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女神様、女神様……
*オープニング*
「女神様って、知ってる?」
机に向かってもそもそと原稿を書く三下の頭の上から、碇は尋ねた。
「はぁ……、女の神様の事ですか……?」
答えた途端に、紙の束が頭に振り下ろされた。
「言葉の意味を聞いたんじゃないわ」
「す、すみません」
慌てて謝って、三下は顔を上げた。
「今ね、流行ってるらしいのよ。ほら、こっくりさんとか、昔流行ったキューピット様とか?ああ言う類のゲームよね」
ゲームと言うべきなのかどうなのか、三下は少し考えたが素直に頷く。
「色々お告げをして呉れるらしいわ。女神様って言うくらいだものね。それが百発百中と言うのかしら、当たるんですって」
「はぁ……」
差し出された紙の束には、『女神様』を呼び出すために必要なものや絵が描かれている。
「と言う訳で、何人か人を集めてやって頂戴」
「え?」
やって頂戴とはどう言う意味か……、三下は一瞬理解出来ずにポカンと碇を見上げた。
「決まってるじゃないの、女神様とやらを呼び出して、お告げが本当に当たるかどうかを試して欲しいのよ」
「ええっ!?」
椅子に座ったまま、三下は身を反らせた。
女神様と名称は変わっていてもこっくりさんと何ら変わりない。
こっくりさんと言えば、あれこれ宜しくない霊現象が起きたりすると言うではないか。
「じゃ、頼んだわね」
足音も軽やかに去って行く碇。
やりたくなくてもやらねばならぬ。
恨めしげに碇の後ろ姿を追って、紙の束を手に持ったまま、三下は深く溜息を付いた。
* * * * *
「女神様かぁ……、おもしろそ〜……」
受話器を戻しながらみあおは呟く。
たった今、月刊アトラスの三下忠雄からの電話を終えた処だ。
老若男女、誰を相手にしても変わらないあの何時の調子で、みあおに泣きついて来た。
曰く、「今、巷で流行している『女神様』について調査するように言われたんですけどぉ……、一人では出来ないんですぅ……うっうっうっっ。助けて下さい……」
何でも、こっくりさんに似た一種の降霊術で、色々と当たる予言をしてくれるのだそうだ。
そう言えば、そんな噂を聞いた事があるような気がしないでもない。
降霊方法はどんなものだったか……、インターネットで調べれば色々情報があるに違いない。
「みあおも聞いてみたいことあるし……、参加しても良いかな」
三下には一応考えておくと返事をしたのだが、後で電話をして参加の意志を伝えよう。
「面倒くさいけど……、一応やり方とか、調べておこうかな」
テレビなどで良く耳にするように低級霊でも呼び出してしまっては困る。
一人で頷き、情報収集するべくみあおはネットカフェに向かった。
* * * * *
月刊アトラスに集まった面々を見て、三下忠雄は感動に打ち震えていた。
碇に女神様を呼び出してお告げの真偽を試せと言われた時には一体どうしたものかと涙に暮れたが、今、目の前には6人もの協力者がいる。
何て幸先が良いんだ……!と、口にこそ出さないが三下は思っている。もしかしたら、これは女神様の思し召しなのかも知れない、とさえ。
「ねー、早くやろうよー」
待ちくたびれたような声に、三下は慌てて顔を上げる。
「あ、はい。そうですね、それじゃ始めましょうか……」
と、一同を見回した時。
コンコン、と誰かがドアをノックした。
続いて、ゆっくりと扉が開き、一人の少女が顔を出す。
「コンチハー……」
きょろりと一周見回して、少女は言った。
「えーっと、ここに三下忠雄って人、いる?私、碇麗香にその人を手伝うように言われたんだけどさ……」
「三下忠雄様は、この方ですよ」
と言われて、少女は三下を見る。
「ああ、そう言えばもう一人手伝ってくれる人がいると言ってました……、」
三下は少女を招き入れて、改めて全員を見回した。
綾和泉匡乃
海原みあお
天薙撫子
シュライン・エマ
志神みかね
ライ・ベーゼ
それから……、三下の視線に気付いて、少女が名乗る。
「あ、私、篠岬絵里衣」
自分を入れて、8人。
「ねぇ?女神様について、色々調べてみたんだけど、呼び出し方法って、一つじゃないのね?」
シュラインが口を開く。
「あ、そうそう。みあおも調べたんだ。ホント、色んな方法があるんだけど、主に2つが主流みたいだったよ」
「え、そうなんですか?これには一つしか書いてなかったんですけど……」
三下は碇から受け取った紙の束を見る。
「自分では調べなかったのですか?」
と、少々非難の目を向けるのは匡乃。
「え、はぁ、まぁ……、」
口ごもりつつ、三下は頭をかく。何を隠そう、碇に言われた通り呼び出して真偽をただすだけのつもりでいたのだ。
「普通、人に頼むならそれなりに自分でも情報を集めておくものじゃないのか?」
ライの不機嫌そうな声に、一瞬沈黙が流れた。
「で、でもっ、どの方法でも何かしら恐い思いをしてる方がいますよねっ」
その沈黙を破ったのはみかね。
まだ何も始まっていないのだが、情報収集だけで既に怯えてしまっている。
「そうねぇ、それはでも、仕方がないわよ。素人の遊び半分の降霊だもの。でも、私達は大丈夫よ。ちゃんと事後処理もするし……」
「そうそう!騙したり悪いことする霊だったら、懲らしめちゃうんだから!」
「わたくし、念の為除霊法なども調べて参りましたわ」
「は、はぁ……」
除霊法を知っていても、懲らしめる事が出来るとしても、恐い事に変わりはないではないか。
みかねは溜息を付きつつ、しかしそれでももう後には引けないと覚悟を決めた。
「それじゃ、始めましょうか……と言っても、8人で一緒にやるわけにはいきませんから、二手に分かれて……」
「それなら、主流である2つの方法を試してみては如何でしょう?」
匡乃の言葉に、頷く面々。
「はぁ、そ、そうですね。それじゃ、ええっと……」
「阿弥陀籤で別れたら良いんじゃない?」
さっさと紙に線を引くみあおと、自分の場所を選ぶ面々。
結果。
みあお・みかね・ライ・三下の4人とシュライン・撫子・匡乃・絵里衣の4人に別れた。
「部屋も別れた方が良いわよね。私達は別室を使わせて貰うわ」
と、シュラインが歩き出そうとした瞬間。
絵里衣がゆっくりと口を開いた。
「ところでさ、一体今から何やんの?」
一瞬全員が顔を見合わせた。
* * * * *
みあおとシュライン、撫子が調べた通り『女神様』には主に二つのやり方がある。
一つは、直接女神様の声を聞く方法。
もう一つは、紙に書いた文字を読む方法。
その内、みあおとみかね、ライと三下が試すのは前者、直接女神の声を聞く方法だ。
用意するものは、紙とペンと水を満たした水瓶。水瓶はどんな物でも良いらしいが、今回は急遽給湯室にあった洗い桶を使う。
紙には中央に女神様である女性を描く。
紙の下……、丁度女神の足元に水瓶を置き、参加者全員が片腕を水に付ける。
ルールは一つだけ、女神様を呼びだしている最中は決して水瓶から手を出さない事。
出すと、女神の下僕にならなくてはならないと言われているが、定かではない。
「準備完了!さ、始めようよ!」
机の中央に紙と洗い桶を置き、みあおがメンバーを見回す。
部屋には念の為と言う撫子の提案で妖斬鋼糸で呪封結界を張り、シュラインの提案で両部屋にテープレコーダーを設置してある。
「みあおがメモも取るね」
言って、みあおは躊躇う事無く洗い桶に左手を入れた。
続いて、三下。
その隣に腰掛けて、ライは不機嫌そうに、そしてとても面倒くさそうに右手を浸ける。
「どうした?何かあるのか?」
ライに言われて、みかねは顔を引きつらせながら首を振った。
ここで見ているだけ、と言うのはナシだろうか。真剣にそう考えながら、ゆっくりと手を浸ける。
「呼び出しの言葉は、全員で言うんだよ。良い?」
みあおが確認し、4人はゆっくりと口を開いた。
「「「「女神様女神様、私達の呼びかけにお応え下さい。水鏡よりお声をお聞かせ下さい」」」」
「で、女神が来たと言うのは、どうしたら分かるんだ?」
「何か質問してみて、返事があったら来てるって事じゃないかな?」
「結構いい加減なんですねぇ?」
三下の言葉に、ライはフンと鼻を鳴らした。
「そもそも予言に頼ろうとする事自体がいい加減だ」
「でも、もう始めちゃったんだからちゃんとしないとね。さあ、何か聞きたい事は?誰も知らないような事を聞かなくちゃ駄目だよ」
話を振られて、みかねはぶんぶんと頭を振った。
ライも、三下も首を振る。
「それじゃ、みあおから何か質問するね?」
反対する者はいない。
みあおは暫し考えて、口を開いた。
みあおが聞きたい事、それはみあおが改造され、記憶を調節される前の、本当に家族の事。
「えっと、それじゃあ……、みあおの両親の事を教えて。みあおは何時か本当の家族に会えるの?」
「…………」
全員が、水瓶、いや、洗い桶から聞こえるのだと言う女神の声に耳を澄ました。
「何も聞こえないな?」
顔をしかめるライ。
「来てないんでしょーか?」
何も来ていないなら怖がる事などないのに、身を固くして尋ねるみかね。
「もう一回、呼んでみようか?」
「しょうがないな」
ぼやきつつ、仕方なく再度声を合わせる。
「「「「女神様女神様、私達の呼びかけにお応え下さい。水鏡よりお声をお聞かせ下さい」」」」
ポコン、と、水面が揺れた。
「わっ!」
大きな気泡が、何もないはずの洗い桶の底から沸き上がり、三下が一瞬水から手を出しそうになった。
「だっ駄目です!」
悲鳴のようなみかねの言葉に慌てて半分出した手を再度水に浸ける。
「来た証拠、と取って良いのか?」
「かもしれませんーっ」
みかねは手こそ水に浸けたままにしているが、全身を堅くして顔は青ざめ、声が引きつっている。
それでも、兎に角何か尋ねてみなければと思ったらしい。
「あなたは女神様ですかっ!?」
叫ぶように、質問をする。
ボコボコボコ……洗い桶の水面が激しく揺れた。
そして。
『…そ…う…だ…』
間違いなく、水の中から声が聞こえた。
しかし奇妙な事は、『女神』の声とは思えない太さである。
が。
4人がそれに気付く間もなく問題発生。
「ぎゃー!来たーっ!!」
「あっ!」
「おいっ!!」
止める間がなかった。
「三下さんっ!」
三下が洗い桶から手を出し、3人の声にはたと我に返って出してしまった自分の手を見る。
「わーっ!!どっどうしましょうっ!?」
三下は濡れた手をばたばたと振りながら3人を見る。
「あーあ、途中で手を出しちゃった……」
「の、呪われるんですよーっ!?どうしましょう!?」
「呪われるんじゃなくて、下僕になるんだよっ」
「入れろ!もう一回入れるんだ!」
無事女神様を呼びだして質問するつもりが、三下のお陰で大変な騒ぎになってしまった。
「大丈夫なんでしょうかぁっ??」
ライに言われた通り、再び洗い桶に手を浸けながら三下が情けない声を出す。
「大丈夫、例え下僕になるとしても、オレ達じゃない」
「そんなぁ」
みあおは三下を無視してライとみかねを見る。
「もう一回何か質問してみようよ」
「三下さんの性別はっ!?」
怒れる猫の如く長い髪を毛羽立たせて、みかねが上擦った声で質問をする。
『……か…ま……』
「おかま?」
「おちょくってるのか?それとも、実はそうなのか?」
「どうしてオカマなんですかぁっ!」
この女神は一体何を言っているんだか?4人は首を傾げつつ顔を見合わせる。
「女神と言うには声が太いな……、男じゃないのか?」
「男神様?」
「三下さんに彼女はいますか?」
再びみかねが口を開く。
『は…い…ごれ…い…』
「うーん……、遊んでるとしか思えないけどユニークな神様だねー……」
思わずみあおは苦笑を漏らす。
「感心してる場合じゃない。どうやら良くないモノを呼び出したらしいぞ」
「よっ良くないモノって何でしょうっ!?」
背中にチクチク針でも刺されているようにビクビクした様子のみかねに、ライは洗い桶を覗き込みながら答える。
「それは勿論、低級霊だの動物霊だの、その辺だろう」
「そうだよねぇ、そう上手いこと神様を呼び出せる訳ないもんねぇ……」
頷きつつ、みあおは3人を見る。
「ふん」
ライが面倒くさそうに鼻を鳴らす。
その時、静かになっていた水面に再び気泡が浮き上がり始め、三下がまた止める間もなく手を抜いて後退った。
「あっまた!」
「さっ三下さん!下僕にされちゃいますーっ!!」
本当は自分も逃げ出したいのだが、辛うじてまだ手を水に浸けているみかね。
「全く……、いちいち逃げてどうするんだ」
ライは軽く舌を打った。
「すみません〜っ」
へっぴり腰で戻ってきた三下が再び洗い桶に手を浸けたその瞬間。
「うっうわぁぁぁぁっ!」
三下の体が突然グイッと洗い桶に引きつけられた。
「きゃぁっ!!」
それに驚いて思わず洗い桶から手を出してしまったみかね。
「みかね!!」
「わぁぁぁっ!!」
みあおと三下の声が重なる。
三下の体はどんどん洗い桶に引き寄せられて、20cm足らずの深さしかない洗い桶に、何故か肩まで浸かり込んでいる。
「どうした、何してるんだ!?」
「てっ手が引っ張られるんですーっ!たすけ…モガモガ……」
言っている間にも右の上半身が引き込まれ、とうとう口まで水に浸かってしまった。
慌ててライは自分の手を抜き、三下の体を強く引っ張った。
が、凄まじい力で引き込まれているらしい。
と、水が生きたロープのように伸びてみかねに襲いかかった。
水のロープはみかねの腕に巻き付いて洗い桶に引きずり込もうとする。みあおが慌ててみかねの手を引いた。
「きゃーっ!!たっ助けてーっ!」
* * * * *
「どうしましたっ!?」
殆どドアを蹴破るように入って来たのは、隣で『女神様』をしている筈の匡乃。
続いて、シュラインと撫子、絵里衣も駆け込んでくる。
「みかね様っ三下様っ!!」
「わぁっ!な、何だよこれっ!!!」
どう見ても、水に襲われている……、水の中に引き込まれている。
それを懸命に止めようとするライとみあお。
「イヤーッ!!助けてぇ!!」
精一杯抵抗してもどうしようもない、ずるずると洗い桶に引き込まれていくみかね。
「モガモガモガ……ボコッ……」
そして、顔を洗い桶から出し入れしてもがいている三下。
「一体何事なの?」
「途中で手を抜いちゃったんだっ!た、助けて、みあおの力じゃ引っ張れないよっ!」
みかね共々ズルズルと引きずられているみあおに、慌てて撫子とシュラインが手を貸しそれをくい止める。
ライには匡乃と絵里衣が手を貸した。
しかし、強い力には叶いそうもない。
「帰って貰えないのかよっ!?」
力一杯ライを引っ張りながら絵里衣が口を開く。
「まだそこまで至ってなかったんだもんっ!誰か、言ってよっ!」
答えるのは、同じく精一杯みかねを引っ張っているみあお。
「え、ええっと……、『女神様女神様、有り難う御座いました、水鏡よりお帰り下さい』……!」
みあお達の代わりに、シュラインが決まった言葉を言った。
しかし、水の力はおさまらない。
『し…もべ…を……しもべ……を……よこ…せ……』
三下とみかねに襲いかかる水から声が聞こえる。
「こ、この声は……?しもべと言うのは三下様とみかね様の事ですか?」
メンバーの誰のものでもない声に、撫子が辺りを見回しながら尋ねる。
「偽物の癖に……、僕もクソもあるもんか……っ!」
「偽物?」
ライの言葉にシュラインが眉をひそめた。
「偽物だよっ!何か変な返事しかしないし、女神様にしちゃ声が太すぎるもんっ!!」
「低級霊か何か違うモノを呼び出してしまったと言う事ね?」
「どっちでも良いからどーにかしろってのーっ!!」
ライが三下を引っ張って、絵里衣がライを引っ張って、匡乃が絵里衣を引っ張って……、みあおがみかねを引っ張って、撫子がみあおを引っ張って、シュラインが撫子を引っ張って……、まるで『おおきなかぶ』状態。
「結界を張ったのではなかったですか?」
絵里衣の腕をがっちり掴んで離さず、匡乃。
「ああ、そうでしたわっ!」
つい引っ張る事に必死になって忘れかけていたが、確かに、始める前に撫子は三下達と自分達の両部屋に結界を貼っておいた。
急いで結界を発動させる、と、神鉄製の鋼の糸が現れて襲いかかる水を断つ。
宙を踊るように蠢いていた水は、切断されるとパシャパシャと音を立てて床に零れる。
糸は次々に三下とみかねを捉えて離さない水を断ち、静かになった水面を覆うように洗い桶に巻き付いた。
「はぁぁぁぁっ」
盛大な安堵の溜息を付いてペタンと座り込むみかね。
その横に倒れるように腰を抜かす三下。
「途中で水から手を抜くと下僕になるって言うのは本当だったようね……」
「でも、呼び出したのは女神じゃなかったよ?」
肩で息を付きながらシュラインとみあおは部屋の惨状を見回した。
女神を描いた紙は床に落ち、水浸し。
「でも、どうしてこちらの異常が分かったんですか?悲鳴が聞こえました?」
「こっちで呼び出した女神様が教えてくれたんだ、『となり にせもの きけん さんした』って。な?悲鳴も聞こえたけどさ」
「ええ、すんなり帰ってくれましたしね」
言いながら、絵里衣と匡乃は開いた扉の向こうを見る。自分達が女神を呼び出すのに使った紙やコインが、机の上に見える。
「と言う事は、そちらは本物の女神とやらを呼びだしたのか?予言とやらは?」
「残念だけど、あまり詳しく質問する暇がなかったの。少しは聞いたけど……あ、無難な質問に無難な答えって処ね」
「因みに、明日三下さんは12回、叱られるそうですよ」
匡乃の言葉に、漸く全員が笑みを漏らした。
「術式には間違いはなかったと思うのですが……、どちらの方法も。それなのにどうして三下様達の方だけ偽物が現れたのでしょう?」
首を傾げて、撫子は糸に覆われた洗い桶を見る。
静かだが、まだ中に呼び出したモノがいるのだろう。
「術式が正しくても結局は素人のする事だ。何を呼び出すやら分かったものじゃない……、今回はまあ、オレ達だったからどうにかなったが一般の人間なら本当に連れていかれただろうな、下僕として」
「女神様だか何だか知らねぇけど、もうまっぴらだ……」
これから先、どんなアルバイト料を貰っても碇の頼みは引き受けないでおこう、こっそり心の底で誓う絵里衣。
「ところで、それ、どうしよう?みあおが上げちゃおうか、それとも誰かやる?」
みあおが問うと、撫子がにこりと笑った。
「わたくしがきっちり懲らしめておきますわ」
「そう、それじゃお願いしましょう。私達はここを片付けないとね。その間に出来るかしら?」
「ええ、勿論」
「では、それぞれ使った部屋を片付けて……、レコーダーを後で確認してみましょう」
言いながら匡乃は自分たちの部屋へ向かう。
レコーダーを聞くのはもう遠慮したいなと思いながら、みかねも掃除に取り掛かる。
掃除と聞いて、ライはこっそり姿を消してしまった。
三下はと言うと……まだ、腰を抜かしていた。
end
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■ 登場人物(この物語に登場した人物の一覧) ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1537 / 綾和泉・匡乃 / 男 / 27 / 予備校講師
1415 / 海原・みあお / 女 / 13 / 小学生
0328 / 天薙・撫子 / 女 / 18 / 大学生(巫女)
1699 / 篠岬・絵里衣 / 女 / 16 / スリ(ドロボウ)
0086 / シュライン・エマ / 女 / 26 / 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
0249 / 志神・みかね / 女 / 15 / 学生
1697 / ライ・ベーゼ / 男 / 25 / 悪魔召喚士
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■ ライター通信 ■
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のろまのカメの佳楽です、こんにちは。
この度はご利用有り難う御座いました。
佳楽の生息市は先日花火大会でした。が、開始時間になって雨が降り始め、決行はされたのですが、
面倒なので家でジメジメ音だけ聞いて過ごしました。
今年は何回浴衣が着られるんだかなぁ……と、最近そればかりが気に掛かります。
と言っても自分で着付けが出来ないんですけどね。
さて、今回ちょっと遅めの納品になったのは、実はプレイングを読み違えて全然違う話にしてしまっ
ていたからです。もうすぐ仕上がると言う時に気付いて慌てて書き直しました。
読解力がないって、辛いですね……(遠い目)
ではでは、また何時か何かでお目に掛かれたら幸せです。
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