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<東京怪談・PCゲームノベル>


お兄ちゃんは心配性

●1:馬鹿対阿呆
「草間よ!『義妹が貰った恋文!複雑な心境お兄ちゃん!』…この高度な萌えを理解するとは…『成長』したな…。(ホロリ)駄菓子菓子!まだまだお主の萌えは極めが甘い!そんな貴様の為に…吾輩一肌脱いじゃおうではないか!」
海塚・要はライバル水野・想司とともに、使い魔カメラから興信所風景を眺めていた。要は相変わらず筋骨隆々な肉体にメイド服を着て涙する姿が…(著者:嫌だ!もう描写したくもない!(大笑))。
「どうするの?要っち☆」
要が「今回必ず貴様を倒す!」とか挑戦状を送りつけたものだから、楽しみにやってきた『萌えマスター』想司が訊ねた。
「其れは秘密だ!今言っても何もならないのが勝負。キーカードは教えないぞ!」
「ふーん」
想司が途中コンビニに寄ってきた時に面白いタイトルのみそ汁と、とろろそばを食べる二人の会話。
「確かに高度な成長だね、草間さん♪」
「ははは! お前もよく分かって居るではないか!これだけは教えておこう!見ておけ!吾輩が草間に『萌えなお兄ちゃん』の演出を熱く語りに行く!作戦『卒業式が終わったら』を実行する!」
要はそう言うと…マントをつかって姿を消した。
……
キーカード出してるがな…あんた。
想司は鼻歌を歌いながら、余裕な表情だった。
「ふっふっふ☆暗黒面を極めたと言いながら、まだまだ学ぶことが盛り沢山だね、要っち♪君は草間さんが本当に欲している『真実の萌え』が分かってないよっ☆」
とつぶやき、自分は要に勝つために作戦を実行し始めた。
つーかさ、草間くんはそんなこと目覚めてないって…言いたい。小一時間以上言いたい(無駄だろうけどね)。


●2:魔王と草間
要は、別のビルから、まず零とシュライン、みなも、ゆゆが興信所から出かけたことを確認した。
「ほほう…草間…は後からつけてくるのか?」
隣には、想司がいる。
「お手並み拝見させてもらうよ☆要っち♪」
彼はそう言って、何処かに消えた。
「強敵(とも)よ!今回は吾輩が勝つ!」
数分後、草間がキョロキョロと様子を確認しながら出てきた。予想通りのようだ。…おや?もう一人黒ずくめの怪しい男がいる?
「何か仕事でも入ったのか?其れは悲しいぞう…(滝涙」
草間は男と何か話し終えてから、それぞれ別方向に歩いていった。
「なんだ…依頼は済んだのか…」
要は草間の前に立ちふさがった。
「うわ!何のようだ!海塚要!」
相変わらずのマッチョに、マラソン選手バリの薄着で表れた。そのシャツには零のデフォルメイラストと『妹萌え!これ最強!』と書かれている。裏には『嫉妬の炎は親心』とか書いているのを発見(したくなかったが)。何処で用意した?何処で?
「ふはは!言わずとも良い!お前を究極の『妹萌え』にしてやろうというのだ!ありがたく思え」
「それは間に合って…」
「ふははは!遠慮するな!」
草間が断ろうとするのだが、魔王の萌えオーラに遮られた。…あふぉだがまぁ真面目らしいな。
草間は溜息をつきながら、
「で、要、俺にどうご教授してくれるんです?」
「む、流石草間、主はもう暗黒面に目覚め、自覚した!吾輩は嬉しいぞ!まいふれんど!」
要は感動のあまり、草間に抱きつこうとするが、ひらりとかわされ、壁に思いっきり顔をぶつけた。
「あいにく、そういった趣味はない。オーバーアクションは置いてとっとと教えてくれないか?」
微妙にクールだ。
気分を取り直し、要は起きあがり…
「うむ、すまぬ、まいたーれん。吾輩は感動のあまり…おっと、まずはこうだ…」
計画の手順を打ち合わせしている。
「ふむふむ…しかし作戦「ぷ」についてだが…」
「む…「ぷ」に不備でもあるのか?」
「俺はそう思うが、ここはすこし「ぷ」は「ぷ」で」
「ふむ…「ぷ」(中略)それは良い意見だ」
「状況で変化するからそうとも限らないのだが?」
「いや、すばらしい意見だ。さすが、まい同志!」
要は彼が、己が欲望のために共同戦線をはれることに感激を覚える。これなら勝てる!勝てる!
「しかし…」
草間は何か考えた。
「要、その格好は尾行には目立ちすぎる。その意味は分かるか?」
「ふむ、今回は「どじっ子お兄ちゃん」を演出するわけだから、吾輩の筋肉美が其れを遮っては行けないな。理にかなう話だ。ではこの高性能小型トランシーバーで随時熱く語ってやるからサポートは任せておけ!(小声で→)おにいたま…」
「何?」
「いや、何でもない!草葉の陰から見守っているぞ!」
要はそのまま何処かに立ち去った。
「はぁ、疲れる」
草間は溜息をついて、零達の後をつける…。



●3:デートの定番は…
待ち合わせ場所は、遊園地近くの公園。日曜だけあり、人人人…。そこで目印なるものを持っていないと分からないのが普通だ。
零と、その相手…はお互い、それぞれ分かる目印を付けている。バラの造花を目立つように指しておくことだ。恥ずかしいが、一番わかりやすい方法だ。保険としてあらかじめプリクラで自分の写真を貼って送ってあるので問題はないのだが。
零はキョロキョロと探す。それを、見渡せる範囲でシュライン達がいる。もっとも、その後ろに草間が居るのだが。すでにシュライン達にばれていた。
「あーあ、きてるよ」
「しかもバレバレ〜」
「心配なのは分かるから、分かり切ったことよ…」
3人はやっぱり「草間はシスコンだ」という答えを見つけ溜息をつく。
「あ!あの人じゃないの?」
ゆゆが、相手の男性を見つけて2人に言った。
確かに顔立ちも似ているし、バラをジャケットに指している。
恐る恐る、零が近寄っていく。
ドキドキする3人。後ろでそわそわして、花壇に蹴躓く草間…。

二人は、遊園地に向かう。これも定番。
みなもが、先に動いた。そのあとに2人が続く。

想司は、高いところから要と零達を見ている。草間ががんばって要の作戦に従っているのを見てクスクス笑っていた。
「なかなか良い線行ってるじゃないか☆」
ステッキを取りだし、大舞台の準備に取りかかる。
「さぁ!決着だよ、要っち!」

デートは順調だ。お互い友達のような感覚でおしゃべりをして、アトラクションで遊んだ。流石にお化け屋敷だと、お互い戦闘本能でアトラクションを壊す可能性があるので行かなかった(定番からはずれてます)。
最後に零達が向かった先は…夜にはイルミネーションで有名な広場だった。
時刻はもう夕刻だ。

マジカル・ソージーこと水野・想司は徐々に零に近づく。すでに草間も近づいて来るのが分かる。
「この状況だと…失敗したね、要っち。場所からすればシュチエーション的に…☆」
彼はイメージする。要は魔王として零をさらい、デート相手はけちょんけちょんに倒して草間にわざと負ける…と。
「つまらないシナリオだよ…」
「確かにつまらないシナリオだ」
聞いた覚えのある声…。
「え?」
「満から…このスパイ用具を借りていなかったら、どうなっていたか…」
「草間さん?」
向こうの草間と黒いスーツを着込む草間を見比べて冷や汗をかく想司…。
「お遊びは其処までだ…付いてこい」
溜息をついている草間。全てを見ていたのだ。
「お前が出たら…怪我だけじゃ済まないぞ?零と向こうの「俺」を敵に回したくなかったらな」
「う…うん分かった」
想司、志半ばで倒れる(?)。今回は要の不戦勝なのか?


●4:最終決戦?
イルミネーションが灯った。その場にいた皆は感動する。
シュラインとみなも、ゆゆもそれに見とれた。
「綺麗…」
「そうね…」
「今度は彼氏作って行きたいなぁ」
とそれぞれ呟いた。
シュラインは聞き慣れた足音を聞いたので後ろを振り向く。
「あれ?武彦さん?」
「よう…土産も持ってきている」
草間はスパイスーツで身を固めながら、想司を猫つかみでやって来た。
完全に猫状態の想司。
「にゃー☆」
「あれ?」
みなもと、ゆゆは首を傾げた。向こうにも草間が居る。
「あいつは「満」だ」
「「「え〜!!」」」
その場にいた女性陣と想司は驚きの声を上げた。
「なにか…恐ろしいことが…」
「逆に丸く収まるかもよ」
「う〜ん」
「僕…しらないよ♪」
「ノンビリ見物しようか…」
「武彦さん…なんか開き直ってない?」
「このスーツを着ているとどうも冷静になれるのでな…おかしな服だ」
「そう…。あ、想司君、お菓子要る?」
「いる〜☆」
完全にピクニックとなってしまった。
イルミネーションでは今から死闘(?)が繰り広げられそうになるというのに…。


イルミネーションで良い雰囲気な零と夏紀。
「きれいですね〜」
「ええ〜」
「本当に、デートに誘ってくださってありがとうです」
零は夏紀にお辞儀をした。
「いえいえ、あの…また…一緒に…」
不意に夏紀が出た言葉…。
(し、しまった!これでは僕が…本当にデートに誘っていることに!)
気づくのが遅い。
そのグッドタイミングで、草間が駆け寄ってきた。
「おい!夏紀とやら!零をそそのかしたようだな!」
「え?草間さん!」
「兄さん、これは違うの。お手紙のお礼を…」
「零は黙ってろ」
草間は、零を見る。零はその目に見覚えがあるが…気迫に負けた。
「お前…、これが分かるか?」
草間が取り出した一通の手紙…。焦る夏紀
「其れを何処で!」
「お前の家で発見した真の差出人が書いた手紙…。誤送したことを連絡せず、それに便乗してデートに誘うとは最低だな!」
「え?兄さん?それじゃあ?」
「読んでみるか?」
「それはやめろー!」
夏紀は止めようとするが、草間のデコピンで3メートルは吹き飛ばされた。
「???」
何がなんだか分からない夏紀。草間氏はこんなに力があったのか?
「そ…そんな…だ…だましたの?」
すでに読み終え、愕然とする零。
「…この責任はどうする?」
「いえ、そのあの…」
迫り来る兄妹に…なすすべがない夏紀。しかし…彼は空から急落下してきた要に踏みつぶされた。
「ぷぎゅう!」
「草間ぁ!シナリオとはじぇんじぇんちがうではないかぁ!」
怒りをあらわに叫ぶ要。
「アホ」
それに対して冷ややかに返事する草間。しかし声が違う。
それで、要は我に返った…。
「その声は!あのときのぁ!」
要は驚きの声を上げた。
零は、先ほど見た草間の瞳で正体が誰か判っていた…草間に変装した江戸崎満なのだ。
彼は指を鳴らすと術が解け、草間の顔が満本人になる。
「本当の手紙の差出人は…この要だ…」
満がそう零にいった。そして事情…誤送により夏紀が彼女を守るために送ったことなどを推測の範囲で伝えたのだ。
「え…」
「じ…じつはその…零さんの…メイド服の…」
もじもじと要が赤面して話し始める。前の事件で本当に恋をしたのか判らないので回りくどいこういった作戦を実行したそうだ。しかし、純真な彼女に心の傷を負わせたのは重罪だ。
結局はだまされた事を知り、零は涙を流している。彼女を慰めるかのように満は頭を撫でた。事の顛末を聞いたみなもとシュライン達が駆け寄る。みなもは…怒り狂っている。
「零さんを泣かせた!ゆるせない!」
近くにあった、池から水を操り…大きな拳を作り上げる。
「ま…まってくれ…」
焦る要…しかし遅すぎた。
「問答無用!!」
会心の拳が要にクリーンヒットして、要は空の彼方に消えた…。
息を切らしたみなもを満が落ち着かせる。
想司は、出なくて良かったと背筋に寒気を感じた。
「結果的に…嫌な事になったけど…零ちゃん…」
「…」
シュラインが慰めようとするがその次に出る言葉が出ない。
「零、大丈夫か?」
割り込むように草間が妹に寄る
「大丈夫…」
零は草間のうでに自分の腕を絡ませた。
「一緒に残りの時間を楽しもう兄さん、みんな!」
涙で目が赤くなっているが満面の笑みで草間達に言った。
それに反対する者は居なかった。
(やり♪)
想司は心の中でガッツポーズを決めた。
ゆゆは…何かひらめいて、その場にいる人たちにむかって…或る幻影を出した。
「すごい…」
近くの噴水に、綺麗な星座の幻影をだしたのだ。
これは後日…幻のイルミネーションとして語り継がれる。

手紙は想いを運ぶ。其れが何であれ…。

End


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0424 / 水野・想司 / 男 / 14 /吸血鬼ハンター(萌えマスター)】
【0428 / 鈴代・ゆゆ / 女 / 10 /鈴蘭の精】
【0759 / 海塚・要 / 男 / 999 / 魔王】
【1109 / 水瀬・夏紀 / 男 / 17 /若き退魔剣使い】
【1252 / 海原・みなも/ 女 / 13 / 中学生】
【1300 / 江戸崎・満 / 男 / 800 / 陶芸家】


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■         ライター通信          ■
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こんばんは
滝照直樹です。
『お兄ちゃんは心配性』に参加してくださりありがとうございます。
ラブコメなのかどうか自分で判らなくなるという結果になりましたが…如何でしょうか?

また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝