|
「桜神鬼」
――<オープニング>―――――――――――――――――――――
「失礼」
ある日の昼下がりのことである。
相変わらずの仕事日照りで暇を持て余していた草間探偵が事務所でのんびりマルボロをふかしていると、突然ドアの向こうから野太い男の声が聞こえた。
「はーい」
零が返事をして立ち上がるよりも早くドアが開き、四、五人の男達が中に入ってきた。
男達はみな一様に固い表情で、口を真一文字に結んでいる。その只ならぬ様子に零は思わず言葉を失う。
「草間武彦さんですな」
男達の一人、年の頃四十過ぎ、日に焼けた顔のがっしりした体格の男が椅子に座った草間を見下ろすようにして話しかけてきた。
草間はマルボロをくわえたまま、ちらりと男に視線を向けた。
「確かにそうだが、私に何か御用ですかな?」
「警視庁特捜一課の石塚と申しますが、お伺いしたいことがあるので御同行願いたい」
そういって男はコートの内ポケットから黒い手帳を取り出して、草間に示した。
有無を言わさずといった男の口調に、草間は小さな溜め息を一つついて応じた。
「容疑は?」
「山中勇三という人物を御存知ですね?」
男が口にした言葉に、草間の眉がピクリと反応する。山中勇三−−与党国民党の代議士で、国土交通大臣を務める大物政治家である。
「あなたも新聞やTVのニュースで御存知でしょう。山中先生が三日前何者かによって殺害されたのを……。しかもそのやり方が尋常じゃない。十人以上の腕利きのボディーガードが見張っていたにもかかわらず、手も足も出なかったばかりか、誰も犯人の影すら目撃していないってんだから、あっしも二十年以上刑事やってるがこんな事件は初めてだ」
「なるほど。で、それと私とどういう関係があるというので?」
「しらばっくれるんじゃねえ!」
突然石塚が豹変した。
「おめえがここ最近、山中先生の周りをうろついて何やら嗅ぎ回っていたことはとっくに調べがついてるんだ。さあ、いさぎよく一緒に署まで来てもらおうか!」
草間は仕方ないといった面持ちで煙草の火を消しおもむろに立ち上がると、凍りついたようにその場に立ち尽くしている零に視線を向けた。
「というわけだ。じゃ、後はよろしく頼むよ」
――<本文>――――――――――――――――――――――――
「ふうん、なるほどねぇ……」
紅蘇蘭(ホン・スーラン)は愛用の銀の煙管を景徳鎮製の白磁の灰皿に置くと、妖艶な唇から紫の煙を吐き出した。場所は彼女の経営する自称アンティークショップ「伽藍堂」。
目の前には紺色のセーラー服を着たササキビクミノが革張りのソファーに腰掛けてタージリン・ティーをすすっている。
「それで、わたしに助力を願いたいとそういうわけなのね?」
「別にわたしが頼んでるわけじゃないわ。私はただ零ちゃんからの言伝を伝えに来ただけ……」
「別にどっちだっていいわよ、そんなことは。それより何か手がかりはつかめたの?」
「それが今のところは何も。肝腎の草間さんは警察に拘束されたままだし、事務所内の資料もほとんど警察に押収されてしまって……。けど、私が裏のルートを使って調べてみた結果、山中が暗殺された時の状況だけはだんだんわかってきたわ」
「ほう、聞かせてもらおうかしら?」
「当時現場にいたSPの証言によると、自分が山中の寝室の隣の部屋で待機していたところ、どこからともなく笛の音が聞こえてきた。立ち上がって外の様子を見ようとしたが、なぜか体が金縛りにあったように動かない。そのうち誰かが廊下を歩いてくる音が聞こえ、続いて起こった山中の叫び声も確かに聞いた。にもかかわらず、SPの誰一人として動くことはおろか声を上げることすらできなかったらしい。そしてしばらく経ってようやく金縛りの解けたSPたちが山中の寝室に駆け込んでみると、すでに山中は冷たくなっていた、というわけ」
「なるほどねぇ……」
クミノの話を聞きながら、蘇蘭は再び煙管を口にくわえ、紫の煙を吐き出した。
「この話はまだ続きがあるの」
「続き?」
「ええ。山中は布団の中に横たわったまま死んでいたそうだけど、その死体を覆い隠すように桜の花びらがばらまかれていたらしいわ。しかもさらに奇妙なことに、検死の結果、山中の死体には血がほとんど一滴も残っていなかったらしい」
「桜の花びら……血が一滴も……」
煙草の煙を吐き出しながら、蘇蘭はクミノの言った言葉を繰り返した。
「何か心当たりでもあるの?」
「いえ……今のところはまだなんともいえないわ」
妙に微妙な言い方がクミノの心に引っかかった。この女は何か知っている――直感的にクミノは思った。
「それと、これは零ちゃんから聞いた話なんだけど……」
「何? まだ続きがあるの?」
「何でも草間探偵は、ある女子高生の依頼で山中のことを調べていたらしいわ」
「女子高生?」
「ええ。今から一月ほど前にひとりの女子高生が事務所にやって来て、調査の理由も告げず、極秘に山中の身辺を調べてほしいと……。名前は確か、えーっと藤堂詩織とかいっていたように思うわ」
「藤堂……」
蘇蘭は形のよい眉をひそめ、腕組みをして右手を軽くあごの下に当てた。そのとき、
「ちわー。蘇蘭さん、いるかーい!」
元気のいい声とともに、小柄な少年が店の中に飛び込んできた。ランドセルを背負っていることからおそらく小学生であろうが、ここはそんな子供が気軽に入ってこられるような店ではない。
「いらっしゃい。待ってたわ」
蘇蘭はソファーから立ち上がると、ごく自然な態度で少年を出迎えた。どうやら少年はこの店の常連らしい。
「紹介するわ。御崎月斗君。こちらはササキビクミノさんよ」
「こんにちは」
「こんにちは」
クミノと月斗は互いに挨拶を交わしながら、まるで値踏みするような目つきで相手を頭の先から爪先までじろじろと見つめ回した。
「ところで、あれからなんか情報は入ったのかい?」
月斗が蘇蘭の方に向き直った。
「それが、山中が殺されたときの状況が少しだけわかったわ。それと草間探偵に山中の調査を依頼した人物のこともね……」
そういって蘇蘭は先程クミノから聞いた話を月斗にした。
「ふうん、なるほどね……」
蘇蘭の話を聞き終わった後、月斗はそういって腕を組んだ。
「とりあえず、その依頼を持ってきた女に関する情報は他にはないのかい?」
「零ちゃんの話では、その後一度だけ事務所にやって来て山中に関する情報、特に山中が帰宅して自宅にいる時間帯を詳しく尋ねていたそうよ」
クミノが答える。
「他には名前も素性も何にもわからずか……」
「どうやら草間探偵本人に訊くしかないようね」
蘇蘭が言った。
「そのようだね」
「じゃあ頼むわね」
「へっ?」
「へっ? じゃないわよ。いったい何のために貴方をここに呼んだと思っているの?」
「まっ、待ってよ。それじゃあ俺とこいつと二人だけで事件を調べろっていうのかよ!」
「ちょっと! こいつってどういう意味よ!」
クミノが思わず大声を上げる。
「とにかく! 私は店があるからこの事件だけに関わっている暇はないのよ。それに私は私で他に調べなければならないことがあるんだから。分かったら明日にでも草間探偵のところに面会に行って、依頼者の娘について訊いてきなさい。それと、何か分かったことがあったらちゃんと私のところに報告に来ること。いいわね?」
面会室の厚いガラス越しに見る草間の顔は、明らかにやつれていた。連日警察の厳しい取調べにあっていることがその表情から窺い知れた。
「誰かと思ったらお前たちか……」
ガラスの向こうから、草間はクミノと月斗に向かって力ない笑みを浮かべた。
「なんか残念そうね」
「そんなことはないさ。そんなことより、俺にいったい何の用だ? わざわざ慰めに来てくれたというわけでもないだろう」
「貴方に山中の調査を依頼しに来た女について訊きたいことがあって来たの」
「ああ、そのことか……」
草間はそういって深いため息をついた。
「その女のことならすでに警察にも話した。もっとも、何度話してもまともに取り合ってももらえんがな」
「どうして?」
「どうしてってそりゃあ、女子高生がわざわざ私立探偵を雇って大物政治家のことを調べさせていたなんて話、誰が信じると思うか? しかもこっちはその娘の氏も素性も知らないんだからな」
「でも変だな」
黙って草間の話を聞いていた月斗が口を開いた。
「氏も素性も分からないのにどうしてそいつが高校生だって分かったんだ」
「そりゃだって、相手は制服を着ていたからな」
「制服?」
クミノと月斗が同時に声を上げた。
「ああ、確か俺の記憶が確かなら、あれは私立桜坂女学院の高等部の制服だった。間違いない」
「よくそんなこと知ってるわね」
「フッ、こう見えても東京都内及び首都圏にあるすべての女子校の制服は記憶して……まあ、いいじゃないか。そんなことは……」
クミノが無言で草間に白い目を向ける。月斗は下を向いて笑いを堪えている。
「そろそろ時間だ」
草間の背後に控えていた警官が面会時間の終了を告げた。草間が物憂げな様子で立ち上がり、クミノと月斗に再び力ない笑みを向ける。クミノと月斗も椅子から立ち上がった。
「じゃあ、私たちはこれで……」
「ああ、今日はわざわざすまなかったな。また訊きたいことがあったらいつでも来てくれ」
草間はそういうと、付き添いの警官に連れられて面会室から出て行った。
草間との面会を終えた後、クミノと月斗は蘇蘭の店「伽藍堂」に足を運んだ。草間から得た情報を蘇蘭に伝えるためである。
「なるほど、桜坂女学院の高等部か……。草間探偵の趣味が思わぬところで役に立ったわね」
二人の報告を聞いた後、蘇蘭は皮肉な笑みを浮かべながら店の電話の受話器を取り、どこかに電話をかけた。会話の内容から類推するに、どうやら桜坂女学院に問い合わせているらしい。
「そうですか。どうもお手数をおかけして申し訳ございません」
慇懃な挨拶とともに蘇蘭が受話器を置いた。二人の方を振り向いた彼女の顔には心なしか落胆の色が窺えた。
「学院に問い合わせてみたけれど、やはり藤堂詩織とかいう名前の生徒はいないそうよ」
「それじゃあ……」
「また振り出しに戻ったというわけか」
月斗ががっくりとソファーに腰を下ろした。
「どうやら別の線から当たるしかないようね」
蘇蘭の言葉に月斗が口を尖らせる。
「別の線って他にどういう線があるっていうんだよ」
「そうね……。ここ最近で山中代議士が関わった事件がないかどうか、調べてみるかしら」
蘇蘭はそういうと、黒檀の書き物机の上に置かれた大きな水晶玉に手のひらを当てて小声で何かをつぶやき始めた。水晶玉がおぼろげな燐光に包まれ、その表面に何か文字のようなものがいくつも浮かび上がる。彼女はこの水晶玉の力を用いて、過去現在未来のすべての事象はおろか、コンピューターの回線にも自在に進入することができるのだ。
しばらくして、蘇蘭が顔を上げた。と同時に水晶玉の光がすっと消える。
「どうだった?」
クミノが尋ねた。
「一月ほど前に、例のゼネコン汚職の絡みで山中の秘書が一人、ビルから飛び降りて自殺しているわね。何せ『汚職の博物館』と呼ばれていたような男だから他にもいろいろあるけれど、一番新しいのはそれかしら。それともう一つ分かったことがあるんだけど、実はその自殺した山中の秘書には、高校生の娘が一人いたらしいのよ」
「何だって?」
月斗が声を上げた。
「じゃあ、ひょっとしてその娘ってのが山中を――」
「まだそう決めつけるのは早いわ。だいたい常識で考えて、一介の女子高生がそんな大それたことをすると思って?」
「そりゃあまあ、確かにそうだけどさ……」
「その娘の名前、それと住所や通っている学校は分かるかしら?」
クミノが口を開いた。
「住民基本ネットワークと教育委員会の名簿で検索した結果、名前は楠本真理子、住所は世田谷区内、都内の某公立高校に通っていることはわかったわ」
「なら、一度その子に当たってみましょう。ダメでもともとだし……」
「確かに、あまり期待は持てなさそうだけどな」
そういうと月斗はいささか投げやりな感じで、勢いよくソファーから立ち上がった。
楠本真理子が通っている高校は自由が丘の駅から歩いて十分ほどのところにあった。
「どうやらここみたいね」
蘇蘭から教わった地図を頼りに歩いてきたクミノと月斗は校門の前で足を止めた。ちょうど下校時間らしく、多くの生徒が校門から外に向かって吐き出されていく。その中の一人にクミノが目を留めた。
「見つかったの?」
「ああ、蘇蘭が念写した通りだ。間違いない」
そういって月斗は手に持っていた写真と見比べた。
「あの、すいません」
クミノは意を決して、目の前を通り過ぎようとしていたその女生徒の背中に声をかけた。
「はい?」
突然声をかけられて驚いたような様子で相手が振り向いた。三つ編みの髪を垂らした小柄な地味でおとなしい感じの少女だ。とても政治家の暗殺を企てるようなタイプとは思えない。
「楠本真理子……さんですね?」
「そうですけど、何か……?」
「ちょっとお聞きしたいことがあるので、お時間を取らせていただけませんか?」
「あの……お話って何ですか?」
楠本真理子は怪訝そうな顔でクミノと月斗に尋ねた。場所は真理子の高校に程近い小さな公園である。三人の他に人影はない。
「山中勇三という人を御存知ですね?」
単刀直入にクミノが尋ねた。その瞬間、真理子の顔色がさっと変わった。
「何か知ってるんですね」
「いえ……あたしは……あたしは……」
踵を返そうとした真理子の行く手に月斗が立ちはだかった。
「おっと、逃がさないぜ」
月斗は逃げようとする真理子の顔の前に右手の掌をかざし、小声で何ごとか呟いた。次の瞬間、まるで金縛りにかかったように真理子の身体が棒立ちになり、両腕がだらりと垂れ下がった。
「ちょっと、いったい何をしたの?」
クミノが尋ねた。
「何、ちょっとした催眠術さ。身体に害はない――さあ、知ってることを全部喋ってもらおうか?」
「あ……あ……」
「山中の殺害を依頼したのはあんただね?」
真理子の首がゆっくりと上下する。
「なぜそんなことをした?」
「あ、あたし……お父さんが可哀想だったの……。山中のために一生懸命尽くしてきたのに、それなのに建設会社から賄賂をもらった罪をかぶせられて、口封じ同然に自殺させられたお父さんが……。それで……」
「それで……?」
「ある人にお父さんの仇を討ってやるっていわれて……」
「ある人って誰?」
「それは……それは……」
真理子の身体が強制された意志に抗うようにガクガクと震える。
「どうした? 答えるんだ」
「それは……」
不意に真理子の身体に揺れが止まった。怪訝に思った月斗が彼女の顔を覗き込もうとしたその瞬間、
「――!?」
突然月斗の身体が目に見えない力によって弾き飛ばされた。
「月斗!」
不意を打たれて地面にたたきつけられた月斗の元に駆け寄ろうとしたクミノの耳を、狂気のごとき哄笑が打った。
「ハッハッハッハッハッハ!」
白い喉を仰け反らせて真理子が笑っている。その額に小さな赤い梵字のような文字が浮かび上がっていることにクミノは気がついた。
「よくぞここまで辿り着いたわね。褒めてあげたいところだけど、秘密を知られた以上、生かしておくわけにはいかないわ!」
真理子の叫び声とともに周囲の風が渦巻き、クミノめがけて襲いかかった。
「――!」
反射的にクミノが張り巡らした見えざる障壁に真空の刃が弾かれる。
真理子が大きく両手を広げて天を仰ぎ短い呪文のような言葉を唱えた。すると周囲が一瞬にして暗闇に包まれ、公園にあるすべての木々が満開の桜の花びらに覆われた。
「桜――!?」
「惑わされるな! 幻覚だ」
月斗はそう叫ぶと真言を唱えながら両手で印を結んだ。だがすぐに絶望の表情がその面に浮かぶ。
「ダメだ! 結界を張られている。式神を呼べない」
なすすべもない月斗とクミノを嘲笑うように一陣の突風が吹いた。その風に煽られて無数の桜の花びらが二人の頭上に舞い落ちる。
乱舞する桜の花びらの向こうで真理子が妖艶な笑みを浮かべている。
「さあ、幾千の桜の花びらの屍衣に包まれてお眠りなさい。永遠に……」
その言葉に誘われるように、次第に身体が重く、そして視界が闇に閉ざされていく。
そのとき、ガラスの割れるような音とともに白い閃光が暗闇を切り裂いた。炸裂する光の爆発が視界を覆いつくす。遠ざかっていく意識の中で、月斗は甲高い女の悲鳴を聞いたような気がした。
気がつくと、月斗とクミノは人気のない公園に横たわっていた。
「どうやら気がついたようね」
声がした方を振り向くと蘇蘭が立っていた。その足元には楠本真理子が横たわっている。
「――この女ッ!」
真理子に飛びかかろうとした月斗を蘇蘭が止めた。
「よしなさい。この子は操られていただけよ」
「操られていたぁ?」
「ええ、どうやら精神を乗っ取られていたようね」
「いったい誰がそんなことを――?」
クミノの問いに蘇蘭がひっそりと呟いた。
「如月一門――」
「――えっ?」
「如月ってまさかあの――」
月斗が声を上げる。
「外法の術によって人を殺めるという謎の暗殺集団。中でもその当主は代々女で、桜の花を用いて人を惑わしその命を奪うという――。どうやら今回の一件には彼らが深く関わっているようだわ。草間探偵もこの子も結局は彼らに利用されただけのようね」
「でも分からないな。いったいなんでそんな大げさな連中がこの事件に絡んで来るんだよ。そもそもその子とそいつらとの間にどういう繋がりがあるんだ?」
「これはさっき調べていて分かったことだけれど、自殺した楠本秘書は日本でも三本の指に入る某宗教団体の会員だったらしい。そしてその宗教団体というのがどうやら山中氏とも、また如月一門とも深い関係があるらしいわ」
「……なんか思いっきり胡散臭い話になってきたな」
「私から一言忠告させてもらうなら、どうやらこの件にはこれ以上首を突っ込まない方が賢明なようね。幸い、草間探偵も証拠不十分ということで釈放されるみたいだし――如月一門と本気でやり合うには貴方たちはまだまだ若すぎるわ」
「……」
月斗とクミノは言葉を失った。確かに蘇蘭の助けがなければ、さっきはどうなっていたか分からない。相手は強大な力を持つ上に、この国の権力の中枢にも近い存在なのだ。だ
がいつか必ずこの借りは……。
そんな二人を嘲笑うかのように、一陣の風とともに桜の花びらが一枚、目の前をひらひらと舞い落ちていった。
|
|
|