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<PCシナリオノベル(シングル)>


吸血鬼と流血鬼〜終幕編〜

 竹下桟橋からゆっくりと海に抜けていく一艘の白い船。
「‥‥二人とも、疲れが顔に出てるわよ」
 東京湾を一周する優雅なクルーズでディナーをと誘ってくれたのは、月刊アトラス編集部の碇麗香編集長だった。
 船の丸い窓から見える東京の街の明かりを眺めながら、食前酒のワインが運ばれる。麗香はワイングラスに注がれたその赤い液体を揺らしながら苦笑した。
「はぁ‥‥」
 顔色の全く優れない三下。深奈・南美もまた、あまり顔色は良いとはいえないかもしれない。
 疲れていた。
 ホテルの爆破倒壊現場。
 東京タワーの展望台の惨劇。
 繰り返し味わった真波・瑞樹との戦いとの疲れと、惨劇の現場に立ち会ったことの衝撃が二人の心には積っていたのだ。
「大丈夫? 南美」
「ああ、‥‥美味しいな、コレ」
 心配そうな麗香に答え、南美は笑みを作って、ワインを飲み干す。
『‥‥次は、あんたが狙われる‥‥』
 南美達を二度までも助けてくれた青年、晶が残した最後の言葉だった。
 次にあの吸血鬼は自分の前に現れる。
 瓦礫の崩れる破壊音。人々の断末魔の切り裂くような悲鳴。
 まだ耳から離れない。
 そして、哄笑するあの女の声も。
「いい飲みっぷりね。もう一杯いかが?」
 麗香は微笑み、南美のグラスにワインを注いだ。南美は愛想笑いを浮かべて、麗香を首を傾げつつ見つめる。
「今日のお誘いは嬉しいけど、もう俺にあまり関わらないほうがいいかもな、麗香」
「どうしてそんなこと言うの?」
 麗香の表情が曇った。
「三下がとってきた写真は、両方とも大スクープよ。上の方から金一封までいただいたんだから。このディナーは、正当な報酬よ。編集長からのボーナスってことで受け取って頂戴?」
「‥‥そ、そうなんですか〜?」
 三下が目を丸くする。
「ええ」
 麗香が微笑むのを、南美は溜息をつきながら見つめた。
「でも、もし俺がここにいることをあの吸血鬼がかぎつけて襲ってきたりしたらどうする?」
「‥‥それはその時よ」
 その時、甲板の方に出ていた少女が、パタパタという足音を響かせて、レストランに入ってくると、三人を見つけ大きな声で言った。
「あ、もうディナー始まってるんだー!! 外の景色に見とれちゃってたっ」
「もう食べちゃってたわよ、雫ちゃん」
 麗香は自分の隣の椅子を引き、彼女を腰掛けさせた。
 編集部に偶然遊びに来ていたのを誘ってきたという中学生の少女だ。ゴーストネットという大きなホームページの管理人をしていて、この業界ではちょっとした有名人である。
 彼女が戻ってくるのとタイミングを合わせたように、料理が次々と運ばれてくる。
「わあ、おいしそう〜。ね、南美さん」
 両手を合わせて瞳をキラキラさせながら、雫は南美を見上げた。南美は「そうだな」と苦笑して、ワイングラスを掌で弄ぶ。


 昨日の深夜だった。
 南美の部屋の携帯電話が突然鳴り響いた。
 不審に思いつつ、電話を取ると、電話の向こうには苦しげな女の声が響いている。
 はぁ、はぁ、はぁ、と胸を押さえもがいているような息。
「誰だ?」
(悪戯電話? 俺にかけてくるとは、勇気があるな)
 などと一瞬思ったものの、何かおかしい。
『‥‥み‥なみ‥さん?』
 激しい息の中で、女の声が南美を呼んだ。この声、聞き覚えがある。
「‥‥もしかして、真波瑞樹か?」
『は‥‥はい‥‥お願いが‥‥あってかけま‥‥した。晶の‥‥携帯にあなたの‥‥番号が‥‥』
「そうか」
 罠だろうか。
 南美は冷静に考えた。
 真波瑞樹は、吸血鬼に体を奪われている。しかし、その呪縛は完全ではなく、時に本物の真波瑞樹の意識を取り戻すことがあるらしい。
 晶は死ぬ間際、それに気がついていた。恋人の瑞樹に会えたと歓喜し、涙を流していた。しかし、再び自我を取り戻した吸血鬼によって殺された。
「‥‥お願いとは?」
 南美は受話器に告げる
『‥‥お願い、‥‥私を‥‥殺して‥‥』
「殺して‥‥?」
 南美は繰り返し、息を飲んだ。
『も‥‥う、この体を勝手にされるのは嫌なの‥‥私があの人を抑えていられる間は‥‥僅かしかない‥‥』
「そうか‥‥どうすればいい?」
『‥‥うううっっ』
 もがき苦しむような声が受話器の向こうに響いた。
「お、おいっっ。大丈夫か!?」
『‥‥はぁはぁはぁ‥‥もう駄目みたい‥‥あの人にまたとられてしまう‥‥』
「じゃあ、次に自我を取り戻したら、俺に電話をしてきてくれ。必ずだ。いいな。それと、吸血鬼には俺の番号はわからないように出来るか?」
『‥‥わ‥‥かりました‥‥それじゃ』
 電話はふいに切れた。
 電話を切った後に、突然、自分の胸の鼓動が高鳴るのを、南美は感じた。今の電話は、本当に瑞樹からだったのだろうか。吸血鬼のお芝居ではなかったのか。
(いや、今の電話は瑞樹からだ)
 南美は動揺を抑えてから、冷静に理解した。
 彼女の持つ携帯電話は、霊波を受信するという能力を持つ。瑞樹は晶の携帯から南美の番号を知ったわけではないのだ。
 瑞樹が南美に連絡を取りたいと思ったから繋がったのだ。
 なぜならば、晶の携帯は、晶の体と同じくして東京タワーの展望台から落下し、地面の上で破損していた。そこに南美の携帯番号があったとしても、メモリを調べることは不可能なのだ。
「‥‥次に会ったら、あんたを静かに寝かせてやる。‥‥それしか救う方法はないんだよな‥‥瑞樹」
 南美は闇の中、ひとりごちていた。

 レストランの豪華なフランス料理の食事は進む。
 次から次へ運ばれてくる、見栄えも味もよい料理に満足しながら、雫は三下と南美を繰り返し見つめた。
「それにしてもすっごいよねー。あのホテル倒壊現場にも、東京タワー爆破事件にも居合わせたんだもんねー」
 雫はオレンジジュースを飲みながら、好奇心いっぱいの視線を向ける。
「ちょっと違うな。居合わせたんじゃなくて、‥‥どちらかといえば当事者だ」
 南美は苦笑する。三下は「思い出したくもありません〜」と頭を抱えた。
「俺たちの側にいると、当事者にされちゃうかもな? 雫ちゃん」
「それも面白そうとか思っちゃうのはいけないかな? えへへ」
 雫は無邪気に笑う。
「あのね、雫ちゃん」
 麗香がもう、と困り顔を見せた。雫は冗談だよ〜、と舌を出す。
「冗談に聞こえなかったけど?」
「あは。でもきっと何があっても大丈夫。‥‥その二つの修羅場をくぐりぬけてきた三下さんと南美さんがいるんだもの」
「‥‥俺の力じゃアイツは倒せないぞ」
 南美は肩の力を抜いて微笑した。
「‥‥次に会ったら死ぬかもな」
「やめてよー」
 雫は南美を見つめた。
「そんな弱気なこと言っちゃ駄目。南美さんは強いよ」
「‥‥強いさ。‥‥だけど、本当にアイツはやばいんだ。‥‥守りきる自信はないかもな」
「‥‥そっか」
 雫はうーん、と腕を組み、それからにっこり微笑んだ。
「それなら三下さんの後ろに隠れてるね。三下さんの後ろに居ればきっと助かるんだろうなって気がするもん!」
 無邪気な発言に、一同は破顔した。
「そうね、私もそうすることにしましょ。ね、三下」
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくの後ろってそれじゃ‥‥盾になれって、ことですか〜〜〜??」
「丈夫な盾だよね」
「雫ちゃんまで〜〜〜〜っっ」
 ううう、と泣き崩れる三下。南美も笑いながらそれを見ていたが、ふと、ズボンのポケットの中で、ジジジジと携帯電話が動き出したのを感じて、顔色を変えた。
(‥‥まさか)
 南美は立ち上がると、三人に断ってから、甲板の方に出た。
 海の上だが、携帯電話のアンテナは3本立っている。
 通話ボタンを押した。
『‥‥もしもし』
「瑞樹か?」
『‥‥は、はい‥‥』
 先日よりは少しは元気がある。しかし、時折苦しそうにぜいぜいとあえぐ声は変わらない。
「今、どこだ?」
『‥‥船‥‥』
「船?」
 ぎくりとした。瑞樹の声が繰り返す。
『‥‥あなたの後ろ‥‥』
「えっ」
「ふふふふふふふ」
 聞き覚えのある笑い声が南美の背後で響いた。
 振り返ると、そこには真波瑞樹がドレス姿で立っている。その表情は、吸血鬼の瑞樹そのものに間違いない。
「どなたとお話してるのかしら? 愛する南美」
 吸血鬼は宙に浮かぶように音もなく一瞬で南美に近づくと、顔を近づけ、口付けた。
 右手で打ちつけるようにそれを払いのける南美。吸血鬼はさらに声高く哄笑する。
「あいたかったわ。‥‥あなたの夢ばかり見ていた。断末魔の悲鳴を上げながら、血の海で倒れるあなたの姿を‥‥」
「‥‥それは嫌だな」
 南美は携帯をポケットに戻すと、吸血鬼を睨みつけ、指の銃を差し出した。
 吸血鬼は満足したように、唇の端を艶やかにゆがめる。
 刹那、レストランの方で悲鳴が上がった。
「何っ!?」
 南美は叫び、吸血鬼に銃を向けつつ、レストランの方に戻った。すると、テーブル席の客達が立ち上がり、麗香や雫、三下達を取り囲んでいる。
(また、計られたかっ!?)
 客と見えたレストランのほかの者達は、またもや吸血鬼に操られる人であったようだ。
「南美!」
 麗香が叫んだ。
「大丈夫よ、大丈夫‥‥」
 麗香は、他の二人を後ろに庇いつつ、南美にゆっくりと頷いてみせた。こちらまで相手にしては、南美の戦いをさまたげる。
 今回はもう他に味方はいないのだ、ということを麗香も理解しているのだ。
「‥‥頼んだ、麗香」
 南美は振り返ると、吸血鬼を正面から睨みつけた。
「相手になってやる」
「‥‥ふふ、強がって可愛いわね。‥‥大丈夫よ、すぐには殺したりしないから」
 吸血鬼は微笑むと、両手を体の前でクロスさせる。同時にその指の先がみるみる伸びた。そして刃物のようなきらめきを見せる。
「少しずつ苦しんで死んでね、少しずつ‥‥」
「‥‥」
 南美は吸血鬼の声にゾッとしながらも、ただ睨み続けた。
 吸血鬼の周りに赤く燃えるようなオーラが宿る。彼女は魅惑的に面白そうに、クスクスと微笑み続ける。
 吸血鬼はさらに両手を大きく空に伸ばした。彼女を中心に船の周りに光が走る。
 それは大きな円を描いて、船を包みこんだ。
「結界‥‥?」
「当たり。この舟はもう外と連絡も出来ないの。といっても、船の操縦席の方はもう生きてないから連絡のとりようもないかもだけど」
「‥‥なんてことを‥‥」
 舌打ちする南美。しかし、吸血鬼はただ楽しそうに微笑むばかりだ。
「‥‥さあ行くわよ、いい声で鳴いてね」
 吸血鬼が地面を蹴って駆け出した。右手から伸びる五本の刃が、南美を襲う。身軽な動作で、南美は身を倒してそれを避ける。続けて、すくい上げるように伸びてきた瑞樹の左手の刃は、高く飛び跳ねて避けた。
「ふふ、面白いわ」
 南美の背後にまわった吸血鬼は、南美が振り返る間もなく、次の攻撃をしかけてくる。
 突撃してくるその体ごと避けて、南美はその背後に右手の銃を打ち込んだ。
「きゃああっ」
 吸血鬼は悲鳴を上げる。しかし、すぐにむくりと立ち直し、南美を睨みつけた。
「痛いじゃない。ふふふ。じゃあ今度こそお返し」
 吸血鬼は南美に右手を向けた。パシン、と激しい音が響き、南美の背後にあった柱が彼女に向かって倒れこんでくる。
 咄嗟に後ろに避けて柱を交わした南美の背後に、吸血鬼が立っていた。
 ざく。
 布が切り裂かれる音が響く。途端に背中が焼きごてを当てられたように熱くなった。
「‥・・うわぁぁぁっ」
 南美は叫んで、床に伏せた。背中を大きく切られていた。
 血が滲み服が朱に染まる。続けて襲ってきた強い痛みに、南美は瞼をつむった。
「あらあら、それくらいで降参しちゃうの?」
 吸血鬼が面白そうに笑う。
「・・・・んなわけ・・・・ない」
 南美は腕をついて立ち上がると、船の柱にすがりながら立ち上がった。
「・・・・あらあら、さっきまでの元気がもうなくなっちゃったのかしら・・・・じゃあ、これはどう?」
 吸血鬼は刃の指をカチンと鳴らした。同時にレストランで麗香の悲鳴が上がった。
「麗香!!」
 南美は痛みをこらえて、レストランの入口に走る。麗香達を取り囲んでいる客達が、皆手に手に、刃を握っているのだ。
「麗香!麗香!!」 
 南美は叫ぶ。
 その人ごみの奥で、今度は「ぎゃーっ」という男の声が響いた。三下、ではない。
 麗香が目の前で切りつけてきた男を、投げ飛ばしているらしい。彼女も軽く手負っていたが、守るべきものを背後に抱え、気負っているに違いない。
「・・・・雫ちゃん、ちゃんと三下の後ろにいてね!」
「う、うんっっ」
「ひゃあああっ」
「三下は雫ちゃん守って!」
「・・・・わ、わ、わかりましたぁぁ〜」
 三人の声が響いてくる。
 きっと、きっと大丈夫だ。・・・・南美は信じることにした。それに、この目の前の吸血鬼を倒せば、彼らは元に戻るはずだ。
 背中の傷から滴り落ちた血液が、地面にぽつりぽつりと垂れている。南美は息をきらせながら、吸血鬼を睨みつけた。痛みと出血で、微妙に視界が薄れる。
「なかなかやるようね、中の人たちも」
 吸血鬼は微笑んだ。
「あなたが死んだら、中の人たちに遊んでもらいましょう」
「・・・・死なないよ」
 南美は右手の銃の形にして、吸血鬼に向けた。
「ばん!」
 口で叫ぶと同時に、銃弾が発射する。吸血鬼の心臓にそれは打ち込まれた。けれど、吸血鬼は何もなかったかのように微笑んでいる。
「・・・・どうかして?」
「やっぱり効かないか・・・・」
 南美は苦笑した。
「観念したのかしら?」
「いや、まだだ」
 南美は叫ぶと、力を振り絞るように甲板のデッキを走り出した。船の裏側の方までダッシュすると、太いマストの影に身を潜めた。
 そして、ズボンのポケットで震えていた携帯電話を耳に当てた。
「瑞樹か!?」
『・・・・は、はい・・・・』
「あいつの動きを止められるか? ほんの一瞬でもいい。頼む」
『・・・・わかりました。やってみます。・・・・どうかしとめてください。・・・・そして、私を自由に』
「ああ、晶のところに送ってやる」
『・・・・ありがとう・・・・』
 電話は切れた。
 最後の味方。それは吸血鬼の体の本来の持ち主。
「どこにいるのかしら〜? 可愛い可愛い南美さん」
 ゆっくりと吸血鬼がこちらのデッキに歩いてきていた。南美は飛び出し、スーツのポケットから銀の弾丸を取り出し、左手に握った。
「ここだよ、吸血鬼」
「・・・・あら、そんなところに」
 吸血鬼は天使のように優しく微笑んだ。しかし、南美の血の跡が点々とデッキには残っている。わかっていてあえて探すフリをしたのだ。
 南美は左手を銃の形にして、吸血鬼に向けた。
「・・・・また繰り返すの? 効かないってことは明白じゃない」
「・・・・為す術が他にないんでな」
 南美は苦笑した。
「そう。可哀想ね。・・・・じゃあ、今度は死なせてあげる」
 吸血鬼は高く右手の刃を振り上げた。そして南美の上に素早く振り下ろす。
 血が舞った。
「何っ・・・・」
 叫んだのは吸血鬼だった。
 右手の刃を押さえるために伸びたのは、吸血鬼の左手だった。
 ごとり。
 切り落とされた左腕がデッキに転がる。
「・・・・どういうこと・・・・?」
 信じられない、というように吸血鬼が呟く。南美も目を疑った。
 切り落とした左腕から鮮血が噴水のように飛び散る。朱が白い顔に染まっていく中、吸血鬼は呟いた。
「・・・・瑞樹、あんたね」
『・・・・そうよ』
 吸血鬼の口から、違う声が響く。
『お願い・・・・南美さん・・・・早く殺して』
「瑞樹・・・・」
 南美は頷いた。
 そして左手の銃を瑞樹の心臓に向けて構えた。
「銀の弾だ。これでおまえも静かに眠れるだろう」
 南美は静かに引き金を引く。乾いた音が海に響いた。

 海には静寂が戻っていた。
 レストランにいた麗香達を囲んでいた客達は、突然バタバタと床に伏せていった。
「・・・・ちょ、っと、どういうこと?」
 三下の後ろから雫は顔を出し、きょろきょろと辺りを見回した。
 怪我をした右腕を庇いながら、麗香が呟く。
「南美が・・・・終わらせてくれたのよ。・・・・甲板に行きましょう・・・・」
「う、うんっ」
 麗香と雫、それに三下は、船のデッキに出ると、南美の姿を探した。
 そして、船の裏側でぐったりと倒れている南美の姿を発見すると、急いで駆け寄った。
「南美! 南美っっ」
 麗香はあわてて南美を抱き上げると、腕の中で揺する。南美は深手を負い、意識が朦朧としているようだった。
「生きてるわね!? 死んじゃったりしたら許さないからねっ」
「・・・・あ、ああ・・・・」
「どうしよう・・・・運転手さんも殺されちゃってるよぅ」
 他を見回していた雫が血相を変えて操縦席を指差した。
「・・・・そう・・・・」
 麗香はため息をつく。
「いいわ。無線の使い方くらいなら、私わかるから。三下、南美を救護室に運んで上げて。・・・・助けは私が呼ぶから」

 そんな声を遠くに聞きながら、南美は静かに眠りについた。
 再び目覚める頃には、こんな悪夢のような事件は、すっかり忘れていられたら、よいのだけど・・・・。

                                              おわり。
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 1121 深奈・南美 女性 25 金融業者
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■         ライター通信          ■
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 大変お待たせいたしました。
 吸血鬼と流血鬼〜終幕編〜をお届けします。
 第三回にわたってお送りしましたシリーズもこれが最終回となります。
 私自身も先のわからないままに、続けさせていただいたお話で、本当にワクワクドキドキしながら書かせていただきました。
 本当にありがとうございました。

 また違う依頼などで南美様にお会いすることが出来れば、と楽しみにしております。
 これからのご活躍も期待しております。それでは、また。

                            鈴猫 拝