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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


<君に落ちる華の陰>

<オープニング>

 華が一片。
 君に落ちて、陰になる。
 美しい君のまま。誰にも汚されない君のまま。
 華を摘み取るように、君を・・・・・。


 携帯電話を片手に、麗香は眉を寄せ思い悩んでいた。
「・・・・ここは、人材派遣所じゃないわよ」
 ポツリと漏れた恨み言を聞いた人間は、幸いか。それとも、不幸にか居なかった。麗香は、さらに溜め息を製造して、幾人か思い当たる人物達へとダイヤルを押していく。
(引き受けた仕事だし・・・仕方ないわよね)
「あ、もしもし?私。月刊アトラスの碇よ・・・久しぶり。ところで、今、暇?暇よね。実は、やってもらいたい仕事があるの」
 電話の向こう側の相手の都合など考えず、麗香は話を進めていく。
「とある芸能人の護衛なんだけれど。・・・いいから、話は最後まで聞いて。確かに、ただの護衛ならボディーガードを雇うなりなんなりするけれど。その芸能人の護衛をしてもらいたいのは、『夢』なのよ。・・・・・・知らないわ、どうして『夢』を護衛するかなんて。ただ、その『夢』が現実になって芸能人を襲うから。このままだと、命の危険があるから助けてくれって。私の所に依頼が来たの」
 麗香は一気にまくしたてた後、溜め息混じりに付け加えた。
「私の所に頼むのは筋違いだって分かってるけれど。でも、この依頼を受けたら取材を受けてくれるって言うんだから仕方ないのよねぇ」
 机の上にある他社の雑誌の表紙を飾る顔を見て、再び溜め息を落とした。
「あの、有名な『小早川 英』だから、ね。どこかで、噂を聞きつけて依頼をしてきたに違いないけれど。とりあえず、直接本人に話を聞いて、依頼を解決してちょうだい」
 机の上に乗っている雑誌を指で小突いて、麗香は携帯を切った。


<プロローグ>


 花。
 花が散っていた。
 2人は、それをただ見守るだけしか出来なかった。
 目の前で、血にも似た赤い花が鮮やかに散り行く。
「夢、みたいねぇ」
 そう呟いて、手の平を広げる。つい先程まで、ここで起きていた事が夢のように感じられる。けれども、それが夢ではなく現実だという事は良くわかっていた。
「人の夢と書いて儚いと読むんですよ」
 散ってしまった花を見守りながら呟く。
「だから、きっとこの風景も誰かが見ている夢の1場面でしかないのかもしれませんね」
「つまり?」
「儚い現実を2人して見ている。それでは不満ですか?」
「・・・儚い現実・・・・ねぇ」
 微笑が自然と漏れた。
 そうなのかもしれない。
 目を閉じて、目を開けたら。1秒前まで見ていた夢のように判別の出来ない世界に、今、立っているのかもしれない。
「それも良いかもしれない。こんなキレイな現実なら、それで」
 言葉を包み込むように、花が散り行く。
 また、一片。


<本編>

 都内某所。
 最近、徐々に人気が上がっている『小早川 英(こばやかわ えい)』の所属する事務所に、海原 みあお(うなばら みあお)と九尾 桐伯(きゅうび とうはく)は一緒に来ていた。
「はー、おっきな事務所だねぇ」
 感心したようにビルを見上げるみあおに桐伯は微笑を浮かべる。
 見た目が幼いみあおの行動は見ていて、とても可愛らしく思える。もっとも歳が一回り近くも離れているので、気分は妹を見守る兄。と言った所か。みあおも、初対面の桐伯に対して警戒する様子があまり無い。みあおもみあおで、桐伯を兄と思ってるのかもしれない。
「そうですね。でも、知名度と抱えている人数から言ったら相応の大きさかもしれませんね」
「え?九尾、この事務所の事を知ってるの?」
「知ってる・・・というか、事前に調べましたから。小早川さんの事についても」
「すっごい。みあおは全っ然調べなかったよー」
 その言葉に桐伯は『ガクリ』と肩を落とす。
 それから持ち直したように、苦笑を浮かべる。そんな桐伯の態度に、みあおはプーと可愛らしく頬を膨らますと、言葉を続けた。
「しょうがないでしょ?だって、先入観は見た目を曇らすから」
 もっともらしい事を言いながら、みあおは心の中で(いや、本当に面倒くさいだけなんだけどね)と付け足す。あくまで心の中で。だが。
 そんなみあおの心の内を知ってか知らずか、桐伯はみあおに事務所の中に入るように先を促した。
「しかし、情報が無いと動けないでしょう?」
 事務所に入り受け付けで名前を言う。
 みあおの姿を見た、受け付け嬢が怪訝そうな顔をしたが、それは桐伯の甘い微笑で押し込む。
 受け付け嬢から指定された場所まで歩く。場所は最上階にある社長室だ。場所が場所だけに誰かが(先程の受け付け嬢であれ)案内するかと思いきや、予想に反し2人だけで行くように促された。
「うん、まーね」
「それに、依頼内容に思うところもありましたしね」
 エレベーターに乗り込むと、先程の話を続ける。
「もしや小早川氏は病を患っていて、其処から何かの強迫観念に囚われて夢とかに絡んだ特殊能力が暴走して自らを殺そうとしている気もします」
「え?何で、そうなるの??」
「碇女史から頂いた資料の中で、少しだけ気になる点があったんですよ」
 桐伯は壁に肩を寄せると窓ガラスになっているエレベーターの外を見つめる。
 ずいぶん高い所まで来たな。と思っていると、エレベーターが目的の階に到着した事を告げる鈴の音が鳴った。
 エレベーターを出ると、そこはワンフロア全てが社長室らしかった。扉を出て2・3歩の所に、再び受け付け嬢がいる。ただし、こちらは明らかに『社長秘書』というのが分かるほどのものだったが。
「九尾様と海原様ですね?」
「はい」
 そう桐伯が答える横で、みあおもコクンと1つ頷く。
「お待ちしておりました。お部屋まで、ご案内をさせて頂きます」
 社長室へ来る人間はVIP待遇という訳か。と納得した。どうりで、誰も上まで案内しない訳だ。たぶん、もっと上のVIPになると社長自らか、ここにいる社長秘書が下まで迎えに来るのだろう。
 みあおが社長秘書に付いていきながら前をスタスタ歩いて行く。度胸は人一倍あるらしい。
 案内された先に大きな扉がある。
 それを秘書は開けると、扉を支えたまま二人を中に入るように促した。
「どうも」
 みあもは一言だけ断って中に入る。桐伯も、その後に続いて部屋の中へと入る。
 大きな部屋は、南向きの壁が一面ガラス張りだ。もしも、誰かに狙われていたら、まさに狙ってくださいと言わんばかりの部屋だ。
 もちろん、誰かに狙われていたら。の話だが。
「こんにちわ」
 桐伯は部屋の中にある、客用のソファに座っている少女に声をかけた。
 声に促されるように顔を上げた少女の目は、薄い緑色だ。
「初めまして。九尾 桐伯と申します」
「海原 みあおです」
 そうお互いに自己紹介を簡単に済ませると、少女は唇を開いた。
「貴方達が、アトラスから来た人?」
「そ。それで、小早川 英さんってどこ?」
 みあおの言葉に少女は薄く微笑んだ。
「私が小早川 英です」
 桐伯は少女の前に行くと、軽く頭を下げる。事前調査で小早川の顔は記憶済みだ。みあおの言葉で、目の前の少女が依頼人である事は確かめられた。
「お忙しい中・・・すいません」
「かまいませんよ。それより、依頼内容ですけれども」
「はい」
 小早川は席を立ち上がると、代わりに2人に席に座るように言葉を続けた。
「その前に席にお座り下さい。今、何か飲む物を持ってきます」
 パタパタと忙しなく部屋から出て行った小早川を見ながら、2人は溜め息を揃ってついた。
「なんだか、薄幸の美少女って感じだね」
「それが受けているそうですよ。特に10代から20代の方に」
「へぇ。ね、九尾もタイプ?ああいう美少女って」
 みあおの興味津々な言葉に、曖昧な笑みを浮かべることで答える。
「ぷー。教えてくれたって良いのに。ま、いいけどさ・・・・で、話は変わるんだけど」
 一呼吸置いて、みあおは周りを見渡す。
「なぁんで、社長室に通されたのに彼女1人しかいないわけ?」
「・・・・」
 その言葉に桐伯は驚きを隠せないで居た。まさか、みあおも同じ事を考えているとは思ってもみなかったからだ。どうやら、根本的にみあおの事をあなどりすぎているのかもしれない。
「それは私も思っていました」
「簡単です。社長は出払っているだけですから」
 桐伯とみあおの言葉に答えるように小早川の言葉が重なる。
「どうぞ」
 そう言って、小早川は2人の前に茶色い液体------アイスティだろう-------を置いた。
 カラン。と氷がグラスにぶつかり軽く涼やかな音を立てる。
「出払っているのに社長室に通されるなんて。すごいね」
 率直な意見をみあおが述べると、小早川は小さく微笑んだ。
「いいえ。ここの社長は私の父ですから」
「え?」
 それを聞いて桐伯は眉を寄せた。事前調査では、そんな事実はない。これほどの大きな事務所の娘となれば、多少ならず情報は入ってくるはずだ。
「身内の恥を晒してしまう事で、お恥ずかしい限りですが。私は社長の・・・父の愛人の子です。この事はトップシークレットで知っているものは父と、母。そして、今の父の本妻しか知りません」
「そうですか」
 それ以上、2人は何も言えない。
「表舞台に立つつもりの無かった私を父は、半ば無理矢理に表舞台に立たせました。その事に、何か不満を抱いているという事はありません。もし嫌であれば、私は断りましたし。・・・嬉しかったのかもしれません。それまで、父に省みられない生活を強いられていた私は父に認められる事が。それだけの事が純粋に嬉しかったのかもしれません」
 淡々と語る小早川の話に不穏なものを感じた2人は、軽く目を見合わせる。
(様子が可笑しくない?)
 みあおは小声で桐伯に語りかける。その声に桐伯も小声で返す。
(ええ。見て取れるほどに)
 そんな2人のやり取りなど知らない風に小早川は言葉を続ける。
「でも。1つの疑問が持ち上がりました。私が老いてしまったら?病気を患ってしまったら?交通事故に遭って一生消えない傷がついたら?そうしたら父は私をどうするのだろう?と」
 フワリ。
 柔らかな風が吹いた。
 部屋の中でだ。
「それから夢を見るんです。私が私を殺す夢。私が私を殺すように悪魔に祈る姿・・・・」
 2人は席から立ち上がると、周りを見渡す。
 尋常ではない。
「・・・・いや。分かってたけど。もう少し、楽っていうか・・・甘く見すぎてかなぁ?今回の依頼」
「そのようですね」
 溜め息混じりに2人は同意しあう。
「とりあえず、小早川さんを落ち着かせましょう」
 まさか、詳しい事情を聞く前にこんな事態になるとは桐伯も予想していなかった。
 あくまで今回は『護衛』の仕事が主になると思っていたからだ。
「面白いくらいに、何時も予想が外れますね」
 そう言いながら、桐伯の特技の一つであるソナーに匹敵する聴覚による空間把握能力を発揮する。とりあえず、小早川には落ち着いてもらわなければ困る。
「私は私が分からない。あれは現実?私は死にたくない。って思っているのに・・・・もう1人、夢の中の私は死にたがってる」
 そう言って、小早川は左手首を桐伯とみあおに見せる。
「自分でやった覚えがないのに・・・・日増しに増えて行くの。お願い、助けて・・・私を助けて」
「とりあえず、落ち着いて下さい」
 桐伯の言葉に、それでも小早川は虚ろな目で2人を見ている。
「はー。もー」
 みあおは髪を手でかきあげると、溜め息を吐いた。
「ね。これって、どういう事だと思う?」
「精神分裂でしょう。どうやら、何か『父親に捨てられるかもしれない』という脅迫概念が彼女の意思を守るために2つに分かれてしまった。と、考えるのが妥当でしょうね」
「・・・・夢と全然関係ないじゃん」
「関係あるんですよ。たとえば、何時の間にか出来てしまった『もう1人の自分』。その自分を知る事が出来ないまま日々を過ごすとしましょう。けれど、何らかかのきっかけで『夢』という世界で、もう1人の自分が動いているのを見てしまったら?」
「えーっと、つまり。自分の中の自分が動いてるのを『夢』と勘違いしている事?」
 全ては自分が動いている事。それを認める事が出来ない為に『夢』のせいにする。
「その通りです」
 ゆっくりと桐伯は小早川の精神を落ち着かせる事に専念する。
「どうやら。黒魔術にも手を出しているようですね」
 困った人だ。と桐伯は呟く。
 その頬に、一筋の血が流れている。その血を見て、みあおはサッと顔色を変えた。
「大丈夫?」
「今のところは」
「・・・・頑張るしかないかぁ」
 もし、本当に『夢』の中での出来事しかないのであれば干渉できない自分にやれる事は限られてくるが。
「ねぇ、今の彼女の状態は?」
「良いとは言えません」
 刺激しないよう聴覚による能力で小早川の意識を宥めようと必死になっているのだが。
「どうやら。今、この状態を『夢』と思われているようで」
 しかも黒魔術だ。下手したら呪い返しが自分達まで来る。小早川の身だって危ない。どんな術を施したかも分からないのだ。
「分かった」
 みあもはそう言うと、綺麗な鳥の羽を取り出した。
「これ霊羽って言ってさ。彼女の事、何とかできるかもしれない」
 とりあえず、落ち着かせる云々より。
「小早川の周りに集まってる悪霊を何とかしよーか」
 そう言って、みあおは霊羽を一気に小早川の周りに投げつけた。
 その瞬間、信じられないほどの光が辺りを覆い尽くした。
「っ!!!」
 思わず神経を張っていた桐伯は手をかざし目を覆う。
「幸福をあげるよ」
 強く生きて行けるように。1人の人に支配されない強さを持てるだけの。
「だから、さ。『夢』なんか、もう見ないで」
 その言葉に促されるように小早川は、ゆっくりとその場に倒れこんだ。光から解放された桐伯は手を外し目の前を見る。
 そこにはソファに身を預け倒れている小早川の姿があった。すぐに、小早川の傍に寄ると桐伯は、そっと息を吐いた。脈・呼吸に異常はない。
「終わった・・・かな?」
 あははと軽く笑って見せるみあおに桐伯も軽く笑ってみせる。
「そうですね。後は、彼女にセラピストにかかるよう進めるだけですね」
「セラピスト?」
「精神科の先生の事ですよ。今回の事は、彼女の精神が1番の問題になっていましたからね」
「そっか。あ、後さ。今更だけど」
「何ですか?」
「どうして、小早川が病気だって思っていたの?」
「彼女の母親が癌だったらしいんです。母1人子1人状態だったところに母の病気が判明した。治るにしても小早川さんの心の傷は深いものでしょう?」
「うん」
 桐伯の言葉にみあおは耳を傾ける。
「もしかしたら、小早川さんも何らか―それが重いか軽いかは置いておいて―の病気を患っていたら、其処から何かの強迫観念に囚われて夢とかに絡んだ特殊能力が暴走して自らを殺そうとしている気もします」
 全て推測でしかありませんが。
 と、最後に付け加える。
「そうだったんだ」
「結果として違っていましたが。でも、どうやら多重人格である事は確からしい・・・・・」
 そこで桐伯は言葉を区切った。
 目の前に現れたのは赤い赤い花びら。
 2人は、それをただ見守るだけしか出来なかった。
 目の前で、血にも似た赤い花が鮮やかに散り行く。
「夢、みたいだねぇ」
 そう呟いて、手の平を広げる。つい先程まで、ここで起きていた事が夢のように感じられる。けれども、それが夢ではなく現実だという事は良くわかっていた。
「人の夢と書いて儚いと読むんですよ」
 散ってしまった花を見守りながら呟く。
「だから、きっとこの風景も誰かが見ている夢の1場面でしかないのかもしれませんね」
「つまり?」
「儚い現実を2人して見ている。それでは不満ですか?」
「・・・儚い現実・・・・ねぇ」
 微笑が自然と漏れた。
 そうなのかもしれない。
 目を閉じて、目を開けたら。1秒前まで見ていた夢のように判別の出来ない世界に、今、立っているのかもしれない。
「それも良いかもしれない。こんなキレイな現実なら、それで」
 言葉を包み込むように、花が散り行く。
 また、一片。


<エピローグ>


 みあおと桐伯は揃ってアトラス編集部に来ていた。
 麗香は相変わらず原稿を容赦なくシュレッダーにかけている。
「ね。思ったんだけれど」
 みあおは報告のために待っている桐伯に耳打ちした。
「もしもさー、小早川が入院したりしたら」
「・・・・言わないで下さい」
 その先の言葉は容易に想像がつく。
 麗香の八つ当たりは自分達に来るのでは?

 限りなく正解に近い答えを導き出せる。

「でも、しょうがありませんね。こればかりは」
 肩をすくめて答える桐伯に、みあおはフムと唇を尖らせる。
「はー。なんだか疲れちゃった」
 そう言ってみあおはソファに身体を預けて瞳を閉じる。
「みあおさん?こんな場所で寝るのは・・・・」
「後で起こしてー。みあおは寝る。眠い」
 はっきりしている。
 苦笑しながら桐伯は編集に負われている麗香を見て身体をソファに埋める。
「まあ、たまには・・・」
 そう言って、瞳を閉じる。
 瞼の裏に浮かぶもの。
 赤い赤い花。
 全てを包み込むような花びら。


 華が一片。
 君に落ちて、陰になる。
 美しい君のまま。誰にも汚されない君のまま。
 華を摘み取るように、君を・・・・・。
 あの人に望まれたままの姿で。

 けれど。

 もう、良いから。
 朽ちて散る運命だからこそ美しさを保つ花のように。
 自分の望んだように生きていて。

 君に落ちる華の陰が優しさを増すように。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【1415 / 海原・みあお / 女 / 13 / 小学生 】
【0332/ 九尾・桐伯 / 男 / 27 / バーテンダー】

※並び順は申し込まれた順になっております。

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■         ライター通信          ■
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 みあおさん初めまして(^^)このたびは拙い依頼にご参加頂きまして、ありがとうございました。そして、桐伯さん。再度のご参加、誠にありがとうございます。本当に嬉しかったです。
 ライターの朝井 智樹です。

 さて、今回の依頼の間にOMCで色々とサーバートラブルがあったようですが、無事に期日中に依頼品をお渡しできてホッとしております。ネット上では色々なトラブルがありがちですが、どうかまた依頼を通して皆さんにお会いできる事を楽しみに待っております(かなり、切実だったり/笑)

 今回の依頼ですが。『多重人格』を主に精神障害について取り扱ってみました。私自身、重度でないにしろ『・・・・やべぇ』という事になった事があります。人間関係が主な原因だったのですけれどもね。人と人の関係で、人間って簡単に精神が壊れちゃうほど弱い生き物なんだ。って事を、少しでも伝えたかったのです。強い人間なんて居ないんです。たとえ、1ミリでも傷は傷。それが積み重なって行くと、自分を守るために。自分の意思を保つ為に自分を傷つけるだけしか出来なくなってしまう人もいるんだって思って下されば幸いです。あと、これは作品のネタバレ事項なのですが。最初と最後の言葉は『小早川 英』の中の、もう1人の『小早川 英』が『小早川 英』に対して言っている言葉です。なので、最後。2人によって心が軽くなった『小早川 英』を、もう1人の『小早川 英』許し・・・というのも変ですが。もう良いよ。傷つかないで。と言っているものです。

 それでは、少しでもこの話を読んで『ああ、こういう話好きかも』、『うん、楽しかったゾ』と思っていただければ、これ以上の幸せはございません。
 また、どこかでお会いできることを祈りつつ。