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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


<君は僕のもの>


<オープニング>


 この世で1番キレイで。
 この世で1番手に入れたいもの・・・。

 君の瞳は僕のもの。


 桐谷 まどかはポストに入っていた白い封筒を見て溜め息を吐いた。
「ったく、何よ」
 その白い封筒は、このアパートに引っ越してきてから、毎日入っているものだ。しかも、ご丁寧な事に。
「また、差出人の名前も何もなしぃ?」
 バカにしたようにまどかは語尾をあげて呟く。真っ白な封筒には何も書かれてなく。差出人はおろか宛名すらない。
 最初、この手紙を受け取った時は、まどかも『自分宛』だと分からなかったので、仕方なく警察に届けた。
 警察も、誰宛なのか分からない手紙を困惑しながらも受け取ってくれたが・・・。
 翌日。
 同じ封筒が、また入っていた。
 そして、新しい環境でストレスが溜まっていたまどかは、普段ならしないであろう行動を取ったのである。

 手紙を開けたのだ。

 そして、まどかは開けたあと後悔した。
 この手紙は、たぶん。きっと、自分宛てに送れているものだろう。
 しかし手紙の内容は・・・。
 あまりにも、薄気味悪いものであった。

『君は、ぼくのもの』

 白い封筒とお揃いの、白い便箋には流れるような黒い文字。
 そして、便箋の中にも宛名など無かった。だが、まどかは直感でそれが、自分宛てに来た物だと悟っていた。なぜか、封筒を開けた瞬間そう悟ってしまったのだ。

「あー、でも気持ち悪ぅ」
 
 まどかは手紙を部屋の中にあるゴミ箱に入れると、う〜んと背伸びをして、ふと思い出した。

 友達が以前『草間興信所』という所で、変な依頼をお願いして解決してもらった。と話していたことを・・・。

「・・・・頼もうかなぁ?」

 まどかは、そう呟くと携帯を引っ張り出して、その友達に電話をした。
 何度目かのコールのあとに響いてきた友達の声に、まどかは『草間興信所』の事を教えてくれない?と頼んだ。

「いいけど・・・どうしたの?」
 電話越しに伝わる心配そうな声に、まどかは乾いた笑いを浮かべた。
「気持ちの悪い手紙を出す人物を探し出してもらいたいのよ」
 自分では、何故か解決できないような気がしたから。と言外に呟いてまどかは、ごみ箱に捨てた手紙を透視するかのように見つめた。


<本編>


 この辺りの街に来るのも久しぶりだった。シュライン エマは忙しく動き回る周りの時間を肌で楽しみながら黒いレザーコートに身を包みながら歩く。今回の依頼を担当する2人との待ち合わせは、依頼人の住むアパートだ。
 何せ、ストーカーかもしれないのだからどこかで落ち合うよりも、依頼人の部屋で待ち合わせて準備をしてしまった方が良い。
 エマは歩きながら、住所が書かれているメモを見つつ入り組んだ路地に入る。この路地に入る前までの喧騒が嘘のように引いて、この路地の住宅街は閑静だった。いや、閑静というよりも人が住んでいるのか?と疑いたくなるほどに静かすぎる。
(こんな場所じゃ、聞き込みをしてもあんまり情報は得られる事はなさそうね)
 もしかしたら、こんな場所じゃ叫んでも誰も助けてはくれないのかもしれない。特に人付き合いが希薄になってしまっている現代ならば、その可能性は大いにある。
 そうなると、本当に聞き込みは情報を持つ人間に当たった方が良いだろう。差し当たっては、アパートの管理人などが1番ベストだ。
「でも・・・・どうしてかしらね?」
 話だけしか聞いていないが、犯人は何も書いていない真っ白な封筒。そして、その中に入っているお揃いの真っ白な便箋に、ただ一言。
『君は、僕のもの』
 としか書いてないのだと聞いた。何か、その言葉に意味があるのだろうか?それとも、そもそも意味なんてないのだろうか?
 うーんと頭を悩ませながら歩いていると、目的地であるアパートの前へと辿り着いていた。腕を上げて手首にしている時計版を見る。
「早すぎね」
 どうしようか。聞き込みに行った方が良いだろうかと悩みながら、ふと思い立って問題の手紙が入れられるポストへと足を向けた。
 そこには十個のポストがあり、それぞれに表札がしてあった。そして、エマはポストに『桐谷 まどか』と書かれているポストを見つつ、頭を更に悩ませる。
「一体、何なのかしら」
 そう呟いた時だった。
「こんにちわ、エマさん」
 そう柔らかな声に挨拶をされ、エマはポストを見ていた視線を外しゆっくりと首だけを声のした方に向ける。
 そこには、九尾 桐伯(きゅうび とうはく)が重たそうな荷物を背負いながら、それでも辛そうな顔はせず、むしろ涼やかな笑みを浮かべていた。
「こんにちわ。お久しぶりね、九尾さん」
エマは身体ごと桐伯に向けると微笑んで挨拶をした。
「早いですね。私が1番早いと思っていましたが」
 桐伯の言葉にエマは肩を竦めた。
「住所を貰った時に、道が入り組んでる場所だって聞いたから早めに家を出ただけよ。そうしたら、思った以上にすんなり来れて早く着いただけ」
「そうですか」
 そんな他愛ない世間話をしていると、不意に第3者の声が割り込んできた。
「あの〜、ちょっと通して下さい〜」
 声のした方を見ると、そこには両手に買い物袋を下げている少女が居た。
「ああ、すいません」
「ごめんなさい」
 桐伯とエマが交互に謝って道を明ける。だが、フラフラで歩いていく少女の後姿を見て、さすがに桐伯が見てられなくなったようで、自分の持っていた荷物を右手に持ち替えて少女へと歩み寄る。
「もし、よろしければお持ちしましょうか?」
「え?」
 振り返った少女は不審そうに桐伯を見た。だが、桐伯は気にする様子もなく微笑みながら続ける。
「実は、今日はちょっとした用事でここのアパートの住人の方とお会いするんです。だから、心配しなくても変質者じゃないですから。もし心配なら、エマさん・・・隣にいる、この女の人です。と一緒に行きますよ?」
 桐伯のフェミニストぶりに苦笑しながら、エマも笑って同意の頷きをしてみせた。
 少女は思案深く考え込みながら、やがて決心したようにコクンと1つ頷いた。
「じゃあ、お願いできます?私も、今日は人が訪ねて・・・・」
 少女はそこまで言って、ふと言葉を途切れさすと桐伯とエマを交互にジッと見つめた。まるで、何かを透視するかのように視線を一瞬たりとも逸らしはしない。
 やがて、その視線がふと和らぐと少女は言葉を出した。
「もしかして・・・・あの、桐谷 まどかに会いに来たの?」
「・・・・どうしてですか?」
「うーん、そうかなぁって。それなら、荷物だって素直に持ってもらえるし」
「ねぇ?もしかして」
「私が今回の依頼人の桐谷 まどかです」
 にっこりと笑って桐谷は自己紹介をした。

 部屋の中は青系統の色で纏められているシンプルな部屋だった。
 このアパートは、1人暮らし用と新婚向けの部屋が用意されている。桐谷が住んでいるのは、当然のごとく前者の部屋だ。ざっと見で6〜7畳くらいの部屋の中には、小さな机の上に鎮座しているノートパソコンとテーブルランプ。そして、水色のシーツで覆われているベッド。その奥にクローゼットの扉が見える。机とベッドのちょうど中間点くらいにはこの部屋で使うには少々大きめのテーブルがある。玄関から入ってすぐ横にキッチンがあり、通路を挟んだその右となりの壁には扉が見える。きっと、そこが洗面所だろう。
 エマは桐谷に断って、部屋の中をできる範囲で調査した。もしかしたら、前の住人のせいかもしれない。そうなれば、部屋の中に何かが仕掛けられている可能性がるのだ。
 桐伯は先ほど外に出てポストに超小型CCDカメラと、桐伯の最大の武器である鋼糸を仕掛けに出て行ったところだ。
「うん、異常はないようね」
 耳を澄ませながら、慎重に部屋の中を調べると不安そうにエマを見ている桐谷にそう告げた。と、まるで見計らったように玄関の扉が開いた。
「外の仕掛けは終りましたよ」
「こっちも。どうやら、部屋の中に何かが仕掛けられているって事はないようね」
 桐伯はエマの言葉を聞くと、「そうですか」と笑って答えた。
「あ、桐谷さん。悪いのですが、何か飲み物を下さいますか?」
 唐突な桐伯の申し出に、それでも桐谷は笑って了承する。
「コーヒーと紅茶。あと炭酸飲料くらいしかありませんけれど?」
「じゃあ、コーヒーでお願いします」
「エマさんは?」
「私も同じのでお願い」
「じゃあ、少しだけ待っていてくださいね」
 キッチンに入り込む桐谷と入れ替わりに桐伯が部屋の中へと入り、エマの隣へと並ぶ。
 大き目の机に色々な機材を持ち出すと、それを組み立てながら桐谷には聞えないくらいの声でエマに話し掛ける。
「エマさんは、今回の事件どう思いますか?」
「意味が分からない人間の行動」
「私もそう思います。これは悪まで推測ですが、猟奇殺人犯もしくはストーカーの犯行ではないかと疑っているのです」
「じゃあ、九尾さんもストーカーみたいなのを疑っているのね?」
「ええ。エマさんもですか?」
「それと、後少しだけ気になる事があるのよ」
 エマはそう言うと、ちょうどコーヒーを持って来てくれた桐谷の方を振り返った。
「桐谷さんて強い視線で物を見る癖があるの?」
「あ、はい。実は小さい頃。私って幽霊とかを見れてたんですよね。何となく不思議に感じる場所や、違和感を感じる部分を、ジッと見つめて、そこに何かいるかを確かめるんです。さすがに、両親が恐くなってしまって訓練で見えなくなるようにしましたけど」
 そこで言葉を途切れさせて、桐谷は自嘲気味に微笑んだ。
「本当は、この癖も直そうとはしてるんだけどね。この歳になってからじゃ、中々直せないの」
「そう」
 エマはそう答えると、コーヒーカップに入っているコーヒーを飲み干すと立ち上がった。
「コーヒーありがとう。とても美味しかったわ」
「そんな」
 照れる桐谷に笑って見せてから、桐伯に目を向ける。
「私、少し外に出て情報を集めてくるわ」
「分かりました」
 エマの行動があらかじめ分かっていたように、あっさりと答える桐伯にエマは笑ってみせた。
「じゃあ、また後でね」
 エマはヒラヒラと手を振りながら部屋から外へと出た。

 情報収集は思ったとおり不作だった。何より、桐谷のアパートは経って間もない。前に住んでいた住人も、ただ結婚を機に部屋を引き払ったとの事だった。アパートの管理人は隠す必要性は何もないという感じでエマの質問に、そう答えた。
 あの部屋の主は桐谷が2番目なのだから、前の住人が何かをすると言う事は考えにくい。
 冬独特の灰色の空を眺めながら、エマは得体の知れない手紙を出す人物を頭に想像してみる。猟奇殺人犯にしろ、ストーカーにしろ、他の何かにしろ。このままでは、桐谷に被害が及ぶのは目に見えている。
 再び茶色い壁のアパートが見えてきたが、そこに学生服の男が1人立っていた。カバンの中で何かを探しているようだ。エマはその時、その男の着ている学生服が、草間から聞いたもう1人の初対面であるが、今回の事件を一緒に担当する男が通っている高校のものだと分かると近づいて声をかけた。
「北波、大吾?」
 エマが声を掛けると、大吾はカバンを探っている手を止めて後を振り返った。その強い眼差しに一瞬エマは何かを射られたような感覚を覚えた。
「・・・そうだけど?おまえ、誰?」
 乱暴な口調ではあるが、別に嫌な感じはしない。エマは笑顔を浮かべながら自己紹介をする。
「私の名前はシュライン エマ。今回、一緒に事件を担当することになったの。克彦さんから聞いてない?私と、あと1人の人のこと」
 そう問われ、やっと合点がいったらしい。大吾の顔にみるみる納得したという色が浮かんでいく。
 大吾は気を取り直すように、エマに改めて自己紹介をした。
「俺の名前は北波 大吾」
 そう言うと、エマが軽く微笑んでから依頼人の部屋へと行く事を勧める。
 スタスタと階段を上がり部屋の中へと進む。
「早かったんだな」
「私たちは比較的時間の作りやすい職業だからね。それに、九尾・・・もう1人の人が、準備は早めの方が良いからってね」
 エマは一旦言葉を区切ると横を歩いている大吾に向かって苦笑して見せた。
「だから、私たちは早くなっただけよ」
「ふーん」
 大吾はそう答えて、205と掲げられた数字の下に『桐谷 まどか』と書かれた表札が貼り付けられている茶色い扉の前で止まる。
「ここだろ?」
「ええ、そうよ」
 エマはそう言うと、横に据え付けられているインターホンに指を乗せて、軽やかな音を鳴らす。
 扉の向こうでインターホンらしい機械仕掛けの鈴の音が鳴るのが聴こえてから、ほんの数秒で扉が音を立てて開いた。
「あ、シュラインさん」
 中から顔を出した桐谷に、エマは笑いかけた。
「遅かったですね。九尾さん、もう準備が終ったそうですよ」
「そう。相変わらず、仕事が速い人ねぇ」
 エマは苦笑して中の様子を伺っている。中には、この部屋に少し大きすぎるイメージを与える机の上には機械が乗っている。
 本当に仕事が速い桐伯に感心していると、後から大吾と桐谷の言い争う声が聞えてきた。
 その様子を少しだけ呆れたように見ていると、風のように静かに桐伯がエマの横にきた。
「うーん、子供っぽいわね。あ、九尾さん、彼が北波 大吾(きたらみ だいご)よ」
「そうですか・・・彼が。でも、子供なのはいい事ですよ。『無知』な子供は常識がないですが、この2人はそうではないらしいですしね」
「え?」
「子供で居る時が1番大切だという事です」
 桐伯はニッコリと笑うと二人の間に割って入っていった。
「そういう言い方は良くないですよ、桐谷さん」
 そう柔らかな口調で、そうたしなめると桐谷は表情を変えた。その様子を見ながら、2人のケンカを事前に止めようとする桐伯に感心した。
「言い方悪かった・・・かな?」
「すっげー、感じ悪かった」
 大吾が憮然として答えると、まどかは顔の前で手を合わせて素直に謝罪した。
「ごっめんねー。私、口が悪い上に思った事をすぐ言うもんだからさ」
 素直に謝られたからか。大吾はふぅと溜め息を吐いてから表情を和らげる。
「・・・あー、もういいよ。ただ、高校生だからって見下すのはナシにしてくんねー?俺、そういうの嫌いだからよ」
「うん、分かった。最大限、努力はする」
 素直なんだか、どうなんだか分からない返答をしてから、まどかは大吾をようやく部屋の中へと招き入れた。
「こんにちわ。初めまして、北波さん。私の名前は九尾 桐伯です」
「・・・初めまして。・・・・なんだか、今日は自己紹介をしに来たみてぇだな」
 その言葉に思わず桐伯は笑ってしまった。
「でも、私も君と桐谷さん。2人に自己紹介しましたよ?」
「俺はお前で3人目」
「1人違いなら、大差ないでしょう」
 息の合った2人の会話にエマは思わず笑みを零した。
 桐伯は設置し終わったばかりの機械の前に座ると、その右隣に桐谷。その左隣にエマが腰掛けた。
 大吾は、どうやら部屋の中を調べるように見ているらしい。桐伯は機械のスイッチを入れて画面に見入る。ほんの数秒の時間が経った後、画面はゆっくりと青白い光を放ちながら目を開ける。それから、画面にしっかりと、ポストに設置してきたCCDカメラから映し出される外の風景が浮かび上がると、後で部屋を見ている大吾に声をかけた。
「良かったです、感度は良好ですね。少し、不安だったのですが上手くいって安心しました」
「これ、何?」
 大吾が聞くと、桐伯はにっこりと笑って答えた。
「ポストに超小型のCCDカメラを仕掛けさせてもらったんです。そして、これはその様子を映し出すモニターですね」
「毎日来る手紙なら、それを入れる人が必ずいるって事でしょう?だから、ここで見張りつつ犯人の出方を待つのよ」
「・・・犯人が逃げたら?」
「それなら、心配ありませんよ」
 ゾクッと背筋が震えるほどの妖艶な笑みを桐伯は浮かべて言った。
「ポストの周りに、私の武器である鋼糸が無数に張り巡らされてます。もし、何らかの不信人物が来ても、すぐに対応できますよ」
 しかし、何か疑問に思うところがあったのか大吾は眉を寄せて聞いた。
「あのさー、もし新聞配達員とか郵便配達員の人だったら分からなくない?」
「そうね・・・」
 エマは言葉を濁して、どう答えるべきかと悩んだ。ストーカーならまだしも、猟奇殺人犯かもしれないといえば、悪戯に桐谷を怯えさせてしまう。悩みながら大吾の方へと目線を向けると、大吾は不意に話を変えた。どうやら、言いにくい話だと分かったらしい。
「なー、お前ってさ。何か他の奴とかに恨まれる事とか持つ事はしなかったか?」
 単刀直入の言葉に、エマと桐伯が驚いたように大吾を見た。まさか、そんな単刀直入に聞くとは思わなかったのだ。
「・・・・ん〜、職業柄恨まれる事はあるかもね」
「職業柄?」
 大吾の質問に素直に考えて答える桐谷に、エマが聞き直す。
「うん、私って企画化にいるでしょう?んで、若いから。やっぱ妬みとかすごいのよね。私には覚えないけれど、恨まれる事をしたか?って聞かれれば企画化の誰かじゃないかなー」
 あっさりと答えてはいるが、その中身は想像するに容易いほど陰湿なのだろう。
 その時、大吾が桐谷の足元をじーーっと見つめているのを見つけ、エマは軽く眉を寄せながら大吾の横っ腹を突付く。
「あんまり女性の足元を見ないの」
「悪ぃ。前に幽霊が依頼人って言うのがあってさ。まさか、今回もそのパターンかもって疑ってたんだよ」
 小声で注意すると、大吾もまた小声で返す。エマが眉を1つだけ高く上げたが大吾は気にもとめず、納得したように1つだけ頷いた。そんな2人のやり取りを笑いながら桐伯は見ていた。
「幽霊じゃねーな」
「当たり前でしょう。大体、桐谷さんが幽霊なら私達だって気付くわよ」
 エマが言葉を区切ると同時に、某有名時代劇の名シーンにながれる曲が軽快に鳴り始めた。音から察するに、どうやら携帯の着信メロディーらしい。
 その音を聞いて桐谷が厳しい表情で辺りを探すように見渡すと、シルバーの色をした折畳式の携帯をパソコンが乗っている机の上から取り上げた。
「はい、桐谷です」
 そう答える桐谷の顔を大吾と桐伯。それにエマはポカンと見つめてしまった。年代的に、知っていても可笑しくはないかもしれないが、年代的に、それを着信メロディーに設定するのは・・・・趣味が良いのか、どうなのか迷うところである。
「ええ・・・はい、はい・・・でも、その話はきちんと了承を得て・・・ええ、分かってます」
 桐谷の表情と口調。それに、敬語を使っているとはいえ段々ときつくなって行く言葉に、大吾や桐伯にエマも大体の事情を察した。
「・・・分かりました。すぐに伺わせて頂きます」
 携帯の電話を切ると同時に、桐谷は厳しい表情で桐伯達を振り返った。
「ごめんなさい。クライアントと少し揉め事が起こったようで」
「行くのか?」
「・・・行かなきゃいけなくなった。って言った方が正しいかも」
 どうやら、桐谷の表情を見ると先ほどの着信メロディーの選択は『嫌な人』から掛かってきた場合専用らしい。ならば、あの着信メロディーほど合うものもないだろう。何せ、法で裁けぬ罪を裁いてくれる頼もしい人々のテーマ曲なのだから。
「本当に依頼しておいて、ごめんなさい。あの、私がいなくても調査って続けられます?」
「初対面の人間3人が、この部屋の中に居ても良いのであれば」
 桐伯の受け答えに桐谷は笑って頷いた。
「お願いします。だって、得体の知れない人間に見張られているより、貴方達がこの部屋の中に居てくれた方が幾分かマシだしね」
「・・・幾分か」
「マシ」
 大吾とエマが交互に答えると、桐谷はスーツを持って洗面所に行き、2分という実に素晴らしい速さで着替えを終えて出てきた。
「じゃあ、すぐに戻るんで」
「気をつけて」
 エマが言うと、桐谷は笑って手を振って部屋の外へと出た。
 階段を下りる音を聞きながら、大吾が真剣な表情で再び問い尋ねた。
「で?」
「で・・・?とは?」
 桐伯が聞きなおすと、大吾は憮然として答えた。
「さっきの話の続き。あいつの前じゃ言いづらかったんだろ?」
「分かってたの?」
「お前が言葉を濁してたからな。依頼人を外に出すのは、少し心配だが・・・だが、俺にだってお前らが何を考えて調査しているのかを知る権利はあるはずだよな?」
「ええ、貴方も今回の事件の担当者ですからね」
 モニターをチェックしつつ桐伯は淡々と答える。
「まず。私とエマさんは、今回の事件はストーカーか、もしくは、猟奇殺人犯ではないかと考えています」
「それで、九尾さんがこのCCDカメラとかを仕掛けている間に私はあたりに聞き込みに行ってたの」
「何か分かったのか?」
「九尾さんにも話したんだけれど、この部屋の住人の人には何もなかったらしいわ。部屋を出た理由も結婚を機に引っ越しただけらしいし」
「その前とかは?」
「あいにく。このアパート自体が建って間もないから、この部屋の主は桐谷さんが2番目よ」
「うーん、じゃあ他には?」
「この部屋の中にも別に異常はないわよ」
「じゃあ、ただ単に悪戯なのか?」
 そう大吾が聞くと、エマは1つだけ首を横に振った。
「そうでもないのよ」
「どうやら、桐谷さんには不思議な能力が備わっていたらしいんです」
「不思議な能力?」
「桐谷さんは小学校を卒業するまでに幽霊等を見れたそうよ」
 もしかしたら、その能力が原因で引き起こしているかもしれないと言外に匂わす。
「それ、今も見えてるのか?」
「いいえ。さすがに両親が恐くなって彼女が見れなくなるように訓練したそうよ」
「訓練程度で見れなくなるもんじゃねーよ、そういうの」
「・・・君、そういうの分かるんですか?」
 桐伯が驚いたように聞くと、大吾は方を竦めて答えた。
「俺も似たようなもんだよ。ただ、俺の場合はその能力を高める訓練を嫌という程させられたってだけの話だ」
 大吾はそう答えてから話を元に戻した。
「ともかく。そういう能力ってのは天性のものが1番大きいんだ。たとえ、能力が衰えても見えるものは微かに見えるもんなんだ。それを訓練程度で完全に見えなくするとは到底思えねぇよ」
「そうですね。でも彼女の場合は少し違っていたそうなんです」
「桐谷さんは、幽霊とか・・・他の人には見れない物体を肌で感じると、その場所をジッと見つめるんですって。それで、そこに何かがいて。それが何かを見極めていたそうよ」
 桐谷が不思議なものや、肌で違和感を感じる場所などをジッと見つめてしまうのは、その時の癖なのだとエマが言う。

『本当は、この癖も直そうとはしてるんだけどね。この歳になってからじゃ、中々直せないの』

「直せない・・・か」
「ええ。ですから、悪質なただの悪戯・ストーカー・猟奇殺人犯」
「そして、もっと別の何か。なのかを検討中なの」
 桐伯とエマの息の合った調査報告を聞いてから、大吾は腕組をして考えているようだ。そして、立ち上がると気合を入れるように大きく背伸びをした。
「俺、外で見張ってるわ」
「え?」
「寒いわよ?外」
 意外そうに聞く桐伯とエマに大吾はニヤリと笑って答えてみせる。
「いいぜ、その分の報酬はきちんと貰うしな。それに、犯人が『もっと別の何か』だった時には、すぐさま対応できるようにしておきたいしな」
「意外に仕事熱心なのね」
「意外にが余計だ。・・・さって、ふんどしの紐を締め直して行くかー」
「古風な人ですね。そんな気合の言葉を言うなんて・・・?」
 桐伯は玄関に向かうものとばかりに思っていた大吾が洗面所に入って行くのを見て、思わず語尾に疑問符をつけてしまった。
 そんな桐伯に大吾は、桐伯以上に疑問に思っているという表情を浮かべて言った。
「は?俺は本当にふんどしの紐を締め直すだけだぞ?」
「・・・・・待って」
 エマは混乱したように頭を指で押さえて、大吾に聞く。
「あんたって・・・・本当にいまどき」
「ふんどし着用・・・・してるんですか?」
 不思議そうに聞く2人に大吾は大きく縦に頷いた。
「日本男児なら、ふんどし!これは当たり前だろう?大体、ふんどしじゃねーと戦闘能力だって下がるぜ?」

 それは、もしかしなくても大吾だけだろう。

 エマと桐伯は学生服を着ている大吾を、ある意味尊敬の眼差しで見つめてしまった。


 大吾が外に出て30分。桐伯とエマは暖かい部屋の中で、モニターをチェックしていた。モニターに大吾は写ってないが、きっと近くにいるのだろう。
「桐谷さん、遅いわね」
「この時期だと、闇夜になるのが早いですからね。あまり遅くなるようなら、迎えに行く方が良いかもしれませんね」
 その時、ちょうどモニターに桐谷の姿が映ったので安心して桐伯もエマも微笑んだ。
「どうやら、この寒空の中迎えに行かなくてもいいみたいね」
 冗談めかしで笑うエマに、桐伯も頷く。しかし、問題はその後だった。
「・・・・・ねぇ?遅くない」
 何時まで経っても階段を上がる音も、玄関の扉が開く音もしない。もう、この部屋の中に居てもいいはずだ。それなのに、モニターに姿は映っていたはずなのに、どうして部屋の中に来ないのか。
「何かしら?」
「そうですね。何か外であったのかもしれませんね」
 桐伯はそう言うと、立ち上がった。
「ちょっと見て来ます」
「あ、じゃあ私が行くわよ」
 エマは桐伯を押しとどめた。1つだけ背伸びをして立ち上がる。
「九尾さんが、ここにいてくれないと。外には北波さんだって居るわけだし、何かがあるって訳じゃないと思うわよ?」
 手をヒラヒラとさせながらエマは玄関から外へと出た。
 冷たい。肌を刺すような風がエマの全身を瞬時に包み込む。まだ、宵の口だというのに、空には目に痛いほど綺麗な月が輝いている。その時、階段を背に大吾に守られながらその場から動かない桐谷の姿を見つけた。上から、そこへと声をかける。
「何をやってるの?そんなところで」
 しかし、エマは2人の只ならぬ様子を見てサッと表情を強張らせた。大吾はチラリとエマの方を見ると唇だけで『こいつを部屋に連れて行け』と伝える。正確に伝わったかどうかは置いておいて、エマは大吾の言わんとしている事を察しって、ゆっくりとそれでも早く足を動かして階段の前にいる桐谷の肩に手を置いた。
「・・・・九尾は、武器が使えるんだったな?」
「ええ」
 慎重に声を小さくしながら最小限。必要なことだけを確認する。
「なら、家に入ったら九尾に護ってもらえ」
「・・・あんたは?」


                                 ずるり・・・・

「あの音を確かめる」
 確実に近づいてくる音に大吾は喉を鳴らす。平気だと思う反面、何が居るのか分からない恐怖が心の片隅にある。だが、それを乗り越える術を大吾は身につけていた。
「俺が合図をしたら、一気に駆け上がれ」
「ええ」
 桐谷の震えが酷くなるのを感じながら、大吾はゆっくりとした深呼吸を3回繰り返す。

               ず・・・・・・・・・・・るり

「行けっ!!!!!!!」
 その声を合図に、エマは桐谷を抱えながら階段を上がる。今は部屋の中へと入る事が先決だ。ちょうど階段を上り切った所で部屋の扉が開いたので、2人は部屋の中へと連れ立って飛び込んだ。
 桐伯に抱きかかえられながらエマと桐谷は玄関へと倒れこむ。
「どうしたんですか?」
 しかし、桐谷は何も言えずにガタガタと震えている。そんな桐谷をエマが優しく抱き締めながら、桐伯に先ほどあった事の詳細を伝える。
「つまり、今ごろ北波さん1人で犯人と闘っている訳ですね」
 桐伯は立ち上がると、二人を部屋の中央に座らせた。
「私は行きますが、エマさん。後の事を頼んで良いですか?」
「・・・・ええ、もちろんよ」
 自分には何も出来ないかもしれないが、依頼人は護ってみせる。そう強く思うと、その色を感じ取ったのか桐伯が微笑みを浮かべて部屋の外へと出た。
「あ、あれ!あれ、何?わ・・・・私・・・・あんなの知らない!!」
 未知の音に怯えきっている桐谷を抱き締めると、エマは力強く言い聞かせた。
「心配しないで。私たちは、絶対に何があっても桐谷さんを護るわ」
「・・・・あ、でもっ」
「桐谷さんは、ただ私たちを信用していてちょうだい」
 揺るぎない決意に満ちた声に桐谷は安心したのか、目からポロポロと涙を零した。

****

 そこには、街頭に照らされながら倒れている何かを見ている大吾の姿があった。
「こいつ、一体何なんだ?」
 桐伯はとりあえず、危険があるかもしれないと思い糸を夜空に閃かせて倒れている『人間』らしきものに糸を巻きつけた。夜空を切り裂くような鋭い音の後、大吾が後を振り向いた。
「人間でない事は確かですね」
 倒れ込んでいる『人間』を鋼糸で巻きつけながら、桐伯がゆっくりと大吾の横へと並ぶ。
「・・・・九尾、お前」
「桐谷さんなら大丈夫です。エマさんが見ていてくれていますから」
「でも、こいつ1人だけとは限らねーだろうが」
「そうですね」
 にっこりと笑って肯定しつつ、桐伯は言葉を続ける。
「けれど、北波さんが負けてしまうかもしれませんから」
「・・・俺は、そこまでっ!!?」
 弱くはねぇと言おうとした言葉は喉の奥で消滅する。素晴らしいほどの反射神経で突然、起き上がった『人間』の攻撃を避けるべく2人は同時に左右へと飛ぶ。
「ちっ、眠りの言霊が効いてねーのかよ」
「それより、彼が何をするか分かりますか?」
 ずるりと動き出した『人間』に定めを置きつつ、そう聞く桐伯に大吾は怒鳴った。
「分かってたまるかっ!!!」
「同感です。とりあえず、彼を他の場所へと誘い込みましょう」
 桐伯はそう言うと、『人間』に向かい鋼糸を巻きつける。
「こんな所では、思う存分戦えませんからね」
 その細い体からは想像出来ないほどの力で『人間』を上へと投げると、5メートルほど離れたフェンスに覆われている公園へと投げ入れた。
「すっげ」
 素直に感嘆の言葉を出した大吾に、桐伯はにっこりと笑った。
「行きましょう。逃げられる前に」
「おお!」
 大吾と桐伯は走り出して公園の中へと足を踏み入れる。この公園は意外に広く、中には小さな子供用のアスレチックが4個ほど、十分すぎる程の距離を取り置いてある他にも、人工池がある。そして、桐伯に投げつけられた『人間』は、その池の中に居た。
 千切れた腕が音を立てながら池の上を漂っている。そして、べっとりと張り付いた髪は根こそぎ取れて、顔に張り付いている。
「九尾。お前、ゾンビってどう思うよ?」
「私の美意識に反していますね」
「美意識かどうかは置いておいて・・・。確かにああいうのは、見てるに耐えないな」
 そう言うと刀を構える。先程より、確かに目の前にいる『人間』は歩く速さが上がっている。
「あいつの動き止めれるか?」
「ええ。ついでに、これで終らせられたら良いのですがね」
 溜め息混じりに桐伯は鋼糸を月明かりに光らせて空中に舞わせると、そのまま『人間』の身体へと巻きつける。普段なら確かに感じられる感触が感じられない。その事に嫌悪感を露にする。
----------ひかり・・・を・・・・あのこ・・・・の・・・きれい・・・な、ひとみで・・・
「光とは自分の目で見るからこそ輝くのですよ」
 桐伯は突進してきた『人間』に小さく呟くと、ちょうど雲に月が隠れた瞬間意識を集中させて、手の平から糸に炎の力を伝わらせる。
「焔の腕(かいな)に抱かれて、眠りなさい」
 桐伯の言葉に導かれるように糸が瞬時に綺麗な焔に包まれ、その糸に絡められている『人間』の身体も燃え上がる。
----------ひとみ・・・・ぼくを・・・みつけ、てくれた・・・あのこの・・・ひとみ
 しかし、スピードは落ちても決定的なダメージにはなっていないらしく、焔に包まれた『人間』は大吾と桐伯に向かってくる。
----------あの・・・きれい・・・な、ひとみ・・・は・ぼくの・・・もの
「人のものは自分のものにはならねーよ」
 大吾は呟くと素早く『人間』に近づいて刀身を夜空に浮かばせる。
「招・魂・飛!!!」
 ちょうど『人間』の首筋に当たる場所へと刀を振り下ろす。
「魂を元あるべき場所へと押し戻せっ!!」
 頭部が音を立て重力に逆らう事なく落ちてから、しばらくすると風に誘われるように頭と残された胴体は砂となり消えた。
 チンと音を立てて刀をしまうと大吾は溜め息を吐いて桐伯を振り返った。
「お疲れさん」
「もう平気ですかね?」
「だと思うぜ。魂を彼岸まで押し戻したからな。それより、お前の能力すげーな」
「北波さんもすごいですね」
 にっこりと笑う桐伯に大吾は肩をすくめた。
「それより、あいつ勘違いしてたな」
「勘違い?」
「たぶん、だけどな。あいつ、きっと浮幽霊だったんだよ。それで、桐谷がその気配を見つけて、あいつが居た場所をジッと見つめたんだろうな」
「それで、桐谷さんの瞳を狙った?」
「ああ。視線が合うことは無くても、浮幽霊になった自分を見つけてくれた人間に好意を抱いただけなんだろうけどな」
「少々・・・歪んだ愛情表現ですね」
 溜め息交じりの桐伯の声に、大吾は笑って答えた。
「その点ではストーカーでもあるし、猟奇殺人でもあるな」
「・・・・ですね」
 雲隠れしていた月が顔を再び出すと、桐伯は公園に入ってくる2人組みの姿を見つけ顔をしかめた。
「来たのかよ」
「もし、まだ続いてたらどうするんですか?」
 大吾と交互に答える桐伯に、桐谷を支えながら歩いているエマは苦笑を浮かべて答えた。
「桐谷さんが、どうしても来たいって言ったの」
「大丈夫!?2人とも」
 エマに支えられながら桐谷が涙目で聞く。
「大変だったのよ?私たちが行っても足手まといになるだけだって言っても聞いてくれなくて」
「だって、私・・・私、あんな事になってるなんて知らなくてっ!」
 桐谷の必至の様子を見て、桐伯もエマも。そして、大吾も笑った。
「ま、帰ろうぜ。俺、寒いし腹減ったよ」
 その言葉に、桐谷が涙を目に溜めながらコクンと頷いた。
「私、何か作る?それとも、どっか行く?奢るし」
「そうだな・・・2人は、どっちがいいんだ?」
 大吾がそう尋ねると、エマは少し考えて答えた。
「私は・・・そうね。桐谷さんの手料理で。少しは手伝えるしね」
「そうですね。私も外に出るのは今は止めておきたいですね」
 3人一致の意見が出揃った所で、大吾は前を歩き出した。
「なら、とっとと行こうぜ。俺、マジで腹減ってんだ」
 そんな大吾の言葉に背中を押されるように、4人は仲良く月が照らし出す道を歩き出した。

 最後に。桐谷は少しだけ後を振り返り。何も無い公園を見つめた。
 それから、フッと一瞬だけ瞳を伏せて再び前を向いて歩き出した。

 風が騒ぎ出す。何も無い公園に息を潜める木々が鳴く。
 
 初めて、僕を見つけてくれた人。
 初めて、僕が好きになった人。
 もう、逢えないかもしれないけれど・・・覚えていて。
 君が好きだった。君の瞳が好きだった。

 君の瞳は僕のもの。





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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1048 / 北波 大吾 / 男 / 15 / 高校生】

【0332 / 九尾 桐伯 / 男 / 27 / バーテンダー】

【0086 / シュライン エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
※並び順は、申し込まれた順になっております。

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■         ライター通信          ■
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 今回は拙い依頼に再度のご参加、誠にありがとうございました(^^)とても嬉しかったです。
 そして、今回はギリギリの納品で申し訳ございませんでした。本当に、自分の計画性のなさに涙が出るほど情けない気持ちでいっぱいです。

 さて、今回は『ゾンビ』が相手でしたが、如何でしたでしょうか?ゾンビというよりは、生霊に操られている死体と言った感じなのですが、ゾンビという言葉の方がぴったりと来るような気がします。本当は、こんなホラーにする予定ではなかったはずなのですが。はて?
 そのために、バトル部分にエマさんの出番が(汗)本当に申し訳ございません(涙)しかし、エマさんの大人の包容力を最大限に活かしてみましたが、如何でしたでしょうか?
 それでは、最後に。
 少しでもこの話を読んで『ああ、こういう話好きかも』、『うん、楽しかったな』と思っていただければ、これ以上の幸せはございません。今回の話は前半は他の方々と違い、後半は同じとなっております。