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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


呪われたメイドさんはお好きですか?


■ オープニング

 ちょうど今入ってきたネタよ。
 この近くの高校で、明日文化際が行われるんだけど、そこでメイド喫茶をやろうとしていたクラスの子が1人、ちょっとおかしくなっちゃって暴れているらしいの。
 なんでもヨーロッパの方から仕入れたメイド服が呪われていたらしくて、それを着ちゃった女の子が凶暴化したみたいね。
 というわけで、早速誰かこれを取材に行って頂戴。
 もちろん、きちんと解決した方がいい記事になるのは分かってるわよね?
 じゃ、がんばってらっしゃい。良い結果を期待してるわよ。

 ……あ、そうそう。
 ちなみに、いくら相手がメイドだからって、ご奉仕されないようにね。仕事よ、仕事。


■ 見参・メイドさんを追え!

 都内にある、某私立高校。
 明日から2日間に渡って開催される学園祭を控えて、そこはまさに祭りの前の高揚感に包まれていた。
 さまざまな機材を抱えて廊下を走る生徒。
 教室の飾り付けをする生徒。
 客に披露する実験や出し物の予行演習をする生徒。
 いずれの顔も、雰囲気も、期待と楽しさに満ちている。
 ──が。
 そんな中、唯一場違いな話をしている場所があった。
 3階の隅にあるその教室は、元々は2年4組の教室らしい。
 しかし今は学び舎としての面影は微塵もなく、完全に喫茶店として飾り付けられていた。
 入口にある立て看板には、大きな文字でこう書かれている。

《憩いと癒しのメイド喫茶 メイド魂》

「──その、呪われたメイド服を着てしまった女生徒というのは、霜宮蒔絵(しもみや・まきえ)さんというのですね?」
 そう尋ねたのは、いかにも仕立てのいいスーツに身を包んだ、若い男だった。
 若いと言っても、高校生には見えない。
 彼の名は、宮小路皇騎(みやこうじ・こうき)。当年取って20歳という若さではあったが、そう感じさせぬ程の目の輝きと、後ろで束ねた長髪が印象的な美青年であった。
 京都、奈良を本拠とする陰陽師一族の若き跡取であり、同時にさる財閥の御曹司でもある。
 本人の口からはほとんどそれらの事実が語られる事はないが、聞いたものは彼を見て、皆なるほどと納得するという。血筋というのは、黙っていても態度や雰囲気に現れるものなのだろう。
「はい、その子もうちでメイド役をする予定だったんですけど……そんな事になっちゃいまして」
 皇騎の前で疲れたように言ったのは、ここの学生だった。
 名前は、喜田優一郎(きだ・ゆういちろう)。黒いスラックスに白いシャツ、首に蝶ネクタイという姿は、この店の男性従業員の指定ユニフォームだとの事だ。
 彼こそが、このメイド喫茶の提案者であり、責任者なのだった。
「で、その問題のメイド服に関する事なんだけど、そもそも何で着た人を呪うようになったのか、そのいわれが分かるなら、是非教えて欲しいわね。他にも入手経路とか、それに関して分かる事全て」
 次にそう口を開いたのは、切れ長の瞳を持った長身の中性的な女性だ。
 彼女の名前は、シュライン・エマ。
 翻訳家にしてライター、及び草間探偵事務所で事務もこなしているという多彩な美女である。
「え、ええっとですね……」
 26歳の美形お姉様に見つめられ、ややドキッとしながら優一郎が語ったのは、大体以下のようなあらましであった。

 問題のメイド服は、優一郎の叔父がやっている貸衣装屋に置いてあった物で、話によると、3ヶ月程前にその叔父がたまたま仕入れのために出かけたヨーロッパの旅で見つけてきたものらしい。
 何でも中世ルーマニアのとある貴族の家に勤めるメイドが着ていたらしいのだが、そのメイドが屋敷の跡取と恋に落ちてしまい、それを知った家の者に無理矢理引き離され、やがては悲嘆の果てに自らの命を絶ってしまった……という話が伝わっているそうなのだ。
 以来、袖を通す者に「恐ろしい呪い」を与えてきたらしいのだが、そうとは知らない優一郎が、メイド服を片っ端から借りてきた折にそれまで持ってきてしまい、本日衣装合わせをしている最中にあてがわれて着てしまった蒔絵が呪いに捕らわれてしまった……

「──と、まあ、そんな所なんです」
「なるほど。しかし中世ルーマニアとはまた……まさかドラキュラのルーツとなった事で有名な、串刺し王、ブラド・ツェペシュ侯の屋敷の物だとは言わないだろうね?」
「ええ、さすがにそこまで出来過ぎた話じゃないようです。もっと時代を下った、平凡な貴族の屋敷の事だったそうですが……」
「そうか、まあ、そうだろうな」
「……はい」
「でも……あなたの叔父さんのやってる貸衣装屋って、わざわざ海外まで仕入れに行くの? 国内で作った方がよっぽど安上がりじゃないのかしら?」
「とんでもない!」
 と、何気なく聞いたシュラインの言葉に、優一郎は少々強い声を上げた。
「たとえ貸衣装といえど、叔父は本物をお客さんに提供する事をモットーにしているんです。素晴らしい事ですよ」
「……そう、なのかしら」
「ええ、おかげで俺も、本物のメイド服でこのメイド喫茶を開く事ができたんです。言う事なしです」
「とはいえ、結局そのメイド服が呪われていたのだろう?」
「確かにそうですが……でも、ひとつだけ確信を持って言える事があります」
「何かしら?」
 尋ねると、彼は拳を握り締め、力強くこう言った。
「メイドさんに悪い人なんかいません!」
「……」
「……」
 思わず、シュラインと皇騎が顔を見合わせる。
 優一郎の瞳は、窓から差し込む夕日を浴びて、キラキラと輝いていた。
 120%、彼は本気で言っている。
 どうやら彼自身はもちろん、”本物の”貸衣装屋をやっているという彼の叔父もまた、かなり個性的な人物と言えるのは間違いなさそうだ。
「……そうですか。では、そちらのあなた、忌引さんと言いましたか、あなたはどう思います?」
 なんとなくどう反応していいのかわかりかねた皇騎は、窓の方を向き、そう声をかけた。
 机をいくつか並べて置き、そこにカバーをかけてテーブルのように見せている席の上で、4つのカップが細い湯気を立てている。
 テーブルについているのは、皇騎、シュライン、優一郎の3人である。
 4人目は、これまでの話の間、ずっと窓際で背中を壁に預けて斜めに立ち、何も喋らずに、ただ気だるげな視線を外へと送っていた。
 見るからにかったるそうで、およそやる気も覇気も感じられないこの男の名は忌引弔爾(きびき・ちょうじ)。
 彼はチラリと目だけを皇騎へと向けると、
「……別に。あんたらで好きにやってくれ」
 面倒臭そうに、そう言った。
「俺は別に好き好んでここに来たわけじゃねえからな。ま、なんか起きたら、きっと俺以外の奴が役に立つだろうさ。だから、別にこっちを気にしてくれんでもいいぜ」
「……」
 弔爾の言葉に、皇騎が目を細めた。
 意味がよくわからない事もあったが、それよりもこの男が手にした細くて長いものが気になる。
 それは、どう見ても刀──日本刀であり、しかも恐ろしいまでの”力”が込められているのが分かる。陰陽師としての感に触れてあまりあるシロモノだ。
 悪意はないようだが……正体は不明であった。
 ちなみにこの後すぐ、嫌という程に知る事になるのだが、さすがにそこまで読めはしない。
「もうひとつ、聞いていい?」
 と、シュライン。再び視線を優一郎に戻すと、口を開いた。
「はい、なんでしょう?」
「君はさっき、ただ”恐ろしい呪い”とだけ言ったわね。具体的には、それってどんななの? ただ暴れてるだけ? それとも、何か目的──遂げようとする意志みたいなものは感じられない?」
「え? え、ええ……そう、ですね……えっと……」
「……?」
 そう尋ねると、明らかに優一郎はやや口篭もった。
 ──これは、何かある。
 シュラインが確信した時、だった──


■ 参上・校内を駆ける暴走メイド

「対策班より全校生徒に緊急連絡! 本館2階の西階段付近にて暴走メイドを確認!!」

 いきなり教室の前に設置されたスピーカーから、サイレンと共にそんな声が流れてきた。
「……え?」
「な、なんだ?」
 シュラインと皇騎が何事かと思わず立ち上がり。
「で、出た!!」
 優一郎は顔を青ざめさせた。

「暴走メイドは西階段のバリケードを突破! 捕獲部隊の空手部6人を張り倒してなおも進行中!!」

「……なんかえらい事になってねえか、おい」
 スピーカーから聞こえる切迫した声に、弔爾もさすがに壁から離れる。

「進行ルートに当たる生徒は至急非難されたし! 第一級メイド警報発令! 繰り返す! 第一級メイド警報発令! 目標の予想最終目的地は──」

 バン!! と音がして、教室の扉が荒々しく開け放たれた。
 その衝撃で、近くにあったスピーカーが床へと落ち、線が外れて音が途切れる。
 しかし、放送が最後に何を告げようとしていたのかは、その場の全員が既に分かっていた。
「目的地は……ここというわけね」
 シュラインが、言った。
 その通りだった。
 開かれた扉の向こうに立つのは、1人のメイド姿。
 鮮やかなネイビーブルーを基調として、細やかなフリルのついた純白のエプロン、ふわりと膨らんだスカート、背中で結ばれたリボンは優雅に長く、頭の髪飾りには清楚な花の装飾が施されていた。
 優一郎が”本物”と評しただけの事はあって、なるほど、メイド服とはいえ見事なものだ。
 が、しかし。
 肝心のそれを着た少女が歯を剥き出し、目に妖しい光を宿しているとなると、これは少々問題である。
 おまけに全身から発せられるおびただしい殺気も、ただ事どころの騒ぎではない。それだけで心臓の弱い者は天に召されてしまいそうだ。
「…………」
 呪われしメイドは、何事かを低くつぶやきつつ、部屋の中へと足を踏み入れた。
「何か、言いたい事があるのですか?」
 と、皇騎がコンタクトを試みるが……
「…………」
 反応は、なかった。
「何か叶えて欲しい望みがあるのなら、言ってみて下さい。できることならば、力になりましょう」
 それでもなお、皇騎は呼びかける。
 すると……
「……」
 メイドの目が、ゆっくり4人へと向けられた。
「……話せるの?」
「さあ、まだ何とも……」
 そんな会話を、シュラインと皇騎が交わした次の瞬間──

「男なんてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

「っ!?」
「!!!」
「わぁっ!!」
「くっ!!」
 いきなり大音声と共に、メイドの身体からパワーが発せられた。
 そして間を置かずに、猛スピードで突っ込んでくる。
 突然の事に、全員の対応が一瞬遅れた。
 メイドはまっすぐに優一郎の元へ!
「わ、わ、わっ!!!」
 とっさに、一番近くにいた弔爾の体にしがみつく。
「ば、馬鹿野郎! こっちくんじゃねぇ!!」
 弔爾は当然のようにもぎ離そうとしたが──遅かった。

 ──ばき☆

「おわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!!」
 あっけなくメイドに殴り飛ばされ、窓ガラスを突き破って外へと飛び出す弔爾。
 後は声が尾を引いて……落ちていった。
「ちょ、ちょっと! ここ3階よ!!」
 さすがに慌てるシュライン。
「これ以上はさせません!!」
 皇騎も動いた。
 懐から何かを取り出すと、印を結んだ指に挟んで、メイドへと突きつける。
 それは、清明桔梗──五芒星が鮮やかに描かれた札だ。
「縛!」
 気合と共に呪力がメイドを包み、動きを封じる。
 その隙に窓へと駆け寄ったシュラインが下を見るが……弔爾の姿はどこにもなかった。
 ……一体どこへ消えたのか?
「お〜と〜〜こ〜〜な〜〜ん〜〜て〜〜〜!!!」
「くっ……な、なんて力だ……っ!」
 一方、皇騎の呪力も、圧倒的なメイドのパワーによって押されていた。
 何が彼女にそこまでの力を与えているのか。
 察するに、メイド服に込められた想いや妄念だけではなく、今着ている少女、蒔絵の”何か”も作用しているのではないかと思われるのだが……今は考えを巡らせている余裕などない。
 ……このままでは、押し切られる……!
 皇騎がギリッと奥歯を噛み締めたその時だった。
「貴様! 人をいきなり高所より突き落とすとは何事か! いくら婦女子とはいえあまりの狼藉! 事と次第によっては許せるものではないぞ!!」
 鋭い声が、教室の空気を切り裂く。
 全員の視線がそちらへと向くと、今落ちていったはずの弔爾が教室の入口に立っていた。
 しかも、前とは雰囲気がガラリと違っている。
 さっきまでの退廃的な趣は一辺たりともなく、すらりと伸びた背筋に鋭い視線、言葉遣いまでもが丁寧……というか古風に変貌していた。
「……ほぅ、あの男……なるほど、そういう事か」
 皇騎が低くつぶやく。
 その瞳は、弔爾が手にした抜き身の刀を捕らえていた。
 実は、弔爾の持つ刀は「弔丸」という名の、意志を持った妖刀なのだ。
 しかも、先程のように弔爾に危機が訪れた際や、または弔丸が必要を感じた時に、持ち主である弔爾の意識を身体ごと乗っ取り、自らのものとして行動する事ができる。
 早い話が、弔爾は妖刀弔丸に取り憑かれているというわけだ。
 弔丸の目的は、弱者の救済と弔爾の性根を叩き直すこと。
 なぜそうなったのかについてのいきさつ等は、長くなるのでここでは割愛する。
「……あんた……確かにここから落ちたわよね? 大丈夫なの?」
 と、シュライン。恐る恐る尋ねてみた。
 対して、弔爾──今は弔丸が、
「ふっ、我らを倒したくば、雲の上からでも落とす事だ。この程度、屁でもないわ! はっはっは!」
 豪快に笑い飛ばした。
 弔丸が表面化する事により、弔爾の肉体はその潜在能力すら遥かに超えた超人的なパワー、スピード、耐久力を獲得するのである。
 ひとしきり笑った後、ふと真顔でシュラインへと向き直り、
「……これは失礼仕った、若い女性の前で屁などと……この無礼、深くお詫び致す」
 と、律儀に頭を下げる。
「いえ、まあ……別にいいけど」
「そうか、かたじけない」
「はあ……」
 内心「また変なのが出たわね……」とか思ったシュラインだったが、さすがに口には出さなかった。
 怠惰でなげやりな弔爾に対し、勤勉実直で義にも厚い弔丸。
 どこまでも180度反対のコンビなのである。
「さて、義を見てせざるは勇無きなり──助太刀致すぞ、若者よ!」
 刀の切っ先を、皇騎と対峙しているメイドへと向けると、力強く宣言する。
 そして──
「とぁぁぁぁっ!!」
 一気に、床を蹴った!
「男なんてーーーーーーーー!!!」
 メイドもすかさず反応する。
 机を数個一度に持ち上げると、その全てを弔丸へと投げつけた!
「なんの!!」
 刀が神速で振り下ろされ、全てが2つに両断されて宙に舞う。
「お〜と〜〜こ〜〜な〜〜ん〜〜て〜〜〜!!!」
 同時に、メイドも突進。真正面から両者は激突した。
 メイドの拳と妖刀の刃がぶつかり、妖しい色の火花が散る。
 2度、3度、4度、5度──突きが、斬撃が、拳が、蹴りが目まぐるしく2人を繋ぐ。
 どちらもそれらの全てを紙一重で交わし、あるいは正面から受け、耐えしのぐ。
 そのあまりの衝撃の凄まじさに、床は裂け、窓ガラスは砕け散り、壁には縦横に亀裂が走った。
「ちょっとやめなさい! やめるのよ!!」
 たまらず、シュラインが叫んだ。
 日本語だけでなく、ルーマニア語やポーランド語、ドイツ語英語フランス語などでも言ってみたが……メイドはもとより、弔丸も戦いを止める気配がない。
 メイドの方は母国語で強く言えば、あるいはメイドだけに条件反射的に言う事を聞くかとも思ったのだが、そう簡単な話でもないようだ。
「……この際ですから、メイドさんの相手は彼に任せましょう」
 ややあって、皇騎がそう言った。
「でも、大丈夫かしら?」
「ええ、問題ないと思いますよ。ああ見えて、弔爾さんに取り憑いている方は、きちんと手加減しているようですから」
「そうなの?」
「はい、太刀筋には殺気がまるでありませんし、攻めているというより、全て受け流している感じですね、あれは」
「……へぇ……」
 そう言われても、シュラインにはよくわからなかった。
 2人は床はおろか、壁や天井まで駆け回り、時には空中でもぶつかって、激しい戦いを繰り広げている。
 ……これで本気でないのなら、本気になったらどうなるか……考えたくもない。
「これでも私は、北辰一刀流の免許皆伝でもありますからね。信じて下さい」
「別に信じてないわけじゃないわよ。それより──」
 チラ、とシュラインは視線を優一郎へ向けた。
「私達は、真相に迫りましょうか」
「そうですね」
 その言葉に、頷く皇騎。
 どうやらこの2人は、今回の事件の背後にあるものについて、ある程度見当がついたらしい。
「……」
 一方、美男美女に見つめられ、不安そうな顔をする優一郎。
「とあぁぁぁぁっ!」
「男なんてーーーーーーーー!!!」
 傍らでは、相変わらずいつ果てるとも知れぬバトルが続いていた──


■ 真相・愛の決着

 ひとまずメイドの相手を弔丸に任せ、3人は図書室へと移動した。
 図書室は、各学年の教室がある本館の向かいに隣接した建物──通称東館──の3階にある。こちらは理科室や調理室、視聴覚室など、特別教室が集められた建物だ。
 学園祭の前日という事もあってか司書も不在のようで、生徒の姿もない。
 3人は窓際の席に座ると、静かに話を始めた。
「問題のメイド服を着た女生徒の名前は、確か蒔絵さんと言ったわよね?」
 シュラインが、尋ねる。
「……ええ」
 コクリと頷く優一郎。
 その目をじっと見ながら、やや間を置き、
「君とは、どういう関係? 恋人?」
 ズバリと踏み込んだ。
「え、あ、あの、違います! そんなんじゃないですよ。ただの……幼馴染みです」
 とたんに優一郎は目を反らし、慌てたようにこたえる。
 顔までぽっと赤く染まったのは、可愛い反応だったろう。
 そっと目配せを交わす、シュラインと皇騎。
「あのメイド服は、相当高価なものなんでしょう?」
 と、今度は皇騎が口を開いた。
「ええ……」
「あなたが他に用意したメイド服も、皆それくらいのものなんですか?」
「いえ、値段的には他のは大した事ないです。あれが一番高価で……その上綺麗で、見栄えのいいものですよ」
「それを彼女──蒔絵さんに選んだのは何故です?」
「べ、別に選んだわけじゃ……あいつが着てみたいって言ったから、それで……」
「なるほど、よくわかりました」
 口ごもる優一郎を見て、微笑む皇騎。
 代わって、シュラインが、
「今度彼女が現れたら、似合う……いえ、綺麗だって言ってあげなさい。うまくすれば、それでおとなしくなると思うから」
 そう、告げた。
「え? あの、それってどういう……」
「いいから、わかったわね」
「は、はあ……」
 言われた優一郎は一向に要領を得ないという顔だったが、それ以上はシュラインも皇騎も何も説明しなかった。
 もちろん、その方がいいという判断だ。
 ただ、優一郎は自分の想いを口にすればいい。
 理由を他人から教えてもらったら意味がないし、だいいち無粋だろう。
 これは、そういう問題なのだった。
 やがて──

「第一級メイド警報発令! 第一級メイド警報発令! 暴走メイドは刀を所持した男と激烈な戦闘を繰り返しながら2階連絡通路を東館へと向けて進行中!!」

 サイレンと共に、放送が急を告げた。
「来たわね」
 3人が立ち上がり、窓へと寄る。
 階下に見える連絡通路の窓が弾け飛び、屋根に穴が開くと、そこから外へと飛び出してくる人影が2つ。
 言うまでもなく、呪われしメイド服に捕らわれた蒔絵と、妖刀に宿る高潔なる魂、弔丸である。
 メイドの顔が図書室の3人へと向いたと思った次の瞬間、一気に彼女は跳ね上がり、真っ直ぐに部屋へと飛び込んできた!
「!?」
「っ!!」
「わあっ!!」
 窓ガラスがコナゴナに砕け、3人は部屋の中へと後退する。
 もうひとつの破壊音と共に、弔丸もすぐに追ってきた。
「貴様! 何を迷い! 何に未練があるというのだ! 物に宿りし意志という点では、想い通ずる所もある! 話してみよ! そして悔い改めよ!! とあぁぁぁっ!!」
 稟とした声でまくし立てると、刀を振りかぶって跳躍する。
 実に立派な言葉であり、志であったが、同時にこの中で一番事情が分かっていないのもまた彼であった。
「待ちなさい!!」
 両者の間に、シュラインが割って入る。
「ぬ? 何ゆえ邪魔をする?」
「いえ、この場合邪魔なのは──」
 ──あんたの方よ。
 と、シュラインは続けようとしたのだが、言い切る前にメイドが恐るべき速さで駆け寄ってきて……

 ──ばき☆

「のわぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
 横殴りの腕の一撃をまともにくらい、弾き飛ばされた弔丸は、またもや窓から落下していった。
「……」
 チラ、と、そちらに一瞥だけをくれると、あとは何事もなかったかのように優一郎へと振り返る。
「さ、君の出番よ」
「お、俺ですか?」
「そうです。これはあなたにしかできない事ですから」
 皇騎も言い、優一郎の背中を軽く押すと、メイドの前へと立たせた。
「……」
 意志のない瞳で、優一郎を冷たく見る蒔絵。
「え、ええと……」
 肝心の優一郎は、どうしていいのかわからない。
「さっき教えた事を言えばいいのよ」
「でも……」
 優一郎が煮え切らないうちに、蒔絵が手を振り上げる。
「お……と……こ……なんてーーーーーー!!!」
「わーーーっ!!」
 ダメか!?
 シュラインと皇騎が動こうとしたその時──

「き……綺麗だ!!」

 ついに優一郎が叫んだ。
 メイドの手が、ピタリと彼の寸前で止まる。
「綺麗だ……蒔絵」
 もう一度同じ台詞を繰り返すと、初めて彼女の瞳にも、意志の輝きが戻ってくる。
「……優……一郎……」
 細い言葉が、その口からこぼれた。
 顔を見合わせ、頷きあう皇騎とシュライン。
 これで、なんとかこの騒ぎも収まるだろう……そう思った。
 ──が。
「本当に綺麗だよ、このメイド服は……やはり俺の目に狂いはなかった。素晴らしい……」
 うっとりつぶやく優一郎に、愕然と2人が振り返る。
「こ、この馬鹿……」
「優一郎君、それはまずい……」
「……え?」
 1人キョトンとする優一郎。
 今自分が決定的なミスを犯したことに、彼はまったく気づいてはいなかった。
「…………優一郎……」
 蒔絵の声が、まるで地獄の底から響いてくるようなものへと豹変する。
 眼光は真っ赤に輝き、髪の毛は逆立ってゆらゆらと揺れ、炎のような怒りのオーラは、今や天井にまで達しようとしていた。
「…………」
 一目見て、優一郎は無言のままその場にペタンと座り込む。あまりの姿に腰が抜けてしまったのだ。
「お〜と〜〜こ〜〜〜なんてーーーーーーーー!!!」
「うっわーーーーーーーっ!!!」
 凄まじい殺気を放ちながらメイドが襲いかかり、優一郎は慌てて逃げ始める。
 そこに、さらにややこしい人物が戻ってきた。
「不意打ちとは卑怯千万! いざ尋常に勝負せい!! やあやあ我こそはこの一刀に宿りし──」
 抜き身の妖刀を掲げて高らかに名乗りを上げはじめるのは、言うまでもなく弔丸だ。
「……振り出しに戻ったわね」
「……ですね」
「ねえ、皇騎君」
「なんでしょう?」
「私疲れたから帰っていい?」
「だめです。最後まで付き合ってください」
 目の前で繰り広げられる光景に、ため息混じりにつぶやく2人であった──


 ……結局、事件が解決したのは、その日の深夜になってからだった。
 唐変木の優一郎に、綺麗だの好きだの愛してるだのという台詞を、およそ500回くらいは言わせたであろうか……
 それでなんとか、彼女は怒りを鎮めてくれたらしい。


■ エピローグ・シュライン&皇騎

 翌日、学園祭当日。
 メイド喫茶、メイド魂は朝から賑わっていた。
 半壊した教室も、スタッフ総出で徹夜して、なんとか使用できるほどに修復されている。
 前日にあんな事件があったとは、誰かに説明されないかぎり、まずわからないであろう。
 シュラインと皇騎もそんな感慨を持って、奥の席から店の盛況ぶりを眺めていた。
「景気いいみたいね」
「はい、おかげさまで」
 シュラインの声にこたえる優一郎の頬には、一枚のバンソーコーが貼られている。
 もちろん、昨夜の死闘の名残である。蒔絵に引っかかれてできた傷だった。
「なによりですね」
「ええ」
 皇騎にも、笑顔で返す彼だ。

 あのメイド服には、もうひとつ秘められた言い伝えがあったらしい。
 悲恋の果てに死んだメイドの魂が込められた服……
 それを着た恋する女性が嫉妬の炎に燃えた時、恐るべき災いとなって男を襲う──そう言われていたそうだ。
 そして、伝説は正しかった。
 メイドの衣装に情熱を注ぐあまり、肝心の中身の幼馴染みの事をすっかり失念した優一郎に、呪いはその牙を剥いたのである。
 それこそが、今回の事件の真相であり、全てだった。
 優一郎が皇騎達にそこまで詳しく説明しなかったのは、おそらく照れ臭かったからだろう。
 知らなかったとはいえ、そんな物騒なものを蒔絵に着せてしまい、凶暴化した蒔絵に襲われる事となった……
 で、慌てて叔父に聞いてみると、そういういわれがある物だと知り、愕然とする。
 が、彼は呪いについての説明を聞いても、最初何故自分が蒔絵に襲われるのかピンと来なかったらしい。
 蒔絵の事はそもそも嫌いではなかったが、恋人かと聞かれたら、疑問符がつくような仲だったし、だいいち蒔絵が自分をどう思っているのかもよくわからない。
 それに、嫉妬をするととんでもない事になると言われても、彼には蒔絵が何に嫉妬しているのか見当もつかなかったのである。
 ……鈍いにも程があるというものだ。
 昨夜はあの後、皇騎とシュラインの2人に、恋についてみっちり講義をされた。
 黒板に図解入りで詳しく経過と経緯を示されて、それでようやく相手と自分の気持ちに気がついた彼である。
 事件の解決が夜中にまでずれ込んだ影には、そんな知られざる努力があったわけだ。
 そして、めでたく事件解決の後、あのメイド服がどうなったかというと──

「お待たせしました。当店自慢の飲み物とデザートでございます」
 丁寧な声と同時に差し出された品を見て、へえ、と声を上げるシュライン。
 彼女の前にはイチゴのブラマンジェとアールグレイ、皇騎の前にはザッハトルテとカプチーノがそれぞれ並べられる。いずれも見た目は申し分ない。
 味はというと……
「……うん」
「とても美味しいですね、これは」
 真面目な顔で頷くシュラインと、笑顔で言う皇騎。どちらも手放しの褒め言葉である。
「ありがとうございます」
 と、こちらも弾ける笑顔でこたえたのは、蒔絵だ。身に付けているのは、当然のようにあのメイド服だった。
 呪いを乗り越えた時、服に宿ったメイドの魂は、着る者に恩恵を与えるらしい。
 ここで出される飲み物、デザートのほとんどは彼女が手がけるものであり、いずれも有名専門店並みの味と外見を誇っている。
 おまけに立ち振る舞いや言葉遣いなども、全て洗練されたプロのものなのだ。
 これなら、人気が出ないわけがない。
「これも全て、皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」
 と、頭を下げる蒔絵。
「よしてよ。私達より、あなたと責任者さんの力でしょ。ね?」
「え? 俺……ですか? いや、俺はそんな……」
 シュラインに横目で見られた優一郎が、謙遜した声を出した。
「あらためて、ひとつ聞いていい?」
「はい? なんでしょう」
「君、この可愛いメイドさんを見て、どう思うの?」
「……え……」
 ふいに問われて、一瞬言葉に詰まる彼だったが、
「き……綺麗です。無論そう思ってます」
 いささか硬い声で、返答した。
「……この服が?」
 横の蒔絵が、チラリと優一郎を見上げる。
「う……」
 優一郎は幼馴染みとシュライン達を交互に見やり……
「…………」
 やがて観念したように、蒔絵の耳元に何かを囁いた。
「もぅ」
 それを聞いた蒔絵が、彼を肘で軽く小突いて去っていく。その顔は、とても嬉しそうだ。
「ごちそうさま」
 カップを置いて、皇騎が言った。ニヤリと微笑んでいる。
「あ、あはは。では、あの、どうかごゆっくり」
 とたんに顔を赤くして、優一郎もその場を去った。
「……これなら大丈夫そうね」
「大丈夫になってくれないと、困りますよ」
「まったくだわ」
 2人の後姿を見送りながら、そう言って微笑する2人だった──

 優一郎は「メイドさんに悪い人はいない」と言い切っていたが、少なくともこの場では、その言葉が現実となったようだ。


■ エピローグ・弔爾&弔丸

 照明が落とされたその場所に、1人の男が立っていた。
 抜き身の日本刀を手にして自然体で立つその人物は──弔丸である。
 暗がりの中、彼の前には十数本の竹が並んでいた。
 適当な長さで切り揃えられ、支えも何もなく、ただそこに立てられたものである。わずかな振動を与えただけで、恐らくは倒れてしまうだろう。
 しん、と静かな静寂の中、音もなく妖刀が上がった。
 そして──
「たぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 気合一閃、弔丸が竹の間を駆け抜ける。
 刃の軌跡は、誰にも見えなかった。
 飛燕のごとき速度で一気に10メートルは移動し、止まる。
 竹は立ったままであり、変化はない。
 が、一瞬の静止の後、弔丸がチン、と刀を鞘に収めると、それが合図であったかのように、全ての竹が縦に2つに割れ、ゆっくりとその場に倒れていった。
 瞬間、

 おおおおおおおおおおおお!!

 割れんばかりの歓声が、場を揺るがす。
 照明が点けられると、彼はステージ中央まで進み、無言で一礼をして去る。
 その後姿に、満員の観客達は惜しみない拍手と賞賛の声を送っていた。

 ここは、学園祭当日の体育館。
 演目が記されたステージ上の横断幕には、こう書かれていた。

《妖刀の鬼才、忌引弔爾抜刀ショー》

「冗談じゃねえ! なんで俺がこんな事しなきゃならねえんだよ!!」
『そう言うな。今回の事では、この学び舎にも迷惑をかけたであろう。我等のできる事で、それを返さねばならん』
「俺は何にもしてねえぞ! 全部テメーがやった事だろーが!」
『ふっ、弔爾よ、おぬし一蓮托生という言葉を知っておるか?』
「ふざけんなこの野郎!!」
『別にふざけてなどおらぬ。しかし思い返すにあの冥土服という死装束、なかなかに手強い相手であった。久々に好敵手に巡り会えて、なにやら清清しい気分でもあったな、はっはっは』
「勝手な事抜かすな! 人の身体でさんざん無茶しやがって! おかげでこっちはひどい筋肉痛だろーがよ! それからな、冥土じゃねえ、カタカナでメイドだ! メ・イ・ド! おかしな間違いすんじゃねえ!!」
『……弔爾よ』
「あんだよ」
『何をそんなに激しておる? むやみに血の気を上げるでない。長生きできぬぞ』
「誰のせいだーーーーー!!!」
 力の限りに叫ぶ弔爾であった。
 と、その背後から近づいてくる人影がひとつ。
「弔爾さん! すごい反響ですよ! この調子で次からのステージも是非お願いします!」
 満面の笑顔でもみ手をしている彼の腕には、学祭実行委員の腕章があった。
「……ああそうかい、そりゃよかったな。けどな、俺はこれ以上タダ働きなんてまっぴらだぜ。学生さんの遊びにいちいち付き合ってられっかよ」
 と、弔爾は実にそっけない。
 が、実行委員の笑顔は少しも揺るがず、
「ああ、それでしたら、チケットの売上も結構出てますので、それなりにお礼を出せると思いますが……」
「…………ほぉ」
 それを聞いて、弔爾の目がキラリと光った。
 そういう事なら、多少は考えないでもない。
 どうせ実際に動くのは弔丸であるし、ある意味自分は何もしなくていいのだから。
 ……さて、それじゃあいくらくらいふっかけてやろうか……
 弔爾の中で、邪悪な算盤が計算を始める。
 しかし……
『いや、礼などいらぬ。その気持ちだけで結構』
 重々しい言葉が、あっさりとそう告げた。
「ま、待てこん畜生! 何言ってんだ! くれるもんをもらわない馬鹿がどこにいる!!」
『弔爾よ、武士は食わねど高楊枝と言ってな。例え窮したとしても、志は高く持たねばならぬ。それが漢というものだ』
「アホ抜かせ! 俺は武士になんかなった覚えはねーぞこの!」
『ならば今よりその心を叩き込んでくれる。よいか、武士(もののふ)の心というのはだな……』
「誰が聞くかーーーーー!!!」
 弔爾の怒りの声が、ステージ上にこだました。
 その様を、ニコニコ顔で見つめる実行委員。
 まったく違った雰囲気で器用に会話をする弔爾の姿も、彼の目には少々変わった一人二役としか映ってはいない。
 ……面白いなぁ、この人。午後からは剣技だけでなく、1人漫才もやってもらおうかな……
 彼は彼で、胸の内でそんなプログラムを練っているのだった。

 かくて、めでたくタダ働き決定となった弔爾は、その剣の技で絶大な人気を誇り、学園祭に多大な貢献をしたという。
 彼が得たものは、学祭実行委員からの感謝状と、学生の人気者という称号。あとは……2、3日動けない程の激しい筋肉痛だった。
 弔爾はともかく、弔丸は大満足であり、来年もまた出陣すると今から息巻いているらしい。
 もちろん弔爾にそんな気はまったくなかったが……いくら拒否しようとも無駄なのは、火を見るよりあきらかだろう。
 頑張れ……弔爾。


■ END ■


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0461 / 宮小路・皇騎 / 男性 / 20 / 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】

【0845 / 忌引・弔爾 / 男性 / 25 / 無職】

【0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26 / 翻訳家&幽霊作家】

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■         ライター通信          ■
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 ライターのU.Cです。
 皇騎様、弔爾様、シュライン様、この度は本シナリオにご参加、ありがとうございました。
 学園祭ネタという事で、楽しくにぎやかに行こうと立てたシナリオだったわけですが……いかがでしたでしょうか。皆様方のキャライメージを壊していなければ幸いです。
 皇騎様、最初は弔爾様と組んで北辰一刀流の腕の冴えを披露する予定だったのですが、それをやるとテキスト量が倍くらいになりそうだったのであえなく削らせて頂きました。今回はそれが一番無念だった事でしょうか。当方千葉周作先生に斬られてもやむなしと思っております。次こそは必ず。
 弔爾様、当初の予定以上に「オイシイ」キャラになってしまいました。なんという事でしょうか。手が勝手に書き進めてしまうのです。これはきっと、当方のキーボードにおかしな呪いがかけられているせいに違いありません。これより御祓いに行ってまいります。南無。
 シュライン様、またのご参加ありがとうございます。毎回展開の読めないシナリオ運びとなっておりまして、プレイングも悩まれているご様子。もうしわけございません。もっとプレイングをし易い読者様に優しいシナリオを書くべく、今後も努力してまいる所存です。とはいえ……毎回本人すらも先が読めないで文章書いているというのが実態だったりしますので、なかなかに……いえその、ゲフンゲフン(咳)

 ……ということでお送りしました学園祭シナリオです。
 楽しんで頂ければ、これに勝る喜びはありません。
 参加してくださった皆様、及び読んで下さった皆様には、深くお礼申し上げます。

 なお、当シナリオは参加者3名の方々の文章は、どれも同じ内容となっております。
 その点、ご了承下さい。

 そして最後に一言、

『メイドさんに悪い人はいません』

 それでは、また機会がありましたら、お会い致しましょう。
 ではでは。

2002/Oct by U.C