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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡線・冬美原>


恋のお弁当レッスン♪
●オープニング【0】
 天川高校『情報研究会』には、誰かしら何かしらの相談事を持ってやってくることが多い。
 相談事の内容も、危険過ぎて洒落にならないような話から馬鹿馬鹿しい話までと、多岐に渡っている。その中には、高校生らしく恋愛相談なんかもある訳で――。
「ほえ? お弁当の作り方?」
 鏡綾女は目をぱちくりして、相談者である藤井明子に尋ね返した。以前は自殺騒動を起こしてしまった明子だったが、友だちも出来たからか今ではすっかり明るさを取り戻していた。
 だが綾女に尋ね返されると、明子は顔を紅くしてうつむいてしまった。
「好きな人に作ってあげたいの?」
 くすりと笑って、さらに突っ込む綾女。すると明子はより顔を紅くしてさらにうつむいてしまった。どうやら図星だったようだ。
「あたし、お料理下手だから……でも、好きな人に食べてもらって、振り向いてほしくて」
 ぼそりとつぶやく明子。健気な乙女心とはこのことか。
「んー、あたしもそう詳しい訳じゃないしなぁ」
 と、そこで綾女は視線をこちらに向けた。
「どこかにお弁当作りの上手な人は居ないかなぁ……」
 わざとらしく言い放つ綾女。
 それは暗に、手伝えって言ってるんですね?

●待ち人足らず【1】
 土曜日の昼前、綾女の家は来訪者たちで賑わっていた。
「ちょっとしたお料理教室だよね」
 台所をくるりと見回して言う綾女。普通の家庭にしては妙に広い台所には、綾女や今日の主役である明子の他に5人の女性の姿があった。
 その5人も大きく2つに分けられる。巳主神冴那やシュライン・エマといった大人の2人と、志神みかねや海堂有紀、七森沙耶といった綾女や明子と同年代の少女たち3人というように。
「皆さん、あたしなんかのために……どうもありがとうございます」
 明子が5人各々に対して、ぺこんと頭を下げていった。明子としてみれば綾女に相談してみて正解だっただろう。何しろ、多くの人間から料理を教えてもらえるのだから。
「お友だちですもの、遠慮はいりませんよ〜」
 にっこり微笑んで有紀が明子に言った。けれどもその有紀の笑顔は、いつもの雰囲気とは異なっているように見えた。何か憂いを帯びていると言えばいいだろうか、ともかく違うのだ。
「……どうかしたの? 少し元気ないみたいだけど」
 有紀の顔をじっと見つめて綾女が尋ねた。少し口ごもってから、その理由を口にする有紀。何でも、出かけに大事に飼っていた兎が行方不明になってしまったのだそうだ。
 時間も迫っていたので捜索を中断し、後ろ髪を引かれたままここへやってきたとのことで、それが微妙に表情に表れていたようだ。
「それはぁ……確かに心配よね、うん。でもきっと、無事に帰ってくるわよ」
「そうですよっ。帰ったら、何事もなかったかのようにひょっこり部屋に居るかも……」
 シュラインとみかねが有紀を励ます。有紀が小さく頷いた。
「兎の……」
 冴那がぼそりとつぶやいた。続けて何か言いかけたようだが、口をつぐんで思案顔になっていた。何を言いたかったのか、ちょっと気になる。
「話の最中すまないが、いつから始めるんだ?」
 台所に隣接したリビングの方から声が聞こえた。見るとそこには台所をやや不安げに覗き込んでいる青年が2人。真名神慶悟と宮小路皇騎だ。声をかけた慶悟は、腹部の辺りを手で押さえていた。
 この2人、今回の毒味役……もとい、試食役に立候補した物好き……ではなくて、チャレンジャー……これも違って、協力者たちである。その勇気ある行動には、自然と拍手を送りたくなってくる。閑話休題。
「あ、うん。あと1人来れば始めるつもり。何だか遅れてるみたいで」
 そう綾女が答えた時、玄関の呼び鈴の音が響き渡った。そのあと1人が到着したらしい。
「ごめんなぁ、遅れてもうた!」
 出迎えた綾女に連れられ台所に入ってきたのは、南宮寺天音だった。苦笑いを浮かべ、待っていた面々にすぐさま頭を下げていた。
 ともあれ、これで全員揃ったという訳だ。

●導火線に点火【2】
「遅かったね、迷ってたの?」
「ちゃうちゃう、珍しい食材用意しとったら時間かかってもうて……」
 綾女の問いかけに対し、天音は手にしていた袋の中から何やら竹皮に包まれた物を取り出してみせた。隙間から紅い物が見えている。
「何ですか、それ? お肉……みたいですけど」
 沙耶が竹皮に包まれた物を、前後左右から見ながら尋ねた。その言葉を待っていたかのように、天音が一気に喋り出した。
「よくぞ聞いてくれはった! あんな、普段の生活からしたら珍しいもんかもしれんけど、これ結構美味しいんや。聞いて驚き……兎の肉や!」
 どんなもんだといった様子の天音。確かに一同を驚かせるには十分な食材だった。ただし、全く違う意味で。
「……鶏もも肉に近い味だから……」
 僅かに下唇を舐めながら、冴那がつぶやいた。どうやら兎肉を食べた経験があるらしい。調理法までは分からないが。
 その他の面々は、複雑な表情で顔を見合わせていた。ただ1人、有紀だけがうつむいて肩をぷるぷると震わせている。
「有紀はん、どないしたん?」
 不思議そうに尋ねる天音。ここに来るまでの事情を知らないのだから、当然の質問である。しかし――天音の行動は、あまりにもタイミングが悪すぎた。
「……馬鹿ぁぁぁっ!!」
 突然有紀が天音を怒鳴り付けたのだ。驚くのは天音の方である。訳も分からずに怒鳴り付けられたのだから。
「ば、馬鹿って急に言われても……」
「馬鹿馬鹿馬鹿ぁっ!! いくら嫌ってても、そんな風にしちゃうなんてぇっ!!」
「そんな風? 何の話か分からへん」
「今朝、飼ってた兎が居なくなったんですって」
 事情の飲み込めない天音に対し、シュラインがそっと先程の話を教えてあげた。
「あ……あほやなあ。そんなん、うちがする訳ないやん。兎が居らんようなっただけで、そこまで話飛躍せんでも」
「証拠がないですぅっ!!」
 有紀がキッと天音を睨み付けた。問答無用といった雰囲気が漂っていた。
「知らん! やってへん!」
 さすがにこうも責められると、天音も機嫌が悪くなってくる。いや、すでにもうなっていた。
 それからしばらく言葉の応酬が続いた後、睨み合う2人。このまま果てしなく口喧嘩が続くかと思われた時、皇騎が2人の間に割って入った。
「それまでにしませんか。南宮寺さんも、知らないと言っている訳ですし」
「でもぉ……」
 有紀が抗議するような声を上げた。そこにすかさず皇騎が言葉を続けた。
「今日は藤井さんにお料理を教えてあげるのが目的なんですから」
 有紀に微笑みを向ける皇騎。けれどもその口調は、有紀をやんわりと窘めるようでもあった。
 有紀は再び天音に視線を戻すと、ぷいっとそっぽを向いてしまった。同様に不機嫌な表情のまま、そっぽを向く天音。
「ええっと……始めようっかぁ? あはは……」
 乾いた笑いを上げながら、綾女が言った。そうして、やや重苦しい雰囲気のまま、明子に対する料理の特訓が始まった――。

●籠の中身は何でしょう?【3C】
「最近……ちょっとした理由があって……私もお料理には凝ってるのよ」
 冴那はぎこちない微笑みを浮かべ、挽き肉を手でこねている最中の沙耶に話しかけた。
「へえ、そうなんですか? 理由は知りませんけど、お料理は楽しいですもんね☆」
 笑顔で答える沙耶。喋っていても手が止まらない辺り、慣れというものを感じさせる。
「天ぷら鍋に、油入れといたで」
 手をパンパンと叩きながら天音が言った。結局持参した兎肉は使わないことが決まり、天音はこれといってやることがなくなっていた。
「ありがとう……横浜中華街で勉強した成果を見せるわ」
「ほな、中華なんか?」
「料理長は言ったわ。料理には狂おしいほどの愛情を込めて……元の素材の新鮮さを活かしながら……元の素材を芸術的に彩るのだそうよ……?」
 表情こそ変化はないが、穏やかな口調で語る冴那。
「……愛情なあ」
 天音がぼそっとつぶやいた。視線の先にはサラダのためのレタスをザクザクと切っている有紀の姿があった。心なしか切る音が大きく聞こえていた。
「足らんと不幸かもな」
 小さく溜息を吐く天音。そこへ綾女がやってきた。顔が引きつっている。
「ねえ……あそこの魚籠持ってきたの誰?」
「……あれがどうかしたの?」
 綾女の言葉に反応したのは冴那だった。
「中に入ってるのって……あれだよね?」
 確認するように尋ねる綾女。冴那は静かに答えた。
「私的にお薦めはあれなのだけれど……何か?」
「ううん、別にそれだったらいいんだけど……ちょっと確認してみただけ」
 綾女はそう言って冴那から離れていった。
「どうしたんでしょう?」
「さあ、何やろ」
 2人のやり取りを見ていた沙耶と天音は、狐に摘まれたような表情を浮かべていた。

●微妙な空気【4C】
 料理開始から約1時間以上が経過――明子へのレッスンは着々と進んでいた。香ばしい匂いとともに、じゅわーっという油の音が聞こえている。
「唐揚げですか?」
 有紀の手元を覗き込んで明子が言った。サラダ油の入った鍋の中には、狐色になっていた鶏の唐揚げがいくつも浮かんでいた。ちょうど頃合らしい。
「そうです、美味しそうでしょう〜?」
 にっこり笑って答える有紀。そして辺りをきょろきょろと見回した。
「えっと、お皿は……」
 その時、不意に天音と目が合った。有紀はすぐに視線を逸らすと、近くに居た綾女に声をかけた。
「お皿取ってもらえますか〜?」
 複雑な表情の天音を横目に、綾女はやれやれといった様子でキッチンペーパーの敷かれた皿を持ってきた。
「余計なお世話かもしれないけど、いい加減に仲直りしたら?」
 皿を手渡す時に、綾女が有紀に小声で言った。けれどもそれには何も答えず、有紀は無言で皿を受け取った。まだ怒りが解けないのか、それとも振り上げた拳を降ろせなくなったのか、それは有紀本人にしか分からないことだった。
「……そうゆーたら、好きな男の子の写真あるん? うち、顔知らんし」
 明子に近付いてきた天音が小声で尋ねた。
「あ、はい、ここに……」
 明子は生徒手帳に挟んであった写真を、取り出して天音に見せた。体育祭の際の写真だろうか、体操服姿の穏やかそうな表情の少年が写っていた。
「当然、部活とかも知っとるわな。好きなんやから」
 さらりと言う天音。確かに知っててもおかしくはないだろう。
「今日は部活あるから学校に居るはず……あっ、その、聞こえたんです、昨日、たまたまっ」
 慌てて答える明子。その慌て振りが妙に滑稽だった。
「……さよか」
 天音はそうとだけ言って、明子から離れていった。
 その後、有紀が明子に実際に作業を経験させながら、料理は続いていった。鶏の唐揚げの他に、厚焼き卵、プチトマト付きのちょっとしたサラダといったおかずがやがて全て出来上がる。そして綾女の用意してくれた弁当箱に丁寧に詰めてゆく。
 弁当箱が全て埋まった時、いつの間にか天音の姿が台所から消えていた。この空気にいたたまれなくなったのか、それとも――。

●きっとそうは見られない光景【5B】
 時間的に見て今頃は試食会が開かれているであろう頃、天音は1人天川高校に来ていた。
「自分に運ないんやったらな……」
 溜息混じりにそうつぶやいて、正門をくぐってゆく天音。週休2日制のため今日は学校は休みだが、部活動の最中らしき生徒たちの姿がちらほらと見受けられた。
(明子ちゃんの好きな男の子とやらを調べて回ったろか。奥手みたいやから、どうせそないに深く知らんのやろうし)
 きょろきょろと写真で見た少年を探しながら天音は歩いていった。明子に色々と質問をしたのは、全てこのためであった。
 上手く今の居場所が特定出来たのは運がよかったかもしれない。その運が、自分の恋愛の方にまで回っていたらなおよかったのだが……そこまで望むのは、贅沢なことだろうか。
 校舎の間を通り抜け、グラウンドへ向かう天音。グラウンドでは、体育系の様々な部が練習を行っている最中であった。
 野球部、サッカー部、陸上部、女子ソフトボール部等、そこにはよく見かける練習風景が広がっていた。だがしかし、普通はなかなか見かけないであろう部が、グラウンドの隅の方で練習を行っていた。
「……はぁ? 何やあれ……」
 天音は一瞬目を細めて、グラウンドの隅を見た。それからゆっくりとそこへ近付いていった。
 四角く囲まれたコートの中に、紅白のボールが合わせて10個存在していた。そしてゲートが3つに、中央部分に柱が1本立っている。周囲に居る面々はスティックを手にしていて、番号の書かれた紅白のゼッケンをつけている。念のために言っておくが、全員が天音と同年代の男女だった。
「げ……ゲートボールぅっ!?」
 唖然とする天音。さすがに高校でゲートボールをしている光景に出くわすとは思いもよらなかった。
「5番、第2ゲート通過!」
 審判役らしい少女が、ボールがゲートを通過したのを見て宣言した。
(部活……やろなあ、やっぱり)
 天音は首を傾げながらも、しばしゲートボール部の練習風景を見学していた。
 ――と、その中に居たのだ。明子が見せてくれた写真に写っていた少年が、10番のゼッケンをつけてコートの外に。
(部活って、ゲートボール部かいっ!)
 心の中で激しく突っ込みながらも、自らの強運が健在であることを確認する天音。
「ま、ええわ。ほな……言ってみよかっ!」
 天音は軽く自分の頬を叩いて気合いを入れると、少年の方へと向かっていった。

●決断【6】
「今日のことをまとめると、火も調味料も加減をする。それと、お料理に慣れてゆくことかな?」
 試食会を終え、綾女が総括をした。
「ですね。家のお手伝いをすれば、自然と慣れてゆくんじゃないでしょうか」
 沙耶がそう続けた。身近な所では、それが一番いいことかもしれない。何しろ母親という立派な指導者が居るのだから。
「分かりました、明日から……じゃなくって、今夜からそうしてみます」
 明子がにこっと微笑んだ。
「向上心あるわね。いいことだわ」
 くすっと微笑むシュライン。この分ならそう遠くないうちに、明子の料理の腕前は上がってゆくことだろう。
「……残ったおかず、どうするの?」
 冴那が台所のテーブルを見てつぶやいた。そこには弁当箱に入り切らなかったおかずが諸々残されていたのだ。思案する綾女。
「んー、勿体無いよね。食べちゃおうか……」
「そんな必要ないやろ」
 綾女の提案に異を唱える者が居た。いつの間にか戻ってきていた天音だった。その天音は、何故かゲートボールのスティックを手にしていた。……何をやってきたのだろう。
「おかずはあるんやから、もう1個お弁当詰めたらええねん」
「お弁当詰めて、どうす……」
 明子がそこまで言って、何かに気付いた。悪戯っぽく微笑む天音。
「……今から持ってゆくんですかっ!?」
 目をぱちくりさせて叫ぶ明子。
「それは……確かに今、部活中だと思いますけど……そんなっ、急に……」
「いいかもしれませんねっ! 善は急げって言いますし、気持ちの込められたおかずも沢山あるじゃないですか!」
 困惑している明子に対し、みかねが後押しするような言葉をかけた。
「ふむ、今が陰陽の合わさる時かもしれないな……頃合なのだろう」
 慶悟もいい考えだとばかりに大きく頷いた。
「だけど、おかずも冷めてて……」
「おかずは冷めていても、気持ちは冷めていないでしょう? それに、冷めてからも食べてみましたが、不味くはなかったですよ。お弁当の場合、それが重要でしょう」
 なおも何か言おうとしていた明子に対し、にこりと微笑んで言う皇騎。少し歯が浮きそうな台詞も混じっていたが、皇騎が言うとそれなりに様になっているから不思議なものだ。
「……行った方がいいですよ〜」
 ここまで黙っていた有紀が、明子の隣へ行って諭すように言った。明子が有紀の顔を見た。無言でこくりと頷く有紀。
「分かりました……あたし、行ってきます!」
 皆の後押しを全身で感じ取った明子が、意を決して言い放った。リビングで拍手が起こった――。

●行方不明事件の顛末【7C】
 そうと決まれば、行動あるのみ。大急ぎでおかずを弁当箱に詰め、ご飯の上にでんぶでハートマークを描く明子。一同はその様子を優し気な眼差しで見守っていた。
「じゃあ、行ってきます!」
 すっかり準備を終え、明子はぺこんと頭を下げて綾女の家を飛び出していった。
 主役が居なくなった以上、もうやることもない。一同も綾女の家を辞することにした。
「お弁当箱はそのまま持って帰っていいからね。あ、試食役の人もご苦労様でした。このドリンク、持って帰ってね!」
 家に余っていたからという理由で、弁当箱やら栄養ドリンクやらを土産に持たせる綾女。一同はその土産を手に、綾女の家から出てきた。
 綾女の家からの帰路、天音と有紀は終始無言のままであった。列車の中でも言葉を交わさず、2人の間にぎこちない空気が流れていた。
 そしてようやく有紀の部屋の前に戻ってくる2人。玄関前に何か影が見え、有紀が声を上げた。
「ああっ……」
 駆け出す有紀。そして玄関前でしゃがみ込んだかと思うと、何かを抱えて立ち上がった。有紀の腕の中に、何と行方不明だったはずの兎が戻ってきていたのだ。
「帰ってたんだ〜!」
 安堵の表情を浮かべ、兎に頬擦りをする有紀。天音が何気なく有紀の足元に目をやった。するとそこには見慣れない別の兎が。
「何や、彼氏付きで戻ってきたんかいな……」
 苦笑する天音。が、天音の瞬きが一瞬止まった。
(ちょお待った。1匹増えたっちゅうことは、有紀はんの関心が余計に兎に……?)
 非観的な考えが天音の脳裏に浮かんだ。そんなことなど露知らぬ有紀は、もう1匹の兎も抱え上げ、にこにこと満面の笑みを浮かべていた。
(……しゃあないか。何となく、明子ちゃんたちみたいにも見えるしなあ……あの兎たち。未来像と解釈しといたろ)
 自分の境遇は境遇として、兎が戻ってきてほっとしているのは天音も同様だった。これでようやく誤解も解けるのだから。

●ポストスクリプト【8】
 さて――蛇足になるがこの後の結果を書いておくと、明子の持っていった弁当は相手の少年に好評だったようだ。
 そしてその10日後、2人は正式に付き合うようになったということである。
「やっぱり気持ちみたいだね」
 綾女が結果を話しながら、くすっと笑った。

【恋のお弁当レッスン♪ 了】


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【 整理番号 / PC名(読み) 
                   / 性別 / 年齢 / 職業 】
【 0086 / シュライン・エマ(しゅらいん・えま)
  / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト 】
【 0230 / 七森・沙耶(ななもり・さや)
                   / 女 / 17 / 高校生 】
【 0249 / 志神・みかね(しがみ・みかね)
                    / 女 / 15 / 学生 】
【 0376 / 巳主神・冴那(みすがみ・さえな)
          / 女 / 妙齢? / ペットショップオーナー 】
【 0389 / 真名神・慶悟(まながみ・けいご)
                   / 男 / 20 / 陰陽師 】
【 0461 / 宮小路・皇騎(みやこうじ・こうき)
        / 男 / 20 / 大学生(財閥御曹司・陰陽師) 】
【 0576 / 南宮寺・天音(なんぐうじ・あまね)
           / 女 / 16 / ギャンブラー(高校生) 】
【 0597 / 海堂・有紀(かいどう・ゆき)
                   / 女 / 16 / 高校生 】


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■         ライター通信          ■
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・冬美原へようこそ。
・『東京怪談ウェブゲーム 界鏡線・冬美原』へのご参加ありがとうございます。本依頼の担当ライター、高原恵です。
・高原は原則としてPCを名で表記するようにしています。
・各タイトルの後ろには英数字がついていますが、数字は時間軸の流れを、英字が同時間帯別場面を意味します。ですので、1から始まっていなかったり、途中の数字が飛んでいる場合もあります。
・なお、本依頼の文章は(オープニングを除き)全17場面で構成されています。他の参加者の方の文章に目を通す機会がありましたら、本依頼の全体像がより見えてくるかもしれません。
・今回の参加者一覧は整理番号順で固定しています。
・大変お待たせしました、料理ものシリーズと呼ばれているのかもしれない、お弁当レッスンのお話をお届けします。こういったお話の難点は、書いているとお腹が空いてしまうことですね。本文では、特に妙な味の料理は出現しなかったのでよかったと思います。
・皆さんには明子の恋の手助けを十分にしていただきました。本当にありがとうございます。おかげで明子の恋は無事に成就いたしました。
・さて、アンケートで尋ねました歌ですが。『なるほどっ』と思った曲から、『どうしてそれが?』と思うような曲までバラエティに富んでいたように思います。色々と参考になりました。
・南宮寺天音さん、13度目のご参加ありがとうございます。今回のプレイングを読んで『なるほど、こう来たか!』と感嘆しました。成果は十分あったようで、しっかりゲートボールも楽しんできていたりします。
・次のアイテムをお送りします。次回以降冬美原でプレイングをかけられる際、臨機応変にアイテムをご使用ください。
【18:ゲートボールスティック】
・効果時間:所持中永続?
・外見説明:木製のゲートボール用スティック
・詳細説明:ゲートボールでボールを打つ際に使用する物。一応武器にならないこともないが、普通そんなことはやってはいけません。剥き出して持ち歩いていれば、所持者の年齢によって注目度が上昇することになる。

・感想等ありましたら、お気軽にテラコン等よりお送りください。
・それでは、また別の依頼でお会いできることを願って。