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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡線・時のない街>


午前4時44分44秒の白い壁
●始まり
「ねぇ知ってる? 午前4時44分44秒ピッタリに白い壁に触ると異次元に行けるんだって!」
「へぇ〜。…でもいつもの噂話じゃない?」
「だと思うけどねー。でも面白そうだから試してみようかな♪」
「あはははは。行けたら教えてよ。感想聞かせて」
「わかったー★」
 樺沢佳子(かばさわ・けいこ)は胸をドン、と叩く真似をしつつ笑った。

「おはよー」
 河合由美子(かわい・ゆみこ)は教室に入るなり、空席になっている机を見て首をかしげた。
「ねぇねぇ、あれ誰の席だっけ?」
「何言ってるのよ。あそこはずっと誰もいないでしょ」
「そっか……あれ……?」
 おかしいな、誰かいたと思ったのに……と思いつつ自分の席へ行くと、机の上に白い壁の破片のような物がおいてあった。
「誰ー? 人の机にゴミ置いたのー。もうイヤだなぁ……?」
『助けて……』
 触れた瞬間流れ込んできた言葉。しかも良く知っているようで、知らない人の声。
『お願い……助けて……』

「これがその白い壁の破片、ですか……」
 梁守圭吾はまじまじとテーブルの上に置かれた破片を見つめる。
「助けて、って言ってるんです……でも私にしか聞こえないみたいで……」
「心当たりはないの?」
 お茶を出しながらヒヨリが訊ねると、由美子は眉間に皺を寄せる。
「誰かを忘れているような気がしてならないんですけど、誰を忘れているのかさっぱり思い出せなくて……。ただ覚えているのは、噂話です」
「噂話?」
「はい。午前4時44分44秒に白い壁に触ると異次元に行ける、っていう。それを私は誰かと話をした覚えがあるんですけど……誰だったのか……」
 それきり由美子はうつむいて黙った。
「4時44分44秒、か……。徹夜になりそうな話だけど、時間はかるのどうしよ? ここの時計どれがあってるの?」
 店の中を見回しつつヒヨリが首をすくめると、圭吾は困ったように笑った。
「ずーっと壁に触って待ちますか?」
「お馬鹿」
「……」
 ヒヨリに冷たい目で見られた圭吾は、助けを求めるように店内にいた人物達へと視線を向けた。

●忘れ去られた記憶
「hmmm…キャロルの世界みたいデスネー☆」
 形のいい顎をつまみつつ、銀色髪の美女がうなるようにして言った。彼女の名前はプリンキア・アルフヘイム。世界をまたにかけるメイキャップアーティストである。
 そしてテレビなどに出演している圭吾とは知り合いでもあった。
「ソーリー、ミーはプリンキアといいマス。仕事の途中に寄ったノデスガ…見過ごせませンネー」
「せやな……しかもその声の主、忘れ去られとるみたいやし……」
 獅王一葉は顔を曇らせつつ、テーブルの上に置かれた壁の破片を見つめた。
「忘れてる?」
 由美子は一葉の言葉に首を傾げ、そしてうつむく。何かがひっかかる。思い出される言葉。しかしどれもおぼろげではっきりしない。
「時間だったら俺が持ってきたロンジンの懐中時計が……おや?」
 懐に手を入れて懐中時計を取り出そうとした武神一樹の手が彷徨う。もぞもぞと胸の所で右往左往。しかし目的の物は見つからなかったようだ。
 一樹の職業は骨董屋『櫻月堂』の店主。最近聞いた『時計屋』の噂に何か持ち込んでみるか、とやって来たのだが肝心な物がない。
「この街じゃ時計が消えてしまうみたいなんですよ」
 九尾桐伯の言葉に一樹は壁一面にかけられた時計を見回した。
「ここの時計は特別みたいで、形はありますけど時間があっていないんです。どれが正しいのか確かめようにも、正確な時を示すものがありませんしね」
 と困ったように肩をすくめる。
「……噂を実践、壁の中……か」
 独り言のようにぽつり、真名神慶悟が曇りがちな顔でもらす。
「正確にはわからんが、その助けを求める声は知人だろうな。しかも異世界に行ったが為か、現世の存在でなくなってしまった、という所か……」
 昔から聞く話だな、とくわえていた煙草を箱に戻しつつお茶を手にする。
「わわわ☆ 《とわいらいとぞーん》にいけるんだぁ☆ おもしろそ〜だね」
 ひょこっとテーブルの下から現れて寒河江駒子も壁の破片を覗き込んだ。
「あ、こまこちゃん☆ おひさー♪」
「あそびにきてあげたよー☆ ひーちゃんげんき?」
「うん☆」
 幼稚園児の再会のようである。ひとしきりヒヨリと話をしたあと、駒子はくるっと振り返る。
「いきなしさけんじゃってごめんねぇ? こまこはこまこっていうの。よっろしくね〜。こまこもね、《たすけて》っていってるのは、ゆーちゃんのおもだちだとおもうよー? ゆーちゃんにたすけてほしいから、ゆーちゃんにしかきこえないの」
 座る由美子の膝に両手を置いて駒子は見上げる。
 ビー玉みたいな真っ黒な丸い瞳は真剣そのもの。
「ちょっと貸してみてくれへん?」
「あ、はい……」
 じっと駒子の瞳を見ていた由美子は、一葉の声に驚いたように肩をはねらせ頷く。
 一葉は由美子の返事を待ってから破片を持ち上げ、額にあてて静かに目をつむった。
 見えてきたのは学校の内部のようだった。
 時間が遅いせいか構内は薄暗く、懐中電灯の灯りだけがやけに明るく見える。時々、その記憶が新しいせいか感度がいいのか、声まではっきり聞こえる時がある。
「……白い壁、白い壁……。どこも汚いなぁ、ちゃんと掃除してるのかな」
 ブツブツ言っている少女の声。その声はどこか強がっているようで、無理に声を出しているかのように聞こえた。
「本当にやった、って言ったらユミびっくりするだろうな……この辺、でいいかな」
 近づけた懐中電灯の灯りで、白い壁に光の丸が出来る。
「4時43分……もうすぐだねー。ま、所詮噂話だろうけど♪」
 人は怖くなると口数が増えるようである。
「20秒……30秒……」
 腕時計と壁を見比べつつ、少女は壁に両手を触れた。その瞬間。
「きゃあ!」
 壁から手が突き出て来て少女の腕を掴み、壁の中へと引きずり込んだ。
 そして確かに床に転がったはずの懐中電灯は、少女の存在をも消してしまうかのようにかき消えた。
「……」
 サイコメトリが終わった後も、一葉は深いため息をついたまましばらく目をあけなかった。
「はーちゃんどうかした?」
 くいくい、っと駒子に服の裾を引っ張られ、一葉はようやく目をあける。
 そして事の次第を皆に告げる。
 由美子は最初は信じられない、といった顔をしていたが、記憶にひっかかる話を一致しているため、最後には一葉の話を全面的に信じた。
「助けてあげたい……」
 どうして忘れているのだろう、もどかしい気持ちでいっぱいのようで、何度も唇を噛んではなめ、感ではなめ、を繰り返す。
「しかし……学校の中では時計があったみたいですが……」
「……うちの学校は時無町じゃないですから……」
「それじゃ、ここで確かめるのは無理でも、学校ならOKって訳だな」
 なら話が早いじゃないか、と桐伯と由美子の言葉を聞いていて一樹がお茶を飲み干した。
「ミーは仕事上あちこち移動スルノデ、ゴーストネットにはノートパソコンとPHSで繋いデいるでスガ…ウェブ上で時刻を教えてくれるサイトがアル事をご存知デスカー? コレだと内蔵時計の表示は消えてしまいマスガ、ブラウザには時刻が出るノデ重宝なのデース。これを見なガラ壁ノ側ニ待機シマショウ。コーヒーとお菓子を持参デネ☆ 駄目ならミー自身が特大砂時計ニデモ変化シマスシ」
 にっこり笑って砂時計になります、と言われても言葉の返しようがない。その言葉に皆一様に横に首をふった。
「こまこはみーちゃんの《けいたいでんわ》をかりるー♪ それで《じほう》ていうのに《もしもし》すれば《せいかく》な《じかん》がわかるんでしょお?」
 駒子の横で桐伯が軽く顎をつまむ。
「後はどうやって学校に忍び込むか、ですね」
「これだけの人数で忍び込むのは無理そうやしな……」
「中にはいっちまえば結界で姿隠すくらいは出来るな」
「あの……一カ所だけ中に入れる場所があるんです……」
 一葉と慶悟の言葉を受けて由美子が悪い事だとわかってるんだけど……と言う顔で口を開く。
「いつも忘れ物とかすると使う所なんです。そこだと巡回の先生も来なくて……」
 ばれたら怒られるんですけど……と最後には小声。
「そんなものは俺が許す! よし、そこから学校に入るか」
 そんな事勝手に許されても困るのだが、一樹はわしゃわしゃと由美子の頭をかき混ぜた。
「ミス由美子?」
「はい?」
 真剣な顔でプリンキアに声をかけられ、由美子は思わず姿勢を正す。
「『彼女』は貴女にこそHELPして貰いタイと思ってるデース。ユーのマムが心配しない様、身代わりを用意シマス」
 言ったプリンキアの手に小さな妖精が現れる。由美子はそれを不思議そうに見つめる。
「……貴女を呼ブ声の正体を知り、助けたいと想う気がアルナラ……共に行きまショウ……」
 プリンキアの手が軽やかに動き、妖精にメイクを施す。そしてその妖精が地面に降り立った瞬間、それは由美子の姿へと変わっていた。
 その由美子は一瞬周りをキョロキョロしてから、時計屋を出て行ってしまった。
「あ、あれは……?」
「ユーデース☆ 表面上はミス由美子と何も変わりマセン。これでマムが心配しないデスネ」
 ウインク。
「わぁい☆ 《がっこう》たんけんだ♪」

●真夜中の学校
 由美子の指定した場所で待ち合わせ、全員で薄暗くなった校舎内に忍び込む。プリンキアは宣言通りコーヒーとお菓子を持参。
 一葉の記憶を頼りに壁を探し、たどり着くと、慶悟と一樹が結界をはった。
「かべかけてないね」
 駒子が首を傾げつつ壁をペタペタと触る。
「これはどっちかって言うと想いの欠片みたいなものですね。助け欲しい、という思念が形作ったものだと思いますよ」
「そっかー」
 桐伯の説明に駒子はポン、と手を打って笑う。
(何か別の音がしますね……)
 駒子に説明をしながら感覚を研ぎ澄ませるようにして桐伯は辺りを伺う。すると、壁の向こうに歪みのようなものを感じた。
「そろそろ4時半やな……」
 仮眠をとってきて、しかも徹夜に慣れてるとはいえ眠気が消えるわけではない。一葉は欠伸をかみ殺しつつ時計を見つめる。
 時計屋の中ではなかった腕時計。しかし今はしっかり手首に収まっていた。
「しかしけったいな街やな、あそこは。時計がなくてどうやって営業時間とかきめとるんやろ」
「そーデスネ。でも世界中にはオカシナ町沢山ありマスネ」
「この辺でいいか……」
 二人が話してる横で、慶悟が壁に符を貼り付ける。
 木火土金水・五行を象徴した符を貼り、五行満ちる場・空間に干渉し、こちらから異世界への門を開くべく、周囲に満ちる気調律し、空間を歪ませよう、と言うのだ。
 この方法で無理矢理開こうと思えば開けたのだが、場所・時間が指定出来るからそこからの綻びをこじ開けた方が早かった。
「ミス由美子はミーと駒子で護りマス。彼女が助けに行くノガ本当デスカラネ」
「こまこがんばるよー☆ ゆーちゃんもがんばろうね♪」
 自分の歳半分くらいの女の子に見上げられて、由美子は小さく笑って頷く。
「私も、誰かを忘れてるなんてイヤですから……頑張ります」
「うちに出来る事はあらへんから、ここで応援させて貰うわ。下手について行って足手まとい増やしたないしな」
 サイコメトリで十分役に立っているが、それ以上の力はない為、一葉はヒラヒラと手を振る。
 桐伯も見送るような笑みを浮かべつつ、可燃性の糸を手首に巻き付けいつでも使える準備をしていた。
「空間の固定は俺と真名神で受け持つ。頼んだぜ」
 空間を固定するため、十種の神法を持って封印する。
「そろそろ《じかん》だよー」
 深雪から借りてきた携帯電話に耳をあてて駒子が言う。
 そして由美子、プリンキア、駒子が手をつなぎつつ壁にふれた。
「よっしゃ!」
 空間の綻びを見つけた瞬間、慶悟が印を結ぶ。と同時に式神も放つ。
「我……陰陽五行をここに奉じ、摂理に連なる場を律す……」
「……」
 一樹もすぐに空間固定へと入った。
「今デス!」
 プリンキアの合図で3人は空間の中に入っていく。
 そこは不可思議な世界。
 何かがあるようで何もない。
「あー! みーちゃんの《けいたいでんわ》ー!」
 入った瞬間、駒子の持っていた携帯電話が手を離れ、妙な物体にぶつかった。
 その物体が電話の中に吸い込まれる。
「ちょっと待ってね」
 由美子が手を伸ばし電話を掴む。
「ありがとーゆーちゃん☆ でもいま、なにか《なか》にはいったみたいだったけど……だいじょうぶだよね☆ こわれてないみたいだし」
 不思議そうに電話を見つめたが、駒子はすぐに着物の中に電話をしまった。
『助けて……』
「向こうから声が聞こえマース!」
 プリンキアに誘導されながら、3人は奥へと進んで行った。
 本来人が来るべき場所ではない為、由美子一人ならばすぐに自分の居場所を見失い、迷い、出られなくなってしまったであろう。
 しかし妖精界のプリンセス・プリンキアと座敷童子である駒子が一緒で、しかも外で有能な術師が空間を固定してくれている為、道に迷う事はなかった。
 それを考えれば、先に入った少女は道に迷い、出られなくなっても不思議はない。
「あそこにだれかいるよー!」
 駒子が示した先で、道に迷い、途方にくれたような顔の少女がふらふらと歩いていた。
「……ケイ!!」
 その姿を見た瞬間、忘れていた存在を思い出したのか由美子は走り出し、抱きついた。
「ユミー! 助けてに来てくれたんだ……ありがとう……」
 すっかり頬をこけてしまった顔で、佳子は力無く笑う。
「……ここ《とわいらいとぞーん》とちがうよ……なんか《こわい》……。はやくでよう」
 小さな体をビクッと震わせ、駒子はプリンキアにしがみつく。
「そーデスネ。なにかミョウな気配感じマース」
「行こう、ケイ」
「うん」
 由美子に支えられるようにして佳子は歩き出す。
『……ダレダ、ヒトノエモノヲカッテニモッテイクヤツハ……』
 地から響くような声が聞こえた来た。
「アイツがまた来た……」
 佳子は体を震わせ硬直する。
「アイツ?」
「うん。後ろから追ってきて、捕まるといつも意識がなくなって……ここに引っ張り込んだのもアイツなの……」
 由美子に問われて佳子は震える声で答える。
「そんなヤツ、ここに閉じこメテしまいまショウ」
 早く外に出て、と4人は来た道を駆け足で戻る。駒子とプリンキアの力と、いつのまにか由美子の手首に縛り付けられていた桐伯の糸のおかげで、無事入り口にたどり着いた。
『オマエタチモ、イッショニトジコメテヤル……』
「早く空間を閉じてくだサーイ!」
「《へん》なのがくるよー」
 飛び出した瞬間、二人が叫ぶ。
『ツカマエタ……』
「ユミ!」
「ケイ先に出てて!!」
 佳子が捕まった瞬間、由美子が佳子の体に体当たりして突き飛ばし、かわりに自分が捕まってしまった。
「私はまだ元気だから。ケイ、ボロボロだよ……」
『コレハイキノイイ……ウマソウダ……』
 黒い靄みたいなものに由美子の体が包み込まれる。
「河合さん伏せて!」
 桐伯の声に由美子は渾身の力を込めてかがみ込んだ。多少の抵抗があったものの、なんとかしゃがむ事が出来た。
 瞬間、由美子の背後で何かが燃え上がった。
「こっちや!」
 ぐいっと手を引っ張られ、転がるようにしてその空間から出る。
「大丈夫か?」
「はい……」
 力が抜けたように答えると、一葉はミネラルウォーターのペットボトルを差し出した。
 その隣ではプリンキアが持ってきたコーヒーを佳子が大事そうに飲んでいた。
「空間を閉じる。二度とあかないようにな」
「おう」
 慶悟の声に一樹が答え、二人で同時に空間を閉じ、封印する。
 中では桐伯の糸の発火によって焼かれた『何か』が苦しそうにうめていた。
「皆さん無事で良かったです」
 『何か』を燃やした事などなかったかのように桐伯は安心させるように笑う。
「しばらくここで見張りをしていろ。馬鹿が妙な気を起こさないようにな」
 慶悟の命令で式神が壁の前に立つ。
「この場に宿りし力……」
 この【場】に宿った力を一樹が封印する。
「これで中には入れないし、外にも出て来られないぜ」
 別に手が汚れたわけではないが、パンパンと埃を払うように手を打つ。
「だいじょうぶ? 《けが》しれない? 《いたい》ところない?」
 心配そうに駒子に覗き込まれて、佳子はありがとう、大丈夫よ、と力無い顔で笑う。
「よかった」
「だいぶ力をとられちまったみたいだな。あんま気持ちの良い物じゃねぇけど、この符を毎日一回水に溶かして飲んでみな。2・3日で結構元に戻るぜ」
 何かが書かれた符を受け取り、佳子は礼を言いつつまじまじと見つめる。
 紙を飲むのは妙な気分だが、自分を助けてくれた人たちの言葉なので信じる事にした。
「ごめんね……忘れてて……」
「ううん。助けに来てくれたから、それでいいの。ありがとう、ユミ」
「なんにせよ、良かったわ、みんな無事で。なんかけったいなもんがおったみたいやけど、真名神はん武神はんの神さん二人が封じてくれたみたいやし。安心やな」
「べたべたデスネー」
 一葉の言葉にプリンキアが肩をすくめ、皆一様に笑った。

●終わり・朝食を食べよう☆
 すっかり夜が明けていた。
 連休、という事もあったので皆で『クレセント』にご飯を食べに行こう、という話になった。
「あそこ営業時間、って書いてあるけど、どうやって開店しとるんやろ……」
「そういう細かい突っ込みをシナイのがお約束デース」
「そんなものですか……」
 二人の話に桐伯が困ったように笑う。
「いいじゃねぇか。春風さん美人で飯が美味くて安いと来てる。俺はそれだけで十分だぜ」
「今日はエビかつの気分だな」
 皆から少し離れて煙草を吹かし始めた慶悟に、メニューを考える一樹。
「こまこは《ぱふぇ》がいー☆ ……あれ?」
「どうした?」
「あのね、《へん》な《おと》がするの」
 首を傾げた駒子に一樹が携帯電話を受け取る。
「みーちゃんの《けいたいでんわ》こわれちゃったのかな……」
 おこるよね、みーちゃん……、と呟きつつ駒子はしゅんとなる。
「……? なんだこりゃ? なんか妙な声が聞こえるぞ……」
「まさか、異次元の音が聞こエル様にナッテしまったんデスカ?」
 確かに異次元に居る時、妙な物体を吸い込んでしまった。
【キョウのヒガワリはカイゾクふうスパゲティ……】
「はあ?」
 電話から漏れた言葉に、一樹は思いきり顔をしかめた。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0115/獅王一葉/女/20/大学生/しおう・かずは】
【0173/武神一樹/男「/30/骨董屋『櫻月堂』店長/たけがい・かずき】
【0291/寒河江駒子/女/218/座敷童子/さがえ・こまこ】
【0332/九尾桐伯/男/27/バーテンダー/きゅうび・とうはく】
【0389/真名神慶悟/男/20/陰陽師/まながみ・けいご】
【0818/プリンキア・アルフヘイム/女/35/メイクアップアーティスト】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちは、夜来です☆
 今回は夜来がむかーしに聞いたうわさ話を元に話を作ってみました。実際は4月4日の4時44分44秒だったんですけど……まぁご愛敬(汗)
 無事佳子ちゃんは助け出す事が出来ました。ありがとうございます(*^_^*)
 最後に駒子ちゃんの持っていた電話がおかしな声を発するようになってしまいました(笑)
 私の依頼に限り使用可能です。そうですね【異次元電話】って事で(笑)
 でもあまり突飛な使い方はしないで下さいね(^_^;
 それでは、またお会いできる事を楽しみしています☆