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この身を捧げても
■疑惑
雫は自分へと届いたメールの一通に目を疑った。今までも、商売柄、いろいろとおかしなメールをもらったことはあったものの、今回のメールはどうみても自分宛ではないだろうと思われる内容だった。
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件名:恋愛相談
本文:最近、私の彼の行動がおかしいのです。妙にこそこそしたところがあったりして。問いただしてもきちんと答えてくれないんです。彼が私に何を隠しているのか、調べてもらえませんか?
ひょっとして、私の他に好きな子ができたりしてたら、ショックです。私はこの身を彼に捧げても良いと思っています。ぜひ、調べてください。お願いします。
鈴木若菜
−−−
雫は腕組みをして頭の上に三点リーダー「…」を描いていた。自分だってそんなに恋愛経験は多いほうではない。どちらかというとこれからである。
こういうことは、カフェに出入りしているお兄さんお姉さんに任せたほうが良いな、うん。ひとつの結論が雫の頭の中でまとまったところに、玄関ドアに付けてある、いがらっぽいのどをしたヒキガエルの鳴き声のようなカウベルの音がした。
「ちょうどよかったよ。ちょっと、頼みごとがあるんだけどね☆」
【この身を捧げても:時雨編】
■時雨
あやかし荘の玄関先で、時雨は愛用のバイクの整備を終えたところであった。自律型のバイクとはいえ、整備をするのは自分自身だ。常に万全の体制をとっておくという性癖が完全に体にこびりついている。肩にかけたタオルで汗をぬぐう。冬にしては暖かな一日だ。日もまだ高い。ちょっと出かけてみるか。
自分の体の大きさ相応の大型バイクにまたがると、時雨はそのエンジンをかけた。エンジンの衝撃が腹の底へと伝わってくる感触が好きだった。フルフェイスの黒いヘルメットをかぶり、ギアをローに入れると、重低音とともにバイクは街道へと駆け抜けていく。
時雨は行きつけのネットカフェに行くことにした。時雨には職がなかった。そもそも自分の身分を証明するものが何もないのだ。そのため、就職活動は困難を極める。時々見かけるスポットのアルバイトで自分の生活を維持するのがいっぱいいっぱいだった。それゆえ、家にパソコンのような高価な機械があるはずもない。もちろんインターネットも。しかし、インターネットから得られる情報には貴重なものもあり、そういう情報を安価で得られるのがネットカフェなのである。いつも足を運んでいるネットカフェ「ゴーストOFF」では雑用をすることと引き換えに無料で端末を使用させてもらっている。初めはしぶしぶ条件を呑んでいたが、今ではすっかり重宝しているのだ。
■嫉妬
時雨はたまたま、愛に悩んでいるという乙女から話を聞くことになった。どのようなものが愛といえるのかはピンと来なかったが、困っている人の相談に乗るのも悪い気はしなかった。また特に予定もなかったので、窓辺の席に陣取ってブラックコーヒーを飲んでいる。
やがて現れたのは、赤いファッションの大人びた女性と、はにかんだ笑顔が可愛い、セーラー服が似合う幼い顔立ちの女の子、そして恋愛相談の主(あるじ)の女の子だった。
赤いファッションに身を纏った女性、藤咲愛(ふじさき・あい)は髪も瞳も紅く、それが赤いジャケットとタイトスカートにとても似合っていた。愛はブラックコーヒーを注文し、どうも、と軽いあいさつをして隣に座った。彼女からは「SMクラブ DRAGO」という名刺を渡された。何でも歌舞伎町ではナンバーワンの女王様だそうだ。
斜め向かいに座った女の子は海原みなも(うなばら・みなも)という中学生だ。青い髪に青い瞳が目立つ。海から生まれたようなイメージの女の子だ。みなもは女の子らしくバナナジュースを飲んでいる。
肝心の恋愛相談の主人公の名前は若菜という。みなもの隣に深々と座って、ミリンダのグレープ味を飲みながら、ぽつりぽつりと恋愛相談の内容を話している。長い髪をお下げにして、いかにも純愛系の女の子のようだ。
「あたし、健太君が、あたしに何を隠してるのか知りたいんです!」
若菜は高校二年生だそうだ。話を聞いているとどうも一方的である。健太という男子生徒が隠していることを、暴いて知りたがっているだけのような気がする。まるでストーカーのような行為だ。
「ねぇ、若菜ちゃん、健太君のどんなところが好きなの?」
愛が色っぽい微笑みを浮かべて若菜に聞く。紅の瞳が一瞬光を帯びる。
「健太君の全部です! 性格も顔も、右手も左手も、右足も左足も全部大好きなんです!」
この偏執的な愛情表現は、まさしく、ストーカーだ。時雨は、もし若菜が本当にストーカーであるならば、頭にキックでもいれてやろうと、革のブーツのヒモを締め直した。
「まぁ、それは素晴らしいわね。うふふふふ」
「あ、あの、健太さんって、どんな人なんですか?」
みなもの質問に、若菜の頬に一瞬にして朱が差し込む。この後、延々と健太なる男子生徒について語り出したら、ストーカー確定だ。
「やさしくて、面白くて、思いやりがあって……」
頬に両手を当てて本当にうっとりとした表情で、若菜は案の定、延々五分にわたって細部に至るまで、どれだけ健太のことが素晴らしいかを語っていった。
ここで若菜の真意を測るために、時雨は一つ質問を投げた。
「でも、君が彼のことを一方的に好きだっていうことなんじゃないか? 健太の方は別に君のことをなんとも思ってないとかさ」
「違います! あたしたちちゃんと恋人同士なんです!」
若菜は両手をテーブルにたたき付けた。バナナジュースの入ったグラスがくるくると揺れて止まった。
「鳴神さん、それは言い過ぎなんじゃなくて?」
愛は冷たい瞳を時雨に突きつけた。
若菜は胸ポケットから親指の大きさほどのガラスの小瓶をとり出した。小瓶の中には小指の爪くらいの大きさの、魚のうろこのようなものがきれいに磨かれて、虹色に光彩を放っている。
「きれい……」
みなもが思わずうっとりとガラスの小瓶を見上げる。
「これ、去年の誕生日に健太君からもらったんです」
「まぁ。健太君、いい趣味をしているのね」
愛は微笑みを絶やすことなくコーヒーを口にした。
「きれいですねぇ。貝殻ですか?」
みなもはバナナジュースをストローですする。
「右手の小指の爪です。健太君の」
愛とみなもが同時に咳き込み、それぞれの飲食物を吹き出しかけた。
爪。時雨は自分の小指の爪と瓶の中の爪とを見て比べてみた。言われてみれば、そっくりである。瓶の中の爪が偽物ではないかと、疑う余地は、どこにも、無い。
「ほぉ……」
時雨は感嘆の声ともため息とも取れる息を一つついた。到底正常だとは思えなかった。爪をまるまる一枚である。
「えぇ、まるごと一枚剥がしてもらったの。健太君があたしを愛してるって証拠よね」
若菜は愛おしい視線で小瓶を光に透かして見せた。
「そう、私たちの愛はとっても深いの。だから浮気なんて許さない。健太君は私だけのものなんだから。ね、お願い、健太君の隠し事を調べて!」
■追跡
三人は秋葉原駅前に立っていた。秋葉原の電気街からは、妖しげなネオンサインや変に耳に残ってしまう店のテーマソングが流れてくる。
時雨はアルバイトで秋葉原には良く足を運んでいた。駅前の通行人に無料でインターネットの機械を渡す仕事だ。面接の時には特に身分も問われなかった。それほど人手が足りないのだろう。派手なハッピがみっともなかったが、時給が良いため、生活のためにと我慢して仕事をしている。
「ねぇ、もうすぐ五時だけど、若菜さんのいった通りに、本当に健太君は現れるのかなぁ?」
みなもは不安げに愛と時雨の顔をかわるがわる見つめている。
「ほら、来たわよ」
愛が促すほうを見ると、若菜から預かっていた写真と同じ顔をした人物が、改札を抜けて電気街の方へと歩いていった。健太はジーンズに赤いスタジアムジャンパーで、背中にはデイパックを背負っていた。骨折をしているのか、包帯に巻かれた左腕が首から三角巾で吊るされている。
時雨は日ごろから装備している盗聴器を握りしめると、反応速度を三十倍限界まで引き上げ、スローモーションで流れていく人波をかき分けて健太のそばへ行き、健太の肩に発信機をつけると、またみなも達のところへと帰ってきた。
「時雨さん、何をしたんですか?」
「盗聴器を仕掛けたんだ。これで追跡もしやすいだろう? ほら、これが愛さんとみなもちゃん用の受信器だ」
そう言って二人に黒いイヤホンのような物を手渡した。
「さっすがー、時雨さん!」
時雨は無表情に健太の歩いて行く方向を見た。
「二人は地上から尾行してくれ。俺は上空から監視する」
時雨は装着していた「キャンセラー」のスイッチを入れると地を蹴った。そして、手近なビルの屋上へと着地した。
愛とみなもは健太の後ろ数十メートルを歩いている。時雨は二人に呼応するように、ビルの屋上から屋上へと飛び移って行った。秋葉原のビルは無意味に派手に装飾したビルが多かったが、その装飾がビルの屋根にいる時雨を巧い具合に隠ぺいしているらしく、誰も時雨の姿には気がつかない。
やがて、健太は電気街を抜け、千世食堂ビルを左手に見ながら橋を渡り、一軒の昭和初期に建てられたと思しき建物の前に立ち止まった。しばらくすると、長い髪をした高校生くらいの白衣の女の子が出てきた。
みなもはポケットからカメラを取り出して、女の子の姿を収めている。
『……ほら、早くぅ……』
女の子のとろけるような愛のささやきが盗聴器から聞こえてくる。盗聴器はお世辞にも性能がよいとは言えないようだ。所々に雑音が入って、聞きとりにくいところもある。
やがて、健太は女の子とともに建物の中へと入っていった。二人が建物の前にたどり着くと同時に、時雨が二人の横に着地した。
健太が入った建物の玄関には「あやかし整骨院」と太い筆で書かれた汚い看板がかかっていた。相当古い建物らしく、柱に釘で打ってある小さな鉄板には「犬予防接種済み 昭和三十二年」と書かれている。
「整骨院か。そういえば健太は左腕を骨折してたみたいだったな」
時雨が看板を見上げながらつぶやいた。
『……ほらぁ、早く服を脱いでぇ……』
ちょっと色っぽい女の子の声が盗聴器から聞こえてくる。みなもは顔を真っ赤にして両方の頬に手をやっている。
「健康的な整骨院のようねぇ。んふふふふ」
愛は腕を組んで盗聴器の声を聞き入っているようだった。
『……もう、こんなになっちゃってるのね……』
『……あ、だめだよ、そんなとこさわっちゃぁ……』
『……ほらぁ、はやくぅ、ね? しよ? ……』
「ねぇねぇ、時雨さん、何をしてるんでしょうねぇ?」
「なんだろうね」
こういうしかなかった。実際のところ、時雨には何も想像ができなかったのだから。
「うふふふ。面白い展開になってきたようね」
愛の右手に握られた皮のムチがぎしぎしと軋む音を立て、黒い弧を描きながら鋭い叫音をあげて地を打った。
十分後、健太が整骨院から出てきた。建物に入る時に首からぶら下げられていた三角巾はもうなかった。骨折の治療は終わったようだ。
「健太君、ちょっと鈴木若菜ちゃんのことで話を聞かせてもらいましょうか」
愛の目は笑っていなかった。右手には絞ったような音を立てるムチが握られていた。
■プレゼント
四人は喫茶店ノワールのボックス席に座っていた。時雨の隣では愛がブラックコーヒーを飲んでいる。向かいの席にはみなもがバナナジュースを飲んでいた。みなもの隣には健太が座ってリンゴジュースを前にして頭を掻いている。時雨は特に何も摂取する必要もなかったのだが、一人だけ何も注文しないのもおかしいと思い、やはりブラックコーヒーを注文することにした。
「ばれてたんですね。若菜に心配かけちゃったかな」
「そうですよ。若菜さん、どれだけ健太さんのことを思っていたか」
「実は、明日が若菜の誕生日なんですよ」
誕生日に彼女に隠れてプレゼントを用意していたのがばれた、と言うわけか。なるほど、すべての謎が解けた。単純なことだ。誕生日が来れば全ては解決されるだろう。
「なるほど。それで、若菜ちゃんに誕生日のプレゼントを準備してたというわけだ」
時雨は無表情でコーヒーをすすった。
「それにしては、さっきの整骨院で女の子とイイコトしてたみたいだけど」
愛は冷たい言葉を健太に浴びせかける。時雨は健太の肩に乗っている小さな発信機をつまみ上げた。
「え? 盗聴してたんですか? やだなぁ。変なことはしてませんよ。プレゼントをラッピングしてもらうのを手伝ってもらってただけですよ。変な勘違いとかしてませんか?」
健太は右手でデイパックを開けて、中からピンクの可愛い包装紙に包まれた、腕が入るくらいの大きさの箱を取りだした。箱の右上にはバラの花が一本添えられていて、ご丁寧にメッセージカードまで添えられている。みなもがプレゼントの箱を持ち上げた。意外に重い物が入っているように見える。
「健太さん、中身、何ですか?」
「うん、前から若菜が欲しがっていたものなんだよ」
「健太君!」
目の前には、ノワールの玄関ドアにしがみつきながら叫ぶ、息切れをおこして今にも貧血で倒れそうな若菜の姿があった。
「あたし、心配でこの人たちのあとをついて来ちゃったの!」
「ごめんね、若菜、心配かけちゃって」
若菜は健太の隣にもたれ合うようにして座った。
「明日、若菜の誕生日だろ。誕生日プレゼントを準備してたんだよ。黙っててごめんな」
「いいの。それより、ちょっと早いけど開けていいかな」
「うん、ばれちゃったらしょうがないよね。いいよ、開けて」
若菜はうきうきとしてピンク色の包装紙をていねいにはずしはじめた。中にはプラスチックのような箱が入っている。箱の表側には「生体汚染注意」の黄色いステッカーが張られている。
若菜が箱を開けると、出てきたのは人間の左腕だった。
みなもが小さな悲鳴を上げる。
「あ、あたしのために? うれしい!」
若菜は左腕を箱から取り出すとぎゅっと愛おしそうに抱きしめた。精巧にできた腕だった。血の巡り方や毛細血管の通い方に至るまで精巧に描かれている。女の子の部屋には似合わないかもしれないが、サンプル模型としては相当高価なものであろう。
「よくできた模型だな」
時雨がコーヒーカップをトレーの上に置いた。
「いやだなぁ。今切ってきたばかりの新鮮な僕の左腕ですよ」
「い、いま、き、切ってきた……んですか?」
みなもの声は明らかに上ずっている。見てはいけないものを見てしまったかのような、恐怖の奥からわき出る声だった。
「えぇ、さっきの整骨院で。一日で切るのは大変なので、一週間かかりましたけどね」
勇気のある少年もいるものだ。こういう愛の形もあるのだろう。自分のものを相手にプレゼントする。ある意味、感動的な愛の形なのかもしれない。
「ねぇ、健太君、今食べてもいい?」
「もちろん。そのために若菜にプレゼントするんじゃないか」
「んじゃねぇ、小指からかな」
若菜はにっこり笑って左腕の小指を口にくわえたかと思うと、チョコスティックでも折るような軽快な音を立てて、その部分をへし折った。きれいに噛みちぎられた断面には、指の骨が乳白色の断面をさらけ出し、周りの筋肉組織からは濃赤のねっとりとした血液がゆっくりと流れ落ちる。
まるで鳥肉でも食べているように、しばらく口の中でおいしそうに何回か咀嚼を繰り返したあと、若菜は食べた小指を飲み込んで満足げに息をついた。そして、腕からしたたる血液を可愛い舌先で舐め取った。
「うん、新鮮でやわらかいね」
「切りたてだからね」
若菜は腕の切断面側から見えている白い糸状のものを、可愛い舌をちろちろとだして舐め、その先端を歯でくわえてずるずると引っ張り出した。糸状のものは植物の根のような形になっている。その糸を若菜は一本の麺でも食べるようにするすると口の中へと吸い込んだ。
「ん、神経繊維っていつ食べてもちょっと塩味が効いてておいしいよね」
若菜と健太はにこやかにお互いを見つめあっている。
「残った分は、焼いてもおいしいよ。調理して冷凍しておいて、チンしてあたためればいいし」
「スープにするのも良いわねぇ。いいおダシが取れそうだわ」
次に薬指の部分を噛みちぎった若菜は、ちぎった指先をビーフジャーキーでもしゃぶるように両手で持って、二人の「愛の蚊帳」の外にいる三人を見渡すと、にっこりと笑った。
長い髪をしたおさげの少女の前には、指が二本噛みちぎられて血液がしたたっている腕が転がっていて、少女自身は薬指をしゃぶっている。健太は恋人を見つめる甘い視線で若菜の方を見つめていた。
こういう愛の形もあるのかもしれないが、俺は御免蒙りたい。とにかくこの場を離れなければ、とんでもないことに巻き込まれそうな気がする。
「あ、あの、わ、若菜さん、か、か、か、解決しましたよね? ね? あ、あたし、か、か、帰ります」みなもが学生鞄を抱えるようにして席を離れて後ずさった。
「そ、そうね。じゃあ、あ、あたしは、み、みなもちゃんを送っていくから。あは、あははは」愛は既に植木の背後に隠れるようにして立っている。
「じゃ、お二人さん、お幸せに」
時雨は腰を上げて伝票をつかむと、レジの方へと向かって行った。
恋人達の狂気に満ちた甘い語らいの邪魔をしないようにと、三人は足早に喫茶店をあとにした。
■愛百相
三人は精神力をすっかり使い果たしたといった風情で、肩を落として秋葉原電気街を駅に向かってとぼとぼと歩いていた。愛の顔色は張りのあるピンク色から土色へと変化していて、どことなくショックを隠しきれない様子だ。みなもはげっそりとした感じでローファーを引きずるように歩いている。
「あたし、しばらくはお肉食べたくないです」
「あたしだってそうよ。やだ、思い出すだけで鳥肌が立ちそうだわ」
みなもは横目で時雨をじとっと睨め付けた。
「時雨さん、良く平気でいられますねぇ?」
「あまり気にならないといえば、気にならないか」
人の肉を食べるということが倫理に反するということは脳では理解できる。だからといって、それ以上はなんとも思わない。改造人間の性(さが)かもしれない。それが良いか悪いかはまた別問題だ。
「じゃ、お二人さん、気をつけて」
時雨は駅前に止めてあった大型バイクにまたがった。エンジンが低い咆哮を上げる。
二人にヘルメット越しに片手で軽く敬礼をして、スロットルを開けた。瞬間、空気が流れる。時雨は夕陽に向かって街道をまっすぐに西へと走って行く。風がまだまだ冷たい二月の終わりの出来事だった。
【この身を捧げても 時雨編 おわり】
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鳴神 時雨(なるかみしぐれ)
#1323 男性 32歳
あやかし荘無償補修員(野良改造人間)
藤咲 愛(ふじさきあい)
#830 女性 26歳
歌舞伎町の女王
海原みなも(うなばらみなも)
#1252 女性 13歳
中学生
■■■■■ ライター通信 #02 ■■■■■
▼ライターのいずみたかしです。今回はご依頼いただき、誠にありがとうございました。気に入っていただければ良いのですが……。
▼今回のストーリーは三人の方にご参加いただいてますので、三人それぞれの作品を読めば、さらにお楽しみいただけるということになっております。
▼今回の設定はちょっと狂気のラブラブカップルということでした。もし食事をしながら読んでいたのであればごめんなさい。いちおう、本命の狂気の線で落ち着いたようです。
▼今回の狂気に対するチェックにはダイスを使って判定させていただきました。愛さんがぎりぎりでチェックを通過しているので、意外にパニックしてたりします。
▼私のキャラはこんなんじゃねぇ! などの、お叱りやその他の感想がございましたら、
ぜひテラコンからお気軽にメールをお送りください。で、もし、気に入っていただけたのでしたら、次回の参加をお待ちしております。
いずみたかし 百拝
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