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<東京怪談・PCゲームノベル>


零の誕生パーティ

1.電話連絡:海原・みなも
「零さんの誕生日パーティ!?ぜったい、行きます!行かなきゃどうするのです!?」
電話先でみなもの声がする。よほど張り切っているようだ。遠くの方で誰かが羨ましそうに何か言っているのが聞こえる。
「日にちはこの日だから、其れまでにな。場所は…あやかし荘の方だ。事務所じゃ狭い」
「はい、服とか色々用意しますね〜。プレゼントも採ってきます」
「ああ」
彼女の楽しそうな気分は電話を切ったあとでも想像が付く。招待して良かったと草間は思った。
しかし、プレゼントを採ってくるって?何のことだか分からなかった。
2.海原みなも
深海に座する姉の元に来たみなも。姉に衣装を借りに着たのだが…。謎な事は姉の趣向が世間一般からずれている事だろうか?
渡されたのは…バニーガールの衣装である。うさ耳カチューシャに黒い水着に丸いしっぽのギミック、そして網タイツとハイヒール。これはどういったらいいのだろうか…悩むところだ。みなもは、パーティという雰囲気に合うのだろうと無理矢理解釈した。
帰りには、サンゴや真珠を拾い、素早く着替えてアクセサリーショップに向かった。
数時間自宅で籠もって…ビーズと海の宝石で作られたネックレスを作った。
あとは、誕生日パーティのための簡単な料理を作るだけだ。


3.零の誕生パーティ準備
草間は零に何も告げず、あやかし荘に来いと言ってから、先に出かけてしまった。
零は何のことか分からないので、兄に従う。
この数日、何事もないように零に隠していたのは、サプライズパーティにしようと思ったからだ。
零の驚く顔を見たいという気持ちがあったのだろう。
先に着いた草間と、丁度エルハンドがシュラインを連れて戻ってきたところでばったり出会った。
「お疲れ様エルハンド、お帰りシュライン」
「何とか間に合ったな、草間」
「武彦さん、無計画すぎるわよ」
「わるいわるい」
シュラインの声を聞いた時に、謝るも安堵感があった。
「今、あやかし荘では準備の修羅場と思う、済まないが料理の方手伝ってくれないか?」
「ええ良いわよ」
草間の頼みを快く引き受け、軽い足取りであやかし荘に向かうシュライン。
「俺たちも飾り付けをするか」
草間は腕まくりしてあやかし荘に入っていった。

シュラインが台所に来た時には、焔寿とみなも、恵美が料理をしていた。
「こんにちは」
「「こんにちは」」
笑顔で挨拶する。
「シュラインさんが来てくれると大助かり!それに何より零さんが喜びますね!」
みなもは嬉しそうに言った。焔寿も頷く。
「ありがとう」
そうまで言われると照れるなぁとシュラインは思った。
「さて、急いで戻ってきたけど手伝い出来ること無いかしら?」
彼女は零の心に残るパーティにしようと張り切って料理をし始めた。

数時間後全ての準備は整った。

4.主賓登場
零は、あやかし荘に着いた。
しかし様子が違う。全て明かりがついていない。
「どうしたのだろう?」
不安があった。
兄が何気なく来いと言うことだけしか言わなかった。何があるのと問うとはぐらかされた。
いつものことだからあまり気にもしていなかったが、これは違う。
静まりかえったこの場所はとんでもない事になっているのではと考えてしまう。

恐る恐る玄関のドアを開けた。
「こんにち…」
すると、いきなり明かりがついて、クラッカーの音や「ハッピバースデー!」と大声で祝いの言葉の嵐が耳に届いた。
クラッカーの紙まみれになった零は呆然とする。
目の前には、草間や遠出をしていないはずのシュライン、みなもと焔寿達が待っていたのだ。
「これは?」
「零ちゃんの誕生日会よ」
「え?私」
「そうよ」
まだ状況を理解していない零にシュラインが優しく説明した。
みなもと焔寿、そして柚葉は、彼女の手をひっぱってこっちこっちと食堂に連れて行く。
と、食堂は豪勢な料理と、綺麗な飾り付けで誕生パーティという事が彼女にも分かった。
「皆さんありがとう」
零は驚きながらも、とても嬉しそうな笑顔で答えた。

みなもは宴が始まったあとそそくさと管理人室に向かった
其処には今回着るべき衣装が綺麗に折りたたんである。
姉の趣向というのがよく分からない。メイド服や割烹着ならまだしも…これ以上考えてもらちが開かない。
彼女は意を決し、その衣装に着替えた。
しかし借りたのは良いが、微妙にサイズが合わないことを知る。
「姉さん、いつの間に大きくなったのだろう…悔しいなぁ」
何処が大きくなったのかはあえて伏せさせて頂く事にした。其れは読者の皆様にゆだねるとしよう。
こうして、バニーガールみなもちゃんの準備は整ったのであった。

時音と歌姫の歌をBGMにしてワイワイと盛り上がる。
焔寿の猫チャームとアルシュ、草間の赤猫は行儀良く椅子に座っていた。かなり賢いようだ。
草間はみなもが居ないと気づく。まぁ手伝いに専念するらしいから今厨房にあるのだろうと思っていた。
零と一緒に食事をして話をしていると、喉が渇いた。
「ウィスキーあるかな?」
テーブルを探したが無い。
「ここりあります」
みなもの声がした
「ああすまない…ってなんだ!その格好!?」
思わず、手にしたグラスを落としそうになった。
バニーガール姿のみなも。流石に不意打ちである。
「何故そんな格好…?」
「姉さんが、この服が良いって言うから…う〜ん」
3人して悩む。彼女は、この格好をしているのは、とても恥ずかしそうだから、兄妹はそれ以上聞かないことにした。
中盤、みなもが十八番の水芸で皆を驚かせる。極めは、リクエストした飲み物を「それ」で淹れるというものだ。前の宴会で披露した事がウケたので、更に練習し、技術も磨きがかかっている。焔寿の友達チャーム率いる猫たちは、時音の伴奏にあわせにゃーにゃーと歌う。なかなか可愛い。
プレゼントを贈る時間帯になった。
みなもは、海から採ってきた自然の宝石をビーズと結んだネックレス。形はいびつだが、心はこもっているのが良く分かる。時音はくまのぬいぐるみ、焔寿は鍵のかけられるアンティークの小物入れ、シュラインは珈琲カップだった。他にも様々なプレゼントを貰う。
兄、草間のプレゼントは小さな箱だった。指輪ケースみたいだった。
「別に兄妹が指輪を贈るって言うのも悪くないかな…と思ってな…」
照れながら答える草間。まぁ思いついたのが指輪だったのは仕方有るまい。
「大切にするよ、兄さん。ありがとう」
にっこりと微笑む妹だった。

最後に零が、お礼の挨拶をして幕を閉じた。

誕生パーティがおわったあと、皆で片づけをして、おのおのが家路につく。
零はとても嬉しそうに軽い足取りで兄と帰っていった。
「また1年後が楽しみ」
零の言葉は幸せの気持ちが一杯だった。

End

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト】
【0759 / 海塚・要 / 男 / 999 / 魔王】
【1109 / 水瀬・夏紀 / 男 / 17 /若き退魔剣使い】
【1219 / 風野・時音 / 男 / 17 / 時空跳躍者】
【1252 / 海原・みなも/ 女 / 13 / 中学生】
【1305 / 白里・焔寿 / 女 / 17 /天翼の巫女】

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■         ライター通信          ■
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こんばんは
滝照直樹です。
『零の誕生パーティ』に参加してくださりありがとうございます。

また機会が有れば宜しくお願いします。

滝照直樹拝