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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


瞳の中の死神

「ねえ、三下くん。塩、まいてくれないかしら」
 真夜中のアトラス編集部だ。たったひとりの残業(居残りというべきか…)からはっと顔を上げた三下は、オフィスの入口に喪服姿の碇麗香の姿をみとめた。
「は、はい。……編集長、今日はもう戻られないものとばかり」
 麗香は疲れた様子で息を吐きながら、黒いジャケットを脱ぐ。
「あのう……だいじょうぶですか」
 おずおずと三下が声をかけるのへ、麗香は自嘲めいた笑いで応えた。
「三下くんに心配されるようになったら私もおしまいね」
「あ、いや、その……すいません……」
「……いいのよ」
 麗香の声はいつになく力がない。
「それにしても因果な商売ね。旧友の死にショックを受けるより先に、これはいいネタだ、って思っちゃうの」
「えっ」
 麗香はデスクに戻るなり、手帳を広げ、パソコンを立ち上げる。
「亡くなった貴子はね、『ジェラシィ』の編集者だったの」
「あのファッション誌の?」
 ファッション、などというものから程遠いところで日々を生きている三下でさえ、その誌名は聞き覚えがあった。
「自殺なんてする子じゃない……って私は思うけど、そこは人間だもの、私にはわからないなにかがあったのかもしれない。実際、そう頻繁に会っていたわけでもないしね」
 しんとした編集部内に、麗香の指がキーを叩く音だけが響く。
「……でもね。彼女と仕事をしたばかりの人間が、彼女が死ぬ3日前に、やっぱり自殺していたとしたらどうかしら?」
「え――っ」
 プリントアウトした用紙が、デスクの上に置かれる。

  辻野・貴子(『ジェラシィ』編集者)………自殺
  丸山・宏一(カメラマン/フリーランス)…自殺
  凪・奈穂子(モデル/『オフィスK』所属)
  寺西・正夫(スタイリスト/フリーランス)
  斎藤・結花(ヘアメイク/フリーランス)

「この5人が――正確には、カメラ、スタリスト、メイクにはそれぞれのアシスタントが1人ずつ付き、モデルにはマネージャーが同席していたそうだけれど、そのメンバーで、10日前、青山のあるスタジオで撮影が行われたの。もちろん『ジェラシィ』の特集記事のために」
「…………」
「そのスタッフのうち2人が原因不明の自殺。これが偶然だと思う?」
 麗香の瞳が、その奥に暗い炎を宿したような熱をおびているのが、三下にはわかった。
「もしも……貴子が……彼女が、自分の意志ではなく死を選ばなければならなかったとしたら……私はそれを記事にすることが、私なりの、彼女の弔いになるのだと思うのよ」



 ストロボが焚かれるたびに、白い閃光がまたたく。カメラの撮影において、プロとアマチュアの差がもっともあらわれやすいのが、光のコントロールにある。光量を確認し、慎重にライティングが計算されることで仕上がりが格段に違うのだ。
 今、青山の某スタジオでそうしたライトの調整に取り組んでいるのは、先日自殺を遂げたカメラマン丸山宏一のアシスタントだった青年である。そして、もうひとり、立会うべき編集者・辻野貴子の姿がない。それ以外はすべてがあの日と同じ――そのことが、かえって、ふたりがもういないのだという残酷な現実をつきつけてくるようだった。
 遠巻きに、撮影の準備に勤しむ面々を眺める4人の人物がいる。それもあの日とは違うことのひとつだった。
 4人の人間は皆、女性だった。――だが、なんともおもむきの違う、そしてそれぞれに印象的な人物であったことか。
「あの方を中心に……いえ、あの方から、周囲を死へとひきこむ強い《流れ》が視えます」
 艶やかな漆黒の長い髪。黒のワンピースに白のエプロン姿の海原みそのが、口を開いた。
「ではやはり、あの人が原因ということ?」
 応えたのは綾和泉汐耶である。スマートな体躯と長身、シックなパンツスーツ姿は、スタジオに立っているとまるでモデルさながらだ。
「ですが、悪意は感じられません。ただ不吉な霊気だけが」
 じっと、撮影現場のほうへ視線を投げかけたまま天薙撫子がいった。こちらはまたうってかわった和装。汐耶と同じく眼鏡をかけてはいるが、中性的な汐耶と比べると可憐な少女らしさがきわだつ。
「そこにからくりがあるようですね」
 4人目は、ぬけるように白い肌の女性だ。切れ長の双眸に収まった黒曜石のような瞳がきらめく。謎めいた古書店店主だという彼女はステラ・ミラという。
 彼女たちが見守る中、作業は着々と進んでいるように見えたのだが。

■メメント・モリ

 その数日前のことである。
 都内某所の老舗出版社、美談社の自社ビル裏手にある駐車場に、夜更けにあらわれた女性がいた。――碇麗香である。駐車場の一角には、花が供えられている箇所がある。そのまえにしゃがみこみ、じっと手を合わせている麗香。
「辻野様はそこで?」
 かけられた声にふりむくと、ステラ・ミラの姿がある。夜風に、彼女の長い髪と、いささか時代錯誤なインバネスが揺れた。
 麗香は無言で肩をすくめる。
「過酷な労働環境への抗議だったのかもしれないわ。自社ビルの屋上から飛び降りるなんて」
「……ご友人の死を悼むのは、なんら恥ずかしいことではありませんよ」
「…………有能な編集者だったのに」
 ステラの深い闇色の瞳にみつめられて、麗香は思わず目を伏せた。しばしの沈黙のあと、目を開けると、もう彼女の姿はどこにもない。

 ステラ・ミラは、ビルの屋上にいた。
「辻野様」
 虚空に呼び掛ける。冷たい夜風が彼女の頬をなでた。あまり変わらないステラの表情が、かすかにひきしまる。
 そこでフェンスを乗り越えようとする女性の姿が、彼女にだけは見えているのだ。その女性は闇の中へ、死のダイビングを遂げたかと思うと、ふと気づけばまだそこにいて、また、フェンスによじ登りはじめている。
「……あなたは、もう亡くなられたのですよ」
(死――)
 声をかけたステラの耳に、ささやきが聞こえてきた。
(死ななくちゃ――)
 ぎし、ぎし、と、フェンスがきしむ音までもが聞こえてくる。
(死ななくちゃ……死ななくちゃ……)
「『その必要はありません』」
 力をこめてステラが、宣言するように言い放つ。
 途端に、まぼろしのような姿がかき消えた。
 ステラの足元に、いつのまにか、白い毛並みの狼が寄り添っている。問いかけるように、それが主人を見上げるのへ、
「なんらかの強制呪縛(ギアス)をかけられておられたようですね。急いだほうがいいかもしれません。次の犠牲者が出る前に」
 と、呟いた。

 翌日、美談社には海原みそのと、綾和泉汐耶が、連れ立って訪れていた。
「ええと、あった、これだわ」
「これ、お借りしても?」
 封筒を受取りながら、汐耶が訊ねた。
「うーん。こっちの校正刷りとBポジ――ああ、使わなかった写真のことですけどね、それならいいですよ。いちおうもう入稿なんで、必要なものはちょっと。すいませんけれど」
「いえ、いいんです。……記事は、予定通りに出るんですね」
「そうですね、そうしないわけには。……おそろしいところでしょう、出版業界って」
 自嘲めいた笑みを残して、辻野貴子の同僚だった編集者は自分の仕事へ戻っていった。
 汐耶は図書館で働いている。もっとも、雑誌類は担当が違うこともあり、決して詳しくはないが、それでも多少は出版の現場に関する知識も持ち合わせているのだ。
「カメラマン、編集者の順でしょう。写真に問題があるんじゃないかと思ったんだけど」
 辻野貴子が残した資料や原稿、写真類をデスクに広げた。「夏の夜のクールビューティ」――そんなタイトルが目に飛び込んでくる。
「素敵」
 物理的・生理的にはものが見えていないはずなのだが、みそのがぽつりと言ったのは、誌面上のファッションのことを指しているらしい。
「なにかわかる?」
「そうですね……これは確かに、あまりよろしくありませんわ」
 みそのは写真を手に取った。黒い服を着たモデルの姿が写っている。
「わたくしには、この写真が語りかけているように感じられます。『死になさい、死になさい』――と」
 ぞっとしない話だ。
「あまり放置しないほうがよさそうね」
 写真の上に手をかざすと、汐耶は、禁じられた魔導書に対してそうするように、彼女の封印能力をふるった。通常の視界ではなんの変化もない――が、みそののように特別な感覚を持つものになら、写真がうっすらと、繭のようなものにおおわれたのがわかっただろう。
「汐耶様、これは複製に過ぎませんわ」
「ええ。やっぱり青山のスタジオでなにかが起こって、これが生まれた。他の人にも事情を聞いてみるべきかも」

 甲高い悲鳴が、代官山の瀟洒な町並みに響いた。
「先生! どうしたんですか、やめてください!」
 悲痛な叫びと、追いすがる手を振払って、その女性は今、ベランダの手すりを乗り越えようとしている。
「誰か!誰か助けて!」
 この騒ぎの中では、憑かれたような目をした女性が口元でなにやら呟いているのを聞き取れたものはいない。
「死ななくちゃ……死ななくちゃ……」
 そして、飛び降りた。
 ひときわ鋭い悲鳴。
 彼女が飛び出したのはマンションの7階だ。捨てられた人形のようにまっさかさまに落下して、そして――
 すんでのところで、空中で目に見えない網にでもとらえられたように、落下は止まった。いや――よく見れば、ぐったりした女性の身体には、細い、糸のようなものがまさに巻き付いているのだ。
「……なんとか、間に合いましたわ」
 眼鏡の奥で、撫子のやさしい瞳が安堵の色を見せた。
 妖斬鋼糸――。天薙撫子のあやつる鋼の糸は、彼女の霊力を通すことで魔性を断つ武器にもなれば、こうして人を救うこともできる。
 気を失っているらしい女性の身体を地面の上にゆっくりと降ろす。ふと気配に気づいてみると、汐耶とみそのの姿があった。
「その人は?」
「斎藤結花さん――。例の記事の、メイク担当の方ですわ」

■この人を見よ

「……落ち着かれましたか」
「ええ、ありがとう。でも、わたし……」
 あおざめた面持ちで斎藤結花は言った。
「いったいどうして……」
「なぜ飛び降りたか、ご自身でもわからないんですね」
 汐耶の指摘に、力なくうなずく。
「また……こんなことがあったら、次は本当に死んでしまうのかしら。辻野さんや丸山くんみたいに……わたし……」
「大丈夫」
 撫子がそっと彼女の腕にふれた。
「大丈夫ですよ。この事務所と、ご自宅に結界を張ります。魔除の護符の類もご用意できますし」
「ええ……でも……」
「斎藤さん、教えてくださいませんか。先日の撮影の際に、なにか変わったことはありませんでしたか。自殺された方や、他のみなさんにも何か」
「警察の人にも聞かれたけれども、辻野さんたちは本当にいつも通りで……。わたしたち、あのメンツで撮影をするのも初めてじゃないし、なにかあればわかるはずなんです。凪さんが、ちょっと元気がないかな、とは思ったけれど、そのくらいのことで」
「モデルの凪奈穂子さんですね」
「ええ、でも別に、ほんのちょっとそんな気がしただけで」
「その後も変わりなく?」
「そう……そういわれれば、撮影が終ったあとに、なんだかいつも以上に疲れたような気はしました。でも……」
 撫子は、汐耶、みそのと目を見交わす。
「お願いがあります」
 撫子は続けた。
「あの日、撮影にかかわったみなさんを、集めてくださいませんか。同じスタジオで撮影の状況を再現してみたいんです」
「賛成」
 と汐耶。みそのもうなずいた。

 当日、スタジオに集合した人々の中には、白い狼を連れたステラ・ミラの姿もあった。
「カメラマンの丸山様も、飛び出して車にはねられた道路で、同じ行動をくりかえしておられました」
 顔色ひとつ変えずにステラは言ったが、声には、悲痛な色が感じられる。永劫に死に続ける――。想像を絶する永い時間を生きてきた彼女には、そのおそろしさと哀しさが常人よりもリアルにわかる。
「自縛霊だと、自分が死んだことに気がつかないケースもよくありますよね」
 そんな撫子の言葉にかぶりを振ると、
「『死のう』とする意志を、死んだ後も持ち続けているのです。そんなことは普通ありません。奇妙なことですが、自分の生死とは別に、ただ『死にたい』という意志だけがあるような。言霊によって解除することができましたが……あの日、ここにいあわせた方はどうやらみなさんが、同じ呪縛をかけられている可能性が高いですね」
 と言いながら、スタジオを見回す。
「その日にスタジオにいた、という限られた条件ですけど、その中でも、人はふたとおりに分けられるんじゃないかと思うんです」
 撫子が言った。
「それは、撮影する側とされる側です」
「えっ、つまり、モデルの」
 汐耶ははっとして、ホリゾントの前に立つ女性を見た。
 黒いサマードレスを来た、背の高いほっそりした女だ。たしかに、そう考えると、彼女を写した写真から邪悪な波動が発せられていたことも説明がつく。
「あの方を中心に……いえ、あの方から、周囲を死へとひきこむ強い《流れ》が視えます」
 みそのが、口を開いた。
「ではやはり、あの人が原因ということ?」
「ですが、悪意は感じられません。ただ不吉な霊気だけが」
「そこにからくりがあるようですね」
「彼女のマネージャーの人に、話を聞いてみてはどうかしら」
 汐耶の提案に、撫子はうなずいたが――
「でもいらっしゃいませんよ」
「あら。確かさっきまで――」
 汐耶の言葉を悲鳴がさえぎる。……となりの機材室だ。4人は走った。
「いけない!」
 パイプ椅子の上に乗り、どうやったのか、天井からつるしたロープの輪に頭をくぐらせようとしている男――かれがまさしく、凪奈穂子のマネージャーとして紹介された青年だったと、彼女たちが気づいたときには、彼の足は椅子を蹴倒していた。
「オーロラ!」
 ステラの鋭い号令。
 白い獣は誰よりもすばやく、跳躍し、一瞬で、ロープを食いちぎっていた。
「《流れ》を止めませんと――」
 みそのの言葉を受けて、汐耶は、呆然と立ち尽くしているように見えるモデルに向き直った。
「あなたなの」
「わたし……なにも……」
 おびえたような瞳。星のまたたく夜空のように、深い色の――
「いけませんわ、汐耶さま! ひきこまれては!」
 そのみそのの叫びが耳に入ったかどうか。
(死ニタイ)
 声ならぬ声が頭の中で響く。
「あ……」
(死ニタイ)
「……死」
「『いけません』」
 ふしぎなひびきをともなうステラの声が放たれた。呪力を込めた発声なのだ。
「『退きなさい。邪悪な意志よ』!」
 はじかれたように、奈穂子の身体がのけぞった。その目から、青い炎のようなものがほとばしった。それは摂理とは逆に地から空へとかけあがる流星のごとくに、とびあがった……が、スタジオの天井近くで、目に見えぬ壁にぶちあたったかのように、火花を散らしながら軌道を変える。
「妖斬鋼糸の多重結界をほどこしてあります。ここからは逃げられませんよ!」
 撫子のたおやかな指の動きにあわせて、なにかが風を切った。
 ――ビィ……ン
 決して通常の音声ではない、しかしたしかに悲鳴のようなものを、その場にいた全員が聞いた、と思った。
 ぽとり、と、小さなかけらが落下する。
「これって」
 ふらつくのを、みそのに支えられながら、汐耶がそれを検分した。
「コンタクトレンズだわ」
「それが依代になっていたのです」
 とステラ。
「あなた、誰かの死をご覧になったでしょう」
 奈穂子は、突然、コンタクトを失った目をしばたきながら応えた。
「あの日――来る途中に、駅で人身事故が……飛び込みがあって、わたし……」
 おそろしい記憶に身震いする。
「目が――合っちゃったんです。まだ若い女の子だった」
「その『意志』がコンタクトにとり憑いた」
 撫子が後をひきとった。
「そして彼女の目を見た人間へ……瞳から瞳へと『死にたい』っていう想いが伝染していったのですね」

■「夏の夜のクールビューティ」

 その日、美談社『ジェラシィ』編集部ではちょっとした悶着が起きていた。
 白王社『月刊アトラス』編集長・碇麗香に率いられた女たちが、入稿目前の次号の記事「夏の夜のクールビューティ」の掲載差し止めを要求してきたのである。
 むろん、編集部としては誌面に穴を開けるわけにはゆかない。筋の通った理由ならまだしも、先方は「あの記事が印刷されて出回ると、全国に自殺者が出てしまう」などと、意味不明のことをくり返すばかりなのだ。
 ほとんど掴み合いにならんばかりにまで発展し、とうとう最後は、先方の、乗るはずだった記事のぶんのページを白王社で買い取る。かわりの記事を制作して提供する、という、無茶苦茶な申し出を、しかし「売り言葉に買い言葉」的に美談社側が呑んでしまうことで決着を見た。どういうわけか、件の記事にかかわったヘアメイクの斎藤結花、スタイリストの寺西正夫らもその提案を支持した。
 しかしながら――
「あの……。失礼ですけど、碇さん、同じ編集とはいえファンション誌なんて……」
 おずおずと問いかけた汐耶に、
「もちろん出来やしないわよ」
 にべもなく応えた麗香は、
「そこでお願いがあるの」
 と、ステラに向かって言った。
「貴子を降霊してもらえないからしら。わたしの身体を依代にしてもらって構わないわ。やっぱり、こういうことはプロに任せるべきでしょう? 彼女の仕事だったんだもの。最後までやりとげてもらわないとね」
「でも凪さんは随分、ショックを受けてらっしゃるようで……モデルは難しいみたいですわ」
 撫子が言った。無理もない、といった表情だった。
「それは、かわりのモデルを使うのよ」
 にやり、と、微笑った麗香の顔に、撫子は不吉なものを感じたのだったが。

 一週間後。
 『ジェラシィ』7月号が発売されると、掲載された記事「夏の夜のクールビューティ」に問い合わせが殺到した。誌面のできばえが優れていたことももちろんだが、登場した4人のモデルが、まったく見覚えのない、しかし、実に印象的な女性たちだったからである。

 海原みそのは、ご満悦だった。彼女がキャリーで引いているのは、麗香が依頼料かわりにと、撮影で使った衣裳を買い取って彼女にくれたものだった。

 彼女たちに命を救われた、例のモデル事務所のマネージャーが、4人を紹介してもらいたいと白王社に連絡を取ってきていたが、麗香は苦笑しつつお茶を濁している。
「わたしもモデルをやればよかったかしら」
 というつぶやきに、三下が飲みかけのお茶を吹き出した。
 麗香は、雑誌を辻野貴子の墓に供えてやるつもりだ。

(了)

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【0328/天薙・撫子/女/18歳/大学生(巫女)】
【1057/ステラ・ミラ/女/999歳/古本屋の店主】
【1388/海原・みその/女/13歳/深淵の巫女】
【1449/綾和泉・汐耶 /女/23歳/司書 】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは。リッキー2号です。ご参加ありがとうございました。
『瞳の中の死神』をお届けいたします。
(実は微妙にネタバレしていたこのタイトル…)

OMCで書かせていただいているのはごく最近のことで、
こういった形式の文章の書き方をするのが新鮮なこの頃です。
今回のラストの展開は、参加者がみなさん女性キャラクターで
あればこそ。当初はなんの予定もないことだったのに、
結果としてはこのようにオチが着くような形になったのは
面白いを通り越して不思議とさえいえます。

と、ライターが勝手に楽しむばかりじゃいけませんが、
参加者のみなさまも、お楽しみいただけたのなら、
そして、みなさんのイメ−ジ通りにキャラクターを描けていたと
思っていただけたのなら、こんなに嬉しいことはありません。

>海原みそのさま
いつもありがとうございます。
ご依頼通り、衣裳はみそのさまのものでございます。
ついでお召しいただいて雑誌にも載っていただきました(笑)。
写真の原本も差し上げますので、深海に飾っておいてください。

それでは、機会があれば、またお会いできれば嬉しいです。
ありがとうございました。