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死霊のお花見
四月某日。
都内某所にて、ゴーストネットの一部参加者による花見オフが行われた。
企画したのは、ハンドルネーム「KUROGANE」こと、金山武満(かねやま・たけみつ)。
イマイチ運のない彼が幹事ということで、「桜の開花時期がずれてフライング」「前日に雨が降って葉桜見物」「当日大雨で中止」など、様々な悪い結果が(主に不参加者によって)予想されたが、幸いにも、当日は晴天に恵まれ、桜もちょうど見頃となっていた。
そして、花見の宴の方も、これといった問題もなく始められた。
皆で桜の花を愛で、持ち寄った料理を楽しみ、そしてもちろん多くの者は酒を飲み……。
これといった事件もなく、平和に時間は過ぎていった。
しばらくの後。
一人の男が立ち上がると、この上もなく楽しそうにこう言った。
「宴会と言えば隠し芸でしょう!
だいぶ盛り上がってきたようですし、そろそろ何かやりませんか?」
それに対し、武満が笑いながら言い返す。
「じゃ、まずは言い出しっぺが最初にやって下さいよ、揚さん」
すると、揚と呼ばれた男は一度小さく頷いてから、声高に宣言した。
「一番、揚俊男ルードヴィッヒ! ネクロマンシーやりまーす!」
そう言って、いきなりそれらしい呪文を唱え始める。
皆、ただのネタだと思っているのか、誰も彼を止めようとはしない。
そうこうしているうちに、彼は呪文を完成させた。
全員、「まさか」という表情で、何か出てきはしないかと辺りを見回す。
しかし、それらしいものは何も現れなかった。
「……あれ?
いくらやっても出てきませんね?
これだけ桜の木があるからには、いっぱい埋まってると思ったんですけど!」
その揚の言葉で、皆は彼のボケの内容を理解した。
あるものは苦笑し、またあるものは本気で爆笑する。
けれども、その笑みが次々と凍りついていくのに、さほどの時間はかからなかった。
そう。
確かに、ここの桜の木の下には、死体など埋まってはいない。
だが、ここのすぐ横は……なんと、墓地だったのである。
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「さぁ、次は誰ですか?」
呑気にそう言いながら、揚はゆっくりとその場に腰を下ろした。
その言葉と表情が、「彼は自分が何をしたかわかっていない」ということを、どんな言葉よりも能弁に語っている。
そして、彼がすでに相当酔っていると言うことも。
(これだけ酔っていて、ネクロマンシーなんか使えるものなのかしら)
シュライン・エマは、彼の様子を見てそんなことを考えた。
それに、よく考えてみれば、日本では墓地に死体がそのまま埋まっていることは少ない。
(ひょっとしたら、杞憂で済むかも知れない)
そんな甘い考えが、頭をもたげてくる。
しかし、それもほんの一瞬のことだった。
シュラインの、そして大多数のメンバーの期待を打ち砕いたのは、墓地の方角から漂ってきた異臭だった。
辺りの酔っぱらいたちが、その臭いに気づいて何事かと怪訝そうな顔をする。そのうち比較的意識がはっきりしている何人かは、臭いの正体に気づいて露骨に不快そうな顔をした。
だが、それも当然のことであろう。皆で楽しく飲み食いをしているときに、突如として強烈な腐敗臭が漂ってきたのでは、機嫌を損ねるなという方が無理というものだ。
(やっぱり、杞憂じゃすまなかったみたいね)
シュラインは大きなため息を一つつくと、すぐに自分たちが真っ先にやるべき事について、他のメンバーに指示を出した。
「お重閉めて。そっちのも蓋乗せて」
そう、彼女にとって真っ先にやるべき事とは、とりあえず料理をこの異臭から防衛することだったのである。
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「それにしても、死体を操るとは大した宴会芸だな」
自分の目の前の重箱に蓋をしながら、鳴神時雨(なるかみ・しぐれ)が感心したように呟く。
「ああ。しかも、あれだけ酔った状態でこれだけできるなんて、大したもんだぜ」
時雨の隣にいる雪ノ下正風(ゆきのした・まさかぜ)も、やはりこれをただの宴会芸と信じて疑っていないようだ。
そんな二人に、半ば呆れながら、鬼柳要(きりゅう・かなめ)はこうツッコんだ。
「宴会芸にしちゃ、いささか人騒がせすぎるだろ。
それに、呼び出しはしたものの、制御はできてないようだしな」
それを聞いて、時雨と正風は辺りの様子を見回した。
「言われてみれば、それもそうか」
「そ。ただ単に、酔っぱらって暴走してるだけでしょ」
きっぱりと言い切ったのは、全ての料理の退避を確認したシュラインである。
彼女は、なおも酒を飲み続けている揚の方に目をやって、こう続けた。
「これ以上被害が広がらないように、とりあえず彼を気絶させましょう」
彼女の言うとおり、揚を気絶させれば、少なくともこれ以上のゾンビの出現は避けられる。
けれども、それは同時に、ゾンビを制御することの出来る人間がいなくなることをも意味していた。
(それは、出来れば避けたいな)
そう考えて、要がシュラインにこう提案する。
「気絶させたりしたら、ゾンビの暴走は避けられないんじゃないか?
それより、気絶しない程度にひっぱたいて、酔いを醒まさせた方がいいと思うな」
「それもそうだけど。そううまくいくものかしら?」
「うまくいくかどうかはわからないが、うまくいけば一番被害を少なく済ませられる。
うまくいかなければ、その時はさらにひっぱたいて気絶させればいいだろう」
要のその言葉に、シュラインも納得したように頷く。
「いずれにせよ、一回ひっぱたいてみるところまでは一緒だから、とりあえずそうしてみましょ」
要はシュラインに頷き返すと、揚の方へ歩み寄った。
「悪く思うなよ。もともとはあんたのせいなんだからな」
そう言って、要は揚の横っ面目がけてパンチを放った。
至近距離から、まして相手は酔っぱらいである。
要の拳は、確実に揚の顔面をとらえるはずであった。
しかし、揚はその一撃を風に煽られる羽毛のように避け、要の拳は空を切った。
それを確認して、揚の背後に回っていたシュラインが、死角から首筋にチョップを放つ。
揚はそれも易々とかわすと、ふらふらと立ち上がって異様な構えを取り出した。
「なるほろぉお〜。そんなにわらしの酔拳が見たいんれふねぇ〜?」
「酔拳だって!?」
驚く要に、揚はなおもゆらゆら揺れながら続ける。
「そうれふ! 酒癖が悪くて皆伝はもらえませんれしたけど、本気を出せば師匠より強かったんれふよぉ〜」
その言葉に、要は思わず頭を抱えた。
(そもそも、酒癖の悪いヤツに、酔拳なんか教えるなよ……!)
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シュラインと要が、「これから起こる被害」を未然に食い止めようとしている頃。
時雨は、「すでに出てきてしまったゾンビ」への対応を考えていた。
このままゾンビが大暴れしては、大騒ぎになってしまう。
けれども、堂々と正面からゾンビ退治をしたのでは、やはり大騒ぎになってしまう。
(ここは、やはりこちらも宴会芸に見せかけるのが妥当だろうな)
そう考えて、時雨は、あくまで宴会芸に見せかけつつ、変身してヒーローショーのようにゾンビを迎撃することに決めた。
だが、なかなか物事というのは思うようにはいかないものである。
「二番、鳴神……」
「鳴神時雨、変身!」と続けて、変身しようとしたその時。
それに割り込むように、一人の少年が声をあげた。
「二番、水野想司(みずの・そうじ)、変身だよっ♪」
「なっ!?」
見せ場をとられ、思わずずっこける時雨。
その目の前で、想司は目の前にあった電話ボックス――ほんの数分前まで、こんなところに電話ボックスなどなかったはずなのだが――へ飛び込み、ものの数秒で飛び出してきた。
「じゃーん♪ マジカル☆ソージー参上ですっ☆」
決めポーズを取った想司の姿は、すっかり魔法少女のような姿に変わっている。
どう考えても着替えただけなのは明白だったが、その速さはまさしく「変身」と呼んでもいいレベルだった。
このツッコミどころてんこ盛りの展開に、ただただ唖然とする時雨。
そんな彼を後目に、想司は快調に暴走を続ける。
「このマジカル☆ソージーステッキで、こんな事件はちょちょいのちょい、だよっ♪」
どこからともなく取り出した「いかにも魔法少女っぽいステッキ」を手にして、何やら呪文のようなものを唱えながら踊り出す想司。
(これで、本当にどうにかなるのか?)
時雨がそう訝っていると、突然ステッキの先がピンク色に光り輝いた。
「ちょっと、今度は何?」
ずっと揚の方にかかりっきりだったシュラインと要も、驚いたように想司の方を振り向く。
そんな一同に、想司はステッキをたかだかと掲げてこう宣言した。
「ゾンビの制御権は僕がジャックしたよっ☆」
そして、その言葉を証明するかのように、ゾンビたちが全速力で駆け寄ってきて、想司の後ろに整列する。
すでにスケルトンに近づきつつあるものから、まだかなり人間に近いもの。腐敗の程度にはいろいろあったが、いずれにせよ、このような腐乱死体が至近距離に、それも大量に来ているのだから、その臭いの強さは筆舌に尽くしがたいものがある。
「わ、わかったから、早くお墓に戻してくれない?」
引きつった笑みを浮かべるシュライン。
だが、想司は屈託のない笑顔を浮かべてこう答えた。
「ダメだよっ☆ その前に、ちょっとやることがあるんだからさっ♪」
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「作戦コード『武満ワッショイ』スタートだよっ♪ 優雅に! そして力強く!」
想司のその言葉に、身の危険を悟った武満がおそるおそる想司の方を振り返る。
その武満目がけて、一斉にゾンビが殺到した。
「……武満タァァァン……」
「どええええええっ!?」
もちろん武満は逃げる。全速力で逃げながら、他のメンバーに助けを求める。
「シュラインさん! た、助けてくださいっ!」
「助けろって言われても……ねぇ」
真っ先に助けを求められて、シュラインは困ったような顔をする。
「じゃ、じゃあ! 正風さん! なんとかなりませんか!?」
「あぁ、もうしばらく待っててくれよ。 今準備するから」
正風はあくまでもマイペースで、何やらいろいろとセッティングをしている。
「そんなの待ってられませんよ! 時雨さん、何とかしてくださいっ!!」
「いや、ゾンビだけならどうにでもなるんだが……」
そう答えながら、時雨がちらりと想司を見た。
出来ればこういう相手と厄介事は起こしたくない。その視線が如実にそう語っている。
「ああああっ! 要くん、君だけが頼りだ……って、要くん!?」
最後の一人であるところの要に助けを求めようとした武満の声が、絶叫に変わる。
それもそのはず、要はすでに「自分の手に負える状態ではない」と判断して、自棄酒をあおっていたのである。
もはや誰も頼りにならないということが明らかになった以上、武満が取りうる手段は一つしかなかった。
「うおおおぉぉっ! 何もかも全てお前のせいだぁぁっ!!」
叫び声をあげながら、武満が想司に向かって突撃する。
「ご町内の皆様に愛と幸せを押し売りするのが僕の使命っ☆ ということで諦めて幸せになってね♪」
想司はきっぱりとそう答えると、直ちに武満を迎撃する体制に入った。
武満が拳を振り上げ、極限まで間合いを詰めてから、渾身のパンチを繰り出す。
常人ならば、決してかわし得ないであろう一撃。
しかし、想司にとっては、その程度どうということはなかった。
身体を引いて、紙一重でそれを避けつつ、想司は手にしたステッキをフルスイングする。
「ソージー☆ホームランっ!」
すると次の瞬間、武満の身体はきれいな放物線を描いて、観客席……ではなく、ゾンビの集団のど真ん中まで飛んでいった。
「さあ、者共! やーっておしまいっ☆」
想司のかけ声を合図に、ゾンビたちが一斉に武満を「ワッショイ」し始める。
『武満ワッショイ! 武満ワッショイ!』
その様子を、他のメンバーはただただ茫然と見つめていた。
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異変が起こったのは、十何回目かの「ワッショイ」の時だった。
空中に投げあげられた武満が、なぜか、誰にも受け止められることなく、地面に叩きつけられる。
その予想外の事態に、一同がはっと我に返った。
「投げっぱなしワッショイだねっ☆ ……でもなんで?」
ゾンビを支配していたはずの想司も、なぜか不思議そうな顔をしている。
どうやら、彼が意図的にやらせたことではないらしい。
(誰か、他の人間がゾンビを操っている、あるいは、操ろうとしている)
そう考えて、時雨は辺りを見回した。
もちろん、そんなことの出来る人間など、どう考えても一人しかいなかったのだが。
「このわらしをさしおいて、なに面白そうなことやってるんれふかぁ〜」
そんなことを言いながらふらふらと歩み寄ってきたのは、まさしく要の予想通りの人物……揚だった。
「わらしも仲間に入れてもらいまふよ〜」
その言葉とともに、ゾンビたちがゆっくりと移動を開始する。
「……ワッショォォイ……ワッショォォォイィ……」
「気をつけて! 揚さんは無差別ワッショイを開始するつもりみたいだよっ♪」
真っ先に揚の意図に気づいて、想司が叫んだ。
叫ぶには叫んだが、本人はとりあえず自分の作戦を実行できて満足しているのか、あまり止めようと言う様子はない。
(どうやら、俺たちで何とかするしかないみたいだな)
時雨は瞬時に頼りになりそうな人間――シュラインと要の二人とアイコンタクトを取ると、すぐに行動に移った。
「今度こそ! 三番、鳴神時雨、変身っ!!」
今度は特に邪魔も入らず、時雨は無事戦闘形態への変身に成功する。
彼はそのままゾンビたちの群れの中央付近に飛び込むと、重力制御の能力を使って一気にゾンビたちの動きを止めた。
時雨が最初にするべきことは、シュラインと要が「あくまでこれは花見のイベント」と周囲の人間に説明して回るだけの時間を稼ぐことだった。
彼らが納得してくれる、くれないに関わらず、これを一応でも説明しておくことで、事後処理はだいぶ楽になる。
その程度の時間を稼ぐことは、時雨にとっては造作もなかった。
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「これでよし、と」
機材のセッティングを終えて、正風は改めて周囲の状況を確認した。
ゾンビの集団は、時雨が抑えてはいるものの、ゆっくり、だが確実に移動を続けている。
一方、周囲の酔っぱらいを言いくるめに行ったはずのシュラインと要は、ようやっとだいたいの説明を終えたらしく、こちらへ戻ってきているどころのようだ。
そして想司はというと、すっかり飽きたらしく、「投げっぱなしワッショイ」をくらって気絶したままの武満をステッキで突っついている。
(今だ)
そう考えて、正風は「PLAY」ボタンを押した。
スピーカーから流れ始めたのは、二十年ほど前に、世界的に大ヒットしたあの曲。
その曲のビデオクリップでは、歌い手であるところのポップスターが、ゾンビに扮して、そして大量のゾンビを従えて踊るシーンがあった。
もともと、正風は宴会芸としてこのスターのモノマネをすることを考えていた。
そこにこのゾンビである。この都合良すぎる偶然を、活かさない手はなかった。
「四番、雪ノ下正風っ!」
題目に関しては、わざわざ言うまでもない。
シュラインが、要が、時雨が、想司が……そして、揚までが、驚いたように正風の方を見る。
その一人一人に、正風は「合わせて!」と視線と口の動きで伝えた。
「わかった」という意思表示をする者、わかったようなわからないような反応を返す者と、リアクションは様々だったが、いずれにせよ、曲の方はそれを待ってはくれない。
その流れに乗り遅れないように、正風は当初の予定通りにダンスを始めた。
すると、次の瞬間、信じられないことが起こった。
なんと、ゾンビたちが曲に合わせて踊り出したのである。
踊りながら、なるべく不自然にならないように気をつけつつ揚の方に目をやると、彼は楽しそうにリズムを取っている。
(できすぎだな)
こぼれそうになる笑みを、何とか噛み殺す。
正風はそのまま踊りを続け、そして、不自然にならないように気をつけながら、発剄で手近にいるゾンビのうちの一体を吹っ飛ばした。
それを見て、正風のやろうとしていることに気づいたのか、まず要がこの「ゾンビ退治」に参加する。
要の舞は日本刀を持っての剣舞である。普通に考えれば到底この曲のリズムとは合いそうもなかったが、そこを何とか合わせてしまっているのは、要の修行のたまものか、それとも持って生まれたセンスのなせる技か。
さらに、ステッキを手にした魔法少女姿の想司と、高周波ブレードを装備した変身状態の時雨が続く。
二人とも、あくまで自分の格好にあった「らしさ」を失わないようにしつつも、うまく曲の方と折り合いをつけており、不自然にならない範囲でのゾンビへの攻撃もしっかりと決まっていた。
その影で、シュラインは気絶している武満を退避させたり、倒れているゾンビに塩をかけて復活を防いだりといった役割を、さながら黒子のごとく目立たず、しかし着実に実行している。
そんな周囲のメンバーの予想以上の活躍が、ますます正風のテンションを高めていった。
正風が最後のゾンビを吹っ飛ばしたとき、ちょうど曲の終わりが来た。
(全てが予想以上だ)
そう思いながら、キメのポーズを取る正風。
その正風に、予想以上の数のギャラリーから、予想以上の喝采が送られた。
かくして、「お花見ゾンビ騒動」は、何とか一件落着と相成ったのである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
その数日後。
「これ、例のゾンビ騒動の後始末にかかった費用なんだけど」
そう言って、シュラインは一通の請求書を武満に手渡した。
結局あの後、ハイチのゾンビと同じく「口に塩を含ませてやると自分の墓所へ戻っていく」という習性が発見されたため、ゾンビ自体の駆除にはそれほどの手間も、費用もかからなかった。
だが、後に残されたものすごい臭いを、しかもなるべく目立たないように始末するのは容易ではなく、その分まで含めると、結構な費用がかかってしまっていた。
「えーと、それが、なんだって俺のところに?」
金額を見て引きつった笑みを浮かべる武満に、シュラインはきっぱり答える。
「だって、あのお花見を企画したのは金山くんでしょ」
「……うっ」
「まあ、今回は事情が事情だけに、揚さんにも半分くらい出してもらえば良いんじゃない?」
シュラインがそう言うと、武満は困惑した表情を浮かべた。
「あ、えーと、それなんですけど……揚さん、ノルウェーに帰っちゃったんですよ」
ノルウェーに帰る、という言い方が、若干引っかかる。
彼のフルネームは、本人によると「揚俊男ルードヴィッヒ」だそうであるが、「俊男」は日本名だし、「ルードヴィッヒ」はドイツ系だ。
そして「揚」に至っては、中国系のような、そうでないような微妙なラインである。
「ずっと気になってたんだけど、あの人どこの国の人なの?」
シュラインがそう尋ねると、武満は首を横に振った。
「それが、よくわからないんですよ。
確か、四人の祖父母が全員ハーフで、しかもそれぞれ違う国籍持ってるって聞きましたけど」
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1323 / 鳴神・時雨 / 男性 / 32 / あやかし荘無償補修員(野良改造人間)
0086 / シュライン・エマ / 女性 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
1358 / 鬼柳・要 / 男性 / 17 / 高校生
0424 / 水野・想司 / 男性 / 14 / 吸血鬼ハンター
0391 / 雪ノ下・正風 / 男性 / 22 / オカルト作家
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■ ライター通信 ■
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撓場秀武です。
この度は私の依頼にご参加下さいまして誠にありがとうございました。
さて、皆様はお花見には行かれましたか?
私の場合は花より団子……ではなく、花より野球ですので、スタジアムへ足を運ぶのに忙しく、結局今年もお花見には行かずじまいでした。
さて、今回は最初から最後まで全員参加ということで、私のノベルにしては珍しく(?)、分岐のない構造となっておりますが、これは舞台設定上の都合ということでご了承下さい。
・個別通信(シュライン・エマ様)
二度目のご参加ありがとうございます。
わりと前へ前へと出ていくタイプの方が多かったせいもあって、シュラインさんには一歩退いた位置からのバックアップを主に担当していただきましたが、いかがでしたでしょうか?
もし何かありましたら、遠慮なくお知らせいただけると幸いです。
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