりつつ、何故そのロケに行かせたか。 分かりマシタ、ミズ平賀の声は、私達が絶対に取り戻して上げますネ、安心して待っていてクダサイ☆」
 プリンキアは明るい声で静穂に語り掛けて。
「静穂さんも、あまり自分だけで背負ってはダメネ、時には周りのヒトに甘えてミルのもいい事ヨ?」
「ありがとう……でも、私がこのプロダクションの社長だから……私がしっかりしないとね。プリンキアさん、ありがとう」
「OKデス、じゃあ私は行きますネ」
 そういって、プリンキアは喫茶店を出る。もちろん代金はちゃんと支払って。
「さてと、スタジオですネ、精霊の出番ネ」
 肩に掛けたバックの中の精霊を見て微笑むプリンキア。精霊達はバックの中ですやすやと眠っていた。

☆ スタジオ調査・精霊大活躍?

 そしてプリンキアはスタジオに到着する。時は陽が真上より少し下がってきた頃。
「Hnn……ここで2時って所ですカ、2時間程度調べられそうですネ」
 シュラインとの待ち合わせの時間が夕方、寮の前だという事から逆算すると、あまり時間が無い。
「さてと、調べるとシマスカ、人も居ないし、それにこの子タチは人の目に見えませんからネ☆」
 そう言って、バックの中の妖精達を起こす。時にはなかなか起きない妖精もいたが、それはプリンキアが優しく揺り起こして引っ張り出していく。
「さぁ、ミンナ、ここに現れる霊にツイテ調べてクダサイ、ブラウニーは手掛かりを探して、スプライトは何かあったら私に報告デス。翌朝に必ず迎えに来るから、頑張って探すネ♪」
 そう言うと、妖精達はわーっとスタジオへと向かって走っていった。
「ここに原因があるデショウけど、あとは真理自身のメンタルな部分に原因があるのも考えられますネ、真理のフェイバリットな菓子、確かあのクッキーでしたネ、買って寮前にでも行くネ」
 妖精達にスタジオの調査を任せ、プリンキアは真理の大好きなクッキーを買いに繁華街へと向かった。

★ 危機一髪?

 シュライン・エマは、女子寮前で待っていた。女子寮の入り口を見ると、なにやら警備員と男女の集団が押し合っている。
「……そろそろ、時間ね」
 シュラインが空を見上げると、夕焼けが紅く染まっていた。そして視線を戻す。遠くから青い髪の女性がこちらに向かって走ってくる。
「待たせたネ、ミズシュライン。真理のフェイバリットなお菓子買っていたらちょっと遅くなったネ、ソーリーネ」
「いえ……じゃ、行きましょうか。真理さんの所へ」
「OK、行くネ♪」
 そう言って、二人は入り口に入った。
 後ろではどうやら真理のファンらしい人達が騒いでいる。
『MARIA、俺達は声を失ってもMARIAの事が大好きだ!』
 熱狂的なファンのラブコール。
「ふぅん、真理はファンも多いネ」
 とプリンキアは彼らの声を聞きながら思った。ここまで熱狂的なファンがいるのは知らなかったから。
「一応、Top30には入っている歌手だしね……」
 と、二人を見つけた警備員が呼び止める。
「君達、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ? 許可とか取っているのか?」
「平川社長から、話は行ってませんか? 草間興信所の者ですけれど」
 草間興信所、と口に出すとすぐに、慌てて警備員は二人を中に招き入れた。
「驚きました。てっきり興信所の人と聞いたので、男性かと思いまして」
 と警備員は謝った。二人が良いわと言うと顔を上げて。
「社長から話は聞いています。平賀真理の部屋は三階の304です。階段を上がってすぐ左の部屋です。あと……社長から、大事にはならないようにしてくれと言われてますので、宜しくお願いしますね」
 興信所の人が来たと知られれば、マスコミがまた騒ぎ出すから、内密に、という事だろう。
「ええ、分かりましたわ」
「では、向かうネ。フェイバリットなお菓子で彼女を励ますネ」
 そう言って、二人は階段を上がって行く。そして、部屋に辿り着く。
 プリンキアは部屋のチャイムを押して。
「ミズ平川? いまイマスカ? メイクアップアーティストのプリンキアデスー、お見舞い持ってきましたネー」
 しかし、幾ら叩いても反応が無い。
「おかしいデスネ、部屋に居ると思うのデスが」
 と、プリンキアがドアノブを捻ると、鍵はかかっておらずに開いてしまう。
 二人は不審に思い、中へと駆け込む。入り口から奥のドアへ。ドアの奥からは、テレビの音がする。
「……ミズ平賀、大丈夫デスカ?」
 しかし、返答は無い。声を失っているのだから声での反応は無いだろうが、テレビの音以外は全く音を立てて居ない。テレビの音が周囲の音を消しているのだ。
「……仕方ないネ、行くネ」
 ドアをバンっと開ける。目に飛び込んできたのはテレビと、ベッド。
 そして、真理はベッドの上で目を閉じて、すぅすぅと寝息を立てていた。
「寝ていたダケですか……ふぅ、安心したネ」
 そういって、プリンキアは部屋を見渡す。フローリングの床に見慣れない物が落ちていた。それをプリンキアは手に持って。
「コレ……何でしょうネ」
 プリンキアが見つけたもの。それはさっきまでこの場に居た、司・幽屍(つかさ・ゆうし)の破邪の札だった。

 暫くして、真理が目を覚ました。突然に部屋の中に居る二人に体をすくめて怖がっていた真理だが、一人が知っているプリンキアと言う事に気付き、すぐに警戒を解いてくれた。
 真理の好きな、クッキーを食べながら。プリンキアは真理の様子を伺う。 確かにいつもとかわらない真理。しかし、いつもとは違う違和感を何処かに感じていた。
 しかし、何が違うのかは彼女達には分からなかった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26歳 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0818 / プリンキア・アルフヘイム / 女 / 35歳 / メイクアップアーティスト】
【0790 / 司・幽屍 / 男 / 50歳 / 幽霊】


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■   ライター通信          ■
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どうも、皆様始めまして。新人ライターの燕(つばめ)と申します。(多分新人ライターと着くのは次回まででしょう(汗))
これからどうぞ、お見知りおきを m(__)m

今回ご参加いただいた三名の皆様、どうもありがとうございます。
皆様のアクション、大変面白いアクションで、私も楽しみながら書かせていただきました。
今回の依頼は、調査編と解決編の2編構成で、今回のはその調査編のリプレイとなります。
前回の依頼に続き、全員ほぼ個別です。(一部一緒の部分はありますが……)
なんだかこっちのほうが自分の性に合って居るようですね(汗)

解決編に関してのヒントは、各キャラクターに分割して渡しています。司様の情報のみ司様個人所有です。
解決編に関してはその情報を使って下さいね。
解決編のみ参加するPCの方と、シュライン様及びプリンキア様の所持する情報は所持しています。

尚、文中の真理・及びMARIAというのは、誰も居ない街にて私が登録させて頂いた、
平賀・真理(ひらが・まり)です。詳しい情報は、誰も居ない街のコンテンツ等をご参照ください。
尚、私の登録した他の2人のNPCは、この依頼では出てこないのでご安心を。

>プリンキア・アルフヘイム様
 どうも始めまして。プリンキア様の口調、こんな感じでよろしかったでしょうか、ちょっと試行錯誤をしながら書いて見ました。 
もし、思った通りではなかったら申し訳ありません。m(_ _;;)m
 今回プリンキア様は、メイクアップアーティストという事で、芸能界へのコネクションを持っている唯一の方でしたので、真理と事前に逢った事がある(以前に何かの番組でメイクを担当した)、という設定で書かせて頂きました。
 妖精達の調査に関しては、解決編のオープニングに一部明記されます。現在シュライン様よりもう少し詳しい情報を持って帰ってきます。
 解決編はその日の夜に掛けて起こりますので、詳しく調べられていません。

解決編については、水か木曜日に依頼の受付を開始したいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。