コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


半月華
●序
 いつでも、見ていた。滑稽に思えるほど、気が遠くなるほど。ずっとずっと、見ていた。理由など、とうの昔に忘れてしまった。今となっては見ると言う行為だけが深く深く心のうちに使命として根付いているだけだ。

 草間興信所に、一人の男が尋ねてきた。交通課に所属していると言う、秋永・鉄夫(あきなが てつお)だ。
「以前こちらにお願いして、凄く良かったものですから」
 にこにこと笑いながら、秋永は言う。
(そう言われても、妙に嬉しくないのは何でだろう……)
 苦笑しながら、草間は「どうも」と言う。笑顔が微妙にひきつっている。
「それでですね。今回も是非ともこちらに解決の程をお願いしたくて」
「一体何ですかね?」
「和智(わち)通り、というちょっと狭い道路がありまして。対向車がぎりぎり通れるくらいの幅でしてね。この度広くする計画が持ち上がったんですよ」
 土地も買い上げ、あとは工事するだけとなった。だが、そこに生えている木を切ろうとした瞬間、機械が異常を起こしたり切ろうとした人間が怪我をしたりするのだという。
「そりゃ、木が切られるのを嫌がってんでしょう。植え替えるか、諦めるかしたらどうですかね」
 草間は小さく溜息をつきながら答える。それくらい、誰だって想像のつく事だといわんばかりに。
「いやはや、そうなんですけどね。道は広くしないと交通事情はよくならない。だから植え替えようとしているんですが、それでも切ろうとした時と同じ現象が起こるんですよ」
「……それで、どうしたいんです?」
「勿論、道を広く出来るようにしてもらいたいんですよ」
 にっこりと、秋永は言う。草間は大きく溜息をつく。
(木が単身で拒むか、それとも土地柄か……何にせよ、うち向きの依頼って事か)
「では、これが土地に関する資料と地図ですね。ご連絡をいただければ、その日だけそこを通行止めにしますから存分にお願いしますね」
 机の上に和智通りの資料を置き、秋永は帰っていった。草間は置いていった資料をぱらぱらと捲る。そして、その一帯の地図を見て思わず見入る。
 木の近くに、神社があった。無人の、ただ祠が置いてあるだけの神社。奉ってある神も不明だという、賢願(けんがん)神社。
「木だけの問題じゃないかもしれないな」
 資料を見ながら、ぼそりと草間は呟くのだった。

●看
 いつでも見ている。それを阻むものなどいない筈だった。全く、誰一人として、何一つとして障害は無い筈だった。しかし、今。それを阻む存在が現れた。排除しなくては、と本能が叫ぶ。排除しなくては。自分が、守らなくては、と。

 護堂・霜月(ごどう そうげつ)は歩いていた。しずしず、と。網代笠からちらりと見える目の色は銀。
「ぬ」
 霜月はそう小さく呟き、きょろきょろと辺りを見回した。何かしらの視線のようなものを感じ取ったのだ。霜月は元暗殺者。今はある僧侶に諭されて仏門に入っているものの、長年培ってきたものは中々消えるものではない。習慣といっても過言ではないであろう。そんな霜月が感じ取った視線のようなもの。それが気のせいであるはずが無い。
「……ふむ」
 霜月は目を閉じ、それから地を蹴ると傍にあった木に身を隠してじっと辺りを見回す。手には錫杖。仕込みになっている、九節棍である。
(少々では死にはしない……が、首をとられてはおしまいだ)
 そう考え、身を潜める。霜月の体中にある武器が、彼の意思に伴って呼応する。いつでも準備が出来ているといわんばかりに。霜月は人魚の肉を食し、不老不死の体を得ている。それでも、首を落とされると死は容赦なく襲い掛かってくるのだ。
 暫くし、視線は感じられなくなった。霜月はもう一度辺りを見回して安全を確認する。自然と力を込めて握っていた錫杖も、緩やかに持つ。笠の縁をきゅっと上げ、霜月は溜息をつく。
「やれやれ……」
 ふと祠のようなものが目に付いた。
(正体は、あれかもしれぬな)
 小さく苦笑し、霜月は歩き始めた。
(それにしても……普段は通らぬ道を通ってみるのも考えものだ。いつも通っているならば、あのような行動を起こさぬものを)
 霜月はそう思いつつ、和智通りを振り返る。既に視線の気配は無い。やはりあの祠のせいであったのか、と考えつつも苦笑せざるを得ない。
 突如として通ってみようと思った、和智通り。思いの向くまま行動する事には、必ず何かしらの運命があるのであろうから。それは、長い年月を経てきた霜月の経験からの直感であった。否、直感というよりも、確信に近いかも知れぬ。霜月は歩を進める。久方ぶりに草間興信所に寄ってみようか、と考えながら。

 草間興信所に到着する。ノックをし、中に入ると草間が霜月を手招きした。
「丁度良い所に現れたね」
「丁度いい、とは」
「はい」
 草間はにっこりと笑って、紙の束を霜月に手渡した。それをぱらぱらと捲って見るが、その手がぱたりと止まる。
「これは……」
 その場所は、先ほど霜月がなんとはなく運命的なものを感じていた和智通りであった。
(やはり、何かしらの運命が動いていたのかも知れぬな)
 そう考え、霜月は苦笑してしまう。草間が不思議そうに霜月を見てきた。
「どうしたんだ?何かあるのか?」
「いや……至極つまらない事だ」
(そう、つまらぬ事だ)
 霜月は小さく笑う。そこに、再び草間興信所内にノック音が響いた。入ってきたのは、金髪に黒い目を持った青年。一見ホストと見間違える程の、派手な格好。真名神・慶悟(まながみ けいご)だ。しばし、霜月と慶悟は見詰め合う。特に理由もなく。
「何、二人で見詰め合ってるんだ?」
 草間が苦笑しながら声をかける。それで、やっと二人は見詰め合うのをやめた。特に理由もなく見つめあったのだ。止めるのにも特に理由は無い。
(それにしても、派手な格好だ。時代の移り変わりというものを感じずにはいられぬ)
 霜月はずっと、時代の流れを見てきた。そして今、奇妙な時代であると感じていた。慶悟の格好は、そのような奇妙な時代を表しているようにも感じたのだ。
「……に、どうだ?」
「む?」
 突如慶悟に話し掛けられ、霜月は首を傾げた。自分の見てきた時代を反芻していた為に、現在の流れに一瞬ついていけなかったのだ。慶悟は苦笑して、煙草を一本くわえながら口を開く。
「だから、今からこの和智通りにいかないか、と言ったんだ。俺は以前、この和智通りは通った事があってな……因縁めいたものを感じるている」
「実は、私も先ほど通って来ましてな。真名神様と同じく因縁めいたものを感じておる所でして」
 霜月は小さく笑う。慶悟も小さく笑う。
「今度は笑い合ってるのか……」
 草間が苦笑しながらそう言うが、もう二人は気にしなかった。互いに和智通りに運命的なものを感じている仲間なのだから。

●診
 見ているから分かる事があるし、見ているからこそ分からない事がある。だが、はっきりしているのは見ているからこそ分かる事の方が遥かに多い。守るべきものも、その守るべきものがどのような状況にあるのかも。尤も、離れたくないという思いがこんなにも溢れているという事は、きっと見ているだけでは解らないであろうけれども。

「む」
 霜月が目の前に気付いて唸った。和智通りには、二つの人影がある。
「来たわね、調査員」
 にっこりと微笑み、黒髪に青い切れ長の目のシュライン・エマ(しゅらいん えま)が微笑む。
「一体何をしているんだ?こんな所で」
 慶悟が尋ねると、さらりとした黒髪に銀の目の霧島・樹(きりしま いつき)が口を開く。
「折角だから、皆を待とうかと思ってな」
 二人に事の成り行きを説明し、再び待つ。そして、また暫くすると二人やって来た。銀髪に黒い瞳を持つ十桐・朔羅(つづきり さくら)と、黒髪に緑の目の工藤・卓人(くどう たくと)だ。
「あれ?もう調査してるんじゃなかったのか?」
と、卓人は尋ねる。酷く、驚いたように。
「せっかくだから、草間興信所調査員が集まるまで待ってみたのよ」
と、にっこりと笑いながらシュラインが言う。
「まあ、多少は辺りを見てきたが……」
と、顔色一つ変えずに樹が言う。
「これで、全員揃ったと言う事かな?」
と、銀の目で一同を見回しながら霜月が言う。
「恐らくは、そうだろう。この調査書に書いてあるからな」
と、慶悟が言った。調査書の一番上に、確かに「調査員:6名程度」と書いてある。
「草間さんからの伝言がある。今日は一日、ここは通行止めになったから思う存分調査せよ、との事だ」
と、朔羅。
「それにしては、結構さっきまで車が通っていたな……」
 ぼそり、と樹が呟く。それに触発されたように他のメンバーも「そうだそうだ」と言い始める。朔羅と卓人は顔を見合し、苦笑していた。
「じゃあ、始めましょうか」
 シュラインがそう言うと、各々が思うように動く。木の方に行ったのが、慶悟・朔羅・樹・卓人の四人。祠の方に行ったのが、シュライン・霜月の二人だ。
 霜月は祠を見詰める。
(仏道と神道……道は違えど、話せば解るであろう)
 霜月はそう考え、祠に問い掛ける。
(何なら、脅してでも主の望みを叶えますぞ?)
 いささか穏便に、とは言い難い考えを巡らしながら問い掛ける。どうして欲しいのかを、知るために。霜月はちらりとシュラインに目をやる。シュラインは、そっと祠を覗き込もうとしていた。と、その時。祠は光った。きらり、と。シュラインと霜月は一瞬身構え、それから光が収まった頃、呆気にとられた。木と祠が一本の光で繋がれていたのだ。
「一体、何が起こった?」
 朔羅が疑問を口に出すが、誰も答えられるものはいなかった。誰もが知りたい答えだったのだから。
「おい!」
 慶悟が光を指差す。光はだんだん丸みを帯びていき、やがて一つの球体になった。木と祠の、丁度真中で。
(祠に宿っていた……否、これは)
 霜月はじっと成り行きを見守る。球体は、暫くふわふわと浮いていたかと思うと突如として6人の周りを飛び、それから言葉を発した。言葉を発した、と言っても脳内に響くような声だ。音声として発したのではなく、言語として脳内に映し出されるかのような感覚だった。ともかく、球体は言葉を発した。
『一度に言われても、困るのだが』
と。一同は呆気にとられる。
(確かに……)
 霜月は苦笑する。そして、6人は球体を取り囲む。
「木霊……か?」
 朔羅がぼそりと呟くように尋ねた。
「祠の力も感じるな……融合体のようなものではないか?」
 じっと見つめていた樹が言う。
「もしかして、この木って賢願神社のご神木だったとか」
 閃いたように卓人が言う。球体は光を強める。
『いかにも……。我は神社であり、木でもある』
「なるほど、長い年月から双方の力が一緒になったというのじゃな」
 頷きながら、霜月が言う。
「じゃあ、木を植え替えるのは嫌だったわよね。一心同体みたいなものだもの」
 シュラインは納得する。
「しかし、道は広くできるようにせねばいかんのだろう?」
 慶悟がぼそりと言う。その一言で、皆が頭を抱えた。球体が不安そうに光を震わせ、一同を見るのだった。

●見
 守りしものは、我が体。守りしものは我が心。心と体が引き裂かれるなど、一体誰が望むものか。目に見える体と、目に見えぬ心。その双方があってこそ、自分と言うものが存在するのではないのであろうか。ならば、どちらも守りたいと思うのが普通と言うものではないのだろうか。

 球体を暫く見ていた卓人が、ふいに口を開いた。
「何を奉ってあるか解らないってあったよな?」
 その言葉に、皆が頷く。
「そうね。祠の方にも何を奉ってあるかは全くなかったし……祠の中も空だったわ」
 シュラインの言葉に、霜月も言葉を続ける。
「いかにも。普通は、石や紙等が奉ってあってもおかしくはないであろうに」
 偶像の無い祠。それを聞いて、朔羅ははっとする。
「そうか……木自体が、奉ってある対象であったんだな?」
「なるほど。この木は祠には入らない……だが、奉りたいという思いから祠が作られたのだな」
 顎に手をあて、慶悟が呟くように言う。
「ああ、そうか。この木が体で……祠に心があったようなものか」
 球体と祠、そして木を見比べながら、樹が言う。皆は確信する。この球体は、心と体を引き裂かれるのを嫌がっているのだと。
「なら、祠から見えるところに木を植え替えて貰ったらどうかしら」
 シュラインが提案する。
「しかし、この祠から見えるところとなると……」
 樹が辺りを見回して言う。辺りに、道を広くする上で植え替えられそうな場所は見当たらない。
「この木で新しい祠を作ると言うのはどうだろうか。新しい姿で、今度こそ心と体は共にある事になる」
 今度は朔羅が提案する。
「生木は切るとよくないって爺さんから言い聞かされてるんだが……。この木はこの姿であるが故に神木となりえてると思うんだ。俺ん家の近所みたいに木を避けるように道路が作れるなら、それにこしたことはないんだけどなぁ……」
 意見とも願望とも思える言葉を、卓人は口にする。だが、卓人は直後に苦笑した。木を避けるように道路が作れるとは、到底思えない場所だったからだ。
「言い分があれば聞く。互いに思いを伝えねば、すれ違うばかりだ」
 慶悟が球体に向き直り、優しく問い掛ける。球体はただ光を振るわせるだけだ。「何なら、風水で見立てて新しい場所を探してやるのだが」
『……笑うかね?我はここが好きだ。この場所が、好きなのだ』
 球体の言葉に、皆が口をつぐんだ。出来るならば、皆がそうしたいと思っている。木も、祠もこの場所のまま動かさずにいさせてやりたい。木を移動させたり切ったりする事自体、皆反対なのだから。
「……よし、何とかしよう」
 口を開いたのは霜月だった。皆の目が霜月に集中する。
「ちょっと、どうするの?何とかするって……」
 シュラインが慌てて嗜める。しかし、それに対してただ霜月は笑うだけだ。何かを含んでいる、どこか楽しそうに。
「まあ、見ておれ。……なあに、策などいくらでもあるのだ」
 にっこりと笑う霜月。そこに、突如として声が響く。球体は聞きなれぬ声に戸惑い、姿を隠した。
「おお、皆さん。いかがですか?」
 笑いながら近付いてくるのは、秋永だった。霜月は秋永を手招きし、祠の後に連れて行く。皆、こっそりとついて行き影から見守る。
(皆、隠れて見ているか……こっそりとしてやろうと思ったが、仕方あるまい)
 霜月は法力を使い、呼び出す。憤怒の相を持つ、金剛力士。秋永は展開についていけず、呆気にとられる。
「人でいえば先住権というものが有るよのう?」
「まあ……あ、ありますね」
「ましてや現に祟りが有るのだろう?」
「祟りというか……まあ、祟りですね」
「この場合はお互いが幸せになる方向でいくのが得策というものじゃよ」
 呆気にとられる秋永に、にっこりと霜月は笑う。
「この道を広くするのを諦めよ」
「え?……ええ?!」
 秋永が驚く。目の前の金剛力士を一瞬忘れてしまうほどに。
「なぁに、年末の無駄な道路工事の費用を少し回せば済む事じゃろう?簡単な事だ」
 秋永は暫く考え込む。目の前には憤怒の顔。笑いながら迫る、霜月。
「なあ、これって脅しっていうんじゃないのか?」
 卓人がぼそりと呟く。
「ああ、そう言うものだろうな」
 慶悟が呆気にとられたように呟く。
「でも、いい手ではあるな」
 樹が感心したように呟く。
「もうこうなったら、護堂さんに任せましょう」
 シュラインが自棄になったように呟く。
「まあ……それが一番の方法だろうからな」
 朔羅が納得したかのように呟く。
「で、どうする?」
 ずずい、と詰め寄る霜月に、秋永は苦笑しながら口を開いた。笑顔は凍りつき、冷や汗が頬を流れて行く。
「……解りました。今回は諦めましょう」
 皆にほっとした空気が流れた。この和智通りは、狭いままでいる。交通事情は改善されぬまま、あり続けることだろう。しかし、変わらずに木と祠は残される。互いを見守るかのように。

●結
 見えざるものと見えるものが同時に存在する。互いに互いを必要とし、存在しあうものたちがある。それはまるで、光と闇を半々ずつ有している半月のように。

 草間興信所。草間を目の前にし、一同は苦笑を顔に張り付かせていた。秋永から通告があったのだ。
「今回、依頼料は出せないって言われたんだよねぇ。何でか解るよな?」
「あら、どうしてかしら?全力で調査したのに」
と、シュライン。
「その通り。俺達は自分の出来うる限りの事をやったまで」
と、慶悟。
「あ、解った!財政難なんだろ?」
と、卓人。
「そんな訳が無い。けちっているだけだろう」
と、朔羅。
「皆、現実を見るのがいいと思うのだが……」
と、樹。
「そうじゃそうじゃ。役人の癖にけちな精神が……」
と、霜月。そこで皆の目は霜月に集中する。草間は、はあ、とわざとらしく大きな溜息をついてみせた。
「道を広くして欲しいと頼んだのに、道を広く出来ずにいたら依頼を成し遂げたとはいわんだろうが」
 草間はそう言って、もう一度、はあ、と溜息をつく。6人は互いの顔を見合わせ、それから苦笑しあう。依頼は成し遂げられなくても、それ以上に成し得る事が出来た事があるのだから。何も後悔などはしていない。
「……まあ、君らにとってはそっちのが良かったんだろうけど」
 草間は苦笑する。入ってこなかった依頼料を惜しみつつ。
「そういえば、武彦さん。今日は一日、和智通りは交通止めになってるのよねぇ?」
 突如、シュラインが尋ねた。
「ああ、そのはずだが」
「なら、今からお月見でもしない?和智通りで」
 その言葉に、皆が賛成する。草間も自棄だと言わんばかりに大賛成しながら。
「じゃあ、ちょっくら零を誘ってくるか」
 草間がその場から出ていく。朔羅はふと窓の外を見、気付く。
「今日は半月だが……」
「いいじゃないか、そんな事。要はあの場所で宴会をする事が大切なんだから」
 卓人が朔羅の背中を軽く叩きながら言う。
「確かに……あそこで飲む酒はまた一興であろう」
 霜月はぼんやりと和智通りを思い浮かべながら言った。
「酒……酒か」
 慶悟は煙草を口にくわえ、「酒か」ともう一度呟いた。
「それにしても、半月で月見とは……面白いな」
 樹が空を見上げながら呟いた。
 今夜は半月、上弦の月。半分は光り、半分は影となっている、半月。天を仰いでいる弦は丁度、華を思わせた。天に向かって咲き乱れる、大輪の華を。

<依頼完了・月見付>

□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【 0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト 】
【 0389 / 真名神・慶悟 / 男 / 20 / 陰陽師 】
【 0579 / 十桐・朔羅 / 男 / 23 / 言霊使い 】
【 0825 / 工藤・卓人 / 男 / 26 / ジュエリーデザイナー 】
【 1069 / 護堂・霜月 / 男 / 999 / 真言宗僧侶 】
【 1231 / 霧島・樹 / 女 / 24 / 殺し屋 】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 お待たせしました、こんにちは。霜月玲守です。この度は私の依頼を受けて頂き、本当に有難うございました。如何だったでしょうか。少しでも楽しんでいただけたでしょうか。
 護堂・霜月さん、再びのご参加有難うございます。やはり他人とは思えぬお名前です(笑)やはりギャップが凄く魅力的で、プレイングにも大喜びでした。
 今回、和智通りに行った事あるか無いかで導入部分に違いがありました。普段、何気なく歩いている通りが話題になっていると気になってしまうのは私だけでしょうか。
 今回も少しずつではありますが、個別の文章となっております。お暇な時にでも他の方の文章も読んでいただけると嬉しいです。
 ご意見・ご感想等心よりお待ちしております。それでは、またお会いできるその日まで。