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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


東京怪談・ゴーストネットOFF「行楽はいかがですか?」

■オープニング■
【27】行楽シーズン到来! 投稿者:丸山ツーリスト
秋と言えば行楽。暑い夏は去り、寒い冬はまだまださき。今こそアウトドアを楽しむとき!
果物が、紅葉が、河魚があなたの訪れを待っています!
あなたの望むがままの秋の行楽へ当社が誘います。
さあ今すぐ03−@@@@−@@@@へお電話を!

「…なんでうちの掲示板にこんな書き込みが来るかなあ」
 雫は眉間に皺を寄せて画面を睨んだ。
 それはそうだろう。どこからどう見てもこれは旅行会社の宣伝である。
「えーい、消しちゃえ!」
 雫は管理用のパスワードを打ち込もうとキーボードへと向かった。そしてふと気づく。
「……?」
 書き込みの下に不自然な空白がある。こうした空白には大概何かあるものだ。雫は小首を傾げながらマウスを動かし、その部分をドラッグした。

* 尚お届けする行楽には細心の注意を払っておりますが、何らかの障害が発生する場合もございます。予めご了承下さい。

「……何これ」
 ご丁寧に背景色と同じ色で記された注意書きに雫は思わず呟いた。

■本編■
「駒ちゃん」
 寒河江・深雪(さがえ・みゆき)はパソコンの前から同居人の座敷童子、寒河江・駒子(さがえ・こまこ)を呼んだ。なあに、と返事をした小さな家妖怪はちょこちょこと深雪の側へ寄ってきた。
 深雪は画面の前から少し体をずらして、今見ていたページを駒子に示した。
「ねえ、これ見て。秋の行楽ツアーだって」
 背伸びをして画面を追う駒子の様子を見計らい、深雪は言葉を継いだ。
「ね、行ってみない?」
「いいの?」
 駒子がぱあっと顔を輝かせる。深雪は大きく頷いた。
「今年の夏は暑かったし、私もバテ気味だから。お休みの日に予約して、一緒にいこう」
「うん★」
 早速リュックと重箱を引っ張り出しその日の算段を始める駒子を見やり、深雪は口元を綻ばせた。
 なんのかんのと忙しくて、このところゆっくりと駒子との時間を取っていなかった。
 大事な友人の小さな家妖怪は、その小さな体のまま気の遠くなるような時間を生きている、そして生きていく。ほんの少し先祖帰りが出ている程度の深雪では駒子と同じ時間は刻めない。
 そこにどんな孤独があるのか、深雪にはわからない。だがあるのだとするなら少しでも埋めたいと思う。それがとんでもない驕りなのだとしても。
「ね〜みぃちゃん、かるぴすはすいとうにいれていくんだよねっ★」
 はしゃぐ駒子に『お茶も持って行こうよ』と返し、深雪は胸の痛みを無理に仕舞いこんだ。
 それは考えても仕方のない事だったし、そうしたこと以前に、はしゃぐ駒子を見ることも一緒にはしゃぐ事も、深雪はとても好きだった。

 空は高く澄み渡っていた。雲一つない晴天は目眩がするほど高く遠く、そして心地よい。その抜けるような青に、色付きはじめた木々の赤が美しい。
「山だーっ!」
 誰かが雄叫んでいる声が響いたがそれに奇異の視線を向けるものはいなかった。誰もが同じ気分を共有しているからに違いない。
 秋口と言うこの時期にお一人様4000円と言う格安のツアーパック。それが多少怪しげな旅行会社の企画でも人が集まらぬ筈がない。多少の不安もこの景観を見せつけられれば途端に吹っ飛ぶ。
「楽しみね」
「うんっ★ みぃちゃんのくりおこわもこまこたのしみ」
 深雪と駒子が笑いあっているとパンパンと手を打ち鳴らす音が聞こえた。その音に反応してだろう、ざわめきがすっと引いていく。
「はい、ご静聴願います。本日は当社のツアーにご参加ありがとうございます。わたくし本日皆様のご案内をさせていただきます、角田と申します」
 角田と名乗った男は良く響く声で注意事項などを話し出した。
「それでは解散とします。集合時間は午後四時です。時間厳守でお願いします。いいですかくれぐれも時間厳守で!」
 角田は妙に力をいれて時間厳守を言い立てる。
「おじかんまもらないとだめなのかなあ?」
「まあ守った方がいいのは確かよね」
「そだね〜」
 多少不審ではあったが、深雪は気にしないことにした。駒子は元より気になどしていない。
 何しろ目の前にはきっちりと自然がある。どこからともなく甘い果実の香りも漂ってきているような気がする。
 不審さよりもその楽しみの方が、二人には余程重要だった。

 パシパシと軽い音が響く度に枝から実が弾け飛ぶ。
 木の下に立った駒子は広げた風呂敷の上にそれを受け止めていた。
「きゃ〜あ! だいごちゃんすごおい!」
 きゃきゃきゃと笑う駒子に、征城・大悟(まさき・だいご)は鼻の下を擦りあげて胸を張る。日本人形のような、所か日本人形そのものの愛らしい子供にこうも素直な反応をされては、張り切らないわけにも行かないのだろう。最初は自分の分だけのつもりでいたのだろうが、今は駒子の求めに応じて大盤振る舞いである。
 大悟はベアリングを構え、駒子に向かって手を振った。
「いよおし! 駒子! 次は三連発だからな!」
 駒子はよいしょとそれまでに受け止めた林檎の実を地面に広げた別の風呂敷の上に下ろし、また両手で風呂敷を広げる。広げた風呂敷をぶんぶん振って、駒子は大悟に合図した。
「いいよーぉ! だいごちゃーん!」
「よっしゃあ!」
 勢いよく弾き出されたベアリングは空を切り過たずに枝と果実とをつなぐ芯に直撃する。大悟は一発放つごとにほんの少しのタイムラグをつけてやった。木の下を右往左往していた駒子が「ひとおつ、ふたあつ、みっつー」と数を数えながら風呂敷でそれを受け止める。全部を受け止めた駒子は果実入りの風呂敷を抱えたまま、転げるように大悟に駆け寄った。
「すごいねえ、だいごちゃん。きのしたにもたくさんあるよぉ!」
 そして駒子は誉めてっとばかりに風呂敷の中身を大悟に示した。唐草模様の風呂敷の中には真っ赤に色付いた林檎がきちんと三つ収まっている。
 大悟は破顔して、わしわしと駒子の髪をかき回した。
「駒子も偉いじゃねえか。一つも落とさなかったろ?」
「うんっ!」
「駒子のおかげで俺も助かったぜ」
「うんっ!」
 力一杯頷いて、駒子はへへへと照れたように笑う。大悟は更に駒子の髪をぐしゃぐしゃとかき回した。
 実に心温まる光景である。
「…って、ちょっと」
 深雪(さがえ・みゆき)は頭を抱えたくなった。
 怖そうな外見の男に小さな女の子がまとわりつく。懐いた子供と一緒にはしゃぐ男。
 いい光景である。
 駒子が人懐っこいのは昔から知っているし、初対面の男に懐いてしまったところで何の不思議もない。はしゃぐ駒子を見るのは深雪も嬉しいし、征城大悟と名乗ったこの怖そうな男も、見かけに反して気のいい青年のようだ。
 だからそこは問題ではない、問題は…
「…あなた達何とも思わないの…?」
 駒子が木の下に放り出してきた風呂敷を手に、深雪は深く嘆息した。
 風呂敷に包まれているのは林檎に梨、そして柿。葡萄や栗は受け止める駒子の為に落とさなかったのだ。
 腰を思い切り折り曲げた大悟とつま先で力の限り背伸びした駒子は顔を見合わせて目を瞬いた。
「みぃちゃんど〜したの??」
「何かまずいのか、その柿渋柿だったりするのかあ?」
「…そう言う問題じゃないでしょ…?」
 深雪は振り返ってそれまで大悟がベアリングを打ち出していた木を指さした。
 その木はどの枝にも重そうに実を付けている。
 全く節操もなく様々な実を。
 梨を、林檎を、栗を、葡萄を、柿を。
 更にはメロン、苺、スイカ、マンゴー、スターフルーツと。季節もへったくれもなく様々な実が。
 同じ木に場所を争うように生っている。
 ああと頷いて、大悟は苦笑した。
「まー、木にメロンが生ってるのはどうかと思うけどよ」
「問題が違うでしょう?」
「そーかあ?」
「そうですっ!」
 腹立たしげに言い捨てる深雪の袖を、駒子がちょいちょいと引いた。流石に不機嫌な顔もしていられない、深雪はちょっと笑って膝を折り、駒子と視線を合わせた。
「みぃちゃんみぃちゃん?」
「駒ちゃん?」
 駒子はしゅうんと萎れてしまっている。俯き消え入りそうな声で駒子は言う。
「みぃちゃん、たのしくないの?」
 こまこはみぃちゃんとおでかけでたのしいのに。
 いや駒ちゃんはこのおにいさんとはしゃいでいたはずでは…?
 そう思ったが深雪はそれを口に出しはしなかった。萎れさせてしまった後悔の方がよほど強い。
「えーと、そうじゃなくって…え?」
 困ってしまった深雪の視界からいきなり駒子が消え失せる。慌てて顔を上げると、大悟がひょいと駒子を抱き上げて肩の上に載せていた。萎れていた駒子はいきなり高くなった視界にとまどって目を瞬かせている。
「楽しくない訳じゃねえって、なあ」
 そう言って、大悟は深雪の持つ風呂敷から梨を一つ取り上げ、Tシャツで拭い、躊躇いもせずに口へと運んだ。シャリ…と言う音がする。梨が水気をたっぷりと含んでいる証拠のような、小気味いい音だった。そうして大悟は梨を租借しながら大きく笑う。別に何の心配もねーよと語りかけるように。
「ちっと駒子が俺とばっか遊んでるから焼き餅やいてただけだって」
 駒子は大悟と深雪を交互に見やって小首を傾げた。
「そーなの?」
 尋ねる駒子を肩に乗せた大悟は片目を瞑って深雪に合図した。深雪は肩を竦めて苦笑した。
 まあそういう側面も、あったのかも知れない。
「ちょっとだけ、ね」
「なあんだあ」
 にぱっと駒子は笑い、ひょこんと大悟の肩から飛び降りた。そして深雪に飛びついてそのスカートの裾を引く。
「それじゃあねえ、こんどはみぃちゃんもいっしょにあそぼ?」
 そのまま駒子は深雪のスカートをぐいぐいと引く。深雪は笑って駒子に従った。
 ちょこちょこと深雪を木の下まで連れていった駒子は、唐草模様の風呂敷を大悟に向けてぶんぶん振った。
「だいごちゃ〜ん! またやってえ〜!」
 大悟は苦笑してポケットに手を突っ込んだ。
 それを見て深雪は苦笑した。思いがけず駒子を可愛がってくれる大悟に、少しだけ感謝した。

 三人は大いに遊んだ。
 確かに不審極まりないが思えばそんなことは覚悟の上だったのだ。
 澄んだ空気は心地よく、晴れ渡る空は美しい。果物の味もおかしな所はない。
 総じて不快なところがないのだ、この不審さの中には。
 だったら神経を尖らせるだけ損だ。
 大悟は次々と果物を落とし、駒子は受け止めてはそれを剥く。終いには剥いた果物を深雪が即席シャーベットにしだした。
 刻限が迫っていることに気付きもせずに。

 その声を駒子と深雪が聞いたのは、駒子が剥いたばかりの林檎を大悟に『あーん』しているときだった。
 大悟は流石に真っ赤になっていた。しかしそれでも耐えている辺り本気で人がいい。
 しゃくんと大悟が林檎を囓ったその音と同時に、その声が聞こえた。
「時間です」
「ほへ? だいごちゃんなにかゆった?」
 しゃくしゃくごくんと林檎を飲み込んだ大悟はいやと小首を傾げる。
「時間なんです、お客さま」
「…ひっ!」
 今度こそはっきりと、しかも耳元で響いた声に、深雪は思わず悲鳴を上げて身を竦ませた。
 反射的に振り返るとそこには今朝のツアコン、角田が困ったような顔で立っている。
「あ、え、な…」
 驚きの余りまともに言葉が出てこない深雪を柔らかく押しのけ、大悟が角田の前へ膝でにじり寄る。
「もうそんな時間かぁ?」
「もう時間です。さあお急ぎ下さい」
 心なしか青ざめた顔で、真剣に角田は言った。
「っていわれても」
 大悟の背中越しに角田を見やった深雪は、さっと周囲に視線を巡らせて溜息を吐いた。
 キャンピングシートの上にはでんと重箱が据えられている、中身は八割方無くなっているが。紙皿に紙コップ、水筒、果物ナイフに果物の皮。手つかずの果物や、深雪が作った即席シャーベット。
 これを何とかしないことには急ぎようもない。
 真っ先に駒子がひょこんと立ち上がり、キャンピングシートの上に散らばった紙皿を集め始めた。
「おじかんなら、はやくおかたづけしよ?」
 駒子は小さな体をせかせかと動かしつつ二人を促す。やれやれと肩を竦めて大悟は立ち上がった。深雪もまた立ち上がった。
「んーじゃとっとと片しちまおうぜ」
「そうねえ」
「いえ、あの…」
 角田はいよいよせっぱ詰まったように顔色を変える。
「もう刻限なんです。お土産だけお持ちになって急いで集合場所へ…」
「そんなこと言われても、お重はうちのですし、散らかしたまんまっていうのもあんまり…」
「いいえそんなことはこの際どうでも! 時間が…」
 パキン。
 完全に蒼白になった角田の声を遮るように、澄んだ乾いた音が響いた。
 ぱりぱりと何かの破片が周期の空間から割れて落ちていく。
 そして世界は一変した。

「ああ?」
「ふへ?」
「きゃ…」
「…まあ…」
「そんなことだろうとは思ってましたけど」
 そこからは良く晴れた空が見えた。
 けれど澄み切った空気は排ガスの香りのする慣れたものに変わり、青々と下草の茂っていた大地は冷たいコンクリートに変わった。
 そこには小川はない。勿論果物の実った木々もない。
 どこからどう見てもふきっ晒しのビルの屋上だ。
「あああああああ〜…」
 角田が頭を抱えて座り込んでいる。
 周囲を見渡すと呆然と突っ立っている他の客に混じる、妙に落ち着き払った顔が目に付いた。
 その片割れが片手をあげて近づいてくる。
「ああ、深雪さんに駒子さん。いらしてたんですね」
 九尾・桐伯(きゅうび・とうはく)の姿に、深雪が軽く目を見開いた。
「桐伯さんこそ」
 微妙に盛り上がりかけた空気に水を差したのは、九尾の後ろから登場した真名神・慶悟(まながみ・けいご)だった。
「あーまー、盛り上がる前にちょっと見てみろ」
 真名神が指さしたのは頭を抱えてうずくまる角田。
「…おいおい」
「うそ?」
「まあ、分かってましたけどね」
「そうだな」
「あ〜、かわいい〜!」
 駒子が角田に飛びついた。正確にはその尻に。そこにはえた、ふさふさの尻尾に。

「なに? 一体どういうことなの?」
「…あーんまし考えたくねえなあ、オイ」
「まあそれが懸命ですけどね」
「う〜んと?」
「つまり俺達は化かされてたということだな」
 夢見心地のまま客達は引き上げていった。残ったのはこうした『何やら妙』な事態に慣れている五人だけだった。一人に至っては存在からして『何やら妙』である。
 その五人に囲まれて、角田は怯えきっていた。器用に隠していた耳と尻尾が出てしまっている。少々焼きすぎのトーストのような色の耳と尻尾が。
「まあ…不況なわけです。わたくしどもも」
 角田はびくびくと耳と尻尾を反応させ、上目遣いに一同を見上げた。
「ご覧の通りわたくしは狐でございまして…まあ漸く化けれる程度の、単なる狐なのですが」
 深雪がうーんと唸る。
「それにしては大がかりな幻だったと思うけど」
「それはまあ…わたくし一匹というわけでもございませんので。完璧に人に化けれるのはわたくしだけですが」
 なるほどだから角田だけが人前に出てきていたわけだ。
「まあ、不況なのでございます。それはまあ、京の伏見さまのところのように、そこまで行かずとも稲荷として祀られていたり使役されていたりするものはいいのですが、わたくしどものように中途半端に霊力がついてしまったものは難儀でございまして」
「…まあ分からないでもないですが」
 九尾が苦笑する。
 自然破壊によって生息地区は限られているのだろうが、それでも狐の数は稲荷等より余程多かろう。ただの狐のまま天寿を真っ当出来るものはいいとして、何らかの原因で『化ける』ことを覚えてしまったものは寿命も延びる。確かに難儀だろう。
「それで、なんで旅行会社だ?」
 真名神の問いに、角田はぱっと顔を上げた。とんがった耳がぴーんと立っている。
「化けることを覚えますと、同時に惑わすことも覚えます。狐や…同じにされるのは業腹ですが狢の類が人を化かすと言う話は有名でございましょう。それをなにも悪戯ばかりに使わずとも良いのではと」
「で、ツアーかあ?」
 呆れる大悟に角田はこくこくと頷く。
「わたくしどもはまだ未熟で見たこともないものの幻などとても作れませんが…山や河は良く知っております、ですから」
 元は山野の獣なのですから。
 深雪は項垂れた角田の側に膝をつき、その顔を覗き込んだ。
「これは素朴な疑問なんだけど、その山野で静かに暮らしたりは…できないの?」
「縄張り争いも過酷でございますし、わたくしどもがおりますと、わたくしども程度でも野の獣にあまり良い影響は与えません。それになにより!」
 やおらがばっと角田が顔をあげる。
「どん兵衛の甘い味付けのお揚げ、ローソンのいなり寿司! 赤いきつねなど絶品! あの味を知って何故野ネズミや蛙で腹を満たす気になれましょう!」
 あの哀愁はなんだった!?
 全員が心中で突っ込んだのは言うまでもない。
 呆気にとられる一同を見渡し、角田はこほんと一つ咳払いをした。微妙に頬が赤いところを見るとどうやら照れているらしい。
「まあ、そう言うことなのでございます。して、皆様?」
 言って角田は立ち上がり、恭しく腰を折った。
「本日の旅行、ご満足頂けたでしょうか?」
 そのまま上目遣いに見上げられ、一同は顔を見合わせた。
 景観が幻であったのは残念だが、それでも感じた清々しさは、のんびりとした時間は、本物だった。おまけにお一人様4000円ぽっきり。
 一同は顔を見合わせて笑い、大きく角田に頷いて見せた。

「なかなか有意義な一日でしたね」
 九尾の声に、苦笑混じりながらも真名神が頷く。
「まあいい休養にはなったな」
「うん☆ こまこもたのしかったよ」
「そうね」
「何より安かったしな」
 大悟の言葉こそ真理だろう。大枚叩いて観光地へ出かけていっても満足できずに帰ってくる等と言うことは少なくない。
 だからこそそれが幻でも、安くて楽しかったのだからそれでいい。
「さて皆さんこれから私の店へいらっしゃいますか? 二次会も悪くはないでしょう?」
「こまこいきたい!」
 真っ先に同意したのは見た目は子供でしかない愛らしい座敷童子で、それが一同の微笑を誘った。

「いこっか駒ちゃん」
「うん♪」
 深雪は駒子の手を引いた。とても幸せな気分だった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【0389 / 真名神・慶悟 / 男 / 20 / 陰陽師】
【0174 / 寒河江・深雪 / 女 / 22 / アナウンサー(お天気レポート担当)】
【0662 / 征城・大悟 / 男 / 23 / 長距離トラック運転手】
【0291 / 寒河江・駒子 / 女 / 218 / 座敷童子】
【0332 / 九尾・桐伯 / 男 / 27 / バーテンダー】

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■         ライター通信          ■
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 はじめまして、里子です。今回は参加ありがとうございました。
 夏だと色気づきますが、秋になると食い気づきます。
 個人的に梨は二十世紀より幸水の方がおいしいと思います、どうでもよさげなことですが。<苦笑

 今回はありがとうございました。また機会がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。