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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


変ロ長調『出発』
〜Lieder ohne Worte - Op.62-2

〈ね、良いお知り合いがいらっしゃるんじゃないかと思いまして……〉
「そりゃあ、なぁ。北海道にも、知り合いはいることにはいるが……」
 しかも、この男お求めの、腕の立つ調査員も、何人か知っている。
 だが、
「……気に喰わん」
〈何がですか?〉
 電話の向こうのやわらかな声音に、草間はさらにイライラを積もらせていた。
 思わず、窓の外を見やる。
 ――未だに暗い、窓の、外を。
 掛け時計は、時刻四時を指していた。
「……朝早くから電話なんてかけてくるな! 俺は眠たいんだ! ったく……!」
 電話の音で、目が覚めた。最初はこのような非常識な時間にかかってくる電話など無視してしまおうと思っていたのだが、予想外のしつこさに緊急事態かと思い、電話を取れば……。
 これだ。
 電話の向こうの腐れ縁の友人――多分今日も、一般司祭服なんぞを着込みながら、暢気に朝ごはんこと甘いお菓子を食べ終えたであろう男の姿を思いながら、草間は必要以上に大きく溜息をついていた。
 ユリウス・アレッサンドロ枢機卿猊下。
 実際は教皇庁(ヴァチカン)の高位聖職者にして、そのような気配を微塵も感じさせないこの電話の向こうの男は、確か今、北海道にいるはずであった。
〈人手が足りないんですよ。うちの神父を呼ぶわけにはいきませんからね。彼には、きちんとお留守番をしていただかないと〉
「で、又厄介ごとをおっつけて来たんだな。可哀想なお弟子さんだよな、本当に」
 それはともあれ、
「あー、つまりは、その、麗花さんの修行、だかのお手伝い、が必要なんだな?」
〈まあ、そういう事になりますかね。折角の能力を使わないのは勿体無いでしょう? 彼女もそれを望んでいるようですし、手っ取り早く、そういう方向になったんですよ〉
 草間の軽い嫌味に答える事も無く、電話の向こうのユリウスは説明を加える。
〈でもね、霊を相手にするという事は危険な事ですからね。サポートするのが私だけでしたら、彼女も心元無いでしょう〉
 今話している内容は、つまりは、ユリウスの教会のシスターに関する事であった。
 幸か不幸か、ユリウスによって死霊使い(ネクロマンサー)の才能を見込まれてしまったシスター・麗花は、現在北海道にいるネクロマンサーの元に、ユリウスと共に滞在している。
 ――要するに今回は、その修行の一環で、札幌市内の霊を浄化≠オにいく事となった麗花のサポートをできる人員を送ってほしい、という事であった。
〈という事で、後はよしなにお願い致しますね〜。あ、何かが決まりましたら、うちの携帯までご連絡をば。一応、急は要しませんので、ゆっくりとやって下さって構いませんから〉
「おい、ユリウス……」
〈それでは、武彦さん、良い一日を。Cum Sancto spiritu in gloria Dei Patris. Amen...〈神の御加護がありますように……〉〉
「おいちょっと待て! 依頼料はどうなるっ?! 毎回毎回誤魔化されてきたが、今回はそうは――!」
 だが。
 ふっつりと切れた電話の向こう側からは、最後にようやっと聖職者らしい語句を残して逃げていった友人の気配は一切感じられなかった。
「あの似非聖職者め……! 後で会ったら、絶対撃ち殺す……!」


I

「いやぁ、遅れてすみません」
「聞いてよ麗花! ユリウスったらね、コンビニで説教はじめるんだから……!」
 ――既に集まっていた五人の中に、ようやく最後のメンバーが飛び込んできたのは、集合時間から十五分遅れての話であった。
「本当どうしようもないよね。あ、それからこれ、みなもお姉さんがわざわざ麗花に送って来てくれたクッキー! ユリウスに渡したのとはちょっと違うみたいだけどっ!」
 手に可愛らしいクッキーの袋を握ったままで麗花に元気良く飛びついたのは、年の頃なら十代前の小さな少女――海原(うなばら) みあおであった。風に揺れる銀の髪と、純な光の同じ色の瞳に、この前札幌で買ったばかりのスカートが良く似合っている。
「……それにしても、遅かったですね」
 ようやくのユリウスの登場に、呆れたように微苦笑を浮かべたのは、漆黒の髪に金の瞳の良く映えた、二十代くらいの青年であった。その隣で破顔するのは、同い年くらいの猫顔の美人――赤い髪に、青年と同じ色の瞳のコントラストが鮮やかな女性だ。
「しかしコンビニで説教か……酔っ払いでもいたんだな、きっと」
 黒系の、しかもメンズの服を、しかし違和感もなく着こなした女の――羽柴 戒那(はしば かいな)の言葉に、スーツ姿の青年、斎 悠也(いつき ゆうや)が、まぁ、そういうところでしょうね、とやわらかく付け足す。
 ちなみに、悠也の方はともあれ、戒那がこの場にいる理由はと言えば、ここだけの話、半ばほどが草間のユリウスに対する嫌がらせであった。霊を相手にした実践で役に立つ能力を持たない戒那は、草間からこの依頼の話を携帯電話に受取った時に、大いに大笑いしてしまったのだが。
 それにしても草間君、キミ、いつも損な役割だね。しかし――今回もい〜い迷惑被ったな。
 悠也の話によれば、ユリウスは相当、草間やその周辺に迷惑をかけて歩いているらしい。傍にいると不幸になる人の典型なのだと言う。
「あ、そうそう、ユリウスさん、ビアードパパのパイシューを買ってきたので良かったらどうぞ」
 小さく笑いながら、戒那がユリウスに小箱を差し出した。甘い物好きのユリウスは、戒那の予想通り上機嫌でそれを受取ってくれた。
「……パイシューも美味しそうですけれど〜、北海道ですもの〜お刺身や、チョコレートも美味しいですよね〜」
 不意にその後ろから、間延びした声が聞こえてきた。今の今まで暖かな笑顔で皆を見守っていた、金髪緑目の少女――ファルナ・新宮(しんぐう)であった。
 薄緑のワンピースに、麦藁帽子。ソフトクリームを暢気に舐めながら、
「ねぇ、ファルファ〜」
 隣に立つメイドに、視線を向ける。ファルファは黙ったままで、ファルナのワンピースの胸元を直すのみであった。
「……さて、と、それじゃあ時間も遅いですし、早速行きますか?」
「猊下がそれを言わないで下さい」
 珍しく私服姿の聖職者二人が、公園の方へと向き直る。
 目的の水源は――この公園の中に、あるはずであった。
「私の聞いた話によれば、どうにも水源には、力の強い霊がいるのだそうで……水源は輪を描くようになっていますからね。二手に分かれましょう」
 流石に状況がわかりませんと、どうにもなりませんからね。
「聞き込みは、幽霊が相手と雖も、二手に分かれた方が早いでしょう」
 どうやらユリウスは、幽霊相手に聞き込み調査を考えているらしい――付け加えて、彼はざっと集まったメンバーを一瞥した。
 さて、この七人を。
 どうやって二手に分ければ良いでしょうかねぇ――。


II

「実は猊下、私の修行の為だ! なんて仰ってますけれど、本当は内緒の話ですけれど、中央審議会の方から少しばかり礼金が出る予定なんです」
 愛用のフルートを片手に、麗花は戒那と悠也に向けてやんわりと微笑んで見せた。
「色々あって、うちの教会、まぁ、生活には困っていないんですけれど、お金が足りなくて、」
「それって、武彦さんの所の滞納の話ですか?」
「……それも含めて、色々と」
「ふむ、つまりは他にも色々と℃リ金があるわけだ」
 戒那の言葉に恥ずかしながら、と頷いた麗花が、大きく溜息を吐く。
 あぁもう、全く――、
「猊下ったら、あれでいて結構だらしない所がありますから、」
「何となくわかるぞ、それ」
「あちこちでトラブルばぁっかり起こしてくるし、」
「瑠璃花からも色々聞いてます。本当に色々とやっていらっしゃるそうで……俺もわかります、麗花さんの気持ちが、少しは」
 二人同時に頷かれ、喜ぶべきか、悲しむべきか。引きつった笑顔を浮かべながら、がっくりと項垂れたくなってしまう。
 本当、ロクでもない上司だもの……猊下ったら。
 もしかしたら、戒那辺りなれば、この気持ちを良くわかってくれるのではないだろうか。大学の助教授という役職についている以上、嫌味な――いや、ユリウスは決して嫌味などではないのだが――人間に出会う機会も、決して少なくはないのだから。
「……それにしましても、」
 いよいよ気落ちしてきた麗花の内心を悟ってか、気を改めて、と言わんばかりに悠也が口を開いた。
 麗花の長い髪を一房手に取りながら、
「私服姿も素敵ですよ、麗花さん。それに、そのリボンも良くお似合いです」
 良かった、とばかりにやわらかく微笑んでみせる。麗花が今頭に結んでいるレースのリボンは、かつて悠也がいとこを通じて麗花にプレゼントしたものだった。
 一瞬にして目を真ん丸くした麗花が顔を上げた。
「――へ?」
「まぁ、普段の尼僧服も、良くお似合いですけれども……ね」
 そのままあまつさえ手に取った自分の髪の毛に軽く口付けをしてくる悠也の姿に、麗花の鼓動が一瞬にして高鳴ってしまう。けれどもそれは、勿論悠也の事を好きになってしまったから――であるはずもなく、さらに男の人にそのような事をされた事がないから、でもなく。
 ふ、普通っ、
 恋人の前で他の女にこういうことするの――っ?!
 ぎこちなく、それでもこっそりと、隣を歩く戒那の姿を盗み見る。
 と、戒那が偶々、麗花の方に視線を巡らせた。
「……だな。星月さんの尼僧服姿は見た事がないが――実に勿体ない。それだけの素材が、おしゃれを知らずに育ってきただなんて」
 だが、戒那は何事もなかったかのように、にっこりと微笑むのみであった。その上、この優しさの裏に、怒りや嫉妬といった感情が隠れているようには到底思われない。平然とした、戒那の姿に、
 ……何でだろう、
「――あの、」
「ん?」
「羽柴さんと斎さんって、その……」
 問おうとして、口ごもる。個人のプライベートにはあまり立ち入るべきではないとわかってはいたが、しかし、それでも問いたい年相応の心≠ノ、
「ああ、」
 その様子から全てを悟ったのか、先に声をあげたのは、悠也であった。
 ほんの一瞬、戒那と同じ色の視線を交わすと、
「違いますよ。きっと俺達は、麗花さんの思っているような関係じゃあ、ありません」
 そう、事実そういう関係では、決してないのだろう。恋人同士などという、そういう関係などでは。
 ……けど、
「けど、戒那さんは俺にとって、間違いなく大切な人ですよ」
 正直、そんな肩書きはどうでも良かった。例え戒那が悠也にとって、友人であろうとも、親友であろうとも、恋人未満の微妙な存在であったとしても、
 ――肩書きよりも、もっと大切なものがある。
 いや、もしかしたら。
 本人には決して言えはしないが、もしかしたら。
 肩書き≠ノ名前を付けられないほど、大切な存在なのかもしれない。知らぬ間に傍にあった当たり前の存在に、どうして改めて存在の定義をこじつけなくてはならないと言うのだろう。
「そうだな、俺にとっても悠也は、間違いなく大切な人だ」
 悠也の言葉を受けてか、欠片も照れる事なく、さらりと戒那が言い放つ。
「今更ああだとかどうだとか定義しなおす必要もないな」
 ポケットの中に手を入れて、星の空を仰いだ。
 ……いつからだっただろうか。
 こうして空を見上げる時は、必ず隣に誰か≠ェいるようになったのは。
「普通の人は今更、空気と自分との関係について、定義しようとしたりはしないだろう?」
 物理的には、隣にいなくとも。
 ああ、そうか。
 俺は一人じゃないのだと。
 それは、どんな時にでも、自然とそう思わせてくれる存在。そう、それはとりわけて目立つメッセージ≠ナはないのかも知れないが、しかし、だからこそごく当たり前に心の中にある言葉≠ナもあった。
 ――もっと、我侭になれ、か。
 ふと、悠也から以前もらった言葉を思い出す。
「まぁ、あえて定義するとしたら、ちょっとした腐れ縁か? 悠也」
「腐れ縁、ですか……さぁ、どうなんでしょうね」
 俺にもわかりません、と言わんばかりに悠也は首を横に振った。
 ……あまりにも調和した二人の光景に。
 麗花はしばし、ぽかんと立ち尽くす事しかできずにいた。

 そうしていよいよ、ファルナの命令により途中で合流した彼女のメイドのファルファも含め、四人が水源の近くまでやってきた頃。
 ――先ほどとは打って変わって。
 状況は、ひたすら忙しくなっていた。
「ふむ、数の暴力ですね」
 ちょっとした神道の術の応用だ。和紙の蝶々に息を吹き込み、使役する。数匹の蝶々を使役してやれば、かなり強力な結界を展開する事もできた――これで、周囲への被害損害はゼロになる。
 しかも、その術を展開した上で、更に悠也は自分達の目の前にも退霊の結界を展開していた。しかし、この場でその桁違いの能力に驚く者は誰もいない。ユリウス辺りなれば、感嘆の言葉の一つや二つを洩らしていたであろう所を、
「暢気に呟いてる場合じゃありません! 斎さん! あぁもうっ! この数は反則じゃないのぉぉぉぉぉっ?!」
 麗花はとにかく、目の前の霊団に泣き出しそうになっていた。悠也の結界のその向こうには、へばりつく様にして沢山の霊達が群がっていたのだから。
 見た目にも、夢に出てきそうな。
「確かにな……ちょっと数が多そうだ。ん、ちなみに霊団の核はほら、そこだ」
 絶叫する麗花に、戒那はベンチの上から霊団の適当な場所を箸で差して言った。その膝の上には、悠也の作った栄養満点の特製重箱が乗せられている。
 無論、サイコメトリーの能力はあれど、退魔の能力のない戒那にこの状況をどうにかできるはずもない――結果、高みの見物。
 この所外食ばかりになっているであろう戒那の事を考えて作られた、美味しい重箱。その上玉子焼きがライオンの顔をしていれば、戒那でなくても微笑みたくなってしまう。
「戒那さん、御守は持ってきてますよね?」
「ああ、無論だ」
「それじゃあ、安心ですね」
 それさえあれば、戒那が霊に襲われる心配もない。ほっと一つ息を吐くと、悠也は霊達に向き直った。
 ――水源から、呼ばれるようにして現れた、霊達。
 俺達に助けを求めているのか……?
「あぁ、ところで言い忘れていましたが、麗花さん、」
「何ですかっ?! うわっ、こっち見て笑ってますよ! 笑ったっ! あぁぁぁああ、どうしよぉぉぉぉぉぅっ?!」
「麗花さんはユリウスさんみたいに、周囲に迷惑になることを判っていて予防もなしに実行するような能力者ではなく、立派な死霊使いさんになりましょうね」
「それどころじゃありませんっ!」
 叫びつつ、微笑んだ悠也の言葉に己の使命を思い出したのか、麗花がようやくフルートを構える。
 音による、霊の統制。それが麗花の能力であり、物珍しい死霊使い(ネクロマンサー)でもある証拠であった。
 でも私、まだこの能力、上手に使いこなせないんだけどっ!
 思いつつも、早速フルートに息を吹き込む。間もなく響き渡ったのは、穏やかな『Do』の音色のビブラートであった――悠也と戒那、ファルファの三人が、ゆっくりと清聴をし始め、
 ようとした、その刹那の話であった。
 世界の轟きに、フルートの音色が一瞬にして霧散したのは。
「――あああああっ! やっぱしぃぃぃぃぃぃっ?!」
「どうやら怒らせたらしいな。星月さん、何をしたんだ?」
「何って、」
「危ないですから、下がってください!」
 麗花のフルートの音色に感化されてしまったのか、突如として結界を激しく打ち始めた霊達に、悠也が手際良く印を結んでゆく。そうして――
 そうして。
 しかし、今度こそ本当に、世界に核爆弾が落ちたのか。
「「「え――?」」」
 泣き出しそうな麗花、唱える祝詞の遮られた悠也、そうして、悠也のお弁当に上機嫌な戒那の皆が、きょとん、と顔を上げた。
 さながら、雷が落ちたかのような光が――辺りを、照らし出したのだ。
 そうして、もう一度。
 轟音が、公園内に轟き響き渡った。
 瞬間、悠也の展開していた結界が、強制的な力によって内側から破壊されていた。力は霊諸共を微塵に吹き飛ばし、それから間もなく、周囲に静寂をもたらして黙り込む。
 風の音が、するりと道を吹きぬけた。
「ファ――」
「ファルファさん……」
 誰ともなく、呟いていた。今までその存在感は、寂しいほどに、忘れられていたというのに。
 ゴーレムテイマー・ファルナ作による、『強襲護衛メイドファルファ』の『対霊体用アストラルキャノン』――こう見えても、ファルファは普通の人間とは少しばかり違う。一度(ひとたび)『戦闘モード』に入れば、ロケットパンチ、火砲までが飛び出してくる、要するにファルナの列記とした作品≠ネのである。
「あー……それにしても、凄まじい威力だったな」
「……あっけないですね」
 目の前が、強烈な光に点滅している。
 マスターの命令に従っただけだと言わんばかりに無表情なファルファの方を見つめながら、悠也も戒那も、そっと苦笑をせざるを得なかったらしい。


III

「麗花っ!」
「あら、みあおちゃん……!」
 駆け寄ってきた小さな少女の姿に、フルートを手にしたままの麗花がふと振り返った。
 どうやら麗花達は、今の今まで幽霊達に襲われていたらしい――辺りの歪んだ°気が、それを物語っているかのようだった。しかし、皆の様子から見れば、大した事はなかったのだろう。あまり気にせず、みあおは麗花に飛びついた。
「聞いてよ麗花! すっごい情報持ってきたよっ!」
「すごい情報、ですか?」
 小さな体を受け止めながら、みあおの行動がよほど嬉しかったのか、銀の瞳を覗き込むかのようにして麗花が微笑む。
 小首を傾げた麗花に、
「聞いて! さっきそこの幽霊に聞いた話なんだけどね、水源の中に強い幽霊が住んでるって。ねぇ、ユリウス!」
「はい、どうやらそうらしいですよ。なぜだか殆どの幽霊さん方は知らなかったみたいですけど、ねぇ」
 全く、なかなか情報の収集もつかなくて大変でしたよ。
 みあおの後ろからゆっくりと現れたユリウスが付け加えた。
「……やっぱりか」
「戒那さん?」
 ふと、ユリウスの声に立ち上がったのは、ようやく食べ終わった重箱を片付けていた戒那であった。はた、と自分の方を振り返った悠也に向かって、
「いやぁ、いつ言おうかと考えていたんだがな。そこの水面から、何か凄まじい力を感じてな。――今までの経験から言えば、これは霊の気配だ」
「――おや、もうちょっと早く言って下されば良いですのに、」
「そんな場合じゃなかっただろ? 今すぐ襲ってきそうな感じでもなかったしな」
 赤毛をかきあげると、ざっと周囲を見渡し――そうして、気がついた。
 ……ん?
「あれ、そういえば、」
 あの金髪の女の子は、一体どこへ行ったんだ?
 戒那の呟きに何を感じたのか、沈黙を守っていたファルファが一歩前へと足を踏み出した。戒那と同じくして、周囲を見回す。
 ――沈黙が、世界に降り注いだ。
「……ファルナ? ファルナなら、さっきそっちで待ってるって言ってたけど」
「ですよ、ね? 多分向こうの方で、ソフトクリームを食べていらっしゃると思いますが……」
「ユリウスさん、女の子を一人置いてきたんですか……」
「あー、ユリウスは悪くないよ。みあおが引っ張ってきたんだもん、ねぇ?」
「……すみません」
 呆れる悠也。さらに子どもに――みあおに弁明されてしまい、いよいよユリウスも素直に謝らざるを得なかったらしい。その上、追い討ちをかけるかのように、麗花の恐ろしい視線がユリウスへと向けられていた。
 と。
 突然、ファルファがその身を翻し、すたすたと歩き始めた。
「ファルファさん?」
「マスターを迎えに行きます」
「そうだな、それが良いだろう。――悠也、」
「わかってますよ、戒那さん」
 戒那の言葉に、悠也が踵を返す。戒那もそれに続き、さらに麗花がそれに続いた。みあおとユリウスも顔を見合わせ、麗花の後に続く。
 ――ただでさえ、夜の世界は危険だというのに。
「ファルナさん、大丈夫でしょうか……?」
 不安気に呟いた麗花に、けれども誰も答える事はできなかった。
 どうやら事態は、水源の霊云々所ではなくなってしまいそうだ――そう、誰もが考え始めた、
 刹那の話であった。
(オン・ザ・ステェェェェェェェジッ!!)
 ざばぁぁぁぁぁっ!! と、
 意味不明な叫び声と共に、水の飛沫が月光に冷ややかに輝いたのは。
「「「「「「――?!」」」」」」
 一瞬にして、六人の視線が水面へと向けられていた。

 冷たい飛沫に、誰もが一瞬目を瞑る。再び開けた眼前に全員が見たものは、
(ヒロイック・サーガにも良くあるだろう! 姫を攫った魔王の話だ!)
 ふははははははっ! と随分とわざとらしい笑い声と共に水の舞台に堂々と立つ、黒尽くめの男の姿であった。
 ――水の、舞台。水源の水は、今や不自然な形に揺らめいていた。そこだけせりあがった水の揺らぎの上に、あろう事か男はしっかりと足をつけて立っている。
「……マスター!」
 しかし、それだけなればファルファが声をあげるはずもない。
 ファルファの視線は、男の腕にしっかりと抱かれたファルナの方へと絡み付いていた。
「ファルナさんっ!」
 思わずユリウスも、その名を呼んでしまう。
 男の腕の中で、ぐったりとした金髪の少女。この場所からでは、彼女が無事なのか否かを確かめる術もない。
「……大変な事になりましたね、」
 どうやらユリウス達がファルナの元を離れた一瞬の隙を突いて、男はご丁寧にもファルナを攫ってしまったらしい。
 しっかし……女の子を攫う幽霊なんて、珍しいな。
 思いながらに、思わず悠也は額に手を当てていた。この大変な事態に、も、去る事ながら、
(そうして我は魔王であるぞ! さぁ、皆の者! 畏怖するが良い! ふはははははははっ!)
 ……阿呆だ、こいつ、と。
 素直に感じていたからだ。
「あー……」
「あまり相手にしたくないな」
 横に並んだ戒那の言葉に、悠也は重く溜息を吐いた。瑠璃花の話を聞いていても思うのだが、
 ――どうしてユリウス(この人)の周りには、変な人達ばっかり集まるんだろう……。
 ユリウスも含め、呆然とする悠也と戒那のその横で、
「ばっかじゃないの?! さっさとファルナを返せ!」
 威勢良く『魔王』に向かっておったてた指を突きつけたのは、言うまでもなくみあおであった。
(威勢の良い嬢ちゃんだ! だが、それでは魔王としてのプライドがズタボロにっ!)
「あなたの戯言に付き合ってる暇はないんですっ! 新宮さんを放して、さっさと水の中にでも地獄にでも堕ちれば良いじゃないの!」
「うわ麗花って……やっぱり意外とカゲキだよね」
「あーいうフザケタ男が嫌いなだけですっ! 全く、猊下!」
「……はい、」
「後で先輩にちくりますからね、今回の事!」
「お願いしますそれだけは勘弁して下さい……」
「駄目です、絶対許しません! 新宮さんの事をあんな危険な目にあわせておいて! それ相応に叱って頂かないと!」
「あう」
 麗花の叱咤に、がっくりとユリウスが項垂れた。麗花の先輩といえば、教皇庁の中でも優秀な武装∴ル端審問局員ではないか。彼女の手にかかれば、自分がどんな目に遭わされるのかは、ユリウス本人が一番良くわかっている。
「あの、きちんとファルナさんの事をお助けできたら、チクらないで頂けます?」
「さっさとお仕事して下さい猊下! ふざけてる暇はないんですよ?!」
 こう見えても一応、ユリウスはかなりの能力者であった。このくらいの霊なれば、彼が本気を出せばそれこそちょちょいのちょい≠ネのであろう。
 ……多分。
 と、ユリウスと麗花との会話の区切りに、ふと戒那が思い出したかのように言葉を付け加えた。
「――あぁそうだ、大丈夫だ、新宮さんは生きてる」
「サイコメトリーですか?」
「まぁ、そんなところだ」
 死人から意思の声は返っては来ない。
 ポケットに手を入れたまま悠也に答え、戒那は再び視線を水源の方へと投げやった。
 どうやら今の今まで『魔王』は一人で何かを喋っていたらしいが、勿論誰もそれを聞いているはずが無い。その上、自分が無視されているという事にも気が付いていないのだから、
 ……可哀想に。
 呆れるを通り越して、可哀想になってくる。もし彼が生きていたら、さぞ手ごたえを感じるカウンセリングができたであろうに。
(そうしてそれが男のロマンだ! マロンとは違うっ!! 良いか! ヒーローというのは確かに主人公かもしれないが、しかし裏の主人公こそ我であり魔王なのだ! 我々がいなければ勇者は存在せんのだよ!)
「でも所詮魔王なんて負け役じゃん。みあおも良くゲームやるけど、最後は絶対みあおが勝つし」
(すなわち、勇者よりも我々の方が大切なのだ! わかるか! 悪に生きるこの素晴らしさが!)
「うわ、人の話聞かないよこの人……」
 すとん、とみあおが肩を落とした。
 どうしようもないヒトだよねぇ、本当。
 呆れながらも、みあおはこっそりと横に下ろした手の中に青い力を収束させた。簡単ながらにもこの場を浄化しておけば、後の戦闘はぐっと楽になる。
 まぁ、コイツがそんなに強そうにも見えないけど……。
(正義など信じないのだよ! いいや! 悪こそ正義だ! そうして悪とは、姫君を攫う――)
「……もう少し寝かせて下さい〜……あと五分〜……」
 ふ、と。
 その瞬間、魔王の台詞を遮る長閑な声音が当たりに広がった。
 魔王に抱きかかえられたファルナが、その腕の中で眠そうな緑目を擦る。
 しん、と辺りが再び、沈黙の底に沈み込んだ。
「もう朝ですか〜、ファルファ〜……今日はチーズトーストが食べたいですね〜……昨日はソフトクリームを落としてしまいましたから〜、又買って来てもらえますか〜……?」
(……あの、いや、)
 魔王が、呆気にとられてしまう。
 ――期待していたのだ。姫君の悲鳴の声。助けを呼ぶ悲痛な叫びを。
 しかし。
 あまりにも魔王の期待と違ったファルナの寝覚めに、魔王はぽかん、と少女の顔を覗きこんでしまう。
 ファルナの薄緑のワンピースは、さながら姫君のドレスであるかのようだった。今や水とソフトクリームにまみれて無残な姿にはなってはいたが、それでも十分絵にはなる。
 黒いローブの男に、金髪ドレスの姫君。確かにファンタジーにはありがちな展開に、しかし、
「ファルファ〜……?」
 ファルナ本人は、どうやら自分が攫われていることに気がついていないらしい。そのまま二、三度ファルファの名を呼び、返事がないのをようやく不審に思ったのか、大きなあくびと共にもう一度緑目を擦る。
 そうして、目の前に現れた魔王の顔に、暢気に呟いた。
「……新しい使用人さんですか〜……? そんな話、わたくしは聞いていません〜……」
(いやあの、)
「ところで〜……後五分寝かせてもらえませんか〜……? あ、ファルファには内緒にしておいて下さいね〜。意外とファルファは時間に厳しいんです〜……」
(……あのぅ、)
「何ですか〜……何か急ぎの用事でもあるんですか〜?」
(いや……えと、)
「仕方ありませんね〜……でしたら起きますけれど〜……ん……ねむぅ……」
 再び腕の中でくてりと眠り始めたファルナに、
(……すみませんでした)
 やがてなぜか、魔王が切羽詰ったかのように謝った。同時に、水の舞台を足で蹴る。
 たんっ、と、ユリウスの目の前に着地して。
(今日の事は、無かった事に)
「「「「「はぁ?」」」」」
 黒マントを翻す青年が、ユリウスにぐっしょりと濡れたファルナを差し出した。全員が一斉に眉を顰める中、それでも一応、ユリウスがファルナをしっかりと受取った。
「あの、」
(何も聞かないで下さい。まさかこんな子だとは思ってなかったんです。もっとこう……ファンタジーを期待していたというのに……! 姫君は天然ボケでは駄目だ! むしろ『助けて〜! 勇者様ぁ!!』と叫ぶくらいでないといけないのだ! これでは姫君を攫ったカッコ良い魔王のお話にはならないではないか!)
 ぐっと拳を握ると、魔王はさっさとその身を翻した。呆然と自分を見守る皆に挨拶も無く、憤りの感情と寂しさの感情とを織り交ぜた足取りで、水面へと向かって飛翔する。
 やがて。
 下の方からぼとんっ! と、何かの水に沈む音が聞えて来た。
 ……しん、と。
 何事もなかったかのように、辺りがしつこく静まり返る。
 ――今のは何だったと言うのだろう。
 誰もがその疑問を、けれども口にはしなかった。
 否、できなかった。
「……えと、」
「とりあえず、ファルナのこと起こしたら?」
「そ、そうですね」
 みあおの提案に、ユリウスが近場のベンチの上にファルナを下ろした。そのまま、軽く頬を叩きながら、
「ファルナさん?」
「ん〜……急ぎの用事があるの……でし、たら〜……、」
「ファルナさん、起きて下さい? こんな所で寝たら、風邪引きますよ?」
 夏場と雖も、北海道の夜は冷える。まして、びしょ濡れのファルナは、それだけ風邪をひきやすくなっているのだから。
 さて、どうしたものでしょうねぇ。
 腕を組むユリウスの横に、すっと影が現れた。
「……マスター、起きてください」
「ん〜……ファルファには〜……内、しょ……」
「マスター、」
「……あと五分〜……」
「マスター」
「……」
「マスター、朝ですよ」
「ん……わかり……ましたぁ〜……」
 ファルファの呼びかけに、ようやくファルナが身を起こした。その姿に、皆はファルナが無事だとはわかっていても、思わずほっと胸を撫で下ろしてしまう。
 ファルナは再び伸びをすると、ぼやける視界を、ざっと辺りへと見回した。
 ……あれ、わたくしは〜……
 一体今まで、何をやっていたと言うのでしょう〜……?
 意識が現実に戻るにつれ、ふとした事が気になり始める。
 びしょ濡れの服。べったりと纏わりつくかのようで、心地悪いことこの上ない。
 やおら。
 すっくとファルナが、立ち上がった。
「濡れてしまっていますね〜……あらあら〜、どうしましょう〜……」
 しかも水源の水が汚かったのか、あまり心地の良い臭いはしてこない。皆がファルナの行動を見守るその中で、
「ファルファ〜、お着替えお願いします〜」
「はい、マスター」
 微笑むと、ファルナは何の前振りもなく、ワンピースのボタンへと手をかけた。そのまま、慣れた手つきでボタンを外し、
「……ちょっと、ファルナさんっ?!」
「ファルナ! 何やってるのっ?!」
 いくら闇夜とは言え、公園という場所で、しかも目の前に男がいるのにも関わらず、ファルナは次から次へと脱いで行く。
 みあおの止めも、虚しく響き渡るばかりで。
 慌てて麗花が、悠也とユリウスとを向こう側へと連れて行った時には、ファルナはご丁寧にも下着まで脱ぎ終わっていたのだという。


IV

「それにしても、変な事件でしたね」
「というか、何も解決しとらんだろう。あの変な『魔王』とやら……野放しにしておいて、本当に良かったのかどうか」
 後日。
 『紅茶専門店・オレンジペコー』にて、あの日の七人がのんびりと昨夜を振り返っていた。
 溜息を吐く戒那の言葉に、
「……でも、あえて追うのも……ねぇ。あの霊でしたら、あまり害にはなりそうもありませんし」
 戒那からの勧めによって、甘いミルクティーでもある『シンシア』を嗜みながら、ユリウスがのんびりと微笑んだ。
「でもさぁ、あれって麗花の修行に全くなってないじゃん。意味ないよ、本当」
 そこにオレンジジュースを啜る、みあおの容赦ない言葉が突き刺さる。
 確かにみあおの言うとおり、今回は本題とは相当ずれた事件の完結≠ニなってしまった。水源地に赴いた意味は、果してあったのかどうか。
 的を射たみあおの言葉に、全員が一斉に溜息を吐くその中で、
「でも、楽しかったです〜。ねぇ、ファルファ〜?」
 クッキーを齧りながら、長閑な声音でファルナが小首を傾げた。
 ファルファからの返事はない。けれど、
「ほら、ファルファも楽しかったって言ってます〜。……あ、そうそう、みあおさん〜?」
「何? ファルナ」
 満足そうに頷くと、ファルナは視線をみあおの方へと巡らせた。黙り込んでいた麗花の隣から、ちょん、と振り返るみあおに、
「これから横丁と〜、市場でも探そうかと思っているんです〜……北海道ですから〜、きっと美味しいものでもあるのではないかと思いまして〜……」
「行く行く! みあお行くよ! ミルクラーメン食べに行こうね! 海鮮丼も! あ、またトウキビ食べたいな〜。焼きたてが一番美味しいしっ!」
「……それじゃあ戒那さん、俺達は、これからどうします?」
「そうだな、今日も丁度休みだし――ああ、そうそう、重箱美味しかったぞ。ただ、やっぱり料理は暖かいうちに食べた方が美味しいな」
「なるほど、そういう事ですか。それじゃあお台所、貸してくださいね? それから――とりあえず、まず市場で買い物をしましょう。何が食べたいですか?」
 悠也と戒那とのごく自然な会話が続く。
 そんな皆の様子をじっと見つめ、
「……次回はもうちょっと、まともな場所で修行に励めたら良いですね〜」
「猊下……段々私、嫌になってきたんですけれど……」
 もう何もかもに呆れたように溜息を吐く麗花に、さて、それじゃあ私達はこれからどうしましょうかね――というユリウスの言葉が、さらに憂鬱に追い討ちをかけてくるかのようであった。


Fine



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      登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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<PC>

★ 海原 みあお 〈Miamo Unabara〉
整理番号:1415 性別:女 年齢:13歳 クラス:小学生

★ ファルナ・新宮  〈- Shinguu〉
整理番号:0158 性別:女 年齢:16歳 クラス:ゴーレムテイマー

★ 斎 悠也 〈Yuuya Itsuki〉
整理番号:0164 性別:男 年齢:21歳
クラス:大学生・バイトでホスト

★ 羽柴 戒那 〈Kaina Hashiba〉
整理番号:0121 性別:女 年齢:35歳 クラス:大学助教授

(お申し込み順にて失礼致します)


<NPC>

☆ ユリウス・アレッサンドロ
性別:男 年齢:27歳 クラス:枢機卿兼教皇庁公認エクソシスト

☆ 星月 麗花 〈Reika Hoshizuku〉
性別:女 年齢:19歳 クラス:シスター兼見習い死霊使い(ネクロマンサー)



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               ライター通信
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 まず初めに、お疲れ様でございました。
 今晩は、今宵はいかがお過ごしになっていますでしょうか。海月でございます。
 この度は依頼へのご参加、本当にありがとうございました。まずはこの場を借りまして、深くお礼を申し上げます。

 今回のこのお話は、『Lieder ohne Worte(無言歌)』に題を借りたお話の中でも、『Op.62(作品62)』のシリーズとなります。一応、これの次回作となりますのは、ホ短調『葬送行進曲』〜Lieder ohne Worte - Op.62-3』の予定ですので、もし宜しければ、頭の片隅にでも置いておいてやって下さいましね。

 斎氏と羽柴さんとの同時ご参加と言うことで、あたし、危なかったです(笑)実は二人の微妙な関係があたしも大好きなんですよね〜。恋人同士ではなくとも、信頼しあって一緒にいるのが当たり前、のような感じが致しますもの。
 ……間違っていましたらすみません(汗)
>羽柴さん
 草間、確かにそういう事しそうな一面ありますものね。きっと戒那さんとユリウスとが同じ方面に行く事になっていましたら、猊下の精神ダメージはプラス・アルファーになっていた事と思います。――その点がちょっぴり心残りです。
 あたしも男じみた女の方、というのは非常に大好きでして、戒那さんはこんなんで良いのかなぁ……などと密かな罪悪感に駆られつつ、楽しく書かせていただきました。
>斎氏
 もう少し字数に余裕があれば瑠璃花ちゃんからのお土産を、と思っていたのですが……きっと麗花には小さなクマのぬいぐるみがプレゼントされているのではないかなぁ、と思います。そうしてやはり、欠くことのできない毎回恒例の麗花へのプレゼント、ですよね♪ 今回は何だったのでしょう……多分又何か素敵なものを影でこっそりとプレゼントしているのではないでしょうか?
 水源の幽霊があんなんでなければ、もう少しご活躍いただけたと思います。……すみません(滝汗)

 では、この辺で失礼致します。又機会がありましたら、宜しくお願い致します。

※なお、ここで言う所の『無言歌集』は、メンデルスゾーンのピアノ曲集となっております。全48曲で、とても良い曲ばかりですので、機会がありましたら、是非聞いてみて下さいましね。(必ずしも、お話と曲のイメージがイコールになってはおりませんが……/汗)

28 giugno 2003
Lina Umizuki