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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


大阪怪奇事件簿その2 Ghostly Horde

------<オープニング>--------------------------------------

大阪怪奇事件簿その1 大阪から愛を込めて概略
草間の旧友だった永嶋奈緒子の依頼で、大阪和泉市に向かう草間一行。
依頼は、かつての孤児院が建てられていた土地の奥深くに、冥府に通じている門の封印が解かれていたことが判明。
しかしながら、冥府は有名な陰陽師安倍晴明に封じられていたため、同質の霊力を持つ者を生け贄を要した。
それが、完全覚醒していない草間武彦とすでに死んでいたがその霊力で残留思念を維持していた奈緒子だった。
仲間が冥府を封印し、我に返った奈緒子がほかの世界「忘却」と「奈落」の封印が危険だと残して姿を消した。
それから物語が始まる。

草間は病院で意識を取り戻す。
白い天井…。昔を思い出した。事件で怪我をしたとき、永嶋奈緒子が助けてくれたことなど。
しばらくして零がやってくる
「よかったです。意識が戻って」
彼女は泣きながら草間にしがみついた。
「心配かけてすまなかった…。奈緒子はどうした?」
妹の頭をなでて謝る草間。しかし、事件当時意識を失っているので、全く知らない。
零は事のあらましを教えた(しかし、草間が霊力のかけらを持っていることは教えていない)。
草間は
「そうか…逝ったか…」
と呟いた。慕ってくれた人(残留思念であろうと)を失うというのは悲しいものだ。
「しかし、感傷にふけってる場合ではないな、残る二つの封印を何とかしないことには…」
「駄目です。ちゃんと休養をとってからです」
零が無理矢理起きあがろうとする草間をベッドに寝かせる。
「分かった、分かった…」
「でも見当はついているのですか?封印の場所」
「ああ、後かたづけのあと八尾市に行くぞ。太子堂だ」


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●海原みそのとダージエル
海原・みそのは新幹線から下りて、草間のいる病院まで見舞いに行くところだった。
「大阪…なのね」
東京と少し空気が違う。目が見えずとも流れで感じる。
漆黒のワンピースで手にはメロンやら果物が詰まったかごを重たそうに持っていた。妹に「見舞いに行ってきて」と頼まれたが、そんなことは建前。彼女の「神」が起きる可能性があることが危険という事だからだ。忘却と奈落…様々な神が存在する世界…。その大きな門があるとすれば…。止めなければならない。

流れ…人の流れ…思い…ざわめきが彼女には苦痛でもある。人酔いしそうになりめまいがするのを我慢して、目的地に向かう。
なれていない土地のせいか…足下を滑らせこけそうになった。
「きゃっ!」
無様に倒れるところ…誰かに支えられたこと知った。
「あ、ありがとうございます」
「気にするな、大阪はかなり外世界からの影響が大きいな…」
「え?」
「君もそのために来たのだろう?」
目的を見抜かれたことが謎だった。声は男性、流れからして…自分が仕える「神」に似ている…「神」?
「あなたは?」
「ダージエル」
おそるおそる訊ねるみそのに、男は優しく自分の名を答えた。
ダージエルと言った男は、左目に刀傷を負っている(目は見えているようだ)変わった男だ。
「わたくしは…海原・みそのと申します」
「神の私がこうして歩いていることがおかしいかな?」
「いいえ…ただ、すこし驚きました…異世界の神様なんてお目にかかったことがないから。多元宇宙については私の神様から聞いておりますけど…」
「なるほど、眠りにつく神…か…。草間武彦が入院している所まで同行しよう…。君が流れを「見る」事が出来るように…私は「未来」を見ることが出来る。外世界の大きな門を閉じなくてはならない」
ダージエルは彼女の荷物を持ってあげて、彼女をエスコートするように歩いていった。

●集合
無理矢理退院してやってきた草間は、零と謎の男ダージエル、海原みそのと共に先行していた二人と落ち合った。
「無茶よ…武彦さん」
シュラインが汗まみれの草間を心配する。
「おちおち寝ていられるかよ」
「この男の方は?」
皇騎が、身構えた様子で草間にダージエルのことを尋ねた。
「ダージエルという異世界の神様だと…。なんでも外世界の門で世界が滅びるのは防がないといけないから来たって話だ」
「神ですか?」
「おかしいか?」
ずっと黙っていたダージエルは聞き返した。
「そういわれましても…」
相手が神ということでどう言葉を返せばいいのかわからなくなる。其れはシュラインにしたって同じだった。ただ、いつも神と接しているみそのだけは別だった。

集合して情報をまとめると、実際かなりの規模で怪事件が発生しているらしい。太子堂中心に昔の蘇我氏と物部氏の兵が戦をしている幻影を見かける人が多いらしい。また「首洗いの池」で守屋の首だけが浮かんでくるという話や、戦死した亡霊が人にとりつくという危険な事件もあったそうだ。
しかし、奇妙なことにこの数日間にそれが全くなくなったという…。霊感の強い者はどんどん異世界の力が発生しているのにもかかわらず、怪現象が起きないとなるのが気になった。
「今回の門はどちらと思います?」
皇騎が皆に尋ねた。
「奈落か忘却のどちらか…ということだが…俺にはさっぱりだ。ただ嵐の前の静けさ…とわかる」
草間は首を振った。
「みそのさんは?」
「夜になってから流れを見極めてみます。そうすればどちらかわかりますから。個人的な意見ですが忘却だと思いますけどね…」
「忘却ねぇ…」
シュラインがそんな世界があるのかしらとふと疑問に思ったので、ずっと無口でいるダージエルを見た。
男は、それに気づいたようで、
「忘却。忘却界…Limboそれは原始の河にいくつもの島や沼がある。見た目は君たちの世界とかわらん風景だ。しかし、いずれその世界の端にある滝に流されて無くなるか災害などで失う。純粋な混沌だけの生物などが自由にすんでいるし、狂ったように地・水・火・風の四大精霊が暴れている。何もないというわけではないが、最終的に弱い魂や流れに弱いモノは消えていく。そういう世界だ」
さらっと忘却について語った。
「付け加えるなら、今までの怪現象は吸い込まれてあちら側のエネルギーになった事と推測できる」
ダージエルは言った。
「じゃあなに?このままだと、封印が完全に破れた時…此処はその世界と同じように恐ろしいことになるわけ?」
シュラインは背筋が寒くなった。精霊の暴走で引き起こされる地震や火事、水害はもとより、混沌生物が闊歩することを想像して怖くなる。
「そうだな」
きっぱりと答えた。
「奈落については?」
皇騎がダージエルに訊ねた。
「奈落はabyss。無限に幾つものの階層で構成されている世界だ。底なしといっても、階層が無限にあり最終階層がないということでそういわれている。破壊ばかり行う魔神の類はここからでているといっても良い。淫魔や邪神龍ティアマットはここに住んでいる。しかし全てが邪悪でもないし、多種多様な世界だ。層同士でにらみをきかしていたり、同じ層で支配権を争ったりしている。一番やっかいな世界だ」
説明を聞いただけで…皆は沈黙した。其れと同時に、これらを封印した安部晴明の術者レベルが恐ろしいモノとわかった。
みそのが沈黙を破る。
「大丈夫ですよ。皆さんで力を合わせれば、ダージエル様も手伝ってくださいますしね」
落ち着いたように喋る彼女に皆は不思議がっていた。
「此処で黙っていても仕方ない…皆、再度情報収集だ。封印されている場所がわからなければ話にならない」
草間が言った。


●ダージエル
「ふー」
彼は、夜空を見上げこの世界と異世界の混同した異質な空気に不味さを感じため息をついた。
竜華小学校の運動場…。
ダージエルは未来を見る事が出来る。どの門が先に封印が破られる事も、場所も特定できている。
それらは全て自分以外のメンバーがするのでさほど自分が出る幕はないのだ。しかし、やっかいな生き物の始末ぐらいはしておきたい。
周りに、モヒカンの頭をした猿顔の人型生物の連中が周りを囲んでいたのだ。自分の力をつかって、門から出てきた連中を引き寄せていたのだ。
「ゼライか…あの超能力一族の裏切り者たち…数は…30か…」
この連中が来ているなら確定である。忘却界だ。蛙の魔物よりたちが悪いが、どっちもどっちだ。魔法抵抗力を備えている以上、強力な力で世界に帰還させるか魂ごと破壊するしかない。今はボーダーラインに位置していると想定すれば、このまま殺せる。
「かかってこい、雑魚」
その言葉を聞いただけで、敵は怒り、超能力を使ってくる。
直接精神にダメージを与えるブラストや、間接的なもので封じようとした。
しかし、ダージエルは30対1に臆せず、超能力を無効にする力場を発生させた。
驚く連中を尻目に…ダージエルは、7尺もある西洋剣「Sword of Dark heavens」魔物達を斬り殺す。彼らの防御も彼の剣には無効だった。魔法を唱えて攻撃してくる者が居るが、その魔法も効果がなかった。
恐怖で逃げ出すゼライ達をも逃さず殺した。
運動場には…すでに100も超える忘却界の生物の死体が転がっていた。
「さて、…そろそろ増えてくるか…封印拠点に行こう…勝軍寺に」


●封印作戦開始
再び、メンバーが集まった。移動能力には一番優れているのはダージエルなので、瞬間移動をつかってシュラインやみそのを連れて帰ってきた。
草間は、腰を抜かしたまま本部でうなっている。よほど怖い目にあったのだろうか。
シュラインは皇騎にかけらを渡し、急いで草間の看病に当たった。
「皇騎くん、やることが豪快だね」
ダージエルが笑う。まるで今から起こることが楽しみでならないのだろうか?
「やはりあなたが考えていることはわかりません…神様だからで片が付くというのも納得はいきませんが…」
皇騎の返答にダージエルは肩を竦めただけだった。
みそのは、そのやりとりを「みている」。しかしずっと陸にいたし、かなりの範囲で「神水」を作ったので眠たげだ。
「念のためにこれを使って下さい」
しかし、神水をためた小瓶を各自に渡す。
「これは、ありがとうございます」
「これは良い水だな」
皇騎もダージエルも澄んだきれいな水にある力を感じ驚いた。
池の色が…泥のように変わる…
「そろそろですね」
「ああ…」
「封印が解ける…」

辺り一面が轟音とともに、泥となる。精霊や魔物がこの世界を壊す勢いで、わき出てきた。
その状況動作発動で、『魂鎮め』の符を使用した浄化陣が展開され、弱い魔物はそのまま池に戻される。
ダージエルは、愛剣「Sword of Dark heavens」を召還し一刀の元で、草間達に襲いかかる魔物をしとめた。
みそのは、その隙に自分の神水を門に注ぎ込む。すると薄い膜が張られこれ以上魔物や精霊が現れないようになった。
「この結界の持続時間は私が時間を動かしても最大10分ほどです。急いでください!」
みそのは戦っている皆に伝えた。
「其れを倍加してやるよ」
ダージエルは、剣を持ったまま何かを念じた。すると時間がゆっくりと流れる様に皆は感じた。
通常に動けるのは、池を中心に半径1マイルまでに居る仲間達だ。
「この空間ごと時間をずらした。これで20分以上はもつだろう」
「助かります」
皇騎は礼を言って、術師を集め封印を開始する。
それを確認したみそのは、安心したのか、気を失うように…立ったまま寝ている…。
「池に落ちては大変だな」
術の邪魔をしないよう、元に戻った草間が、術の邪魔をしないようにみそのを抱きかかえて戻ってきた。
シュラインと零は奥の方に彼女を寝かす。


「後一つね…」
完全に封印が完了した光が見えたときシュラインは草間に言った。
「ああ、大変だな…次は「奈落」か…」
つぶやくように返答する草間だった。

東から日が昇るのをみたとき…其れがとてもさわやかで…気持ちが良かった。


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0461 / 宮小路・皇騎 / 男 / 20 / 大学生(財閥御曹司・陰陽師)】
【1388 / 海原・みその / 女 / 13 / 深淵の巫女 】
【1416 / ダージエル/ 男 / 999 / 正当神格保持者/天空剣宗家/大魔技】

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■         ライター通信          ■
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滝照ですどうも参加していただきありがとうございます。
過去に住んでいた地域なので、ある程度わかっていたことと、わからなかったことがありましたが、良い勉強になりました。首塚が病院の前にあるのは本当です。
あとは、奈落編と+1話となりました。どうなることでしょうか?

では、次回にそして別のお話でもお会いしましょう。

滝照直樹拝