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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


::闇夜に踊るステキカット:: 


起★ 締切前とアフロについて
「たった、大変ですぅ、編集長ぉ!」
 どたばたと賑やかな音をたてて、月刊アトラス編集部に駆け込んでくる男が一人。
 締切直前、ただでさえ張りつめた空気のなか、彼の騒ぎは嫌でも耳につく。他の編集者達が懸命に耳を塞ぎ原稿に集中する邪魔をさせまいと、編集長の麗香はパソコンから顔を上げ、咎めるように男…三下を睨み付けた。
「三下くん!いったい何の騒…」
 ぴたり、と彼女の動きが止まる。
 その見開かれた瞳に、三下の姿がいっぱいに映し出されたとき、麗香は弾けたように笑い出した。
「あははははははは!!そっ…それ……三下くんッ!!あはははははは!!」
「な!!なんですか編集長、笑ってる場合じゃないですよ!いま都内で起こってる事件!夜道をひとりで歩いていると、いつのまにか髪をいじられる!これは妖怪『髪切り』の再来じゃないかって、街ではもっぱらの…」
「あははははははは!」
 麗香の声に誘われて、他の編集者達も次々に顔を上げ、ついで大声で笑い出す。他局から苦情が出るのではないかという程にその声が大きくなってもまだ、三下にはその理由が理解できなかった。
「み、みんなまで!いったい僕がどうしたっていうんですか!」
「あ、は、はっ、ああ苦しいっ、三下君あなた、その『髪切り』にやられたみたいよ…しかもっ…なんてモダンな妖怪なの!もう!あははは…」
 ええっ、と三下が頭に手をやると、彼はその手をばっと離し、叫んだ。
「え!うわ!あああっ、これはァっ……!」


「見事な…見事なアフロよ、三下君!」


 全編集者が腹を抱えて笑い転げるなか、三下はそれでも、麗香に詰め寄った。
「編集長っ、でも、これこのままにしておいたら、いつか編集長までアフロにされちゃいますよう!どうにかして調査して、ついでに」
「何ですって!…それは由々しき事態だわ」
 がたん、と立ち上がり、拳をふりあげた麗香に、部内はしんと静まり返った。
 彼女は腕を組み、しばし考える。
「…これはどうにかしないとね…でも、うちは締切前だし、誰も行かせるわけにはいかないわ。…ネタにもなりそうだし、誰かに調べてもらおうかしら」
「そ、そうですぅ、そのお言葉を期待してたんですぅ…」
 へなへなと座り込んだ三下。彼はふたたび、そっと頭に手をやり、すっかりモサモサふっさりしてしまったそれを撫でて、溜息をつくのだった。


承★ カツラde捕獲大作戦

「……というわけで、その髪切りっていうのを、調べてもらいたいんです」
「きゃはははははは!」
「面白すぎるわぁ…そこまでされて気づかなかったのか?」
 年齢も外見も違う二人の女性…少女、といったほうがいいのかもしれない、ともかく一人には思いっきり笑われ、もう一人には笑いを必死に堪えられながら、三下は背筋を伸ばし、それまでに集めた資料をひらひらさせた。…このアフロ、いかにして洗おうともまた整髪料をつけようとも、そのふんわりしたモッサリ感が崩れることはない。
「うう…笑わないで、真面目に聞いてくださいよぅ…」
「ああ…まあ確かに、みんながそんな風になったら、大変だよな」
 昼下がりのファミリーレストラン、年長の大人しそうな娘…藤井・葛は、ようやくこみあげてくる笑いを抑えきって、言った。
 となりで大きなフルーツパフェに手をつけることもせず笑い転げていた少女、海原・みあおも、はたと気がついて目の前のクリームを崩し始める。それは勿論三下のオゴリであった。
「うん、三下はともかく、女の子がそんなふうにされちゃったら、末代まで祟っちゃうよね」
「でも、調べるって言っても、どこに行けばそいつに会えるんだ?」
 えっとですね…、と、三下はおもむろにモバイルを広げ、某巨大掲示板サイトに繋ぐ。ぐずぐずとあちこちの板をまわって情報を引っ張り出そうとする彼を見兼ねて、みあおは向かいから手を出し、情報のありそうなスレッドを探し当てた。
「……最近は池袋サンシャイン周辺から、首都高ガード下にかけて…だって」
「あのあたりは人通りが多いのに、おかしいですねえ」
 三下が言うと、葛も頷いて、でも、と言う。
「そいつが動くのは、真夜中なんだろ?ガード下のあたりは、そんな時間に人はあんま居ないんじゃないか?」
「……ねえ、調べに行くとき、みあお達も髪、切られちゃわない?」
 ふと銀色の瞳を伏せて、みあおは言った。あ、と葛も呟き、しばし腕組みをして考える。
「……そうだな…カツラでもつけていくか?」
「あー!じゃあ、三下に長髪のカツラつけて、おとりにしたらどうかな?そしたらみんな無事ですむよ!」
 おお、そりゃいいな!と、葛はみあおの頭を撫でる。しかしその正面で、三下は憮然とした表情で呟いた。
「…僕は、無事じゃないじゃないですか…」
「なんか言った、三下?」
 三下はいいえ、何でも、と慌てて首を振ると、では今日中に三人分のカツラの手配をします、と言い、真夜中の集合時刻を決める。
「えーと…では多くの方が襲われている、深夜零時でいいですか?」
「あ・ちょっと、待てよ、向こうを捕まえて、その後どうするかまだ決めてないだろ」
 立ち上がりかけた三下を引き止めるように、葛が声をかけると、三下は振り向き、意味ありげに言う。
「…大丈夫です、既に編集長のほうからもうお一方、探偵を依頼しています…」
 にやり、とニヒルに笑い、メガネなど光らせて、三下はその場を辞した。本人は格好いいつもりなのであろうが、ふたりは首を振って溜息をつく。
「その髪型じゃ、ぜんぜんかっこよくな〜い…」
 モサモサと歩くたびに動くアフロの後姿を、あきれ返って見送った。


「…本当に、勝つ自信があるのね?」
 同日、月刊アトラス編集部。
 締切前の仕事を一足早く完成させた編集長・碇が、目の前の人物に視線を向けた。
「ええ…オーロラの腕を、信用してください」
 漆黒の髪に、白い肌。細身の体の脇に白い狼を控えさせた女性、ステラ・ミラは、そう言って傍らの狼を一瞥し、微笑んでみせた。
「あとは他の方たちが、ここに連れてきてくださるのを待つだけ……」
「………」
 二人の聡明な美女は、そろって編集部の窓から、今はまだ黄昏に滲んでいる街を見つめた。


「さて、三下さん、しっかり歩いてくれよ」
「うん、みあおが前からちゃんと見張ってるからね!」
 髪切りが現れたら、挟み撃ちにしてくれようという算段である。
 深夜零時きっかり、首都高五号池袋線ガード下。昼間は買い物客でにぎわうサンシャインシティからも少し離れて、まわりは静かである。ただ上の高速からひっきりなしに聞こえる車の音が、別世界からのBGMのように響いていた。
 三下はその頭に、長い髪をなびかせて、いかにも普通の人、をよそおった…つもりで頼りなく歩いていた。
「うう…二人とも、僕の苦労をちっとも知らないんだから…」
 ひたり。
 聞こえる。
「……葛…さん?」
 うしろを張っているはずの葛が、こんなに近くにいるはずは…ない。
 ひたり。
 しかし…聞こえる。
 ひたり。
「う…で、出たぁアッッ」
「よし、挟め!」
 今まさに三下の頭に手を伸ばそうとしたした「もの」を、ふたりの娘が両側から取り押さえた。それは抵抗しようとするが、そう力は強くないらしく、まず身動きをとることが出来ない。勢いあまった「それ」に蹴倒されて三下が道路に転がると、みあおがそれに合わせるように懐中電灯の光をカッ!と当てた。
「う…な、なんなんだ貴様らはYO!」
「神妙にしな、『髪切り』!」
「そうだよ〜、ネタが十年古いんだよ〜!」
 運動神経のすぐれた葛にしっかりと取り押さえられ、『髪切り』はその姿を光のもとにさらけ出した。ふかふかした髪。ヒゲ。モミアゲ。帽子をかぶせればそのままカメでも踏んでいそうな「それ」は、意外にもごく普通のどこにでもいそうな男であった。
「…なんだ、どんな妖怪かと思えば」
「は、離せ離せよトムボーイ(おてんば娘)!」
 やたらとノリのいいDJ口調で抵抗しながら、その男はもがく。
「ていうかネタが古いなんてCan't聞き捨てだこのシルバーKID!俺は天下のマンゴー佐藤なんだYO!」
 彼は更に怪しい英語まじりの喋りで、みあおをビシッと指さした。しかし少女は動じることなく、腰に手をあてて、言う。
「そんなの知らないもん!みんな迷惑してるんだよっ、やめなよ!」
「迷惑…!?」
 ここでようやく三下が起き上がり、待ってください、と言う。
「佐藤さん、そんなにセンスに自信があるなら、是非勝負してみたらどうでしょう」
「勝負?」
 この返事は、何も佐藤だけから出たわけではない。
 目を丸くする三人に向かって、三下は息を吸い込み、言った。
「編集部に、とある方をお招きしているんです……」


転★ ステキカット三番勝負

「連れてきましたよ、編集長〜!」
「ごくろうさま、みあおちゃん、葛ちゃん」
 嬉々として編集部に駆け込んできた三下には目もくれず、碇は二人の探偵をにっこり笑って出迎えた。げんなりする三下を尻目に、二人は頷く。
「ああ…でも、勝負ってのは…って、あれ」
「…ステラ!オーロラも…」
 編集部の雑然とした雰囲気のなかで、そこだけ異空間ででもあるかのように、静謐な空気が漂っている。黒い女性と、はしばみ色の目をした、凛々しい男。その女性…ステラはゆっくり微笑み、このオーロラが、あなた様に勝負を申し込みます、と言った。
「な…そんなヘナチョコやさBOYに、この俺が負けるわけがないじゃんYO!」
「やってみなければ分かりませんわ」
 さ、と彼女が合図をすると、碇はゆっくり、用意された椅子に座った。
「何してるの三下君、さっさと座りなさい」
「え?あ、はい…って、ええ?」
 言われるままに座った三下は、状況が飲み込めない、というようにまわりをきょろきょろ見回す。すると編集部員たちはお互いに、点数らしきものの書いてある札をまわしている。そしてそれは佐藤をここまで連れてきた娘達、みあおと葛にも手渡された。
「え?お、おい、何なんだ、これは」
「ふふ、髪型三番勝負よ。オーロラとその佐藤さんとで、三回ずつ私達の髪型を変えるの。より多くの点を獲得したほうが勝ち、あなたたちも審判をやって頂戴。二回先取で、その人の勝ちが決まるわ」
 碇は少しばかり覚悟を決めるように、探偵たちのほうを向き、説明をした。
「よしわかった受けて立とうじゃんかベイビー!じゃあ俺はこのメガネガールで勝負するケドオケー?」
「…ああ。では、三下を」
 佐藤が碇の後ろに立つと、オーロラもまたゆっくりと、三下の背後に回った。
「みあおちゃん。合図をお願いできるかしら」
「えっ?あ…はいっ、えっとぉ〜…スタートー!」
 一瞬戸惑いはしたものの、すぐに興味を持ったみあおの黄色い声とともに、二人はハサミをかまえ、それぞれの頭に向かってセンスをふるい始めた。


「一回目、はい、やめっ!」
「……………!」
 葛がよく通る声で、ふたりの手を止めた時、一同は息を飲んだ。
 一つの理由は、彼らの仕事があまりに迅速で、目にも留まらぬ速さだったこと。そしてもう一つは、出来上がった髪型が―
「どうだオールエブリバディ!この俺様のっ、今をときめくスーパーアイドル…」
 ここで佐藤はばっ、とどこから取り出したのだか、懐中電灯をスポットライト代わりに、髪型を変更された碇を照らし出してみせた。
「聖子ちゃんカァァット!!」
 碇の、あの麗しい細い顔に、ふかふかしたパーマが横に広がったその髪型はいかにも古臭く映る。ばん、と自慢げに腰に手をあてる彼に、みあお、葛をはじめとする審査員は唖然として何も言うことが出来なかった。
「…こちらは、バロック風パーマ、ですわ」
 低い声に皆がはたとそちらを見ると、カットを終えたオーロラ、そしてそれに付き添うような形で立っているステラのちょうど間に、…バッハがいた。
「…三下!それどうしちゃったの!」
 みあおが驚いて叫ぶと、三下は重そうな頭をもたげ、小さく首を振ってみせた。もはや諦めの境地である。しかしその美しい銀色、しなやかな縦ロールは、審査員の心を魅了するに足るものであったこともまた事実。
「じゃあ、採点始めるぞー、え〜佐藤、十点九点九点八点十点…」
 自らも点数札を持った葛が勢い良く編集部員の点数を数え、合計していく。そしてオーロラの点数もまた集計した時、それまで待機していたみあおがぽてぽてと二人の理髪師のもとに走りより、
「八十八対九十二、勝者オーロラ!」
 思い切り背伸びをして、背の高いオーロラの手を懸命に持ち上げた。
「オイオイマジかよヘイボーイ!なんで俺のが」
「勝負はまだ始まったばっかだろ?まあ気を落とさず次行けよ」
 激昂する佐藤を、葛が腕組みをしてなだめた。
 しゃべりとセンスは変でも、話は通じるらしい佐藤は仕方なさそうに、碇のほうへ戻る。
「…では、髪をもとに戻します」
 ステラが呟き、さりげなく胸元にかまえていたカメラのシャッターを押して、二人の姿を写真に収めたのちそっと頭に触れると、今まできついパーマのかかっていた髪の毛が瞬時にもとの長さに戻っていた。
「…ねえ、今写真撮らなかったかしら?」
 碇がはたと気づいてステラのほうを見ると、彼女はにっこりと微笑んだまま、次の勝負をはじめましょう、と言った。


 …二度目のカットが終わった。
 オーロラは情けない三下のキャラクターをそのままに落ち武者の髪型をさせ、マンゴー佐藤の竹の子族さながらな派手紫頭に対抗したが、結果はマンゴーに軍配があがった。みあお、葛はともかく、編集部員のなかにはかつて自分がその髪型をしていたものも多く、郷愁をさそったのである。
 勝負は、三度目に全てを賭けることとなった。
「HAHAHA!今度も俺様の勝ちだぜ、なんだぁそりゃ?」
 作業中、オーロラの手元を見やった佐藤は笑った。
 三下の髪はまっすぐに直立し、まるでヴィジュアル系アーティストのような勢いである。すでに髪をいじるのは終わったのか、オーロラは黙々とサングラスや顔を覆うマスクといった小道具を用意し、不安げな三下を飾り付けていた。
「…おい、オーロラの奴大丈夫なのか?」
「うーん、あれじゃインパクトがないよね〜」
 葛とみあおも顔を見合わせ、頷きあう。なぜならそのとき、マンゴー佐藤は碇の流麗な長い髪をふんだんに使い、あちらこちらに屹立するリーゼントを作成していたからだ。通常頭の前にまっすぐ伸びるだけであるはずのそれが、頭の上、横、さらに後ろへも伸びてゆき、そのひとつひとつが丹念に飾り付けられていくその芸はまさに名人芸ともいえるものであった。
「よーし、でぇきたぜガール!名付けて『お山のリーゼント』だ!!」
「…こちらも、あとは仕上げをするだけ、…ですわ」
 まるでどこかの雑魚キャラクターのようになった三下の肩に手を置いて、ステラが言った。
 審査員達があきらめの表情で、マンゴーに高得点をつけようとした、そのとき。
 凛々しい青年の腕が、おもむろに立っていた三下の髪を前に倒した。
「………!!」
 その姿は、まぎれもなく。
「ス、スネ…!」
 佐藤は、そして審査員は全員、その全ての名を口にすることなく、絶句した。
 そこには、そう、常にガキ大将につきまとい、母にはちゃま付けで呼ばれる、あの金持ちの小学五年生の姿が、くっきりと現れていたのである。
「ノオオオオォォォォ!!」
 絶叫とともに、佐藤がくずおれた。
「負けだ…俺様の負けだぜヤサBOY!そのセンス!腕!どれも俺様よりずっと上だ…!!」
 もはや審査をする間でもなかった。
 佐藤はどっかりと腰をおろし、警察でもどこでも好きにしろ、と言った。


 結★改心、そして証拠写真

「とりあえず、こういうことか?あんたは昔は腕のいい美容師だったけど、みんなに変って言われて、追いやられた…と」
「…ああ」
 しゅん、と縮こまった髪切りことマンゴー佐藤は、葛のまとめに頷いた。
 その後ろではいまだそのままの髪型でいる碇と三下が、ステラの持つカメラに不安そうな視線を送っている。
「じゃあ、人を襲ってたのは、ただ髪が切りたいだけだったんだね」
 みあおが顔を覗き込み、葛もその言葉に同調する。
「いい腕をしてるみたいだから、センスさえ磨けばやっていけると思うんだけどね」
「うん、みあおもそう思う!」
 佐藤は顔をあげて、本当か、と言った。
「…俺様は…いや、私はどうやら修行を怠っていたらしい。…もう一度センスを勉強して、表の世界に出られるのを目標にするよ」
「おう、そんで有名になったら、俺の髪も切ってくれよな」
 ぽん、と肩を叩いて、葛が笑うと、佐藤は勇気を出したように、立ち上がった。
「…では、考えなおしてくださるのですね、佐藤様」
 碇、そして三下の姿を三度とも撮ってしまったステラがやってきて、佐藤に微笑みかける。その側にはすでに狼の姿にもどったオーロラもひかえていた。
「…では、私はこれで」
 白い狼と、黒い女が一足先に編集部をあとにした。
 続いて、どこか晴れやかな顔をした佐藤も、編集部の面々、そして葛とみあおに手を振り、すっかり夜の明けた朝の東京に出て行った。
「さて、俺たちも帰るか!」
「うん!」
 葛が声をかけ、みあおが頷くと、後ろからちょっと待ってください、という情けない声が響いた。
「ちょ、ちょっと、僕たちのこの髪は、どうなるんですかぁ〜」
「…ステラ、元に戻してくれなかったわね…」
 三下に続き碇も目を閉じ、自分の大量リーゼントから目をそむけるようにする。
「…しかも写真撮られてましたよ、編集長お〜」
「ああ…まあ、がんばれ」
 曖昧な返事をし、探偵二人はそそくさと笑いをかみ殺しながら出て行く。
 その後姿を見送り、碇ははたと気づいて、こぶしをふりあげた。
「ああ!これじゅあ私が髪切りに襲われたのと変らないじゃないの!!」
「あー…僕は何度も襲われちゃったことになりますぅ……」
 それまで笑いを必死に堪えていた編集部員達が、いっせいに笑い出した。
 碇と三下は言い返す言葉もないまま、そこに立ち尽くすばかりであった。


 …後日。
 髪切りとの三番勝負のさいの写真はばっちり現像され、ステラの手元にあった。
 彼女は何かあるたび、それをちらつかせていたという…


END.

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
1415/海原・みあお/女/13/小学生
1312/藤井・葛/女/22/学生
1057/ステラ・ミラ/999/古本屋の店主

公式NPC:碇・麗香、三下・忠雄
オリジナルNPC:マンゴー佐藤(髪切り)
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■         ライター通信          ■
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はじめまして、SABASTYです。
御参加ありがとうございます、このようなとんでもないギャグにおつきあいくださって作者も感謝のひとことです。
みあおさん・葛さんが偶然にも同じ「カツラ」という道具をもって髪切りを捕獲されることを提案したこと、そして説得方法としてステラさんのステキカット勝負が最適かと思われたことから、三名さまを同じ一本の小説にいたしました。
またの御参加を心よりお待ちしております。