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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


猫の神様の言う通り。

:::::オープニング:::::

ある日の奇妙な書き込みが、どれほどの人の目を惹いたのか定かではない。
レスの気配はなく、ログはどんどん流されて、ついに見えなくなってしまった。
果たして、投稿者と連絡を取った者がいるのだろうか。

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タイトル:神主募集!  投稿者:現在神主代行

神主不在の神社に、愛の手を!
あなたも神主になれます。資格は一切不要。
男女年齢問わず。経験・経歴も問いません。
但し、簡単な試験があります。
狩りの得意な方優遇。
期間契約神主様も募集しております。
詳しくはメールにてお問い合わせ下さいませ。


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千年の眠りから目覚めたばかりの亜真知が、居候先の一人娘から教えられたインターネットで情報収集を始めた矢先、なんとも言えない奇妙な書き込みがあった。
男女年齢問、経験・経歴一切問わない、資格も必要ない神主。
そんな神主が本当にあるのだろうか。
神社に興味を持っている事もあるが、それよりも何よりも、目覚めたばかりのリハビリの為。
問い合わせのメールを送った数日後、星船経由の独自のインターフェースでその返信を受け取った。

・・・・・・・・・・
ご連絡有り難う御座います。
寝子之守神社神主代行の四丁目ぶちと申します。
この度、インターネットを通しての神主募集に沢山の方からのお申し込みを頂き、
これも我が神社がお奉りする御寝子様のお力添えかと嬉しく思う次第です。
さて、多くの方よりご質問頂きました事に関して、お答えしたいと思います。
まず、神主募集と言う事で免許が必要ではないかとご指摘頂きましたが、
神主と申しましても、影神主ですので、その点のご心配なされませんように。
また、期間については目出度く神主になられた方のご都合の良い期間で結構です。
前もって可能な期間をお知らせ頂き、辞任の前に新たな神主をお捜し頂ければ問題
ありません。
試験は、極簡単なものです。筆記試験は御座いませんので、筆記用具をご用意頂く
必要はありません。
狩り能力測定に一時間、瞬発力測定に一時間、運動能力測定に一時間予定しており
ます。
集合場所、時間などは下記の通りです。


寝子之守神社神主代行 四丁目ぶち

追記:
鼠科に属する方のご参加は遠慮下さいませ。
・・・・・・・・・・

送信したメールには、神社についての質問などを幾つか書いておいたのだが、それに関しての返答がない。
狩りについても何も書かれていない。
「狩りって……、何を狩るのかしら……それに、どんな風に狩るのかしら……」
亜真知は真剣に頭を抱えた。



:::::

「いやぁ、申し訳ない、お待たせしました」
と、汗を拭いつつ現れたのは濃紺の袴を纏った30代後半の男。
まだ若々しい、ややつり目の顔に朗らかな笑みを浮かべて、境内の社務所からやや離れた木の下に集まった10人の男女を見回す。)
「今日はお集まり頂き、有り難う御座います。皆さんのお名前を確認させて頂いて宜しいでしょうか?」
と言ってから、男は手元の用紙を捲った。
「ええと……、新宿南マリリンさん、一丁目ゴミステーション付近ノラさん、鈴代ゆゆさん、海原みなもさん、榊船亜真知さん、公園通り八百屋のみーこさん、犀刃リノックさん、征城大悟さん、シュライン・エマさん、病院前タマサブロウさん……、間違いありませんか?」
それぞれ読み上げられた名前に頷きつつ、耳慣れない名前には首を傾げる。
「インターネットでの神主募集と言うのは、私どもも初めての試みで少々不安がありますが、今日は一日、宜しくお願い致します。申し遅れましたが、私が神主代行の四丁目ぶちです。」
頭を下げてから、神主代行四丁目ぶちは神社の由来と今回の神主募集の経緯を語り始めた。
曰く、
寝子之守神社は千年の昔に飢饉から村人を救った賢猫・御寝子様を祀る由緒正しい神社である。
影神主は、神社の祭事を取り仕切る本神主と巫女達の手助けをする為の職で、誰にでも出来るがそれなりに責任は重い。
主な仕事は、言うなれば夜警。本神主達が寝静まった後の神社の管理と、境内に入り込んでは供物を荒らす鼠の駆除。
先の神主が急な事故で亡くなり、現在神主を代行している自分は、さる事情があって長くここに居られない。しかし次の影神主がなかなか決まらない。そもそも、影神主に相応しい骨のある者が見付からない。
「皆様には是非、私どもの用意した試験に合格して頂き、寝子之守神社の影神主として、ご活躍頂きたいと思います」
何だかいい加減な募集である。
「ええとですね、メールには各能力測定3時間と書きましたが、少々予定を変更致しました」
と、神主代行四丁目ぶちは全員に用紙を配った。
「そこに書いてある通りですが……」
言われるままに用紙に目を落とす。

AM10:00〜12:00 運動能力測定並びに狩り能力測定
PM12:00〜12:30 昼食
PM12:30〜15:30 昼寝
PM15:30〜    結果

「昼寝……」
肝心の試験よりも昼寝時間の方が長いとは一体何事だ。
思わずそれぞれに6人が呟いたが、他の4人ま全く構わない様子。
用紙には、予定の他に境内の見取り図も描かれている。
「早速、試験に移りましょう。試験は二人一組で行いますので……」
と、神主代行四丁目ぶちは10本の紐を取り出した。
「これで、決めましょう。同じ色を引いた方が今日一日のパートナーです」
言われるままに紐を引く10人。
結果。
赤を引いた海原みなもと征城大悟。
白を引いた鈴代ゆゆと犀刃リノック。
緑を引いたシュライン・エマと榊船亜真知。
黄を引いた新宿南マリリン病院前タマサブロウ。
黒を引いた一丁目ゴミステーション付近ノラと公園通り八百屋のみーこ。
と言う組合せに決まった。
「運動能力と狩り能力の測定は、同時に行います」
「同時って、どうするんですか?」
神主代行四丁目ぶちの言葉に、首を傾げたのは鈴代ゆゆ。
同意する様に他の参加者も頷く。
「ええ、簡単な事です。皆さんの持久力・瞬発力などを調べる手っ取り早い方法として、鬼ごっこをして頂きます。鬼は私が努めますが、皆さんには私から逃れながら、狩りをして頂き……、あ、狩りは勿論、現在境内に忍び込んでいる不届き者の鼠共ですがね、12時の時点で、私に捕まった回数が少なく、捉えた鼠の数が多い程、点数が高くなります。」
ご理解頂けましたか、と一同を見渡す神主代行四丁目ぶち。
理解は出来たが、そこはかとなく納得のいかない10人。
構わず、神主代行四丁目ぶちはぽんぽんと手を打った。
「それでは、早速着替えて頂きましょう」
爽やかな青空の下を、神主代行四丁目ぶちに導かれた10人の男女がぞろぞろと社務所へ歩いて行った。



:::::

「シュライン様っ!一匹行きましたわっ!そちらです!!」
「任せて頂戴っ!」
……午前中の静かな境内を走り回る赤い袴の巫女が二人。
「シュライン様!こちらにもおりますわ!」
「あら、ちょっと待って、今こっちを……」
巫女と言うには少々勇ましすぎるのではなかろうか、シュラインは長い袴の裾を持ち上げて目の前の小さな灰色の鼠と向かい合っている。
そのやや後方に、もう一匹の鼠を発見した亜真知。
「大丈夫、こちらはお任せ下さいませ」
亜真知の言葉には応えず、シュラインは唇を細く付きだして、まるで口笛でも吹くように息を吐いている。
しかし、実際口笛を吹いている訳ではない。
シュラインの口からは、人間には聞こえない音が紡ぎ出されている。
以前、鼠駆除用の機械を見た時に覚えた音。
鼠の嫌いな音で、建物内の鼠を撃退すると言う機械だったが、シュラインはその音を真似つつ、同時に鼠を誘う鳴き声を発して唇を小さく動かしている。
呼び寄せたり遠ざけたりしながら、隙をついて別の音で鼠を気絶させようと言う考えだ。
既に同じ方法で、二人は3匹の鼠を捕まえている。
まずシュラインが耳を澄まして、鼠の居場所を突き止める。
と、今度は亜真知が結界を張って鼠の行動範囲を狭め、逃げ出せないようにする。
あとは二人のやりたい放題、鼠の取り放題。
鼠など捕っても全く嬉しくないが、それが試験なのだから仕方がない。
元々、亜真知は千年の眠りから覚めたリハビリを兼ねての参加。
シュラインは「神主募集」と言う言葉に引かれての、興味本位の参加。
既に神主になるつもりはない。
別段試験の点数を気にしなくても全く問題ないのだが、だからと言って、他のメンバーが必死になって試験に望んでいる間を遊んで過ごすのは申し訳ない。やるからには真面目にやらねば。
「捕まえましたわ!シュライン様、4匹目です!」
「こっちも捕まえたわ。これで5匹目ね」
殺すには忍びないので、気絶させているのだが、生きた鼠を素手で掴むのはなかなか勇気が要る事だ。
亜真知の張った小さな結界の中に鼠を放り込んで、ぱんぱん、と二人は手を放った。
これがゴキブリだったらと思うと、シュラインの背筋は冷たくなる。
「それにしても、鼠がこんなにいたのでは本当に大変でしょうね」
しみじみと、亜真知が言った。
「本当にね。それにしても、猫の神様をお奉りしてる神社でしょう?そんな神社にやって来るんだから、なかなか根性のある鼠だわ」
神社側も、わざわざ影神主まで用意するのだから凄い。
「まるで、トムとジェリーよね」
「ああ、アニメのですね。少しだけ見た事があります」
「ねえ、鼠の駆除が出来れば影神主は不要って事かしら?」
ふと、シュラインは首を傾げた。
影神主の存在が鼠駆除の為だけならば、その通りかも知れない。
亜真知は頷いて、辺りを見回した。
境内中を走り回る袴姿の人間がちらほら……。
その中に、鈴代ゆゆと犀刃リノックを追い掛けている神主代行四丁目ぶちの姿が。
「ちょっと、お呼びして聞いてみましょうか?」
言って、亜真知は手を挙げて神主代行四丁目ぶちを呼んだ。
「はいはい、何でしょう……、ああ、随分沢山捕まえましたねぇ」
肩で息をしながら、ぶちは感心そうに鼠を見た。
「ちょっと、お尋ねしても宜しいかしら?」
シュラインの言葉を継いで、亜真知が口を開く。
「もしかして、影神主のお仕事は鼠の駆除だけなのでしょうか?」
すると、とんでもないと言う風にぶちは目を見開いて首を振った。
「鼠だけではありませんよ!カラスにノラ犬に、捨てられた猫の面倒も、私どもの大事な仕事です」
「あまり神職らしくないような気がしますけど……?」
「何を言いますか。どんな仕事も、御寝子様が与え給うた立派な仕事ですよ。さあさあ、試験もあと30分程ですよ。最後まで頑張って下さい」
そう言うと、ぶちは突然二人に背を向けて、木で顔を隠した。
「良いですか、今から10数えたら、私はお二人を捕まえに行きますよ」
「…………」
シュラインと亜真知は顔を見合わせる。
順調に鼠を捕まえたかと思ったら、次は鬼ごっこ。
これまた、遊びと思って疎かには出来ない。
二人はぶちが5まで数えた処で慌てて走り出した。



:::::

何処からともなく笛の音が響き渡り、参加者全員は試験の終了を知った。
集合場所である木の下に、ぞろぞろと戻ってくる10人の男女。
手に鼠を持っている者がいれば、持っていない者もいる。
それぞれ着替えた袴を砂埃だらけにし、汗だくになっている者がいれば、清潔なまま涼しい顔をした者もいる。
「はいはい、皆さん御苦労様でした」
神主代行四丁目ぶちが言い、それぞれの鼠を受け取る。
「シュラインさん3匹、亜真知さん2匹、大悟さん1匹、みなもさん0匹、マリリンさん4匹、タマサブロウさん3匹、ゆゆさん0匹、リノックさん0匹、ノラさん2匹、みーこさん3匹……」
数え終わると、10人はぶちと巫女に促されてシャワーを浴び、新しい袴に着替えてから少し広めの部屋へ通された。
「おお、極楽だ!」
思わず呟いたのは大悟。
エアコンが程良く効いた部屋には、10人分の簡単な料理が並んでいる。
「わぁ、涼しくて気持良い〜っ!!」
と言ったゆゆは、清潔そうな畳の上にパタンと倒れて涼しさを満喫する。持参したペットボトルから水分はマメに補給していたが、燦々と降り注ぐ直射日光に半ば萎れかけていた。
「皆さんお疲れでしょう。ゆっくり食事して、3時半までお休み下さい。結果は、本殿でお知らせしますので、3時半には本殿にお集まり下さい」
言い残してぶちは部屋を去り、ほっと息をついた10人はそれぞれお茶を飲んだり、寝転がったり、食事をしたりと、思い思いにくつろぐ。
「ところで、皆さん何度くらい捕まったのですか?」
リノックが尋ね、
「私達は捕まらなかったわ」
と、シュラインが答える。
「あたしたちもですよ」
と、ゆゆ。
「あたしはちょっと危なかったけど、大丈夫でした。大悟さんも」
と答えたのはみなもで、大悟は一番風当たりの良い部屋の隅で、寝っ転がっている。
「おら達はいっぺん捕まったな」
とノラが言い、
「あたくし達は2回捕まりましたわ」
とマリリン。
「ねえ、この試験の採点って、どうなってるのかしらね?」
シュラインは昼食の煮物をつつきながら言った。
「鼠を捕った数を1点として、捕まった回数をマイナス1点で計算してみては如何でしょう?」
亜真知の言葉に、みなもがメモとペンを取り出してそれぞれの鼠獲得数と捕まった回数を書く。
  
 名 前  >獲得数:捕まった回数=得点

  みなも > 0 : 0 =0
  大悟  > 1 : 0 =1
  ゆゆ  > 0 : 0 =0
  リノック> 0 : 0 =0
 シュライン> 3 : 0 =3
  亜真知 > 2 : 0 =2
  マリリン> 4 :−2 =2
タマサブロウ> 3 :−2 =1
  ノラ  > 2 :−1 =1
  みーこ > 3 :−1 =2

「シュラインさんが一番ですね。選ばれたら、引き受けますか?考えてみれば、名前も相応しいようですが……」
リノックの言葉に、一瞬全員が分からないように首を傾げたが、すぐに納得する。
シュライン・エマ。
神社=shrineとエマ=絵馬。
しかしシュラインは首を振った。
「ところで、拒否権はあるんだろうなぁ?」
と言ったのは、寝転がったままこちらを見ている大悟。
「それは、あるでしょう。期間契約があるくらいですから……」
ゆゆは書き込みの内容を思い出しながら言った。
「だとしたら、シュラインさんの次は亜真知さんとマリリンさんとみーこさんですよね。この3人の中から選ばれるんでしょうか?」
言いながら、みなもはマリリンとみーこを見る。が、昼食を早くも平らげた2人は座布団を枕代わりに体を丸くして眠ってしまっている。
「わたくしたちも、少し休みましょうか?3時半まで、まだまだ時間がありますから」
「賛成!あたし、もうくたくた……」
亜真知の言葉にゆゆは強く頷き、先に眠ったマリリンとみーこを見習って座布団を枕にして横たわる。
「確かに、炎天下でやり慣れない事をしたら疲れちゃったわね……」
少し頭痛がするのは、日射病かも知れない。
3時間もボンヤリ過ごすのも詰まらないし、これと言ってやる事もない。
満腹のお腹を抱えて、思い思いの格好で、涼しい部屋の中、参加者は気持ちよく昼寝をした。



:::::

午後3時半になり、ぞろぞろと起き出した参加者が本殿に行くと、祭壇の正面に一匹のぶち猫が座っている。
「あれ、神主代行さんは何処でしょう?」
リノックの言葉に、猫が振り返りにゃぁと鳴いた。
祭壇の正面に飾られているのは、この神社が祀る御寝子様だろうか、座布団にどんと腰を下ろした白黒斑の像。
「参加しておいて悪ぃけど、俺やっぱ神主にはなれねぇわ」
ポンポンと手を打って、大悟が正面の猫の像に言った。
「あたしもです、ごめんなさい」
大悟の隣で、ゆゆも手を合わせる。
「残念だけど、私も遠慮するわ」
とシュラインが言い、
「私もです」
とみなもがペコンと頭を下げる。
「にゃぁ〜ん」
斑猫が続きを促す様に鳴き、リノックも少し笑みを浮かべて言った。
「すみません、僕も無理です」
「わたくしも、ごめんなさい」
亜真知が頭を下げると、斑猫は残りの4人に目をやった。
4人は一瞬返答に困ったように顔を見合わせて、神主をやっても良いと答える。
と、斑猫が祭壇の正面に並べた4枚の札に近付き、クンクンと匂いを嗅ぎ始めた。
右から左へ、左から右へ、ちょんちょんと鼻先を付けて、その内の一枚を前足で取る。
取った札を大悟の足元へ運んで来たので、それを拾って大悟が代表で読み上げる。
「ええと、何だ?
『猫の神様の言う通り。新しい影神主はマリリンに決定にゃん。』
……おい、にゃんて何だ、にゃんて」
大悟の紫の坊主頭に濃紺の袴と言う何とも印象的な姿からは思いもよらない「にゃん」と言う言葉に、一瞬全員が笑った。
「笑うなコラッ」
「ともあれ、無事神主が決まったじゃないの」
シュラインが笑いを堪えつつマリリンを見る。
「おめでとうございますっ!」
みなもが拍手を送ると、全員が手を打ってマリリンを祝福し始めた。
と、その時。
「あれ、猫が……」
ゆゆが祭壇の前の猫を指す。
満足そうにマリリンを見ていた斑猫は、ゆっくりと体を起こして伸びをすると、正面の猫像に向かって歩き始めた。
「あ、ちょっと、神主代行四丁目ぶちさん!」
ノラが呼びかけるが、斑猫は構わず歩いて……。
10人の目の前で、像にゆっくりと吸い込まれていった。
「あれれ、吸い込まれちゃいましたね……」
リノックはまじまじと像を眺めて、見間違いではなかったかと辺りを見回した。
「あの……、あたし、ちょっと調べて来たんですけど、ここの神様の名前って、ぶちって、言うんです」
ゆっくりとみなもが口を開く。
「あら、御寝子様ではないのですか?」
亜真知が首を傾げた。神主代行四丁目ぶちは「御寝子様」と呼んでいたと思ったが。
「ええ、御寝子様と言うのは後に付けられた愛称で、本当はぶちなんです。この辺りは昔、お屋敷が沢山建っていたそうで、その内の一件で飼われていたぶちと言う猫が、飢饉の時に飼い主や近所の人を助けたって、由来に書いてありました」
「そう言えば、住所が4丁目って……」
シュラインは送られてきたメールに記された住所を思い出す。
「つまりアレか、さっきの猫は神主代行四丁目ぶちで、この神社の神様って事か?」
「自分の目で、影神主に相応しい人材を選んだと言う事ですか?」
「はぁ……、」
溜息とも返事とも取れない声を出すゆゆの足元を、一匹のペルシャ猫が擦り抜けた。
「あれ、この猫、どこから……?」
ゆゆの足元から祭壇に向かい、まるで、そこが自分の場所であるかのようにすとんと腰を下ろす。
「あ、もしかしてマリリン様……?」
亜真知の足元を、3匹の猫が外へ駆け抜けていった。



end




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1252 / 海原・みなも   / 女 /  13 / 中学生
0662 / 征城・大悟    / 男 /  23 / 長距離トラック運転手
1565 / 犀刃・リノック  / 男 /  18 / 魔導学生
0428 / 鈴代・ゆゆ    / 女 /  10 / 鈴蘭の精
0086 / シュライン・エマ / 女 /  26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
1593 / 榊船・亜真知   / 女 /  999 / 超高位次元生命体:アマチ・・・神さま!?
 
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■         ライター通信          ■
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最近携帯を買い換えたのですが機械音痴故に操作法がイマイチ分からない佳楽です、こんにちは。
この度はご利用有り難う御座いました。
生息県のお隣の県に、猫の神様を祀った神社があります。何時か行ってみたいものだと思いつつ、
なかなか行く機会がありません。
今回、お話を書きながらひたすら猫紹介のサイトを回っていました。
あまりの猫の可愛さに、幸せすぎて涎が……。
猫屋敷に暮らすのが、夢です。
とか言う訳で。
また何時か何かでお目に掛かれたら嬉しいです。