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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


ちかんオバケツインズ! 〜日本色情霊連合会からの挑戦状〜

■オープニング
 とある日のゴーストネットの掲示板。
 毎日数十件の書き込みが現れるその場所に、悪戯を思わせるようなその新しい書き込みに、雫はさすがに眉を寄せた。
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投稿者: 日本色情霊連合会 墨田支部理事 たけもと

  先日は、うちの可愛い新入り幽霊・ミツモリを可愛がってくださってありがとうございます。
 ミツモリは現在、雷の音を聞くとおびえ、少女を見るとおびえ、すっかり再起不能の状態に
 なってしまいました。
  僭越至極ながら、ちょっとワタクシ怒っております。
  とはいえ、この身は霊でありますので、裁判ザタにするわけにもいきませぬし、暴力行為
 に訴えることも我が美学に反します。
  そういうわけですので、ここは皆様方に挑戦状を出させていただきたく、掲示板に書かせて
 いただくことにしました。
  里山小学校をご存知でしょうか。そちらで10月10日創立記念祭が開かれます。
  ワタクシはそこに行き、ちょっとひと暴れしてみたいな〜と思っております。
  そして暴れたアカツキには、「ゴーストネットに集まる霊能力者の仕業」と宣伝させていた
 だく心積もりでおります。
  さて、私を止められるかどうか、皆様ぜひお相手をしていただきたく、お待ち申しております。
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「何これ?」
 雫は呟き、頭を抱えた。
 里山小学校は、ゴーストネットのある場所の程近くにある小学校だ。
 調べてみたところ、確かに10/10に創立記念祭が開かれるらしい。
 お神輿やバザー等の催しもあるが、実際は運動会のようなイベントだ。
「どこまで悪戯なのかな〜…」
 難しい顔をする雫に、「まあ近所だし、覗きに行くくらいならな」と声をかけてみようかとあなたは思うのだった。

■快晴の創立記念祭(11:10)−校庭
 10月10日は一年で一番雨の降らない日なのだそうである。
 昭和39年10月10日は、東京オリンピックの開催日だ。その10月10日という日付は、当時の気象台が割り出した、統計的に最も雨が降らない確立の高い日にあわせて設定されたのだ。
 里山小学校の創立記念祭も、それにあやかり、毎年10月10日に開かれることが恒例となっていた。
「でもね」
 浅田・幸弘(あさだ・ゆきひろ)の隣を行く、恋人の真由は人差し指をたてて言う。
「ハッピーマンデーが制定されちゃったから、もう10月10日は祝日でもなんでもないでしょ。平日に学校行事をされてしまうのって迷惑な話よね」
「そうだね」
 幸弘は優しく微笑んで、恋人の表情を眺める。
 怒っていても、笑っていても可愛いと思うのだが、相手はその表情が何か見透かされているようで気に入らないらしい。ぷくりと頬を膨らませた後、溜息をついた。
「ゴーストネットのあの書き込み、どう思う?」
「…ふーん、そう?でも俺達には『全然関係ない』ことだから」
 幸弘は目を細めて爽やかに微笑む。真由は表情を軽くしかめ、苦笑する。
「小学校を狙うだけに、ショタコンなオバケさんって思うのね…でも、それじゃ弟が…」
「まあ、そのときはそのとき」
 幸弘は微笑しながら、そっと真由の手のプログラムを取って広げると、グラウンドの西側の方を指差した。
「弟くんたち、あっちのほうにいると思うよ。そろそろ競技も始まるし、顔を出しに行こう」
「うん、そうだね」
 二人はそっと手を繋ぎ、小学生たちが待機している席の方へ向かっていった。

■(11:40)−校庭
 グラウンド脇の5年生の座る席の付近には、水野・想司(みずの・そうじ)が立ち、白いプラスチックの筒のようなものを児童達に配っていた。
 一見少女のような大きな瞳と、白い肌を持つ、微笑みの可愛らしい美少年である。
 なぜか彼の服装は、三角帽子に黒いマント、星が先端についたタクト。立派な魔法使いの格好である。
 子供達は、彼が何かを配っているのを見かけると、我先にと、魔法使いに近づいた。
「創立祭の出し物だよ♪ 屋上で光が見えたら起動して☆」
「起動ってどうやるのー?」
「ここのとこに、スイッチがついてるでしょ♪ ここをぴっといれればいいから…あーでも、屋上の光が見えるまでは我慢するんだよ☆」
 想司は早速試そうとする子供達に、ウインクしながら注意した。
 騒ぎを聞きつけて、3年生や2年生の生徒達も駆けて来る。
 不思議に教師達が注意をしにこないのは、シュラインが学校関係者に話をつけていたからだろう。
「すごい騒ぎになっちゃったね。…でも、素敵なイベントになりそうだ☆」
 想司は、「みんなとりあえず座って座って♪」と子供達をなだめながら、クリスマスのサンタクロースのような袋を引きずっていくのだった。


 二人のもとに、やがてシュライン・エマから電話が入り、他のメンバーの状況を教えてもらう。

 シュラインは、神輿の担ぎ手の小学生たちに、徹夜で作ってきたお守り袋を手渡し、そして学校関係者に学校行事の妨害をすることなしに、警備をすることの許可を得たらしい。
 真名神・慶悟(まながみ・けいご)は体育館近くの中庭にいるらしい。十二の方位を守る神将を呼び出し、小学校を結界で包み込んでいる。
 だが、これはオバケをはじくものではなく、感知するためのものだという。
 ファルナ・新宮(−・しんぐう)は、体育館の中でバザーを楽しんでいるようだった。
 育ちのいい彼女は、こういった学校行事が珍しいのだろうか? おうどんを食べてます、おいしいです〜、と嬉しそうに言っていたらしい。
 
■ちかんオバケの悪巧み(0:20)
 ちかんオバケ二人組は小学校の上空に浮いていた。
 一人は牛乳瓶の底のような眼鏡に、詰襟の制服を着た若い男。
 彼はしきりに足元の景色をきょろきょろ見回し、落ち着かない様子で見回している。
『んー、どうしたの? ミツモリ』
 ファンデーションを頬にぱんぱん当てながらメイクに余念のない様子の、ポニーテールの女性<外見は二十代妙齢くらいか>が、三森を振り返った。
『たけもとさん、あんな予告状出して…絶対、あの人たち来てますよぉぉ〜〜〜。…どうするんですか〜??』
『あーん?』
 たけもと、と呼ばれた彼女は、つまらなさそうな表情で三森を見ると、またパフパフと化粧を開始する。
『昼休みが開けたら、とっとと突入するわよ。お神輿担ぎがあるみたいだし、いやん、たけもと胸がどっきどきしますわ〜ん』
『…あーうー…知りませんよぉぉ〜〜』
 三森は泣き顔になった。
 彼らの足元には、慶悟の十二神将が辺りを警戒している空間があることを、ちかんオバケたちも気づいていた。
 だが、そのさらに下にある空間には、たけもとが愛してやまない「小学生の生足」がたくさんある。彼女にとっては、神聖な楽園、エデンの園のようなものだ。
『…なによ、ミツモリ。その顔は。あなた、ゴーストネットの奴らが怖いなんて今更言うんじゃないでしょーね?』
『怖いですよぉぉぉ〜』
 三森は両耳に手を当て、目をつむった。
 雷に打たれ、過去を暴かれ、そして可憐な少女にライトセーバーで追い回され、…できることならあんな体験はもうしたくない。
 たけもとが思うほど、ゴーストネットから来る連中は半端ではないのだ。
 涙して訴えても、たけもとは全く聞く耳をもってくれない。
『つまんない男ねー! それじゃいつまでたっても、大成できないわよ! さあ、そろそろ時間だわ!』
 たけもとは三森を叱り飛ばし、さあ、行くわよ、とその腕を引く。『うきゃ〜〜〜〜』と悲鳴を上げながら、三森はたけもとに連れられて結界内に突入した。

■神輿(1:00)−中庭
 十二神将の一人が反応を見せた。
 続いて、慶悟が張っていた結界符が破れる気配を感じる。
「…来たな」
 慶悟は表情を険しくし、中庭から走り出した。

■神輿(1:00)−屋上 
「…来た」
 魔法使いは屋上で瞑想を続けていた。
 そして降下してきた敵の姿を気配で察知する。
「…ふふふ。この学校を守っていてた結界が破れたね。…この結界は真名神クンのものだ。…」
 想司はマントを風になびかせながら立ち上がった。
「…日本色情霊連合…ふざけた名前。…この僕のいちばん憎い吸血鬼みたいな奴等…」
 想司はすぅと息を吸った。彼にとってかけがえのない少女を、死を望むほどに追い詰めた者。それに並ぶような存在だ。
「…この僕に喧嘩を売ったことを後悔させてあげる」
 くすりと形よい唇をゆがめると、想司は屋上の端に立った。
 そして腰から剣を抜くように、光刃を取り出し、上空にかざす。
 表情にいつもの愛らしい笑みが戻った。
「さあショーの時間だよー☆」

■神輿(1:02)−校庭
 昼食を食べ終わり、真由の弟をグラウンドに設置された席まで送り届けた二人は、ジュースでも買おうかと、校門の方に進路をとろうとしていた。
「これからお神輿が来るはず、そこまで見ていくかい?」
「そうね…」
 校門の方から大きな歓声が聞こえた。体育館は校門の方向にあり、そちらから神輿が来るらしい。
 それを見物してからにするかと、幸弘と真由は決め、立ち止まった。
 すると、今度は背後からわぁっと大きな歓声が響く。
「ん?」
 幸弘は振り返った。
 そして、一瞬、目を丸くした。
 グラウンドをぐるりと囲むように腰を下ろして座っていた生徒たちが、一様に光る剣を空に突き上げているのである。
 先ほどまで一緒に弁当を食べていた真由の弟も得意げに剣をかざしている。

「ぐるぐる回してー」
 屋上の上から、少女のような高い声が響く。そこにも一本の光の剣を持つ人影があり、彼が剣を空に振り回すと、子供達もそれをまねて振り回す。
 すると、生徒達の剣から煙のように光が新たにたちのぼる。それぞれの剣からたちのぼった光は、他の剣からの光と交じり合い、大きな光となって空の上にのびていった。

「何かしら…」
 空を見上げる真由に、幸弘は苦笑して「なんだろうねぇ」と答える。
 すでに光は、神輿よりも会場の注目を浴びていた。

■ちかんオバケの悪巧み2(1:05)−校庭上空
『きゃーきゃー、神輿神輿! なまあしなまあしなまあしっっ』  
『たけもと…さん〜、後ろから怖い顔した人が追ってきてますよぉぉぉっ』
 なきつくような三森をがっしり掴みながら、それを引きずるようにして、たけもとは一直線に神輿に向かって降下していった。
 三森の視線の先には、後方からついてくる慶悟の神将達がいる。
 長いポニーテールが風の中を揺れていく。
 追ってくる慶悟の神将よりもすばやいスピードで、彼女は手を伸ばすと、一直線に生足のふとももあたりをなで上げて行こうとする。
 だが。
 バチィィィィツ。
『やんっっ』
 案外可愛い声を出して、たけもとは自分の手首を押さえて、空中で固まった。
『ど…どうかしましたかぁぁ?』
『はじかれたわっっ』
 たけもとは神輿を担ぐ少年達を見下ろし、悔しそうに叫んだ。
『あの美味しそうななまあしに触れないなんてっっ』
『…あああああ、追いつかれますぅぅ〜〜〜』
 三森はばたばたとたけもとを動かそうと暴れた。 ようやくたけもとも三森の言う方向を振り返る。
『…な、なによ、あれは。逃げるわよっ』
 たけもとは三森の腕を握ったまま、再び空の上に急上昇する。
 だが、その上昇した先に、違う方向から来た神将が待ち伏せていた。
『なんですって!?』
 再び右の方向に二人は猛スピードで逃げる。
 するとその先には校庭にそびえる、巨大な光の柱がたっていた。
『…な、な、な、なんなの??』
『だから…ゴーストネットの人たちに…逆らわないほうがいいって…』
 二人がその光に動きを止めたとき、背後から神将たちが追いついて、ふたりをはがい閉めにしようとする。
『いやぁぁぁっ』
 たけもとは地上の方へと滑空した。

■不幸な事故!?(1:10)−校庭
 たけもとが三森を引っ張りながら舞い降りた校庭の辺りには、幸弘と真由が立っていた。
 しかしその二人の視線は、校庭の上の光の竜巻に向けられていた。
 悪しき卑しき邪念の塊が二人めがけて突進してきていることに気がつくのが遅れ、幸弘が振り向いたとき、二人の姿はロケットのようなスピードで近くにいた人々をはねのけて進んでいく。
「きゃああっ」
 真由が悲鳴をあげて、地面に倒れた。辺りでもばたばたと人が転んでいる。
 彼らの姿は能力のない者には見えない。大きな突風が突然吹き込んだように感じたはずだ。
「真由っ」
 幸弘は真由に駆け寄った。
 膝に血がにじんでいる。「なんなのぉ〜」と目元に涙を浮かべて、真由は幸弘を見上げた。
 幸弘は真由の隣に腰掛けると、その傷口にハンカチを巻き、優しく真由の頭を撫でた。
「…真由、ちょっと行ってくるよ。このくらいなら平気なはずだから、しばらくこの辺りにいるんだよ。痛みがひどかったら保健室に行ったほうがいい」
「あ、うん…行くって?」
「いいね」
 念を押して、幸弘は抜けていった二人の後を追った。場所は簡単にわかる。後ろに十二神将がついているし、光の先端がその二人に狙いを定めていることも気づいた。
 …よくも真由に手を出したな。絶対に許さない!!
 不幸なちかんオバケはさらに、幸弘の逆鱗に触れ、眠れる獅子を目覚めさせてしまったらしかった。

■(1:15)−屋上 
 屋上の上から、模造光刃を持つ校庭の生徒達の笑顔を眺め、想司は機嫌良さそうに光刃を振っていた。
 竜巻のように大きく膨れあがった光は、いつでもちかんオバケを捕らえられるだろう。彼らを呪縛する力を込めてあるし、とどめだって刺せるはずだ。
 だが、校庭はまずい。
 今は運動会の真っ最中である。
「…さて、それじゃそろそろ行こうかなっ☆」
 想司は光の刃をタクトのようにくるくると回した。校庭の生徒たちも真似をする。
 光の先端がその動きにあわせて、ぐんぐんとうねった。そして、その光で校庭を神将たちに追い回され、動き回っていたちかんオバケ達を捕らえると、一気にプールの方へと叩きつけた。
「ふふ♪ 成功っと。簡単すぎていやになっちゃうね☆」
 想司はにっこり微笑んだ。
 そして子供達が持つ模造光刃の光に向かって星のタクトをふるう。
 すると、光の柱は破裂するように広がり、キラキラと輝きながら小さなかけらとなって地上に降り注いだ。
「わぁ〜…」 
 また違う歓声が校庭に広がっていく。そして子供達の手の中の模造光刃も光のかけらとなり、霧散していった。
「素敵な出し物だったでしょ♪みんな楽しんでくれた? それではあでゅー☆」
 想司は屋上から手を振り、鳴り止まない拍手の中、プールに向かって駆け出していった。

■(1:19)−プール決戦
 シュラインは途中で慶悟と合流し、柵を乗り越え、プールサイドへと降り立った。
「あの光は想司くんね」
 さらに駆けだしながら、シュラインが言う。金の龍はくわえた二人を25メートルプールの脇の銀杏の木の下に下ろすと、姿を消した。
 そして下ろされたオバケ達を神将達がぐるりと囲んで動きを封じる。
「…今度ばかりは逃げられないわね」
 二人はプールに辿りつくと、フェンスを乗り越えて、中に入る。
 そこには神将達に囲まれたちかんオバケ達が暴れていた。
『な…なによぉ、あんたたち!レディに失礼よ!離しなさいってば』
 叫ぴながら暴れているのはポニーテールの女性に見えるオバケである。その隣で、おろおろと辺りを見回しているのは三森だ。
「おまえがたけもとか」
 慶悟とシュラインは二人に近づく。
 たけもとはぎろりと二人を睨みつけると、大きな声でいった。
『あんたたち、こんなことしてただですむと思ってるの!?』
「挑戦状を送りつけてきたのはあなたよ」
 シュラインは呆れたように溜息をつく。
「あなたこそ、こんなことをしてどうなることか…」
 もう私には止められないわよ、と苦笑すると、シュラインはプールの入り口を振り返った。
 右手に熱気、左手に冷気を背負った、無表情だが明らかに尋常でないオーラを背負った青年が、ゆっくりと入ってくるところだった。
『…な、なにっっ!?』
「もう…捕まっていたんだね…それはよいことだ」
 口元に冷たい笑顔を浮かべて、幸弘はちかんオバケ達に近づいてくる。
『ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 私、まだ何もしてないわよ! なまあしも触ってないし!!』
「そういう問題じゃないね♪」
 プールサイドの銀杏の枝の上には、魔法使いルックの少年が笑っている。
 彼は光刃を手にとると、その刃をかざしながら、舌を出し、くすりと微笑む。
「まったくだ…」
 幸弘も両手を掲げる。熱風と冷風がプールの上を吹き荒れた。
「…そうだな」
 慶悟も遅れまじと、胸元から符を取り出した。その符を手にした途端、空には突然黒い暗雲がたちこめてくる。
『ひ…ひぃぃぃぃっ』
 たけもとは蒼白になり、逃げようと浮かび上がろうとした。
「させるか! 禁呪!!」
 慶悟が叫ぶ。それを合図にしたように、想司が空に舞い、幸弘の両手が振り下ろされた。そしてとどめに雷が轟く。

 …後には小さなコゲカスだけが残っていた。

「やったな…」
 慶悟が息をつく。
「当然だ…」幸弘も憮然とした息をついた。
「本当に消えちゃったのかな〜」想司は星のタクトを振りながら、辺りをきょろきょろと見回した。
「あ…あれ?」
 シュラインは何かに気がついた。
 今トドメがさされる瞬間、横から何かが飛び込んできた気がしたのだ。
「ん? あれは…?」
 幸弘が眉をひそめ、プールの入り口の方を振り返っている。シュラインも一緒に振り返ると、そこにはメイド姿のゴーレムが、三森を抱えて走っているのが見えたのだ。
「ファルファ…?」
「すみませんー、すこし借りさせてくださいーっ」
 ハッピを着けたファルナが柵の向こうから手を振った。
 そして三人でそのまま駆けていく。
「どうしたのかしら…」
「少しお話がしたくて。すみません」
 去っていくファルナに一同は一瞬唖然として見送る。
 しかし、何故か次の瞬間、笑いが彼の中で起こっていた。
「また、三森には逃げられたのかな?」
「さすが強敵。そうこなくちゃだね」
「…そんなものなのか? 危険だと思うぞ」
「ファルナさん、大丈夫かしら。しばらくしたら探しに行かなくちゃ…」
 四人は笑顔で顔を見合わせると、プールサイドから歩き出した。

 そろそろ、神輿はグラウンドまで辿りついたらしい。ワッショイ、ワッショイと威勢のいい声が秋空に響き渡っていく。
 誰が詠んだのだったか、秋の空はとても高く、そして美しい。
 
                                           ちかんオバケツインズ! 了
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0086 シュライン・エマ 女性 26 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
 0158 ファルナ・新宮 女性 16 ゴーレムテイマー
 0389 真名神・慶悟 男性 20 陰陽師
 0424 水野・想司 男性 14 吸血鬼ハンター
 0767 浅田・幸弘 男性 19 大学生
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■             ライター通信                ■
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 こんにちわ。鈴猫(すずにゃ)と申します。
 大変お待たせいたしました。「ちかんオバケツインズ 〜日本色情魔連合会からの挑戦状〜」をお届けします。

 真名神慶悟さん11回目、シュライン・エマさん8回目、
 水野・想司さん4回目、ファルナ新宮さん3回目のご参加ありがとうございます。
 浅田・幸弘さんは初めましてですね。
 皆様、数ある依頼の中で、私の依頼を受けてくださいまして、本当にありがとうございます。

 さて、今回の依頼、皆様の行動がそれぞれとても楽しいくらいに個性的で、楽しみながら書かせていただきました。
 おかげで「たけもと」は「手も足も出せない」うちにやっつけられちゃったようです。
 ちかんオバケなので、煩悩の赴くままに再び復活することもあるかもしれませんが、当分は現れないでしょう。
 三森もしばらくは静かにしているかなと思います。弱点を前回と今回ですっかり暴かれてしまったような…。
 
 それではまた違う依頼でお会いできたら幸いです。
 ご参加、本当にありがとうございました。皆様のご活躍、これからも期待しています。

                                               鈴猫