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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


【東京妖怪探訪 序】番町・更屋敷の怪

○オープニング
 古いビルの階段を一段ずつ歩き、階上にある扉を見つけ、青年は小さく微笑んだ。
 それは、どこにでもいる普通の青年のように見えた。
 茶髪の柔らかそうな髪に白い肌、黒い瞳は大きく茶目っけすら感じるハンサムな二十代前半の青年……。
 Tシャツにジーンズという服装も今の若者のまま。けれど何故だろう。その場に彼が存在することに、何かひどく違和感を感じるのだ。
 彼は月刊アトラス編集部の扉を叩く。そして静かに扉を引いた。
 来訪の電話を先に受けていた、碇・麗香はすこし緊張したような面持ちで、椅子から立ち上がり、彼を迎えた。

 待合室に通された彼は、優しげな微笑をたたえながら、ソファに腰掛けた。名を「観月・雅」(みつき・みやび)と名乗った。
「それで、どういうご話なのですか?」
「いや、そんなに緊張することはないですよ。私がお願いしたいのは、更屋敷に住むお菊ちゃん、あの子を助けてあげて欲しいんです」
 丁寧な口調だが、江戸の訛りが残る舌。
「皿屋敷・・・?」
「へい」
 雅は頷く。
「最近、連絡がとれてないのですよ。あの可哀想な娘さん、今夜も人知れず泣いているに違いないんです。・・・・・・そして、放っておくと大変な悪さをしでかす・・・・・・」
「大変な悪さ・・・・・・」
 麗香はその言葉に軽く悪寒を思う。
 彼が語るのは江戸の妖怪。江戸の妖怪たちの保護者を名乗る青年の正体も、妖怪という。
 信じるか信じないかは人次第だろうが、麗香は信じることにした。
「とりあえず人をよこして調べさせてみますわ。・・・・・・面白い調査になるとよいのですが」
「あの子に会ったら宜しく伝えておくれ。いつでも浅草で待ってるからって」
 雅はにぃと微笑んだ。

●番町更屋敷の女

 「牛込御門の内。昔物語に云、下女あやまって皿を一つ井戸に落とす、そのトガにより殺害せられたり、その念此所の井に残り、夜ごとにかの女の声をして、一つより九つまで十をいはで泣き叫ぶ、声のみありてかたちなしと也、よって皿屋敷とよびつたえたり。」
 (江戸砂子)

 この話を記した一番古い書物は、江戸時代に書かれた「江戸砂子」だといわれる。
 けれど、この文中には「牛込御門」とあり、牛込の御門は現在のJR飯田橋の付近。すなわち新宿区にあたり、千代田区の番町とはまた別の土地である。
 しかし、この飯田橋の付近を昔は番町といったという話もある。
 この話をメジャーにしたのは、明治時代の文豪「岡本綺堂」であり、この人の書いた本はフィクションであり、史実を伝えているわけではない。
 だが、現在ではどうだろう。
 福岡に伝説あり、幡州姫路城に伝説あり、そして千代田区に伝説あり。
 それらは皆共通して「10枚組の皿の一つを割った女がその罪を責められ、井戸にて命を失った。その井戸から幽霊が現れるようになった」というものである。

 シュライン・エマは横浜の土地に立っていた。
 切れ長の瞳の美しい、スレンダーな美女である。軽く一つ結びにした長い黒髪が、横浜の風になびき、微かに揺れている。
 平塚駅近辺にある、紅谷町児童公園にお菊を埋葬したという墓地の所在を知っていたからだった。
 閑静な静かな公園の一角に、菊の花壇に囲まれてその塚はひっそりと存在していた。秋には色とりどりの菊が咲き乱れ、きっと美しいことだろう。
「……ここに眠る人と、東京にいるお菊さんは違うのかしら……。でも、妖怪だから……幽霊とは違うのかも」
 迷うように呟く彼女。
 碑にはこう書かれていた。
『伝説によると、 お菊は平塚宿役人真壁源右衛門の娘で、行儀作法見習のため江戸の旗本青山主膳方へ奉公中、主人が怨むことあって菊女を斬り殺したという。
 一説によると、旗本青山主膳の家来が菊女を見染めたが、菊女がいうことを聞かないので、その家来は憎しみの余り家宝の皿を隠し、主人に菊女が紛失したと告げたので、菊女は手討ちにされてしまったが、後日皿は発見されたという。 この事件は元文5年(1740)2月の出来事であったといい、のちに怪談「番町皿屋敷」の素材となっという。
 また他の話によると菊女はきりょうが良く小町と呼ばれていたが、24才のとき江戸で殺されたといわれている。死骸は長持詰めとなって馬入の渡場で父親に引き渡された。このとき父親真壁源右衛門は、「あるほどの花投げ入れよすみれ草」と言って絶句したという。源右衛門は刑死人の例にならい墓をつくらず、センダンの木を植えて墓標とした。
 戦前はこの付近が墓地で菊女の墓もここにあったが、昭和27年(1952)秋、戦災復興の区画整理移転により現在の立野町晴雲寺の真壁家墓地に納められている』
「なるほど……。彼女はここの土地で生まれたけれど、江戸に奉公に出たというわけなのね……」
 合点がゆき、シュラインは小さく微笑んだ。
「それじゃ……行ってみますか。番町に」

『皿屋敷か……聞けば聞くほど難儀な話よの……』
「あ゛?」
 朝食を食べようと立ち寄った喫茶店。
 スポーツ新聞を広げているのは忌引・弔爾。長く伸ばした茶髪に赤いバンダナを巻いた、どこか退廃的な雰囲気を持つ青年である。
 その彼が座る席にたてかけてある竹刀袋の中から、もう一つの声が響いていることには、まだ店内の誰も気づいてなかった。
「うっせぃぞ、あんまりしゃべるな」
 竹刀袋を軽く蹴飛ばし、文句を言うが、刀は機嫌を悪くしたのかあてつけのように話し続ける。
『男子たるもの難儀する婦女子を捨て置く訳にもいくまい。まして話を聞いてしまつたのならば尚更だな』
「まだ受けるって決めたわけじゃ……」
 ため息をつきながら弔爾はぼやく。
「そりゃ、自分が望まないのに殺されたり、おっ死んだわけだから、化けて出る気持ちもわからなくはないけどな……まともに相手になるってのも無茶な話のような気がするが……」
『弔爾!!』
 刀が怒鳴る。
 あわてて取り押さえる弔爾。喫茶店内の客も感づいてきたのか、ちらちらとこちらを見ているのがわかった。
「怒鳴るなよ……俺が恥かくんだぞ」
『ともかく、集合は市ヶ谷駅だな……向かうぞ』
「…………へいへい」
 ため息をつきながら、サンドイッチを口に押し込み、弔爾は面倒くさそうに頷いた。


 JR市谷駅で関係者達は、待ち合わせをしていた。
 やはり夜でなくては、幽霊も出づらいだろうということで、時刻は結構遅い時間ではあった。
 一人、どう見ても小学生のような中学生が混ざっていたが、彼らは幸運なことに、お互いに知らない者は少ないような状況であったので、その幼い子の姉も信用して任せて、遅い外出を許してくれた。 
「皆様、揃われましたわね。宜しくお願いいたしますわ」
 落ち着いた柄の清楚な和服を身につけた天薙・撫子(あまなぎ・なでしこ)が、一同を見回して目を細めた。
 それぞれ挨拶を交わした後、弔爾はくわえ煙草を手に持ちかえ、面倒くさそうに告げた。
「で、これから、どうするんだ? すぐ向かう?」
「歩いてそれほどの距離じゃないそうだからな。行ってみるか」
 苦笑の似合う金髪に髪を染めた、こちらもどこか退廃的な雰囲気のスーツの青年がそれに同意した。彼は真名神・慶吾(まながみ・けいご)という。
「それでは、話しながら参りましょうか」
 撫子が言うのに、「ええ、そうしましょう」と物静かそうな優しい顔立ちをした、背の高い長髪の男が同意する。九尾・桐伯(きゅうび・とうはく)というバーの主人を営む青年だ。
 他の一行も同意してくれたので、彼らは…………総勢7人の一行は、靖国通りの方向に向かって、歩き出した。

「ねえ、更屋敷ってなあに? みあお、わからないんだけど……」
 歩き出してまもなく、海原・みあお(うなばら・−)は口に出して聞いてみることにした。
 一行の中でいちばん幼い、13歳。しかし、それだけでなく、彼女の見かけはまだほんの小学校低学年にしか見えない。
 おかっぱの銀色の髪と、白銀の瞳の愛らしい少女だ。大きなリュックを背負い、肩にはポシェットをつけている。
「全国に色々な説がありますが……、江戸のものが一番有名とは思いますが、姫路城にもお菊井戸と呼ばれるものもありますし」
 優しげな口調で、桐伯が説明を始めた。
「多分、こちらの史実に残るものが全国に広まり、また江戸に逆輸入されたのではないでしょうか。私はそう考えますが……」
「うん……」
 じっと聞くみあお。まだ本題には入ってない。
「怖い話……ですよね」
 瞳を輝かせて、みあおよりも興味津々な様子を見せたのは、銀髪に赤い瞳をしたお人形のような少女だった。
 今日は、朝顔の柄の藍色の浴衣を身に着け、髪も軽く結い上げてある。ヴィヴィアン・マッカランという、外国から来たという女性だ。
 黒々とした美しい髪は、本日のための染物らしい。
「そうですね……怪談です」
「怪談!」
 ヴィヴィアンが繰り返す。
「どんな怪談? 怖いのかな……」
 みあおが続けてたずねる。
 九尾はたっぷりと間をとってから話し始めた。
「昔、ここはお屋敷が立ち並ぶ場所でした。その中に旗本……屋敷の主人ですね、彼と腰元のお菊という女性が恋仲になったそうです。けれど、お菊は身分がけして高くないので、それが結婚の障害になってしまい、時間ばかりたつうちに、主膳は亡くなった両親が決めていた許婚とのことで悩み始めます。
 お菊は愛する主膳の気持ちを確かめようと、家宝である十枚組みの皿の一つをわざと割ってしまいました。
 するとそれを知った主膳は、自分が試されたことや、彼女が自分を信じなかったことに腹をたて、彼女を切り捨てて井戸に捨ててしまったのです」
「……可哀想」
 みあおが叫ぶように言った。
「ええ。皆がそう思いました。だからこそ幽霊が出るようになったのかもしれませんね。それからしばらくして、屋敷のお菊が捨てられた井戸から、毎晩幽霊が出るようになったのです。そして皿の数を「いちまい〜、にまい〜、さんまい〜」と数え初めて……」
「ひゃああ」
 ヴィヴィアンが顔を伏せた。
「そして9枚目まで数えると途端に泣き崩れてしまうのだそうです。それが……番町皿屋敷のお話ですね」
「それがお菊さんなんだね……」
 みあおは大きな瞳を瞬きして、たずねた。
「そうです。あとは江戸が舞台ではないですが、姫路城を舞台にした幡州皿屋敷では、青山はお城の乗っ取りをたくらんでいて、お菊は偶然その話を聞いてしまい、彼女を消すために、青山たちは彼女が殿様から預かっていた10枚組の皿のうちの1枚を割ってしまうのだそうです。そしてその罪を彼女になすりつけ、斬殺して、井戸に投げ込んだ。そしてお菊さんの幽霊が出るようになった、という話らしいですが」
「とても似てるお話ですね」
 黙って聞いていた撫子が感心したように、口を開いた。
「ええ、だから」
「怖い話の逆輸入か……」
 シュラインは腕を組み、一同の後ろの方から頷いた。
 どこか納得がいかないような気がして、しかし、どこに納得がいかないのかもわからない。
「あと、こんな話もあるようですわ」
 撫子がつけ加えていった。
「青山主膳とお菊の仲を怪しんで嫉妬した、主膳の妻が、お菊を憎むあまり、10枚あるうちの皿の1枚を隠し、それをお菊のせいにしたため、彼女は殺され井戸に投げ込まれた……と」
「どの話でも、お菊は10枚の皿のうちの1枚を割った(なくした)罪をかけられて殺されてしまうのですね」
 九尾が頷きながら呟き、撫子は声を潜める。
「まるで……都市伝説のようですわね」
「都市伝説って」
 言いえて妙だな、と慶吾は笑った。
 実際に起こったのか否かはっきりとは残らぬ話。それが風の噂のように流布して「井戸から出て皿を割るかわいそうな女の幽霊話」は全国に広まったのだろうか。
 そして、噂を楽しんだ人々により、その根拠とされた土地がいくつか生まれ、それぞれに伝説がつけられた。
 そうともいえる……ということだろうか。
 靖国通りを進み、靖国神社の方向に向かって行くと、最初に路地が出てくる場所に東京三菱銀行がある。
 その路地で曲がったところから見える一方通行の標識。その先が『帯坂』と名づけられた坂だった。

「……妖気か」
 大通りのネオン輝く場所から、閑静な住宅街に入り込み、辺りの雰囲気は一転する。
 そして7人の一行が帯坂へ足を踏み出そうとした時、全身に総毛だつような思いを一瞬感じたのだった。
 懐に入れた符にふと、意識を向け、慶吾は呟いていた。
「ここは……帯坂」
 九尾がそらんじるように、まるで歌いだすかのように、さらりと口にする。
「青山に追われ、髪を振り乱し、帯を引きずりながらお菊が逃げたといわれる坂です。この名の由来もそこからきているそうです……」
「ほう」
 慶吾は笑う。
「フィクションと聞いたが、どうして坂だけあるんだろうな……」
 この千代田区の番町に「青山主膳」という人物の屋敷の記録はない。
 それはすべてが「岡本綺堂」という作家のフィクションであったからだ。
「まあ難しい話はわからねえけど……」
 ため息をつきながら、弔爾が呟いた。
「早く、行こうぜ。泣いてる女を放っておくのは気持ちが悪いな」
「ふ」
 思わず慶吾が破顔する。
「何故笑うっっ!」
 むきになる弔爾。
「いや……らしくないな、と」
「知るかっ。……思うままに言っただけだ」
 僅かに赤面し、弔爾はズカズカと歩き出す。その手元の刀袋の中からも、笑い声が響いてるような気がするのは、悪い冗談といっていいだろう。
 帯坂は150メートルほどの緩やかな傾斜の坂である。
 あまり明るい道とはいえなかったが、しかし、そこを歩いていくにつれ、どんどん辺りが暗くなっているような気がするのだった。
 そして。
 やがて辺りの景色は、まるで闇に溶け込んだように見えなくなった。
 代わりに、ぽうと一つの明かりが、道の脇に浮かぶ。
 ちょうちんを持った和服姿の雅が、そこに立っていた。
「……よう。おいでなすったか。ありがとよ」
「……驚いたわ。雅さんですね」
 シュラインが軽く会釈をすると、雅は頷き、ちょうちんを坂の上に向けた。
「この坂の上だ……お菊ちゃんはいる」
 その声に一同は皆、坂の上を見上げたが、その先は闇に飲まれたままで、少しの先も見えなかった。
「あんた達なら大丈夫そうだな……。万が一、お菊ちゃんが暴れても……丈夫そうだ」
「お菊さんってあばれるの?」
 みあおがたずねた。みあおはよくわからないが、さっきの話では、井戸の中で皿を数えて泣き伏す幽霊という話だった。お皿でも投げつけてくるんだろうか。
「……まあ普通の状態なら、そんなことはねえんだけどな。俺の呼び声も届かなくなっちまってるようだし……」
 雅は頭をかいた。
「危険は承知の人が揃ってるっていうのが、あの編集長のお話だったしな」
「……そんな話聞いてないぞー」
 弔爾が刀袋を肩にかけながら苦笑する。緊張していく皆の顔を雅はくすくす笑いながら見回した。
「……悪いね。半分は冗談だよ」
「半分はって……?」
 ヴィヴィアンが尋ねた。
 雅はぎょっとしたようにヴィヴィアンを見上げた。
「あんたは……なんだい?」
「なんだいって……」
 ヴィヴイアンは頬を赤くした。
「人間だなんて嘘をついても無理だぜ?」
 雅が笑う。
「……バンシー」
 ヴィヴィアンが困ったように呟く。すると雅は腕を組み、うーむ、と考えはじめた。
「聞かないなぁ……。異国から来た者、そうだな」
 頷くヴィヴィアン。彼女の視界には、雅はただ落ち着きのある江戸口調の若者というだけでなく、その背後から広がるもう一つの何かが見えていた。
 小柄なその肉体に内包された世界の一部が垣間見えているのだ。彼女はそう感じた。
 彼が抱えるもう一つの世界。知らない町。
 その中に、仲間達はたくさんいる。
「そうだよ……ヴィヴィはアイルランドから来たの……。ねぇ、雅さん、それは何?」
「それ?」
 雅はヴィヴィが見ているものに気がついたのか、目を細めた。
「……妖怪天国だ。何か困ったことがあったらおいで」
「……」
 天国。
 なんだろう。ヴィヴィは聞きたがったが、雅は他の話を始めてしまった。
「……あんた達が歩きながら話してたお話聞かせてもらったよ……。面白い話だったが……、俺が知ってるのはまたちょっと違う。聞いてくれるかい?」
「違う?」
 桐伯が眉を寄せた。
 否定の声がないので、雅はしばらく待ってからゆっくりと話し出した。

 武家・旗本の屋敷が立ち並ぶ番町の付近は、昔から怪異のよく起こる場所として知られていた。
 番町七不思議という言葉もあったほどである。
 その中に「更屋敷」と呼ばれる空き家があった。それは長らく更地とされていたからそう呼ばれていたとも言われる。
 そこには過去「吉田屋敷」という屋敷が作られていて、とある高貴な女性の住処であった。
 女性は寂しさのあまり、たくさんの男との荒淫をしたが、屋敷の表役を努める男性と恋に落ち、彼を深く愛した。
 けれどある日、女性は、その男が侍女と戯れている姿を目撃してしまう。嫉妬の余り激昂した彼女は、侍女の額に焼け火鉢を当て、それだけでは飽きたらず、斬殺して井戸に放り込んだ。さらには、自分を裏切った男も殺し、同じく井戸に投げ込んだ。
 以来、その井戸からは夜な夜な二人の亡霊が現れたという。
 女性の没後、その屋敷は取り壊しとなったが、井戸からの亡霊は相変わらず出るので、誰も買い手がつかず、更屋敷となっていたらしい。
 そして長い時が過ぎ、その噂も曖昧なものとなった頃、火付盗賊改、青山主膳という人物がその土地を買い上げることになった。
 江戸に出る盗賊達を捕らえ、詮議し、懲罰を与えるのが彼の仕事で、あるとき磔刑に処した盗賊の娘で16歳の「お菊」を彼は侍女として雇いいれた。
 お菊が18歳になったとき、この屋敷の家宝である10枚組のうちの皿の1枚をうっかり彼女は割ってしまった。
 青山とその妻は、寒風吹きすさぶ庭に、裸にして引き据え、さんざん折檻したあげく、彼女の指を一本切り落とした。10本のうちの一つを……というわけである。
 さらに物置に15日も、食事も与えられないまま閉じ込められ放置されたお菊は、もはやこれまでと、なんとか物置から逃げ出したお菊は庭の井戸へと身を投げた。
 先の二人の男女が投げ込まれた井戸は「吉田屋敷」が立て壊された時に共に、けして後がわからないように埋められてしまっていたという。
 青山が掘った井戸は違う井戸であると思われるが、もしかすると偶然同じ場所に掘ってしまったのかもしれない。
 果たして、夜な夜な井戸に現れ、皿の数を数える娘の幽霊の噂が広まるようになった。
 時を待たずして、青山の家はみるみる没落し、屋敷は再び「更の土地」更屋敷に戻った。

「という話」
 雅は笑った。
「これも作り話だけどよ。同じ場所で、次々と悲劇が起こる。その前の住人の残した咎が、次の住人にも因縁を引き起こし、おきてはならん悲劇を呼ぶ。他にもこういう話は聞いたことがあるだろう」
「……そうですわね」
 撫子が眉をひそめて言う。
「それでお菊さまはどのお菊さまなんですか?」
「……さあな。多種多様なお菊さんがいたとして、お菊ちゃんの姿自体はどの話もそれほど変わりないからね」
 撫子にそう告げ、雅は「おしゃべりがすぎたね」と皆に謝った。
「……さて、それじゃおまえさん方の出番だ。頼むぜ、お菊ちゃんを元気づけてやってくれ……」
 ちょうちんの火が揺れる。
 気づくと、そのちょうちんを持っていたのは、先頭を歩いていた慶吾だった。
 雅の姿はいつの間にか消えて、辺りはやはり暗いまま。
 道の先、坂の上の方をちょうちんで照らすと、思わせぶりな柳の木が揺れ、その下に古びた井戸がある。
「……あれかしら……」
 シュラインが口にする。
「ちょっと……怖いかも」
 みあおはヴィヴィアンの腕にくっついた。
「やっと会えるのか……さあ、いくぞ」
「そうだな……」
 待ちくたびれた弔爾と慶吾は、先頭にたちながらゆっくりと歩き出した。他のものも、後を追うようにゆっくりと進む。
「おっと」
 雅の声が突然、全員の背後から響いた。
 振り返ると雅がにぃと笑いながらたっている。
「一つ言い忘れた。お菊ちゃんに浅草に来るように伝えてくれ。……土地に縛られてるんじゃないよってね」
 そして再び、すぅと消えた。

●お菊さん
 辺りは静寂のままだった。
 先頭を歩く人のちょうちんの明かりに従い、歩いていたはずだった。
 けれど。
 ふと気づいた時、7人で連れ立っていたはずが、たった3人になっていることに彼らはようやく気がついた。
 忌引・弔爾。海原・みあお。ヴィヴィアン・マッカランの3人である。
 提灯は突然、弔爾の手に現れていた。
「……他の奴らは?」
 くわえ煙草を地面に落とし、靴で踏みつけながら、弔爾は呟いた。
 答えるものはない。
 ヴィヴィアンもみあおも、皆と一緒にまっすぐに歩いてきたつもりだったから。
 ぼんやりと光る提灯に映し出されるのは、闇の中にぼうっと浮かんでいる柳の木と古い井戸。
 その奥に何か大きな建物がある感じもしたが、はっきりとはわからない。
『ここが件の皿屋敷か……』
 口を開いたのは弔爾の方向だったが、弔爾ではなかった。
 彼の持つ霊気を帯びた一振りの日本刀が呟いたのである。
「みたいだな」
 弔爾が答える。
 みあおとヴィヴィアンは少し身を寄せつつ、井戸の側に近づいた。

『だめ……近づいてはいけない……』
 井戸の底から鈴を転がすような、高い声が響いた。
「どうして?」
 ヴィヴィアンが井戸の中に返事を返す。
『…………』
 返事はない。
「お返事があるなんて、驚いたのかも……」
 みあおの意見もあながち間違いではないかもしれない。けれど……。
 しばし後に再び、井戸の奥からの声が響いた。
『ここに来てはいけない……』
「だから、どうして?」
 ヴィヴィアンは井戸にさらに叫んだ。
 背後で、弔爾が苦笑いしている。
『……私のようになるから……』
 ため息のような声が井戸の中から響いた。
 つるべが突然落下する。
 ヒュルルルル、という風を切るような音がして、井戸の外から水音が響く。
 それと同時に、まるで反対側のつるべが浮かび上がるかのようなタイミングで、乱れ髪の着物姿の女が井戸から上半身を出したのである。
「わあっ!」
「きゃぁ」 
 みあおとヴィヴイアンは思わず抱き合った。
 二人をとても悲しげな視線を見下ろしながら、彼女は胸に大切そうに抱きしめた美しい皿の数を数え始める。
「……まい……に、まい……さんまい……」
「そのお皿が……割ったお皿なの?」
 ヴィヴィアンは床に座りながら、お菊に話しかけた。
「あ、私ね……持ってきたの」
 ヴィヴィアンの隣に座ったみあおが、肩にかけたポシェットから、その中にしまってきたプラスチックのお皿を取り出した。
「10枚……あれば、いいんだよねぇ?」
「それは違うだろ」
 弔爾が苦笑を浮かべて、そのプラスチックの皿を手に取った。100円均一らしいシールが張ってある。
『ろくまい……な……なまい、……はち……まい』
 その合間にもお菊さんは皿を数え続ける。
「もぅ……」
 ヴィヴィアンは井戸に近づくと、その彼女の手首を握った。
「……もう数えなくていいの!? お願い、悲しむだけなら、こんなことやめようよ?」
『……!!』
 お菊は顔を上げ、ヴィヴィアンを見つめる。
 涙をたくさん浮かべた悲しみに満ちた瞳だ。ヴィヴィアンは思った。私も、こんな瞳をしていたことがあったかもしれない。
『私は……私は……』
「だめだよ、お菊さんっ」
 自分も泣きたくなりながら、ヴィヴィアンは必死に訴えた。
 私が泣いたら、バンシーの能力でみんなに迷惑をかけてしまうから、泣いたりはしない。
 でもその瞳を見たくない。悲しくて悲しくて、本当に泣きたくなってしまうから。
「お皿は……数えるものじゃないよ? ご飯を食べる時に使うものなんだよ?」
 みあおはプラスチックの皿を辺りに広げ、今度は背中のリュックから、食べ物の詰まったタッパーを出して、その上に盛り付けを始めた。
「旨そうだな」
 黙って見守っていた弔爾が動いて、タッパーの一つに指をのばす。 
「つまみぐいは駄目だよ? 弔爾おにいちゃん」
「ん。……手伝ってやるっていうのに……」
「本当にぃ?」
 じーと上目使いで見上げる銀の瞳に、弔爾は困ったように頭をかく。
 その脇で、感慨深げに沈黙を続けていた弔丸がお菊に話しかけた。
『お菊殿とやら……、泣き腫らしてのその面、男子たる者としてまことに眺めるに忍びなし。して、お主を辛き目に逢わせた者は既に無しであるぞ』
『そんなことはありません…… 』
 お菊はふるふると首を振った。
『青山様は、ほら、あそこに……あそこにいらっしゃいます……。いつも私を責めて……責め続けて……』
 お菊が指差したのは、井戸の後ろの景色だった。
 蜃気楼にようにぼんやりと古い屋敷の姿が見える。
 そこにはひとつの青い人魂がぼんやりと浮かび、佇みつつゆれていた。
『大切なお皿を割った私を、死してなお許してくださらないのです……。あの方は美しい女子を集めてはいたぶるのが好きなお方……。皆様もけしてこの先に進んではなりません』
「……大丈夫だよ? お菊さん。本当だよ」
 ヴィヴィアンは自分の胸を押さえた。
 本当はいちばん最初に言おうと思ってたのだけど。
「……あたし、ヴィヴィアン・マッカランって言います。……バンシーってわかりますか? 遠い国から来たの……。私もお菊さんと同じ……。若くして、恋人も出来ないまま死んだの。もう100年以上も前の話よ……」
『……あなたも……?』
 お菊は瞳を開けて、ヴィヴィアンの表情をじっと見つめた。
「といっても……あたし、全然バンシーの中じゃ、おっちょこちょいだし、ドジだし……全然いいとこなかったりするんだけど……あ、でも、ベビーシッターは得意。赤ちゃんは大好きなの!」
『……明るいのね』
 お菊は目を細めた。
『私は駄目よ。この井戸から外に出られないの。……井戸から出ると、青山様に叱られる……、あの人はいつも私を見てるから』
「あれが悪いっていうのか」
 弔爾は弔丸を肩にかけ、お菊に言った。そして刀に話しかける。
「弔丸、いいな」
『あの女子をこの地にとどめているものが、あの人魂であるのだな。無論、力を貸す』
 青く光り輝く刀身を握り、弔爾は走り出した。 
 まるで空気を蹴るような身軽な動き。人の早さとは思えないほどの瞬時で、弔爾は人魂近くにたどり着くと、有無をいわせずにその光を両断した。
「……なんだ手ごたえのない……」
 肩の力を抜く弔爾。人魂は二つに割れたかと思うと、地面に落ちる前にその姿を消した。
 刹那。
 大地は激しく震動した。
「きゃああっ」
 おかずを盛り付けたプラスチックの食器も空に舞う。
 みあおはあわてて押さえ込もうとしたが、それどころではない。
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。
 突き上げるような猛烈な振動が三人の体をまるでおもちゃのように跳ね続けた。
「な、何っっ!」
 空に浮かび上がり、みあおを抱き抱えたヴィヴィアンは、その震動の中心が屋敷ではなく、お菊だということに気がついていた。
 今までは悲しそうな表情を浮かべていたお菊の体からは、青白い光がほとばしり、その光の力で、辺りの大地は揺れているのだ。
『……お……の……れ……、わが身を切るとは……何たる…………』
 その口から不気味な男の声が響く。
「だめぇっ! お菊さん!」
 ヴィヴィアンは叫び、みあおを抱いたまま、お菊に近づいた。
 みあおは瞼を閉じて、懸命に祈る。
「大丈夫! じょぶじょぶだよ!お菊さん! あれはあなたじゃない! あなたじゃないの!」
「そうよ。……しっかりして……解放されなきゃ駄目っっ!!」
 ヴィヴィアンも叫ぶ。二人の叫び声に、光をほとばらせていたお菊の体が突然反応した。
 二人には、否、弔爾にも勿論、わかっていた。
 彼女は自らの作り出した幻想に怯えていること。
 『ここから動いてはいけない。罰を受けるから』
 その思いに死した後もずっと怯え続けてきたのだ。
『わ……わたしじゃない?』
「そうだよ……ね、みあおのご飯食べない? お姉ちゃん達と一緒に早起きして作ったんだよ?」
 震動はやがて収まった。
 不思議なことに、みあおの持ってきた食事や皿も崩れることもなく、元の形に収まっていた。
「落ち着いてくれたのね、お菊さん」
 ヴィヴィアンはほっとしたように息を吐く。
 お菊は両手で顔を伏せ、ただ嗚咽し続けていた。
「どうして鳴くの? ね、どうして?」
 背中を優しく撫でてあげるヴィヴィアン。
 弔爾も井戸の側に戻ってきた。神妙な声で、霊刀が慰める。
『……先程も言うたが、お菊殿。お主を辛き目に会わせた者は既に無い。……陰に篭りて、巡りし浮世を見ぬは忍びなく……、既に亡き見なれど、己が為に生きぬもまた、忍びなし。既に無き脚なれど、己が意で歩み、その身で風を受くる事は叶わねど、その眼で色を見、涙を晴らしては見ぬか……?』
『この眼で色を見て、風を受ける……』
 ぽつりとお菊は繰り返す。
 その頬に一筋の雫がこぼれた。
『……ああ、思い出しましたわ、私……。思い出したの……』
 お菊の表情は溢れる涙と共に、笑顔を取り戻していた。
「どうしたの? お菊さん」
 ヴィヴィアンが呼びかける。
 お菊は目を細めて繰り返した。
『本当は……本当は私、この井戸から出られるの……だってもう、本当はもうすべて終わってるのですもの……』
 呟いて、お菊は井戸から足を踏み出した。
『見てくださいませ。お刀殿、私足はついているんですよ……。ほら」
 ふわりと浮かび上がるようにして、井戸から飛び出ると、お菊はまっすぐにみあおの側に行き、彼女が用意した美味しそうなおかずに手を伸ばした。
『頂いてよろしいかしら?』
「うん、食べて! 大丈夫、幽霊さんにも食べられるように霊力かけてあるからね」
『かたじけのうございます。……まあ、美味しい』
 タコさんウインナーを口にし、お菊は嬉しそうに微笑んだ。
「どれどれ、俺もいただこうじゃないか」
 弔爾もその隣に座りこむと、おにぎりをひとつかみして、食べ始める。ヴィヴィアンも嬉しそうにその仲間に加わらせてもらう。

 やがて皿の上は皆、空となり。
 夜の空もだんだんと白々となってきたことに、三人は気づいていた。
「……空が青いな」
 ぼんやりと弔爾が呟くと、お菊がうなずく。
『明け方が参りましたのね。私はまた戻らねばなりません。今宵はとても楽しゅうございましたわ』
「あ、お菊さんにみやびっておにいちゃんから頼まれごとしてたんだよ」
 みあおが引き止めるように言った。
『みやび……雅さまでございますか。……まあ大変』
 お菊は口元に軽く指をあて、息を吸った。
『そういえば長らくお巡りしておりませんでした……。ご息災でいらっしゃるはずですが……さて、いかほど月日が流れたものか』
「浅草においでって」
 みあおはにっこりしながら告げた。
 ヴィヴィアンも続ける。
「隅田川花火大会もあるし……」
「これから散歩がてらに行くというのもいいんじゃないか? 歩いてもさほど時間はかからないだろう」
 弔爾が進めると、お菊はこっくりうなずいた。
『そうですわね……。浅草に参ることもすっかり忘れて……。私のようなものは、土地につく妖怪。いつも同じ場所にいて、同じ陰をすっていると、自らの咎に責められ、つい我を忘れてしまうのです。時折は場所を移し、浅草巡りにでも参られよ、といわれていたのに……すっかりご無沙汰してしまっていて、ご心配をおかけしてしまったのでしょうね』
「なるほどな」
 弔爾はうなずく。
「それじゃ益々、誘わなきゃならんな。……いや散歩にしてはなかなか距離があるとは思うんだが……」
 普段の自分であれば、面倒くさがるようなことを口にしているなという自覚を持ちつつ、弔爾は苦笑する。
 その傍らで弔丸が声を響かせた。
『思いに縛られ、時を潰すのは容易い。だがしかし、己が為にならん。先へ行かねば、新たなものを手にする事はかなわんのだ……』
 お菊はうなずく。
『貴方もそうなのですね、お刀殿』
『……』
「自分のことだと黙るのか、お前は」
 ぽんと、柄を叩き、弔爾は唇を歪ませる。ヴィヴィアンとみあおが笑った。お菊もつられたようにほほと、袖で口元を隠しながら笑っていた。

○エピローグ
 朝日が昇る直前の、晴れ渡る涼しげな空の下、帯坂を三人と共にお菊は歩いていた。
 すると、帯坂の袂に、雅が佇んでいるのが見えた。
「よう、ご苦労さん」
 提灯を手に、腕を組み佇む青年は、彼らを優しく出迎え、そしてお菊にうなずいてみせる。
『お久しゅうございます』
「……おう。綺麗なお顔がまた拝見できて嬉しいぜ。……さて、それではここからは俺が浅草まで案内しよう……。江戸妖怪の通る道には電車が厄介なもんでね』
 そういうと、雅はお菊の手をとった。
 そしてそのまますうっと空気に溶けてしまう。
 二人を失い、三人が一瞬呆けたその時、ぱちん、と指で空気を慣らすような音が響いた。
「あっ!」
 叫んだのはみあお。
 その目前には、シュライン、桐伯、慶吾、撫子達が佇んでいたのだ。
「……あれぇ……」
 顔を見合わせる三人だが、それも残りのメンバーも同じような状況らしかった。
 狐につままれたようなそんな変な感触を味わいながら、でも。 
「これでよかったんですよね」
 ヴィヴィアンが朝日に照らされる市ヶ谷駅に向かう道すがら微笑んだ。
「ああ、そうだな」
 弔爾もどこか機嫌がよさそうである。みあおも嬉しくなって、軽くなったリュックを揺らした。
「……おねえちゃんたちに帰って報告しなきゃ」
 
 まぶしい朝日は彼らを包むように優しく照らし、その日一日は、にやにやしてすごせそうなくらい嬉しい気分なのであった。


                                         了

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■     登場人物(この物語に登場した人物の一覧)     ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
 0086 シュライン・エマ 女性 26 翻訳家&幽霊作家+時々草間興信所でバイト
 0328 天薙・撫子(あまなぎ・なでしこ) 女性 18 大学生(巫女)
 0332 九尾・桐伯(きゅうび・とうはく) 男性 27 バーテンダー
 0389 真名神・慶吾(まながみ・けいご) 男性 20 陰陽師
 0845 忌引・弔爾(きびき・ちょうじ) 男性 25 無職
 1402 ヴィヴィアン・マッカラン 女性 120 留学生
 1415 海原・みあお(うなばら・−) 女性 13 小学生
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■              ライター通信               ■
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 こんにちわ。ライターの鈴猫です。
 【東京妖怪探訪 序】番町・更屋敷の怪 をお届けします。
 あー……難産なお話でした。またお待たせしてしまい、本当に申し訳ありません。
 この依頼を発表してすぐに、パソコンがクラッシュして、仕方なく新機種を購入したのですが、そのキーボードが指にあわなくて、指の痛さに悲鳴を上げながら、その時の納品物を上げていました。
 今でもまだなれずに、指先はサロンパスだらけです。……うーむ、こんなにキーボードと相性が悪いのは初めて。
 そのうち慣れるだろうと思ったのですが、やはり買い換えるべきかも……。
 それとも、やっぱり四大怪談はまずかったのかしら……。これが呪いなのかしら?(汗) とちょっと悩んでみたりです。
 
 さて、今回の依頼ですが、いろんな思い入れが入っています。
 皆様のプレイングもどれも面白く拝見いたしました。
 横浜にお菊さんのお墓があったというのもシュラインさんのプレイングで知りましたし、せっかくだから他にも調べてみようとおもったら、想像以上にいっぱい出てきて驚いてみたりです。
 ただ今回は江戸にまつわる妖怪話というのがテーマでしたので、「更屋敷」の方向で行かせてもらいました。
 
 次は「振袖」というタイトルで序の2をお送りする予定です。
 もしご興味がありましたら、ご参加いただけると本当に嬉しく思います。
 それではまた。

                                 鈴猫 拝