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猫を飼う未亡人
たしかに、“怪奇探偵”などという二つ名はとっとと返上してしまいたい。しかし、だからといって、あまりに庶民的過ぎる依頼もどうか。
「いったい何匹いるのか検討もつきやしないけど、二十匹はくだらないわね。広い家だから、自分はいいのかもしれないけどねえ」
「はあ」
「鳴き声に、フンに、におい。近所は迷惑もいいところよ」
草間の事務所に駆け込んできた中年女性は、憤懣やるかたない、といった調子でため息をついた。
「……で、その家の住人には直接、訴えたわけですね?」
「もちろんよ。でも伊坂さんったら『ごめんなさい』ってくり返すばかり。『でも、猫を飼うのをやめるわけにはいかないの』ですって。まあ、ご主人が亡くなって寂しい気持ちはわからないでもないけどねえ」
「ほう。未亡人なのですね、その女性は。いくつくらいの方なんです」
「さあ。四十代だと思うわよ。けど若く見えるからもったいないわよね。……でもねえ……あたし、思うんだけどね」
女性は声をひそめて言った。
「伊坂さんの奥さん、ちょっとおかしいんじゃないかしら」
「と、いうと」
「だって……旦那さんのお葬式のときだって……お棺のフタを開けようともしなかったりとか……なんだか……おかしいのよね、態度が。そのうえ、ご主人が亡くなってからはあの猫でしょう」
草間は、内心、頭を抱えた。
近所の家が大量に猫を飼って、鳴き声やら糞害やらで迷惑を被っている――そんな、平和かつくだらない話かと聞いていれば、こんどはにわかに怪談じみてくる。
「……その家には、お子さんは?」
「たしか息子さんが居たと思うんだけど、何年も見かけないわよ。もう独立したんじゃないかしら。あら、そういえば、お葬式でも見かけなかったわ……。あの、それ、なにか関係あるの」
「え。あ、いや、なんとなく気になったもんで。……ええと、どこまでお役に立てるか、お約束はできませんけどね……」
草間は歯切れが悪い。
事件は、そんな奇妙な一幕からはじまった。誰も、そこにあれほどの恐怖が潜んでいるなどとは予想だにしなかったのだ。
■奇妙な訪問者
チャイムの音だ。
誰だろう。伊坂智恵子は、鷹揚に腰を上げ、玄関へとむかった。この家に客が来ることなど絶えて久しいことだった。
「はい……?」
「こんにちは」
戸を開けると、ひとりの少女がにっこりと微笑んでいた。中学生くらいだろうか。今どきの若い娘といえば、茶髪だ金髪だというイメージが、智恵子にはあったのだが、この少女はつやつやとした黒髪だった。どことなく日本人形を思わせる。
「なにか……ご用?」
「こちらのお宅で猫ちゃんをたくさん飼ってらっしゃるって聞いて」
「え……ええ……まあ」
「わたくし、猫がとっても大好きなんです。ぜひ会わせていただけません? お願いします」
「ええ……でも」
智恵子が言い淀んでいるところへ、折よく、というべきか、折あしくというべきか、一匹のトラ猫がとことこと廊下を歩いてきたのだ。
「まあ。なんて可愛らしいの!」
黄色い声を上げて、少女は勝手に靴を脱いであがりこみ、猫へ近付いていく。
「あ、ちょっと。ねえ、あなた」
騒ぎが気になったのか、奥からまた何匹か、猫が顔を出すと、少女はどんどん奥に入っていき、猫たちを順番に抱き上げていった。
「…………」
叱ろうという気持ちも、猫とじゃれあう少女を見ていると雪のように溶けていく。こんな和んだ気持ちになったのはどれくらいぶりだろう。
だが彼女は、少女のふしぎな金色の瞳――まさしく猫に似た神秘的な双眸があやしいきらめきを帯びたことには気づかない。
「ゴメンクダサーイ」
すこしして、少女はぺこりとおじぎをすると帰っていった。彼女を送りだして、一分と経たずに、再びチャイムが鳴った。
「え……」
「ハロー! ワタシ、ジャネットでーす」
今度は、金髪の、背の高い白人女性が立っているではないか。
「ワタシ、駅前に英会話スクール、やってマス」
「あ、あの……わたし……すみません、英語は……」
「ノープロブレム。いっしょに、たのしくEnglish、OK?」
「ええと……」
目を白黒させている夫人の横には、いつのまにか子猫がいて、時ならぬ珍客を見上げていた。
「Oh! キュートな猫ちゃんですネー! さわってもOKですか?」
「え、ええ」
嬉しそうに、猫を抱き上げる。猫は、女性のゆたかな胸の中で、にゃあ、と声をあげた。
「お宅は……お子さんはおられるんですか?」
たどたどしい日本語が問いかけてくる。
「子、子ども……」
「子ども向けクラスもやってるんデス」
「……。息子が……おりますが……興味は持たないと思います。すいません」
深く、頭を垂れる。
三度目のチャイムが、たてつづけに鳴ると、さすがになにかおかしいのではないか、という気になってきた。今度はなんだとばかりに、勢い込んでドアを開ける。
「ごめんくださいませ。わたくし――」
最初に来た少女と、年格好は似てはいるが、どこか大人びた雰囲気の少女だった。だが――
伊坂智恵子は少女の顔など目に入っていないようだった。
「ひ……」
喉の奥で、小さく悲鳴をあげると、こっけいなほど度を失った様子で、よろよろと玄関の床にくずれる。
「まあ。大丈夫ですか。どこかお加減でも……」
「や、やめて。なんなの、あなた。帰って、帰ってください!」
ちょうどその頃。
伊坂家の裏手のほうを、家を囲む塀に沿ってあるく一人の女性の姿がみとめられた。長い黒髪の、すこし時代がかった服装をした――中世ヨーロッパでなら、しっくり来たのだろうが――人物だった。服装もさることながら、彼女の行動を見た人々は首を傾げて、かかわりあいにならないうちにとばかりに足早に通り過ぎていく。
と、いうのも、女性は、伊坂家の塀の上や周辺にうろついている猫たちに、あきらかに話し掛けていたからである。
「……なるほど。それで……」
小声で、なにごとかを質問しているようだった。
なにも知らない人々であれば、頭の具合を訝しんだのも無理はなかったかもしれない。だが、もうすこし注意深く観察してみれば、猫たちが鳴き声やしぐさやらで答えを返している――まぎれもなく、彼女と猫たちのあいだに会話が成立していることに気がついたかもしれない。
伊坂家は、二階建ての大きな家だった。しかし、真っ昼間だというのに、カーテンは皆、閉じられ、二階に至っては雨戸が閉められている窓もある。
そして塀といい、軒先きといい、門前といい、ガレージといい、周辺のいたるところに、無数の猫たちがいるのだった。
■潜み棲む恐怖
「草間さんのところにおうかがいしたら、猫を飼っておられる方の調査だとお聞きして。“ぐっどたいみんぐ”かと思ったのですが」
すこし離れた高台にある公園に、4人の調査員たちは集合していた。ここからは、伊坂家を見下ろすこともできる。
「むしろバッドタイミングだったみたいね」
言いながら英会話教室のジャネット――もとい、ウィン・ルクセンブルクは、海原みそのの衣裳を面白そうに眺めた。
特筆すべきはみそのの頭で大きく目立っている、黒くて真ん丸いネズミの耳だ。
「でも、あの怯えようは、ちょっと普通じゃないわね。外にまで、恐怖の感情の波動が伝わってきたもの」
ウィンは流暢な日本語で話した。たどたどしいカタコトはまったくの演技だったらしい(そして蛇足ながらつけくわえておくと、彼女はドイツ人である)。
「それに、お子さんのことを聞いたとき、かなり不自然な、不安の感情が見えたわ。それと……一瞬だったけど、息子さんの顔も見られた。メガネをかけた、二十代くらいの大人しそうな人だった。ご主人に関する情報がもっと手に入れたいところだったんだけど」
「簡単ですわ」
言ったのは、最初に伊坂家を訪れた少女、榊船亜真知だ。
すっ――と、手をさしのべ、ゆっくりと、動かした。彼女は巫女だと聞いている。それはなにかの舞のような動作だったが。
ブ……ン、と、ほんの一瞬、亜真知の姿が、それ自体がなにかの映像であったかのように、ゆらめいたような気がして、ウィンたちは目をしばたいた。
いつのまにか、その手の中に紙の束が出現している。
「それは?」
「旦那さんの死にまつわる、警察の関係資料です。データベースにアクセスしてコピーしたものを、紙の形で顕現させてみました」
「大丈夫なの、そんなことをして!?」
「別にハッキングとかじゃないんですのよ。ちょっと角度の違う次元からのぞきこんだだけで――痕跡なんて残りません」
言っている内容のとてつもなさに比べて、そう言ってにっこりと微笑んだ表情は、まったく何の変哲もない少女のものに違いなかった。
亜真知から資料を受け取ったウィンは、ぱらぱらとそれをめくって目を通していく。
「自宅の階段で、二階から転落。首の骨を折って死亡……? あの家の中で亡くなったのね。ふーん……」
みそのは、ウィンの脇からのぞきこんではみたものの、彼女の目では書類そのものを読むことはできない。ふと、さきほどから伊坂家の方向を向いてたたずんでいるステラ・ミラに注意を向けた。
「なにか……ご覧になれますか?」
横に並んだ。
ステラの横顔は、うつくしい彫像ででもあるかのように、伶俐なかたちをくずさない。
「猫たちに話を聞いてみたのです」
「はい」
「あの家には、なにかがいる、と」
「……そうでしょうね」
「ほとんどのときは大人しいけれど、ときどき、怒って家の中を荒らすことがある。それが怖くて、奥さんは猫たちに頼っているのだと、皆、言っていました」
「あのお宅――」
光をうつさぬみそのの、深遠につづくような漆黒の瞳。その先に、伊坂家の平たい屋根がある。
「淀んでいます。本来ならば《流れ》ていくべきものが、そのまま、あの家の中には淀んでいるようです」
「間違いありませんね」
ステラは、仲間たちのほうへ向き直った。
「あの女性は家の中に入る魔性のものから身を守るために、猫を必要としていたのです」
「これを見て」
ウィンが言った。
「ご主人は事故死だったのだけど、遺体は不自然に損傷していた。ボロボロだったらしいわ。なにか小動物に齧られたみたいに。……日本の警察って大丈夫なの? こんなの、事故死なもんですか。あきらかにこれは……」
一同の視線が、自然とみそのに向かう。
「「ネズミ」」
言葉が重なった。
「ネズミの魔が、巣くっている、と」
「二階だと思います」
言ったのは亜真知だ。
「さっき、家の中に入ったときに走査しちゃいました。おかしな波動があるな、と思って。あ、これが、あのお家の見取り図です」
「Gut!」
ウィンと亜真知は目を見交わし、微笑み合った。
「じゃあお願いね」
という言葉は、猫にかけたものらしい。
伊坂智恵子の後ろ姿を、数匹の猫が見送っていた。
そしてさらに遠巻きに、その様子を眺めている4人。
「わたしは、念のために伊坂さんの様子を見ます」
ステラが言った。ばさり、とそのインバネスが翻ったかと思うと、もう彼女の姿はない。かわって、一匹の、白い狼が地面に坐っているではないか。
「オーロラ様」
みそのが、そのステラ・ミラの使い魔の名を呼んだ。
(オーロラがみなさんのお役に立ちます)
かすかにステラの声だけが聞こえた。
3人は頷きあい、あるじの出かけた家の玄関へ向かった。あるいは誰何するような、猫たちの視線が彼女達を出迎える。
「また、おじゃましますね」
亜真知が微笑みでもって応えた。
ウィンがドアノブに手をかけると、がちゃり、と音を立てて、いとも簡単に施錠されていたはずのドアは開いた。
家の中は、しん、と静まり返っている。
そろそろと廊下を進んでいった。
そこかしこに、ふいに猫がうずくまっている。伊坂夫人の小さな同居人たちは、独特の獣の瞳で、侵入者たちをじっと見上げていたが、オーロラが鼻づらを向けると、さすがにすこし怯んだようすで後ずさり、道をあけた。
「あ……」
リビングで、ウィンは見覚えある容姿の人物がおさまった写真が、写真立てに収まって戸棚の上にあるのを発見した。なるほど、細い銀ブチの眼鏡をかけた、特にこれといった派手な特徴のない青年だった。そこにはいくつか、家族の写真がある。亡くなった家長とおぼしき男性に、智恵子夫人。三人で収まったもの。どれも、あたたかな、しあわせそうな家族の肖像であったが。
「二階に上がってみる?」
反対するものはいなかった。
どうやら、二階は窓が閉まっているらしく、見上げると、かなり暗かった。まったく人の気配らしきものはない。しかし、ウィンが階段に足をかけた、そのとき――
がたごと
「……?」
小さなものが、動いた。
がたがた がたん
薄闇の中をなにかが横切る。
オーロラの、低い、威嚇の唸り声。
彼女たちは一様に、この家に潜んでいるはずの存在について思い巡らせた。そう……――ネズミ。
「来ます!」
みそのの口から、警告の声がほとばしる。
がたがたがたがたがたがた――
真っ赤に輝くのは、かれらの目だ。
それがいまや無数に、明滅し、あとからあとから、押し寄せてくる!
■屋敷のあるじ
それは灰色の、津波のようだった。
階段を流れる落ちるように、まさかこれほどの数の生き物が、いかに広いとはいえ民家に巣くっていようとは思えないほど、あとからあとから、あふれ、重なりあうようにしてこちらへ向かってくるのだ。
「ガァウ!」
オーロラが、俊敏な動きで前に出た。人間たちは、逆に気押されて、後ろに下がった。
「これは猫も飼いたくなるわね!」
ウィンが両手を前に突き出すと、彼女に向かってきていたネズミたちが、目に見えない壁にぶつかったようにして吹き飛んだ。ネズミたちは、一匹一匹は胴体が10センチ程度のものに過ぎなかった。オーロラは、食いついてくるものをふりおとし、爪と牙とを武器に流れに逆らおうとするが、しかし、さすがにこの数である。
「骨が折れるわね」
ウィンのつくりだす、不可視の力の障壁も、限界がありそうである。
みそのが、ウィンの脇をするりと抜けた。
「あ、危ない!」
「いいえ」
たおやかな手がなにかを指示するように動く。すると、ネズミたちの雪崩がやんだわけではないが、それらが皆、みそのを避けて通っていく。
「このみなさんは」
というのはネズミのことらしい。
「巨大な意志の力に《流されて》いるだけです。その《流れ》をすこし避ければいいこと。参りましょう。二階に、《流れ》のみなもとがあります」
オーロラをともなって、階段を上がっていくみその。海を割ったという聖者の伝説のように、ネズミたちの群れが二手に分かれる。
「ってことは、かれらのボスがいるってことよね」
みそのの後にくっつくようにして、ウィンと亜真知が続いた。ネズミたちの濡れたような不潔な毛皮、ミミズのようにうねる尻尾に、眉をひそめる。
「その部屋です」
亜真知が言った。みそのも肯定のうなずきを返した。
「ご対面!」
ウィンの声に応じて、ドアはひとりでに、ばん、と、開かれた。
そこから――言い様もない、淀み、爛れた空気の塊が吹き出してきた。生ぬるく、湿っていて、そして得体の知れない悪臭をともなっていた。まるでもう何年も、開かれたことがなかったように。
それに続いたのはネズミの第二陣だ。心なしか、ネズミの色が黒く、大きい。そして、より獰猛であるようだった。
今度は画一的ではなく、一匹一匹が違う動きで彼女たちののぼりつき、牙をつきたててこようとする。まずい、とウィンは思った。統一した流れでなければ、みそのの能力ではさばけない。かといって、ウィンの力だけでは3人ともを守れるかどうか――。
リ――……ンンン……
突然、場違いに涼やか音がした。かと思うと、ネズミたちがすくんだように動かなくなる。
リィ……ン…… リィ……ン……
ステラ・ミラだった。風鈴を手に、階段を登ってくる。伊坂智恵子が、あとに付き従っている。
「ネズミがある一定の音に弱いのを、ご存じでしたか?」
「でも……それって、風鈴……」
「手元に、触媒になりそうなものが、これしかなかったもので」
微笑して応えた。
「これで、ようやく、お会いできますね。伊坂信也さん!」
「出テ……イケ……」
地の底から響くような、低い、声。おそろしい怒りと怨嗟が、そこにこもっているのを、ウィンは感じとった。
暗いな部屋の中で、ふたつの赤い眼光が不吉に灯った。
闇に目がなれると、部屋の中には本だの何だの、さまざまに雑多な物がいたるところに積み上がり、足の踏み場もない。そのあいまで、小山のようなかたまりがのそり、と動いた。ムチのようにのたうつ、長い、尾。
「ご子息ですね」
静かに、みそのが言った。
「お願いよ……信也……」
部屋のドアにすがるようにして、智恵子は涙ながらに言った。
「部屋ニ入ルナ!」
恫喝の声がひびくと、びくり、と夫人が目に見えておびえた。ウィンは思わず彼女の肩に手をかけて――
(信也! 信也!)
(やめて、あなた――)
(信也ーっ!)
「そ、そんな……」
一瞬で、脳裏をフラッシュした光景に、彼女は上ずった声をあげた。
「伊坂さん、あなたたち、息子さんを……?」
「主人が……主人なんです……。息子は高校を中退してから、部屋から出てこなくなって……あの日、主人がとうとう……怒って……あんなひどい……死なせるつもりなんてなかったんです! 気づいたら、信也がぐったりしていて……でも……その晩から……もう、ネズミが……」
「ウルサイゾ!」
異形の影は吠えた。
「早ク、出テイケトイッテイル!」
「伊坂さん」
ステラが言った。
「お気持ちはお察ししますが。こんなことは……もう終わりにしましょう」
「出テイカナイカ!!」
「そうはいきませんの」
亜真知だった。
「あまりお母さまを困らせてはいけませんわ」
亜真知の、舞にともなって、彼女の周辺から、あたりがだんだん光が増してくるような、そんな気がした。
「オホナヲビノカミ
カムナヲビノカミ
イクミタマ
イヤサカ
イクヒサ……」
鈴のような声が、ふしぎな詠唱をなす。
とうとう、異形の影は少女に向かって飛びかかってくる。だが。
「浄化陣!」
一瞬、はやく、白い閃光が、なにもかもを包み込んだ。
伊坂智恵子が、号泣とともにその場にくずれる。
風化していく影が、かすかに、「かあさん」と囁く声を、彼女たちは聞いた。
そして、ぽとり、と床に落ちた、細い銀ブチの眼鏡。
*
後日。あらためて、伊坂智恵子は、夫が息子を死なせる現場にいながら、見殺しにしてしまったとして、警察に自首をした。しかし肝心の息子の遺体が見つかっていないということで、処罰は免れる方向にあるようだった。
もはや用済みになった伊坂家の猫たちであるが、それが責任だから、と、まだ半分くらいは、引き続き智恵子の手で飼われている。飼い切れない猫のうち、二匹は亜真知が引き取ることを申し出たが、残りのまだまだ大量の猫たちについては……草間武彦が、引き取り手探しに奔走することになる。結局、草間自身は、そんな庶民的な仕事に終始することになったのである。
(了)
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【1057/ステラ・ミラ/女/999歳/古本屋の店主】
【1388/海原・みその/女/13歳/深淵の巫女】
【1588/ウィン・ルクセンブルク/女/25歳/万年大学生】
【1593/榊船・亜真知/女/999歳/超高位次元生命体:アマチ・・・神さま!?】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは。リッキー2号です。ご参加ありがとうございました。
『猫を飼う未亡人』をお届けいたします。
(ちと長くなっちゃいました<いつもだよ)
>海原みそのさま
いつもありがとうございます。
ネズミさんルックは、ネズミに脅かされている夫人には
少々、刺激が強すぎたようでした(笑)。
息子が変異している可能性に目をつけられたのはさすが。
それでは、機会があれば、またお会いできれば嬉しいです。
ありがとうございました。
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