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妹？
------＜オープニング＞--------------------------------------
どうも零の様子がおかしい。草間は思った。
彼女は上の空というか…草間ばかり見ている。
「何か俺の顔についているか？」
「あ…いえ！何でもないです！」
といって、頬を赤らめて掃除と赤い猫の世話に戻った。。
妹といっても、事情でそうなっているだけ…感情は人間そのものだし、人を好きになるのは不思議ではない。
（年頃の女の子の気持ちってのは、わからねぇからな…俺もオヤジか…）
マルボロをくわえ、考える草間。
窓を見ると、春の暖かさを感じさせる日差しがまぶしかった。
「零、どこかでかけようか？」
「え？」
「いやか？」
「いえ！とんでもないです！いきます！」
子供のようにはしゃぐ妹。そんな姿をみて草間は又悩み始める。
どうした物だろうか…？
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●序
海原・みなもは、暇な時は興信所で談笑するため遊びに来ていた。
日曜なので制服でなくちょっとした春の服装だ。
そんな折り、草間と零の兄妹デートと聞いていたので…
「デートするんだぁ♪いいなぁ」
あこがれるような眼差しで、零を見つめた。零もすごく嬉しそうだ。
「草間さん良いところあるんだ〜」
みなもは、草間に尊敬の眼差しを向ける。
（し、しまった…）
草間は零のことに集中しすぎて…みなもの存在を忘れていたのだ。草間武彦一生の不覚…（かなり不覚な事は多いのだが）。
シュライン・エマがこの場にいるのだが、彼女はこのことに深く考え込んでいるようだ。今の状況で意見を述べることはさけている。
そして、もう一つの存在…。
江戸崎・満である。彼は差しれで弁当らしき箱を持ってきたのだ。彼曰く
「いつも一人で食うのも何だからな…皆で食えば旨かろうと」
と。
茶を入れるためにいた満が台所で何か落とす音がしたのだ。陶器類ではないようだ。
「まじか！？零と出かけるって！」
彼はかなり驚いた口調で草間に叫んだ。
「なぜそこまで妙な反応するんだ！」
草間は叫び返す。俺を何者かと思っているんだ…。
「突拍子のない発言だから、流石の俺もびっくりした」
「いいじゃないの…？別に兄妹で出かけるぐらい」
シュラインは満にそう言った。
しかしながら、シュラインもみなもは、驚いている満の心を…女の勘で見抜いたが、今は黙っておこうと考えた。だいたい同じ考えだ。
（零は草間に淡い恋心を抱いているが、草間は女心がわからないようだ）
「悪くはない。その前に草間に話がある」
「俺に？」
「此処では何だから、外に出よう。…みなもたちは出かける準備しておいた方が良いぞ」
「おい！力強く引っ張るなぁ〜！」
満は、草間を強制連行するかのように事務所を出た。その間際に、みなもは零を仮眠室まで連れて行って
「さて…準備しましょう♪」
みなもは、零にデートの準備と…草間にどう接するかを教える事にした。
シュラインは…どちらかの会話が終わるまで、猫の世話などをすることにした。
●シュライン・エマ
満が先に戻ってきたのをみると、草間との話が終わったようなので入れ替わるように外に出た。
満も何かしら不安を持っている顔つきだったが…。
シュラインが見た草間は…顔はかなり疲れているようだ。
「事務所では話しにくい…近くの茶店で話をする…」
シュラインの顔を見た時…草間はすぐにそう言った。
「満さんと何話してたの？」
「お前と考えていることと殆ど同じだ…。零が俺に惚れているってな…」
「そう…」
「考えてみれば俺は何も零にしてあげていない気もする…」
「いいえ、其れはないわ…じゃないと零ちゃんずっと此処にいないし」
彼がずっと悩み続けていることが、手に取るようにわかるシュラインにとって辛かった。
「みなもは、必ずデートの作戦を教えている。満は…」
「自分で決めろと？」
「ああ、彼奴なりの言い方で『生き残るための英断をしろ』とさ…」
苦笑いで草間は言った…。
「そうね…､大事だから傷付けたくないからと半端な対応は一番駄目よね｡武彦さんがこれから零ちゃんをどう思い付き合っていくつもりか､一人の異性としてか､掛替えのない妹としてか確り心に決め言葉や行動の端端で表さないと…」
「ああ、其れを今日決めてくる…俺も今は零にどう接すればいいかわからん…」
「しっかりしてよね。…あたしは…事務所で待ってるから…」
「あの二人は心配してついてくるだろうが、…其れについては何も言わないでくれ」
「わかったわ…」
「シュライン…」
「なに？」
「ありがとうな…」
「………ばか…」
シュラインは先に喫茶店からでて、草間を独りにしてあげた。
●事務所で待つシュライン
４人が出かける時に、シュラインは満から千里眼の水晶を渡された。名前の通り遠くのモノが見えるわけだ。しかし、彼女は其れを使わず。猫にえさをやり、パイを焼く準備をして、大げんかに備えて書類などを投げやすいようにセットしていた。シュラインの心は複雑だった。
「にゃー」
猫が心配そうにシュラインを見て鳴く。
「心配してくれてるの…ありがとう」
シュラインは猫を撫でてあげた。
この猫は、〈あやかし荘〉で発見された捨て猫だったが、今では草間が里親ととして興信所で飼っている。
何となくこの猫は人の気持ちがわかるみたいだ。猫は彼女を慰めるようにシュラインの周りで笑わせるような仕草をしてくれている。
「うにゃ？」
猫は何か感ずいたようだ。丁度、シュラインの携帯が鳴る。
「もしもし…そう…ありがとう」
電話を切った後…ため息をついた。電話の相手は満だった。
一度、草間達は戻ってくることを伝えただけだった。
１時間後…
ばたばたと、玄関から足音が聞こえる。草間と零の足音だ。
「おかえり」
シュラインは、草間の「解決した」という顔をしていたことで安堵した。また、零は泣いていた後があったが今はすごく明るい顔をしていたことに、全て彼女の想いは整頓されもやもやも無くなったのだと思った。これほど強い絆があったことに…少し妬いてしまうが…嬉しく思った。
「ただいま」
「ただいまです」
元気に零は挨拶をした。
シュラインはにこやかに笑って、できたてのパイと温かい珈琲をだして、草間と零に差し出した。
零は早くシュラインに今日のことを報告したいらしかった。
「零ちゃん、今日は楽しかった？」
「はい！とても楽しかったです！」
草間は零の性格からして洗いざらい喋るとわかるので、今日のデートが恥ずかしくなる。
「兄さん、色々服とかほしい物買ってくれました♪」
「兄さん？」
「はい、そう呼ぶように言われました。ね、兄さん」
「ああ…そ、そうだ…」
草間の反応がシュラインにとっておかしく、笑い出す。
「おいおい、何がおかしい？」
「だって武彦さん…顔ゆるんでいるから…」
「え？え？え？」
草間は手を顔にやる。
「あーほんと！照れてる！」
二人に茶化されて、困り顔の草間。しかし、心地よいのは心地よい。
今はちゃんとした家族として、談笑しているのだ。
「それでね…えーっと…」
興信所で住むことはなく草間の家に住むことや、猫も一緒に連れて行くこともなど、ずっと話をしていた。
これは零の話で徹夜かもしれない。しかし、零にとって新しい生活のはじまり…とことんつきあおうと思った草間とシュラインだった。
数日後…
零の正式兄妹確定により草間の生活レベルはかなり上がった。家が更にきれいになるし、がんばって料理もしてくれている（パンと珈琲など簡単なモノだが）。たまにいつもの癖で「草間さん」という零だが、其れもまた可愛いところ。零の笑顔が草間に安らぎを与えてくれた。
End
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■ 登場人物（この物語に登場した人物の一覧） ■
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【0086 ／ シュライン・エマ ／ 女 ／26／ 翻訳家＋ゴーストライター＋時々草間興信所でバイト】
【1252 ／ 海原・みなも ／ 女 ／ 13 ／ 中学生】
【1300 ／ 江戸崎・満 ／ 男 ／ 800 ／ 陶芸家】
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■ ライター通信 ■
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どうも滝照です
『妹？』に参加してくださりありがとうございます。
零の本当の気持ちをずっと考えていました。実際は恋心より兄妹として草間と一緒にいたい事を選びました。そして…本文の通り、彼女は幸せな笑顔で興信所にいます。
またのお越しをお待ちしております。
滝照直樹拝
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