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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


狐からの依頼『このチョコを届けて!』

●オープニング
狐族の幽霊の銀狐。
彼ら狐族は、悪霊退治・依頼をする存在である。
確実な依頼を届けに来るとこでも有名だ。
なん度かゴーストネットで出会い、実際に会っている者たちもいる。
ちなみに好物は『おいなりさん』(どうでもいい・・)。
そんな銀からの依頼があるようだ。

題名:「チョコレートを届けて」

内容:『今回のボクからのお願いはチョコを届けて欲しいんだ。
  ただ届けるだけなら、ボクにも出来るんだけどそれだけじゃない
  んだ。実はこのチョコは「藤野・明美(ふじの・あけみ)」さん
  って言う人が想いを込めて作ったチョコなんだ。
  このチョコを届けたい相手は「佐山・光(さやま・あきら)」さん
  っていうお互いにごく普通の高校生の人間。
  それなら問題ないんだけど。実は、光さんの事を好きになった霊が
  いるんだ。彼女の名は『静蘭(せいらん)』。
  好きでいるだけなら構わないと思っていたんだけど・・
  静蘭は明美さんの邪魔をしようとしてるんだ。

  こないだ明美さんが材料を買いに行った日、明美さんが帰り静蘭さんに
  突き飛ばされ車にひかれそうになったんだ。
  それだけじゃなく、上から植木鉢が落としたり・・。
  ボクもほっとく訳にはいかないんだ。
  だから霊退治をして、明美さんが無事にチョコを渡せるように手伝って
  ほしいんだ。』
                     依頼者名:狐族の銀



●作戦
白里・焔寿(しらさと・えんじゅ)が、たまたま多く作ったので持ってきてくれたというおいなりさんを嬉しそうに頬張る銀の横では作戦が真剣に練られている。
これでも銀はいたって真面目。
なんだか、狐族のイメージが微妙に崩れるのは気のせいだろうか。
《気のせいではありません》

「やはり、チョコは自分で届けるべきです。少々、危険ではありますが明美さんが
自分で届けなければ意味がないと思うんです!!」
緊張する焔寿が精一杯、女の子の気持ちとして意見を言う。
静蘭は危険な人物かも知れないが本当の気持ちを伝えたいのならば多少は仕方がない
と言う事だろうか。
「そうだな・・それに静蘭を押さえるためには荒治療だけど、どうしても明美さんの力が必要だ。それに初めは影で守れるかもしれないけど、現実問題から言ってバレる・・と思う」
「ええ、確かに。影ながら守りたいのですが、明美さんの安全を守るとなると難しい
ですし・・。一番難しいのはタイミングですよね・・嘘をつくのはあたし、苦手で・・」
宮小路・皇騎(みやこうじ・こうき)と海原・みなも(うなばら・みなも)が納得しつつ
お互いに苦笑いで言う。

「「全員の意見をまとめてみよう」」
@まずは尾行をしてつける。
(ポイント@.怪しまれないように)
A危険と判断すれば明美と話をする。
(ポイントA.タイミングはしっかり見計らうように)
B悪魔でもやはり明美が届けるべきである。
(ポイントB.ここ重要(二重丸))


●作戦1:「「尾行編」」
かわいらしい帽子をかぶり少し大きめの子供服を着用している銀。少々、耳と尻尾が苦しいようだ。
「銀・・苦しいのか?苦しいなら実体化せずに霊の姿でついて来たらどうだ?」
皇騎が心配そうに訊くが銀は大丈夫と言わんばかりにニコリと頬を赤くして微笑む。

ただ今の状況:『「明美を尾行中〜〜〜」』

「静蘭さんは今のところいないようですね。気配がしないです・・」
「あたし的には、初めから手を出してくると思ったんですけど。静蘭さんよほど自信があるのでしょうか・・」
焔寿がキョロキョロと霊の気配を探り、みなもが静蘭の心理を予想する。
「所で・・私たちの尾行怪しまれませんか?」
焔寿が少々心配気味に訊く。
銀が首をやや斜めに傾げて少し考える。

「・・・そうかな??じゃーこれでどう??」

「「ばちんっ」」

銀が指を鳴らすと皆の服が制服に変わる。
焔寿とみなもは可愛いブレザーの制服に、皇騎はかっこいいガクランに。
明美の学校の制服である。
「ってか・・俺、二十歳なんだけど、学生に見えるのか?(滝汗)」
「あたし中学生だし、幼く見えないかしら?(ドキドキ)」
「そんなことないです。お二人ともよくお似合いです(パチパチ))」
心配する2人に高校生歳の焔寿が拍手をして絶賛する。
高校に通っていない焔寿は思いがけない出来事に嬉しく思った。

「あっ・・明美さん!喫茶店に入るみたいですね!!」
「一休み?」
みなもが喫茶店に入るのを見て指を指し皇騎が言う。
ぞろぞろと店内に自然を装って入っていく3人。
席に着くとため息をついている明美の姿が見える。
じぃぃーーと明美に気づかれないように気を配り見守る一同。

「あの・・・ご注文は?」

はっとしたように3人は店員の方を見る。
「あー・・コーヒーでいいか?」
「ええ、私もコーヒーで・・みなもさんは?」
「あたしはミルクティーをください」
皇騎はすぐに出られるようにとコーヒーを頼む。もちろん焔寿もみなもそう考えて答える。
----だが・・・しか〜し!!!!----
「「ボク、おいなりさん・・」」
勢いよく右手を挙げて言う銀の口を急いで塞ぐみなも。
「ボク・・おいな・・」
「オレンジジュースで・・(汗)」
みなもが慌てて注文をする。
そして店員はにこっ、と一つ笑顔を見せて注文表に書き込み去っていった。
「銀君、今は食べてる暇ないですから・・」
焔寿にそう言われて落ち込む銀。
そんなにおいなりさんが食べたかったらしい・・(笑)
「銀、後で俺がおいなりさんをご馳走してあげるから・・」
皇騎がそう言うと嬉しそうな笑顔がまた戻ってきた。
「お兄さん約束だよ!!」
「ああ・・」
万遍の笑みで嬉しそうにする銀に優しく微笑み返す皇騎。

所で明美は??
紅茶を口にし、ウィンドガラスから外を眺め一つ大きくため息をつく。
「明美さんどうかしたのかな・・」
心配する皇騎にみなもからの分析報告。
「違いますよ。多分あれは、告白を控えた女の子の典型的タイプ」
「典型的??」
「そうです。緊張しているってことですよ!」
皇騎の質問に答える焔寿。
しかし、それより気になるのは静蘭の方である。
まぁー平和に越した事はないが・・。
そんな話をしていると、明美の元に1人の店員が近づきなにかを話しかけてきた。
「なんだかすごく嫌な気配が・・」
「同感」
みなもが嫌な気配を感じ納得する皇騎。
店員は恐らく静蘭に操られているのだろう。気配もそうだが霊支配されると、普段澄んでいる目の色が多少濁って見えるものである。これも長年の経験なので一般の人には見分けがつかないだろう。
しかし何故自信があると見えた静蘭が、直接的に仕掛けて来なかったかは不思議な所である。
意外と警戒心が強いのか・・はたまたあるいは何か案があるのか。
静蘭が操っているうちに根源を探し当てるようにダッシュして店を一度でる。
この近くなのは確か・・。裏の路地へと入ると気配はだんだんとはっきりしてきた。
「いました!!!」
焔寿が赤い屋根の上を指す。
そこには美しい女性が美しい舞を踊っている。それこそが静蘭である。
「「正面から来るといいわ・・これは宣戦布告。気配を放って貴方たちを呼び出すためのね・・」」
静蘭は来る事を計算済みだったようだ。いや・・正確には嵌められたようだ。
冷たい目で一言放つと余裕の笑みで立ち去る。
捕まえようと試みたが俊敏の動きと舞に呆気をとられ、また屋根の上だということもあり逃してしまった。

●作戦2:「「同行編」」

【第一作戦の結果】
静蘭は人を操る能力を身につけているようである。
よほどの年月を霊として過ごしているのだろう。
取りあえずは、なんとか最初の接触は阻止できたようだ。
次こそは捕まえようと心に誓った3人であった。

ただ今の時刻・・お昼過ぎ。

「あの・・すみません」
「はい?」
焔寿が明美に声をかける。これ以上は正直危ないかも知れない。
静蘭が攻撃ではなく直接的に明美に接触しようとした事で遠方での守りは難しいと判断したため声をかける。
それに・・「「正面から来るといいわ」」・・この言葉は嘘ではないと思う。
その為、遠方からの攻撃というせこい方法はほぼ『0』に近い確立で低いだろう。

3人は静蘭に少々甘く見られているようだ。
「突然でごめんなさい・・貴方を守るために私たちは派遣されました」
嘘をつくのが苦手なみなもは正直に告げる。
霊に狙われているので守らせてほしい・・・と。
そしてありのままの事を伝え、それでもチョコを届ける決意があるのか明美に尋ねる。
「ええ、このチョコレート・・私が自分で彼に届けたい!」
「本当??!」
明美の気持ちを聴き、ほっとするみなも。
所で静蘭の動きが気になる所である。
正確に言うと、今朝は明美への被害がなにもなかったため不可解に思っていると言ったほうがいいだろう。明美に接触したのにも関わらず明美はかすり傷さえ負っていない。
何度も言うようだが・・そりゃー、平和に越した事はない。
((くどい様だが・・))
「光さんってどんなお方なんですか?」
っと、ここで一つ焔寿からの質問。
「とってもいい人ですよ。スポーツが出来てサッカーが好きな黒髪の男の子。だけど少し勉強は嫌いみたい・・」
くすくすと笑いながらまさに恋する乙女と言った感じに頬を赤くして答える。
様々な会話をしていると、ふっと・・また静蘭の気を感じ3人の警戒心は高まる。
皇騎が嫌な気を上から感じ、上を見上げる。ビンゴと言わんばかりに高い所から植木鉢が落ちてくる。加速度が増しこれでは危ない。
「みなもさん!上!!」
皇騎の言葉に反応してみなもが気づいたように上を見上げる。
急いで焔寿は明美を守り、皇騎は銀を包むように守る。
みなもの体は瞬時に反応し近くにあった噴水の水を操り水圧で盾を作る。
周りの人々にばれないように一瞬の出来事のように対処する。
そして植木鉢は水圧で方向をかえ、明美の目の前に落ちた。
「大丈夫ですが?明美さん!みなもさん!皇騎さん!銀君!」
「悪ふざけにしても度が過ぎてる・・」
慌てて心配する焔寿に、上を見上げ冷静に考える皇騎。
皇騎は紛れもなく静蘭と目が合う。
またしても余裕の笑みで去っていく静蘭。
「あっ!チョコは大丈夫ですか?」
身の安全を確認すると焔寿は再び慌てて尋ねる。
「焔寿さん、そんなに慌てなくても大丈夫ですよ」
みなもが焔寿を落ち着かせる。
「・・・はい、大丈夫です」
チョコの入った箱の中身を確認して笑顔で言う明美。

なにがともあれ、命を守れて良かったと言った所だろう。
これからが本当の勝負のようである。


●作戦3:「「静蘭との接触」」

【第二作戦の結果】
なんとか静蘭が手始めに仕掛けてきた罠を阻止できたようだ。
気配を感じるのに2度もかする事すらできない事に腹が立つ3人。
正直、今回の敵は難敵かも知れない。力は然程ないようだが、舞を踊る霊なだけあって
動きが俊敏である。
次こそ・・次こそは捕まえたいものである。
せめて話をしたい所である。


約束の時間まで残り時間も迫ってきている。ほとんど仕掛けてこない静蘭も、そろそろ動きだしてくる頃だろう。
「おかしいですよね。何故、静蘭さんはギリギリまで仕掛けてこないのかしら・・」
「うーん・・ボクの調査では静蘭さんは自信過剰タイプなんだ。だからきっと本気で仕掛けてくるのは一度。失敗すれば諦めるタイプ。前回がそうだったように・・」
みなもの質問に答える銀。
「では、次に仕掛けてくる阻止すればそれで大丈夫ってことですね」
「それじゃー駄目なんだ・・また同じように繰り返してしまったら、いつか誰かが死んじゃう可能性もある」
焔寿が尋ね、また銀が答える。
「なるほど・・。つまり、なんとしてでも静蘭と接触して話し、納得させなければいけないんだよな」
「うん。それがボクたちに課せられた難題な課題・・」
皇騎に難しそうな顔で答える銀。
((やっと仕事をする狐族らしい顔??《一同感動的??》))


1人、公園で光を待つ明美。3人は草陰に隠れて様子を窺う。
明美が今にも倒れそうなくらいに緊張しているのが見て取れる。
そんな時間のなかで皇騎の中で一つの考えが浮かぶ。
「なぁー、静蘭さんって本当に酷い霊なのだろうか・・」
皇騎は親指を顎に、人差し指を唇に軽くつけて考える。
「もし、そうだったとしても静蘭さんのしている事は許させる事じゃありません」
焔寿が明美の周囲を真剣に見つめながら言う。
「「「あっ!」」」
みなもが静蘭の姿を見つけ小声で伝える。

「「そなた・・まだ諦めていなかったのね・・」」

「わ・・私はチョコを渡したいだけです!」
明美が震えながら静蘭に反論しチョコをしっかり抱きしめる。
「「じゃーそのチョコなんか壊してしまえばいい!」」
静蘭は舞を踊り静蘭の周りに風がおきる。その風は一瞬の内に巨大な風になる。
「きゃぁぁー!!!」
その風は明美を目指し一直線に刃を向けて飛んでくる。
明美は動けずに思わずぎゅっと目を瞑る。
風のせいでチョコが地面に打ちつけられた。
けれど明美自信は何処も痛くない・・。明美は恐る恐る目を開けると前にはみなもの姿が・・。
「「それは・・先ほどと同じ・・水圧かしら?」」

「ええ、先ほど万が一に備えてお水をペットボトルに汲んでおいたんです」
みなもは予め汲んでおいたペットボトルの水を高圧にし先ほどと同じ原理で盾の膜を作った。

「「邪魔するつもりなら消すまでのこと!!!」」

再び舞を踊り風を作り始める静蘭。
「周りはよく見るものですよ!!」
後ろから焔寿の声がし静蘭は、はっとしたように振り向く。
静蘭は笑顔をみせる焔寿の方を見る。

「霊封じ!!」
焔寿の方に気を取られていた静蘭が皇騎の方に気づいた時には時すでに遅し。
皇騎の方が素早く札をばら撒いたため静蘭は札に捕まる。
「「っつ・・」」
静蘭を制したところで奥の手の武器召喚『不動明王の羂索』で羂索で完全に動きを支配する。
やっと捕まえる事が出来、3人は安心する。
「静蘭さん・・何故こんなことを?」
みなもが尋ねた。
「「・・・その女から光を奪おうと思っただけよ・・」」
とてつもなく機嫌が悪い様子の静蘭。
「じゃー何故、光さんを狙い自分の者にせずに明美さんを狙ったのですか?」
焔寿が一番疑問に思っていた事を尋ねる。
「「別に・・手に入らなくともかまわない・・2人を突き放せれば」」

「それはつまり・・飽きっぽいからだね!」
ずばっと人差し指で指を指し言う銀の口を慌てて塞ぎみなもは耳元で銀に告げる。
((こら、銀君!折角、静蘭が落ち着いてるのに挑発的発言は駄目です・・))
「「(くすくす)・・・そなた・・面白い少年だな」」
以外や以外の反応にほっとする一同。
(銀は少々危ないと認識し始めた3人・・冷や汗が出そうになる)
「「私が狙ってるのは正確にはチョコだ・・」」
「チョコ?チョコが食べたかったのですか?」
焔寿が疑問符を浮かべて尋ねる。

「「違う!」」

慌てて反論する静蘭。
「「私が死んだ日・・それは世に言うバレンタインの日だったわけではないが愛する彼の為にとチョコを作った。それを届けようとしたが・・」」


「静蘭さんが車の事故で亡くなってしまった・・?」
皇騎の言葉にこくっんと軽く頷く静蘭。
「「私はいつもより遅く家を出たため早くしなくてはと待ち合わせの場所に急いだ。
けれども・・周りをよく見ていなかった私は車に接触してしまった」」
きっと静蘭は自分がチョコを渡せなかったことが悔しくてしょうがない。
知らないうちに悪意が生まれ、自分が渡せなかったのに何故皆は届けることができるのだろうか・・悔しい・・憎い・・こんな所だろう。
「「私もチョコを届けたかった・・」」
静蘭の目から涙が今にも溢れ出しそうだ。
「「そなたにはすまない事をした。私が心をコントロールできずに・・。以前の時もそうだったが、我に戻った時にはチョコを砕いていた」」
静蘭は俯いたまま顔を上に上げずに話す。
「だけど、チョコは想いだ。それを壊した事に悪いとおもってるか?」
「「ああ・・私はすまない事をしてしまったと思っている」」
「それなら大丈夫だ」
厳しい顔で言った皇騎の顔が緩み微笑して静蘭の頭を撫でる。
「静蘭さん!あの・・チョコを食べてみてくれませんか?」
明美が割れてしまったチョコの(地面につかなかった)板チョコの部分の一部を差し出す。
銀がそれを手にとって静蘭が触れるようにと願いを込めて渡す。
「はい、ど〜ぞ」
静蘭は銀が笑顔で差し出したチョコを手に取る。

そのチョコを恐る恐る口にした。
「「おいしい・・」」
静蘭は笑顔で涙をしながらいう。

「静蘭さん・・安らかな眠りを・・」
焔寿が優しい笑顔と優しい光で静蘭の悪意と魂を浄化する。

「「ありがとう」」

これでまた一つ未来の平和は守られた!!
(チャンチャカチャン〜♪)←正義のヒーローの曲。



●告白
「藤野〜遅れて本当にわりぃー!!」
急いで走ってきたのか息切れの様子の光。
慌てて草むらに隠れる3人。
「あ・・!佐山君!!」
「なに?それ・・?」
地面に落ちてぐちゃぐちゃになった箱を指す。
「こ・・これはね」
「俺にくれる筈だったとか??なーんてね」
光が冗談交じりで言うと明美は真っ赤になる。
「えっ??・・ええ!!まじかよ?!!」
「(コクン)」
照れているせいで答えられず頷く明美。
どうして良いのか分からない光は照れながら自分の頭をガシガシと掻く。
そしてチョコの地面につなかった部分を一指し指ですくい上げる。
「あっ・・」
「んん・・美味い」
「き・・汚いよ!」
「なんで??地面についてない部分だぜ?」
「だって・・ボロボロ・・形もベチョベチョに崩れちゃったし・・」
涙目で地面に打ちつけられたチョコを見る。
「そんなことねぇーよ!藤野が心を込めて作ったんだから。それとも俺の事嫌いになった?」
照れながらくさい言葉をはく光。
「佐山君・・」
涙を零しながら首を横に振る明美。
「私、佐山君の事・・好き・・」
「そっか。俺も好きだよ」
「えっ?」
照れながら立ち上がり、しゃがんでいる明美に手を差し出す。
「帰るか?」
「うん!」
明美は箱をもって立ち上がる。


草陰で見ていた3人は・・・
「よかったです」
みなもが感動して涙目になる。
「チョコは守れなかったけどこれも、これでいい結果だな」
「はい、私もそう思います。心がこもっているかが一番大切なことです」
焔寿が皇騎に言う。

こうして、3人と1匹は依頼を無事に終えた。


●銀の日記帳
『2月14日・晴れ』
「今日はバレンタインって言うすごく、すごく人間にとって大切な日。
静蘭さんを無事に焔寿お姉さん、みなもお姉さん、皇騎お兄さんと一緒に成仏させる事が出来た。

ボクは人についてまだまだ多くのことを知らないけど「好き」の気持ちは共通だと思う。
誰かを好きになればその人しか見えなくなり、心が満たされていく。
「好き」が招いた事件かもしれない。
だけど・・やっぱり「好き」は透き通る海とや綺麗な青空と同じくらい綺麗。
静蘭さんの「好き」は絶対に彼に届いていると思う。
ボクもおいなりさんが心が満たされるくらい好きだ。
それから焔寿お姉さんも、みなもお姉さんも、皇騎お兄さんも・・皆皆大好き♪

                          狐族の銀」



●その後
《みなも編》

「お姉さんお疲れ様〜♪」
にこっと微笑んで相変わらず元気に近づいてくる人なつっこい銀。
「銀君もお疲れ様」
「今日は少し恐くてドキドキしたけど・・楽しかったね」
「(くすくす)・・そうですね」
しゃがんみこんで銀の話を聴くみなも。
「お姉さんにボクからプレゼント♪」
銀が取り出した物は淡いピンク色光り輝く綺麗な耳飾りである。
「綺麗な耳飾ですね」
「うん、お姉さんに合う色に合わせてみたんだ。気に入ってもらえたかな?」
「ええ・・」
ドキドキしながら訊く銀に優しく答えるみなも。
「良かった♪」
照れながら笑顔を見せる銀。
さて・・所でこの石は??
恐らく銀に尋ねても分からないと・・思う。(ビンゴ!!)
「この耳飾を持ってれば銀君のこと絶対に忘れないですね」
「本当??」
「はい」
「ボクも忘れないよ!!また会えるといいね」
「いつでも会えますよ。遊びに行ったり来たりしましょうね」
「うん!!」
再び嬉しそうにする銀の頭を撫でるみなもであった。

                           おしまい


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1305/白里・焔寿(しらさと・えんじゅ)/女/17
/天翼の神子
0461/宮小路・皇騎(みやこうじ・こうき)/男/20
/大学生(財閥御曹司・陰陽師)
1252/海原・みなも(うなばら・みなも)/女/13
/中学生
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■         ライター通信          ■
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お疲れ様です。葵桜です。最近めきめきと文章書きの勉強に
励んでおります。
今回は『バレンタイン企画(少し送れちゃいましたが)』
をしてみました。
皆様のプレイングを拝見していると明美への優しい気持ちが
ひしひしと伝わりじんわりと胸にきました。
気に入っていただけたでしょうか?
銀が皆さんに迷惑かけなかったがとっても心配です(汗)


皇騎さん→葵桜の担当する依頼を受けていただきありがとう
ございます。
銀からのプレゼントはコンピュータ関連を専門としていると
窺っていましたのでそれにちなんで選ばせていただきました。
気に入ってくださると光栄です。


みなもさん→葵桜の担当する【ウエディングプランナー】の
依頼の後の【狐からの依頼『このチョコを届けて!』】を
連続で受けていただきありがとうございます。
やはり、また依頼を受けていただくときが一番感動します。
次回にまた、みなもさんにお会いできる時をすごく楽しみに
しています。
焔寿さん→葵桜が担当する依頼を受けていただきありがとう
ございます。プレイングはとても可愛らしかったですよ。
高校に通っていないと窺ったので銀とお友達に・・。
気に入っていただけたでしょうか?
銀は基本的にはたぶん・・友好的タイプ・・(なはず)
すぐに打ち解けると思いますよ。


それでは皆さんとまたお会いできる日を楽しみにしてます。
                    葵桜