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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


赤い衣の貴婦人

■ オープニング
 草間興信所に届いた一通の手紙。
 その封を開けると、草間探偵はかすかに眉をしかめた。
 それは、数枚の便箋と共に一通の招待状が同封されていた。
 『国中雄輝 秋吉水代挙式のお知らせ』

 10月の吉日のある日を選び、先日この興信所を訪れた若い夫婦は、正式に挙式を行うらしい。
 彼らにとっては難物であった、夫の許婚の女性が起こした騒ぎが、その女性の実家にも有無を言わせぬことになったのだろう。
 赤を好み、身の回りのものをすべて赤く塗りつくさなければ気のすまない山之口紅乃という女性は、自分の破壊した動物の血に塗れながら、雄輝を憎み、鬼となり夫婦を襲った。
だが、草間探偵の協力者の為にそれを阻まれ、マンションの上から身を投げた。
 彼女はかろうじて命はとりとめたものの、意識もない状態のまま病院のベッドの上にいる。

 草間はまだ忘れるわけにはいかない、その忌々しい事件を思い出し、表情をしかめながら封筒を取り出した。
 そこには雄輝の丁寧な文字で、草間探偵への新しい依頼状が書かれていた。

「先日はありがとうございました。今、僕達の命があるのも草間さんや皆さんのおかげだと思っています。
 さて、おかげさまで僕達は正式に国中の家で暮らせることになりました。
 ぜひ皆様にも来ていただきたいと思っているのですが、その前にまたご相談にのってもらいたいことがあるのです。
 実は、先日、また出たのです。出た、というのは変ですが、国中の僕の部屋から夜中に庭を眺めていたら、その庭を赤い髪の赤い着物の女が歩いていくんです。
 紅乃さんはいまだに病院で目覚めることもなく、こんこんと眠り続けていると聞きます。
 もしかしたら、彼女は僕をまだ恨んでいて、心だけ抜け出してやってきたのでしょうか?
 水代はさらに、夕方に屋敷を歩いていたら、赤い着物の女に刃物を向けられ傷つけられそうになったとまで言うんです。
 どうか…もう一度僕らを守ってくれないでしょうか。お願いします」

 草間は暗い気持ちになりながら、便箋を机に戻した。
 実はあれから、草間も自主的に情報を集めていたのだ。
 紅乃が変化した鬼を倒した後、あの街での動物虐殺事件は起こっていない。
 だが、国中家の周りで新たにその被害が発生していた。
 動物に毒を盛り、殺して、その血を抜いて去っていく。その手口は紅乃ではなく、生きている人間の仕業に思えてしょうがないように思えるのだ。

■ 国中家屋敷 10月○日 午後1時
 東京某所。高級住宅街と呼ばれる、軒並み大きな屋敷が立ち並ぶ町の一角に、国中と門扉に書かれた古い屋敷は存在していた。
 敷地坪数にして300坪は優にあるだろう。広大な敷地の中に三階建ての緑の屋根の洋館がそびえたつように作られている。屋敷の外観はとても古いものだが、手入れは行き届いている。
煉瓦色の壁につたう蔦の葉まで、絵に描かれたような優美さだ。
「…」
 風見・璃音(かざみ・りおん)は、その屋敷の前に立ち、長い黒髪を軽く風になびかせながら、軽く睨みつけるように辺りを眺めていた。
 透き通るような色白の肌、凛とした雰囲気の端正な顔立ちの女性である。稀に見るような美人だが、人に媚びるような甘さはけしてない。孤高の美しさというべきか。
 彼女はまるで、屋敷の中の空気に何かを発見したかのように、じっと屋敷を見据えていた。
「璃音ちゃーん」
 レザージャケットを纏った少女が璃音の名を呼びながら、駆けてくる。
 茶色の長い柔らかそうな髪を揺らしながら、月見里・千里(やまなし・ちさと)は璃音の隣まで駆けてきて、大きく息をついた。
 今時の女子高生は発育が良いとは言うものの、その中でも背が高く、足もすらりと長い。胸がもう少しあればスタイル抜群といった感じだろうが、やや細すぎる。
 大きな瞳がそうさせるのか、大人びた体つきなのに、表情だけは幼く可愛らしい彼女は璃音の側につくと、「やっと追いついたー」と嬉しそうに言った。
 璃音の緊張した表情が軽く緩む。
「千里ちゃん」
「他のみんなはまだ来てないみたいだね」
 千里は辺りを見回して、それから璃音に尋ねた。
「なんだか怖い顔してた?」
「…う、ん? そんなことないわよ」
 璃音は肩をすくめて笑ってみせる。
 屋敷に漂う風の中に、微かに血の匂いを感じたような気がしたのだ。
 確かめようと思ったのだが、わからなくなってしまっていた。
 口には出さないが、璃音は本当は人ならざる者である。銀の狼という真の美しい姿を持っている。とある存在を探して、今は人の身になり、日銭を稼ぐ生活に勤しんでいるけれど。
(気のせいだったのかな…)
 彼女のその正体ゆえに、敏感な嗅覚を刺激した匂い。だが、璃音はひとまず忘れることにした。
 
 二人の背後に一台の車が止まった。
 雑談をしていた二人が振り返ると、それは草間探偵の車だった。後部席のドアが開き、シュライン・エマと鬼頭・なゆ(きとう・-)が顔を見せた。
 シュラインは草間探偵と親しい女性で、中性的な容姿を持つ、彫りの深い端正な顔立ちの美人だ。
 黒い長い髪を後ろで一つに束ね、ジャケットを纏い、ファイルを片手に車から出ると、千里と璃音に微笑んだ。それから、なゆが続けて降りるのを手伝う。
 なゆはまだ五歳の少女で、ゴシックロリータ調のレースのふんだんに使われた可愛らしい黒のドレスを纏い、おおきな熊のぬいぐるみを抱えていた。
「なゆちゃんも来たんだ」
 千里はちょっと驚いたように言うと、なゆはにっこり微笑んだ。若干大人びて見えるが、その微笑みはあどけない。金色のふわふわとした髪に青い瞳の表情は、本当に精巧に作られた美しい西洋人形のようにも見える。
「うん、千里おねえちゃん、璃音おねえちゃん、宜しくおねがいします」
「じゃ、武彦さん。後は…」
 シュラインが車の方に何か語りかけている。草間はシュラインに頷くと、窓を閉め、そのまま車を発進させた。
「あれ、草間さん来ないの?」
 璃音がシュラインに尋ねると、シュラインは頷いた。
「ちょっと調べてもらってることがあるの。また後で顔を出してくれるとは思うんだけど…」
「そうなんだ。後は真名神さんだけか」
「ああ、遅れたな」
 千里の呟きに返事を返すように、建物の角から真名神・慶悟(まながみ・けいご)が顔を出した。
 金色に髪を染め、片方の耳にピアスをつけた、一見派手な青年である。黒いスーツの下には赤いシャツをつけ、派手なネクタイをしている。遊び人のように見えるが、実は凄腕の陰陽師だ。
「紅乃さんのいる病院に寄ってから来たんだ。待たせてすまない」
「紅乃さんの様態、どうだった?」
 シュラインが尋ねる。
 慶悟は首を横に振った。
「あれから一度も意識を取り戻さないようだし、植物人間状態が続いているようだ。ただ、時折、うわごとみたいに今でも「雄輝さん雄輝さん」って呟くらしい」

 山之口・紅乃。それはつい先日彼らが関わった事件に関係する女性だった。
 赤い色に身の回りのもの全てを染めなければ気がすまないという性癖に、幼い頃からの許婚であった雄輝という男性が違う女性と結婚してしまったことから、彼女は狂ってしまった。
 小動物を殺し、その血に塗れた部屋で、呪いをかけるような真似をして、さらに鬼に変化して雄輝の家を襲った。そして、雄輝とその妻を守るために滞在していた彼らの手でトドメを刺されたのだ。
 その鬼は彼女の生霊であったのか、彼女本体は何故か離れたビルの屋上にあり、そこから身を投げ、病院に運ばれたのである。

「あーもぉ、嫉妬深い女性は嫌われるんだぞーっ」
 千里が憤ったように声を出す。
 多分、屋敷に今でも出るという赤い着物をまとう女は、紅乃の生霊なのかもしれない。植物状態になりながら、その心は今でも迷っているというのか。
 それに彼女の生霊は、夫婦に危害を加えようとしたのだ。放っておいていいはずがない。
「私、お屋敷の寝ずの番するからね!! ストーカー女なんて近づけないんだから」
「おいおい、学校は?」
 慶悟が言うと、千里は視線を合わせずに軽い口調で言った。
「創立記念日だから大丈夫!!」
「あ、今、千里お姉ちゃん、嘘ついた♪」
 千里の足元で、なゆが笑う。なゆの持つ能力は、サイコキネシスとテレパシーだ。千里の心の中を読んでしまったのだろう。
「なゆ、お姉ちゃんの心の中の声、聞こえたもん」
「…も…もぉ、嘘じゃないってばぁぁ」
 千里は顔を赤らめたが、それでも、「こんな大事なときに学校なんか出てられないもん!!」と周囲に頑固に言いきった。
「全く困ったわね」
 シュラインが苦笑すると、璃音も目を細めた。
「早く事件を解決させなきゃ、千里ちゃんが落第しちゃうわね」
「もう、ちゃんと普段は真面目にいってるから、ちょっとくらいなら大丈夫なんだってば!」
 千里がぷぅと頬を膨らませたとき、屋敷の方から人の声が聞こえた。
 振り返るとそこには、雄輝と水代の夫婦が、庭園の奥の方にある玄関からこちらにむかって歩いてくるところだった。
「やあ、よく来てくれましたね」
 仲睦まじい新婚の夫婦である。彼らは先日まで苗字を秋吉と名乗っていたが、今は正式に夫の苗字である国中に改めたらしい。
「本当に…先日はありがとうございました。僕達がお迎えに上がらねばならないのに、わざわざ来ていただいて申し訳ありません」
 彼の隣の水代も、上品な紺の着物を纏い、穏やかに微笑んで、夫と共に頭を下げた。
「お茶の用意をさせていただきました。どうぞ中に入られてください」
「あ、じゃあ遠慮なく…」
 千里がそう言って歩き出そうとした時、後ろから璃音がぐいと袖を引いた。
「どうしたの?」
「千里ちゃん、私、ちょっと他をまわってくるわね。しばらくしたら戻るから。何かあったら携帯に連絡する」
 そう言って、きびすを返したように離れていく。
 千里はその背中を見送り、それから、水代の後についてゆく他のメンバーの後を追いかけた。

■国中家屋敷 午後1時30分
「この屋敷に引っ越したのは、先月の下旬のことです。僕がはじめてあの赤い着物の女を見たのは、それから一週間くらいしてからでした。でも、最近では、ほとんど毎晩のようにその姿を見るものが屋敷の中にいるんです」
 雄輝は彼らを客間に通すと説明を始めた。
「大体現れる時間は決まっているんです。夜中の12時から2時くらいまでの間。屋敷の者が見たというのは、大抵、ただ歩いているだけの姿のようなんですが、妻は、その女に襲われそうになったといいますし」
「ええ、あの人に私、包丁みたいなものを突きつけられたんです。…怖かったわ」
「紅乃さんがうらんでいるのは僕だけと思っていたのに…どうして水代に」
 雄輝は苦しそうに息をついた。
「紅乃さんだと思ってるのですね」
 シュラインが雄輝に尋ねた。
 雄輝はシュラインを見つめ返し、軽く首をひねる。
「あんな格好をするのは、紅乃さんだけだと思います…。顔は見たわけじゃないですが」
「それは紅乃さんなんじゃないかなぁ。紅乃さん病院で眠りながら、そんな夢を見てるんじゃないかなって、なゆ思う」
 くまのぬいぐるみを抱きしめながら、なゆが言う。
 千里も頷いた。
「赤い着物の女が出たのって同じ時間なんだよね!水代さんのことはあたしが守ってあげるから任せてっ!」
「なゆも水代さん守ってあげるよ」
 なゆと千里に見つめられて、水代は顔を赤らめたかと思うと、突然、着物の袖で顔を伏せた。そして背中を揺すって、泣きじゃくる。
「あ…ありがとう…ふたりとも」
 雄輝も水代の背中を優しく撫でた。
 思えば新婚生活の数ヶ月のうちにいろいろあった二人である。この慣れない屋敷の中でも気をつかい、苦労していたのだろう。
 千里となゆは同情するように、泣いている水代を見つめた。
「真名神さんと、シュラインさんはどうする?」
 千里に聞かれて、二人は視線を見合わせる。
「私はちょっと調べたいことがあるの。一度興信所に戻るつもりよ」
「俺は…病院に行ってみようかと思う。その前に屋敷に守りをつけてから行くが」
「なるほど」
 メモに行動をとって、千里は大きく頷いた。
 その時、部屋の戸をノックする音が、客間に響いた。そしてドアが開き、恰幅のいい男性が入ってくる。
「失礼するよ」
「あ、父さん」
 雄輝は慌てて立ち上がる。水代も顔を拭って、立ち上がった。
 髭を蓄えた紳士然とした初老の男性だった。雄輝の父らしい彼は、客間に集まっているメンバーに軽く会釈をした。
「…雄輝の言っていたお客様たちですね。…どうぞ宜しくお願いします。…ワシには雄輝達の言うことは何かの見間違いではないかとしか思えないのだが…気になるなら心ゆくまで調べてもらうのが一番だからな」
「ええ、父さん。そのつもりです」
 雄輝は頷いた。
 彼は客人に挨拶をしに来ただけのようで、そのまま頷くと部屋を出て行く。
 それを機に彼らも席を立つことにした。

■国中家屋敷 午後3時
 なゆと千里は、水代の部屋にいた。
 水代の部屋は、屋敷の一階の奥にあり、個室になっているようだった。結婚式までは部屋を別にするのだという。
 水代は部屋に戻ると、今までの緊張した面持ちから開放されたように、ほっと息をついた。
「まだお屋敷の生活全然なれてなくて、緊張しちゃうわ」
「でも幸せ?」
 千里が尋ねると、水代は目を細めて強く頷いた。「もちろん」
 なゆは部屋をきょろきょろと見回し、壁にかけられていた白いドレスを見つけて、指を向けた。
「あー、ドレスだー」
「なにっ」 
 千里は飛びつくように、なゆの指差す方向に身を乗り出す。
 そこにはウェディングドレスが飾られていた。
「昨日、仕立て屋さんから出来てきたの。…素敵でしょ」
「うんっ!」
 千里はウェディングドレスに駆け寄ると、近くによって眺めた。
 なゆも近づいてきて、眺めて微笑む。
「なゆもこんなドレス着てみたいなー」
「なゆちゃんが今着てるドレスも可愛いわよ、とっても」
 水代は微笑みながらなゆに言い、千里を振り向いた。
「ちーちゃん、着てみる?」
「えっ!」
 千里はオーバーなリアクションで水代を振り返った。
「いいの!?」
「顔に着てみたいって書いてあるわよ〜。いいわよ。千里ちゃん背も高いし、私とあまりかわらないもの。サイズも大丈夫だと思う」



「なゆもお手伝いするよ。千里おねえちゃんいいなぁ」
「なゆちゃんにも着られるようなドレスがあるといいのだけど、小さな子用のはさすがにないわね…男の子のだったら多分たくさんあると思うんだけど」
 雑談しながら、水代は自分の衣装室へと二人を招いた。そこには、雄輝の母である国中由紀子から贈られた山のような衣装が用意されていた。
「すっごーい」
 歓声をあげる千里。
「何枚くらいあるのかな?」
「私もまだ把握してないわ。…本当にお金持ちってすごいわよね。…ささ、ちーちゃん着替えましょ」
「着替えましょ」
 水代にまねてなゆが続ける。
 三人はそれから夕食まで、衣装室で遊んでいた。


■赤街病院 午後0時
 慶悟は、紅乃が入院している病院のロビーにいた。
 外来病棟は既に受付も終わり、そこらにいるまばらな人影は、入院患者かその見舞い客だ。
 その中で一人腰掛けて、タバコをふかしながら、慶悟はいろいろな場所から集まってくる情報を整理していた。
 彼は病院に来るまでの間に、国中の屋敷のまわりに十二の式神を配置しておいた。屋敷の中心から十二の方位をそれぞれ守る式神である。
 もし何か邪悪なものが、屋敷に近づけば、式神たちはたちまち反応するだろう。彼らは自ら判断できる高度な知性を持つ式神だからだ。
 また、ロビーにいながらも、鳥の姿に変えた別の式神で、ICUに入っている紅乃の姿を窓の外からとらえてもいた。
 式神の情報は視覚として慶悟の元にも届く。たくさんのそれを頭の中でまとめながら、慶悟はタバコの煙を吐いた。
「ん…」
 ふと集中を解いたとき、背後で男女がいさかうような声が聞こえてきた。
 振り返ると、雄輝と初老のやせた女が何かもめている。
 その女の姿はどこかで見たような気がした。紅乃に似ているのだ。
 ロビーの椅子から立ち上がり、その様子を眺めていると、雄輝は助け船を見つけたように慶悟に気づき、近づいてきた。
「真名神さん、すみません、助けてください」
「どうしたんだ、一体」
「雄輝さん、逃げないで! 私の話を聞いてっっ」
 ヒステリックな声を出して、女が追ってくる。雄輝は頭を抱えながら慶悟に言った。
「この方は、紅乃さんのお母さまなんです。…ええ、あなたの話はわかってます…。僕も彼女には本当に悪いことをしたと思っていますし…でも、どうしたらいいっていうんですか?」
「…わかって欲しいだけなの…。それにこの日記を信じるなら、あの子のいう女っていうのは、…」
「水代っていうんですか!? やめてくださいよ!」
 雄輝は軽く怒鳴るように答えた。
「こう…言っちゃなんだけど…多分、紅乃さんは気がおかしくなってた…。その時の妄想の日記じゃないですか…なんで僕がそれを信じないといけないんです。いい加減にしないと本気で怒りますよ」
「…あ…」
 女はうつむいた。そして雄輝は半ば逃げるように病院から帰っていった。
 紅乃の部屋を見張っていた式神が彼を見なかったということは、多分雄輝は見舞いに来て、待ち伏せしていたこの女に出会ったのか。
 残された慶悟は、うなだれている彼女に恐る恐る声をかけた。
「日記…見せてもらってもいいかな?」
 彼女は顔を上げた。彼女は名前を山之口・碧と名乗った。紅乃の母である。
 夫を早くに亡くし、たった一人の娘は今、死線をさまよっているのである。尋常ではないような雰囲気が彼女からは伝わってくる。
「…紅乃は…騙されたの…あの女に」
 力なく慶悟の隣に座り込み、顔を伏せて号泣しながら、碧は慶悟にあちこちに血のこびりついたような跡のある一冊のノートを手渡した。
「…これは?」
「紅乃がいたっていうマンションから出てきました。…あの子が書いたん…です」
 慶悟は泣き続ける碧の横で、その汚れたノートを開く。そして…

「…これは…」
 慶悟はそのノートの内容を読むと、顔をしかめた。

■赤街病院 午前0時30分
「こんばんわー」
 後ろから元気いっぱいの声が響く。
 ノートに見入っていた慶悟はわぁっ、と小さく叫んでから、背後を振り返った。そこには千里がにっこり笑っている。
 千里は紅乃と遭遇するべく、現れるという0時前後を見計らい、屋敷から病院の方へ向かってきたのである。
「来ちゃった」
「来ちゃったじゃない」
 慶悟はさらに渋さを増した表情で千里を振り返り、軽くげんこつを頭に乗せる。
「そのノートなにー? 見せてー」
「駄目だ」
「どうしてー?」
どうしても、とやや意固地になりつつ慶悟は言って、ふと黙り込んだ。
「…どうしたの?」
 千里が見上げると、慶悟は碧に一礼し、病院の中庭の方に向かって駆け出した。あわてて千里も後を追う。
 中庭に出た慶悟は、空を見上げた。
 そこには、紅乃のいる四階の部屋の窓から、赤い髪の赤い着物をつけた女が静かに抜け出し、宙を歩くように浮いていた。
「…行き先は国中家だろう。後を追うぞ」
 慶悟はタクシーを拾うために、今きた道を引き戻し、表玄関に向かおうとする。だが、千里は慶悟の後を今度は追おうとせずに、空に手のひらを向け叫んだ。
「翼よ!!」
彼女の体が白い光に包まれる。光は彼女の背中で翼の形に変化し、そして光が収まると、千里の背中には立派な天使のような翼がついていた。
「真名神さん、先行くねー♪」
 千里はその翼を大きく羽ばたかせると、地面を蹴って空に飛び立つ。
「…あ、待てっ」
 慶悟はその空に浮いていく背中を見送り、小さく息をつくと、玄関の方に戻っていった。
 
 千里は空を飛びながらPHSで、屋敷のなゆや璃音で連絡をとりあう。だが、璃音には連絡は繋がらなかった。
 シュラインからは慶悟から連絡が先にいったらしく、屋敷の方に向かうからと向こうから知らせてくれた。
 
 千里はPHSを切ると、紅乃に近づこうと速度を上げた。
 だが、すぐ側に近づいても、紅乃はまったく気づく様子がない。
「…紅乃さん!? ねぇってば」
 彼女はただ屋敷に向かっていた。心は無心のように、恨むでも憎むでもなく、ただ屋敷に向かっているのだ。


■国中家屋敷 午前0時30分
 なゆは屋敷の玄関のところに一人ぽつんと立っていた。
 レースのついた可愛らしいネグリジェをつけ、ボディガードのようにいつものくまのぬいぐるみを抱きしめて、じーっと空を見上げていた。
 真夜中の人気のない道に、ひとりぽつんと小さな少女が立っているのはとても目立つ。やがて紅乃を追ってきた千里が、なゆを見つけて先に地上に下りてきた。
「なゆちゃん! 水代さんの側にいたんじゃなかったの?」
「千里お姉ちゃん」
 なゆは千里を見つけると抱きついた。
「水代さんが見つからなくて…」
「えっ、どうして?」
なゆは水代と一緒のベッドで一緒に眠っていた。だが、目が覚めると水代がいない。
 千里の電話があったとき、すぐに探し回ったのだが、その姿を見つけられなかった。
「あ、…でも大丈夫と思うっ」
 一瞬パニックになった千里だが、すぐに気をとりなおして、なゆに笑った。
「真名神さんの式神がいるから、屋敷には入れないよ」
 屋敷を取り囲む十二の式神が、紅乃の姿をとらえ、威嚇するように赤く光り輝いているのが見える。
 紅乃はその姿にひるみ、宙に浮かんだまま、手も足も出せないでいる。
「ね」
「うん」
 なゆは大きく頷いた。
 慶悟を載せたタクシーもやがて到着し、彼も合流する。
「二人とも大丈夫か」
「平気だよー」
 千里が言うと、慶悟は空を見上げ、納得したように頷いた。
「話しかけても反応しないの、紅乃さん」
「そうか…」
 慶悟は呟くと、式神に彼女を捕らえさせようかと符を胸元から取り出そうとする。だが、その時、落ちてくるように紅乃の体が地面めがけて降ってくる。
 激突は避け、ふわりと地上に立つと、紅乃は三人を見つめた。
 それは先ほどまでとは違い、意思を持つ瞳だった。だが、彼女の向こう側の景色が透けてしまうような存在感で、紅乃は小さく呟いた。
『…助けて…助けてください…』
「どうしたの? お姉ちゃん、悲しいの?」
 なゆが何かを感じ取り、紅乃に近づこうと歩き出す。千里はその肩を止めて、尋ねた。
「紅乃さん、しつこいのってあんまりよくないと思うなっ」
『…あの人を助けて… お願い…』
「あの人?」
 慶悟が聞き返す。紅乃はその白い頬に一筋の涙を落とした。
 そしてすうっと空気に馴染むようにその姿を消した。

 その時だ。
 屋敷の中から、甲高い女の悲鳴が辺りの暗闇に響き渡っていった。。

■高山住宅地 深夜0時10分
 璃音は闇夜の住宅街を走り抜けていた。
 その姿は人ではなかった。彼女の本当の姿である美しい銀の狼と化していた。月の光のような美しいしなやかな体で、大きな屋敷の屋根つたいに走っている。
 彼女の向かう先は、国中の屋敷ではなかった。
 陰惨な血の匂いとかすかに聞こえた悲鳴。
 それは国中の屋敷から数キロ離れた、空き地の中だった。
 住宅の工事中らしく、白い幕で覆われたところにもぐりこみ、璃音は辺りを見回した。
「あっ」
 柱用の木材が積み重なっているところの下に、まるで隠しているかのように小さな子猫が荒い息を漏らしていた。
「大丈夫?」
 鼻を近づけ、木材を払う。
 駄目だ。
 子猫の様子を目の当たりにして、璃音は目を伏せた。
 子猫の体には、工事現場にあったのか先端を尖らせてある小さな杭が打ち込まれていたのだ。
「…ママ」
 まだ生まれて2〜3ヶ月だろう白い毛の子猫は、小さく呟いた。
「誰が…誰がこんなことしたの?」
 胸が苦しくなるほどの衝撃をこらえながら、璃音は子猫に尋ねた。じわじわと涙が目元にあふれてくる。
 どうして、どうしてこんなことできるのだろう。
「赤い…赤い服のヒト」
 子猫は小さくかすれた声で呟き、そして動かなくなった。
「……」
 璃音は声にならない悲鳴を発した。体が震える。辺りに残る匂いを嗅いだ。
 これはヒトだ。人間。…かすかに白檀の香りを感じる。
 待って…この香り、覚えがあるわ。
 憤りが先にたち、気持ちが集中できない。
 あせればあせるほど、涙がこぼれる。許せない許せない。絶対に。

「…やめておきなさい」
 静かな声が璃音に耳に届いた。
 璃音は顔を上げる。 彼女の視線に、一匹のゴールデンレトリーバーの姿があった。
 工事現場から向かい側の家の、門扉の奥に佇んでいたのだ。
「…あれは悪魔よ。関わらない方がいいわ」
 凛とした声で、彼女は語った。
 璃音は彼女に近づく。
「前からいるの?」
「最近よ。…でも、たくさんの子達が殺されたわ。…私の…私の赤ちゃんも…」
 彼女は目を伏せる。
「でも、あれは触れてはならない種類のもの。…あなたも深追いしちゃいけない。…きっとまたどこかに通りすぎていくわ」
「そんなこと言って!!」
 璃音は叫んだ。
「これは人間の仕業よ。私は犯人を探すわ! あなたも正体を知っているんじゃなくて? お願い、教えて!」
「…」
 彼女は俯いた。
「私はあなたよりも力があるわ。…わかるでしょ。自由だし」
「…わかります。あなたは偉大な存在…けれど、関わって欲しくない。あれはただの人間じゃない。悪魔の心を持った、本当に残忍な女…」
「赤い服を着ている女なのでしょう? あなたが教えてくれなくても私はきっと探し出すけど!」
 この白檀の香りを辿ってゆけば、きっと犯人に辿りつくことは明白に思えた。
 彼女は溜息のように小さく唸ると、ぽつりと答えた。
「この通りの二つ向こうのずっとずっと南に、白い壁に緑色の屋根のお屋敷があるの。…そこに新しくきた女。あの女よ」
「…え」
 璃音は彼女を見つめ返した。
 それは璃音が今来た方向だ。緑色の屋根の屋敷、それは国中の家だ。
 新しくきた女…は。
「…あっ」
 璃音の体に再び戦慄が走った。この白檀の香り、そうだ。あれは、あの夫婦に会った時に、水代の着物から漂ってきた香りだ。
「…私行くわ」
 彼女に言うと、きびすを返し、璃音は銀色の狼の姿を高くジャンプさせた。再び屋根づたいに飛び乗り、闇夜を駆け出す。
 何かとても嫌な予感がした。
 
 やがて行く先で、その女の轟くような悲鳴を瑠音は聞いた。
 さらに近づくと、むっとするような血の匂いが鼻につきはじめる。
 ……また、また殺ったわね…
 深い憤りが彼女の胸を支配した。

■草間興信所 午後0時
「これは…どう説明すればいいのかしらね」
 一人草間興信所に戻り、興信所から得られるデータをまとめていたシュラインは、その結果をパソコンの画面に整理しながら深い吐息をついていた。
 調査項目は多岐に及んでいた。
 動物が虐殺されていた地域の特定。時間の推移。国中家の人物についての調査。
「お疲れ」
 草間探偵が肩越しに珈琲を差し出す。 
 受け取って、シュラインは微笑んだ。
「ありがとう…」
「はい。でだ、これが国中水代さんの実家での調査結果だ」
 草間は近くの椅子を引き寄せ、自分も腰掛けながら、シュラインにレポートを渡した。そのレポートに目を通しながら、シュラインはほうと息をつく。
「こんな短時間でよく…調べたわね」
「本職の探偵を舐めるなよ」
 軽くウインクを決めて、草間が笑う。
 実際は、彼の大学時代の知り合いが、彼女の地元で新聞記者をしていたのを思い出し、その友人に試しに聞いてみたところ、それがビンゴだったのだ。
 レポートにざっと目を通し、シュラインの顔色がみるみる変わった。
「これは…」
「…ああ」
 草間は静かに頷いた。その表情には明らかに不快感が現れていた。

 その時、シュラインの携帯が鳴り響いた。
 真名神・慶悟から、紅乃が現れたという連絡である。
 シュラインは、すぐに屋敷に向かうと答え、ファイルやレポートをまとめると車に飛び乗った。

■国中邸 午前0時45分
 悲鳴に反応して、慶悟、なゆ、千里の三人は屋敷に向かって走り出す。
 慶悟は十二の方位を守る式神を見上げた。
 邪悪なものは屋敷内には侵入していない…はずだ。
 屋敷の玄関が空いて、中から雄輝が飛び出してきた。
「あ…す、す、すみません!! 救急車を!!」
 雄輝は叫び散らすように彼らに言って、そのまま地面に座り込んだ。
「何があったの?」
 千里が尋ねると、家の中を指差すだけで、ただがたがたと震えている。三人は屋敷の中に駆け込んだ。
 そこはダイニングだった。千里となゆはさっきそこで夕食をとったその場所で、メイドの少女がわなわなと震えている。その先に、国中始…雄輝の父親が胸をナイフで刺されて死んでいる姿が見えた。
「…!!!」
「…紅乃さんだわ、…私見たもの!」
驚愕する三人の後ろで、水代が叫んだ。
 悲鳴は水代のものだ。彼女はソファに腰掛け、青ざめた表情で、震えながら三人に言った。
「…さっき…さっき、この家の中で…私、あのヒトを見たの。 赤い着物を着て、…ナイフを片手に歩いてたわ…」
「わ…私も見ましたわ」
 メイドの少女が震えながら言い、頭を抱え込んで座り込んだ。
「旦那様の声が聞こえて、ダイニングに向かったら…赤い着物の赤い長い髪の女の影があっちに向かっていくのを見たんです…」
 そんなはずはない。
 三人の胸に疑惑が生まれていた。
 紅乃は今、玄関の前には確かにいた。だが、屋敷の中には入れなかったはずだ。それに、三人が見た様子は、人間を殺すような狂気じみたものには感じなかった。
 何か疑問を口にしようかとしたその時。
 凛とした声が部屋に響き渡った。

「騙されちゃ駄目よ…」

 一座の者が全員振り返る。
 そこには草間探偵を伴った、シュラインが立っていた。そしてその横には、人間の姿に戻った璃音の姿もある。

「水代さん…あなたのこと調べさせてもらったわ」
 シュラインは水代の方を向き、静かに言った。
「秋吉水代…。いえ、本当の名前は、畑野弓子さん」
「…な…何のことかしら…」
 ソファに深く腰掛けたまま、水代は微かに笑みを浮かべた。顔色は青ざめたままである。
「あなたのご実家は、畑野総業という会社をご経営されてらっしゃったのよね。…15年前に資金繰りに苦しくなり倒産…。その企業はそのまま国中家の経営するKコーポレーションに買い取られた」
「…」
 水代は視線をそむけた。
 シュラインはレポートを読み続ける。
 畑野総業を失った弓子の父は莫大な借金を背負い、家族を道連れに無理心中を計った。
 包丁を持ち出し、父が家族全員、母、弓子、妹二人を刺し殺そうとしたのである。そして、最後に自分も頚動脈を傷つけ、血の海に倒れた。
 その唯一の生き残りが弓子だった。弓子はその時7歳。警察に発見されたとき、彼女は、家族全員の血が溜まったフローリングの上で、一人茫然としていたという。
 弓子は、四国に住む祖母の家へと引き取られた。
 だが、彼女の性癖のために、中学を卒業と同時に外に追い払われてしまうことになる。
 それは、小動物を殺してしまう癖だった。弓子の祖母の家は養鶏を営み、卵を売ってほそぼそと生活をしていたのだが、彼女はその鶏やヒヨコを祖母の目を盗み殺してしまうのだ。
 踏みつけたり、首をちぎったり、目をくりぬいたり、足を切ったり。いくら注意してもその残虐性の直らない孫に、老婆は愛想をつかした。
 そして彼女は一人東京に出てきて、通信高校に通いながら仕事を見つけて暮らすようになった。
「あなたの今まで住んできた地域には、必ず、ペットの惨殺事件があった」
 シュラインは溜息をつく。
「血を抜くのもあなたの趣味なのね」
「…これ見つけたわよ」
 璃音が使用済みの注射器の入った買い物袋を見せた。
「屋敷の裏庭の隅に隠してあった。…それにあそこ何かいろいろ埋めてあるでしょう」
 目を細め、睨みつけるようにして璃音は彼女を見る。
 水代はずっとうつむいて聞いていたが、突然大声で笑い出した。

「よく調べたわね! そうよ、私の本当の名前は畑野弓子よ。庭の動物は全部私が埋めた。…このヒトもね」

 床に倒れている国中始の死体に、唾を拭きかけ、弓子は立ち上がる。

「待ってくれ…」
 外から戻ってきた雄輝が、信じられないというような表情で、弓子を見つめていた。
「君が秋吉水代でないなら、僕と結婚したのは…だって戸籍は…」
「本当の水代さんは亡くなってるの」
 シュラインは雄輝に告げた。
「彼女が高校に通いながら、働いていた職場は全寮制でその時、同室の部屋だったのが秋吉水代さん…。身寄りのない方だったらしいから、恐らくは…」
「ええ私が殺したの。よく調べられたわね!」
 弓子は叫ぶと走り出した。そして雄輝に飛び掛る。
「うわっ…」
「あなたたち、…私に近づかないで。変な力使うと、このヒト殺すわよ」

 弓子はじりじりと玄関の方に退く。
 慶悟は式神を呼び出そうと、口元で小さく呪を唱えようとした。弓子が叫ぶ。
「喋らないで。あなたがどんな術を使うのかわかってるんだから…」
 そして胸元から取り出したナイフで雄輝の首筋に傷をつける。ナイフの先から溢れた血が、雄輝の悲鳴と共にシャツにしみこんでいく。
「やめてぇぇぇっ」
 なゆが叫んだ。
 その声と同時に、ダイニングにあるナイフやフォーク、テーブルまでもが宙に浮かび上がった。そして、弓子に向かって飛んでいく。
「うわぁぁ」
 弓子は叫ぶと、雄輝を放り出し、玄関の方へと逃げていく。慶悟は今こそ、と式神を召還して、その動きを止める。
 千里も空に手を伸ばし念じる。無から有を生み出す千里の魔法で、マジックパンチがそこに現れた。
「その者の動きを封じよ!!『禁呪』!!」
「マジックパンチいけぇぇぇぇっっ」
「きゃああぁぁぁ」
 地面に倒れた弓子をシュラインと草間が捕らえて、縛り上げた。
「…あなたは警察に突き出すわ。…そうしなきゃいけない。…いいわよね」
 シュラインは弓子に言いつつ、その側にじっと立ち、睨みつけていた璃音に告げる。
「…本当はあなたにトドメを刺してあげたいくらいだけど…賛成するわ」
 璃音は静かに冷たく答えた。

                                        赤い衣の貴婦人  了
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 0086 シュライン・エマ 女性 26 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
 0165 月見里・千里 女性 16 女子高生
 0389 真名神・慶悟 男性 20 陰陽師
 0969 鬼頭・なゆ 女性 5 幼稚園生
 0074 風見・璃音 女性 150 フリーター
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■             ライター通信                ■
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 いつもお世話になっております鈴猫(すずにゃ)と申します。
 大変お待たせいたしました。「赤い衣の貴婦人」をお届けいたします。
 真名神慶悟さん9回目、シュライン・エマさん6回目、月見里千里さん2回目の参加ありがとうこざいます。
 鬼頭・なゆさん、風音・璃音さんは初めまして。
 数ある依頼の中で、私の依頼に参加してくださって本当にありがとうございます。
 
 今回は少々苦戦いたしました。
 風邪を引き込んでしまって、その体調との戦いという部分も大きかったのですが、自分の予想と違う場所にプレイングが多く集まりまして、
いやはやこういうところが怪談のライターとしての醍醐味という部分ですね。
 話をまとめるのに、ちょっと時間がかかってしまいました。

 さて、次回は「赤い衣の花嫁」というお話です。
 多分11月に入ってからの依頼upになると思われます。
 またご参加頂けると、本当に嬉しいです。どうぞ宜しくお願いします。

 それでは皆様のご活躍をこれからもお祈りしつつ、今日はこの辺で。
 風邪が流行っているようです。皆様くれぐれもお体にはご自愛くださいね。
                                   鈴猫 拝